五十嵐ワールドは素敵だけど : ル・マノアール・ダスティン

2015/7/13初訪

ちょっとよんどころない事情で、会食というか、打合せというか、相談に乗るというか。
そんなシチュエーションでの利用でした。
場所は先方指定です。
又、この日は参加者の都合であまり時間が無く、デザートまで含めて1時間15分程度でお願いという状況でした。
と言うわけで、本レビューは暫定的だとお考え下さい。
料理の評価もある程度は個々のお皿の感想を書きますが、全体像中心で書かせていただきます。
ペースを上げてもらった分はこちらでも勘案しなければいけないと思ったので。

オーナーシェフの五十嵐さんのお名前は存じ上げていましたが、そのお店がここにあることは知りませんでした。
ここ5年くらい、フレンチというジャンルにあまり興味がわかなくなってきたのがその理由だと思います（もっと前からやってるよ！的な突っ込みはご容赦を)

お店の前に付いたらば、その相談したい方がすでにスタンバっていました。
開店と同時に入店。
この日のランチは、その方がお任せでお願いしてありました。

私は食前に必ずサプリメントを飲むので、どのようなお店に行っても最初にお水をもらいます。
「すみません、ちょっとお水をもらえますか？」的な感じです。
毎度のことなので底まで気にしてはいませんが、フレンチでもイタリアンでもこっち系統のお店では「ガス無しがよろしいでしょうか？ガス有りがよろしいでしょうか？」な感じでお答えいただくことが多いです。
なれていますので「あ、すみません。サプリを飲みたいので｣と答えると、にっこり笑ってすぐにお水を出してくれるお店と
「水道水で良いですか？」的なお答えを頂く場合と二つに分かれます。
もちろん言い方は様々ですが。
當店は残念ながら後者でした。
正直少し萎えます。

閑話休題

全員揃ったので、とりあえずの飲み物と言うことで、画像のシャンパンをボトルで頂きました。
乾杯が終わったあとで食事開始。
アミューズから始まったコース、流石にかなりボリューミーです。
スペシャリティといわれる、ブーダンノアールはさすがと納得です。

前菜も當店のスペシャリティ「人参のムースとコンソメジュレ ウニ添え」
このコンソメジュレ、流石です。
ムースはあまり主張しない代わりに濃厚な雲丹の旨みが口に広がります。
この感じにぴったりのコンソメ。
流石は五十嵐さんですね。

で、この辺りから冒頭で申し上げたとおり、若干｢マキ｣が入り始めましたので詳細描写は割愛。
スープの変わりと言うことで出された、お魚とアスパラの冷製はすっきりとしています。
この季節ならではの味わいかな？
次の魚料理。
シャコを使うんだ。
フレンチでも一般的な食材なのでしょうか？
私はその辺の知識がないので、ピント外れなのかもしれませんが、この日一番感動した食材かもしれません。
もちろん主役のマナガツオも素敵なのですが、このソースにシャコ、ベストマッチングでした。
シャコをここまでねっとりさせる技術、凄いなぁ。
翻って少しだけがっかりしたのが骨付き子羊のロースト。
「お手を煩わせない」と言うことで、最初から骨とお肉の間をカットされてきました。
この配慮は嬉しかったのですが、なんというか、その・・・・・
このカット下手(^-^;
調理スタッフの若い方がカットしたのかな？
肉の一番旨い部分をかなり残してのカット。
かといって骨を直接しゃぶるわけにはいかないし(^-^;
お肉自体は少し熟成がかかっていて、又火の通し方も最高だったので、余計にがっかり感が増しちゃいました(^-^;
これは要指導だと思うなぁ。
ソースは抜群です。
確かにクラシカルですが。
添えられたお野菜に、トウモロコシのフリッター(？)がありましたが、これは個人的には不要だと思いました。
カリフラワーとズッキーニは旨い。

で、この辺りから更にマキが入ったのでデザートについては割愛。

で、ここからは少々苦言。
お皿はフレンチ素人の私でもなるほどと思えるストーリーだし、一部を除いて目が覚めるレベルで美味しい。
さすがは五十嵐さん。
なのですが。
それをサーヴする側は、もう少し基礎を見つめ直した方が良いと思います。
この雰囲気(クラシカルと言うことも相まってですが)で、呼ばないとシャンパンのグラスが空いたことに気がつかないとか、グラスワインの勧め方にわくわく感がないというか、そそられる感が起きないとか。
葡萄のことを詳しく言っても理解できないと思われたのかなぁ？
この日のことだけかもしれませんが、女性のサーヴィスは笑顔とか和むとか期待させるとかに欠けていて、男性のスタッフ達は正直目が行き届いていませんでした。

確かにこの日は急がせてしまった部分もありますが、何とも残念。

最後に五十嵐さんがお見送りに来て下さいました。
その柔和な笑顔と、一仕事をきちんと終えたことを伺わせるコックコートの感じがとても素敵でした。
でも間違いなく、ここは再訪したいです。
今度はゆっくり時間をかけて。
料理を考えると安いくらいですが、サーヴィスを考えると高い感じになってしまうのが残念でしたので確かめたいです。
ごちそうさまでした。