再訪: そのときによって違うのはわからなくもないですが… : 麦酒工房 Awa新町川ブリュワリー

　9月某日の夜に伺いました。最近、こちらのビールはイベントなどでも触れる機会が増えましたね。徳島駅前のお店もはじまっていますし、いわゆるクラフトビールを安価でたくさんの方に提供されるという姿勢は大変ありがたいと感じています。

　ペールエールをいただきました。うーん…。以前から少し思っていて、書くかどうか迷っていたのですが、事実と感じたことを率直に書こうと思います。なんというか、けっこう味のブレ幅が大きいです。それは大手(アサヒやキリンのような)ではなく小規模醸造であるから、ともいえなくはないですが、同規模のブルワリーさんと比較してもちょっと幅が大きいかな、と…。一番思うのは、以前からですが残糖感(飲んでるときもしくはその後に残る、べとつきのある甘味)が強すぎると感じることが多いです。発酵が十分にすすんでいないのでは？と思うことも。消費量ふえて、若干工程短めで出荷されてないですかね…。その一方で、草っぽい苦味がおいしいと思いつつもときどき渋すぎることがあり、バランスが崩れているなと感じたりも。
　こんな風にかくといまひとつかもしれませんが、きちんとした状態のものを飲めばかなりおいしいと感じることもあるんですけどね。それを含めて、味が変わることがいわゆるクラフトビールの良さと捉えるかどうかは人それぞれだとは思うのですが、あくまで個人的にはもう少し安定していたらいいなと思います。なんだかんだでメディア露出や場所柄含めて徳島を代表するいわゆるクラフトビールのお店だと思うので、調子がいいときのようにいつもおいしく飲めたらもっと幸せですね。

　直近の再訪は2016年9月再訪。7,8月にも再訪してました。きっかけはこちらのブルワリーでもIPAを作ったという話を聞いたからです。これまでの経験から、正直あまり期待してなかったのですが…。ごめんなさい、これまでの評価を訂正します。いままでとは別物のように美味しくなっています！これはびっくりしました。。ほかのビールも確認してみましたが、ペールエール・スタウト・ビターともに、やはり味が全然違います。これまでよりも確実にモルトの存在感が強くなり、いままで感じられていた薄っぺらい印象がかなり弱くなっていました。あまりに違うので、なにか変えたのかとお店の方に聞いてみたところ、春～夏頃からモルトの調達方法というか麦汁の仕込みというか、、が変わったとのこと(逆に、これまでやってなかったのか？と思うようなことなのですが…何が変わったのかは伏せておきます、そういえばそれをどこまでやってるのかは聞き忘れました)。また、ブルワーさんも新しい方が入ったとのことでした。

　先日はビアフェスも行っていましたし(出身元である吉備土手さんの一門が中心でしたね)、徐々に改革が進んでいる印象をうけます。今後に期待しています！


(以下　2016年1月)
　2016年1月に伺いました。新町川ボードウォークのほとり、徳島駅から眉山ロープウェイ方面にむけて5分くらい歩いた橋のたもとです。立地はかなりいいですね、県外のビール好きもふらっと立ち寄ることができそうです。

　お店に入ると先客1名のみでした。席をとり、キャッシュオンデリバリーなのでレジへむかいます。現在のビールは、ペールエール、ビター、スタウトと、樽替わりで岡山の吉備土手下麦酒醸造所さん(こちらの店主さんが修行したところですね)からの輸入、および樽替わりのフルーツビールが置いてあるみたいです。サイズはグラス(180mlの逆台形みたいなやつ)、ジョッキ、UKパイント、ピッチャー、ですね。今回はまずペールエールのパイントと、つまみとしてフィッシュアンドチップスとケイジャンチキンをいただきました。

　ドリンクはその場で提供してくださいます。注ぎ方は賛否あると思うのですが、結構コストを重視されているのかもしれませんね。ですが、後述しますがコストはとても重要なことではあると思いますので、一概に良い・悪いを決めつけるのは難しいのかもしれません。

