外観がアレで、打ち方もソンなん?!…だけど修善寺で美味しい蕎麦を楽しく食べたきゃ、ココでしょう。 : 十割そば さくだ

修善寺は『黒米』と『蕎麦』が有名らしいが『ビーフシチュー』も隠れた名物らしいので、今回は私も頑張って事前に色々なお店をリサーチして候補に挙げておいた。

しかし「昼食どうしようか？」の話が出た【茶房　芙蓉】で既に、修善寺へ来て３店舗目の食事処となっていた。

ご飯類は食べられないが蕎麦だったら…という事で、蕎麦屋に絞って検討する。

『蕎麦屋』に絞ってはみたが、修善寺温泉周辺は小さな繁華街だが蕎麦処が密集している。
先日１度は行く気になっていた【朴念仁】は、色々と考えたが…「行かない」と結論付けた。


それよりも今日一日、『竹林の小径』（※ﾐｼｭﾗﾝ・ｸﾞﾘｰﾝｶﾞｲﾄﾞ・ｼﾞｬﾎﾟﾝ★★を209.2011に獲得の観光地）を中心に何度も通りを往来してきたが…どうも気になる店がある。

ヨシズに囲われた、透明アクリル板の掘っ立て小屋…小屋かどうかも怪しい其処は、【屋台　さくだ】と書いてある。
なんと蕎麦屋！
しかも十割！
メニューは５種類オールワンコイン５００円！

１４時近いのに私達の前に２組待ち客が居たが、程無く席に潜り込む事が出来た。
店内はカウンター席のみで８つ、丸太を切って上にクッションを乗せたような席がある。
（実際には６人しか座れないが…）

Ｌ字型カウンター席に囲まれた厨房（？）に、年配の男性店主と補助の女性店員さんがいる。

移動屋台かと思ったが、カウンターにある名刺を拝見するとちゃんと住所が書いてある（笑）。
水道も配管されていて流しもあるので、充分屋台としての条件はクリアしている。
強風が吹いている時の営業が心配だが…。

お薦めは『塩』だというので、『塩蕎麦　５００円』『地のり蕎麦　５００円』をお願いする。

店主はおもむろに、予め仕込んで寝かせてあった『陶芸の粘土』の様な蕎麦生地の塊を取り出し、ちぎって秤にかける。

ソレを『土団子』の様に両手で丸めると…私達の目の前にあった、湯が煮たたった大鍋の上部にセットしてある『蕎麦繰り出しマシーン（？）』のシリンダー部分に装着すると、脇のコンプレッサーが『bu...bu....シュッコーン！！！』と音を立て、ところてん方式にシリンダーから蕎麦が押し出されて来て煮たたった湯の中へ自動的に入って行く。

店主が手に持ったヘラの様なもので、適当な長さの所をカットして…およそ、１分。
軽く鍋の中で泳がせた後、ザルで掬い上げ流しの流水へつける。


水切り後、小さなスノコが轢かれた皿の上に盛り付け、ミネラル塩をふり掛け、摩り下ろしたばかりの本ワサビ・長ネギの千切りを乗せて
「おまちドウ！塩だよ！よく混ぜて食べて！」
と言って差し出す…
（小っさッ～！やっぱ５００円は５００円。観光地価格か～ぁ…）
と思ってたら、次に出された白いボール容器の其処に『底上げ用のすのこ』の上に塩蕎麦と同じ位の分量の蕎麦と、ガラスの蕎麦猪口に入った出汁が提供された。
上に地海苔が乗っている…（これも小っさ～ぁ！）。
ε=(｀・ω・´)ﾌﾟﾝｽｶﾌﾟﾝ!!
地海苔蕎麦をオーダーした夫は少しムッとした（らしい）のだが、次の瞬間
「違うよ、あんたのじゃ無いよ。これ、『塩』の人の蕎麦」

…？

「『塩』は『塩味』と『地海苔』と２種類食べられるんだよ～。お得でしょ」
ほお～っ！それじゃ、両方とも私んのじゃん♪

続いて、コンプレッサーが『bu…bu…シュッコーン！！』となって、今度は底上げされていない夫のオーダーの地海苔蕎麦が提供された。


蕎麦は、機械で押し出されて来ているのだが…微妙に手打ちの様に太さが違う。
何故なら…この機械は手作りで、押し出し部の太さをワザと疎らにして貰い、田舎蕎麦風を実現したのだとか…？！

蕎麦の専門店と比べてしまうと、多少水切りは甘く、作り置きしていた少し甘めの『辛汁』はＰＥＴ容器に入れられ何の風情も無いが…。
とりあえず、蕎麦は普通以上に…旨い。
星も殆ど無く喉越しも良い！

観光地で人気店として祭り上げられ、長蛇の列に並んだ結果ハテナの評価を貰う店よりお薦めできる…気がする。
（え～っと、これって褒めては無いですね（笑）。しかし、実際には旨いのですよ！創り方がナンなんで、余り褒めたくは無いのですが…）

「塩はアンデスの塩を使ってるんだよ！赤い塩とか色々試したけど、これが一番合う」
と仰る。

私達の後から入って来たカップルが、店主に
「塩蕎麦って、どんなの？」と訊く。

「塩は２種類食べられるからお薦めだよ。ここら辺の人達が食べているから見せて貰ったら？」
∑(；´▽｀ﾉ)ﾉてっきとうだな～ぁ（笑）。

仕舞いに『天婦羅蕎麦を頼みたい』とお客が言うと、
「天婦羅は朝沢山揚げて疲れちゃった～。今日はもう揚げない。タヌキだったら出来るよ！」
∑(；´▽｀ﾉ)ﾉなんと！

「ごめん。ちょっとワサビ擦っておいて」
お客にワサビを差し出して擦って貰っている…。
(*≧pq≦)

ちなみに天婦羅は『イタドリの天婦羅』（山菜の一種）なんだそうだ。


そんな名物店主は、７３歳。
６９歳から『何か修善寺の町興しで出来る事をしてくれないか』と言われ、元旅館の支配人を退職後「蕎麦屋なら」という事で始めそうな。

「№１よりオンリーワンで在れば良い」という店主。

蕎麦を半分位食べた所で、何かを蕎麦猪口めがけて投げ入れてきた。
見ると『柚子の皮』だった。
主人への投球はハズレ「ごめん…」と謝る。

「蕎麦猪口貸してみ！」
というので、つけ汁が残った蕎麦猪口をカウンターの上に置くと、先程まで蕎麦を茹でていた大鍋から柄杓で『蕎麦湯』をすくって注いでくれた。
蕎麦湯まで出るんですね～（笑）

「あ、俺も！」
普段は蕎麦湯を好まない夫がボール容器を差し出すと、蕎麦湯と一握りの『天かす』を入れてくれた（笑）。

サービスは店主の気まぐれ。
恐らくどのお客に対しても同じスタンスではやっていない…と思う（笑）。
「天かす、サクサクしてうめ～ェ♪」
思わぬサービスに喜ぶ夫。


〆て１０００円。
凄く楽しく美味しく…修善寺の良い思い出になりました♪

「思い出したら、また来て見てよ！」
疲れて座り込む店主に
「また来るから、元気で頑張ってよ！」
と言って店を出た。


こんなオンリーワンの蕎麦屋があっても…良いと思いませんか？
　　ヾ(=ﾟ･ﾟ=)ﾉﾆｬﾝ♪