3月は上巳の節句と貝寄風　渡り蟹のウイスキー漬けが絶品でした : 銀座 しのはら

　今月も今シーズン最後となるであろう越前蟹がカウンター上で堂々とした姿でお出迎え。1.4kg越えとのことで先月よりひと回り大きい。

　３月は上巳の節句、いわゆる桃の節句です。起源は漢時代で、ある男に３人の女児が生まれたものの３人とも３日以内に死んでしまい、村の人たちが３人の女児の亡骸を清めて水葬したことに由来しているとされています。ここから水辺に出て祓除をする行事になり、人型を流す祓除、さらには曲水宴となり、平安時代には日本に伝わり、江戸時代にひな人形と結びつき、女の子の健康と多幸を祈るお祭りへと変化したようです。

　また、大阪で貝寄風(かいよせ)が吹く春を感じる季節。打ち寄せられた貝は、聖徳大使の命日、4月の精霊会でお飾りに使います。

　そのようなテーマで、今月は、前菜の鮮やかなひおうぎ貝のお飾り、八寸の桃の花、菱餅型のお皿、ぼんぼり型の器、あわせ蛤などなどで季節が演出されていました。

★今回の献立★　
コメント・感想などは後記

【香煎茶】　十草の器で

【先付】　甘夏釜に合鴨（近江）とネギのすきやき風　最後は蓋部分の果肉も絞って

【酢の物】　赤貝　鳥貝　車海老　うに　わらび　うるい　やさしい加減酢煮凝りなのでスプーンで全て頂きます

【御碗】　伊勢海唐揚げ　帆立真薯　筍　ゼンマイ　うぐいす菜（聖護院蕪のこども）　葉山椒

【太巻き】　赤身の漬けわさび和え　中トロ　すき身とべったら胡麻和え　細切りきゅうり　花山葵　海苔（千葉）も主役

【蟹】　越前蟹炭火焼き　淀大根　九条葱　出汁

【焼物】　焼きとらふぐ　白髪ねぎ　胡麻油　黒胡椒

【煮物】　飛騨高山の月の輪熊　聖護院蕪　九条ネギ

【フォアグラ最中】　フォアグラ　あんぽ柿　ウイスキーゼリー　最中皮（三谷製菓）

【八寸】
＜菱餅型の皿＞上に以下3種の器
＜はまぐり型の皿＞
　〇玉子真薯
　〇蛍烏賊（藁で蒸したもの）
　〇菜の花辛子和え
　〇大徳寺麩チーズ挟み
　〇タラの芽とこごみの胡麻餡添え
＜ぼんぼり型の六角小鉢＞
　〇いかと筍の木の芽和え
＜ひりりぎ型の小皿＞
　〇キンカンゼリーの茶巾しぼり

＜栄螺型の小鉢＞
　〇鮑　北寄貝　平貝　ウド　花山葵　生姜酢
＜あわせ蛤＞
　〇飯蛸蒸し　鯛の子炊き　ふき　葉山椒
＜別皿＞
　〇渡り蟹のウイスキー漬け　ウニソース

【鍋】　蛤　若芽　葉山椒たっぷり

【食事】
　〇スッポンと芹の炊き込みご飯　卵黄醤油漬け添え
　〇白菜重ね漬け
　〇お鍋の出汁でにゅうめん（半田麺）　かき玉子

【甘味】　桜の葉をねりこんだきんとん　お薄


★お料理などについて★
　酢の物は三宝の上に、ひおうぎ貝や金箔の貝、菜の花などが飾られあでやか。
　
　お椀は蓋を開けた瞬間、前面に筍で春！伊勢海老唐揚げがさっぱりしすぎない篠原流。

　蟹の殻入れの器、先月は片側しか見ていなかったことに気付きました。「三級浪高魚化竜、痴人猶戽野(夜)塘水」の前にくるべき「江國春風不起鷓鴣啼左(在)深花裏」が、反対側にありました。
　こちらも先月気付いたのと同様、在の字が左となっています。明治時代のものだそうで、よくある写し間違えではと篠原さん。裏の本来「大明嘉靖年製」の字も少しずつ違うし。こういうのって、ちょっとかわいい。それでも明治時代に作られた素敵な器です。

　焼きとらふぐの味付けも、ごま油や黒胡椒でインパクトを与えて、これも篠原流。
　
　月の輪熊、今シーズン何度目かですが、特定のところからの仕入れ（忘れました）で、特に脂にくせがないとか。納得。

　八寸はいつもどおり圧巻の美しさ。控えめな品数のように見えて、１品ずつのボリュームが結構あり、ここでほぼ満腹状態。お酒すすみまくり。
　
　蛍烏賊が藁で蒸されているので、水っぽさゼロで◎。
　
　タラの芽とこごみの胡麻餡が◎。
　
　渡り蟹のウイスキー漬け、我々は初めてだと思うのですが、絶品！新鮮な渡り蟹でなければ話にならないでしょうが、なんとか我が家のアテメニューに加えるべく真似したいものです。
　
　栄螺も字面が縁起よし、との解説。貝合わせの逸話、菱餅の白・緑・桃色の意味などのお話も。去年聞いたお話しもあるけれど新しい発見もあり。篠原さん、桃の節句に関するうんちくはとてもお好きだそうで、招福楼時代の備忘ノート内のボリュームも群を抜いて多かったそうです。お隣の方が動画を撮られていましたが、7分間におよぶ大解説でした。これがまたこちらでの楽しみ。