　ここのお店のビールは麦芽少な目(ローモルト)で大麦を使うことによってコストを浮かせているようですね。この手法でビール(日本の税制上は"発泡酒"になります、発泡酒の場合は麦芽含有量で税金も違います)を作っているところはそれなりに見かけますね。吉備土手さんの一門はその代表的な作り手といっても過言ではなく、クラフトビールの裾野を広げようと努力されていること自体は素直に評価すべきかもしれません。

　この日のスタッフは店主さん(ブルワー)と奥様(ホール・キッチン担当)のお二人なのでそんなに早く食事が提供されることはないだろうと思い、ゆっくり飲みながら待ちます。一口いただきます…アメリカ系の華やかなホップの香りと、意外と感じられるホップの苦み。ローモルトゆえに(それだけじゃないでしょうが)どうしてもボディが軽く思えます。また、ベトッとした甘みも感じられます。しかし、じつは数年前にもここのペールエールを飲んだことがあったのですが、そのときよりはホップ側に味を振っているように思えます。…そのほうが個人的には好きです。

　待つこと10分弱でフィッシュアンドチップスが到着です。揚げ加減・塩加減ともに悪くない。温度も温かいですね。付け合わせのタルタルソースも程よいさっぱりさとコクがあります。さらに5分でケイジャンチキンがきました。ブロック肉を想像していたのですが、実際には3-4cm角大のものが多数炒められていました。なんとなく、ケイジャンチキンっぽくない？…見た目はどちらかといえば赤系になると思うのですが、こちらのはそうでもなくパプリカなどを使っているようにはあまり見えず、辛味もちょっと物足りない…ような気がしました。クミンを含むガラムマサラかなにかでさっと炒めているような？でも、味自体はまずまずだったと思います。

　引き続き、ビターをパイントでいただきました。ビターはイギリスの代表的なスタイルで色はゴールド～銅色、甘みは弱い～中程度。苦みは中程度。その他云々をすっ飛ばすと、そんなビールなのですが…。こちらのものは、色は銅～焦げ茶、味付けは結構甘く作っているようですね。エステルというか、フルーツ感もあまり強くない。苦みはそんなに強くなく、ビターなのであれば裁量次第ではあるもののもうちょっとホップを足してもいいかも？とも思いましたが、品評会に出展するのではなく一消費者単位でいうのであれば、好みの違いで説明してしまって良いと思います。

　その後、樽替わりのフルーツビールとしてすだちハニーをいただきました。これ、2015年のインターナショナルビアカップで銀賞とってるんですよね。本当におめでとうございます。受賞部門はspecialty honey beerですね…アロマ・フレーバーともに蜂蜜を感じるけどもビール全体と調和することが要求されるスタイルです。国内では、福岡・ケイズブルーイング(ブルーマスター)のかぼすハニーなどが有名でしょうか。では、いただきます…たしかにしっかりとした蜂蜜を感じつつ、すだちの香りと味も結構強いレベルで感じられますね。甘すぎず、すっきりとした味わいです。欲をいえば、もう少しコクがほしいかなぁとも思いますが、好みの範囲内でしょう。徳島の名産品を使い、形にしているということ自体を高く評価したいと思います。

　しめて3000円少々でした。(まがりなりにも)クラフトビールを1.3Lくらい飲んで、フードも頼んでいますから、高くはないです。めっちゃ安いとも正直思いませんが、値段を抑えようとしているお店の姿勢は伝わってきたように思いました。一方で、あくまで個人的にですが値段をあげてもいいのでもっと麦芽含有量の高いビールも飲んでみたいと感じました。麦芽至上主義ではないのですが、どうしてもボディが足りずに水っぽさ、薄さが気になってしまいます。そのぶん税金を含めたコストは増えるので、リスキーなのかもしれませんが、いい製品を作っていればきっと顧客はついてくると思います。。

　徳島のクラフトブルワリーはここと上勝のRISE and WINさんだけです。どちらもますますのご発展を祈念しています。ごちそうさまでした。