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食べログ 天ぷら 百名店 2023 選出店
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このたびビルの建て替えにともない、本年7月26日をもちまして、一時休業させていただきます。
老舗には老舗の良さがある
天ぷらも鮨も蕎麦も、和食にも洋食にも「老舗の心地良さ」というものがあります。
世代を超えて永く継承される店には、これらに共通する「ナチュラルで謙虚な接客」があり、客も店もお互いに構えるところがなく、なんとも言えず「心地良い」のです。それは、何十年、何百年も守られてきた家訓、商いの礎、哲学、Identity、社是、経営方針、営業方針、躾け、形(style)、などに裏付けされたものです。一枚六百円の”もり”であっても、一杯千円のジャックローズにしても、一人数万円の懐石料理でも、この「心地良さ」と「安心感」に変わりはありません。
逆に新しい店は、話題性が高いほど多くの美食家が集まり褒めたり貶したりするため、店も客も手探りの状態が窺え、何処となく余所余所しく、気を遣っているのが見え、それを隠すように格好を付け、日本のエアラインCAの ”乗客から苦情をもらいたくないという作った笑顔” をあたかも本心であるように頑張っているところに「不自然さ」を感じてしまいます。
『お見通しだからね!』
今の飲食業界は、新しい店舗がたくさん生まれ、人手不足状態が続いています。調理学校を出て国家試験に合格し、実社会で修行を積むわけですが、若い彼らがどんなに優秀で、知識豊富であって、天才的な調理ができようと、時間を掛けることによってのみ得ることのできる”経験”は不足しています。
何十年も生きてきて、様々な経験を積んできた私にとって食事をすることは、生理的欲求を満たすことは当然なのですが、同時に自己実現の欲求を満たすためでもあります。(レビュアーページ参照)いつも何かを学びたいという好奇心が食事を楽しいものにさせてくれます。
***
この日、早起きの私は、朝から”茄子の煮浸し”を作るため、昆布、鮪節、鰹節で出汁を引いていました。作り置きの鯖節と鰯節を引いた蕎麦つゆをこの↑出汁で伸ばし、少し甘味を加減し、漬け汁を用意しました。残るは茄子を揚げることです。
茄子、獅子唐、パプリカは洗ってから二時間ぐらい放っておき、室温に戻して170℃の新しい紅花油で揚げるのですが、丸の茄子にどのぐらい火を通すのか加減の難しいところであります。
私は、十年ほど前、この店の揚げ場に立っていた是山居へ引っ込んだ親方から「揚がった天ぷらの温度は何度だと思いますか?」「天種に水分がある限り百℃は超えないのです。」「どこまで火を通すか、私らプロが皆さんと違うところは、手一束の巻きから穴子まで(両手を広げ)こんな幅があります。」と教わりました。
私は、この教え通りに茄子を揚げました。
天ぷら職人がやるように目で泡の大きさを見ながら、耳で音を確かめ、茄子の水分がどうなっているのか想像力を利かせ揚げました。揚げ物は、面白い!!!
「そうだ、天一行こう」
「義母さんの見舞いがてら、天ぷらを食べない?」と妻に伝えると「いいわよ。」との返事。
早めの予約を入れ、店に入ると既に準備が整っていました。
奥の揚げ場にも客が入っています。私は、珍しく写真を撮りました。
いつもの「おこのみ」です。
すし屋でも「おまかせ」で食べることはありません。
・鯊(松島産)
・子持ちの鮎
・障泥烏賊
・細巻
・女鯒
・帆立
・椎茸(海老真薯)
・新銀杏
・小玉葱
・小茄子(水茄子)
・小天丼(鱚と青唐辛子)蜆の赤出汁椀、香の物、正統な天丼は蓋が付いている
妻は、私と異なるものを頼んでいましたが、大体こんなものです。
11月末から12月末まで東京湾で獲れる大きな鯊が大好きなのですが、今回いただいた松島産の鯊も素晴らしく良いものでした。小型ながら肉厚があり、ホロっと崩れる白身から立ち上る湯気と共に皮目の香ばしい匂いが鼻を抜け、思わず目を瞑りました。『うっ、ん〜、美味しい!』
子持ちの鮎も卵が唇で崩れるぐらいサラッとしていて、初夏の苦味が美味しい鮎と異なる美味しさがあり、完璧な揚げ具合です。素晴らしい!
