小鰭の本質、仕事の本質 : ほかけ

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寿司TOKYO百名店2022選出店

食べログ 寿司 TOKYO 百名店 2022 選出店

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4.0

¥10,000~¥14,9991人
  • 料理・味4.5
  • サービス4.0
  • 雰囲気3.5
  • CP2.5
  • 酒・ドリンク-
2017/11訪問1回目

4.0

  • 料理・味4.5
  • サービス4.0
  • 雰囲気3.5
  • CP2.5
  • 酒・ドリンク-
¥10,000~¥14,9991人

小鰭の本質、仕事の本質

こちらは長年の宿題店で、他所で握りのみのお任せを戴いた後に近くまで来たのでちょっと覗いてみようとようやく訪問に漕ぎ着けた。
創業は今年で79年との事で、以前は銀座四丁目の三越裏手側にあったが再開発で現在のビルへ。
店内は昔ながらの屋台の趣きを残した宮大工が手掛けたとされる造作で古き良き時代の鮨屋の流れが見て取れる。

3代目矢崎親方と息子さんの御二方が漬け場に立たれ、握りは親方が担当で息子さんはサポート。

カウンターのみの席で熱いお茶を一服戴き、〆物と煮物仕事の種を教えて頂き、早速お好みで下記の通りお願いした。

酢飯は昔ながらの塩と赤酢(?)、少量の砂糖の入った味付けで嫌味の無いマイルドな味。
昔のシャリは塩っぱかったが、今はねと親方。
甘さは殆ど感じない絶妙な調味で、すぐにわかってしまう野暮ったい味ではない。
炊き加減は米の外側には張りが有り、噛むとスーっと歯が入っていく。
握りは捨てシャリ一回は毎回同じ量の様であるが、3手以内で仕上げる。
決して流麗では無いが、3代目親方は81歳9ヶ月(29年11月現在)とは思えない矍鑠(かくしゃく)とした語り口に握りの手捌き。
新規店で流行り(?)の硬めのアルデンテの如しパッツリとした張りに押し返す弾力は無いが、艶めかしく魚と寄り添い、交わり合い、種と共に喉元へ向けて終焉となる。
それは確たる握りの技術があって、口内で解け易くするためにシャリを硬めにして水分含有量と粘度を下げて解れ易くしなくともハラリと崩れるからだ。
昨今のシャリの温度をこまめに調整するためのシャリ替えは行われないため温度は常温かやや逓減。

握りの形は決して綺麗とか言えないが無骨ながら洒脱。
カウンターに鮨が置かれると若干鮨が沈み込む握り加減だが周りはキチンとコーティングされている(握り固められている)。
カッチリの様でフンワリ、之れ如何に?!
若干水分量が多く感じるが、ここのところややハードな炊き上がりのシャリの店訪問が続いたこともあるので慣れからの差異もある。
しかし米粒の表面は滑らかで、上記の様な噛み応えだ。
際立った美味さとは言えぬまでも、古風な江戸前鮨店の中でも秀逸なシャリではなかろうか。
派手に種のポテンシャルを上げる鬼嫁では無く、日本女性の奥ゆかしき美しさと重なる。
〆物や煮物とのマリアージュは完璧。

握りも大ぶりで飲み鮨やおひい様のそれでは無く、鮨だけでも満足出来るだけの丁度良い大きさ。
特に小鰭の握りの美味さたるや五本の指の中に確実に入る。

この日戴いた鮨種は春子、小鰭、〆鯖、蛤、穴子、小鰭、干瓢半巻で締めて10,700円弱。
某氏がレビューしていた一貫あたりの金額と肉薄する。
素材的にはとてもピンとは言えないが、厳しい目で選び抜かれた食材の奥底に眠る素晴らしい味わいを導き出す仕事を施されている。
中でも大変感銘を受けたのが先に述べた通り小鰭だ。
当方が小鰭についた感じたことをこれから述べたい。


