引き算が得意なひとは足し算が苦手？ : 麪家ひばり

ちょうどランチタイムに時間ができたものの、行きたい同店『麪家 ひばり』さんは島根県No. 1、2017＆2018年の同食べログの百名店に選ばれてるほどだし、ましてや休日でもあったんで、とにかく偵察がてら、お伺い。

〝おっ！ そんなに並んでない ⁉︎〟

そう思い、路肩に寄せて専用駐車場の位置を確認すると、どうやら今ほど通ってきた道沿いだった模様。

〝かっ！ でも一通だな、今いる道〟

同店の前の道は一方通行で、専用Ｐへ入る道には戻れませんので、いったんグルっと回るしかありません。

ワタシは北堀橋交差点から東側の道を回りましたが、そこも離合困難な小道ですし、他の道も狭そうなんで、特に運転に不慣れな方はゆっくりと、道を選んで行った方が無難でしょう。

専用Ｐはワタシが駐めた月極Ｐの３台の間借りの他に、写真のように『梶谷医院』さんの入口も大丈夫なようですが、前者の方がお店に近いです。

それでも50m以上は歩くんで、お御足の悪い同乗者などいらしたら、お店の前で下ろし、列があったなら並んでてもらう方が早いでしょう。

そうしてワタシがお店の前に着くと、さすがは人気店、その数分の間だけで待ち客は増えてたものの、それでも全部で５〜６名でしたでしょうか。

しかしながら、２〜３分しても先客はおろか、お店の方の顔も見えなかったんで少し不安になり、たまたま目の前にいた若いお兄さんと目が合ったんで

「すいません、なんか名前とか書いて待つんでしょうか？」

と、思いきって訊いてみました。

すると、その大学生っぽいお兄さんも

「いや、僕も初めてなんで分かんないんですけど、まあ、たぶん大丈夫だと思いますよ」

と応えてくださいました。

そのお兄さんの連れのお兄さんも無言で首肯かれてたんで一安心し、お礼を言って待つことにしました。

さもすると先客が何人か退店し、お店の引き戸が開き、先に待っていた家族連れが呼ばれたんで覗くと、なんと、店内にも待ち席があり、何人か待たれてる模様。

しかも、ワタシの後にも４〜５名ほど列が増えてる。

〝こりゃ、まだまだ待たなきゃならんだろうなあ？〟

そう思ったのも束の間、先のお兄さんたちが呼ばれると、お兄さんが後一人座れるスペースがあったんでご丁寧に手招きしてくれました。

ですから礼を言いながら入店して座ると、またしても数分もしないうちに、お店の方に席へ案内されました。

確か先に入店した家族連れは４人で、空いた席が壁沿いのカウンター３席分でしたんで、お店の方がお詫びを言いながら先のお兄さんたちとワタシが、なんだかセットになって先に通された次第です。

いま写真の時間を見るに12時になって席に着けたようですから、11時半開店で食べ終えた先客が続々と退店しだすと早いもんで、しかもワタシのようなお独り様となると、これぞラーメン屋さんならでは、あっという間ですね。

お兄さんたちは、初めてという割には慣れた様子でつけ麺なぞ頼んでましたが、ワタシはデフォっぽい

『あごだし白湯らぁめん 780縁』

をオーダーしました。

応対してくれたお店の方、女将さんか女性従業員さんか定かではありませんが、快活で言葉遣いも丁寧、非の打ち所はないものの、唯一、列の捌き方は問題ありでしょうか？

まあ、従業員さんが少ないのが最大のネックでしょうが、やはり外で待ってる人々には事あるごとに声がけが必須だし、出入口にしても、ワタシなぞ先に列が出来てたから分かりましたが、右の狭い方から入って左の広い方から出る一方通行とは、エスパーでもない限り、まず分からないでしょう。

簡単なのは、満席になりそうな日など予め名前と人数記入にし、そこに待ち方とか呼ばれてから入るように書いておき、まずは店内の待ち席に案内するようにしないと、ワタシのように先のお兄さんに話しかけ、彼らがワタシをお独り様と知ってくれてたんで空き席に誘導してくれたから良かったけど、そのままだと入れず、たまたま空いた３席に運良く座れる幸運に結びつかなかったでしょうから。

こうしたオペレーションって答えがあるようでないもんですが、少なくとも多くのチェーン店が名前＆人数の記入システムを取っている事実は、やはり意味があるような気もするからです。