　本日の食事は、炊き込みご飯ににゅうめんというダブルの〆め。頑張って頂きました。麺はコシがあっておいしいなあと思ってお聞きすると、やはり半田麺でした。


★頂いたお酒★
　いつもどおりお任せ

①神指蔵　純米吟醸あらばしり
　福島県産夢の香100％　55％磨き
　花春酒造（福島県）

②しのはら　吟奏の会の大吟醸
　茨城県産山田錦100％　40％磨き
　廣瀬商店（茨城県）

③而今　特別純米生
　五百万石80％　山田錦20％　60％磨き
　木屋正酒造（三重県）

④日日　秋津山田錦　
　秋津西戸村山田錦100％
　日日醸造（京都伏見）

⑤満寿泉
　オーク樽熟成貴醸酒
　舛田酒造（富山県）
　フォアグラ最中に合わせて

⑥東一　純米吟醸
　山田錦100％　58％磨き
　五町田酒造（佐賀県）

⑦七本槍　純米　玉栄　搾りたて生原酒
　佐賀県産玉栄100％　60％磨き
　冨田酒造（滋賀県）

　先月に引き続き大酒飲みでした。来月も伺います。最後に、4月はどうしようかなあ、と篠原さんが少しアイデアを披露してくれる一幕もありました。楽しみ。

　11月から待ちわびた焼き蟹、ついに登場でした。今までは海水温が高くて、篠原さんの求める生から焼いて美味しい身のしまり具合になっていなかったので、やっとです。

　2月は初午と節分。立春で旧暦では1年の始まりの時期。

★今回の献立★　
コメント・感想などは後記

【香煎茶】　十草の器で
【先付】　柚子釜になまこ粥
【蟹】　越前蟹炭火焼き　淀大根と九条葱を添えて
【前菜】　酢の物（白魚・鮑・車海老・帆立貝・蛍烏賊・菜の花・子持ち昆布　加減酢煮凝りで）
【御碗】　伊勢海老唐揚げ　新潟篠原商店の車麩　大根と人参の紅白梅　ミニ大根　柚子
【太巻き】　赤身の漬けわさび和え　中トロ　すき身とべったら胡麻和え　細切りきゅうり
【煮物代わり】　白子天麩羅　フォアグラ天麩羅　聖護院蕪　海老芋　薄葛　黒トリュフスライス
【八寸】　全13品
＜絵馬型の杉板＞
　⚪︎鶉の焼鳥
　⚪︎ワカサギのにんぴん　千枚漬けと京にんじんで奉書巻き
　⚪︎ぜんまいの信田巻き
　⚪︎数の子の酒粕味噌漬け
　⚪︎玉子真薯
　⚪︎金柑の茶巾絞り
＜宝珠型の香合＞
　⚪︎ 雲丹と花山葵の酢橘割醤油掛け
＜竹猪口＞
　⚪︎福豆代わりに大豆炊き
＜福寿草の香合＞
　⚪︎揚げと水菜の辛子胡麻和え
＜雪洞の六角小鉢＞
　⚪︎烏賊と九条葱のぬた
＜六角小鉢＞
　⚪︎小肌　大根おろし
＜ぶりぶりの器＞
　⚪︎鰤のたたき　いぶりがっこ　みぞれ酢
＜豆皿＞
　⚪︎瀬戸内の虎河豚　焼き
【鍋】　飛騨高山の月の輪熊とスッポン　秋田三関の芹　焼き餅
【食事】
　〇大根の炊き込みご飯
　〇焼き鰯
　〇白菜重ね漬け
【甘味】　雪間草　お薄


★頂いたお酒★
　いつもお任せですが、本日はほぼ島袋さんチョイスでした。

① 風の森　秋津穂507　真中採り
　純米　無濾過無化水生酒
　奈良県都祁産秋津穂100％　
　50％磨き
　油長酒造（奈良県）

② 旭興　純米吟醸　無加圧
　氷温一升瓶囲い
　30％精米山田錦を31.9％
　48％精米山田錦を68.1％
　渡邉酒造（栃木県）

③ 磯自慢　しぼりたて本醸造　生貯蔵
　山形キヨ錦100％（新米）65％磨き
　磯自慢酒造（静岡県）

④ 唎酒290
　新潟県産越端麗48％
　兵庫県口吉川産山田錦44％
　長野県産美山錦8％
　八海醸造（新潟県）

⑤ 浦里　純米大吟醸
　米・米麹（茨城県産）50％磨き
　浦里酒造（茨城県）

⑥ 松の司　産土（うぶすな）
　国産米65％磨き
　松瀬酒造（滋賀県）

⑦ 〆張鶴純　純米吟醸
　国産米50％磨き
　宮尾酒造（新潟県）


＜特に印象に残ったものなど＞

【先付：柚子釜になまこ粥】
　昨年と異なりキンコはなし。生のナマコだけの方が香りが良いと思ったので、とのこと。今月も10日くらいまではキンコ入れていたそうです。

【越前蟹炭火焼き】
　越前蟹（越前港　かねとも水産）

　さすが1kg越えの立派な越前蟹。太い足に上質な甘い身が詰まっています。やっぱり生から焼いたズワイが1番好き。待った甲斐ありです。
　本日はさらにちょっとひと工夫の頂き方。身をほぐしてよく炊けた淀大根やゆず皮の混ざった九条葱とともに、薄い出汁で頂きます。大根の隅にほんの少し山椒が付けられていたり、さすがです。

　殻入れの器が素敵です。辰年にちなんでのものでしょう。

「三級浪高魚化竜、痴人猶戽野(夜)塘水」

「竜門の三段の堰の高なみを上って魚はすでに竜となったのに、愚かものが魚を捕えようと、なお夜の淵の水をかい出している。言葉づらにとらわれて、勘所を押さえきれない愚かさを喩える」(入矢義高監修／古賀英彦編著『禅語辞典』より)

でもなぜか「夜」の字が「野」です。

【前菜：加減酢煮凝りの酢の物】
　節分の邪気払いの飾り（柊木　鷹の爪　焼きメザシ　鬼の面を上に）を頂いて登場です。昨年よりバージョンアップしています。全て鬼が嫌がるもの。本当は鰯の頭ですが飾りとしてはグロテスクすぎるので焼きメザシにされています。
　疫病を正体がわからないので、鬼としていたという説もあるようです。

　なにしろ具材が豪華で、ぷりぷり大きめの白魚、鮑、鮮度抜群の車海老、大ぶりな帆立貝柱、蛍烏賊、子持ち昆布は、それぞれ１品ずつアテに最高で、お酒が進んでしまいます。

【御碗：伊勢海老唐揚げ　新潟篠原商店の車麩など】
　お出汁の良い香りとともに、紅白梅にみたてた人参・大根や、青々とした葉をつけたミニ大根などで、彩りも鮮やか。

　この車麩がすごい。決まって篠原商店のものを使われるそうで、弾力があり食べ応え満点。

【煮物代わり】
　小鍋に具沢山の薄くず仕立てで供され、黒トリュフスライスがたっぷり載せられています。
　全てをよく混ぜてお召し上がりください、とのこと。白子天麩羅、フォアグラ天麩羅、聖護院蕪、海老芋は良いけど、黒トリュフってどうなるのかしら、と半信半疑ながら言われたとおりによく混ぜます。美味しいです。懸念していたトリュフが主張しすぎることもなく、渾然一体と、冬にぴったりの温かさ。

　時には見た目を捨てて、味のハーモニー重視というこういうお料理が篠原さんの真骨頂だと思います。

【八寸】
　初午（2月の最初の午の日で、稲荷神社のお祭りが行われる日）をテーマに、白い狐のお面、絵馬、宝珠の香合など、いつもどおりの美しさ。

⚪︎鶉の焼鳥は足付きのままの姿。これは田畑の作物をついばむ小鳥への見せしめです。

⚪︎ワカサギの「にんぴん」。にんぴんて知らなかったので帰宅して調べました。小魚を素揚げまたは白焼きにしてから甘酢に浸けた料理のこと、だそうです。

⚪︎ ぜんまいの信田巻き、数の子の酒粕味噌漬けあたりも好みのアテ。

⚪︎派手さは全くないけれど、とても美味しかったのが福豆代わりの大豆炊き。なんとも丁寧に優しく仕上げられていました。いくらでも食べられます。

⚪︎瀬戸内の虎河豚が焼きで、豆皿で供されました。オプションを頼めば同時に唐揚げも供されるのですが、頼まなくて正解。ふぐはこれ一品で十分満足。

【食事】
　本日秀逸だったのは焼き鰯。節分にちなんでの一品ですが、オプション頼まず、これでご飯をしっかりめに頂けて、大正解でした。大ぶりで香ばしくて最高でした。炭火でないと出ない味わいです。

　体調も万全で、いつも以上に我々好みのアテになりそうな品が多かったせいか、お酒若干多めでした。

　今回はなかなか口コミかけず、既に2週間経ってしまいました。来月の訪問予定ももうすぐです。楽しみ。

関西では１５日まで松の内だそうで（知りませんでした）、お正月テーマです。

まずは、入口で飛騨高山地方の餅花（柳ではなく立つ形の枝に花のように飾る）がお出迎え。店内はいってすぐ右手には、今年の干支辰の縁起物が、夫婦で可愛らしく三宝に座っています。

今日も蟹はなし。海の温度が高くて身の締まりがない。篠原さんが好むレアな焼き方では旨味が出ない、ちょっと臭みも感じる、とのことでまた来月のお楽しみです。

＜お料理＞
【香煎茶】　今月も十草の器

【先付】　鯨のコロ　牛蒡　なめこ　三つ葉　白みそ仕立て　山椒の香り

　今月は寒いのでとお椀で始まりました。山椒が良い香り。これは修行されていた山玄茶（と聞こえたのですが）のスタイルとのこと。
　コロ、鯨に興味がなくよく知らなかったのですが、皮下脂肪を鯨油で揚げカラカラになるまで油抜きしたもの（乾コロ）を、水でもどして炊いて、と何日も手間がかかっているものでした。

