街のおそば屋さん　新狭山駅前　増田屋さん : 増田屋 新狭山南口駅前店

お蕎麦屋さんで蕎麦前。実は未経験でした。
いつかは、焼酎のお湯割りを飲みながら、板わさつまみ、最後に〆で蕎麦をたぐる。
憧れてましたね。でも中々機会がありませんでした。

そこへ突然の出張。前日移動で埼玉へ。閉店間際の蕎麦屋さんへ滑り込み。
増田屋さんは、若いころ、北口店も含め、かなりお世話になってました。
ただ、蕎麦に興味を持ってから伺ったのは初めて。
新しい視点で臨めると思い、新鮮なドキドキ感がありました。

店内に入ると、お客さんは誰もいません。既に午後八時過ぎ。もうすぐ看板かも・・・。
しかし威勢のいい掛け声で「いらっしゃいませー」と響き、感じの良い女将さんがニッコリ。
「お店何時までですか？」
「八時半。大丈夫ですよ。」

ちょっと安心して、厨房から目立たない席に。やはり一人だと気恥ずかしい。

改めてメニューを見ると、結構お安い。鴨南蛮も800円台。
ん～、何にしよう。迷う。寒いから掛け蕎麦シリーズに突入しても良いかも・・。
お、このお酒とおつまみセットって、惹かれるな・・。

　　　お酒とおつまみセット　1200円

　　　　　　　　お酒+揚げ物+焼き物+冷菜+麺

それぞれ一品づつ好きなものを組み合わせ、一杯やって麺というコース。
選択肢は下記の通りです。

お酒：　　　生ビール・サワー・熱燗・冷酒
揚げ物：　 野菜天盛り・いか天ときす天・揚げだし豆腐
焼き物：　 つくね・若鶏の照り焼き串
冷菜：　　 枝豆・板わさ・山菜おろし
麺：　　　 蕎麦・うどん

女将さんが注文をとりに来る。
「これ、お酒、焼酎お湯割りも大丈夫？」
「うん、大丈夫」
「じゃ、それ。板わさ（冷菜）・野菜天（揚げ物）・つくね（焼き物）・蕎麦ね。」
「蕎麦何が良い？なんでも出来るよ　温かいの冷たいの」
「（掛け蕎麦ともりと葛藤して、5秒ほど散々迷って）　　　　もりで！」
「一緒で？」
「一緒で！」

一緒って感覚的に答えたものの、多分順番に持ってくるわけではなく、
出来上がった順もしくは全部一緒にでも良いよね？と解釈し、okしてみました。
女将さんが厨房にオーダーを伝え「一緒で！」と言っていたので、
普段から使用している隠語なのでしょう。

まず出てきたのが、サワーコップに並々注がれた焼酎お湯割と板わさ。
意外に焼酎の量があり、重量感溢れます。見ただけで充分。
ワサビは粉で溶いたようで、何故かナルトに載っています。
板わさの厚さは、厚すぎず薄すぎず。ワサビだけ付けて戴きます。
普通に旨い。ま、普通の蒲鉾ですね。でも何だか贅沢している気分になる。

次はつくね。どっぷりとタレに絡まった鶏つくね、柔らかく美味しいです。

と、注文を取りに来たときに女将さんがそっと置いていった夕刊が目に付く。
常連さんとかは夕刊を見ながらツマミを食べつつ一杯やるんだろうな・・。
ちょっと試しにと新聞を広げるものの、慣れないのですぐにやめました。

ふざけている間に蕎麦が到着。あらら、随分小盛りだったのね。
すぐに1本啜る。つるつるして、しゃっきりして大変美味しい。
色合い・喉越しから見て七三、コシもあり噛み応えも良く、角が立っている。細い。
美味しい。香りは弱いが、蕎麦食べてる充実感が一杯。
やっぱり最後にしてもらった方が良かったかな？

続いて野菜天盛りが到着。塩・大根おろし・天つゆで。
揚げたてをパリパリ。すごく美味しい。茄子やピーマン、カボチャ、どれも美味しい。

天ぷらを食べ終わり、蕎麦をまた1本啜っていると、女将さんが器を下げながらニコニコして、
「御蕎麦好き？美味しい？良かった！」と声をかけてくる。
よほどニコニコしながら食べていたに違いない。しかし、美味しい。

蕎麦汁は、どちらかと言えば甘めの薄口。柔らかめの舌触り。まろやかな軽さ。
万人受けするような滑らかさを感じました。きっちり本返し、寝かしは充分、鰹出汁は弱め。
と、勝手な想像をしつつ、大変食べやすいです。

出来立てを、出来た順に熱々やシコシコで食べる幸福感。
しかも今厨房や女将さんの挙動は、全て私に食材を提供する為だけに注がれている。
一品出来上がるごとに厨房に反響する威勢のいい「あがりました！」という掛け声の心地よさ。
これはこれで、たまたまだけど、何という贅沢。

そんなお蕎麦屋さんの余韻に浸りながら残った蕎麦を啜り、もうお腹も充分満足。
ここらで蕎麦湯を・・。「すいません、蕎麦湯ください」「はいはい」
すぐに来た蕎麦湯は、うっすらとした透明感溢れる、しかし透き通ってはいない。
大きな釜で茹でられたであろう蕎麦を想像し、ドロドロにならず透明感のあるまま
一日を終えるこの蕎麦湯を、有り難く味わって飲ませていただきました。

しまった、焼酎はお湯割りではなく、蕎麦湯割りにすれば良かった・・・。

後悔先に立たず。残った焼酎に蕎麦湯を入れ、これも美味しく戴きました。
この蕎麦湯は割っても美味しい。蕎麦汁で飲んでも、そのままでも美味しい。

「ご馳走様でした」「はい、1200円ね」　・・・安い。「また来てネ」　来ます来ます。

美味しかった。満足です。また来ます、いつかきっと。