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『ゆず塩ラーメン 650円なり』
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国道34号線の旧道沿いにあります
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駐車場も重機が入れそうな大きさだし、
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長崎本線を挟みダイレックスさんの裏側
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横側のPから最も分かりやすいサッシ扉は
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入り口ではありませんの消えそうな白文字
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どん詰まりに『営業中』の看板と赤提灯が
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青い矢印のように横から入るのが正解
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垂れ下がってる殴り書きのような文字
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『塩サワーらーめん』に目が霞みながらも
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見ると卓上にも一応メニュー表はあるので
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カイワレは要るの、錦糸卵ってどうなの?
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替え玉の際チャーシューも追加するそうで
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故『佐野 実』さんとご主人たちとの写真が
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佐賀県にこんな美味しい塩ラーメンが?
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時間が読めないので早く出たものの、やはり裏道なんかも憶え、行き慣れてきた佐賀県、あっという間に着いて、時計を見ると1時間以上前、
「ヘタすりゃ唐津まで行けるなあ?」
などと、反対側の有明海沿いで想う。
現地に詳しくない方々は訝しがるかもしれませんが、それだけ佐賀県の面積って小ちゃいんです。
そこで前々から目をつけてた多久市のラーメン屋さんで軽く一杯と目論み、向かったけれど臨時休業、もう一軒はやってるのかやってないのか、まるで見当もつかない佇まい、玄関は開いてて、おばちゃん同士がダベってるものの、いまだ暖簾は掛かってない。。
しばらく待ってるとお喋りも終わり、おばちゃんお店に引っ込むも、いくら待てども暖簾が出てこない。。。
食べログにも営業時間は不明の模様。
〝ううむ? こうなりゃ『一光軒』まで行こうかなあ? それとも『アムール』でカレー食べよっかなあ?〟
そう想うのも、両店とも行ったことがあり、ジャンルは違えどどちらも美味しいお店で、前者は投稿済み、後者は写真がないのでレビューこそしていませんが、かなり人気のある満足できるお店であることは間違いありません。
〝でも『一光軒』行って、待たなきゃいけなかったら時間的に焦るし〟
そう思ったので、すぐ近くだった後者『アムール』さんに向かうも、やはり
〝ああっ、ダメだ! 口がラーメンだ〟
となり、ふと憶ひ出したのが江北町にある旧いタイプの豚骨が多い佐賀県の中で、なんと塩ラーメンが有名な同店『須彌亭』さんです。
一度想うと、なかなか口は変わらないし、どちらにしても有明海側に戻ってこなきゃならないし、ということは、
〝こんな山奥にいつまでいたって埒ゃあかない〟
と諦め(って、多久市の皆さん、山奥扱いして申し訳ございません)、そう決めると、多久市から江北町へ抜ける山越えの県道があったような気がし、地図を見て早速ハンドルを切る。。
〝11時半開店か、間に合うかなあ?〟
なんて、行きしな不安に思ってましたが、ほんの15〜20分で到着したので、重ねて多久市の皆さん、山奥扱いしてホントにすいません。
お店は江北町の中心地『肥前山口』駅のわずかに東側にあり、国道34号線の旧道沿い、長崎本線を挟んで走る現在の国道から見ると、写真のように地元ディスカウント『ダイレックス』さんの裏側になります。
着いたのは11時24分、駐車して車内でゴソゴソ片付けをしてると、どうやらご主人らしき初老ながらシャっとした方が幟旗をセットされている。。。
「おはようございます。えっと、車の着け方って、こんなんでいいです?」
降車したワタシは、思わずご主人に、そう確認しました。
というのも、そのお店の横にある砂利敷きの専用駐車場、言うに及ばず駐車ラインなどなく、どう着けていいのか皆目検討もつかなかったので、念には念を入れ、一応訊いてみた次第です。
「あっ? はあ、大丈夫ですよ」
ご主人も、そんなこと訊かれたことが滅多にないのか、どうでもご自由に、と言わんばかりに、軽く微笑みながらおっしゃいました。
ってまあ、ワタシも田舎になればなるほど駐車に関してアバウトになるのは承知してるつもりですが、そのせいで迷惑を被った憶い出の方が多いので、なんとも気になる、その意味で云うと神経質な人間なんでしょうね?
