モダンスペイン料理を楽しむオーベルジュ（その1）：ディナー : フェリス

修善寺にあるオーベルジュです。
オーナーシェフの谷田部氏は恵比寿で営業していたスペイン料理店を2006年に移転し、修善寺の高台にオーベルジュを開業。
モダンスバニッシュ系の創作料理を提供しています。
部屋数は5部屋のみ、源泉かけ流しの温泉付。

週末に訪問。
予約は電話で。
宿泊・食事について親切に説明してくれ、丁寧で親切な対応は安心感がありました。

さて、当日。
場所は分かりにくいです。
目印になるランドマークはなくナビも頼りにならず。
細い道を迷いまくって到着。

目立った看板もない敷地にハーブ・野菜畑とモダンな建物。
落ち着いて見れば素敵な雰囲気です。
気配りのきいた丁寧な接客と簡素ながら快適な客室。
ここでは（その1）でディナー、（その2）でブランチについて書きます。

その前に・・・。
■ウエルカムドリンク
メインダイニング横のラウンジにて。
高台にあり眺望はよく、正面に見えた山の後ろにちょこっと富士山が頭を出していました。
サービスされたのは、ハーブティーとガトーショコラ・苺。

貸切風呂で青空を見ながら温泉に浸かり、ゆっくり食事前の時間を過ごしました。
部屋の冷蔵庫には無料の水とビール（発泡酒）が用意されています。

■ディナー
地元の食材をふんだんに使った13皿のコース
200種以上の食材を使っているそうです。
事前にスタッフより説明されたのは「食事はゆっくり提供され時間がかかること」。
お腹を空かせておきましょう！

夕食開始は18:00～19:00。
メインダイニングは2階にあり、ガラス張りで眺望は抜群。
窓際の景色を楽しみながら食事する贅沢な空間です。
日没間もない時は富士山の頭のシルエットが望め、その後町の夜景へと変化していきました。

●Aperitivo
小さい食前酒とオリーブ
食前酒は5種から好きなものを選択（ノンアルコールもあり）。
私は自家製サングリアを選択。

オリーブは小さなスプーンにのせてあり一口で。
黒オリーブに詰めてあったのは猪のラグー、青オリーブには鰹の煮込み。

お飲み物は白のハウスワインを注文。
水は、こまめに継ぎ足してくれます。

●季（Pinchos）
8種類のピンチョス
大きな箱でサービスされました。
説明書がついているので、一つ一つ楽しめます。
・三島豚テリーヌ、白アスパラ
・穴子、貝、Ajillo
・マグロ、ミガス
・牛舌、あんずサフランソース
・スペイン風バベット、土ごぼう
・伊豆鹿低温調理
・タコのガリシア風
・鯵のマリネ、ケッパーの実

●雲（Tortilla Nube）
スペインオムレツ　ヌーベ
泡立てた卵黄に泡立てた卵白をのせたオムレツ。
泡がふわっとして口の中で広がり、そのまま溶けていきました。

●香（Fruta de mar）
駿河湾のタルタル 海の幸・新芽・ハーブ
クスクス（緑の粒）添え。
鯵、松の実、海藻、かいわれ、アルファルファなどを3種のソース（みかん、アイオリ、野菜）でいただくもの。

●華（Jamon Serrano）
ハモンセラーノ　生ハムとメロン2017
・メロンだけでつくったメロンパンに挟んだ生ハム
・生ハムのムース・抹茶・メロン
・黄身はメロン、白身はヨーグルトで卵に見立て、ハムエッグを表現。
遊び心満載です。

ここから場面が変わります。

●彩（Hortarizas）
・イントロダクション：トマト水の泡
・プロローグ：ルッコラのアイス仕立て、紅芯大根と蓮柄のおろし、せろり添え
・モノローグ：人参の植木仕立て

イントロダクション・プロローグ・モノローグと続く皿。
だんだん何だかわからなくなってきたところで、真打登場。

・菜園のフラワーアレンジメント風
生野菜（左列）、蒸し野菜（中央列）、焼き野菜（右列）とハーブと花を、いろいろなソースで。
ソースはバジルソース、フルーツソースなど。

花畑のような美しい皿。
花はバラ、パンジー、なでしこなどなど。
全て食べられる花ということで、やや苦みもある花も含めて完食。
花と同じ位ソースと野菜の種類があったので、飽きることはありません。
花を食べること自体は変な感じでしたが・・・。

次に出てきた皿はモノトーン。
●結（Negro ＆ Blanco）
黒の料理、白の料理 静岡の自然の恵み
黒：烏賊としらすのスープで炊いた黒米をイカスミで和えたもの。
オーブンで焼いた烏賊の軟骨添え。
白：玉葱とアーモンドのベシャメルソース仕立て。
魚は油ぼうず。
オーブンで焼いたジガイを添え。
玉葱のみで出したベシャメルソースの甘味がお菓子のよう。

●奏（Pescado rojo）
金目鯛 ソテー バポール オルノ ほうれん草のクレマ
3種類の方法（※）で料理した、一口サイズの金目鯛の食べ比べ。
※頭でとった出汁で蒸したもの、ソテーしたもの、低温オーブンで焼いたもの
金目鯛の赤い皮とほうれん草ソースが美しい。

違いがよくわからかったのだけれど、焼いたものが好みです。

●層（Gazpacho）
フルーツのガスパチョ、エスプーマ、グラニテ
グラスにはトマトの泡、桃のグラニテ、紅ほっぺの泡の層。
白い皿に描かれていたのは、桃の木とミント。