子供の頃の十二月初旬に父に連れられ東京湾の深場で釣った鯊を思い出しました。
焼玉エンジンの音、餌のゴカイ、天秤付の釣り針、鉛の錘、繰り出しの竹竿、アタリの手応え、高い波、冷たい海、寒い風、練炭の小さな炬燵、船頭の漕ぐ櫂。子供の私は十五、六尾しかあげることができませんでしたが、父は五、六十尾を釣り、これを捌いて軒下に干し、父の郷里(木曽)へ鉄道便で送りました。銘々の高脚盆に盛られるお節料理の一つに加えられたことでしょう。
***
杉箱に入った天丼弁当の蓋を取り、喜んだ義母の顔はいつもに増して美しかったです。
本店は、別格です。(写真は、天一山です)
(2回目のコメント)
今日は、天丼弁当が大好きな母に頼まれてお土産を買いました。
私たちもお店で天ぷらを食べる時間が無かったので途中で電話を入れ、二折を用意してもらいました。
杉箱にご飯を並べて湯気が収まるまで待ってから揚げた天ぷらを載せるので少なくとも1時間前には予約を入れなければ受け取ることができません。頃合を見計らって伺うと、きれいな紙袋に用意されていました。
お弁当といってもできるだけ早く食べた方がより美味しいです。
穴子、キス、車海老2本、アスパラガス、芝海老肉詰め椎茸、かき揚げ、香の物が入っています。
天丼つゆが丁度良い具合に掛かった天ぷらを肴に日本酒を飲んで、〆に穴子とかき揚げでご飯を食べました。
大満足です。
(1回目のコメント)
北は札幌、南は熊本まで全国津々浦々お店を展開している世界的にも名の知れた天ぷら専門店です。
江戸前の天ぷら専門店は、その八割が上野から品川までに分布していると言われています。
江戸前(東京湾)は、河川が60本も流入していて世界に類を見ないほど豊かな湾です。しかも水深は干潟から700mの深海まであり、さまざまな魚介類が生息していて古くから庶民の胃袋を充たしていました。
本店で取り扱う食材もかなりの物が江戸前ですが、松島のハゼ、北海道のタラバガニなど旬を見ながら仕入れています。
場所柄、様々な客が来店していますが、外国からの客も多く、上手に箸を使って食べている様子を見ると天ぷらが日本を代表する食べ物として認められていると感じます。揚げ手も仲居も案内係りも裏方もとても息が合った接客ができていますので、おもてなし文化を外国の方に知ってもらうことができます。
コース天ぷらもありますが、折角ですからカウンターでお好みの天種を揚げてもらい、美味しいお酒やワインで一杯やりたいものです。
11月に入れば東京湾のハゼが入荷するかもしれません。今年の漁は如何でしょうか。
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oggeti209
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店名 |
天一 本店(てんいち)
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受賞・選出歴 |
天ぷら 百名店 2023 選出店
食べログ 天ぷら 百名店 2023 選出店 |
ジャンル | 天ぷら、天丼、レストラン |
予約・ お問い合わせ |
050-5589-5297 |
予約可否 |
予約可 |
住所 | |
交通手段 |
銀座駅B6出口から徒歩5分(並木通りを進み右手) 銀座駅から181m |
営業時間 |
|
予算 |
¥10,000~¥14,999 ¥10,000~¥14,999 |
予算(口コミ集計) |
¥20,000~¥29,999
¥15,000~¥19,999
|
支払い方法 |
カード可 (VISA、Master、JCB、AMEX、Diners) 電子マネー不可 QRコード決済不可 |
サービス料・ チャージ |
サービス料15% |
席数 |
41席 (イス席カウンター / 14席と9席 、 お座敷カウンター / 9席×2) |
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個室 |
無 人数によりご相談承ります |
貸切 |
不可 |
禁煙・喫煙 |
全席禁煙 |
駐車場 |
無 |
空間・設備 | 落ち着いた空間、カウンター席あり、掘りごたつあり |
ドリンク | 日本酒あり、焼酎あり、ワインあり、日本酒にこだわる、焼酎にこだわる、ワインにこだわる |
