静岡の食材を使った美味しい天ぷら : てんぷら　成生

静岡市の【板前てんぷら 成生】さんに伺いました。

お店はJR静岡駅北口から歩いて12～13分ぐらいの場所。

今回初めての訪問。
お店は落ち着いた雰囲気のカウンター7席。

こちらのお店では入店時の検温、手指のアルコール消毒、お店の方のマスクの着用、感染対策の説明などはありませんでした。
私以外のお客さんは全く気にしていないようだったので、私も気にしないようにしました。
しかし、初めてのお店ということで普段の状況が分からず、さらに狭いカウンター席で全く感染対策を施していなかったので少し怖いと思いながらの食事のスタートになりました。
感染対策のガイドラインがあったと思います。緊急事態宣言解除後、数件外食しましたがコロナに対する対応が飲食店によって全く違うことに驚きました。

この日は天ぷらのおまかせコースを頂きました。
初めにつまみが2品提供され、その後天ぷらがスタートしました。

つまみ
①クエ
　焼津産の32㎏のクエ。
　皮目を約50℃の低温の油で火入れ。
　仕上げに全体を油に入れ軽く火を通して提供。
　有東木産のワサビを付けて頂きました。
　皮目は歯応えのある弾力のある食感。
　身は柔らかく油に潜らしたことにより甘味が増し、肉のような旨味がありました。
　いきなり悶絶の美味しさでした。
②ミルガイ
　こちらも約50℃の油に入れ火を通します。
　高い温度の油に入れると、ミルガイの水分が抜けてしまうとのこと。
　ワサビを付けて頂きました。
　サクサクの食感。
　水管の先の部分はクセのある香りがとても強く、好みが分かれる香りだと思いました。
　他はワサビが効かないぐらい甘味が濃く美味しかった。

天ぷら
※天ぷらは天つゆに大根おろしの他、イギリス産と沖縄産の塩で頂きました。
　イギリス産の塩は粗めの塩。沖縄産は細かい塩でした。
❶ヒメコダイ
　静岡近海の甘鯛の網にかかったヒメコダイ。
　イギリス産の塩で頂きました。
　衣はサクサク。身はふっくら甘味が濃く絶品。
　レアな天種が頂け幸せでした。
❷オクラ
　採れたてのオクラ。
　沖縄産の塩で頂きました。
　浅い火入れでサクサクの食感。
　ジューシーで美味しい。
❸車海老
　浜名湖産の車海老。
　小さくて才巻海老サイズ。
　20秒～30秒ぐらいの短い火入れ。
　プリっとした食感で甘味が濃かった。
❹キス
　イギリス産の塩を乗せて一口かぶりつき、残りは天つゆで頂きました。
　キスの身を膨らませ水分を抜くように1分以上揚げていました。
　揚げた状態は原型を留めるのがやっとという感じのホロホロの食感。
　絶妙な火入れで、甘くてとろけました。
➎丸ナス
　かなり長め(たぶん10分以上)に揚げられ、最後に高温で揚げて仕上げていました。
　油から取り出した後、最適な温度で最適な状態になるまで休ませてから提供。
　二つにカットされ、一つはそのまま、一つはイギリス産の塩で頂きました。
　ジューシーでとろけました。
　ナスの甘味が堪能出来ました。
❻アオリイカ
　ぷりんぷりんの弾力のある食感。
　甘味が濃かった。
❼ヤングコーン
　コーンのひげから揚げ、その後は全体的に火入れ。
　何度も温度を上げ下げして、長めに揚げていました。
　タレを付けて提供され、塩を付けて頂きました。
　ひげはサクサクの食感。香ばしくとコーンの旨味がありとても美味しい。
　身はサクッとした食感。ジューシーでとても甘かった。
❽車海老の味噌と車海老の脚
　脚はサクサクで香ばしい。
　味噌はあっさりして、小さいこともあり旨味があまり感じられませんでした。
❾甘鯛
　ウロコを付けたまま揚げらる。
　駿河湾の甘鯛はウロコが小さく、ウロコのサクサク感と香ばしさがとても良かった。
　身は絶妙な火入れで、8割5分ぐらい火が入ったレア状態。
　めちゃくちゃ甘くて抜群に美味しかった。
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ここで油を交換
◎箸休め
　タイラガイ、チコリの花、プチトマトの花、にんじん、きゅうり、焼きナス、枝豆、フェンネルの花などのサラダ。
　太白胡麻油と浜松の浜納豆を使ったドレッシングがかけられていました。
　焼きナスの風味が良いアクセントになっていてとても美味しかった。
➓うなぎ
　静岡県沖の海うなぎ。
　3分ぐらいの火入れでした。揚げている時のうなぎの香りが素晴らしかった。
　揚げてから食べごろの状態になるまで少しだけ置いて、タレとワサビを塗って提供。
　ふっくらした食感。
　うなぎのきれいな脂とワサビとの相性は抜群。
　極上の香りと旨味が味わえ、最高に美味しかった。　
⓫トウモロコシ
　揚げたトウモロコシの上に生のトウモロコシが乗せられて提供。
　浅めの火入れでサクサクでシューシー。
　生のトウモロコシはとても甘く、全体の甘さを高めていました。
⓬新じゃがいも
　メークイーン。
　別鍋で160℃の温度で約1時間揚げ、最後に200℃まで温度を上げて仕上げられていました。
　油から取り出した後、ベストな状態まで数分置いて提供されました。
　皮は香ばしい味わい。
　身は余分な水分が抜け、裏ごししたような状態。
　甘味と香ばしさがありとても美味しかった。
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ここで再度油を交換
⓭穴子
　目の前で捌いた穴子が揚げられる。
　180℃弱ぐらいの温度の油に穴子を投入。
　すぐに火を止め、温度を下げながら鍋の中を泳がせるように揚げていました。
　二つに割かれて提供。
　一つは塩、一つはたくさんの大根おろしを付けながら天つゆで頂きました。
　穴子は油に入れた瞬間と、二つに割かれた時の香りが素晴らしかった。
　衣はサクゴワという感じでした。
　脂が甘くて身はとろけました。
　火入れ加減が素晴らしくとても美味しい穴子でした。
⓮メゴチ
　塩で頂きました。
　皮目の独特の香りがとても良かった。
　めちゃくちゃふっくらして、身の厚さを感じる揚げ加減でした。
　甘味が濃くて堪らない美味しさ。
⓯穴子の骨
　カリッとして香ばしい。
⓰安納芋
　じゃがいもと一緒に別鍋で1時間ぐらい揚げられる。
　こちらも揚げた後、最適な状態に仕上がるまで数分置いてから提供。
　塩をかけて頂きました。
　皮はカリカリで香ばしい。
　安納芋ということで甘さに期待していましたが、ごく普通の甘さでした。
　しかしとても美味しかった。
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ここから食事
⓱天丼
　丼つゆ濃いめ。
　イカの食感が良かった。
⓲天バラ
　初めは塩味で頂きました。
　3分の1ぐらい残し、出汁を入れて天茶にして頂きました。
　天茶の時は浜名湖産の海苔と有東木産のワサビを入れて頂きました。
　初めの天バラはゴマの風味が心地よく、塩味が効いて素材の甘味が引き立ちとても美味しかった。
　天茶では海苔の風味が抜群に良かったが、出汁があっさりし過ぎて少し物足りない味わいに感じました。
　
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〇水出しのお茶
〇二煎目の温かいお茶
●葛切り
　葛と黒蜜は掛川産。
　黒蜜は掛川産のサトウキビから作られる。
　サトウキビ生産の北限が掛川とのこと。
　トロトロの葛とコクのある甘味の黒蜜との相性がとても良く美味しかった。