ただ、その他に関しては前述のように完璧で、忙しい中、よくこなされてたと頭が下がります。

待ってる間、メニューを読むに、

》 あご［飛魚］
山陰・日本海沖では飛魚のことを「あご」と呼び、あごが外れるほどおいしい島根県の県魚として県内沿岸でも広く漁獲されてます。

とのこと。

気になったんで個人的なフィールドの各県の県魚をネット検索してみると、

◯ 山口県・・・ふぐ（正式にはフク）
◯ 広島県・・・牡蠣

と、果たして牡蠣が県魚かという疑問は残るものの、まあ、納得のチョイスながら、

◯ 福岡県・・・さば、あじ、まだい、ぶり、ひらめ、あゆ、こい等々、、、

まだ多数あり、収集がつかない様子、同県だけじゃなく、ほぼ九州では複数あり、なぜか佐賀県は一つも選ばれてない？

まあ、それだけ獲れるってことなのかもしれませんが、例えば高知県のカツオ、愛媛県のマダイのように、なんか代表する魚、一つ決めたっていいような気もします。

って、いま佐賀県だけ無いってオチのために相変わらず犠牲になってもらいましたが、大分県もなく、同県なんて関サバが有名ですから鯖でいいような気もしますが、じゃあ関アジは？ 城下ガレイは？ 中津市のハモは？ 臼杵のフグは？ 津久見や佐伯だって黙っちゃいないだろうし、そりゃまあ揉めますわな？

まあ、島根県にしても広島県が牡蠣にするんならシジミが全国的にも一番の知名度でしょうが、その穴道湖にしても七珍といって他の魚や貝もあるようで決められないでしょうから、いっそ馴染み深い飛魚にしたのは、ある意味 正解でしょう。

そんな飛魚こと、あごの出汁が効いているから、

》 じっくり煮出したスープはコクがありながらあっさりした味わい

だそうで、百名店ということもあり、いやが応にも期待させます。

もちろん同メニューが看板のようですが、つけ麺やまぜそばも人気があり、おおよそ五分五分の注文だったような記憶があります。

やがて配膳され、まずはスープから。

〝うむ、美味い！〟

きちんとした出汁で、見た目からしてクリーミーなんだけど、クドくなく、ゆったりとした旨味が感じられる。

上品な塩気があり、白湯にありがちな不必要なトロみをギリギリにラインで抑え、繊細さを保っている。

〝うむ？ だけどなあ？？〟

しかし、やはりドブ育ちだからなんでしょう、早くも３分の１程度で飽き、どうしても下品な塩気、妙なパンチを求めてしまう自分がいる。

いや、育ちの悪さ云々、飽きた云々と言うより、なんとも慣れない味だから普段の、いつもの塩や薄口の醤油ラーメンのように味変させたかったのかもしれません。

それだけ独特な、唯一無二なラーメンだとは思います。

ご主人は最後まで拝顔できませんでしたが、和食経験があるか、少なくとも学ぶ意欲はある方で、というのも和食の基本とも言うべき引き算が出来てるからなんです。

いや、器からしたって和食でしょう。

といっても世の中うまく出来ていて、引き算が得意なひとは足し算が苦手？ 予め乗せられてる辛味噌を溶くなり、コクは増したものの辛味はカドが立ちすぎてるし、味噌はクドすぎ、まるで味噌ラーメンみたいになっちゃう。

でもまあ、味変としたら正解なのかもしれませんが、個人的にこれほどまでは望んでおらず、素が美味いだけに、なんだか台無しになったようで極めて残念でした。

この辛味噌だけでなく、魚粉みたいな黒い粉も、素の味が繊細なだけに単に汚すだけのようで、個人的にゃ要らんと思います。

素にちょっぴり足すだけ、後押しするだけの味変で良く、ほんの少しの厭味でない爽やかな酸味や、辛味は辛味でも和風な、例えば柚子胡椒やワサビのような清冽な辛味が合ってるような、そう素人ながらに思います。

あまり好きではない縮れタイプながら中細麺で、ちょいカタなアルデンテ、それなりの喉ごしで愉しませてくれるし、チャーシューも程良く肉厚、甘みもあり、ほろほろトロけ、抜群です。

ですから味変、足し算さえ上手くいけばさすが百名店と首肯けるんですが、ワタシのように早めに溶いちゃうと、その後３分の２ぐらい悔やむしかないから、諸手を挙げてとはならないものの、それでも間違いなく美味しい良店ではあります。


● 個人的 食べログ 評価点・・・3.8

※ 2019年10月以前、増税前の価格です