すし屋では、"長っ尻" をしない : ほかけ

公式

お店の営業情報は店舗関係者によって公開されています。

寿司TOKYO百名店2022選出店

食べログ 寿司 TOKYO 百名店 2022 選出店

この口コミは、oggeti209さんが訪問した当時の主観的なご意見・ご感想です。

最新の情報とは異なる可能性がありますので、お店の方にご確認ください。 詳しくはこちら

5.0

¥20,000~¥29,9991人
  • 料理・味5.0
  • サービス5.0
  • 雰囲気5.0
  • CP5.0
  • 酒・ドリンク5.0

5.0

¥20,000~¥29,9991人
  • 料理・味5.0
  • サービス5.0
  • 雰囲気5.0
  • CP5.0
  • 酒・ドリンク5.0
2022/03訪問19回目

5.0

  • 料理・味5.0
  • サービス5.0
  • 雰囲気5.0
  • CP5.0
  • 酒・ドリンク5.0
¥20,000~¥29,9991人

すし屋では、"長っ尻" をしない


今年初めての "すし食い" です。
パソコンで開くレビュートップページに記載される「よく行くジャンル」に「すし」「居酒屋」「ラーメン」「中華」はありません。

私は、屋台の立ち食いとして始まった江戸前すしに対して自分なりの "形" (スタイル) を貫いています。それは、"長っ尻" をしないことです。お茶を飲みながら "おこのみ" で好きなように食べて三十分程度(酒を飲んでも四十分ぐらい)で店を後にします。

すし屋は居酒屋でもなく、日本料理屋≒料亭とか割烹(©︎MSSBHNSさん) でもなく、イノベーティブ・フュージョンでもありません。
"超高額予約困難各馬一斉ゲートインおまかせカウンター割烹料理店" でダラダラ酒を飲み、ベチャクチャ唾を飛ばし、キャーキャー騒ぐことが好きな方も大勢いらっしゃるので「食は好みの問題」であると承知していますが、私は ”格好悪い” からやらないだけです。


【いただいたもの】

・ぬる燗 (丹波 鳳鳴)
・鮃を切ってもらう
・墨烏賊のゲソを炙ってもらう

・墨烏賊
・鮃 
・赤貝
・青柳  
・柱  
・春子鯛 
・〆鯖   (二貫)
・蛤
・穴子
・海苔巻き

あっ、小鰭、食べなかった。


.

  • ほかけ -
  • ほかけ - 閖上の赤貝は香り良く、貝の甘みが他の産地に比べ、違う

    閖上の赤貝は香り良く、貝の甘みが他の産地に比べ、違う

  • ほかけ - 名残の〆鯖

    名残の〆鯖

  • ほかけ - 煮穴子

    煮穴子

  • ほかけ - 大きく、おいしい煮蛤

    大きく、おいしい煮蛤

  • ほかけ - 春子鯛 

    春子鯛 

  • ほかけ - パリッとした海苔巻き

    パリッとした海苔巻き

  • ほかけ - 啓翁桜

    啓翁桜

  • ほかけ -
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2021/12訪問18回目

5.0

  • 料理・味5.0
  • サービス5.0
  • 雰囲気5.0
  • CP5.0
  • 酒・ドリンク5.0
¥30,000~¥39,9991人

「ほかけのばらちらしをたべたいわ」と、母が言い


私のトップページに表示される「よく行くジャンル」は、イタリアンが第一位であり、 "すし" は BEST 10にも出てきません。
 (スマートフォンには、詳細情報が表示されず、パソコンでしか読めません)
すし食いが分からないからレビューが少ないのではありません。学生時代に父親からすし食いの手解きを受けた私は、自分で稼ぐようになった頃に生意気にも都心の江戸前寿司の有名店を "おこのみ" (すきやばし次郎も "おこのみ" だった) で食べ歩きました。このようにして自分のすし食いのスタイルが固まったのですが、残念ながら多くのすし屋が変化してしまい、今や "超高額予約困難各馬一斉ゲートインおまかせカウンター割烹料理屋" となり、二時間も三時間も掛けて出される割烹料理を食べさせられる羽目に陥りました。ナビゲーションがなければ何処も行けない客が悪いのか、経済合理性を追求する店がいけないのか、将又、あのひとが画策したのか。
#よけいなことをかいてはいけません (©︎MSSBHNSさん)

***

基本的に "おこのみ" で食べる「ほかけ」には、ふた通りの客がいます。
 
 1、初めて入って戸惑う人
 2、なんの躊躇いもなく、「お茶をください。」もしくは、「ぬる燗と〇〇を "切ってください" 。」と始める人


【いただいたもの】

・墨烏賊 (二貫、お代わりを含む) 
・鮃   (三貫、お代わりを含む)
・赤貝
・青柳  
・柱  
・春子鯛 
・車海老 (茹で上げ) 
・〆鯖   (二貫、お代わりを含む)
・小鰭
・赤身  普段は鮪(しび)を食べないのだが、同席した他の客に連れられて。おいしい!
・げそ   (墨烏賊、何も言わずともツメで供される)
・卵焼き (シャリ付き)
・海苔巻き (干瓢)

・ばらちらし (お土産用)

この日は、上記 2、なんの躊躇いもなく、「お茶をください。」の客ばかりでした。すし屋では縦 (親方と客) の会話に横 (客と客) から割り込んではいけないという暗黙のルールがあり、この店では守られています。客の食べる間合いを見計らっているのが親方で、これを補佐してタイミング良く車海老を茹で上げたり、すし種の準備をするのが息子さんです。すしを"おこのみ" で食べる醍醐味はここにあり、こちらのように三十分、四十分の滞りのない "粋な" すし食いのできる店は稀となりました。

店を後にして三原橋を渡り、銀座三越新館十階までゆっくりエスカレーターを使って上がりました。インバウンド客の来店に合わせて改装したにも関わらず、客より店員の方が多い状況は続きます。

Jacadi(ジャカディ):https://www.jacadi.jp でセーターを買って簡易包装にリボンを付けてもらいました。


.

  • ほかけ - 師走の昼に訪問

    師走の昼に訪問

  • ほかけ - 店内の様子。瓦の庇が屋台を思わせる (公式写真より)

    店内の様子。瓦の庇が屋台を思わせる (公式写真より)

  • ほかけ - 〆の海苔巻き(干瓢)、焼き海苔がパリッと音を立てる。長い俎板が削り直されていた (写真上部)

    〆の海苔巻き(干瓢)、焼き海苔がパリッと音を立てる。長い俎板が削り直されていた (写真上部)

  • ほかけ - ばらちらし

    ばらちらし

  • ほかけ - 笹の葉で乾燥を防ぐ

    笹の葉で乾燥を防ぐ

  • ほかけ - 焼き板で折れ松葉

    焼き板で折れ松葉

  • ほかけ - 生モノは、使われていない

    生モノは、使われていない

  • ほかけ - 京焼と有田焼

    京焼と有田焼

  • ほかけ - 松谷(ショウコク)の盃

    松谷(ショウコク)の盃

  • ほかけ - 銀座三越新館で

    銀座三越新館で

  • ほかけ - 孫娘のJacadi(ジャカディ)のセーターを買う。翌朝チェックしたら "売り切れ" の表示

    孫娘のJacadi(ジャカディ)のセーターを買う。翌朝チェックしたら "売り切れ" の表示

  • ほかけ - 日比谷(帝国ホテルと日生劇場)、右手前にタカラヅカ

    日比谷(帝国ホテルと日生劇場)、右手前にタカラヅカ

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2021/07訪問17回目

5.0

  • 料理・味5.0
  • サービス5.0
  • 雰囲気5.0
  • CP5.0
  • 酒・ドリンク5.0
¥20,000~¥29,9991人

素材が内包している力を "高み" に持っていく下拵えの技をどのようにして体得したのか


超一流の人間は「研鑽を積むことに限りはない」と、仰います。

私のような凡人は「今回作った Piccata di maiale con insalata di patate https://tabelog.com/imgview/original?id=r29738155090239 はサイコー!」などと言って納得してしまうのですが、どの道を極めるにも涯はありません。

学術でも芸術でも芸能でもスポーツでも創造力と技能のピークは、身体能力と脳細胞が一番活性してタフな十代から二十代にあると思っています。歳を重ねても鍛錬を怠らなければ円熟の域に達することができると言われますが、頂点から緩やかな下り坂を惰性で転がっていることに違いはありません。十代から二十代の大切な時期に仮想ゲームとお勉強ばかりしていては感性も創造力も備わりません。"本物" のおいしいものを食べ、自然を感じる環境の中で過ごすことが大切です。 Leonardo da Vinci のように。

いつの日か、何処かで、この方 ↓ が若いうちの演奏を生で聴きたいです。
     Dmitry Shishkin plays Liszt "La Campanella":https://www.youtube.com/watch?v=kkq_3CrvFUM


【 "おこのみ" でいただいたもの】 写真はありません

・墨烏賊 (刺身と握り)
・星鰈  (刺身と握り)
・春子
・柱
・青柳 
・鰯 (二貫)
・鯵 (二貫)
・車海老 (茹で上げ)
・穴子 (ツメ)
・星鰈 (再び)
・海苔巻き (干瓢)


七月初旬、「おいしいものを見極める親方の味覚はどのようにして身に付いたのでしょうか?」と、唐突な質問を投げてみました。

 「戦前戦中の物がなかった時代に育っているので贅沢はできなかったです。」
 
 「そうですか。これら素材が持っている力を "高み" に持っていく下拵えの技はどのようにして体得したのでしょうか?」

 「誰かに教わったと言うことはないです。ただ、自分でどうしたらおいしくなるか考えましたね。考えることが大切です。」


私の好きな煎餅屋「いりむら」のご主人もリベラル・アーツ (liberal arts) に関する高等教育を受けたとは思えないのですが、日本一、否、世界一と言ってもおかしくない程、おいしい煎餅を焼きます。やはり、十代から二十代の大切な時期に仮想ゲームとお勉強ばかりせず、豪奢でなくとも "本物" のおいしいものを食べ、向島の自然を感じる環境の中で過ごされたに違いありません。


.


