Mr.ぴぃさんが投稿した三忠(東京/千駄木)の口コミ詳細

おやぢの作法

メッセージを送る

Mr.ぴぃ 認証済

この口コミは、Mr.ぴぃさんが訪問した当時の主観的なご意見・ご感想です。

最新の情報とは異なる可能性がありますので、お店の方にご確認ください。 詳しくはこちら

利用規約に違反している口コミは、右のリンクから報告することができます。 問題のある口コミを報告する

三忠千駄木、本駒込、西日暮里/海鮮、居酒屋

1

  • 昼の点数:3.8

    • ¥1,000~¥1,999 / 1人
      • 料理・味 3.8
      • |サービス -
      • |雰囲気 -
      • |CP -
      • |酒・ドリンク -
1回目

2009/04 訪問

  • 昼の点数:3.8

    • [ 料理・味3.8
    • | サービス-
    • | 雰囲気-
    • | CP-
    • | 酒・ドリンク-
    ¥1,000~¥1,999
    / 1人

Le Rouge et le Noir

この作品が丁度発表されようとしていたときに、あの5月の大事件が起って、人々の関心を架空の物語り等には不利な方向に向けてしまった。以下の原稿は2009年に書かれたとみて差し支えない。

第一部
真実、蛸喰うの真実。



ましな奴等を
いくら集めてみても
蛸は陽気になりはしない

小さな千駄木の町は、駒込村でいちばん坂道の多い町の一つに数えられよう。千駄木の駅前に交差点があり、其処から西へ上がる団子坂がある。昔道灌が栴檀(せんだん)の木を植えた処で栴檀木が転訛したとも、寛永寺に千駄の護摩の香木を納入することになっていたとも云われている。
団子坂を程無く歩くと蛸足の提灯が下がっているが、此れがたこや 三忠なのだ。
店に足を踏み入れると、いきなり、見たことも無いような蛸蛸蛸に魂消てしまう。数多くの蛸の造形が、此方の店の方向性の一端を端的に表わしている。この店が其々調理する蛸は、日に何百と云う数量なのだ。瑞瑞しい綺麗な蛸たちが、この大きな包丁の落ちてくる度に、小さな断片を差し出すと、其れが忽ち料理となる。この仕事、如何にも荒っぽく見えるので、蛸と魚を主な料理として出すこの魚介料理屋に初めて足を踏み入れた顧客が一番驚くことなのだ。客がたこや 三忠に入って、テーブルに座っている人々の目の前に置かれる、この立派な料理が誰のものかと尋ねれば、店の者は間合いを見ながらはっきりと「こりゃ、お客様のものですが」と答える。
この店のカウンターに沿い、其の先は手水場となっているが、訪問者がほんの暫くでもこの途中で足を休めるなら、必ず、忙しげな、如何にも偉そうな様子をした、縞の模様のメガホンを見かけるに違いない。
そのメガホンを見ると、誰もが慌てて素通りする。黄色と黒、グレーの柄。幾年も在京の某球団に愛着を持っている輩は特に店内での言動を十分に注意を要すると考えてもよい。



蛸よ、そなた故、ぴぃ達は喜びを見出そうとして、何と狂態を演じたことだろう!

ぴぃは品書きを読み直した。腹の虫が鳴ると、相棒が呟いた。《あの接客係の目に、ぴぃは随分滑稽に思われたろうな。考えていることを本当に云ってしまうなんて、正気の沙汰ではない! 食べられもしない量を註文しようとするなんて正気なわけがない。あの場合、真実を云う方が、わたしらしかったのだ》



魅惑よ! 汝は蛸のもつ、やるせなさを感じるあらゆる力をもっている。だが、蛸のもつ陶酔的な喜びや甘美な楽しみだけは汝の力に及ばないことだ。わたしは明石焼の盛り上がった姿を見て「この明石焼は全てわたしのものだ。天使のようなフクヨカさも、心地良い口当たりも、大食漢をそそるために神がお造りになった其の侭の姿で、この明石焼は今やわたしの手に委ねられている」とは言い切ることが出来なかった   ぴぃの「独白詞」

ぴぃは已む無くたこや 三忠で明石焼を摘ままなければならないことになると、華華しい皿の量や、相棒に尽くし分け与えること等を考えて、気を紛らわせようとした。そもそも明石焼は何故形を維持しているのだろうか? 自分でも全くわからない。だが、遣る瀬無い胸の内には明石焼の幸福をも、相続力をも絶対的に支配する蛸飯の姿があった。満腹には陥るまいとして、只管に気力を振り立たせる以外に道は無かった



だが、あの見栄えは如何も訳がありそうだ。姿は実に上品だ! いったい、あの丼は何だろう?



ぴぃは其の侭動かなかった。もう何も見えなかった。幾らか我にかえってみると、蛸飯の具材達が丼から姿を消してしまった処だった。相棒の丼からも消えてしまっている。音を上げて腹部を擦る相棒の後から、ぴぃはゆっくりと語り始めた。
《さあ、此れで何もかも終わりだ》我に返ると、声に出して云った。《実際に食べてみて烏賊墨の黒か。…其れともキムチ味の赤か…》
其れ以上は考えられなかった。



評論は自由を手に入れさせてくれるが、一方評論が支配する世の中では都合の悪いこともある。何の関係もないこと、例えば私生活に迄干渉する点である。多くのコメントやレビューの憂鬱は此れに由来する。私生活に触れまいと思って、筆者は、ぴぃと云う小さな架空の人物を作り出した。評論とか、コメントとか、意見とかが必要な時に、其の舞台を、筆者が一度も名乗ることが無いようにぴぃにした。

TO THE HAPPY FEW(少数の幸福な読者へ)

【参考:赤と黒 小林正訳 新潮社】

解説:
http://u.tabelog.com/pii/diarydtl/5081/

2010/08/14 更新

エリアから探す

すべて

開く

北海道・東北
北海道 青森 秋田 岩手 山形 宮城 福島
関東
東京 神奈川 千葉 埼玉 群馬 栃木 茨城
中部
愛知 三重 岐阜 静岡 山梨 長野 新潟 石川 福井 富山
関西
大阪 京都 兵庫 滋賀 奈良 和歌山
中国・四国
広島 岡山 山口 島根 鳥取 徳島 香川 愛媛 高知
九州・沖縄
福岡 佐賀 長崎 熊本 大分 宮崎 鹿児島 沖縄
アジア
中国 香港 マカオ 韓国 台湾 シンガポール タイ インドネシア ベトナム マレーシア フィリピン スリランカ
北米
アメリカ
ハワイ
ハワイ
グアム
グアム
オセアニア
オーストラリア
ヨーロッパ
イギリス アイルランド フランス ドイツ イタリア スペイン ポルトガル スイス オーストリア オランダ ベルギー ルクセンブルグ デンマーク スウェーデン
中南米
メキシコ ブラジル ペルー
アフリカ
南アフリカ

閉じる

予算

営業時間

ページの先頭へ