【★4.0】名残の山菜とイノシシ鍋【2311-2】 : 田舎料理おかりば

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東京から静岡県に来ております。

山菜を求め再訪したのですが今年は全国的に山菜が終わるのが早くて、
5月に入った現在（G.W.）ではもう殆ど無かったです。
そもそも伊豆半島は採れる山菜の種類も少ないようです。

コースが4,400円から5,500円に値上がりしましたが全然安いです。
肉質の良さや鍋の彩りの良さが5,500円コースと思えぬレベルの高さ。
お客さんからの要望で11,000円コースを新設したとのことで、
鹿刺し、鹿ぬた、猪鍋の肉増量、入荷あれば猪スペアリブも出るそう。

ポコポコ酒（1合 660円）
おまかせコース（5,500円）

0.熱いお茶
1.前菜盛り合わせ Part1
1-1.花わさび三杯酢
1-2.明日葉入りの手作り蒟蒻 本わさび
1-3.山桃ゼリー
1-4.野菜（ラディッシュ、ズッキーニ、赤大根、筍、茗荷の白い部分）と胡麻玉葱醤
2.前菜盛り合わせ Part2
2-1.はるか（みかん）入りの冷たい甘酒レモン風味
2-2.いちごと春菊の白和え
2-3.サツマイモのオレンジ煮 紫芋チップス
2-4.野菜のお寿司（独活の新芽天ぷら、茗荷甘酢漬け、椎茸旨煮）
3.そば蒸し（とろろ、零余子、かき菜、干し椎茸入り）
4.芋饅頭
5.猪鍋
5-2.白米と香の物（大根・人参・胡瓜の糠漬け、沢庵漬け）
6.白桃黄桃ヨーグルト
お土産：ニューサマーオレンジ（ヒュウガナツ）

ご当地ならではの本わさびが強烈に効いた手作り蒟蒻に舌鼓。
市販の蒟蒻とはまるで別物といった官能的食感に唸りました。
メインの猪鍋が出てくるまではヴィーガンでも食べられそうな構成でありながら、
旨味の塊といった胡麻と玉葱の醤など相変わらずの素晴らしさ。

5月ということもあるのか今回は鍋に筍とネギ坊主が入ります。
いずれも同じ月に某高級天ぷら店でも出てきました。
鍋で煮込むことでネギ坊主の苦味は殆ど感じないですし、
筍本体はもちろん姫皮のコリコリやわらかな食感も鍋と相性良かったです。

そして沢庵嫌いも食べられると女将さん豪語する自家製の沢庵漬け。
市販の沢庵漬けとはまるで別物といった、少しドライなコリコリ食感。
ナチュラルな乳酸発酵だからこそ味わえる「本物」の味わい。
この後もあるので白米のボリュームを控え目にお願いしましたが、
食べようと思えばいくらでも食べられてしまいそうな飯泥棒。

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おまかせコース（4,400円、内税）滞在時間：約1時間50分

東京から静岡県に来ております。

三大イノシシ産地といえば、丹波篠山（兵庫県）、郡上（岐阜県）、天城山（静岡県）。
そんな天城山のイノシシ肉を求め同店（3.64）へ。
食べログが算出しているスコアは3.64ですが、採点している口コミ13件のうち、
5（満点）4件、4.5以上4件、4.0以上5件、何と評価4.0の筆者が一番低いという状況。

高級レストランばかり高評価となる食べログに於いて異質な存在。
その実態は、個性的な女将さんがワンオペで切り盛りする、猪鍋をメインとした田舎料理店。
4,400円のおまかせコース一本という尋常ではない安さでありながら、
田舎料理と思えぬ洗練された美味しさを楽しめることが皆さん高評価の理由と思います。

2023年で40年目を迎えるという老舗。
父の代から営業しており、娘である女将さんは藝大出身で、以前は夫婦で洋裁店を経営。
先代が亡くなって4年の空白期間があったようですが、
せっかくの建物（ご立派な日本家屋です）を無駄にしたくないという思いから跡を継いだそう。

弟さんは同店を継がず同名の「海鮮料理おかりば（3.42）」を経営。
間違えるお客さん多いようですが（我々もナビ入力を間違えていました）、
ループ橋（川津七滝ループ橋）から車で5分ぐらいの山の中に在るのが同店。
完全予約制4名からということで人数集めのハードル高いですがわざわざ訪れる価値アリ。

前述の通り4,400円のおまかせコース（追加料金を払って肉の追加などは可能）。
メインが猪鍋となるのでジビエが苦手な人は避けたほうが良いと思います。
狩猟期に猟師さんが獲ったイノシシを冷凍保存しており通年提供可能。
3歳メスのロースやバラが出てきましたが、来客を見越して自然解凍するので完全予約制。

ゆえにイノシシ肉を追加したい場合は予約の段階でお願いすることになります。
女将さん曰く「イノシシゴボウ」なるアラカルトメニューも新規開発したそうで、
こちらも再訪の際は是非お願いしたいと思っています。

14年に渡って4,400円という廉価を据え置いていた同店ですが、
流石に2023年から5,500円へと値上がり予定。
常連さんからは値上げしろと怒られ続けていたそう。
ちなみに後継者不在で女将さん怪我を負いながらも1人で営業されていました。
気になる方は早めに訪れたほうが良いかも知れません。