  • ほかけ - 夏仕立ての暖簾

    夏仕立ての暖簾

  • ほかけ - 夏の夕刻

    夏の夕刻

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2021/04訪問16回目

5.0

  • 料理・味5.0
  • サービス5.0
  • 雰囲気5.0
  • CP5.0
  • 酒・ドリンク5.0
¥20,000~¥29,9991人

ゾクゾク感が背筋から首筋に走り脳に到達するシリーズ : 江戸前の煮穴子のふわっとした香り


貝類がおいしくなった二月末頃から「ほかけ」へ行きたいなぁ と、考えていたのですが、何かと忙しい年度末でした。
白身は鮃から真子鰈に切り替わり、初夏のすし種である鯵、穴子、車海老がおいしくなってきました。間もなく鮑も並びます。

朝起きて『そうだ、今日こそは「ほかけ」へ行こう。』と決心し、先方が豊洲から戻って魚の下拵えをしている時間帯になるのは申し訳ないと思いながら電話を入れました。

【いただいたもの】

・墨烏賊
・トリガイ
・柱
・青柳 
・赤貝  
・小鰭
・春子
・鯵 (二貫)
・車海老 (茹で上げ)
・真子鰈
・煮蛤 (ツメ)
・穴子 (ツメ)
・海苔巻き (干瓢)

・ばらすし (一折)


すしについては、添付写真とキャプションをご覧いただければ嬉しいです。

「ほかけ」ほど江戸時代に始まったすし屋の風情を感じさせる店はありません。
引き戸を開けると奥に長く、右手に素木の檜カウンターが伸びる基本の配置であり、天井には瓦造りの庇があります。この形は、江戸前すし原点の屋台と同じです。(小野二郎さんは左利きなので逆の配置) 昨今流行りの木製冷蔵庫 https://asakura-design.net/product/ や一尺(30cm)と二尺(60cm) が二段に重なった豪奢なカウンターもありません。すし種のケースも小さく、鮪(しび)はカウンター下の冷蔵庫の中から取り出し、車海老は注文を受けてから奥の調理場で茹で上げますので客からは何も見えません。銀座三越の隣にあった旧店から移築した付け台は使い込まれ、魚の脂で飴色に光り、磨かれた素木のカウンターは格式を感じさせ、手のかかった江戸前のすし種は超一流であり、どれを食べても唸るほどの旨さです。
この "本物" の "おこのみ" でしか食べることのできない店には "おまかせ" が好きな客は寄り付きませんので、静かにすし食いを堪能することができます。


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  • ほかけ - 丹後のトリガイは肉厚で甘い

    丹後のトリガイは肉厚で甘い

  • ほかけ - はしら、海苔の香り、貝の甘味

    はしら、海苔の香り、貝の甘味

  • ほかけ - 大きな蛤の漬け込み

    大きな蛤の漬け込み

  • ほかけ - 出水の鯵も肉厚で脂がのっている

    出水の鯵も肉厚で脂がのっている

  • ほかけ - 江戸前の穴子、ふわっとした食感と香りによってゾクゾク感が背筋から首筋に走り脳に到達する。すばらしい!

    江戸前の穴子、ふわっとした食感と香りによってゾクゾク感が背筋から首筋に走り脳に到達する。すばらしい!

  • ほかけ - 海苔巻き (干瓢) 香り良く、歯切れの良い海苔と干瓢

    海苔巻き (干瓢) 香り良く、歯切れの良い海苔と干瓢

  • ほかけ - 三原橋交差点から見上げる銀座三越新館

    三原橋交差点から見上げる銀座三越新館

  • ほかけ - 銀座三越新館12F から見る三原橋跡

    銀座三越新館12F から見る三原橋跡

  • ほかけ - 折の蓋を開ける

    折の蓋を開ける

  • ほかけ - 笹を外す

    笹を外す

  • ほかけ - ばらすしにも使う茹で上がりの大きな車海老は凄く甘い

    ばらすしにも使う茹で上がりの大きな車海老は凄く甘い

  • ほかけ - 母と妻への土産

    母と妻への土産

  • ほかけ - 店内の様子。瓦の庇が屋台を思わせる (公式写真より)

    店内の様子。瓦の庇が屋台を思わせる (公式写真より)

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2021/01訪問15回目

5.0

  • 料理・味5.0
  • サービス5.0
  • 雰囲気5.0
  • CP5.0
  • 酒・ドリンク5.0
¥20,000~¥29,9991人

"ばらすし" の折詰に表れる 江戸前寿司の "粋"


このSNSにおいて(60代後半・男性) に括られる私は、自分より若い方々から「おじいちゃん」と呼ばれることがあります。孫からもその呼称は聞いたことがないのですが、その方々は、ご自分がいつまでも若いままでいられると思っているに違いありません。
有島武郎の小説「生れ出づる悩み」に描かれているように人の繋がりに年齢は関係なく、互いを尊重する付き合いは可能です。私は、親ほどに歳の離れた方々に対しては、礼節を守りながらも親しげに、息子や娘のように若い「君」に対しては、より丁寧な言葉を使い、彼らの才能と将来・未来に期待して接しています。若い頃の「私」が、年長者からそのようにされたように。

***

私の好きなすし屋の親方は引退してしまった方を含め、皆、自分より年上です。客がカウンターに座っても余計な挨拶があるわけでもなく、目力を強くして構えることもなく、その空気のような自然体に安らぎを覚えます。

 「いらっしゃい。みなさんお変わりありませんか。」

 「はい、ありがとうございます。」

 「今日はどういたしましょう。」

 「お茶をください。」

イタリアでの食事も同じように客が店に阿ったり、店が客に諂うことはなく、ナチュラルな接客と会話から始まります。互いに信頼し合い、それぞれの人間性を尊重しているからです。大袈裟な出迎えや歯の浮いたような歓迎の言葉はありません。

近頃の日本の飲食店の接客がマニュアル化されたのは何故でしょう。オーラを発する芸能人や著名人、華やかなプロスポーツ選手を出迎えるような肩に力の入った応対、若しくは、馴れ馴れしい接客は誰が持ち込んだのでしょうか。寿司職人同士の情報交換会や仕掛け人による指南書(接客マニュアル)でもあるのでしょうか。どうして良いのか分からないのか画一的で横並びの好きなツマラナイ日本です。(日本のエアラインの CA も何故、ロボットのような同じ作り笑顔で話しかけてくるのでしょうか?海外のエアラインはもっと人間味のあるナチュラルな接客です)


【いただいたもの】

・墨烏賊  (二貫)
・鮃 
・青柳  
・柱   
・小鰭
・煮蛤 (ツメ)
・穴子 (ツメ)
・海苔巻き (干瓢巻き)
・ばらすし (一折)


.

  • ほかけ - 銀座三越11F から見る三原橋跡

    銀座三越11F から見る三原橋跡

  • ほかけ - 片結びキッリと締まった折詰

    片結びキッリと締まった折詰

  • ほかけ - 経木と笹の葉

    経木と笹の葉

  • ほかけ - 車海老で作った "おぼろ" の 自然な色

    車海老で作った "おぼろ" の 自然な色

  • ほかけ - 片結び

    片結び

  • ほかけ - 解く1

    解く1

  • ほかけ - 解く2

    解く2

  • ほかけ - 別の日の "ばらすし" 1

    別の日の "ばらすし" 1

  • ほかけ - 別の日の "ばらすし" 2

    別の日の "ばらすし" 2

  • ほかけ - 【追加】 キッチリ折られた包み紙

    【追加】 キッチリ折られた包み紙

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2020/12訪問14回目

5.0

  • 料理・味5.0
  • サービス5.0
  • 雰囲気5.0
  • CP5.0
  • 酒・ドリンク5.0
¥15,000~¥19,9991人

一週間前には入荷のなかった蝦蛄 (宮城県産) をツメでいただく。おいしい!!!!!


この店では自分と同じ食べ方をする客とご一緒することがあり、矢崎親方と相方息子さんのテンポは絶好調となり、間断のない "おこのみ" の "すし食い" が可能となります。後から入店した私が追いかけるように食べ始めるのですが、その方との好みも同じであり、互いに鮪のようなお魚っぽくないすし種は頼みませんから次第に波長があってきて、煮蛤、穴子、海苔巻き (干瓢巻き)あたりで「それ、私にも一貫ください。ツメでお願いします。」となり、「ごちそうさま。」で締め、おそらく、入店の時間差と同じ間隔を空けて店を後にしました。(滞在時間約三十分)

 「また、参ります。良い年をお迎えください。」の挨拶も同じです。

世の中には、自分と似た方がいらっしゃるのですね。何となく嬉しくなって足取りも軽く、並木通に向かいました。


【いただいたもの】

・墨烏賊  (二貫)
・鮃   (三貫)
・青柳 
・車海老  
・柱   
・蝦蛄 (ツメ)
・〆鯖
・煮蛤 (ツメ)
・穴子 (ツメ)
・海苔巻き (干瓢巻き)

一週間前に訪れた時には入荷のなかった蝦蛄がありました。

一年前に食べた石川県七尾産ではなく、宮城県産でしたが味は遜色なく、良い仕事が施されていることが分かります。予約せずプラっと入って、最高のすし種が用意され、どれを食べても満足できる「ほかけ」は、"本物" の江戸前すしを感じさせる "通好み" の店です。


.


