2回
2017/10 訪問
2年ぶりに喰ってみたら・・・焼きが少しブレている?
このお店の人気の源泉であるのが、愛知県は一色産の養殖上モノを、蒸しを入れずに腹割き直焼きする、いわゆる関西流儀焼き。関西を跳び越して、どちらかと言えば関東食文化の影響を受け易い広島県では、この関西焼き自体がレアなんじゃなかろうか。加えて、店主殿のマニアックな拘りが注ぎ込まれた結果、我々凡舌ピープルにも分かり易い、脂滴る絶妙ザックリ食感となれば、予約は必須、並び覚悟は自明の理なんである。
【うな重】3500円
一時に比べメニューも大分整理され、高騰し続けたお代も、ここ数年は凍結されたご様子。相変わらず営業開始30分もすれば、店の内外で待ち客が溜まり始める。それでも容赦なく着信する予約の電話。依然として街一番の人気鰻店の座は盤石である。で、ほぼ2年ぶりにトップグレードの蒲焼にかじり付いて2口目でアレッ?と気付いた。ザックリ度がちょっとガサツなんである。良く言えば、分かり易過ぎるのだ。ここまで内臓側が火入れされると、以前のザックリしつつも、微妙にテンダーな繊細食感が影薄くなってるんじゃないかしら。断じて焦げてる訳じゃない。念のため。なので、こりゃどう見ても焼き手が意図した火入れである。確かに「なか勝」らしさはちゃんと感じるのだけれど、流石にこれじゃあ、ちょっと強面になり過ぎとちゃいますか?また暫く間を置いて喰ってはみたい。
【まとめ】
もしかしたら焼き師が代わられたんじゃあるまいか?そんな事を考えてしまうくらい、今夜の焼きは熟練技と言うよりも、力技な印象が舌を惹く。これが今のお店の目指す焼きと言われるならば、そりゃ致し方ないんである。だけども率直に言って、2年前の、ザックリしつつもどこか優しい、あの絶妙な焼きの方が好ましからずや・・・
2017/12/01 更新
2015/09 訪問
都会勢にも引け取らぬ、郷里が誇るクソ真面目鰻店【再々訪】
父が還浄してから一年が経った。一周忌を目前にして、久方ぶりに晩年の父がお気に入りだった鰻を喰いにやって来た。膵臓癌を患った父は、病状の進行と共に脂質代謝も儘ならなくなり、好きだったここの鰻すら無理になった。でも、鰻を喰いたい、あるいは喰えないのが歯痒いと言う気持ちがあったようで、様子を見に帰郷した私に「俺は喰えんから、代わりに鰻喰って来い」と諭吉さんを手に何度か言ったものだった・・・
2015年9月26日
【うな重】3500円
下記、2011年8月初訪時提供価格は2400円。鰻稚魚貧窮の挙句、4年後にはとうとう3500円。実に45.8%もの値上げであり、つまり年率平均10%で高騰してるって事になる。このままじゃ何時まで庶民が鰻を喰えるのやら。だがその代り、ここの鰻は一切のクォーリティダウンを拒否し続ける。ここの鰻の売りと言って良い切れ味鋭い関西焼はバッチリ健在だ。いやそれどころか、益々磨きが掛かってるかも知れない。関西焼故の、シャクッとした絶妙の食感を返して来る、香ばしくも非常に丁寧な焼き。オーダーしてからたっぷり20分は待たされるこの間合いも、本気度の証であろう。値上がり一途なのはもはや諦めるしかないが、鰻好きならば、この鰻を喰えば満足感に浸れること請け合いである。郷里にこれほどの鰻店がある事を、ちょっと自慢したい気分なのだ。
こんな鰻を、晩年の父はいたくお気に入りだった。今頃、向こうで好きなだけ喰ってるのか、あるいは喰ってる私を上方から眺めているのか。そんな思いを追いやる様に、時は確実に流れるのだよなぁ・・・
2011年9月10日
前訪から、まだ一ヶ月足らずでまたまたやって来たのだが、メニューが変更になっていてビックリ。下記、既報分では、鰻不足に伴うメニュー減縮に触れたのだが、九月になって、鰻の仕入れ状況が好転したのか、元メニューに戻ったみたいだ。今夜のメニューには、「長焼御飯」(蒲焼定食)と「ひつまぶし」が復活!!更にはテイクアウトも再開したようだ。ならば絶対、ひまつぶしに「ひつまぶし」で行こう~
【ひつまぶし】2400円