【前菜】　車海老　帆立　かぶら　加減酢ジュレ　芽甘草と寿海苔(水前寺海苔)添え

　大ぶりのかぶら、酢がしっかり効いていてとても美味しかった。芽が出てめでたいもの、寿の名称でめでたいものが添えられてお正月気分を盛り上げてくれます。

【お凌ぎ】　カラスミ餅　ゆずり葉を頂いて　鬼おろし添え
　
　確か以前頂いたときには餅２枚で挟まれているものでしたが、本日はカラスミが餅の中に入れこんであります。絶妙な控えめ塩加減のカラスミが、こんな風に餅に包まれてじんわり、ほのかに火の通ったものもおいしいと新発見。

【すき焼き】　熊と猪豚の三宝柑釜すき焼き

　玉子を溶いて待ち、1人ずつ篠原さんがお肉をとんすいに入れてくれる、先月同様のスタイル。　実は熊は初めて。滋味深い味わい。飛騨の月の輪熊だそうで、体重60kgくらいのもの。それ以上になるとお肉が硬くなってしまうそうです。

【太巻き】　赤身の漬け　中トロ　すき身とべったら　きゅうり

　おなじみの太巻き。いつもどおり美味しい。いつもどおり巻き切るプロセスに感動。

【御碗】　蟹真薯　かぶら　青首大根　ゆず　金箔

　本日はよりいっそう昆布の香りを強く感じるお出汁でした。昆布は利尻島の天然4年もの。１０年ものなどもあるけれど、４年ものが最高、とこれは前もお聞きした気がします。蟹真薯、蟹の身がぎっしり。焼き蟹には無理でも、これで十分蟹を楽しめ大満足。

【フォアグラ最中】　フォアグラ　あんぽ柿　ウィスキーゼリー　

　本日も満寿泉オーク樽熟成貴醸酒とともに。
　本日のフォアグラ、かなり厚め。塩加減絶妙な美味しさ。

【追加料理】　ふぐの白子　磯辺
　
　本日は珍しく娘が一緒に来られました。娘だけ追加。我々は最後まで行きつくために、本日もセーブします。

【八寸】
　お花は水仙、黄色の千両、餅花（飛騨高山エリア様式）。裏白が敷かれ、ゆずり葉も添えられ。器も、鶴、羽子板、宝珠、福寿草と、これだけでもおめでたい。

＜豆皿＞　鶉の丸　治部煮
　温かいものから、と促されてこちらから頂きます。なめらか～、で鶏より濃厚。

＜鶴の皿＞
〇　スモークサーモン黄身酢
〇　たたきごぼう
〇　のし梅（質感から結ばれてほどけない、ご縁を表現）
〇　宝珠型の珍味入れに　ナマコ　かぶらのみぞれ酢　お酒が進みます

　宝寿型珍味入れは、蓋裏か本体底のどちらかに福の文字があります。私は蓋裏、娘は底でした。田中さんが、ときどきどれがどれかわからなくなって、どちらにもない人がいたりします、と笑わせてくれます。

＜羽子板の皿＞
〇　大王松に黒豆　千社唐（ちしゃとう）　梅うど
〇　くわい松風　くわい感がすごくて美味しい
〇　玉子真薯
〇　たこ（多幸）の柔らか煮
〇　梅人参　梅長芋　ちっさーい
〇　竹猪口に干し数の子　切り昆布　
　干し数の子は３日かけて戻して調理しているそうです。この食感、旨味の凝縮感、普通の数の子よりさらにお酒が進んじゃう。

＜福寿草の珍味入れ＞　キジと芹の和え物
　平安時代、祝いの膳につきものだった鶴酒がいつしかキジ酒に。地味豊かなキジのお味。

＜ぶりぶりの器＞　鰤のたたき　いぶりがっこ　みぞれ酢
　しのはら流ブリ大根です。器とお料理の音を重ねているのも洒落ています。

　もちろんどれも美味しく、お酒が進み、楽しく大満足。あえて言えば、本日のヒットは干し数の子とくわい松風、かなあ。

【鍋】　ふぐ　伊勢海老　蛤　百合根　九条ネギ

　こんなに贅沢でいいのか、というほどの具材。個性強いものばかりですが、鍋にまとめると喧嘩していない。お出汁は蛤が勝ちますが。

【食事】
⚪︎ 本日炊き込みご飯は　琵琶マスとスッポン　卵黄の醤油漬けを添えて
⚪︎ 白菜の重ね付け

　スッポンのお出汁で濃いお味です。琵琶マスもしっかり香りを感じます。卵黄の醤油漬け添え、って玉子かけご飯の様相になって大好きです。

【甘味】　紅白きんとん　お薄
　きんとんはつくね芋の外側に百合根の黄身餡。夫は大好きな百合根に反応。妙なものが好き、と思われるでしょう。北海道出身の夫のノスタルジーのようです。私の小さいころ、東京ではそんなに売っていた記憶もないのですが、北海道はおなじみ食材だったようです。

【本日頂いたお酒】　本日は３人なので、２合ずつ頂きました。
① 日日　秋津山田錦　秋津西戸村山田錦100％
　日日醸造（京都伏見）はじめてかも。微発砲でした。
② みむろ杉（2020年）　木桶菩提酛（西木桶壱号）　奈良県産山田錦100％
　製造方法から乳酸菌の風味がします。これもはじめて。　
③ 松の司　純米大吟醸　AZOLLA50　おなじみの松の司
④ 神指蔵　純米吟醸　中取り　福島県産夢の香100％　安定の食中酒
⑤ 満寿泉　オーク樽熟成貴醸酒（グラス×３）
⑥ ロ万（ろまん）　純米吟醸　55％磨き
　これも初めて。５つのこだわり。米、水、蔵ビゴ、酵母、業、全て会津にこだわって。

　今月こそは追加料理に蟹かなと期待していたら、最初に篠原さんからお断りが。そのまま焼いて良しという身入りの蟹が手に入らないそうです。12月になって、手に入った日もありつつ、かなり例年と違うようです。残念。でも1月も2月も予約入ってるから、そのうちには、ということでお楽しみで。

　焼きにはできないけど、コースには蟹のお料理は入ります、と。お凌ぎの飯蒸しにずわいがたっぷりでした。

本日のお料理

【香煎茶】
　今月は十草の器

【先付】　とらふぐの白子和え

　まず、雪まろげをイメージしたまんまるの氷細工が披露されます。中に一品目が、とおっしゃるのですがどんなふうに？と思っていると、雪玉を横半分に。中から先月お目見えしたうさぎ柄の、これまたまんまるの器が登場。この中で冷やされた「とらふぐの白子和え」。

　「雪まろげ」とは、雪転がしのことで冬の季語のようですが、篠原さんは小さい頃「雪まみれ」と同義で使われていたそうです。

　うさぎの器から、銘々に盛り分けられたのは、純白の淡雪をイメージした特注のガラス高杯。大きなふちに紅葉が散らされなんとも美しい。

　とらふぐは大きめカット。皮も入って冷やされているので程よい歯応え。ほのかなポン酢風味で最初からお酒が進むお料理でした。

【前菜】イチャンレモン釜のすき焼き　飛騨飛び牛のリブロース

　玉子を溶いてお待ちください、と言われ待っていると、1人ずつ篠原さんが、レモン釜に用意されたさっぱりめの割下にお肉をくぐらせて、玉子スタンバイのとんすいに入れてくれます。

　柔らかい、美味しい、脂っぽすぎない。サーロインではダメ、リブロースがちょうど良いと篠原さん。その通り。

　釜の中に入っていた椎茸が、さっぱり割下を余すことなく吸い込んで、また良いお味。

　イチャンレモンはゆずのような柑橘、ザボンが交配されているとも言われています。ゆずやレモンほど香りが強くないのが特徴。中国では歴史も古いようです。これを搾った割下だからさっぱりなんですね。甘さも控えめ。

