2回
2016/12 訪問
クセになるつかみ寿司【更新】
2016/12/1 早朝
例によって年寄りの早起き、朝5時には目が覚めていました。なぜか急に、寿司が食べたくなってきたのです。
中央卸売市場にあるこの"ゑんどう"は、さすが市場内店舗らしく朝5時に開店します。閉店が14:00なので、夜の部でゆっくり飲食するという使い方ではなく、一種のファーストフードっぽい寿司屋と言えますが、もちろん回転寿司ではなく板さんが一貫一貫丁寧に握る本格的な寿司を提供しています。握ると書きましたが、ご飯はかなりゆるく、この店では"つかみ寿司"と呼んでいます。
前回の訪問時にかなり意識したご飯のソフトな握り方は、ヘタな箸遣いでは食べづらく、手で食べることを暗に要求しているようで、実際、手で食べた方が美味しいと思います。握り寿司本来の食べ方にたち返ればいいだけですが。
例によって、おまかせ寿司(上まぜ)と赤だしを注文しました。今朝も前回同様に2枚(1枚で5貫)食べました。
今回は手元に外国人向けのメニュー表があったので、このおまかせ寿司の内容が確認できたと同時に、オーダーは1から順番ではなく直接「何番」とダイレクトに指定できることも分かりました。前回の"妄想"は儚くも崩れ去ったのです。知らなきゃ良かったかも、とも思いましたが、まあ美味しいことには変わりないし、次はワンランク上(?)のオーダーをしてみたいと思います。
なお、各"上まぜ"のネタは、メニュー通りではなく、一部は別のネタに入れ替わっています。前回の2枚目にあったハモは、今回、太刀魚になっていました。
ごちそうさまでした。
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2016/7/27 早朝
早起きして(早く目が覚めてしまって)、そのまま食べログのレビューを書くことが多くなっている昨今ですが、生々しいレビューを書いたり読んだりしていると、だんだんと何か美味しいものが食べたくなってきます。
「朝ラー、したいなぁ」
「いや、朝寿司しようかなぁ」
ベッドの上で葛藤が始まります。大抵は我慢して、普通に朝を迎えるのですが、今日は我慢が出来なくなり、いきなり起きてヒゲを剃ってから、自転車で中央卸売市場に向かうことにしたのです。この店のお寿司を食べるために。
中に入ると、先客が2組4人いました。母娘らしい二人はテーブル席、男性二人はカウンターの奥側に並んで座っていました。私がピン客と知ると、店の女性スタッフはカウンター席に案内してくれました。
「1枚お願いします。赤だしも」
今回は常連っぽく、自然に頼むことが出来ました。
『初めて、1枚』
若い方の板さんは、奥にいるらしい板さんに注文を通しました。一瞬「初めて?」と思ったのですが、実はこれが重要なキーワードだったのです。
1枚、と言うのは一皿と言い換えられ、「おまかせ寿司(上まぜ)一皿」という意味になります。横長の四角い陶器の皿に、5種類の握り寿司(軍艦もあり)が乗っていて、その種類は店に"おまかせ"なのです。どのネタも、さすが市場内という感じで、新鮮で大ぶりです。
ご飯がかなりゆるく握られており("つかみ寿司"と言うらしい)、箸では崩れてしまいちゃんと食べられず、自然に手で食べることになります。醤油は刷毛で垂らすように塗り、握りを三本の指を使って皿からフワリとすくうように持ち上げ、上から口中に落とすようにして食べるのです。この食べ方に慣れてくると、なんとなく食べるという行為に快感をおぼえてきます。インド人はいつもこんな快感を味わって食べているのでしょうか。
さて、入店した時は前回と同様に1枚で終わりつもりでしたが、何気にカウンター席に座っていた男性の会話を聞いていたら、こんな感じのセンテンスが。
「oh! MATSUTAKE、its a japanese mushroom」
こんな風な英語を大声で話していたのは日本人ですが、相手は東南アジア系のインバウンドらしき人でした。そして、寿司やこの店、あるいは大阪各地の解説を流暢な英語で話していたのです。二人がどういう関係かはわかりませんが、とにかく日本人の方のノリは、かなりのハイテンションで、逆に外国人の方が物静かに思えてしまったのです。
(え? 松茸? 私のにはないぞ?)
