接待に使える店とは : 風凛

ちゃんとした酒と料理、察しの良い店員、それなりの高級感、商談・会話がスムーズに交わせる程度の静けさ（個室があればなおよし）、それに「こんな店があったのか」という驚きが加われば下手な有名店よりも相手方を満足させられる。

…よう、な、気がするっていうか大丈夫でしたよね満足されてましたよね別れ際に頂戴したあの褒め言葉はセッティングした人間として素直に喜んでいいんですよね社交辞令じゃないですよねぇぇぇぇぇぇ（社会人人生で一番緊張したお相手だったorz）

さて。
ほかの口コミにもさんざん書かれているが、こちらのお店は入口が目にとまりにくい。川越で最も観光客が歩くであろう蔵造りが並ぶ一番街に面しているのだが、間口が狭いのだ。昼よりもむしろ夜の方が見つけるのは容易いだろう。だが、その入口こそが良い。多くの人が知らずに通り過ぎるその奥に、知る人ぞ知る隠れ家レストランが。何度か川越に来たお客様をご案内したことがあるが、この入口をくぐり細い小道を抜けて店に上がると、もうその時点でかなりご満足いただけている。雰囲気って大切なんだなぁと常々思う。

またこの店の使い勝手の良いことに、職人と向かい合えるカウンター席、風情ある庭に向いた2人用テーブル席、奥まった少人数用個室、20人位まで貸切対応できる2階のテーブル席と選択肢が多い。今回は自分一人で呑みたい気分だったので、格子ガラス越しに庭を眺められるテーブル席で予約。行ってみたらカウンターも奥の個室もどう見ても接待中な背広のおじさん達で埋まってた。席だけの予約ができるから、平日の夜でも予約しておいた方が無難かも。

ちなみに夜は予約なしでふらっといくなら風コース3,900円か凛コース5,000円が楽。出も早くてイライラしないしね。もちろん単品料理もあるし、お任せで寿司を握ってもらっても良い。とゆことで今回は

〇風コース（先付、前菜、刺身、蒸物、焼物、御鮨、御碗、甘味） 3,900円

・先付：五目豆腐のカリフラワーソース添え
　しっかり固めの豆腐にかかるカリフラワーソースが良い。濃厚さはないけど旨味を感じる。

・前菜：旬三種盛り
　桜の花弁をかたどった艶っぽい皿に盛られて提供される。器込みで見た目も大事。まず帆立の白煮。あっさり上品なお味。無論煮過ぎてかたいなんてことはない。ホタルイカと菜の花の酢味噌和え。季節もの。こちらの酢味噌は酸味が弱めでマイルドで好き。蕪の田楽味噌がけ。煮込みもかかる味噌も穏やかな味。
　
・刺身：旬三点盛り
　この日のおすすめにもあがっていた平政、いきだこ、あかいか。ひらまさ好きなので嬉しい。なによりタコの歯ごたえが大変気に入った。海のない埼玉は川越でこのお刺身および後述の生魚が食べられるシアワセ。

・蒸物：春きゃべつの茶碗蒸し
　前菜もそうだがこちらも薄い味つけの旨味勝負な一品。キャベツ豆腐の緑と卵豆腐の黄色が菜の花のようで器の中が春めいていて目にも楽しい蒸し物。具はなく豆腐部分はどちらも薄味だが上にかかっているソースが濃いめなので良いバランス。旨。

・焼物：鯛の蕗味噌焼き
　味噌焼きなので味が濃いのは当たり前だが、ここまでが薄味できてたので味覚が驚いた（笑）いや、全然ひどい味付けではないですよ？むしろ酒がすすむ肴という文字を使いたくなる。濃い茶の味噌の下からでてくるほくほくの白い鯛の実の旨い事。猫舌故ほふほふ言いながらアツアツをいただきました。

・御鮨：握り鮨
　お任せ五貫盛り。前菜で登場した白煮ホタテさんがおいしかったのだが、こちらもまた良い。赤身、白身、甘海老とすべて美味しくいただきました♪が、一つ注文があるとすればめし。もう少ししっとりというかお酢がきいている方が良い、というか…上手く言えないが酢飯がいま一つだった。まぁこれは好みの問題もあるかな。

・追加注文：おまかせ三貫握り（1,000円）
　少し酒が残ったので赤だしをいただく前におまかせで握ってもらう。来たのはマグロ、アラ、ウニ。マグロは日本人のDNAに組み込まれてます。アラは少しある歯ごたえが良い。雲丹はほんのり磯の香が。旨い。

・御碗：赤だし
　定番のなめこが出てくると思ったらブナシメジさんがこんにちは。一緒に菜の花も。春。赤だしをいただくと旅館なり料亭なりお外でご飯食べてる気になる。美味しいのになぜ母は自宅では赤みそを使わなかったんだろ。

・甘味：バニラアイスのバルサミコ酢かけ
　提供された瞬間「バニラアイスのチョコレートソース掛けか…普通だな」と思ってごめんなさい。そのあとお姉さんから「バルサミコ酢掛けになります」と言われてびっくり。こちらのお店って見るからに純日本料理屋さんだけど、時々こういうことしてくれるから好きだ。カカ〇サンパカもそうだけど、甘味に酢なり胡椒なりを初めに合わそうと思った人はどんなチャレンジャー精神の持ち主なんだ。お口の中さっぱりかつ甘味で〆たいというわがままをかなえてくれました。

　あ、本日の呑みものは旬のおすすめ地酒から宇都宮酒造「四季桜」 900円。口当たりさわやかな料理達と仲の良い優等生でした（´￢｀ノ

ちなみに給仕はいわゆる着物姿の仲居さんではなく洋装の若いお姉さんお兄さんが担当してくださるのだが、このお姉さんがスゴイ。料理の上げ下げのタイミングから追加注文の鮨種の確認からまぁこちらのほしいものを察する気配り目配りもろもろが見張られてますかわたしーってくらい出来る。以前冬空に雪が舞う中例のわかりにくい木戸まで出て来てお客様に「こちらです～」って手招きしてるのを見かけたときは感心した。この人なら自分のお客様を安心して連れてこられます(・ω・)b

　自分の地元にふらりといけてランチもできて観光客も寄れて接待にも使えるありがたいお店があるシアワセ。これからもよろしくお世話になりますご馳走さまでした～ヾ(*´ー｀*)ﾉ