  • ほかけ - 今年12月の宮城県産 蝦蛄

    今年12月の宮城県産 蝦蛄

  • ほかけ - 去年12月の石川県七尾産 蝦蛄

    去年12月の石川県七尾産 蝦蛄

  • ほかけ - 並木通り「天一本店」建て替え中

    並木通り「天一本店」建て替え中

  • ほかけ - 「天一本店」の筋向かい「空也」で上生菓子を買う(抹茶松、黄身飄)

    「天一本店」の筋向かい「空也」で上生菓子を買う(抹茶松、黄身飄)

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2020/12訪問13回目

5.0

  • 料理・味5.0
  • サービス5.0
  • 雰囲気5.0
  • CP5.0
  • 酒・ドリンク5.0
¥40,000~¥49,9991人

いつもは、訪問直前に電話を入れる。今回は、一週間前に予約した。


ほかけ の "ばらすし" を食べたいわ。」

  高齢の母が呟きました。

「あら、いいわね、私も。」

  と、妻。

不要不急の外出を控えている二人のために珍しく、一週間前に "ばらすし" の予約を入れて訪問しました。

***

この日、ある方への心ばかりの誕生日プレゼントを買うために銀座へ出掛けました。
二十年以上の付き合いとなるこのブランドを教えてくれたのは、ミラノに住む建築家の奥様です。本店は、イタリア/ミラノの
via Montenapoleone にあり、ローマやミュンヘンの支店にも何度か寄ったことがあります。流行を追いかけるだけの物は作らず、質の良い素材を使った長く心地良く着ることのできるモノトーンの衣料品や身の回りの製品が固定客の心を捉えています。これこそがイタリア人の感性であり、誇りであり、決して派手ではありません。(太陽光線の眩しい国で彩度、明度の強い色を衣料品に使うと浮いてしまう。逆に光の弱い北欧の国々は色使いがはっきりしている)


【この日いただいたもの】

・鳳鳴、ぬる燗 一合
・イクラ醤油漬け(お通し)
・鮃  (三切れ)
・墨烏賊(三切れ、写真なし)
・〆鯖 (三切れ)

【ここから握り】

・墨烏賊 (写真なし) 
・鮃   (二貫)
・青柳  
・柱  
・赤貝
・春子鯛   
・車海老  
・〆鯖
・小鰭
・小鰭の背鰭と鮪の半々巻き
・煮蛤 (ツメ、二貫)
・穴子 (ツメ)
・海苔巻き (半分巻き)

半年振りの訪問でもあり、たくさん食べました。
「お前、すしを食いたいなら、メシを食べてから来い。すしと言うものは、これで腹をいっぱいにするもんじゃない。」と、天国の古今亭志ん生から叱られそうですが、いつも通り全ての握りが完璧な仕上がりであり、「あれも食べたい、これも摘みたい。」と、なってしまいました。

この店は、"超高額予約困難各馬一斉ゲートインおまかせカウンター割烹料理" ではありません。
食べたくなったらぷらっと入って "おこのみ" で食べることのできる "真のすし通" の舌を満足させる店です。予約を入れても入れなくてもいつでも同じ旨いすしを食べることができるというのが "本物" の証です。

途中で "ばらすし" 二人前を詰めてもらいながら、この日はゆっくりすしを摘み、親方ともいつもに増して会話が進みましたが、それでも滞在時間は一時間足らずです。

外に出て晴海通りを西に歩くと正面から眩しい太陽が射し込み、一瞬くらっと別世界へ迷い込んだような気がしました。コロナ禍でもありますが、師走の銀座を歩くとワクワクして少しばかり高揚するのは何方も同じなのでしょう。この日も楽しい一日でした。


.


  • ほかけ - 店の外観

    店の外観

  • ほかけ - ぬる燗一本

    ぬる燗一本

  • ほかけ - イクラ醤油漬け

    イクラ醤油漬け

  • ほかけ - 鮃を切ってもらう (二枚は撮影前に食べてしまった)

    鮃を切ってもらう (二枚は撮影前に食べてしまった)

  • ほかけ - 〆鯖を切ってもらう

    〆鯖を切ってもらう

  • ほかけ - 鮃

  • ほかけ - 青柳

    青柳

  • ほかけ - 柱

  • ほかけ - 赤貝

    赤貝

  • ほかけ - 春子

    春子

  • ほかけ - 車海老

    車海老

  • ほかけ - 〆鯖

    〆鯖

  • ほかけ - 小鰭

    小鰭

  • ほかけ - 小鰭の背鰭と鮪の半々巻き

    小鰭の背鰭と鮪の半々巻き

  • ほかけ - 煮蛤

    煮蛤

  • ほかけ - 煮蛤お代わり

    煮蛤お代わり

  • ほかけ - 穴子

    穴子

  • ほかけ - 海苔巻き (半分巻き)

    海苔巻き (半分巻き)

  • ほかけ - 矢崎親方が作る "ばらすし" には、

    矢崎親方が作る "ばらすし" には、

  • ほかけ - 絵心がある

    絵心がある

  • ほかけ - 生ものは使われていない

    生ものは使われていない

  • ほかけ - 彩が美しい!

    彩が美しい!

  • ほかけ - 大切な方へ心ばかりの   誕生日プレゼント

    大切な方へ心ばかりの   誕生日プレゼント

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2020/06訪問12回目

5.0

  • 料理・味5.0
  • サービス5.0
  • 雰囲気5.0
  • CP5.0
  • 酒・ドリンク5.0
¥15,000~¥19,9991人

直前に電話を入れ、日本を代表する繁華街 銀座を歩き、"おこのみ" すし を食べに行く。


都市計画のひとつに「歩車分離」という考え方があり、人間専用の歩道を街中に張り巡らせば交通事故に遭うこともなく、花や緑を見ながらゆっくり散歩を楽しめるということなのですが、これと "街の賑わい" というのは相反する関係にあるように思えます。

また、電動アシスト自転車の普及により脚力の強い若者だけでなくお年寄りや子供を前後に乗せた母親が、自転車レーンの無い歩道の坂道を上り降りしているのはとても危ないです。音もなく後ろからすり抜けて行く自転車もあり、私は急に進路を変更しないように注意して歩いています。

世界中の繁華街というのは「歩車分離」ではなく、歩道と車道が同じ路面に設置されています。

NYCの Fifth Avenue、ビバリーヒルズのRodeo Drive、パリの Rue du Faubourg Saint-Honore、ロンドンの Regent Street、ミュンヘンの Maximilianstraße、ローマのVia dei Condotti、ミラノのVia Monte Napoleone、トリノのVia Roma そして、東京の銀座〜日本橋に至る中央通り。

これらは、実際に歩いてみるとわかりますが、広い歩道と広い車道が一体となり、両者の「見せびらかし」ができるようにできています。

 「ボクの新しく買った車、見て見て。」

 「ワタシをブティックの前で降ろして。」

 「このダルメシアン格好いいでしょ。」

この日、並木通りを曲がり晴海通りを東に向かうとビルの谷間にエンジンの甲高い轟音が響きます。

 『都心の億ション住まいで忙しい人はサーキットに行くのは面倒だから、こんな所しか走れないんだろうな。』

ヒエラルキー (Hierarchie) のない国 日本の繁華街ほど超高級車が走っている国は無い (中国のことは知りません) のではないかと思います。上記海外の繁華街で私が見かけた超高級車は、ミュンヘンの Maximilianstraße で Audi R8 Coupé V10/Spyder 、ミラノのVia Monte Napoleone で Ferrari F355 GTS/Spider というどちらもカブリオレ (オープンカー、コンバーチブル、ロードスター、スパイダー) という屋根のないタイプで助手席にブロンドヘアの美しい女性を乗せ「見せびらかす」ようにゆっくり走り楽しそうにしていました。歩道を歩いている人々も皆注目し、写真に収める人もいて楽しんでいます。日本の車文化との違いを感じます。

***

 「こんにちは。」

 「そろそろいらっしゃる頃だと思っていました。」「何から握りましょうか。」

 「烏賊をお願いします。まず一貫。」


【この日いただいたもの】

・墨烏賊  一貫
・真子鰈  二貫
・赤貝   一貫 
・青柳   一貫
・みる貝  一貫  
・平貝   一貫 
・小鰭   一貫 
・鯵    一貫
・春子鯛  一貫
・鰯    一貫   
・煮蛤   一貫 
・墨烏賊  一貫
・真子鰈  一貫 
・鰯    一貫 
・海苔巻き 一本

すし屋で写真を撮るのが苦手なのですが、墨烏賊と煮蛤 (桑名産)の二つを古い iPhone SE に収めました。

どれも素晴らしくおいしく、酢飯、山葵、すし種が矢崎親方の手の中で一瞬のうちに熟れて江戸前すし (早すし) として完成し、口に放り込むとそれぞれの素材がポロポロとしながらも一体となる妙味を楽しみながら三十分ほどで店を後にしました。

西銀座駐車場:https://www.nishiginzaparking.co.jp に停めた買い物車を電通通りから国会議事堂に向けて走らせていると後から甲高いエキゾーストノートが聞こえてきたと思ったら有楽町のアンダーパス(トンネル)の中でわざとシフトダウンし、大きな雄叫びを上げて素っ飛んで行きました。日本は面白い国です。


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  • ほかけ - 墨烏賊

    墨烏賊

  • ほかけ - 煮蛤 (桑名産)

    煮蛤 (桑名産)