【お凌ぎ】あん肝の飯蒸し蟹餡かけ

　蟹の追加料理がないからと、なんだか多めに蟹を盛ってくださったようです。あん肝と餅米のねっとり感にたっぷりの蟹、お凌ぎとしては贅沢過ぎな幸福感でした。

【お椀】鯛　淀大根　焼きねぎ　白髪ネギ

　鯛を炭火で焼いている時から気にるほど、身の厚い立派な鯛。さすがに歯応えあり。旨みあり。ほんのり生姜の薫るお出汁がさっぱりと。

【焼き物】岐阜の青首鴨と近江鴨食べ比べ　キャベツの重ね漬け

　本当は青首鴨が美味しい季節のはずなのに、驚くほど身が痩せていて急遽食べ比べになりました、とのこと。蟹にしろ、鴨にしろ、やはり気候変異の影響があるのでしょう。

　玉鋼での絶妙な火入れ。白醤油風味の鬼おろしと自家製柚子胡椒を添えて頂くのは先月同様。青首はワイルド、近江鴨は柔らかく。

【揚げ物】スッポン唐揚げ　おろしポン酢

　本日のスッポンは唐揚げ。おろしポン酢の小鉢、千鳥や紅葉の赤と地の緑がかわいい、目新しい。赤と緑でクリスマス意識かしら。

【八寸】クリスマスのしつらえで

　クリスマスをテーマにしたのは初めてとのこと。面白いエピソードを聞いたのでと、いち早く季語にクリスマスを取り入れた正岡子規の句を２つ紹介してくれました。

「臘八のあとにかしましクリスマス」

とネガティブな句は明治25年、子規25歳の時。たった4年後には、

「八人の子どもむつましクリスマス」

とポジティブな句に。世の中でも急速にクリスマスが浸透したことが伺えますね、と篠原さん。

　ちなみに、クリスマスツリーを日本人で初めて飾ったのは明治屋の創業者、クリスマスを商業的にも広めたのは明治屋さん、とのこと。

　器はほとんどガラスでキラキラ。ほぼバカラでしょうか。トナカイの置物は新調されたそう。他の日にはダイヤモンド、とご説明されていたようで、全部持って逃げようと思っていたという田中さんとの掛け合いも、いつも通り和気あいあい。しのはらの真骨頂です。

＜ガラス皿＞
⚪︎ ワイングラスにマグロ山かけ
⚪︎ ショットグラスにシマエビとイカの紹興酒漬け
⚪︎ たちかま(北海道産の真鱈白子と塩だけを使用したカマボコ)
⚪︎ 水口干瓢を固めに煮たもの
⚪︎ 庄内麩のチーズ挟み
⚪︎ 堀川牛蒡(山椒炊きにしてから焼いた凝ったもの)
⚪︎ 蛸の柔らか煮
⚪︎ 青首大根の漬物

＜別添えのショットグラスに＞
⚪︎ 雉とせりのお浸し

＜竹猪口2つ＞
⚪︎ なますにカラスミ添え
⚪︎ イカの塩辛

＜シャンパングラス＞
⚪︎ 栗の唐揚げ

＜別出しで＞
⚪︎ フォアグラ、あんぽ柿、ウイスキーゼリーの最中
⚪︎ 中トロ握り
⚪︎ 数の子天ぷら

　もちろんどれも美味しく、本日もお酒のすすむお料理満載。中でも数の子の天ぷらは目新しかった。面白い食感です。それと雉、多分初めて食べました。食用の雉が養殖されているんですね。堀川牛蒡と干瓢も地味だけどかなり好き。

【追加料理】ふぐの白子焼き　磯辺で
　
　全部食べられないかも、といつもは控える追加料理ですが、ふぐの白子焼きと聞いては我慢できませんでした。あの香り高い高級海苔を添えて頂きます。幸せ。

【鍋】蛤　聖護院かぶ
　
　ここまで来るとあと一歩、と達成感があります。蛤はもちろんですが、濃厚なお出汁を吸ったかぶが素晴らしく美味しい。

【食事】
⚪︎ 白魚と牛蒡のかき揚げ、百合根、アスパラガスの炊き込みご飯
⚪︎ 大なめこの赤出汁
⚪︎ べったら漬け

　かき揚げを混ぜて炊き込みご飯にするところが、しのはら流。油が少し加わることで旨みが増します。塩昆布も少し混じっています。

　大なめこ、本当に大きい。1つで大満足の食べ応え。

【甘味】玉子練り込んだ葛焼き　お薄

＜本日頂いたお酒＞
① 鳳凰美田　純米吟醸　朝日米　瓶燗火入
② 白龍　特別純米酒
③ 黒龍　しずく　大吟醸
④ 神指蔵　純米吟醸　中取り
⑤ 満寿泉　古酒 フォアグラ最中と
⑥ AGRIVEDA 農民芸術概論2021
⑦ 廣戸川　純米にごり生酒

　⑥なんて知りもしない限定酒でした。大酒飲みだけど、なんのこだわりもなく、ひたすらそのお店でお任せする我々のスタイルであればこそ、こういう出会いがあると自己満足でした。

　②も初めてかなあ。程よい酸味で食中酒に良い飲み口でした。

　本日もご大変ご馳走様でした。

　11月中旬、外の気温もやっと秋らしくなり、素材にも演出にも、その季節感を満喫し、運気のあがる気遣いのお料理をたっぷり頂きました。

　ただ、今月は蟹かな、と思ったらまだでした。良い物が手に入るよう待機中のようです。

　本日は以下頂きました。フグ、近江鴨、羅臼の鰤、鯖、飯沼の栗、赤足海老。吟味された素材で、全体的に力強いお料理の多い今月でした。

【香煎茶】

【先付】　穴子の苞(つと)蒸し
焼き穴子　飯蒸し(さつまいも　銀杏　椎茸)

　秋色美しく盛られた大皿を見せてくださってから、銘々に配られます。
　ご飯にほんのり色がついていて黒米かなと思ったのですが、昨年の自分の投稿を見るとしば漬け、とあるのでそうだったのかも。

【御碗】
ふぐの潮汁　とらふぐ　聖護院蕪

　存在感のある肉厚のふぐが串刺し炭火で炙られている時から気になっていました。清まし汁ではなく潮汁なので、ふぐを満喫できる力強いお椀でした。
　ふぐの魔法で聖護院蕪もふっくら。
　篠原さんもおっしゃるとおり、酒の飲めるお椀。我々も大好きなんです。汁で酒。
　贅沢を言えば、お豆腐もほしかったなあ。ふぐちりのお豆腐は、他のなべと違い独特のふんわり食感になるのをご存知でしょうか。私はふぐよりもこのお豆腐が好きなくらい。

【焼物】滋賀県近江鴨の玉鋼焼き　
白醤油でほのかに風味を加えた鬼卸　自家製柚子胡椒を添えて

　柚子胡椒、本日初めて自家製と知りました。お使いの柚子の産地も作り方も、ちゃっかり聞いてきました。

【揚げ物】スッポンの唐揚げ

　いつもより身が柔らかい、と思いお聞きすると、先月までは天然物。養殖の方が柔らかいそうです。

【最中】フォアグラ　あんぽ柿　ウイスキーゼリー

　本日はお勧めで、満寿泉の古酒を合わせて頂きます。

【八寸】
　本日の八寸のお盆に生けられている花は、お盆ごとに全く違った形。これも素敵。

＜雲錦模様の蓋物に玄猪包みの飾り＞
　亥の子餅の季節です。玄猪包み(げんちょづつみ)、猪が縁起の良い動物とされるのは、力強く子だくさんで子孫繁栄はじめ諸々。また、三面六臂の摩利支天像が猪に乗って走駆する姿がよく描かれるように神使とされているのです。

