旨いもん好きにも・鉄道好きにも : 見晴旅館

　２０１４年１２月．
　静岡・山梨・長野鉄道旅行をした際，１日目はこちらに宿泊しました．
　ＪＲ東海道本線の由比駅前にあり，かつ，由比名物のサクラエビ料理が食べられるという点で選んだ宿です．

　３週間くらい前に，連れが電話予約を入れてくれました．
　「桜えびづくしコース（和室；２名利用）ひとり９,０００円（税別）」のプランです．

　なお，チェックインは日曜日の１９時１５分頃，チェックアウトは月曜日の８時頃です．

　前述のように，宿は由比駅のスグ近く，徒歩で１分以内の場所にあります．駅前通り（県道３７０号）に面しており，裏手は東海道本線に面しています．駅構内からも宿がよく見えました．
　３階建てのスッキリとした建物で，白壁に書かれた「見晴旅館」の文字が目立ちます．隣は由比交番です．

　館内もスッキリとしています．大女将さん作の刺繍画があちこちに飾られており，家庭的であたたかい雰囲気でした．
　ご家族だけで切り盛りされているようですが，大女将さん・若女将さん・ご主人いずれも感じの良い方でした．

　ちなみに，当日の宿泊客は自分たちだけでしたが，夕食のみの利用客がいたようです．

【客室】
　２階の和室（角部屋）に通されました．８畳間だったと思います．ややくたびれていましたが，清潔に管理されていました．
　トイレ・バス・洗面所はありませんが，部屋を出てスグにトイレ・洗面所があるので，全く問題ありません．
　なお，ベランダが付いていますが，そこからは由比駅の構内がよく見えます．また，東海道本線の向こうには国道１号と東名高速道路が並び，その奥には駿河湾が広がっています．国道と高速道路が無粋ですが，なかなか良い眺めですね．夜には，沼津や西伊豆（？）の灯りも見えました．宿の名前にも納得です．
　東海道本線には普通列車や貨物列車が頻繁に通り（たまに特急列車や寝台列車も），鉄道好きにはたまらないロケーションです．ちなみに，窓を閉めれば列車の走行音はあまり気になりません．

【風呂】
　１階にこぢんまりとした風呂があり，グループごとに入浴できます．
　温泉ではありませんが，ジャグジーが設置されており，疲れが癒されました．

【夕食】
　１階の個室で，１８時３０分〜１９時３５分にいただきました．
　１３品（生サクラエビ・釜揚げサクラエビ・サクラエビの酢の物・サクラエビの佃煮・刺し盛り・サザエの壷焼き・タチウオの塩焼き・サクラエビのかき揚げ・沖上がり・ご飯・ワタリガニの味噌汁・漬物・デザートのポンカン）で構成されており，宿泊プラン名のとおりサクラエビ満載でした．なお，かき揚げ・ご飯・味噌汁・漬物・デザートは後出しです．
　飲み物は，瓶ビールと地酒（銘柄は失念）の冷酒をいただきました．

　料理はいずれもシンプルな調理で，素材の味がよくわかりました．
　いずれも旨かったのですが，やはり白眉はサクラエビでしょう．調理法が異なると，味や食感にもハッキリとした違いが生じ，ちょっとオドロキました．
　特に印象に残った料理を以下に記します．

　生サクラエビ：生サクラエビは初めてです．ワサビ醤油でいただきました．鮮やかな薄紅色で半透明・・・硝子細工のような美しいビジュアルです．尾・頭・殻・髭付きですが，全然硬くはなく，むしろシャリッとした食感が良いアクセントになっています．身はネットリとしており，小さな身体からは想像できないくらいの甘みがあります．富山名物のシロエビよりも，若干ワイルドな味わいでした．

　サクラエビのかき揚げ：今回のイチオシです！　サクラエビとミツバのかき揚げで，抹茶塩が添えられていました．「良くまとまるなぁ」と感心するほど，コロモが薄いです．揚げたてアツアツで，サクサクと軽い食感でした．そして，非常に香ばしく，エビの風味が口の中にあふれます．これだけで腹を満たしたいくらい旨かったですね（笑）．ビールとの相性もバッチリでした．

　沖上がり：１人用の卓上コンロで供されました．「沖上がり」とはこの地方の伝統的な漁師料理で，サクラエビのすき焼き風なんだとか．とはいっても，すき焼きほど濃い味付けではありません．サクラエビのダシが出た汁が旨いですね．ご飯にかけて，最後まで楽しみました．

【朝食】
　夕食とは別の個室で，７時〜７時２０分にいただきました．
　９品（タチウオの味醂干し・ワサビ漬添えのカマボコ・シラスおろし・サラダ・ホウレンソウとブナシメジのおひたし・味付け海苔・漬物・ご飯・味噌汁）で構成されていました．
　味醂干しが香ばしく，ご飯がススミましたね．


　駅前旅館ということでちょっと嘗めていましたが，予想をはるかに越える良い宿でした．旨いもん好きにも，鉄道好きにもオススメできます．

　ちなみに，由比駅と隣の興津駅の間には，列車撮影の名所である薩埵峠（さったとうげ）があります．当初はそこにも行く予定だったのですが，あいにく天気が悪く，断念しました（泣）．
　若い友人（鉄道ファンではない）から送られてきた写真を見ると，本当に素晴らしい風景なんですよねぇ・・・いつか再チャレンジしたいと思います．