  • ほかけ - 赤信号で止まった Lamborghini Aventador と Alfa Romeo 4C

    赤信号で止まった Lamborghini Aventador と Alfa Romeo 4C

  • ほかけ - Berlin の自転車レーン。人はここを歩いてはいけない。

    Berlin の自転車レーン。人はここを歩いてはいけない。

  • ほかけ - Wien には、人・自転車共存レーンもあった。

    Wien には、人・自転車共存レーンもあった。

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2020/03訪問11回目

5.0

  • 料理・味5.0
  • サービス5.0
  • 雰囲気5.0
  • CP5.0
  • 酒・ドリンク5.0
¥20,000~¥29,9991人

三手で握ることのできるすし職人はどれだけいるのだろうか。


この状況下、食べログレビュアーの皆さんも好きな "外食" を控え、 "食材" を買って調理し "内食" をアップする方がいらっしゃいます。このレビューは従来から行われている「店で買ってきたケーキや和菓子や菓子パンをご自宅の皿に載せ、あるいはハム・ソーセージや果物を包丁でカットしてサラダと合わて飲み物と一緒に投稿すること」と、何ら違いがないと思っています。飲食店の紹介文を読むだけでなく広く日本のガストロノミー (仏gastronomie、食事・料理と文化の関係を考察すること) を知るのは楽しいです。

***

"外食" の少ない私ですが三月中旬、「ほかけ」ですしを食べてきました。いつもながら、すし屋のカウンターで写真を撮ることが苦手なので絵は少ないです。

この日、都心でひと仕事を終えた妻と店での待ち合わせをしました。
レ セゾン」や「レストラン 代官山小川軒」という選択肢もあったのですが、午後八時にスタートして三時間を掛けてゆっくり食べていたら、TAXI に乗るのも面倒だし家に帰るのがイヤになってしまい、そのまま帝国ホテルに部屋をとったとしても新型コロナウイルスの問診票を先に客に書かせるという態度が気に入らないし、だったら短時間でおいしい物を食べるのがイイんじゃないかなということで "おこのみ" で食べることのできる江戸前すしとなった次第です。

早めに到着した私は、丹波の酒「鳳鳴」をぬる燗につけてもらい、ゆっくり右肘関節を90度回転させる運動を繰り返し、左手三本の指で優しく掴んだ盃を超精密ロボットアームのように水平を保ちつつ左腕をスムースに制御して只管、これを口に運び「おいしいですね。」と、矢崎親方に声を掛けると、

 「何か切りましょうか?」

 「鮃をお願いします。」

と、なった頃に

 「お待たせ。」

と、私の隣に妻が座り、いつも通り好きな物を自分で組み立てる "おこのみ" が始まりました。


【酒と肴】

・鳳鳴、ぬる燗 (すし屋ではアスペルギルス・オリゼ (Aspergillus oryzae)由来の酒が一番合うと思う。"好みの問題" ですが、)
・蛍烏賊(お通し)
・鮃
・赤貝
・赤貝のヒモ
・みる貝
・〆鯖
・他

【握り】

・墨烏賊  
・鮃
・みる貝  
・赤貝   
・青柳
・春子鯛
・鯵
・鰯    
・車海老  
・春子鯛  
・煮蛤   
・海苔巻き 

矢崎親方の手元を見ていると小手返し三手で握っています。
早ければ良いというものでもありませんが、「弁天山美家古寿司」の五代目 内田親方が四手、その先代の四代目 内田栄一親方は二手で握っていたそうです。すし玉をすし桶の中で右手だけで纏めた時には既に形が整っていてこれをすし種に合わせ "扇の地紙型” に握る素早い動作は目を凝らさないとよく分かりません。すし職人の手の温度は私たちと異なり少し低く、シャリが手に付かないそうですが、六手も八手も捏ねくり回していれば手の温度で すし種が不味くなってしまいます。プロフェッショナル(手練れ)の仕事というのはこんなところに力量の差が見て取れます。

テンポの良い注文と握りの速さでお酒を飲んですしを摘んで小一時間のすし食いが終わり、妻とふたりで晴海通りを四丁目交差点まで歩きました。人の出が少ないとは言え、閉鎖空間である地下道を往くより "銀ブラ" した方が安全で楽しいです。


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  • ほかけ - 鮃を切ってもらう

    鮃を切ってもらう

  • ほかけ - 握りすし用の小皿 (煮切りが塗ってあるので使わず

    握りすし用の小皿 (煮切りが塗ってあるので使わず

  • ほかけ - 丹波の酒「鳳鳴」

    丹波の酒「鳳鳴」

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2020/03訪問10回目

5.0

  • 料理・味5.0
  • サービス5.0
  • 雰囲気5.0
  • CP5.0
  • 酒・ドリンク5.0
¥30,000~¥39,9991人

昼酒は隠居の特権、東銀座から都営浅草線を使って向島へ足を伸ばす。


米マイクロソフトは2020年3月13日、創業者のビル・ゲイツ (1955年10月28日生 64歳) が同社の取締役を退任したと発表しました。https://www.nikkei.com/article/DGXMZO56792950U0A310C2000000/?n_cid=SPTMG002

52歳で第一線を退いた後、ビル・アンド・メリンダ・ゲイツ財団での活動を通して世界に広がる病気や貧困撲滅に挑戦し続けています。ソフトウェアから得た莫大な資金を人類のために使うのは当然であります。「金持ちが天国へ入るのは駱駝が針の穴を通るより難しい」(新約聖書(マタイ19章16-26節) の教えの通り、ルネサンスを生んだメディチ家二代目のコジモ・ディ・メディチも同じ。

***

年齢が近いとはいえ全く比べることはできませんが、同じように若隠居した私は「鳳鳴」のぬる間をひとり静かに傾けながら無事に暮らしていることを神に感謝しました。人の生き方にはそれぞれ天命があり、私のようにささやかであっても精一杯生きることが大切です。空気のきれいなサルデーニャの草原で羊を追うのもアンコールワットの水田で夕日に映える黄金の稲穂を刈るのも幸せなことです。


 「何か切りますか。」と、矢崎親方。

 「みる貝と鮃を願いします。」

こんなやり取りから始まる "すし食い" が好きです。

墨烏賊  一貫
みる貝  一貫
赤貝   一貫
鰯    一貫
鯵    一貫
鯖    一貫
車海老  一貫
春子鯛  一貫
煮蛤   一貫
海苔巻き 一本 (小鰭のヒレとガリ1/4、干瓢 3/4)

ぬる燗  二本(蛍烏賊、みる貝、鮃、そして〆鯖は二回切ってもらう)


「お魚っぽくないから。」と仰る "越後の旦那" と同じく、私がすし屋で鮪を好んで食べないのは45年ぐらい前からです。その頃、私にすし食いを教えてくれた今は亡き平田親方の握る "鮪赤身" を超えるものに出会っていないこともあるのですが、鮪という魚は昔に比べて不味くなる一方だと思っています。漁法は変わっていないのでしょうが、日本近海の潮が変わったのか、鮪の餌となる魚の味が落ちたのか、C国から流れてくる亜硫酸ガス由来の酸性雨の所為で日本の土地も海も変化したのか、日照の問題なのか、何処で食べても鮪をおいしいと思わなくなってしまいました。

その代わり 鰯、鯵、鯖、細魚など寿司種として使う青魚は、塩と酢で〆るか酢洗いして供されることが殆どですから、仕入れを含めて寿司職人の腕の見せどころであり、江戸前寿司の真骨頂であります。

私は不思議でならないのですが、寿司にしても煎餅にしても日本最高級、否、世界最高級の味を作り上げる親方たちの味覚と技は、その方々の人生の中でどのように培われるものなのでしょうか。これを確かめることで "本物" とは何であるかが分かるのではないでしょうか。レオナルド・ダ・ヴィンチが幼少の頃、小川の水の流れを具に観察することで流体力学と同じ発見をしていたことのように。飽くなき探究心と好奇心を抱いたビル・ゲイツもまた同じです。


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  • ほかけ - 鰯

  • ほかけ - 鯖

  • ほかけ - 鯵

  • ほかけ - かすご

    かすご

  • ほかけ - 茹で上げの車海老

    茹で上げの車海老

  • ほかけ - 墨烏賊

    墨烏賊

  • ほかけ - みる貝

    みる貝

  • ほかけ - 赤貝

    赤貝

  • ほかけ - 煮蛤

    煮蛤

  • ほかけ - 酒の肴として、みる貝、鮃、〆鯖を切ってもらう

    酒の肴として、みる貝、鮃、〆鯖を切ってもらう

  • ほかけ - 「鳳鳴酒造」のぬる間

    「鳳鳴酒造」のぬる間

  • ほかけ - 小鰭のヒレとガリ(1/4)、干瓢(3/4)を巻いてもらう

    小鰭のヒレとガリ(1/4)、干瓢(3/4)を巻いてもらう

  • ほかけ - 日本人ばかりの以前の銀座に戻った

    日本人ばかりの以前の銀座に戻った

  • ほかけ - 晴海通り,銀座東急プラザ、Hermès、GAP

    晴海通り,銀座東急プラザ、Hermès、GAP

  • ほかけ - 地下鉄都営浅草線「東銀座」→「本所吾妻橋」駅

    地下鉄都営浅草線「東銀座」→「本所吾妻橋」駅

  • ほかけ - 四ツ木通りを北に向かう

    四ツ木通りを北に向かう

  • ほかけ - 歩いていると「レストラン吾妻」があった

    歩いていると「レストラン吾妻」があった

  • ほかけ - 車の販売店に "新型コロナ" は無い

    車の販売店に "新型コロナ" は無い

  • ほかけ - 隅田川を渡ると向島

    隅田川を渡ると向島

  • ほかけ - 電柱に「長命寺桜もち」の看板

    電柱に「長命寺桜もち」の看板

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2019/12訪問9回目

5.0

  • 料理・味5.0
  • サービス5.0
  • 雰囲気5.0
  • CP5.0
  • 酒・ドリンク5.0
¥30,000~¥39,9991人

"外食" の少ない私が、従来から贔屓にしている店に加え、ここ一、二年、足繁く通うようになった店が三軒あります。 Vol.2


年の瀬は何かと忙しない。
改元を実施した日本の将来が、全ての国民にとって心安らぐ穏やかなものであって欲しいと願うのはどなたも同じことです。

***

お金を払って "外食" するのであれば、自分には作れない料理を食べたい。
"ある理由" から中華料理を得意としません。これを除いて自分で作ることのできない料理とは、