◉小鰭
超白眉!!
これ程海苔の様な風味のする小鰭の握りは食べた事が無い。
ここの小鰭が日本一と言われている人もいらっしゃるが、強ち嘘とは言えない。
観るからに皮目は柔らかそうで実際障る所無し。
小鰭とはこういう風味のする魚なのかと改めて思い知らされた。
ひと噛みしただけで小鰭の全ての要素が分かる程のポテンシャルの引き上げ方が半端無く、ふんわりとした優しい身質は海苔の様な風味を感じる事が出来た。
こんなにも豊かな海苔の風味がするのは餌のプランクトンが生息する場所にアサクノリ(又はスサビノリ)の繁殖地が広がる有明海か、皮の柔らかみから木更津あたりの江戸前の素晴らしい個体の様な。

昔大森でアサクサノリの養殖が盛んだった頃の小鰭は海苔の風味がしたと羽田の元漁師の息子であった伯父が話していたのを思い出す。
有明海の海苔養殖の技法は大森の元海苔漁師より生育技法を伝授されていると聞く。
環境も江戸湾に似ていれば、そこに生息するプランクトンやそれを餌にする魚も自然に。海苔の風味を身に纏うであろう。

話が脱線したが、〆は塩の利かせ方、酢の利かせ方がその個体個体で絶妙に合わせてあり、鈍でもなければ拷問でも無い(〆が足りないレアでも、酢の酸がキツ過ぎ調味料が勝ち過ぎているわけでもない)。

言わばこの小鰭の本質な要素の引き出し方はこれだというピンポイントを突いた様な、手を掛け過ぎ無い、調味料の力に頼り過ぎ無い良い意味で枯れた味わい。
それは余分な物事を取り除いたある意味別次元の到達した技。

そこにそっと寄り添うシャリが小鰭の海苔の様な風味と混ざり合いながら、次に柔らかい身と脂の旨味をしっかりと受け止めて、どちらが先に消えていく訳でもなく、共に果てまでという具合だ。

ほかけの小鰭の握りほど、小鰭という魚の本質的な要素、それは風味とか旨味とか断片的な面だけでは無く全体的な意味合いで小鰭の良い面をしっかりと引き出し、癖や尖った面を巧く取り除かれている。
小鰭よりチョイと大きく、ナカズミまでにはいかないサイズで身の厚みも然程無く半身を使用し、2~3万代を取るピンのネタを調達する鮨屋の様な小鰭では無いのにこれ程の味わいを醸し出すんだから凄過ぎる。

余りにも美味いのでお代わりをした上で親方に伺ってみた。
〆はそんなに〆ず、その日その日の魚の個体によって〆る時間も違うとのこと。
小鰭は〆過ぎると酢の味しかしないのでうちではこれくらいでやっているのだと。
この小鰭の仕事こそ絶妙という言葉が似合う物無し!
それは絶妙を超えて超絶という言葉を贈りたい。