　また、包みに飾られている銀杏の葉は火除けの願い。銀杏は水分が多く、江戸時代、神社仏閣の火除け地に植えられている。

⚪︎ 鯖の幽庵焼き
⚪︎ 庄内麩の蒲焼
⚪︎ 大徳寺麩　クリームチーズ挟み
⚪︎ 水口干瓢煮
⚪︎ 竹猪口には白和え(春菊　赤蒟蒻　なめこ)

　鯖、今旬です、とのこと。鯖とは思えない上品な仕上がり。
　白和えになめこ！少しねっとり感が出て新鮮でした。

＜うさぎ模様のまんまるの蓋物＞
　見たことのない器で、ニューですか？と聞くと、なかなか使えなくて、出していなかっただけとのことでした。
　中には氷が敷き詰められ、色づいた柿の葉の上にお造り。

⚪︎ 鰤のウニのせ　帆立貝のブランデー醤油漬け酒盗和え
⚪︎ 竹猪口にイカの塩辛

＜ぶりぶり香合の器＞
⚪︎ 石川小芋の唐揚げ
⚪︎ 蛸の柔らか煮

ぶりぶりとは玩具のこと。

＜葛家の器＞
ふぐ、ふぐ皮のポン酢和え

＜竹猪口＞
なます

＜バカラのシャンパングラス＞
飯沼の栗の渋皮揚げ

＜握り＞
⚪︎ 羅臼の鰤(昆布締め)の握り
⚪︎ 鮪とべったらの手巻き

＜追加＞
⚪︎ しのはら特製恵キャビア(夫のお祝いに頂いてしまいました)

【鍋】
香川県の足赤海老　フグあら　蛤　鶏つくね　きのこ５種くらい　煮卵　九条葱　と具沢山

　これまた力強い、食べ応えのあるお鍋でした。

　焼き海苔が添えられており、お好きな具材とご一緒にとのこと。私は九条葱とハナビラタケなどを包んだり、蛤にちょっと載せて頂いたりしてみました。本当にこちらの海苔は最高の香り。

【食事】
⚪︎ 上海蟹の炊き込みご飯　スッポン餡
⚪︎ キャベツ重ね漬け

【甘味】
⚪︎ 初雁(百合根と黒糖を使った葛饅頭)
⚪︎ お抹茶

＜お酒＞ 詳細は写真ご参照
① 而今
② 黒龍
③ しのはら
④ 満寿泉　古酒
⑤ 田酒
⑥ 松尾自慢　これは初めて

　本日もご馳走でした。

　月1の楽しみです。

　先月の「重陽の節句は9月9日だが、本来は旧暦なので、今の9月9日ではちょっと菊というには早過ぎる」という篠原さんのお話に続く形で、今こそと、重陽の節句のしつらえから始まりました。
　
　重陽の節句、運気が下がる時期なので、薬効のある菊で邪気を祓うということで、先付には菊に着綿（きせわた）があしらわれて登場。これは平安貴族の習慣で、重陽の日に真綿を菊に被せ翌日早朝に朝露を含んだ綿をはずして、その綿で体を拭えば菊の薬効で無病でいられるというもの。なんと、宮中では今でも行われているそうです。

　もうひとつのテーマは実りの秋。八寸には箕籠が使われ、秋の味覚満載でした。
　
　ビールなどを頂くとお腹いっぱいになってしまうから、いつも通り最初から日本酒。出てきた酒器を並べた箱、すべてが茶碗のように大きくてびっくり。我が家用に大きいものを勧められたのかと思いきや、違いました。「酒碗」といって新しいお酒の飲み方の提唱のようです。

　今回初登場の酒碗、篠原さんのご説明１回だけでは理解しきれなくて、調べました。提唱者は庄島健泰さん（福岡の住吉酒販の代表）。サイズやデザインは旅茶碗（小ぶりな抹茶茶碗）がベース。今のトレンドの日本酒にみあう酒器がワイングラスというのは残念、との思いもあり考案されました。一言で言うと「日本酒を五感で味わうための酒器」。嗅覚から味覚の認識準備をする、温度を感じる、などなど。「スピーカーにジャンル別の音が鳴ると言われているように、この酒碗はそんな増幅器の役割を示していると思います。」とは庄島さんの言葉。2022年に青山の天酒堂がオープン、本年6月の新政酒造主催のイベントでも推されていたようです。

　お隣に外国の方3名がいらして、ちょっとおせっかいに色々説明してあげたりしていたのと、夫が避けられなかった接待で料理は頂かないもののお酒のみ助走してきたので、今回もお酒少なめな感じ。でも、３分の２は私が飲んだかな。

　お隣のお三方、中国系でロサンゼルスの大学の同窓生だそう。30代後半か40代なりたてくらいかなあ。１人はロス在住、1人はマカオ、１人は香港からでした。年１ペースで日本に来ては美味しいものをたっぷり食べていくようです。今回も、聞くとこちら以外も食べログゴールド店でお寿司、シルバー店で天ぷら、とすごいラインナップです。ロス在住の女性が半年から1年かけて入念に目当てのお店を予約し、それにあわせて休暇をとるという徹底ぶりでした。有名店ばかりではなく、カジュアルフードもよく知っています。食への執着心が自分を見ているようで、ついついおせっかいしてしまいました。でも、食材も含め基本的な日本食の用語もよくご存知でした。こんな風に深く日本食を愛してくれている外国人がいるって、なんか嬉しいですよね。
　　
　さてさて本題です。

＜お料理＞
【香煎茶】本日もバカラで。
　本当は温かいものにガラス器は使わない、ガラス器は10月まで、というような慣わしも変わってきていますよね、と篠原さん。

【先付】ガラスの箱に、着綿（きせわた）の菊をあしらって。中にバカラの小鉢。
・玉子豆腐の上に、車エビ、蒸し鮑、松茸　土佐ジュレがけ　金箔と穂紫蘇を頂いて
・別皿に揚げ銀杏

【御碗】
・瀬戸内の鯛（炙り）　たっぷりの松茸千切り　菊花たっぷりのお出汁　ゆず皮
　本日の鯛、すごく大きかったことが想像される肉厚さで、ぷりぷりでした。皮目も香ばしい。
　松茸の量がすごい。生の千切り松茸が温かいお出汁に馴染んでいき、香りたちます。贅沢。

【太巻き】
・赤身は漬け　中トロはそのまま　すきみはべったらを混ぜて　ウニ　きゅうり
　やっぱりこの具沢山はすごい。できれば１口でと勧められていると伝えたら、マカオの男性頑張って１口でいってました。

【焼物】すっぽん
　いつもにも増しておいしい身な気がして旬をお聞きすると9月～11月とのこと。冬眠の前に脂肪を貯めている時期。納得。すっぽん、こちらでしか頂かないのでよく知りませんでした。

【揚物】子持ち鮎の唐揚げ
　たまごいっぱいはいっていました。

【最中】フォアグラ、マンゴー、パッションフルーツ
　本日はフォアグラの塩味少し強めに感じましたが量が少なめなので、そのようなバランスで考えれていたのかと思います。