1、正統なフランス料理  →  本格的な素材の入手ができず、一人ではコース仕立てをする手間が取れない
2、うなぎ料理      →  氷水に浸けておとなしくさせると良いらしいが、活けの鰻を背開きしたことがない
3、手打ちそば      →  そばツユは作るが、そば打ちの道具を揃える気が起こらない
4、正統な江戸前すし   →  四手で握ることはできるが、ピンの素材を入手し正しい下拵えをすることができない

です。

***

タイトルに書いた「ここ一、二年、足繁く通うようになった店が三軒あります。」とは、

 「ほかけ
 「レ セゾン
 「蕎麦懐石 無庵

であります。

暮れも押し迫ったこの日、高齢の二人の母においしいバラ寿司を食べていただきたくなり「はかけ」を訪れました。前日の夜、電話でバラ寿司二折のお願いをしましたので、私が入店するとこれに合わせて矢崎親方が彩りを考慮しながら丁寧に作っているところでした。

「お待ちどうさま、何から握りましょうか。」と、いつも通り "おこのみ" で握ってもらいます。

墨烏賊 二貫 握りの最初と最後に一貫ずついただいき、当然であるが同じ味であったことに驚く。
鮃   一貫 
青柳  一貫
赤貝  二貫 閖上の赤貝は香りが良く、水っぽさが全く無い。
はしら 一貫
いくら 一貫
春子鯛 一貫
鯵   一貫
小鰭  一貫
〆鯖  二貫 銚子で獲れた最高級の鯖。〆具合が素晴らしい。
鰯   二貫 この店の光りものはどのように下拵えするのだろうか。
蝦蛄  二貫 能登半島七尾の産。ふわっと塩茹でしただけなのにすごく甘い。
煮蛤  一貫 お腹に空きがあれば、二貫食べたくなる。
穴子  一貫
海苔巻 一本 干瓢は栃木産特急品、大好き。

こんなにたくさん (19貫、巻物一本) 食べて、古今亭志ん生に「なんでそんなに食うんだ。お腹が空いているなら飯を食ってから来い。飯とすしは違うんだ!」と、叱られた古今亭志ん朝のようになってしまいましたが、酒抜きの滞在時間は36分です。

バラ寿司を携えながら浦和に住む義母(91歳) への年末の挨拶を済ませ、いつもより慎重に師走の高速道路を走らせ、帰宅の途につきました。翌日、貝好きの義母から「とても、おいしかった。」と、お礼の電話がありました。


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  • ほかけ - 墨烏賊

    墨烏賊

  • ほかけ - 七尾の蝦蛄

    七尾の蝦蛄

  • ほかけ - 鰯

  • ほかけ - 〆鯖

    〆鯖

  • ほかけ - 穴子

    穴子

  • ほかけ - 海苔巻き

    海苔巻き

  • ほかけ - 紐はここで一旦回してから片結びにする

    紐はここで一旦回してから片結びにする

  • ほかけ - 美しい、おいしい!!!!!

    美しい、おいしい!!!!!

  • ほかけ - バラ寿司のあたまで "ひや" (常温) をやる

    バラ寿司のあたまで "ひや" (常温) をやる

  • ほかけ - 母(92歳)に半分 (四分半)

    母(92歳)に半分 (四分半)

  • ほかけ - ステムの無い Baccarat "ひや" (常温) 専用グラス

    ステムの無い Baccarat "ひや" (常温) 専用グラス

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2019/11訪問8回目

5.0

  • 料理・味5.0
  • サービス5.0
  • 雰囲気5.0
  • CP5.0
  • 酒・ドリンク5.0
¥20,000~¥29,9991人

夜の部は、午後四時半から営業しています


【営業時間】

 11:30~14:00(L.O.13:30)  16:30~21:00(L.O.20:30)

【定休日】

 日曜・祝日・第3土曜

***

この日、サントリーホール「Zubin Mehta conducts Bruckner’s Eighth Symphony」の前に寄りました。
夜の部が、午後四時半から営業していることに気付いたのは前日のことです。

コンサートや観劇というのは、会社員の就業が終わってからでも間に合うように午後六時半開場というパターンが多いです。終演が午後九時半過ぎになるため、"コンサート" と "美食" は両立しませんが、「ほかけ」で "おこのみ" を軽く摘んで、歌舞伎座、新橋演舞場、日比谷の劇場街、そして サントリーホールへ行くという手があったのは、食いしん坊の私にとってこの上ない喜びです。

***

まず、小柱を肴に「鳳鳴酒造」の "ぬる燗" をいただきました。おいしい!!!
私は大酒飲みではないので、冷酒よりも "ぬる燗" や "人肌燗" という温もりを感じる酒が好きです。自宅でも徳利を自分で温めて "ぬる燗" にするのですが、これが結構難しく、ちょっと気を抜くと "熱燗" になってしまい、ヤケ酒を呑んでいるような落ち着かない状況に陥るのですが、そうかと言って、これを冷まして飲むとアルコールが飛び、気が抜けてしまいます。(燗冷まし)

和服姿の佳代ちゃん (加代ちゃん、香代ちゃん?)が上手に浸けてくれた "ぬる燗" は、おいしい!!! 
思わず「もう一本ください。」と、言いそうになりましたが、後のことを考えて「親方、鮃を切ってください。」と、寒くなっておいしくなってきた魚を楽しみました。私がゆっくり盃を重ねている間に「バラ寿司」をひと折詰めてもらい、これは "生もの" が入っていないので、帰宅後にお腹に隙があったら食べるつもりでした。


【握りすし】  (すし屋で写真を撮るのが苦手です)

墨烏賊 二貫
鮃   一貫
小鰭  二貫
鰯   一貫
赤貝  一貫
いくら 一貫
蝦蛄  一貫
〆鯖  一貫
海苔巻 一本 干瓢

結構いただきましたが、店に入って出るまで35分ぐらい。銀座の街において "おこのみ" で好きなように組み立てて食べる "心地良い江戸前のすし食い" ができる「ほかけ」は「本物」です。

***

ズービン・メータ指揮 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団による「ブルックナー:交響曲第8番 ハ短調 、ノヴァーク版第2稿 (1890) 」は、ベルリン・フィルに四人いるコンサートマスターの一人 樫本大進がオーケストラを率い、交響曲らしく、弦楽器、管楽器、打楽器、ハープが、押し寄せる波の如く「静と動」を表現した素晴らしい演奏でした。聴いていて何度 ゾクゾク感が背筋から首筋に走り脳に到達したのか数えることができません。去年、ベルリンで Sir.Simon Rattle 、Krystian Zimerman の演奏を体験 https://tabelog.com/rvwr/000124517/rvwdtl/B361710427/ していますが、これに次ぐコンサートでありました。


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  • ほかけ - 〆の海苔巻き (干瓢)

    〆の海苔巻き (干瓢)

  • ほかけ - 丁寧にバラ寿司を作る矢崎親方

    丁寧にバラ寿司を作る矢崎親方

  • ほかけ - 粋だね!

    粋だね!

  • ほかけ - 妻が「今まで食べたバラ寿司の中で一番おいしい!」と、言った

    妻が「今まで食べたバラ寿司の中で一番おいしい!」と、言った

  • ほかけ - 歌舞伎座1

    歌舞伎座1

  • ほかけ - 歌舞伎座2

    歌舞伎座2

  • ほかけ - 11月22日は "いい夫婦" の日だそうです(三越銀座店)

    11月22日は "いい夫婦" の日だそうです(三越銀座店)

  • ほかけ - カーネーションとスプレー咲きのバラを買う

    カーネーションとスプレー咲きのバラを買う

  • ほかけ - 上皇ご夫妻も鑑賞された

    上皇ご夫妻も鑑賞された

  • ほかけ - 開場を待つ人々

    開場を待つ人々

  • ほかけ - Zubin Mehta conducts Bruckner’s Eighth Symphony

    Zubin Mehta conducts Bruckner’s Eighth Symphony

  • ほかけ - Zubin Mehta と Berlin Philharmonie

    Zubin Mehta と Berlin Philharmonie

  • ほかけ - 続々と入場

    続々と入場

  • ほかけ - 開演前にシャンパン (ローラン・ペリエ) で喉を潤す

    開演前にシャンパン (ローラン・ペリエ) で喉を潤す

  • ほかけ - 二階S席より、開演ギリギリ前までハープ(右側)とベース(左側)が調律を確認していた。

    二階S席より、開演ギリギリ前までハープ(右側)とベース(左側)が調律を確認していた。

  • ほかけ - こちらは 2018年に訪れた Berliner Philharmonie カラヤンの設計は サントリーホールも同じ

    こちらは 2018年に訪れた Berliner Philharmonie カラヤンの設計は サントリーホールも同じ

  • ほかけ - サントリーホールの入り口広場は暗い

    サントリーホールの入り口広場は暗い

  • ほかけ - ウィーン国立歌劇場は重厚、2019年6月 バレエを鑑賞後の夜10時過ぎ

    ウィーン国立歌劇場は重厚、2019年6月 バレエを鑑賞後の夜10時過ぎ

  • ほかけ - Berliner Philharmonie は、体育館みたい

    Berliner Philharmonie は、体育館みたい

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2019/07訪問7回目

5.0

  • 料理・味5.0
  • サービス5.0
  • 雰囲気5.0
  • CP5.0
  • 酒・ドリンク5.0
¥30,000~¥39,9991人

蝦蛄の爪と真子鰈 を肴に 丹波「鳳鳴酒造」の "ひや" (常温のこと) をいただく


ひとつ前のレビューに「私が "江戸前すし" に拘りを持たなくなったのはいつ頃からだったのだろうか。」と書いたばかりなのに「ほかけ」へ行って "江戸前すし" を食べるとは、此は如何に。これを "舌の根が乾かぬうちに" といい、"握りすし" の通りは良くなっていますのでご容赦ください。