実は、これがトラップだったのです。おまかせ寿司は、5種類の組み合わせがお店まかせなのですが、追加するたびに種類が変わって行くのです。おそらく、1枚目、2枚目、3枚目とそれぞれ種類が決まっていて、だから注文を通すときに「何枚目」かが重要なキーワードになっていたのです。ネタがかぶらないようにするためです。そして、これがこの店の商売のポイントだったのです。
今風に言えば「ビジネスモデル」の一種ではないでしょうか。
私のようなピン客でも、周りで食べている人の前に出てきた寿司を見て、それが美味しそうだと、自分も追加してみようかと思ってしまう可能性があるからです。今回の私のように。これが、二人以上だと顕著になるのではないでしょうか。自分は量を食べないけど、同行者が追加して食べていると、それ美味しそう、などと興味が湧いて、つい頼んでしまう、みたいな感じで。グループの中に大食いの人がいると、つられてしまうわけです。
もちろん「おまかせ」以外のメニューもありますが、壁などには掲示されておらず、メニュー表はあるものの、オススメのネタなどは不明で、自分で指定する必要があり、結局「おまかせ」になってしまうのです。
なかなかいいアイデア(自然にこうなったのか意図的なのは別として)だと思いました。そして、やっぱり美味しかったです。
ごちそうさまでした。
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2015/2/27 05:50 チャリにて訪店
冬の寒い朝、まだ薄暗い空の下、大阪の自室を抜け出て、マンションの自転車置き場から自分のチャリを出して、中央市場に向かいました。目指す場所は自転車なら5分で到着する距離にあり、歩いても行けます。ただし、平日に急に思いついたように行動したので、食後には速やかに自室に戻り、出勤の準備をしなくてはいけません。徒歩よりは確実に段取りが計算できるので、自転車で向かうことにしたのです。
このお店は、私の上司に勧められたのですが、聞いてみるとその人はこの界隈に住んでいたようです。妙に詳しい口コミ情報だな、と思っていたら、実はそういうわけだったんです。この付近に土地勘のある同僚は他にもいて、揃ってこの店の話をするので、それならば行かねば、と思ったわけで、しかも市場ならやっぱり早朝だよね、というワンパターンの思考ルーチンが働き、今回の訪問となったわけなのです。
ただ、想定外だったのは、大阪中央市場があんなに広い敷地にあるとは思っていなかったのです。だから、チャリをこいで守衛室らしき場所に着いたところで、この店とは全く違う遠い地点に来ただけで、そこから入店するまでにそれなりの時間がかかってしまったのです。
でも、そのせいで市場内の見学が出来たわけで、それはそれで興味深く楽しめたと思います。市場内を縦横無尽に走り回るたくさんのターレット(小型運搬機、ターレー)をうまくよけながら、ちょろちょろと歩き回って、おそらく遠回りもして、目指すこの店にたどり着いたのです。
店外からは中が確認できなかったので、若干の不安がありました。満席じゃないのか?客層は私とは掛け離れているんじゃないのか?などと心配しましたが、意を決してドアを開け中に入ると、まあまあ普通の食堂風でした。席の半分ぐらいが埋まっていましたが、私は空いているカウンターの隅っこに座りました。
事前にHPなどで情報を仕入れていたので、注文はスムーズにできました。
「おまかせ1枚」
いかにも常連っぽい符丁を使って頼んでしまいました。(正式商品名は"上まぜ")
「あ!味噌汁も」
慌てて、この店の自慢の味噌汁も頼んだのです。この辺がまだまだ素人ですね。まあ、いずれにしても店側にはバレているでしょうし、だからどうだってことでもありません。私の自己満足度の問題です。
お寿司は美味しかったですが、細くどうのこうのって評価できる舌は持ち合わせていません。ただ、市場内の寿司屋なので、市場ネタが使われているんだろうなぁ、というイメージはしっかりと浮かびました。
味噌汁も独自のレシピになっていて、興味深く、そして美味しくいただけました。
あとから来た子連れの女性は、テーブル席に座ると、いろいろ頼んでいましたが、こんな朝早く(06:00前後)に、どういうわけでこの店に親子揃って寿司を食べに来たのか、他人ながらいろいろ考えてしまいました。未だに理解できていませんが。
とにかく、上司など複数の人に勧められるだけのことはあると思いました。食べログのネタとしては、上等の部類でしょう。
早く起きれたら、またチャリをとばして行きたいと思います。
(朝なら)1枚で充分(満足)ですよ。
追伸。市場内を走り回っているターレットは、近隣の道路でも時々見かけたりします。この界隈の風物詩ですね。お仕事、ご苦労様です。
2016/12/01 更新
あいにくの週末の雨でしたが、この日はとても楽しい時間を過ごせたと思います。大阪に住み始めて3年半ほどになりますが、2〜3ヶ月に一度のペースで、お会いして一緒にあちこち食べ歩いて頂いているご夫妻と、今回も食べ歩きをしました。当初はネットゲーム関係のオフ会というイメージでしたが、現時点では知り合いというか友人同様のお付き合いをして頂いています。大阪において独り身の私にとって、唯一のリアルな知り合い(他にもオフ会等でお会いした方はみえますが)なので、とても嬉しく思います。