【八寸】本日は鈴虫籠に2点、箕籠中心に10点。やはり、この八寸で一段とお酒が進みます。どれも素晴らしい。

〇鈴虫籠
・琵琶型の小鉢に　帆立にブランデー・醤油・実山椒のタレ
　(うーん、美味しい)
・菊花の小鉢に　鰹のタタキ　玉ねぎ　茗荷　カイワレ　みぞれポン酢

〇箕籠
・蒸し鮑
・蛸の柔らか煮
・小芋唐揚げ
・庄内麩にクリームチーズ
・水口（みなくち）干瓢の含め煮　山葵
　（滋賀が干瓢の発祥地とは知りませんでした）
・フルーツほおずき（これは最後にどうぞ、と）
・柿の器に　柿なます　柿はごろっと2切れ
・小鉢に　鯨の尾の身
・小鉢に　〆鯖　ラフランス　みぞれポン酢
　（ラフランスって！）
・別添えのバカラに　はざまいちじく　胡麻ソース

・ここで追加のボタン海老紹興酒漬け　ウニソース(夫とシェア)
　最後にほんの少しごはん入れて頂きました。たくさん頂いたら最後まで行きつかない。

・サンマの握り

【鍋】伊勢海老　きのこ５種　九条ネギ
　きのこは、あわび茸、はなびら茸、白霊(はくれい)茸、平茸、たもぎ茸。
　本日も濃厚な出汁。なんだったのか、聞きそびれました。

【食事】
・松茸ご飯
・赤出汁　レンコン餅　蕎麦米　黒一味
　（蕎麦米プチプチしておいしい。黒一味がインパクトのあるアクセント。）
・キャベツの重ね漬け

【甘味】
・栗の葛焼き（これ、見た目よりずっと軽くて美味しかった）
・抹茶

＜お酒＞
① 神指蔵　純米吟醸　無濾過生原酒　福島県産夢の香100％　55％磨き
② 飛露喜　特別純米　55％磨き
③ 伯楽星　特別純米　冷卸　60％磨き
④ MIYASAKA　中取り　純米吟醸　愛山　59％磨き
⑤ 黒龍　秋あがり　山田錦100％　55%磨き

今回も大満足。ご馳走様でした。来月はいよいよ蟹、かな。

　月1の楽しみです。

　お月見は9月の十五夜と10月の十三夜、2回行うのが古来の慣わし、というお話。
　ススキは、収穫には少し早かった稲に見立てて豊作を祈った、というお話。
　三宝の正しい向き。
　重陽の節句は9月9日だが、本来は旧暦なので、今の9月9日ではちょっと菊というには早過ぎる、というお話。
　菊は高貴でめでたいイメージだが、元々中国から重陽の節句が伝わった頃の意味合いとしては、運気が下がる時期なので、薬効のある菊を食して邪気を祓う面も、というお話。

　などなど、本日も季節にちなんだ話題や、ためになるお話をたっぷり聞きながら、松茸、銀杏、菊花、さつまいも、いくら新物など季節感たっぷりの美味しいお料理に舌鼓。

　いつも通り、篠原さんとお弟子さんたちのなごやかなやりとりのくつろいだ空気感も、本当に食事を楽しめます。

　本日は胃腸が弱っている感があり、お酒はいつもに比べるとぐっと少ないので、後回しにします。

＜お料理＞
【香煎茶】

【先付】三宝に芋の葉とススキをあしらって。
・兎の器に　胡麻豆腐の胡麻酢餡かけ
・きぬかつぎに黒胡麻
・枝豆の紹興酒漬け
・鮑の柔らか煮　肝ソース
・蛸の柔らか煮

・銀杏の揚げたてを別皿で

【御碗】
・冬瓜のすり流し　と言っても薄めで上品
・瀬戸内の鯛　炙ってあるので皮目が香ばしい
・松茸
・東寺湯葉
・オクラ

【太巻き】以下の具材で。一口か二口で、と言われてもかなり厳しいと思いつつ、二口でいけました。

・赤身は漬け
・中トロはそのまま
・すきみはべったらを混ぜて
・ムラサキウニ
・きゅうり

【焼物】鰻(愛知県一色産)の白焼と蒲焼

【お凌ぎ】はざまいちじくの胡麻味噌焼き
「はざまいちじく」については後述。

【揚物】落ち鮎(郡上八幡)の唐揚げ

【最中】フォアグラ、マンゴー、パッションフルーツ

【酒のアテ】と篠原さん。角盆に美しく。以下の順で頂くのがお勧め。

・バカラのグラスに　車海老の昆布締め、もってのほか菊の酢の物、わさび
・琵琶の器に　紅白なます、子鯛
・黄色い菊の器に　メジナのたたき(藁焼き)、玉ねぎ、カイワレ
・レンゲ型の器に　渡り蟹のブランデー醤油漬け

【八寸】本日は里山風景の仕立て。いが栗、ホオズキ、芋の葉、ススキ、鈴虫の虫籠、リンドウ、柿の器、藁葺き屋根の器、など。

⚪︎角皿に
・鰆の照り焼き、しば漬け添え
・大徳寺麩、胡瓜、クラゲの酢の物
・もずく酢
・玉子真薯チーズ入り
・丸十(さつまいも)のレモン煮(?)

⚪︎柿の器に
柿と梨の白和え　

⚪︎藁葺屋根の家型の器に
落ち鮎の甘露煮、小茄子、インゲン

⚪︎合間に
・墨イカの握り
・いくら軍艦　いくらは新物

【鍋】濃厚なスッポンスープで
・焼きスッポン
・猪豚
・松茸、平茸、なめこなど
・里芋
・焼きねぎ
・オカヒジキ

【食事】
・松茸ご飯
・車麩の赤出汁
・泉州水茄子の浅漬け

【甘味】
・能登大納言の水羊羹
・抹茶

＜お酒＞ 詳細は写真ご参照
① 鳳凰美田
② しのはら
③ 磯自慢
④ 神指蔵

＜お料理の感想、発見など＞
⚪︎ 本日は香煎茶の器がバカラでした。

⚪︎ 三宝の向きについて、どこが正面かも、「丸手前、角向こう」という言葉も知らなかったので勉強になりました。あの宝珠型の穴の真ん中は捧げ持った時に足元が見えるように、ということも。

⚪︎ 東寺湯葉は通常、百合根、銀杏、キクラゲがを引き上げ湯葉で包み揚げてあるもの。こちらでは百合根がすり潰してあったと思います。ねっとり食感がとても美味しかった。

⚪︎ 太巻きは今年初めてだそうです。巻くのはお弟子さんの1人。相変わらず素晴らしい。どうしたらこんなにてんこ盛りの具材を巻き込めるのか、惚れ惚れと眺めてしまいます。

⚪︎ 鰻はものすごい大きさで、聞くと愛知県一色産の養殖もの。篠原さんによれば、近時、養殖ものの方が圧倒的に美味しいそうです。我が家も一色産はふるさと納税で頂く先の１つ。なんだか承認されたようで嬉しい。

⚪︎ 「はざまいちじく」初めて知りました。翌日即ネット注文しました。調べると、ベッティムファームという若いチームが250年の歴史ある種の保存に努めているとのこと。糖度が高く、大きく、皮まで食べられるほど柔らかいことが特徴。生も味わってみたいから楽しみ。

⚪︎ 鮎の唐揚げ、口もエラもぐっと開いて揚げているため、怖い顔。でもこうすることで内臓まで油が通り頭から食べられるようになるそうです。

⚪︎ もってのほか菊、知らなかったので調べました。食用菊の王様、延命楽。山形名産。新潟県の同種は「カキノモト」と呼ばれているそう。

⚪︎ 渡り蟹のブランデー醤油漬け、すっごく美味しかった。

⚪︎ 松茸ご飯の松茸は、白い部分だけの薄切りがたっぷりで、見た目も上品な仕上がり。なんとなく笠の色の濃い部分を使わないと、香りが出ないような気がしていたので、これは真似したい。