***

いつもお茶で "すし" を食べる私は、この日、珍しく蝦蛄の爪を肴に「鳳鳴酒造」の "ひや" (常温のこと) をいただきました。

「何か切りますか?」と、矢崎親方。

「白身をお願いします。」(おいしくて真子鰈の写真撮影は失念)

前回訪問から三ヶ月以上の間を空け、旬の白身は、「鮃」から「鰈」へ移りました。
酒の肴としての真子鰈は、つけ台の上にへぎ造りとして盛られ山葵が添えられます。すし屋の肴はこの形が美しく、割烹料理屋のような小皿に刺身を載せて "つま" だとか "酢橘" や "焼塩" があるのを好みません。煮物は "鮑塩蒸し"、"煮蛤"、焼き物は "穴子"、"平貝" までを許容し、付け台に載っていることが大切です。此処は江戸前の "すし屋" ですから。

私の一番好きなすし種は、「真子鰈」と「星鰈」です。
鮃に比べ包丁の入りづらい鰈の身は、素人には薄造りを引くことができません。握りは、酒の肴の切り身より幾分厚めに包丁を入れ、これに山葵を載せて酢飯と合わせると透けた身に山葵の緑が映り、これを口に含むと、酢飯、鰈、山葵、煮切りの要素がそれぞれ少しずつ主張しながら一体となり、口の中でコロコロと転がり、それぞれの香りが鼻腔に抜け、陶然とするのであります。
おいしい!!!!!

(刺身以外では、柳鰈の一夜干し、滑多鰈(婆鰈)の煮付け、目板鰈の唐揚げも好きで自分で調理します)
 https://tabelog.com/imgview/original?id=r08454101766731

すし屋でだらだら飲むのが好きではなく、手早く盃を重ね「お茶をお願いします。」と切り替え、次の握りをいただきました。

墨烏賊  二貫
真子鰈  二貫
鯵    二貫
赤貝   一貫
その紐  一貫
小鰭   二貫
鰯    二貫
車海老  二貫
春子鯛  二貫
煮蛤   一貫
蝦蛄   一貫
海苔巻き 一本

全十八貫と海苔巻き(干瓢) 一本、随分食べました。

今回、写真撮影の許可をいただき、たくさん撮りました。酒を飲んでも滞在時間は40分足らず、この間に iPhone をHDR(High dynamic range) にして撮影するというのは何とも忙しなく、自分の性分に合いません。本心は "すし食い" に集中したかったのですが、photolibrary に残したいと考えたのも事実です。

いただいたもの全てがおいしく、逐一コメントを書くのも煩わしいのですが、"おこのみ" での組み立てに満足しています。ひとつ加えるのであれば、山口県瀬戸内海の天然車海老が茹で上げであり、珍しく "二貫" もいただきました。香り良く、甘く、もう一本食べたくなったのですが、おいしいからといって独り占めするのは礼儀作法を知らない人間だと烙印を押されてしまうのでやめておきました。

銀座三越の傍にあった設をそのまま移築したこの店は、すし屋本来の "屋台" の風情を残しています。今時の御大層で虚仮威しの利いた店にはない落ち着きがあり、僅かな時間であっても此処に座り、三手四手で握ってしまう親方との丁々発止の "すし食い" が何とも心地良いです。


.

  • ほかけ - 蝦蛄の爪

    蝦蛄の爪

  • ほかけ - 墨烏賊

    墨烏賊

  • ほかけ - 真子鰈

    真子鰈

  • ほかけ - 鯵

  • ほかけ - 赤貝の紐

    赤貝の紐

  • ほかけ - 小鰭

    小鰭

  • ほかけ - 鰯

  • ほかけ - 車海老一貫目

    車海老一貫目

  • ほかけ - 車海老二貫目

    車海老二貫目

  • ほかけ - 春子鯛一貫目

    春子鯛一貫目

  • ほかけ - 春子鯛二貫目

    春子鯛二貫目

  • ほかけ - 煮蛤

    煮蛤

  • ほかけ - 蝦蛄、素晴らしい。今まで食べた蝦蛄の中で最高です!!!!!

    蝦蛄、素晴らしい。今まで食べた蝦蛄の中で最高です!!!!!

  • ほかけ - 海苔巻き、大好き!

    海苔巻き、大好き!

  • ほかけ - 地下鉄案内図

    地下鉄案内図

  • ほかけ - 都営三田線に乗る

    都営三田線に乗る

  • ほかけ - 地下鉄大手町駅は大きい

    地下鉄大手町駅は大きい

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2018/11訪問6回目

5.0

  • 料理・味5.0
  • サービス5.0
  • 雰囲気5.0
  • CP4.8
  • 酒・ドリンク4.5
¥20,000~¥29,9991人

今日は一貫ずつ



ほとんどTVを見ない私ですが、前回のレビュー「レ セゾン」に紹介した NHK BS1スペシャル「人生は旅だ 料理も旅だ~三ツ星シェフが見つけた日本~」など、NHK BS のスペシャルなど質が高く、TV好きな母から「これイイわよ。」と奨められものはHDDに録画して時間のある時に見るようにしています。(年間で2回ぐらい)

我が家の古くて小ちゃい有機 ELテレビ(SONYの11in) に映し出される絵は息を飲む美しさです。また、語りの 山根 基世、広瀬 久美子、加賀美 幸子 などのアルト( alto)の声は自然で気に障ることが無く、耳に心地良いです。(現在は、森田美由紀、井上あさひ、有働由美子(元NHK)などの声が好き)

この落ち着いた声を持った知的な女性と一緒に食事をするというのがとても楽しいです。

***

この日、「おこのみ」初めての "すみれ" に似たお嬢さんと並木通りのカフェで待ち合わせをしました。
おしゃれをしてくれて、ありがとう!
「おこのみ」レクチャーを少しだけしたのですが、他の話題で盛り上がってしまい、「oggetiさんと同じお寿司をいただきます。」となり、歌舞伎座方面に向かって歩き始めました。

寿司を食べながら薀蓄を述べるのは野暮ですから、矢崎親方と私との間合いを見ていただき「おこのみ」の食べ方を学んでもらいました。

墨烏賊 一貫
鮃   一貫
鯵   一貫
車海老 一貫
春子鯛 一貫
小鰭  一貫
赤貝  一貫
みる貝 一貫
青柳  一貫
煮蛤  一貫
いくら 一貫 (軍艦は雲丹、柱も有るとのこと。初めて食べたがおいしい!!!)
鉄火巻 一本 を二人で分けて、鮪好きの彼女はここで〆。
ーーーーーー
私は、↓をオカワリして
墨烏賊 一貫
小鰭  一貫
玉子焼 (酢飯付き) 一貫 で〆。

「全部おいしかった。中でも鮃が良いです。oggetiさん、この食べ方を教えていただき、ありがとうございます。」

白身魚 鮃のおいしい季節到来ですから、正しい味覚を持っています。嬉しいですね。

***

海外だと年の離れた友人を持つことは自然であり、誰もが互いに尊重しあって付き合っています。世代を超えた話や考え方から学ぶことがたくさんあり、一緒にいることがとても楽しいです。


.


  • ほかけ - 春子鯛、ふっくらと〆てある

    春子鯛、ふっくらと〆てある

  • ほかけ - 煮蛤、抜群の旨さ

    煮蛤、抜群の旨さ

  • ほかけ - いくら軍艦、初めて食べた

    いくら軍艦、初めて食べた

  • ほかけ - 墨烏賊、サクッ、ネットリ

    墨烏賊、サクッ、ネットリ

  • ほかけ -
  • ほかけ - 待ち合わせのカフェがあるビルのエントランスにはラリックの花台と生け花

    待ち合わせのカフェがあるビルのエントランスにはラリックの花台と生け花

  • ほかけ - ラリックの花台(Art Deco デザインの傑作)

    ラリックの花台(Art Deco デザインの傑作)

  • ほかけ - これは私が作ったいくらの軍艦巻き。海苔が決め手だと本職の仕事と比較して思った。(いくらはイイんだが、これじゃぁ 50点の出来だ)

    これは私が作ったいくらの軍艦巻き。海苔が決め手だと本職の仕事と比較して思った。(いくらはイイんだが、これじゃぁ 50点の出来だ)

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2018/07訪問5回目

5.0

  • 料理・味5.0
  • サービス5.0
  • 雰囲気5.0
  • CP4.8
  • 酒・ドリンク4.5
¥20,000~¥29,9991人

「旦那、、お次は?」と声を掛けてもらえることが嬉しい



考えてみると、私は、自分(65歳)より歳若のすし職人が苦手なのかもしれません。

・「鮨田」      平田親方(故人、2005年閉店、国分寺)
・「すきやばし次郎」 小野親方(現役、おこのみ で食べることのできた頃、随分通った)
・「弁天山美家古寿司」内田親方(現役)
・「鮨 松波」      松波親方(現役)
・「鶴八」      師岡親方(引退)
・「喜久好 」      清水親方(引退、2012年閉店、赤坂)
・「㐂寿司」     油井親方(故人)
・「ほかけ」     矢崎親方(現役)