「あっ、トイレってあそこですよね? じゃあ、すいませんけど、トイレ先に行かせてもらいますんで」とワタシ。
「どうぞ。ごゆっくり」と、ご主人。
同店、一番の問題点は構造で、普通は道沿いにあって専用Pが横なら玄関口は表側=道側に向いているのに、横側の、しかも写真にあるように、そちらから最も分かりやすいサッシ扉には
『入り口ではありません』
の消えかかりそうな白文字、となると一番どん詰まりに『営業中』の看板と赤提灯があるので、そこなんだろうと察しはつきますが、写真こそないものの、正面から見るとトイレ表記があるだけで、青い矢印のように横から入るのが正解という、なんともクイズのような分かりにくい建て付けなんです。
ですから、Pの奥に駐めたワタシからは正面にトイレの表記が見えており、いったん入店すると再度出ないといけないことは明々白々だったんで、予め断っておいたわけですが、またしてもご主人アバウトな感覚なんでしょう、まるで公衆便所みたいに使ってくれと云わんばかりでした。
そんなこんなで先にトイレに入ると、洋式ではあるものの、なんだか簡易的な、突貫工事で取り付けた感じがし、建物自体が継ぎはぎで増長したような良く言えば『ハウルの動く城』、悪く言えば誠に失礼ながら単なる『あばらや』みたいな佇まいでした。。
といって、そんなラーメン屋さんって今までなかったと言えば嘘になるし、そういうバラック的な店舗で味わう方が、なんともB級なアミューズメント感覚を増させるような気がし、不思議と愉しくなるものでしょ?
もっとも入店すると、
〝あれっ、誰っ?〟
と、ワタシが一番乗りなはずなのに、カウンター席に陣取る後ろ姿が一つ、しかも若いサラリーマン風。。。
おそらくトイレに行ってて抜かされたんでしょうが、別に大きな事を成したわけでもないし(って、汚いなあ)、ほんの数分でなら、なんとなく気配を感じるものですが、まるで人気を感じなかったので、なんか狐につままれたような感じでした。。。。
店内は外観とは違い、お世辞にも綺麗とは言えないものの、普通のイニシエ系ラーメン屋さんといった趣で、奥に小上がり席がありながらもカウンター6〜7席の、こじんまりとした造り。
それら全て、卓上に名刺があったので頂いたんですが、写真にあるように、お店の裏が『吉祥』という土建屋さんの名刺になってたんで、想像するに、ご主人自らが建てられ、ずいぶん時間が経った建物か?と。。。
ですから、駐車場も重機が入れそうな大きさだし、そんな雰囲気でもあり、且つ、廃材などを活用して作ったからそうした建て増しっぽい感じに見えるのかな?と(あくまでも想像ですが)
と、いろんなことを思うより、まずは注文なので、壁の木の札や、メニューごと垂れ下がってる殴り書きのような文字、『塩サワーらーめん』なる珍品に軽く目が霞みながらも、
『ゆず塩ラーメン 650円』
を、お願いしました。
普通の『塩ラーメン 550円』にしようか『特製 ネギ油塩ラーメン 700円』にしようかとも思いましたが、さっぱりしたかったんで同メニューを選択したわけです。
で、見ると卓上にも一応メニュー表はあるので、
〝ベタベタ壁から垂らさなくてもいいのになあ?〟
と思いましたが、まあ、書いてないのもあったので、
〝じゃあ、少なくともそれだけ貼ればいいんじゃない?〟
とも思いました。。
そういう何とも言えぬ無駄なところが随所に見られるのが、けっきょく同店の短所、逆に言うと魅力でしょう。
ところが、4〜5分で出てきたのは、見るからに無駄を削いだ、透き通ったきらめく色合いの塩ラーメン。。。
〝クぅ、美味い!〟