さっぱりした酸味と甘みがデザートのよう。

●陽（Carne）
・1枚目の皿。
天城軍鶏、玉子とアーモンドのソース
牛の頬肉のサングリア煮
トリッパのトマトソース煮込み

・2枚目の皿。
イベリコ豚ロースト、マンゴーソース、塩
マンゴーソースは豚のイラスト、パスタのリボンつき。
可愛いですね。

●慈（Sopa）
駿河湾の恵みバスク風スープ クレマ・デ・スルガイナ
伊勢海老・手長海老・金目鯛で出汁をとったオレンジ色のスープ。
米粉のクレープが被せてあるので、そのままでもよしスープにつけてもよし。
スープの味は濃いですが、クリームが控えめだったので重さはありません。
もちもちして甘みのあるクレープとよく合いました。

●画（Postre）
冷たいデザート3種、ミロのデッサン風
メレンゲを凍らせた氷菓子、紅ほっぺのムースといちご、オリーブオイルのバニラアイス
苺・マンゴー・ミントのソースでミロの絵のように描いたもの。
満腹になりつつありましたが、これなら大丈夫。

●狂（Digestivos）
アナーキーと食後のお飲みもの
運ばれてきたのは、黒い箱。
開けてみたら焼菓子の詰め合わせ！
驚きましたが、これは持ち帰り可。
残りは部屋へ届けてくれます。

食後の飲み物はエスプレッソの他、食後酒（スペイン産5種、自家製5種）も用意。
私が選んだのは静岡みかんとバニラ。
みかんとバニラが香るやや強めのお酒。
でも満腹のせいか酔うことなく、おいしくいだだきました。

私達が座っていたのは3時間30分でした。
サービスはとても丁寧。
途中からはオーナーシェフの谷田部氏もフロアに出てきて料理について説明してくれました。

品数は多かったですが、パンなど炭水化物や油分を控えてあるので、適度な満腹感で最後までいただきました。
でも部屋へ戻ったら、かなり満腹。
『オーベルジュでよかった』と思う料理でした。

翌日は11時のブランチ。
ゆっくり休みましょう！

〈その2：ブランチ〉へ続く

修善寺にあるオーベルジュです。
オーナーシェフの谷田部氏は恵比寿で営業していたスペイン料理店を2006年に移転し、修善寺の高台にオーベルジュを開業。
モダンスバニッシュ系の創作料理を提供しています。
部屋数は5部屋のみ、源泉かけ流しの温泉付。

〈その1：ディナー〉の続き。
翌日。
ブランチは11時から。
早起きする必要はないのでゆっくり起床。

別料金になりますが、朝7時からモーニング（1,000円）とコーヒーなどドリンクも提供しています。
ブランチはボリュームがあるので、私達は前日の焼菓子等で済ましておくことにしました。
温泉に入ってお腹を空かせ、昨日と同じメインダイニングへ。

緑色のテーブルクロスが爽やかな雰囲気。
昨日より雲は出ていましたが天気は良く、最高の眺望でした。

■ブランチ
●朝のサラダ
グリーンリーフやカリフラワー・ロマネスコ・ブロッコリと蕾野菜づくし。
野菜のもったりしたソースと共に食べ応えあり。

●2種類のパンとオリーブオイル
自家製。
スポンジのような極めの細かいパンとバゲット。
オリーブオイル添え。

●タパス5品
・予熱でつくるしらすのレブレルト
・鶏と木の子のセゴビア風
・まぐろとアボカド ビナグレタソース
・青魚とアリオリポテト
・アルボンディガス
料理に合わせた特注の食器も素敵です。

●浜名湖・富士山・狩野川のスープ
浜名湖のあさり・富士山の天然水・狩野川で栽培した山葵の茎を食べて育てた軍鶏で出汁をとったスープ。
ガラスの器でサービス。
出汁の味が濃く、あさり好きとしては嬉しい一品。

●1999恵比寿からの海の幸のパエリア
オーナーシェフの谷田部氏が1999年の恵比寿時代から提供してきたパエリア。
連れが楽しみにしていた料理。
具は朝採れの手長海老・車海老・小海老・白身魚・あさり。
谷田部氏自ら2回に分けてサービスしてくれました。
レモンをたっぷり絞っていただきます！
手長海老は大きく食べ応えがあり、米に海老の旨みが浸みこんだ期待通りの味。

2回目はお焦げ。
好みにより、お焦げを多めにも仕上げてくれるそうです。
お焦げは歯につくので、私は適度にお焦げもある普通の仕上がりが好みです。

パエリア鍋は2人前。
1人あたりご飯2杯弱はあるけれど、おいしく完食。
タパスもパンもいただいた後では満腹です。

●食後のお飲み物
コーヒー、ハーブティー、カフェコンレチェからコーヒーを選択。
サービスされたお皿には「Gracias」の言葉。
コーヒーには一口サイズのチーズケーキと花。
食後の余韻を楽しみました。

チェックアウトは13:00とゆっくり。
皆さんに見送っていただき、帰路へ。
今度は迷わないよう国道に出ましょう。

楽しい時間とおいしい料理を「Gracias」！
フレンチや和食とは違うモダンスパニッシュで「伊豆の幸」を楽しめ、いつもとは違う伊豆でした。