私の ”すし食い” を鍛えてくれたこれら素晴らしい親方たちは、皆、歳上であり、自分の親(90歳以上)ほどの方もいらっしゃり、教えていただくことが多く、私は謙虚に姿勢を正して椅子に腰掛け、”おこのみで” いただいています。(いました。)

***

この日、いつも通り『すし食べたい』と思った時 (伺う三十分ぐらい前) に電話して暖簾をくぐりました。先客二人、後から四人、私が間に入って、矢崎親方が夫々の客の間合いを計りながら絶妙なタイミングで握っていきます。所謂 ”食べ手と握り手の丁々発止のすし食い” でありますが、おこのみ を食べ慣れていない方には、丁寧に優しく対応しています。

僅か五秒ばかり『次はどれにしようかな』と躊躇していたら、「旦那、、お次は?」と声が掛かりました。おこのみ で食べるすし食いの妙味はここにあります


墨烏賊 二貫
鮃   二貫
鰯酢〆 二貫
小鰭  二貫
鯵   二貫
春子鯛 二貫
車海老 一貫 + 一貫
煮蛤  二貫
海苔巻き

こんなに↑いっぱい食べて、お茶を二杯いただき、椅子に座って席を立つまで、大凡三十分くらいです。私はこのような ”すし食い” が好きです。

  • ほかけ - 海苔巻き(1/4を食べてから撮したので三つ)

    海苔巻き(1/4を食べてから撮したので三つ)

  • ほかけ - むかし恋しい銀座の柳♪

    むかし恋しい銀座の柳♪

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2018/03訪問4回目

5.0

  • 料理・味5.0
  • サービス5.0
  • 雰囲気5.0
  • CP4.8
  • 酒・ドリンク4.5
¥20,000~¥29,9991人

「おこのみ」とは、客が食べたいように組み立てる ”すし喰い” のこと Vol.02


手土産を買うために日本橋の老舗菓子屋へ行ってみたら、午前の部は「完売」とのこと、出直しです。

『そうだ すし、食べよう。』

いつも通り、午前11時過ぎに直前の電話予約です。食べたいと思った時に対応してくれる今時とても希少な ”おいしい本格江戸前すし屋” です。本来、すし喰いはこうでなければいけません。私は、何ヶ月も先の約束に縛られるのは厭です。

左ハンドルの買い物車を西銀座駐車場へ滑り込ませ、F812SuperfastやらMULSANNEに挟まれるように駐車すると陰に隠れて全く見えなくなってしますが、『こちとら、36年間も大切にしてきたんだぞ。』と溜飲を下ろし、数寄屋橋の地下道を東に向かって歩きました。

暖簾を分けてガラッと引き戸を左に開けて「こんにちは。」と声を掛ければ、「いらっしゃいませ。」と応えてくれるいつものご挨拶です。何気ない自然で力の入り過ぎていない応対が、堪らなく好きです。

「今日は、どう致しましょうか?」

「烏賊から握ってください。」「此処からここ迄、二つずつ。」と私。

「二貫ですね。昔は何処でも二貫づけでした。」と矢崎親方。

墨烏賊 二貫
鮃   二貫
みる貝 二貫
とり貝 二貫
赤貝  二貫
小鰭  二貫
青柳  二貫
煮蛤  二貫
海苔巻き

鮪(しび)は、すし種を並べたケースにありません。
心の中で『あんな外道、どこがイイの。A5級の養殖フィレ肉と一緒じゃないの。』と思っている私は、目の前に並んだ活きている貝類と肉厚が増して艶々した鮃に心が奪われ、うっかりケースの右端に置かれた煮蛤を見落としそうになりました。貝のおいしい季節です。

恥ずかしいので写真を撮るのを躊躇しがちな私は、三つだけiPhone SEに収めました。

入店してから会計を済ませるまで僅か三十分間、食べたいように組み立てた至福の時が流れ、満足して外へ出ると隣の「ナイルレストラン」に20人ぐらいの列が出来ていました。待ち時間はどの位なのでしょうか。


  • ほかけ - とり貝

    とり貝

  • ほかけ - 青柳

    青柳

  • ほかけ - 煮蛤

    煮蛤

  • ほかけ -
  • ほかけ -
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2017/12訪問3回目

4.8

  • 料理・味4.8
  • サービス4.8
  • 雰囲気4.8
  • CP4.8
  • 酒・ドリンク4.5
¥20,000~¥29,9991人

「おこのみ」とは、客が食べたいように組み立てる ”すし喰い” のこと Vol.01


昼間、街を歩いていると誰か知っている方から声の掛かる気がする銀座です。

”倶楽部活動”は遠の昔に卒業していますので、”特殊(デモナイ)関係人”、”その筋”、”あの筋”、”牛すじ”から「あ〜ら、こんなところで、・・・」と見つけられたり、「この間、〇〇でお見かけしました。」ということはなくなったのですが、「oggetiさん、ま〜ぁ、お元気そうで何よりです。」と美しい女性が振り向いてくれるのは嬉しいです。互いに多忙な年の瀬ですからチョットだけ立ち止まり、「良い年をお迎えください。」とにこやかに挨拶を交わし、夫々の方向に別れます。

向かった先は、「ほかけ」です。

朝起きて『今日はすしでも食べようかなぁ。』という気分だったので、「昼に一人でお伺いします。」と直前予約です。

「今日はどう致しましょうか?」山葵を擂り終えた矢崎親方から声が掛かり、”すし喰い” が始まります。当然「おこのみ」であり、自分が食べたいように握ってもらいます。客が食べたいように握るのがすし職人。互いの ”間合い”、”意気” が合った時というのが最高の”すし喰い”であり、これを主導するのは客です。

人生の大先輩である親方は、決して威張っていません。押しつけがましいところも、客を持ち上げることも、威圧感もありません。しかし、その人柄と確かな眼差しから滲み出てくるすし職人としての矜持が客を謙虚にさせます。この店には、おべっかを使い店に諂う賑やかで尊大な客は似合いません。互いに無駄口を叩くことはありません。

久し振りであり、どのすし種もおいしく、あれもこれも食べたくなり、書き出してみたらこんなに食べてしまいました。(組み立て順に)

墨烏賊 二貫
鮃   二貫
赤貝  二貫
青柳  二貫
はしら 二貫
春子鯛 二貫
小鰭  二貫
〆鯖  二貫
車海老 一貫
穴子  二貫
煮蛤  二貫
海苔巻き

私は、何処のすし屋でも”烏賊”から入ります。
このすし種は脂が無いので、酢飯の状態と山葵の出来が一番よく分かります。おいしい、最高!!!

貝を続けて、酢〆をもらい、茹で上げの車海老、煮物を食べ、干瓢で締めました。
〆鯖を筆頭にどれもおいしく、特に薄味で煮た穴子と蛤は、香りも味も非の打ちどころのない完璧なツメ(煮詰め)が塗られ、口に近付けただけで、その素材そのものの味と香りが広がる素晴らしい仕上がりでした。

「下拵えは、息子さんがされるのですか?」と訊きましたら、「いや、全部はまだ任していない。」「私もやっています。」とのことです。

家でおせち料理の黒豆を煮始めた母のために、ばらすし(持ちかえり)を作ってもらいました。
握りすしを素早く四手で握る矢崎親方が、丁寧に盛り付けています。
手にまとめた酢飯を器の中に箸で広げ、仕事を施したすし種や胡瓜を賽の目に切り、モザイク画を描くように並べ、最後に活き車海老を擂鉢であたって平鍋で炒った本桜色の”おぼろ”で彩色してくれました。

先日、卒寿(90歳) を迎えた母と愛妻と私の三人で均等に分け食べましたが、一番早く食べ終えたのが、無言で箸を進めていた母です。「だって、とてもおいしいんだもの。」

親方、ありがとうございます。

  • ほかけ - 煮蛤 一貫目

    煮蛤 一貫目

  • ほかけ - 煮蛤 二貫目

    煮蛤 二貫目

  • ほかけ - ばらすし 盛り込み

    ばらすし 盛り込み

  • ほかけ - ばらすし 自宅にて

    ばらすし 自宅にて

  • ほかけ - 表参道 クリスマス飾り

    表参道 クリスマス飾り

  • ほかけ - 表参道 正月飾り

    表参道 正月飾り

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2017/08訪問2回目

4.7

  • 料理・味4.6
  • サービス4.7
  • 雰囲気4.8
  • CP4.6
  • 酒・ドリンク4.4
¥20,000~¥29,9991人

お盆が過ぎて、漁師も海に出るようになりました。


ほとんど新規開拓をせず、同じ店に行くことが多い私は、訪問の度にレビューを更新するのも面倒な「ぐうたらレビュアー」であります。今回もやめておこうかと思ったのですが、”季節のうつろい”もあり、皆様がなさっている定点観測という視点からの追加レビューを書きます。(当日予約)

***

人のやることを真似して、できるのは「技」、真似できないのが「文化」であり、デジタル化社会において、「Copy and Paste」できる技術は、労働コストの低い国々へ移ってしまいました。

すし屋においても一定水準の技を習得し、質の良いすし種を仕入れることができ、すし店舗専門の内装業者へ依頼できる資金の目処が立てば予約困難店になれる仕組みが出来上がって久しいです。

また、「一門」とか「系譜」とか響きの良い言葉を使うこともあります。私は、これもコピペではないかと思いますが、すし職人の才能と努力次第では「本物」になることが可能であり、客が店を育てるといわれる所以がそこにはあります。

