華麗なる他力野劇場開幕 : 他力野割烹

元銀座割烹うかいの他力野さんがこの度同じ銀座に新店をオープンさせました。
本来はもっと早い時期にオープンする予定でしたが諸々の事情で遅れてしまったそうでようやく
７月１６日に開店されたそうです。

お店はランチのふぐ天丼が有名な福和と同じビルの５階にあります。
ワクワクしながらお店へ伺うと想像以上に立派で驚きました。
まさしく「他力野劇場」といった感じの臨場感溢れる見せるカウンター１１席が主体でこの他に
余裕のある６人まで入れる個室がありました。

カウンター席からは中の様子が丸見えで料理が出来るまでの過程も見れるのでかなり楽しい
造りになっております。
カウンター自体も奥行きがあり広々しております。
カウンターの端の席に案内されまずはドリンクをオーダーしました。

お昼は木曜日から日曜日まで１万１千円でサービス料はかかりませんが夜は３万円だそうです。

・梅酒ソーダ割り

　大きなグラスでたっぷりの梅酒ソーダ割りはさっぱりした後味で美味しかったです。
　太っ腹な量も嬉しい限り。

・生ビール×２

　細長いグラスで提供されたビールは泡少な目でいい感じです。

・先付け

　鱧と北海道産松茸の餡掛け茶碗蒸し。
　ふっくらと身の厚い鱧が乗った松茸餡掛け茶碗蒸しがコーヒーカップで提供されました。
　これが抜群に美味しい一品で鱧の焼けた香ばしさとシャキシャキ食感の松茸がとにかく
　美味しくて夢中になって食べました。
　鱧ってこんなに美味しかったっけ？と思う程素晴らしい味わいで具だけ先に食べ切ってしまう
　勢いでしたが下にある茶碗蒸しもこれまた出汁がしっかりきいていて美味しかったです。
　この茶碗蒸しは好みのど真ん中をつく味わいだったのでまた是非とも食べたい一品でした。

・焼き物

　カウンターに置かれた大きなトロ茄子をじっくり焼き上げそこへ鳥味噌をかけた一品です。
　滑らかな口当たりのトロ茄子に上品な甘さの鳥味噌が絡んでとても美味しい。
　この鳥味噌はくどさがないのでそのままでも充分おかずになる味わいで茄子を食べ終えた後は
　スプーンですくって全ていただきました。
　茄子もトロリと柔らかく薬味もいい仕事をしているので最後まで飽きずに食べられます。

・お椀がわり

　トウモロコシのすり流し。
　大きな鉢でプレゼンされたトウモロコシのすり流しに思わず「大盛りで！」とリクエスト。
　キンキンに冷えたトウモロコシのすり流しはもったりとした粘度があり甘みが強くてとても
　美味しかったです。
　ほんの少しではありますがトウモロコシのざらつき感を残しているのでこれがまた良かった。
　甘さと粘度があるので見た目以上にボリュームもあり満足いく一品でした。

・八寸

　太刀魚の炙り鮨、蓮根の海老しんじょうはさみ揚げ、ジュンサイのスダチゼリーがけの三品。
　
　生姜が添えられた太刀魚の炙りの下にはシャリが鎮座しているのでお寿司として楽しめます。
　太刀魚は皮目の香ばしさが鼻に抜けその香りまで楽しめました。

　じゅんさいのすだちゼリーがけはスダチの爽やかさが素晴らしく、ここにお素麵入れて
　食べてもかなり美味しいのではなかろうかと思いました。
　こんな上品でしっかりした味わいの出汁で素麺食べたいなぁと心から思いました。

　蓮根の海老しんじょう挟み揚げはシャキッとした食感の蓮根の間から甘くてふわっとした
　海老しんじょうがたまらない美味しさを醸し出しておりました。
　これはかなりお気に入りの一品で海老しんじょうの甘さが際立つ美味しい揚げ物でした。
　この手の八寸ではいつも最後に何を食べようかと悩むのですが今回はこの挟み揚げで
　フィニッシュしました。

・煮物

　鮑の鯛出汁肝ソース餡掛け。
　ぐつぐつと煮立った状態で提供された鮑はしっかり肝ソースまでかかっていて見るからに
　美味しそうです。
　熱々状態ではありますがたまらず口にしました。
　薄くスライスされた鮑がとっても柔らかくて美味しい。
　鯛出汁のなせる業なのか旨味があって一度口にすると止まらぬ旨さです。
　肝ソースもこの鯛出汁とあいまって上品な味わいになりすぐにでも飲み干したくなるような
　味わいでした。

・食事１

　クエの炊き込みご飯。
　串刺しで焼かれたクエの炊き込みご飯は生姜が効いていてとても美味しかったのですが今回は
　ほぼお土産として持ち帰りました。

・食事２

　驚いた事にご飯を２種類用意してくれていたのですがもう一品は鰻の醤油焼きご飯です。
　醤油味の鰻と山葵の葉や茎を醤油漬けにした物を混ぜ込んだ炊き込みご飯は見るからに
　美味しそうでテンション上がりまくりでした。
　どちらのご飯がいいか聞かれましたが迷うことなく鰻をリクエストしました。
　鰻の醤油焼きは地焼きなので皮目もパリッとしていて食感がとてもいいです。
　かば焼きではないので甘さがなく逆に鰻の脂をしっかり感じ取れる味わいでした。
　何気に上にかけられたおかかがいい仕事をしていて鰻との相性も良かったです。

　鰻を食べる前は二膳目はクエにするつもりでしたが結局おかわりも鰻にしました。
　たっぷり炊いてくれていた鰻ご飯は全部食べ切ってしまったのでかなり満腹になりました。

　青さ入りのお味噌汁も出汁がしっかり効いていてとても美味しかったです。

・甘味

　生胡麻葛餅。
　トロットロのわらび餅の中には大納言が入っていて上品な甘さです。
　この葛餅の食感がたまらない美味しさでお腹一杯にも関わらず難なく胃におさまりました。
　一緒に出された緑茶も美味しくて大満足のコースでした。

久々に他力野さんのお料理をいただけて感動しきりの昼餉でした。
下の階が空き物件らしいのでもしかしたらそのうち他力野劇場第二幕なんて事にもなるのでは
ないかとちょっと期待してしまいます。
お店は個人経営なので色々大変な面もあるかと思いますが腕のある方なのでどんな素材でも
アイデアと技術で満足させてくれると思います。
今はまだインスタのみでHPもないので予約するなら今がチャンスと思われます。
９月頃にはHPも立ち上げる予定らしいので銀座で隠れ家をお探しの方には是非ともお勧め
したい一軒です。