伊万里で自ら牛を育てるシェフのイタリアン : katecuore

佐賀県伊万里市にあるイタリアン「カテクオーレ」。
オーナーシェフの湊氏は元々京都のtvb時代に山口氏（祇園やまぐち）と働いていたそうで、山口氏と同タイミングで独立されてこの伊万里に店を開いた。理由は”牛を飼いたいから”。

2年ぶりの訪問、当時は12000円のコースだったけど、現在はかなりスタイルも変わっていた。
おまかせは18000円で、席はシェフズカウンターの最大5人のみ（昼夜同じ）。
さらには1品ごとに出来立ての料理を提供したいということで仕込みから目の前で行うためにコースは約4時間かかる。
ただ、その4時間はあっという間に感じるほどのライブ感と楽しさで過ごすことができたし、内容もさらに進化しており価格も妥当なと感じるものだった。

1品目の目の前でミルクをレモンの酸で固めて作るチーズはまさにこの店のスタイルでしか提供できない1品であろう。
また、タルタルの製造過程もすごい。自家製牛をスライスしてローズマリーを巻き込み、牛が食べて育ったという牧草で香りをつけて焼き上げ、丁寧に叩く。卵黄の丁寧な処理やキビナゴの魚醤を合わせるあたりなども考え抜かれている。
口に入れた時のとろける感じは最高で、今まで食べたこのタルタル系では抜群にうまかった。
目の前で生地に包んで揚げて熱々を提供する包み揚げピザ（パンツェロッティ）にはブルーベリーをアクセントに加え、ウニのパスタにはあらかじめ皿に吹きかけた焼酎とノリで香りに個性を出すなど、ちょっとした工夫にセンスを感じる。

自ら育てた牛の調理はとにかく丁寧で、焼いているプロセスには愛すら感じるほど。
メインの炭火焼はかなり大きめポーションで提供してくださったのだけど、味もシンプルに塩のみで熟成していない肉ならではのフレッシュさを感じられる仕上がりで圧巻だった。

最後のパンナコッタも1品目同様に目の前で作り上げるというこのコースの集大成。
時間はかかるが食べ手と作り手が共有できる時間としては非常に貴重でなかなかない機会として楽しめたのは嬉しい。
時間がかかることでのネックは飲みすぎてしまうこと（逆に飲まない場合は辛いと思うが）、気をつけたいところだね。
また是非この素敵な時間を楽しみに伊万里まで伺いたいな。

佐賀県伊万里市にあるイタリアン「カテクオーレ」。
オーナーシェフの湊氏は元々京都のtvb時代に山口氏（祇園やまぐち）と働いていたそうで、山口氏と同タイミングで独立されてこの伊万里に店を開いた。理由は”牛を飼いたいから”。

畜産業からスタートし、デリカテッセンを経ていよいよこのおまかせコース限定のオープンさせた。
牛を含むおまかせコースは12000円、東京や京都の感覚からすると安いのだろうけど、ここ伊万里では色々苦労もあったそう。それでも海の幸と山の幸が豊富に手に入るこの地の食材の豊かさに惚れ込み、着実にファンを作ってきた。

テーブル席もいいけどやはり調理場の見える5席限定のカウンターがおすすめ。
合羽橋でオリジナルで作ってもらったという肉の焼き台は、炭の火の具合に合わせて縦横の位置を自在に変えられるもの。
お肉は自分たちで育てたもの以外にも契約生産者のものも扱っており、その日の状態の良いものを採用しているそう。
この日は徳之島の未経産牛、見た目からオーラが漂っている肉の塊をコース序盤から焼いては寝かせ、焼いては寝かせと丁寧に時間をかけて焼き上げていくのを眺められる。

なかなか手に入らないというチンタネーゼ36ヶ月熟成生ハムからスタート。
塩が主役という料理はリコッタチーズとオリーブオイルに花塩。
焼きたてのパンにつけていただくと、塩のミネラル感が口の中に広がる。
器も盛り付けも含め素晴らしいセンス、地元伊万里の若い職人の器を使っているそう。

鳥取産香箱蟹はカッペリーニにし、生の白菜の食感には柔らかな白子を合わせて。
肉だけでなく魚介系の素材選びも確か、この時期は海がしけることが多いらしいが、
玄界灘の素晴らしい素材も手に入りやすく、これは時期を変えてまた楽しんでみたいところ。

お待ちかねのお肉は大きな塊からもっとも美味しいところを切り出して。
表面はカリっと仕上げ中は美しい肉色のしっとりとした仕上がり。素晴らしい焼き。
この日はあえて熟成させない経産牛、肉汁の旨味と香り、力強い肉の食感を存分に味わえる。
シェフが育てたお肉を食べられなかったのは残念だけど、こちらも流石の肉質と焼きを楽しめた。

パスタはフレッシュトマトとホール缶のトマトの余計な水分を抜いてトマトの旨味を引き立てて、
シンプルながらも奥の深い味わい。
デザートはきな粉や黒蜜など和のテイストを加えたパンナコッタ、こちらも東京でもなかなか出会えないようなハイレベルなものだった。

失礼ながら佐賀とは思えない類稀なるセンスの料理をいただけて感動。
全体に量が少なめでもっと食べたい感じはあるが、食後の幸せ感と余韻を味わえた。
これは再訪必至、季節を変えて楽しんでみたい。
わざわざ伊万里までいく価値のあるお店だと思う。