焼きもイケました : 手打そば ちしま

12月3日は秩父夜祭。埼玉県に住んでいるのだから、一生に一度くらいは行ってみよう。交通規制と渋滞、駐車場不足は目に見えており、祭で酒が飲めないのも残念なので、電車で出掛けました。
酒が飲める、では、一足伸ばして、ちしまでホルモン焼いて食おう！市街地と往復電車賃を使うのも癪なので、往路だけ歩く事にしました。以前オートバイで来た際、トリップメーターで距離を計り、市街地から概ね２時間とふんでいました。
西武秩父駅を、９時45分に出発。せっせと歩いたら、11時23分、ちしまに到着。おや、もう営業中の札が出ています。奥さん(店のです)に、「今日は早いですね」と声をかけると、「朝から、今日はやるの？って電話がたくさんかかってきちゃって」だそうな。
今日はオートバイではないので、焼いて、と一言申し上げます。
壁に掛かった札を左から、シロ、カシラと言ったところに、「二人前くらいが良いです。蕎麦も食べるんだから」と、ストップが。この店では、奥さんの言う通りにするのがセオリー。「蕎麦の盛りは？」蕎麦も食うと、決めてかかられてます(笑)。
続々とお客さん。「蕎麦だったら、(小上がりに)上がって。焼くんなら、カウンターに」と奥さん。小上がりでも焼けるはずですが、混雑予想時対応のようです。
シロとカシラが出ました。合わせて¥910-(税込)。この値段でこんなに量があるとは、思っていませんでした。
この店では、焼き過ぎは御法度。少しずつ焼いていたら、ロースターが中火にされていました。意外と芸が細かいです。
カシラ旨え。シロ旨え。燗酒(普通酒)旨え。
蕎麦大盛が出ました。山盛り状態です。ちょいづけで手繰ります。旨い。気のせいか、いつもに増して旨い気がする。
ホルモン食って、お銚子３本、大盛蕎麦、しめて¥2960-。満足。

秩父鉄道で市街地に戻り、夜祭りを楽しみました。秩父夜祭りは、屋台の巡行なのですが、見せ場は方向転換。方向転換は技術と段取り。動いていない時間が長いです。いわば、「待つ祭り」。
秩父地方は、他にあまりない祭りがあります。鉄砲祭(小鹿野)やら、ロケット(ミサイルではありません)打ち上げ(吉田)やら。

個人的つぶやきです。ごめんなさい。
10月、11月の週末の秩父路は嫌だ。花園インターから奥は、断続的に、時には連続して渋滞している。
昨年は、渋滞時期を避けて12月後半にちしまで食ったら、「良いお年を」と女将。年内に来ないだろうと値踏みされてしまった。
そう言わせじと、12月前半に食いに行く。店に入ると女将が「水が冷たくって、美味しい季節になりました。今朝はマイナス３度。」蕎麦を洗って締める水が冷たいと、美味しいのだそうな。
大ざるをオーダー。恥ずかしながら、ちしまを訪れるようになって20年あまり、大ざる以外を注文したのは一度だけ、その時は、ざるだった。
ざるは¥700 -、大ざる¥1,000-。プラスチックの器で出す店としては、高いんじゃないの、と思う御仁もいらっしゃるだろう。
出てきた蕎麦を見ると、なるほど大盛。
好き嫌いはあるだろうけれど、ここの蕎麦は独特。日本は広く、蕎麦屋は多いので、似たような蕎麦を出す店はあるのかもしれない。寡聞にして、似たものを知らない。
蕎麦は地元産ではない。話から察するに、北海道産と思われる。殻ごと挽いたひきぐるみ。この辺りでは、おとうさんのが一番粗挽きと、前に女将が言っていた。四六の由。
細打。その前に、極薄のし。硬めで皮が歯に当たるのだが、薄いので抵抗はない。
世界一旨い蕎麦と言うつもりはない。僕にも、ちしま以外にも好きな蕎麦屋はある。でも、ちしまの蕎麦は、代え難い。硬いのに抵抗がない食感、軽いのに残る余韻。
蕎麦湯が出た。２年くらい前から、あるサービスが始まった。湯桶の中をかき混ぜる、だ。がらがらと。風情も何もあったものではない。
。ところが、旨いのである。すました店でやりたいとは思わないけれど。
女将、絶口調。「寒いと年寄りは温かいのを食べたがる。寒いときが、ざるが旨いのに。」「うちは天麩羅はおいていない。この前来た４人連れ、天麩羅はないと言ったら、帰っちゃった。35年やってて初めて。」そうですか。
ともあれ、ちしまの蕎麦が食えるのは、親父と女将が元気でいればこそ。健康で永く店を続けてほしいものだ。
12月前半なのに、帰りしなに言われてしまった。「良いお年を。」ちしまジャンキーを謳ったものの、年に数回しか行っていないんです。