もう、とにかく画像を見て欲しい。関西焼きの王道を行くココの焼き技、サクサク食感と香ばしさが堪らない。定石通りに頂くことにする。一杯目は鰻マゼマゼ御飯、同じ蒲焼ながら細く刻まれた鰻と、硬めに炊き上げられた白米が混ざり合い、うな重とはまた別物の美味しさ。二杯目は薬味のネギを混ぜ込んで、三杯目は山葵を少し載せた鰻茶漬け。あっさりサラサラと掻き込む茶漬けは、鰻の味わいをサステインさせつつ、穏やかに終焉へと導く。味わいながらのゆっくり三杯は、〆の茶漬けを啜り終わる頃になれば、もう気分が満腹、大満足である。コイツは本当に旨かったな~
【まとめ】
ココのお店、この一年で四回目。評価すべきは、いつも手抜きなしのトコロ。本当にばらつきが少ない。これは、大将の真面目さの表れだろう。質の揃ったブランド鰻をキッチリ仕入れ、丹精込めて焼く姿勢がそれをなし得るのだと思う。来る度に評価が上がって行く、これからもじっくり味わって行きたい名店。
2011年8月18日
あれっ、また鰻だ・・・こういうのって感染するとでも言うのだろうか。マイレビュアー殿のどなたかが鰻をUP。すると、何故かポツポツ続く鰻ネタ。まあ、土用の丑の日も過ぎた事だし、当然と言えば当然か。というより無性に鰻が喰いたくなってしまったじゃないか。
ココは郷里の広島県福山市。中規模地方都市とは言え、人口48万人にもならんとする街に、鰻専門店と言える店はたったの二軒!!そんな中でほぼ一人勝ちしているのが、ココ「なか勝」だ。これじゃあ、ボロ儲けか!?とにかく、最近は福山で鰻といえばココ!!と言う程の知名度&人気度。まあ、二軒しかなきゃ、どだいはどっちかなんだが。お店は狭いながら、清潔感があって好ましい。とにかく混雑しているので、運良く奥の座敷に通されれば、これはラッキー。ホールのテーブルだと、「早く喰ってくんね~かな~」という、順番待ち客の熱い視線を無視できる、図太い神経の持ち主じゃないと、落ち着いて味わえないかも・・・
【うな重】2400円
ちょっと前までは、「うな重」にはグレードがあり、その他「ひつまぶし」、「うな丼」と一通りのメニューがあった。だが、8月現在で、少なくとも昼のメニューとしては、「ひつまぶし」は落とされ、「うな重」もワングレード。従って、メインメニューは「うな重」と「うな丼」だけである。また、以前はあった「テイクアウト蒲焼」も無くなってしまった。各テーブルには、良質鰻の入手難と仕入価高騰による苦労が切々と書かれている。メニューの減縮もこれが理由であろう。大ピンチの鰻ちゃん。このままじゃあ、フグにも勝る高級魚になりかねない。
用いるウナギは愛知一色産の養殖ウナギ。腹割、蒸さずに直焼きの関西焼きである。「旨い鰻なら天然モノに限るよ!!」という御仁もおありだろうが、日本の頂上ブランドの一つである一色産鰻を、およそ40分もかけてじっくり慎重に手焼きしているのだ。その蒲焼が一枚半も載った「うな重」が、シラス稚魚が取り合いになるほど品薄な状況下で、2400円で提供されるというのは、恐らく相当な努力の結果だろう。この街で寡占状態の鰻屋ながら、決してボロ儲けなどできないであろうことは想像に難くなく、前言の「ボロ設けか!?」は撤回せねばなるまい。一つハッキリしている事は、ココの主人は鰻が相当好きであろう事だ。食べてみれば、それは解る。
実に丁寧な関西焼き。サクサクッとした食感、皮の存在感が、少し甘めのタレのメイラード反応した香ばしい風味と共に、口の中でドワーッと押し寄せる。決して脂っこくなく、さりとて萎びてもいず、程ほどが一番とはこう言う事だよな、と素直に思わせる。すき家のうな丼とは次元が違うのだから、思わず一口一口味わいながら、ゆっくり食べたくなる落ち着き感。ご飯は少し硬めの炊きだが、その量はドンピシャ鰻の量に呼応しており、センスの良い仕上げに感心。つくづく日本が誇る高級料理だなと、再認識した逸品であった。
【まとめ】
待ち時間長し!!だが、お釣りが来るぐらいコスパ高し!!東京、大阪だったら、とてもこの値段では食べることができない、安くて旨い「うな重」は、福山人なら一度は食べてみて損はナシ!!
2015/11/10 更新
少なくとも広島県東部じゃ、最も支持の高い鰻屋さん
2017/11/26 更新