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料理 | 野菜料理にこだわる、魚料理にこだわる |
利用シーン |
こんな時によく使われます。 |
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サービス | 2時間半以上の宴会可、ソムリエがいる、テイクアウト |
お子様連れ |
子供可 |
ホームページ | |
オープン日 |
1930年10月25日 |
電話番号 |
03-3571-1949 |
関連店舗情報 | 天一の店舗一覧を見る |
初投稿者 |
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なお、3年後の2022年夏の新ビルの竣工にともない、現在の場所にて新たに再開する予定でございます。
「天一 本店」HP:
http://www.tenichi.co.jp/mainshop/index.html
http://www.tenichi.co.jp/history/index.html
***
一時休業の案内状は、イタリアへ出発する前の3月末にいただいていたのですが、諸手続きに追われ訪問できないままでした。
この日、浦和に住む義理の母を見舞う前に銀座へ寄って「おみやげ天ぷら "天丼弁当"」を買い、ついでに建て替え前最後のカウンターでおいしい天ぷらを "おこのみ" でいただきました。
私は、天ぷら"も"すし同様 "おこのみ" で食べることのできる店を大切にしています。
何故なら、飲食で一番楽しい "組み立て" を自ら行うことができるからです。それはフランス料理店でもそば屋でも同じです。フランス料理屋の場合、事前に予約の電話を入れ、その時のおいしい素材が何であるかを聞き、どのように調理するのかも合わせて確認するようにしています。
この段階でワクワクしてくるのですが、『アペリティフ(Aperitif)には何、ワインはどれにするか、ディジェスティフ(Digestif)にはやっぱりマール(Marc)だよなぁ。』なんてことを当日レストランに向かいながら考えていると『きっと、あの人は喜ぶだろう。』と、ひとり悦に入ったりするものです。
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「今日は、小鮎と旬の穴子と鱚がおいしいです。」
「それでは、鱚二枚と小鮎からいただきます。」
肉厚の鱚は天ぷらがおいしいです。薄い衣がサクッと割れ、上品な香りと共にホロホロとした白身が口の中で崩れます。一枚目を食べ終わった頃合いを見計らって「鱚です。」と、懐紙の上に二枚目が置かれ、今度は少し冷ましてゆっくり味わいました。『Hmmmm、天ぷら屋に車で来るんじゃなかった。』と、後悔するほどおいしい!!!!!
「今日は蝦蛄と女鯒の良いものが入らなかったのでないのです。申し訳ございません。」
「そうですか、それでは鮑と帆立をいただきます。」これは、揚げてから包丁でふたつにしますので一個ずつです。
こんな具合に食べ進み、最後はいつもの "小天丼" 。定番の "小海老と柱の掻き揚げ" ではなく、自分の好きな天種で作ってもらいます。妻が「海老真薯の詰まった椎茸と茗荷」、私が「鱚と青唐」。アスペルギルス・オリゼ(Aspergillus oryzae、ニホンコウジカビ)由来のタレの味と香りが滲みたそれぞれの天ぷらは、巷でウケているサクサクの衣ではなく、小丼に盛られた素晴らしくおいしい炊きたての米飯と丼の蓋に挟まれ、衣がしっとりしています。これこそが「江戸前天丼」です。
『日本人で良かった。』と、おいしいものをいただいた時に起こる予期せぬ身体の反応が、口に含む前からその香りによって引き起こされ、味蕾を刺激した後、ゾクゾク感が背筋から首筋に走り脳に到達し、それは余韻を楽しむまでの数十秒間続きました。
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「おみやげ天ぷら "天丼弁当"」を開いた時の義母(90歳)の喜びようは、見ていてとても微笑ましいものでありました。
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