以上、長文失礼しました。

たまたま今月は七夕当日の訪問となりました。7月のテーマは当然七夕。

今回はお酒、我が家にしては控えめでした。
①　飛露喜　特別純米
②　しのはら（吟奏の会の大吟醸　まかっぺ）　土浦小野の里の山田錦100％　40％磨き
③　一白水成　愛山　純米吟醸　相山100％　50％磨き
④　而今　特別純米火入　掛米　八反錦（80％)　麹米　山田錦(20%)　60％磨き
⑤　神指蔵（こうざしぐら）　純米吟醸　夢の香100％　55％磨き
⑥　夏の生酒　農口尚彦研究所　五百万石100％　

お料理
【香煎茶】

【先付】
・氷鉢に梶の葉の葉蓋　車エビ　鮑　平貝　ジュンサイ　茗荷　素麺

全ての素材、お出汁がおいしいのは当然なのですが、特に素麺が気になりました。極細で少し黄色味がかっていて、コシがあり、なんとも美味しいので、どこのものかお聞きしました。長崎の白龍とのこと。調べてみると、販売元は奈良県。では三輪素麺では？と思ったのですが、三輪素麺ではなく、これがちょっとややこしい。加工所は長崎県南島原市有家町で、では島原手延べそうめん？と思いきや、そうとも謳っていないようです。なににしても、取り寄せ確定です。

七夕にちなんで、金粉・銀粉がふんだんに撒かれた梶の葉で蓋がされています。美しい。平安時代時は梶の葉に文字を書いて、書の上達を願ったようです。後で調べると七夕のお点前でも水差しに梶の葉蓋をするのですね。お茶のたしなみがないので知りませんでした。

氷鉢の下には団扇型のお皿が敷かれていました。夏らしい。

【小皿】
・鱧と玉蜀黍（ゴールドラッシュ）の天ぷら

鱧、ふっくら美味しい。ゴールドラッシュは甘い！

【御椀】
・甘鯛　黄ニラ　加茂茄子　葛切り
・甘鯛のうろこせんべい

甘鯛の焼き目が香ばしく、加茂茄子はとろっと、黄ニラが少し変わった香りを添え、葛切りの食感も素敵。うろこせんべいも少し後で出てきました。甘鯛は身とうろこ、どっちが好きか迷うほどですよね。

【焼物】
・琵琶湖の鮎　うるか焼き
・郡上八幡の鮎　塩焼き

うるか、知りませんでした。鮎の内臓の塩辛。鮎の香りが凝縮されて、食べ応えあり。我々の鮎釣りでも、うるか作ってはどうかなと思ったのですが、相当手間がかかります。無理。
郡上八幡の鮎は、既に頭と尻尾を落として骨抜きされて供されました。

【摺り流し】
・とうもろこしの摺り流し　スッポンの煮凝り　蓮の素揚げ　スッポンの肝のグラニテ　きゅうりの花

蓮の葉蓋に煮凝りと蓮が載って供されます。上手にバカラのグラスに落とし、煮凝りは４つくらいに分けて食べてください、とのこと。葉蓋をとった後の写真を忘れました。とうもろこしの摺り流しだけで十分おいしいのに、グラニテのシャリッとした冷たい触感、煮凝りの凝縮された香り。素晴らしい組み合わせ。やっぱり天才、としか思えません。

【揚物】
・スッポンの唐揚げ　ひじきパウダー　ほうれん草パウダー

必ず出るスッポンですが、本日は大ぶりの唐揚げで、石の上に載せられ野趣あふれる演出。その石にひじきパウダーとほうれんそうパウダーがところどころに撒かれています。これをつけながら味の変化を楽しんで頂きます。いいです、これ。

【フォアグラ最中】
・フォアグラ　パッションフルーツ

本日の最中、ちょっと焦げ目がつくくらい炙られていて、よりおいしく感じました。夫と私は、中身もなのですが、この最中の皮が好き。

【八寸】
葵の葉のお皿に
・竹猪口　三度豆と干し椎茸の白和え
・竹猪口　蛤の潮に三つ葉
・陶器の猪口　万願寺とじゃこ
・玉子真薯
・さわらの幽庵焼き
・イチジクに胡麻だれ
・ほおずきを器に　スモークした鴨ロースのザーサイ・ネギ巻き　紹興酒漬け枝豆

・十草の器　帆立にずんだ餡
・竹猪口　蛸ポン酢
・バカラショットグラス　小さな白玉入りわかめの酢の物
・バカラショットグラス　青梅の甘露煮（これは最後にお口直しに、と）

・琵琶の小鉢　鱧ザク　クラゲ
・トマトに黄身酢（写真忘れ、黄身酢にははちみつがはいっているそう）

・鯵の握り
・鰻の握り
・鮪べったらの手巻き

お待ちかねの八寸です。今月も七夕をテーマに美しい。中国の乞巧奠（きっこうでん）が奈良時代に伝わり、もともとは機織りにちなんで棚機であったこと、日本で時代ごとに少しずつ飾りの形を変え、願うことが変化し、といろいろなお話しを聞きながら。

今月のお気に入りは、蛤の潮（ほんの少しなのに十分満足）、帆立のずんだ餡（ずんだのよい香りが素晴らしい出来上がり）。もちろん他も全て美味しくお酒が進みます。

【鍋】
・キジハタ　ウニ　冬瓜　九条ネギ

九条ネギたっぷりがまたよい。

【食事】
・うなぎの素揚げご飯　玉子焼き添え
・湯葉の赤だし
・水ナスのぬか漬け

うなぎの素揚げ、さっぱりして美味しかった。水ナスのぬか漬け、浅めで絶品でした。

【甘味】
・能登大納言の水ようかん
・お薄

今月も、美味しく、目に美しく、お話しして楽しく、過ごさせて頂きました。また来月。

（改めて点数について。全てパーフェクトなのですが、雰囲気だけマイナスしています。店内はよいのですが、銀座の雑居ビルの地下という場所柄、必ずスタート前には狭いエレベーターホールでドアが開くのを待つ人でぎゅうぎゅう。かといって、一斉スタートに遅れるわけにもいかず。到着時間に相当気をつかわなければいけないところだけが難点です。でも、もっと素敵な場所になったら、遠くなるかもしれないし、高くなるかもしれないし。仕方ないとは思っているのですが。）

6月のしのはらさん。氷室神事にならってのしつらえ中心に、今月もたっぷり厄除けして頂き、福をたくさん頂きました。本日は追加料理も頂き、お酒も９種類、夫ともども絶好調でした。

《頂いたお酒》

①新政 No.6 X-type 　秋田県産酒米　45％磨き　きょうかい６号酵母
白地にきれいなピンク色の文字の瓶。食前酒にぴったり。これだけは銘々のワイングラスでした。生酛純米造りの生酒で、ごくごくわずかな発砲感があります。もっとも良質な部分を抽出してそのまま瓶詰めした貴重なお酒、ダイレクトパス、とのラベルがかけられています。完全に食前で飲み終わりました。

②而今　特別純米火入　五百万石80％　山田錦20％　60%磨き
③日高見　芳醇辛口純米吟醸
④黒龍　夏しぼり　福井県産五百万石　55%磨き
⑤天明　純米大吟醸　無濾過原酒　会津産山田錦26％　40％磨き　会津産亀の尾73％　47%磨き　槽しぼり
⑥栗駒山　夏酒　辛口特別純米酒　国産米　55%磨き
⑦白隠正宗　誉富士純米酒「夏」　誉富士100％　60％磨き
ラベルは夏らしく、花火、ひまわり、金魚の絵がさりげなく。
⑧しのはら（吟奏の会の大吟醸）　土浦小野の里の山田錦100％　40％磨き
⑨松の司　純米大吟醸　ASOLLA50 竜王町産山田錦100％　50％磨き　生酛造り甕仕込み