他にも春子にはやや塩を利かせた〆方で、旨味を凝縮させつつも皮目も身も柔らかい食感と春子の風味をしっかりと味わえる。
蛤は思っていた老舗タイプの濃い煮方では無く、蛤本来の要素を引き立て、ミディアムレアの茹でから漬け込みと思われる仕事が施され、食感も柔らかめで驚いた。
千葉鹿島産が昨今の鮨屋で提供される物としては定番だが、鹿島は肉質がやや硬めという認識だ。
こちらの蛤は鹿島の肉質では無い、素材本来が柔らかいのか、西の方の蛤なのか。
ツメが素晴らしい光沢感を放ち、トロリとした粘度を伴って凝縮した旨味は積み重ねられた歴史の味わいだ。
鯖は程々の厚みてわ〆方も穏やかなのだが不思議に物足りなさを感じない、これも絶妙な仕事で鯖の良さを存分に高められていた。
穴子は羽田沖の江戸前物と唯一親方自ら仰った産地の物で、見た目薄い身なのだが戴くと豊かな穴子の風味にコクのある旨味と江戸前の柔らか過ぎ無い気骨のある身質。
煮方はかなり濃い目に煮込まれた色合いだが食べるとそこまで強い味付けでは無い、素材本来の味を引き立てる甘味もキリッとしていてあとを引かない。
握る直前に炙られるガス火の匂いが少々余計だが、極上のツメを伴った穴子は間違いなく美味しい。
ツメが美味いですねぇと申し上げたところ、ツメは穴子の煮汁に醤油と砂糖だけ入れて煮詰めていくのだと教えてくれた。
干瓢の味付けもしっかりだがクドく無い絶妙な技。
最近濃いも薄いもクタクタの干瓢があるが、あれは駄目ね。
美味しさが半減する。
こちらはサクッとした歯触りが残されており、夕顔という本の素材の個性を打ち消す仕事はしておらず、私の事を忘れないでねとしっかりと顔を出してくる表情有る味わい。
海苔のパリっとした歯触りからシャリのスーッと入るところで干瓢のサックリとした咀嚼感に傾倒し、最後にサビでツンと後頭部を刺激してもらい、甘い、塩っぱい、酸っぱい、辛いetcと諸々の味わいを愉しむ。

小鰭だけと言いつつ他のネタにも言及してしまったw
一貫の値段は確かに高いが、そこを超越した何か、特に小鰭には魔物が棲んでいるかの如し味わいであった。

  • ほかけ - トップフォト 絶対旨い小鰭

    トップフォト 絶対旨い小鰭

  • ほかけ - 鮨の名店 ほかけ

    鮨の名店 ほかけ

  • ほかけ - 入口

    入口

  • ほかけ - セッティング

    セッティング

  • ほかけ - 春子

    春子

  • ほかけ - 小鰭 1貫目

    小鰭 1貫目

  • ほかけ - 〆鯖

    〆鯖

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  • ほかけ - 蛤

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  • ほかけ - 穴子

    穴子

  • ほかけ - 小鰭 2貫目

    小鰭 2貫目

  • ほかけ - 干瓢

    干瓢

  • ほかけ - 創業当時からの看板

    創業当時からの看板

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店舗情報(詳細)

店舗基本情報

店名
ほかけ
受賞・選出歴
2020年Bronze受賞店

The Tabelog Award 2020 Bronze 受賞店

2019年Bronze受賞店

The Tabelog Award 2019 Bronze 受賞店

寿司 百名店 2022 選出店

食べログ 寿司 TOKYO 百名店 2022 選出店

寿司 百名店 2021 選出店

食べログ 寿司 TOKYO 百名店 2021 選出店

ジャンル 寿司
予約・
お問い合わせ

03-6383-3300

予約可否

予約可

住所

東京都中央区銀座4-10-6 銀料ビル 1F

交通手段

東銀座駅徒歩2分

東銀座駅から107m

営業時間
  • 月・火・水・木・金・土

    • 11:30 - 14:00

      L.O. 13:30

    • 16:30 - 21:00

      L.O. 20:30

  • 日・祝日

    • 定休日
  • ■ 定休日
    第3土曜
予算(口コミ集計)
¥20,000~¥29,999 ¥20,000~¥29,999

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支払い方法

カード可

(JCB、AMEX、VISA、Master、Diners)

席・設備

席数

9席

(カウンター9席、個室1室)

個室

(4人可)

禁煙・喫煙

全席禁煙

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落ち着いた空間、カウンター席あり、座敷あり

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ドリンク

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料理

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利用シーン

接待 一人で入りやすい 知人・友人と

こんな時によく使われます。

サービス

ドリンク持込可

お子様連れ

お子様には向かない。

備考

【2008年2月中央区銀座4より移転】

初投稿者

PriPriGoPriPriGo(424)

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