全国手打ちラーメン紀行㊲佐野で大変希少となった純手打ちの代表格 : 佐野やつや

＜はじめに＞
冷やしラーメンシリーズを続けようと思いつつ、残りは評価点４．０よりも低いお店だったので、再度手打ちラーメン紀行の記事に戻ります。
ここ数年かけて全国の手打ちラーメンのお店を調査して、ようやく純手打ちかどうかというところが分かり始めてきたところだったのですが、調査すればするほど、実は手打ちでないお店がほとんどであることが分かり、このままですと、暴露本の出版になってしまうレベルになって参り、正直途方に暮れております。
以前のレビューでも書きましたが、福島県の手打ちで有名な白河ラーメンですら、実際に手打ちでやっておられるのは１０軒前後という衝撃的な事実が判明し、さらに佐野ラーメンにおいても、聞き込み調査を続けていくと、手打ちとして謳っている１００店舗以上のお店の内、実際に手打ちなのは、１０～１５軒だという。。。。商工会議所を含め、多数の関係者に確認したところ、どれだけ多く見積もっても２０軒は無いという。。。。

特に純手打ちの場合、打ち手が１人だとすると、１５０玉以上作るのは難しいと言われています。東京の手打ちで有名なお店ですと、打ち手が３人くらいおられて、朝から晩まで交代で打ち続けて、何とか純手打ちを維持しているお店もあります。

最近は機械の性能が飛躍的に上がったようで、正直手打ちか機械打ちかなんて、分からないレベルまできているようであります。また、実際の麺の出来でいうと、圧倒的多数の方が、機会打ちで仕上がった麺の方が美味しいと感じるようでもあります。

食べログ上位のお店も、昔は純手打ちでやっていても、客が多くなってからは、デモンストレーションとして、手打ちをしているものの、実は大方は機械打ちで済ましている、いや機械打ちでしか対応できない客の多さになっている状況と言えます。

まあ、個別のお店の名前は出さないですが、今まで手打ちと思っていたお店の多くが実は手打ちでないという衝撃の事実が分かり、少し落ち込んでいる今日この頃であります。

そのような中、佐野市の方からも手打ち職人の育成につき委託を受けて、中心的に頑張っておられるのが、こちらのやつやのご主人さんです。正真正銘の手打ちの佐野ラーメンが間違いなく頂けるお店の数すくないお店の１つであります。
それでは、２人でお伺いして、２つのメニューをシェア致しましたので、レビューしたいと思います。

＜佐野ラーメン（６５０円）＞
最初に頂いたのは、こちら佐野ラーメン。
もう、メニュー名から、「これが佐野ラーメン！」と言わんばかりのネーミングであります（笑）
●麺
まず、肝心の麺ですが、明らかに他の有名店とは食感が全く違います。
少しうどん的というか、コシはあまり強くなく、大変柔らかい麺といった印象を受けます。
個人的な好みでいうと、偽手打ちであっても、もう少しコシがあった方が美味しいと感じるかもしれません。まあ、写真をパシャパシャ撮り過ぎて、少し麺が伸びてしまったのもありますので、判断は難しいところでありますが。

●スープ
こちらも大変クラシックというか、今流行りのスープというよりも、昭和なレトロな味であります。旨味成分を前面に出している最近スープに比べて、シンプルで、若干しょっぱさを感じさせる懐かしい味であります。
実際、元祖の佐野ラーメンに近い味だそうで、実際はこれよりもはるかにしょっぱいスープだったそうです。見た目もより醤油が効いている感じで、富山ブラックとまではいかないまでも、今流行りのスープは、もともとの佐野ラーメンのスープとはかなり乖離しているそうであります。

＜野菜たんめん＞
こちら、正直、かなりの量であります。野菜の量もそうですが、麺やスープも佐野ラーメンの並の倍近くある印象を受けます。この後、色々と回ろうと思っていましたが、この一杯により、訪問できる軒数がかなり落ちてしまいました（笑）。こちらも昔ながらのたんめんで、正直量と格闘しましたが、美味しく頂くことができました。

＜総括＞
佐野ラーメンの変遷や、多くの情報を得ることができました。実際、この店を後にして、純手打ち確定のお店をいくつか回らせていただき、大変勉強になりました。純手打ちのお店の多くが、食べログでの評価点が低いお店ばかりであり、流行らないから純手打ちがこなせると言っても過言ではないのかもしれませんね。
真のラーメン通の方で、手打ちにこだわられる方は、是非一度行ってみて下さい。昔ながらの昭和な佐野ラーメンが堪能できることでしょう。こういった、昔ながらの純手打ちの佐野ラーメンのお店は、店主の高齢化により、どんどん姿を消していっています。佐野市の観光課の職員が焦るわけですね・・・・。好みか好みでないかは別として、是非佐野ラーメンを語る上では訪問すべきお店の筆頭ではないでしょうか。