飲み物
□ビール
　プレミアムモルツ
■日本酒(おまかせで頂きました)
　いづみ橋 夏ヤゴ THIRTEEN (神奈川)
　喜久酔(静岡)
　秋鹿 霙もよう(大阪)

静岡産の食材を使った天ぷらは軽さを感じる衣に絶妙な火入れ。提供する際の温度と天種の状態も計算されていて抜群に美味しかった。

柑橘系は提供されずほとんど塩のみで頂きましたが、素材の甘味が引き立ち美味しく頂けました。

いきなり頂いたヒメコダイは素晴らしかった。

海うなぎは夏場にお鮨屋さんで私はよく白焼きで頂いていますが、臭みが全くない海うなぎが揚げられた時の香りは本当に素晴らしく、天ぷらでしか感じいられない香りだと思いました。
脂の乗り、旨味も素晴らしく、うなぎの天ぷらの美味しさに感動しました。

終盤にメゴチを頂いたのは初めてでしたが、ふっくらした食感に驚きました。
甘味も濃くこちらも絶品でした。

店主の方は職人気質で寡黙な方だと感じました。
天種が何かは話されますが(何を揚げたかを話さないこともありました)、細かい説明は伺わないと話して頂けませんでした。揚げることに徹していて声を掛けづらい感じでしたが、伺うと丁寧に説明されていました。
会話が盛り上がらないので、楽しい雰囲気で食事は出来ませんでしたが、天ぷらだけに集中して頂くことが出来ました。

正式名称が良く分かりませんが、ガス台とカウンターの間にある油跳ねをガードするカバーが透明でした。
会話は弾みませんでしたが、天ぷらが弾んで揚がっている状況がライブで見れて引き込まれました。
私が良く伺っている天ぷら屋さんでは、一部の天種の揚げ方の解説や揚げている状況を見せて頂いたことがありますが、【成生】さんのように天ぷらを揚げる鍋の中を全て目の当たりに出来るお店は珍しいのではないかと思いました。(衣だけ裏に回って仕込んでいたため、衣の仕込みだけ見れませんでした)
揚げている鍋の状態が見れたのは、私にはとても新鮮で楽しい時間でした。

接客は普通に丁寧。
サービス的には具体的なことは控えますが、人気店としては物足りなさを感じました。

天ぷらは感動的に美味しくて大満足でした。
また頑張って予約を取って伺いたいと思います。

ごちそうさまでした。