『たぶん』じゃなくって、『一番だよ！』って言っちゃってもいいんじゃない？！ : さくら

Ｂ級グルメで殿堂入りを果たし、余りにも有名になってしまった『富士宮やきそば』。

登録商標ともなっている『富士宮やきそば』のオレンジ色の幟を掲げる、200軒はあるのではないかと言われているお店の中には、目を覆いたくなるような商品をかなりのお値段で平気で提供するお店も…残念ながら少なくはない。

別に学会が店の腕まで判定して許可を出している訳では無いし…もっと言えば、たとえ『富士宮やきそば』の名称を名乗れなくても美味しい『富士宮やきそば』を提供する店ってのは、『在る』って事になる。

「んじゃあ、一番お薦めの富士宮焼きそばのお店ってドコよ？」
と訊かれたら、富士富士宮の人間は８割がた迷わず言うであろう。

『自分のうち（自宅）』だと！


…しかし、それでは『食べログ』にならないので、『富士宮焼きそば食べたいんだけど、お店が決まらない方』の為に、美味しい富士宮焼きそばのお店を紹介したいと思う。

それは、なんと富士宮では無く、お隣『富士市』にある！
富士宮に無いからといって『ばったモン』だと思ってはいけない。

こちら【さくら】の店主は、2001年『素人焼きそば大会』において優勝し、学会のメンバー『ミッション麺ポッシブル』のメンバーとなって全国津々浦々富士宮焼きそばの宣伝活動の為に尽力し、お宮横丁でも焼き手として活躍していた『富士宮焼きそば』の立役者の一員だった人物。
８年ほど前に自宅近くの…アピタ吉原店の裏（東）の和田川の橋の袂で、小さなお店【さくら】を開業された。

ＨＰに『たぶん。富士市で最も富士宮焼きそばの美味しいお店』とある。
ちょっと謙虚なその書きっぷりが（本当は、一番って言いたい所だけど）という自信が見え隠れしていてなんとも好感が持てた。


何度かお店の前を通ったが、いつも人が結構いたので…日曜日の開店と同時の時間を見計らって行ってきた。
使い込んだ鉄板３枚を連ねた焼き場では、既に焼きが始まっていた。

鉄板の前の席は、かなりの暑さだが今日はこの『焼き』を楽しみに来たのである。
焼き手も暑いだろうが、私達も頑張って鉄板の前の席に陣取る。

客が居ないのに既にバンバン焼き始めている商品は…テイクアウト用の電話注文分の商品だった。
「暑いからね～。こんな暑い所じゃなく、涼しい所で食べたいんでしょうね～」
お客は私たちの他1人しか居ないのに、引切り無しに電話は鳴って、その度に５～６個まとまった注文が入って来るようだ。

焼き手は大忙しだ。

メニューを見ると…ＣＰが非常に良い事に愕く。

冬場にならないとやらないが、『静岡おでんも一本５０円』で扱っている。

通常、焼きそば（並）の価格設定は４５０円。
（しかも、安価な『Ｍ』の麺を使用して）

こちらでは４００円。
加えて、店主の手作りデザートが付いてくるというのだから…！
「ちょっと、（あちらは）取り過ぎなんだよね～」

同感である。

原価が判っている富士宮人が外で焼きそばを余り食べないのには、そんな事情も確かにある。


【さくら】で使用している富士宮焼きそばの麺は【叶屋】。
↑これ、非常に大事！

原価が安く、地元スーパーでよく売って居る蒸麺を使っているお店が多い中、この蒸麺を使っている事は非常にポイント高し！
【叶屋】の蒸麺を食べたら他のところのは頂けなくなる程、基本的旨さが全く違う。

次に、『蒸麺』よりグラムあたりの単価が高い『肉かす』という、富士宮焼きそばとは切り離せない食材。
豚の背脂やバラ肉を熱して、ラードを取り去りカリカリにした物なのだが、この肉カスを使うと、風味や旨味が増す（脂の多い肉じゃ、駄目！）不思議な食材。
【さくら】では、これに『天カス』も少し加え細かく刻んだ物を使用。

キャベツは、（今回は違うが）１１月～４月の間は、地元『富士市原田』のキャベツを細切りにしてたっぷり使っている。

ソースは、富士宮焼きそばに良く合うといわれている『わさび印』のウスターソース。

『富士宮焼きそば』となるべく、役者が全て揃った所で自慢の鉄板で焼きが始まる。

ちなみに…唯一、自宅で用意が出来ないのが『焼きそばを焼き続けた風味の染込んだ鉄板』である。
あとはいかに焼き手がいかに手際良く調理ができるか…全てはそこに掛かっている。

オーダーしたのは、『富士宮焼きそば（並）400円＋目玉焼き50円』。
関西風に焼きあげた『お好み焼き　さくらスペシャル700円』。
夏しかやっていない、自家製餡子を２段に使用した『かき氷のあずきミルク350円』。

線の細い体格ながらも豪快に手際よく鉄板前に立つのは、今日の焼き手の娘さん。

実に見ごとな手捌きで焼きそばを焼き上げ、陶器の皿に移し変え、いわし削り粉・青海苔をふりかけ半熟卵を載せて提供してくれる。

これが、均一に丁度良くソースが絡み、余分な脂が無く…とろ～りとした半熟卵と良く合う『富士宮やきそば』だよ！！

こりゃ～…うまいねっ！！
外に食べに来てもいいね！！
ってか、来たいねェ♪

関西風のお好み焼き『さくらスペシャル』は、豚のバラ肉をソテーして、山芋とチーズが入ったとろ～りふっくらと焼き上げた生地の上に置き、ドロソース・洋からしを塗り、細くマヨネーズを飛ばしたお好み焼き。

これも美味しいね！


食後は無料サービスで店主の手作りデザートから一つ選べる。
今日は梅酒の梅ゼリーと桃のゼリーを頂いた♪

ピンクの桜の模様が入った小鉢に入れられたゼリーは、小さい頃学校から帰ってくると冷蔵庫の中にお母さんが作ってくれてあった、手作りおやつみたいな味がした。

これが駄菓子屋さんから、静岡おでんと共に始まった『正統派富士宮やきそば』だ。

もし、此処のお店の焼きそばが口に合わないのだとしたら…それはつまり「富士宮焼きそば自体が好みで無い」と言っていいだろうと思うなぁ。
　ヾ(=ﾟ･ﾟ=)ﾉﾆｬﾝ♪