ところが、「文化」の域まで到達する店は稀であり、すし職人が客に媚び諂っていては筋が定まらず、ツマラナイすし屋になってしまいます。漠然と考えても、すし屋の旬というのは意外と短いのではないでしょうか。体力で押している時は良いですが、二十年三十年、世代を超えて ”ある水準” を維持することは難しいです。

***

「ほかけ」の矢崎親方は、三代目です。

昭和十二年、初代(現親方の祖父)が、三田の慶応義塾大学の近くで創業。
昭和二十三年、銀座三越裏にあった英國屋の二階に移店。
昭和二十七年、一軒家として開業。
平成二十年、”銀座三越裏再開発計画" で移転を余儀なくされ、現在地にて開業。(今年で創業八十年)


迷走台風5号が去り、お盆も明け、漁師が沿岸に出るようになったので、私も『そろそろ行くか』とその気になりました。私は殆ど食べない鮪も青森まで上がったそうです。赤貝の禁漁も間もなく解かれ香りが良くなってくることでしょう。

新烏賊   一貫
真子鰈   一貫
青柳    一貫
鰯     二貫
新烏賊   二貫(再び)
新子と小鰭 一貫ずつ
蒸鮑(ツメ)二貫
車海老   一貫(この店は朧を咬ませない)
トリ貝   二貫
新烏賊げそ 二貫
鯵     二貫
胡瓜巻き  一本
干瓢巻き  一本

「お好み」をたくさん食べましたが、他の客を捌いても尚且つ、親方と食べ手の間合いに隙がなく、滞在時間は40分位です。

***

以前の店から移築した木曽檜柾目板のカウンターは、毎日、クレンザーを塗した糸瓜で磨かれ、上面の角は丸くなり、掌で触ると温もりが伝わってきます。

江戸前すし発祥の頃を思わす屋台を似せた庇と短い暖簾、狭い漬け場、これらが醸し出す「本物」の江戸前すしが此処にあります。

  • ほかけ -
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2016/07訪問1回目

4.6

  • 料理・味4.6
  • サービス4.4
  • 雰囲気4.4
  • CP4.6
  • 酒・ドリンク4.3
¥15,000~¥19,9991人

当日予約でぷらっと入りました。

(二回目のコメント)

女性 男性にかかわらず年齢を重ねて、なお魅力的な人は、皆、目が輝いています。

先日、学生時代の仲間が集まり、上は72歳、最年少者が60歳という十数名の構成の中で私は下から数えて二番目でありましたが、各界で活躍している大先輩たちの目が輝いていることに気付きました。決して、思い出話や病気の話に偏らず、様々な事象について冷静な判断と知識に基づいたユーモアのある会話で盛り上がりました。歳を重ね分別があるということはとても楽しいことであります。

さて、現代の鮨屋はどういう寿司職人が店を開いているかと考えると大雑把に次に分類されるのではないでしょうか。

1、代々暖簾を引き継いでいる後継者(血縁者とは限らず)
2、厳しい親方の下で永年修行し、独立した人
3、厳しい親方の下で永年修行し、暖簾分けした人
4、才能がある故、一流店を渡り歩きながら精進し、資金を貯めて独立した人
5、才能がある故、一流店を渡り歩きながら研鑽し、パトロンの支援を受けて店を持った人
6、才能がある故、一流店を渡り歩きながら短期間で店を出す人
7、街場寿司屋から志を持ってグレードアップした人
8、日本料理店で修行し、鮨屋に転向した人

最後に書いた日本料理屋出身の鮨職人として代表的な方が、みなさんご存知の小野二郎さんです。
日本料理の板前は、寿司職人に比べると覚える仕事が格段に多く、日本料理店主人として独立することがとても難しいです。彼らにとって鮨を握ることは片手間と言っても良いくらいですが、その道に入って極めるには日々の研鑽が必要であり、終わりがないことは何にも通じる厳しいものです。クリエイティブな仕事であれば、才能があり努力を怠らなければ、瞬間だけ輝いていれば一時代を創ることができますが、伝統を守りながら時代に即した味を追求することは、一瞬の火加減やタイミング、非可逆的な仕事からのストレスを乗り越えるだけの精神的、肉体的な強靭さがなければ、常に安定した仕事はできません。

私の場合、どのような寿司職人の店が好みかといえば、上記の1〜3であります。
従って年配の鮨職人の店へ通うことになります。その店に後継者が育っている場合は、親方が引退しても通い続けることができますが、一代限りでお終いになってしまうような店の場合、たとえ足繁く通ったとしてもプツっと縁が切れてしまう畏れがありますので、気が向いたときにしか訪れません。若い職人の店は、気負いすぎているため、こちらの肩が凝ってしまいリラックスすることができず好きではありません。こちらは普通にしているのですが、なんだか勝負を挑まれているような間合いがあります。私には若者を育てようという驕りも財力もありませんから味見だけして通い詰めることはありません。

では、「ほかけ」はどうなんでしょう。
暖簾を分けて引き戸を開けて店に入った時、つけ場から私を見る矢崎親方の鋭い視線を一瞬感じました。
物腰の柔らかい和服姿の女性に案内されカウンター席に座ると親方以外に修行中の若い衆が一人いました。親方からたくさんの仕事を教わり、日本の貴重な江戸前寿司を伝承するために必死に学んでいる様子が窺えます。

食べたいものから、墨烏賊、鮃、とり貝、青柳、小鰭、煮蛤、〆鯵を二貫ずつ頼み、締めにのり巻きをいただきました。
酢飯は扇の地紙型に握られ、幾分厚めに大きめに切られた寿司種が親方の掌の中で一瞬のうちに酢飯と熟れ一体化します。刷毛で塗る煮切りは少しきつめであり、控えめにしていただいた方が一層美味しく食べるこことができたと店を後にしてから思いました。

他に数人の先客がおり、親方は次々と繰り出されるお好みを手際良くこなしていましたが、こちらの食べ頃を見計らって実にタイミング良く「どうぞ。」と声をかけてくれます。私も食べ慣れていますから間髪を入れず食べたいものを伝えます。久しぶりに食べ手と握り手の丁々発止の寿司食いを経験しました。

矢崎親方の手は、その体躯に比べて少し大きく、たくさんの仕事をこなしてきた本当の寿司職人の手です。最近は、このような見事な手捌きをする寿司職人が少なくなりました。喜久好の清水親方(引退)、鶴八の師岡親方(引退)、弁天山美家古の内田親方(現役)、喜寿司の油井親方(現役)など、嘗て花街(カガイ)の需要をこなした正確で素早い手練れ職人の仕事を見ることができなくなってしまうのは、時代の変化とはいえ日本文化の大きな損失です。


***

(一回目のコメント)ー移転前の店にてー


本来、寿司は予約しなくても暖簾をくぐってプラっと寄って食べることのできるファストフードであります。

砂場や鉄火場の職人が、仕事の合間にちょこっと手早く摘まんでさっさと仕事に戻るような食べ物でした。
いつの間にかどうしてこんなに高級な食べ物になってしまったのでしょうか。原因は、銀座という場所にあると私は考えます。夜の街銀座では、“同伴出勤”という習わしがあり、クラブの女性が、お客と一緒に食事を軽くとってから店に行きます。

 「ねぇ、今度美味しいお寿司が食べたい。」、「フランス料理もいいなぁ~。」と綺麗どころに言われては、「よっしゃ、連れて行ってやる。」と見栄を張ることになり、結局、寿司屋の客単価は高くなるのです。

結果として、良い店が集まり、優れた寿司職人が生まれ、築地とセットになって街が活性するのですが、自腹で食べている一般人はたまったものではありません。

ここ「ほかけ」は、そんな銀座で非常にオーソドックスで素晴らしい味の寿司屋です。

  • ほかけ -
  • ほかけ - 夜10時過ぎの店
      築地へ通う自転車が置かれていた

    夜10時過ぎの店 築地へ通う自転車が置かれていた

  • ほかけ - 丹波の酒「鳳鳴」

    丹波の酒「鳳鳴」

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oggeti209

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店舗情報(詳細)

店舗基本情報

店名
ほかけ
受賞・選出歴
2020年Bronze受賞店

The Tabelog Award 2020 Bronze 受賞店

2019年Bronze受賞店

The Tabelog Award 2019 Bronze 受賞店

寿司 百名店 2022 選出店

食べログ 寿司 TOKYO 百名店 2022 選出店

寿司 百名店 2021 選出店

食べログ 寿司 TOKYO 百名店 2021 選出店

ジャンル 寿司
予約・
お問い合わせ

03-6383-3300

予約可否

予約可

住所

東京都中央区銀座4-10-6 銀料ビル 1F

交通手段

東銀座駅徒歩2分

東銀座駅から107m

営業時間
  • 月・火・水・木・金・土

    • 11:30 - 14:00

      L.O. 13:30

    • 16:30 - 21:00

      L.O. 20:30

  • 日・祝日

    • 定休日
  • ■ 定休日
    第3土曜
予算(口コミ集計)
¥20,000~¥29,999 ¥20,000~¥29,999

利用金額分布を見る

支払い方法

カード可

(JCB、AMEX、VISA、Master、Diners)

席・設備

席数

9席

(カウンター9席、個室1室)

個室

(4人可)

禁煙・喫煙

全席禁煙

駐車場

空間・設備

落ち着いた空間、カウンター席あり、座敷あり

メニュー

ドリンク

日本酒あり、焼酎あり、ワインあり、日本酒にこだわる、焼酎にこだわる

料理

魚料理にこだわる

特徴・関連情報

利用シーン

接待 一人で入りやすい 知人・友人と

こんな時によく使われます。

サービス

ドリンク持込可

お子様連れ

お子様には向かない。

備考

【2008年2月中央区銀座4より移転】

初投稿者

PriPriGoPriPriGo(425)

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