大宮・氷川参道にある見逃してしまいそうなタダ者ではないスペインバル : バル デ エスパーニャ セロ

埼玉・氷川参道ランチ巡り　その４


氷川参道を北上して新・大宮区役所を越えたところにあるやたらと目立つオープンカフェ。
その傍らに見逃してしまいそうな看板と地下に降りる階段がある。
この見逃してしまいそうな店が「バル・デ・エスパーニャ・セロ」さん。

我々は、この店の看板にあった「パエリアランチ」（1,000円）に誘（いざな）われて、今日のランチをこの店で摂ることにした。

階段を降りると地味ながらも居心地のよさそうな隠れ家のような店がある。
元気のよさそうな女性がひとりで切り盛りしているようだった。

平日限定のランチは３種類。
「日替わり」「グラタン」「パエリア」から選ぶことができ、それぞれ、サラダ、スープ、ドリンクが付いてくる。

私は初心貫徹で「パエリア」、連れは「日替わり」のミートボールをチョイス。
正直言って「パエリア」はとりわけ美味しいというほどではなかったが、少し交換した連れのミートボールはとても美味しかった。

それよりも、店の雰囲気というか、飲み物に関する表示がやたらと気になる。
私はドリンクメニューとともに夜のメニューを見せてもらった。

この店には「Mahou」の生ビールがある。
また、シェリー酒が多数用意してある。
料理は、スペイン全土の料理がジャンルを問わず用意しされている。

私はこの店に何となくタダ者ではない雰囲気と理由のない親近感を感じた。


それからしばらくして・・・、

私はこの店に妻と夜の食事に訪れたのだった。
今回のリハビリランチウォーキングでディナーに訪れたいと思ったのはこの店だけだった。
誤解の無いように言うと、他の店が良くないという訳ではない。
この店の夜は昼とは全く違う顔を見せてくれるだろうと思ったから。

週末のその夜は、私たちのほかには２組の客がいた。
また、カウンターにはひとりのかわいい少年が勉強（ゲーム？）をしていた。

埼玉ではここ１軒しかないという「Mahou（マオウ）」の樽生ビールをいただいた。
スッキリとしていながらも軽すぎず軽い酸味を伴った飲みごたえのある美味しいビールだった。

ん？このビールは・・・。

「ひょっとして、この店って依然どこか別の場所になかった？」

「以前は、大宮駅西口でやっていました」

やはりそうだった。
私はかなり以前のことだったが、先輩夫婦に連れられてその店に行ったことがあった。
これがランチの時に感じた「親近感」の正体だったのかもしれない。

「何故ここに移ったの？」

「オーナーの関係で・・・」

聞いても難しそうだったし、何か事情がありそうだったのでそれ以上は訊かなかった。

「でも、この氷川参道でやってみたかったんです」

確かにこの参道は雰囲気は良いものの店はとても少ない。
一本裏手の道に面した一般の家や駐車場が多くてもったいない気がする。
ひょっとしたら、何か規制があるのかもしれない。

「結構ここでやってみたいという人が多いんですよ」

そうだよね。
並木道のこの道沿いにテラス席のあるレストランやカフェが立ち並べば、文字通り「プロムナード」として人気ある通りになる事は容易に想像できる。

今夜、我々は「マッシュルームのアヒージョ」、「タコ（イイダコ）のガリシア風」、「イベリコ豚（ベジョータ）のロースト」をいただいた。

「アヒージョ」は安定の味。
我々はパンをお替りしてこの料理を楽しんだ。

「ガリシア風」は、この料理の特徴であるパプリカの風味が弱いような気がしたが、その分、タコよりも薄味のイイダコにはあっていたのかもしれない。

「イベリコ豚」はソースが美味しく、ワインやパンとも相性がよく美味しくいただいた。

この店には、「メロッソ」（おじや）や「カルドソ」（雑炊）がある。
パエリヤのパスタバージョンともいうべき「フィデウア」もある。
締めにはピッタリの料理の数々だが、私はまだ入院時からの病院食の量から脱却できていない事と、パンのお替りがこたえていたせいもあって、お腹が一杯になってしまった。

店を切り盛りする彼女は盛んに勧めてくれたが、この日飲めなかったシェリーの数々と共に、次回の楽しみにさせていただいた。

この女性は、夜もひとりで切り盛りをしているようだった。
ひとつ難があるとすれば、そのせいか料理が出てくるのが致命的に遅い。
この客数でこうだとしたら混雑していたら大変だと思った。

でも、彼女はスペイン全土の料理にも明るい。
ワインやお酒に対する知識もこだわりもある。
地元のイベントにも積極的に参画しているようだ。
カウンターにいる男の子は息子さんなのかな？

私がランチで訪れた時に抱いた「親近感」が以前の店への訪問だとしたら、同じように感じた「タダ者ではない雰囲気」はきっと彼女に対する印象だったのかもしれない。


ちなみに、この店は隣（というか上に階の）オープンカフェとは関係ないようです。
入店の際にはお間違えのないように。