さて、今までは東は名古屋、西は姫路までと一緒にあちこち行ってましたが、今回は改めて“灯台もと“の大阪府内で食べ歩くことにしました。
題して『大阪再発見ツアー』です。
かと言ってそんな大げさなものではなく、ほぼ行き当たりばったりな企画で、行きたい場所として事前に下調べしたのは二ヶ所のみで、あとは成り行き任せという形で歩いて歩いて、そして食べて食べて、食べました。
☆☆☆
まずは、私の住む「野田界隈」からスタートです。朝食をどこにするかは、この地をスタート地点と決めた時点で、自動的にこの店が選択されることになります。「朝から美味しいものを野田界隈で食べられる」店はここぐらいしか思い浮かばないし、自分の食べログレビューの中で、自信を持って人に紹介できる店の上位にあるからです。
今回は私も含め3人だったので、今までとは違う食べ方が出来て、個人的にも非常に満足した内容となりました。
待ち合わせはJR野田駅に08:05、さすがに(鉄道関係のネットゲームをやっていたのもあって?)ドンピシャで集合した我々は、駅前から、その昔この店のある中央卸売市場まで引込み線があったという廃線跡に作られた『野田緑道』をネタにしながら、歩いてこの店を目指しました。ちょっとだけ遠回りになりますが、キレイにカーブした野田緑道を歩いて行くだけなので、迷うことはないのです。(アップした地図を参照)
今回は今までより遅めの08:30ごろに店舗前に着いたので、外待ち客がいました。2組5名で、それぞれインバウンドのようでした。そぼ降る雨の中、店頭の軒下で10分ほど待った後、開けたドアから顔を出して女性スタッフが呼んでくれたので、我々は待ってましたとばかりに中に入りました。これまでの3回ともソロでの訪問だったので、いずれもカウンター席に座りましたが、今回は3人なので必然的にテーブル席になりました。視点が低いせいもあったのか、初めてのテーブル席は何か新鮮な感じがして、思わずカウンター席の方を向いて撮影してしまいました。いつもは(といっても今回でまだ4回目なのだが)そこに座っている自分がいるんだよな、と想像しながら。
一人だと出来なかった全種類のオーダーを、今回の密かな目論見としていましたので、さっそくそれをイメージして、オネイサンに注文しました。
「おまかせの1枚目、2枚目、3枚目をお願いします」
『3名とも3枚でよろしいですか?』
おっと、そう来ましたか。確かに大人なら5貫の乗った“1枚”のおまかせの寿司を3枚食べられるでしょうけど、朝食がわりということと、全種類オーダーをする目的だったので、3人で3枚をシェアする形にしたかったのです。
「いえ、1枚目から3枚目まで、全部で3枚でお願いします」
『分かりました。赤出汁はどうされますか?』
「赤出汁も3つお願いします」
ということで、無事注文が出来たので、あとは配膳を待つばかりでした。そして、待望の“つかみ寿司”の皿が3枚、3〜4分後に目の前に並ぶことになりました。
「レディファーストで、順番に好きなネタを1つずつ食べましょうか」
という提案で、順番に食べて行き、すぐに一人5種類の寿司を完食した我々は、予定通り追加オーダーをしたのです。
「全部で5種類でしたよね?」
『はいそうです』とオネイサン。
「じゃあ、4枚目と5枚目をください」
一人2枚は食べられるボリュームですが、モーニング代わりということで、軽めにしたのです。これで5種類の“おまかせ”を頼めたわけなので、目的は達成しましたし。4枚目も5枚目もパクパクっと食べ進みましたが、計算上は1貫の残ります。
「1個残った寿司は、じゃんけんで負けた人が食べることにしましょう」
私が天邪鬼な提案をし、そしてじゃんけんに勝ってしまったという結末でした。
ごちそうさまでした。
☆☆☆
食後、中央卸売市場の中を散策し、今回行きたい場所として事前に下調べしていた場所に向かったのです。事前情報として閲覧したのは、下記のような内容でした。
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▶︎街並みに「昭和」チラリ◀︎
▶︎うだつ、箱軒、両面表札も◀︎
野田は空襲は受けたが、焼夷(しょうい)弾は落とされていないので、古い蔵や町家が残っている。ここからしばらくは、まち歩きの案内をしておられる鈴木和夫さんに案内してもらう。前回の爆弾破片痕で触れた「はり円加藤」の看板のある家は、うだつのある立派な建物で、元は酒屋さんだったそうだ。
「昭和10(1935)年前後の建物と聞いてます。大阪市中央卸売市場ができるのが昭和6年で、その後にできた家が多いんです」
新しく町割りがされて家が建ち並び、人口が増えた。鈴木さんが2階建ての家の2階のひさしを指さす。段々になっていて銅板で覆われている。「箱軒というんですわ」。大正から昭和初期に流行したデザインだという。こうした昭和初期の建物がいくつも残る。「でも最近は売るなどして建て替えが多くて。どんどん消えていってます」と鈴木さんは言う。
(HP「わが町にも歴史あり・知られざる大阪」より抜粋引用)