銀座でお寿司、という大人のための特別な時間を堪能できるお店。気さくなご店主の選ぶ“旬”と繰り出す“技”に江戸前の粋を感じつつ、思わず出る言葉は「日本人に生まれて良かった」 : 銀座 あらた

銀座でお寿司、というといくつになっても心躍ります。
こちらは4丁目のビルの9階にある、カウンター8席のみのお寿司屋さん。
2015年2月にOPENの新しいお店です。食通の友人に勧められての初訪問となりました。

ビールで乾杯。銘柄はマスターズドリームです。
うすはりのビールグラスの心地よい感触が、丁寧に注がれたビールの濃密な旨さを引き立てます。

メニューは「おまかせコース 15,000円（税抜）」のみと、いたってシンプルかつ明朗。
迷うことなく、通ぶることもなく、お勘定を心配することもなく（笑）、ご店主・新妻さんの厳選する“旬”と江戸前の“技”にお任せです。

おつまみと握りが交互に提供されるのが、あらたのスタイル。
旬を感じさせる素材を活かした構成による、美味驚嘆な宴のはじまりです。


まずは、
いかと白うりのジュレがけ
マイクロトマトとオクラが添えられます。

続いて、
山口県産･白ばい貝の酒蒸し、グリーンアスパラの酒盗ソース
品良く鰹出汁が効いています。

この2品で、心躍り舌が歓ぶ“あらたワールド”に早速引き込まれてしまいます。
この後の展開に期待が高まりつつあるなか、
宮城の銘酒・日高見の辛口吟醸で、握りを待つことにいたします。

日本酒のセレクトにも、供されてきた錫製の酒器にも、ひとつひとつにこだわりを感じさせますね。

千葉県産･いさきの握り
鹿児島県産･本まぐろ漬け握り

旬のイサキは熟成の技で旨みが引き出され、
まぐろの赤身はねっとりとろける食感の妙。

どちらも酒粕で作られた、ほんのりと色づく赤酢のシャリ。
もともとの江戸前のお寿司は赤酢が使われていたのですよね。

あらたでは、ネタによって赤酢のシャリと白酢のシャリを使い分けているとの事です。
脂やコクのあるネタには赤、淡白な白身には白、同じ白身でも熟成を効かせたパンチのあるものには赤酢を、といった具合に。
ちなみにこの赤酢は、横井醸造のものを使用しているようです。

お寿司は握られて供される時点で“完成形であること”が本来の姿である、と私は考えます。
すなわち、お客が醤油をつけたりすることをせずに、既に味付けがなされていること、が江戸前の理想なのです。
あらたのスタイルがまさにそう。お客は委ねるだけで良いわけです。

毛蟹とホワイトアスパラの茶碗蒸し
これは絶妙なタイミングでの登場です。

千葉県富津・竹岡港のコチ
大分県産の赤貝
赤貝はそろそろ産卵期、名残を惜しんで食します。

静岡県産の真子がれい
徳島の柚香酢を使った塩ポン酢で。

さてお酒も進み、楯の川の純米吟醸へと。

ふっくらと柔らかく焼き上げた
長崎県対馬産の穴子の白焼きに続いては、
東京湾のきすの昆布〆
山口県産の白いか

さらに北海道産の時鮭ハラスの塩焼きへと。

ところであらたのガリは、ご覧のようにキューブ状。
生姜の柔らかいところを使い、食感が残るように角切りにしているとの事でした。
これがとても美味でして…何度もお代わりをしてしまいました。

ぐいっと、じゅんさい酢で口直しの後は、
さすがの寿司職人のプロの技が冴える、コハダの握りの出番です。

醤油を全く使わないで仕上げる、淡路島産タコの柔らか煮の文字通りの柔らかさにはびっくり。
大根と一緒に50分炊くのだそうです。

お次の日本酒は何にしようかと迷っていたところ、
メニューには載っていないのですがと、香川の凱陣 興。
空海ゆかりの地の伏流水で丁寧に醸された、知る人ぞ知る幻の地酒との初対面に感激しつつ。

かすこ鯛の握り。
ふわりと纏う柚子の香りがたまりません。

熊本のアジの握りは赤酢のシャリ、
柚子胡椒が似合います。

めじまぐろの握りも赤酢、
藁で燻して、和からしで。

さらにはウニのトップブランド、小川のウニの軍艦が登場。
バフンウニこの甘さは、罪ですね。

炙り穴子の握り
じじみの出汁の効いた赤だし

続いて登場の、あらたの卵焼き。
ビジュアルでまず驚き、さらにはふわりとした上品なスイーツの様な味わいにまた驚くという次第。

握りの〆は、ぷりぷりりんの食感が素晴らしい、五島列島の海老

そして山形の誇る宝石、佐藤錦でフィニッシュという、
江戸前の魅力を思う存分楽しんだ、大満足のおまかせコースでした。


銀座でお寿司、という大人のための特別な時間を堪能できるお店ー。
気さくなご店主が厳選する“旬”の食材と、繰り出される“プロの技”に江戸前の粋を感じつつ、
思わず出る言葉は「日本人に生まれて良かった♪」

また是非伺わせていただきます。