【0963】そつなく美味しい北インド料理店 : グルガオン

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株式会社チョティワラが運営する北インド料理店グルガオン。
姉妹店にカイバル、南インド料理店のダバインディア。
更にこのグループで修業後に独立した日本人のインド料理店として、
カッチャルバッチャル、カマルプール、ディルセなど。

アーンドラ・ダイニング、アーンドラ・キッチンのラマナイヤシェフも、
かつてはダバインディアで料理長として君臨。
東京のインド料理界を席巻している「系統」と言えるかも知れません。

有楽町線の銀座一丁目駅すぐ近くの銀座106ビル地下1階にお店。
テーブル席で40席ぐらいの店内は平日かつ地下というロケーションでも満席。
19時頃には入店待ちの行列まで出来ていました。
現地人と思しきお客さんもチラホラ、そして女子率がかなり高いです。

飲み物はサッポロ生ビール（regular 550円）を注文。
ジョッキではなくグラスでの提供で銀座価格でしょうか。
ビールの後はインドの赤ワインをボトルで注文。
グローバー カベルネシラーズ（3,200円）

食べた料理の寸評は以下の通り、【】内は個別の採点。
表示価格は内税です。

【3.4】チーズクルチャ（large 780円）

ガーリック味のインド風ピザ。
ダバインディアのチーズクルチャはプレーンなチーズでしたが、
グルガオンではニンニクを効かせているのが特徴でしょうか。

溢れるほどにチーズがたっぷりと入っているのですが、
ナン生地とのバランスという点では行き過ぎた量のようにも思いました。
そしてチーズ自体の美味しさがダバインディアより劣る印象。

生地もモチモチ感が強めで、もう少しカリッとしたほうが個人的には理想。
更に理想なのがカマルプールのゴルゴンゾーラクルチャなのですが、
銀座という立地ではクセの強い青カビチーズは出しにくいのかも知れません。

【3.5】ラム肩肉のバラカバブ（1,100円）

ガーリックとクミンを効かせた下町風とのこと。
見た目はカマルプールの「ラム肉のクミン焼き」そっくり。
ラム肩肉ということで脂のノッた肩ロース肉を使っているのでしょう。

焼き加減までカマルプールを彷彿させるミディアムな火入れで驚きました。
ただカマルプールのラムに比べると、ぼんやりした味付けという印象。
尖らせずにマイルドにしているとでも申しましょうか、
「銀座、女子ウケ、万人向き」というキーワードが脳裏に浮かんできました。

【3.5】ラムコリアンダーマサラ（1,490円）
【3.5】伝統のバターチキン（1,490円）
【3.3】ケララ地方の海老カレー（1,490円）
【3.6】ブータンの辛い野菜カレー（1,430円）
【4.0】マトンカレー パンチホロンの香り（1,490円）

メニューを見ると「南」のダバインディアとの違いをあまり感じませんでした。
ケララ地方の海老カレーの「ケララ州」はインドの南端に位置する州。
ダバインディアのメニューにも北のカレーが多かったです。
美味しければ南北問わずに出すというスタンスなのでしょう。
ブータンのカレーまでありました。

ラムコリアンダーマサラはダバインディアでも食べたことのあるメニュー。
しかしダバのときほどコリアンダーの爽快さを感じられませんでした。
単品で1,500円近い高級なカレーだけあって申し分なく美味しいのですが、
グループ他店と比べると物足りなさを感じてしまったのもまた事実。

バターチキンは濃厚というより淡麗なように感じてしまって、
カッチャルバッチャルで感動したバターチキンに比べると見劣り。
インドのカレーにしては塩分が少ないようにも思います。
ダバインディアやアーンドラ・キッチンのカレーは塩分が多くコクも強い反面、
しょっぱいと女性客には不評なこともあるようです。

さて女性客の多いグルガオン。
ラムコリアンダーマサラは唐辛子マークが2つ表示されているのに辛くなく、
塩分も辛さも控えめなマイルド路線を目指しているのかも知れません。

ケララ地方の海老カレーは更にマイルド路線で甘くてクリーミーかつオイリー。
南のカレーということで爽やかさを期待したのですが「北」のような脂っ濃さ。
南インドでよく使われるカレーリーフこそ上に乗っているのですが、
どうも活かしきれていないように感じてしまいます。

追加注文のブータンの辛い野菜カレー（唐辛子マーク3つ）。
ラムコリアンダーマサラの経験から唐辛子マーク5つに辛さ増しオーダー。
アルゴビ（ジャガイモとカリフラワーのカレー）にトマトと青唐辛子。
そんなイメージのカレーですが青唐辛子の辛さと爽快さが美味しさを引き立てます。

唐辛子には辛味だけでなく旨味もあるので使用量アップで美味しさもアップ。
行き過ぎた辛さではバランスが壊れて美味しくないのですが、
インドカレー（ブータンですが）であればこれぐらいの辛さのほうが美味しい。
同店のカレーはおそらくデフォルトでは辛さ控えめにしていると思います。
自分好みにアレンジすることで魅力が増す可能性を感じました。

最後に注文したマトンカレー パンチホロンの香りは逆転ホームラン級の美味しさ。
ベンガルのスパイスミックスを使用した羊肉のカレーですが、
今までのカレーには無い「コクの強さ」があって好みにストライク。

チーズクルチャやバラカバブといったタンドール料理はカマルプール。
ラムコリアンダーマサラはダバインディアに軍配。
バターチキンはカッチャルバッチャルのほうが美味しくて、
同店の特長がイマイチ掴めないでいたのですが最後のマトンカレーには感動しました。

カレーと一緒にナン（380円）、ガーリックナン（550円）、イエローライス（360円）、
バスマティライス（420円）も注文しましたがいずれも標準以上の美味しさ。
イエローライスは日本米に見えましたが硬めの炊き加減でインドカレーと合います。

女性向けのマイルド路線に思う部分もあるのですが、どの料理も美味しい実力店。
ダバインディアの姉妹店だけあって凡百のインド料理店とはレベルが違いました。
掘り下げれば「パンチホロンの香り」以外にも感動級のメニューがありそうです。