②は蒸し主に鮑で。③はお椀で。④は主に鮎と。ぴったりの組み合わせ。⑤はスッポンとフォアグラ最中。⑥⑦で八寸。⑧で鍋。⑨は鱧の柳川に合うからと、篠原さんが慌てて追加してくれました。いつもお任せで１合ずつ頂き2人で。量はおおむね半々。今日は（も）よく飲んだ。


《コース内容》

【香煎茶】

【先付】＜昆布船に＞　☆ウニ飯　車エビの天ぷら　防風添え

冷房で冷える季節になるのでお腹を温めて、と茶懐石のならいで。ウニは解禁したばかりの積丹のもの。車エビの天ぷらが薄衣で絶妙。尻尾まで香ばしく頂きます。こういうところに揚物を添える篠原さん流が好きです。防風、刺身のつまなどに使われていますが、このように添えられているのは珍しいと思うので、初めて食べた気がします。


【前菜】＜氷室神事にならってのしつらえ　たっぷりの榊が載せられた釣瓶の木箱　中に氷を敷き詰めオールドバカラの小鉢＞
☆蒸し鮑　クレソンと海苔のお浸し　花山葵

蒸し鮑、硬すぎず柔らかすぎず。クレソンが今月はここに登場。旬としてはそろそろ終わりでしょうか。おそらく例の丸友さんの海苔が少量あわされ、強い磯の香りがたちます。


【御椀】＜少し季節先取りで蛍模様のお椀＞素敵です
☆キジハタ梅肉添え　素麺　じゅんさい　いんげん　すだちの皮

先月に続いて高級魚キジハタがうれしい。ふんわりしつつ弾力あり、上品な脂のり。食欲増進にと、お出汁にはほのかに生姜の香り。添えられたいんげんの絶妙なしゃきしゃき食感がよいです。


【焼物】琵琶湖の鮎と四万十川の鮎　食べ比べ

鮎の季節きましたあ。
琵琶湖の鮎は小ぶりで頭からがぶり。我が家は来月初旬、恒例の稚鮎釣りに琵琶湖に注ぎ込む犬神川に行きますが、そこで採れたとしたら相当の大物サイズです。
四万十川の立派な鮎は、骨抜きをしてくれます。
どちらが好きですか、と篠原さんが順番にアンケート調査。どちらも、というつまらない答えをしてしまいました。でも、本日はこれが本音。
琵琶湖の小鮎は骨ごと味わえ、苦味もあって、野趣あふれる味わい。でも、四万十川のサイズ感で、身だけをたっぷり口に含むことのできる幸せも捨てがたかった。


【焼物（追加料理）】とり貝の炭火焼

本日は珍しく追加でお肉を食べようと決めてきた私と夫。この追加料理を聞いたとたん、夫が反応し、こちらも即オーダー。すばらしい歯ごたえに炭火の良い香り。言うことありません。まあ、これくらいなら、これが原因で食べきれないことはない、とこの段階では思いました。

こちらのお皿が素敵なのですが難しい。漢詩なので、意味が分からないと絵柄の意図もわからないと思ったものの、このタイミングでは篠原さんは他のお客様とお話し中。帰って調べたのですが、満足のいく説明には行きつきませんでした。推測ですが、左の絵柄は長坂の単騎がけでは、と思われます。詩はいろいろ写し間違えなどもありそうですが、とにかくおめでたい意味がちりばめられているのかな、という感じです。また出てきたら改めてお聞きすることにします。


【揚物】☆スッポンから揚げ　＜いつもの扇型の織部のお皿に＞
いつもどおり美味しゅうございました。


【最中】フォアグラとパッションフルーツ
先月よりフォアグラが少なめなような気がします。こちらのほうがさっぱりして、より好きです。


【八寸】氷室神事にならったしつらえ　榊を立て　氷柱に注連縄（しめなわ）と紙垂（しで）

ここで「氷室」というお能の話。第90代天皇の亀山院の臣下が、丹後からの帰りに立ち寄った丹波国の氷室山。そこを守っていた老人が実は氷室明神の化身で、後に天女とともに明神の姿で現れ、氷を献上する様子を舞って世を祝福するという初番目物です（帰って調べました）。

紙垂はどういう意味かご存じですか？と篠原さん。知りません。雷の形だそうで、雷が多いと豊作になるとのこと。本当の雷に代えて豊作の祈りです。

＜三代目清水六兵衛の蓮華型小鉢に＞
☆淡海（たんかい）地鶏　スッポン餡

温かいうちに、こちらを一番先に頂きます。淡海地鶏、初めて知りました。おそらく放し飼いのはず、たっぷり運動したであろうしっかりした野性的な歯ごたえ。癖はなく味わい深かったと思います。

＜団扇の形のお皿に＞
☆とうもろこしの摺り流し　タピオカ入り
☆鰆の西京焼き
☆玉子真丈
☆姫オクラの土佐和え
☆紹興酒に漬けた枝豆
☆イチジクの胡麻だれ
☆鴨ロースに黄ニラを巻いたもの
☆万願寺唐辛子と半生のバチコ
☆蛸の柔らか煮
☆サツマイモ煮

もちろん、どれも丁寧で美味しくお酒が進みます。黄ニラや紹興酒漬けの枝豆が目新しかった。

＜小皿に＞
☆シマアジとキャベツの煮凝り　黄身酢　花山葵

涼やかな見た目で、組み合わせが新鮮で美味しい。ちょっと寒天の歯ざわりが硬かったかな。

＜オールドバカラのショットグラスに＞
☆青梅の甘露煮

甘すぎず、酸味が際立って、大変好みのお味でした。


【握り】
☆島根のどんちっちアジ
素晴らしい脂乗りながら、しつこくない甘みと旨味。全く知らなかったのですが「どんちっちアジ」、アジの大トロと呼ばれる島根県浜田漁港のブランド魚。秘密は島根県西部沖に生息する「カラヌス」という、体の半分以上が脂というプランクトン。これを好んで食べるこのあたりのマアジが、カラヌスの増える４～9月頃、脂質含有量10％以上（全国平均4.5％）となるそうです。また贅沢なものを１つ知ってしまいました。

☆マグロの手巻き（べったら、胡瓜、花山葵）


【鍋】☆オクラの摺り流し　伊勢海老　蛤　オカヒジキ
オクラの色がとてもきれいです。
伊勢海老は、ちょうど鮎を頂いているタイミングで活きているものがさばかれておりました。かなり大きくて、ちょっと申し訳ない気持ちになったものの、ありがたく美味しく頂きます。
蛤も相当大きくて立派です。
オクラやオカヒジキ、必ず一工夫のお野菜たちがたっぷり使われているところも好きです。


【肉（追加料理）】☆飛騨牛　山葵
本日珍しく夫も私も調子よく食べられそうだったので、伺う前からオーダーすることを決めていたお肉。久しぶりですが、やはりおいしい。4切れのうち3切れ夫に食べてもらえば、他も完食できるはず。


【食事】
☆新生姜の炊き込みご飯
☆鯛の胡麻ダレ和え
☆冬瓜の赤出汁
☆焼き鱧の柳川丼

篠原さんとの会話の中で、今日は追加料理ありつつ食べられそうという私の言葉に、お弟子さんの１人が目配せしたのはこれだあ。ご飯２種類！ぱんぱんではあるけれど、なんとか完食。生姜炊き込みご飯の盛の少なさに、もしかして今日はおかわりもできちゃうかも、と思った自分が浅はかでした。


【甘味】紫陽花きんとん　抹茶
ピンク、紫、青、色とりどりの餡がすずやかな寒天に閉じ込められていました。

本日も大変楽しく食べて飲んでお話させて頂いて。いろいろな情報も頂き、ありがとうございました。来月は稚鮎釣りの後にお伺いします。