そういう感じのスープって、だいたい味も主張しないけど、割とグっとくる力強さも充分、前述した土建屋さんも兼業されてる(?)ご主人らしい汗をかいた後でも満足できる塩分もあり、予め少しだけガーリックが入っているのか、そんなコクも感じられる。。
それをまた、柚子のさわやかな香りがさらってゆき、またスープを飲みたくなってくるんです。
〝なんだろう、このちょっとトロンとした感じは?〟
そのときはそう思ったに過ぎず、清湯の鶏ガラだろうに何故トロみが際立つのか分からなかったんですけど、他のレビュアーさんの投稿を読むに豚骨が隠れてるそうで(相変わらずのバカ舌で恥ずかしい)、だからこそ生まれるコク深さがあるような気がしました。
麺は中細ストレートで喉ごしよく、不思議とあまり主張しないので、スープの邪魔にならないけれど、やはり少し佐賀らしいヤワさがあるので、それは玉に瑕かもしれません。
ましてや具がチャーシュー、小ネギ、キクラゲまでは良しとしてもカイワレは要るのか? 錦糸卵ってどうなの? って感じで、やはりここにきて前述の無駄に多いところが如実に顕われちゃったような?
ってまあ、カイワレは歯応えの変化を(って、キクラゲがあるけど)錦糸卵は甘みで味の変化を狙ったんでしょうけど、さほど甘くなく、あまり効果は感じられませんでした(まあ、黄色で色添えには抜群ですが)
しかもチャーシューは少しペナペナで薄く、底味というよりも塩味が際立つタイプのように感じられました。
「すいません、替え玉お願いします」
と、そんなとき、前述のいつの間にかワタシを追い抜いていた先客さんが、応対されたご主人の奥さんらしき方に丼ごと返すのを見て、店内の貼り紙を見るに、どうやら同店の方式は再調整するみたいで、まあ、そういう他店もたまに見掛けますが、その際に上記のチャーシューも追加するというから、文句を言う筋合いではないのかもしれませんし、それよりも、なんとも念の入った手作業に頭が下がる思いです。
その奥さんらしき女性、とても感じが良い方で、だからかご主人は厨房から姿を見せずホールは任せっきりのようでした。
ですから、ご主人の方は前述した応対などからの判断だけですけど、土建屋さん兼業というマッチョ系にはまるで見えず、どちらかといえばデスク系、建築家っぽい風貌のように、お見受けいたしました。
例えるなら豪速球でガンガンいく投手ではなく、変化球を多投して詰まらせ打ちとっていく軟投派のごとき老獪さがあり、それはラーメンにも顕われ、一筋縄ではいかない味わいがあるような感じなんです。
王道のように思えてちょっと変わってるお店に間違えはなく、何度も書いて恐縮ですが、見た目の荒れ果てた感じとは逆の、繊細、且つ、パワフルな塩ラーメンで、まったく脱帽しました。
ふと見ると、天井近くに『ラーメンの鬼』こと故『佐野 実』さんと、ご主人たちとの色褪せた写真があったので、どういう繋がりなのかは分かりませんでしたが、ググると以前に佐野さんが同店を訪れて感動し、今で言うコラボして期間限定ながらラー博にまで出店された経緯があるとか。。。
また、どなたか他のレビュアーさんが書いてたことに同調し、且つ、他店と比べて誠に申し訳ないんですが、その故『佐野 実』さんが晩年手掛けられた唐津の『らぁ麺 むらまさ』さん(以前レビューしてます)よりも、同店の方がわずかにレベルは上だけど、お店の見た目は大惨敗だと思います。。
とにかく、佐賀県にこんな美味しい塩ラーメンがあったのかとびっくりしたぐらいなので(またディスってるよ)お近くにお寄りの際は、デートや接待とかでなければ、勇気を振りしぼってバラック調の同店をぜひ訪れてほしいものです。
● 個人的 食べログ 評価点・・・4.1