元々は洋裁店を経営していた女将さんで、跡を継いだのは想定外なので料理は完全独学。
しかし飲食店のほうが天職とおっしゃるように調理センス抜群。
4,400円ですが神楽坂で44,000円も取られたネームバリューだけの和食店より美味しいぐらい。
猪鍋に限らず地物であろう野菜を活かしており、盛り付けの美的センスも素晴らしいです。
藝大出身という女将さんの才能が料理の世界でも活きているのでしょう。

お店前の駐車スペースに車を置いて剥製や屏風が飾られた玄関を通り店内へ。
ひな壇の鎮座する畳の和室（座卓と座布団）で食事、お手洗いは和式となります。
希望すれば極小サイズですが椅子も用意してくれます。

まず温かいお茶が出てきたのですがメチャクチャ美味しい。
湧き水を使っているそうですが、この辺りは山葵（わさび）栽培が盛んな土地。
都会とは桁違いに良質な水の存在も料理の美味しさに寄与しているのかも知れません。
2合のお酒を3人でシェアしたので筆者のお支払い総額4,840円。

ポコポコ酒（1合 660円）注ぐときポコポコ音の鳴る竹筒に入った日本酒
おまかせコース（4,400円）

1.前菜盛り合わせ Part1
1-1.花わさび三杯酢
1-2.明日葉入りの手作り蒟蒻 本わさび
1-3.山桃ゼリー
1-4.野菜（赤大根、紫芋、スナップエンドウ、梨）と胡麻玉葱醤
2.前菜盛り合わせ Part2
2-1.蜜柑入りの冷たい甘酒レモン風味
2-2.柿の白和え 栗 零余子（むかご）
2-3.無花果（いちじく）甘吸い胡麻ペースト
2-4.野菜のお寿司（山椒塩漬け、赤大根、椎茸旨煮）
3.芋饅頭
4.とろろ蕎麦
5.猪鍋
6.白桃黄桃ヨーグルト

食べた料理の寸評は以下の通り、【】内は個別の採点、表示価格は内税です

【3.9】前菜盛り合わせ Part1

車で走っていると山葵（わさび）を栽培している様子を伺えたのですが、
そんな特産品を料理に活かしているようで三杯酢に漬けた花わさびに舌鼓。
薬味に本わさびを添えた自家製蒟蒻も独特の滑らか食感と明日葉の風味を楽しめて良いです。
この蒟蒻が前菜の白眉で単品評価4.0以上。

地物であろう各種野菜はシンプルに「醤」で味わったのですが、
フライドオニオン、胡麻、胡麻油といった植物性の旨味の塊となっており野菜が昇華。
猪や鰹節といった動物性の旨味ではないかと予想したのですが全然違いました。

【3.8】前菜盛り合わせ Part2

まず柑橘の爽やかさを加えた甘酒の美味しさにセンスの高さを感じます。
柿、栗、零余子、無花果といった秋の味覚満載。
そして胡麻ペーストが高級和食顔負けな美味しさでまたしてもセンスの高さに脱帽。
独学でここまで料理を究めるとは恐れ入りました。
酢飯だけ東京の流行りに比べると緩めで好みと外れます。

【3.6】芋饅頭

ジャガイモをベースとして里芋もつなぎに加えたダブル芋な芋饅頭。
薬味の葱や茗荷をトッピングすることで爽やかさを演出していますが、
それ以上に滑らかな食感へと変質させることで芋饅頭が食べやすくなっていました。
芋饅頭なんて田舎っぽい料理に思えますが、洗練された味わいで都心のような美味しさ。

【3.6】とろろ蕎麦

とろろ、外注の蕎麦、青海苔、刻み葱という構成。
女将さん曰く蕎麦を打つのと猪を撃つのは自分じゃないとのこと。
（心無いお客さんに猪は自分で撃たないのか煽られるそうですが無茶振りはいけません。）
とはいえ適度な硬さで喉越しの良い蕎麦が普通に美味しくて「とろろ」とも相性バッチリ。

【4.0】猪鍋

享年3歳のメス、そのロースやバラといった部位を使用、前述の通り自然解凍。
その他に、野蒜、明日葉、牛蒡、白菜、人参、間引いた大根、真菰なども鍋に投入。
鍋の吸い地は鰹出汁に橙（だいだい）の酢を入れており切り干し大根も沈んでいます。

食べログGOLDの柳家や比良山荘といった日本最高品質の猪肉には劣るとしても、
4,400円コースで食べられる猪肉とは思えぬクオリティの高さ。
筆者の相場観では10,000円を超えるコースで出てくるレベルの猪肉となります。
イノシシ三大産地と謳われる天城山は伊達じゃないといったところでしょうか。
自然解凍なのでその場で肉の追加不可ですが、再訪の際は肉を追加したいと思いました。

ロースやバラをそのまま食べてもジビエならでは脂身軽やかで美味しいのですが、
個人的に気に入ったのがサッと火を入れ引き上げた明日葉と猪肉との組み合わせ。
かなり癖の強い葉っぱなので明日葉が苦手な人も多いようですが、
多少は癖のある獣肉と癖の強い明日葉（煮込んでいくと癖は薄れます）が何とも合います。
再訪の際は明日葉も大盛りでお願いしたいと思いました。

ご飯（白米）、糠漬け（大根、蕪、胡瓜、人参）。
希望すれば雑炊も可能なのでしょうけど何故か夜も鍋を食べる予定だったので自重。
4人中3人が夜ギブアップとなっていたように、4,400円コースでもボリュームたっぷり。

【3.3】白桃黄桃ヨーグルト

桃とヨーグルトをミキサーにかけたデザート。