レビュアーの皆様一人ひとりが対象期間に訪れ心に残ったレストランを、
1位から10位までランキング付けした「マイ★ベストレストラン」を公開中!
2位
1回
2013/11訪問 2015/10/22
祇園ホテルの裏にある小道にひっそりと佇んでおり、赤い提灯が目印である。
外観は粋な数奇屋造りで、風情のある落ち着いた雰囲気が漂っている。
軒先の暖簾をくぐると石畳が続いており、静寂に包まれた店内へと導かれる。
1階はカウンターが8席に掘りごたつの席で、2階には座敷が用意されている。
物腰の柔らかい女将がはんなりとした京言葉で丁寧に招き入れてくれる。
懐石料理は京野菜を中心に、四季折々の厳選された旬の食材が使われている。
器にもこだわられており、華やかに美しく盛り付けされているのが特徴である。
食前酒は、花びらが浮かべられている菊酒。
竹酒は竹筒の香りと風味が心地良く、若竹の器はしっかりと冷やされている。
先附のくるみ豆腐には、葛の葉が覆う。
上にはおくらとろろ、くるみの唐揚げ、イクラ、ワサビが添えられている。
椀の清汁には豊年鱧、白舞茸、束ねられた水菜が入っていて、彩りに柚子と冬瓜。
澄んだ出汁が優しい旨みを含んでおり、ほのかに甘みもにじみ出ている味わいである。
向附は、鯛と横輪。
横輪の身は締まりも良く脂が乗っていて、赤みが薄くマグロよりも淡白である。
焼物の鰆柚庵焼は、甘辛いたれの濃さに意表を突かれた一品。
鰆の身はふんわりしており、酢取茗荷の程よい酸味によって引き立てられている。
お凌ぎは、小ぶりな手打ちそば。
うずらの温玉と針三ツ葉が添えられていて、さっぱりとした余韻が残される。
焚合せは焼茄子、蓮根、小芋、南瓜、椎茸、牛蒡が炊き合わせられている。
素材の味がしっかりと活かされており、季節感のある上品な見た目に感服させられる。
珍味3種はもずく生姜酢、胡麻和え、牛肉のしぐれ煮。
はす芋、三ツ葉、糸瓜が和えられて生ウニが飾られており、しぐれ煮には青唐が合わせられている。
羽釜で炊きあげられたご飯はみずみずしくて艶があり、仕上がりの見極めも見事である。
明太子のふりかけは瓢箪の形をした容器に入っていて、タイミング良くご飯と一緒に提供される。
後汁は合わせ味噌で仕立てられており、粟麩と三ツ葉を入れて粉山椒で風味付けがされている。
香の物は壬生菜とはりはりが小山のように積み上げられていて、白菜塩昆布と小梅も楽しめる。
水物は梨とピオーネのフルーツに、はちみつゼリー。
上から青梅のシャーベットが乗せられ、丸く切られたペパーミントが飾られて爽やかである。
盆にもさりげなく水しぶきがあしらわれており、表現されている涼しさが伝わってくる。
食事の終盤で、店主が自らご挨拶。
全体的に限りなく薄味で、素材の良さを引き出すのに重点が置かれているような印象である。
おもてなしも申し分なく、洗練された空間で贅沢なひと時を堪能できる。
盛り付けもきめ細かくて美しく、視覚的な演出においても抜群のセンスが感じられる店である。
3位
1回
2013/09訪問 2013/09/12
烏丸通から錦小路通りを東に入ると、パラカ烏丸錦パーキングの北側に位置する。
店頭には赤い提灯が掲げられており、石焼地鶏と大きく書かれているのが目印である。
店内は奥行きがあり、手前がカウンターで奥は掘りごたつの座敷が用意されている。
待ち合い席に通されて待っていると、冷たいお茶を出してくれるのもありがたいサービスである。
カウンターは席の間隔が広めで、落ち着いて寛げるスペースが確保されている。
目の前には焼酎の瓶がずらっと並べられているので、眺めるだけでもこだわりが伝わってくる。
メニューは焼き鳥がメインで、鶏料理や創作料理も豊富に用意されている。
焼き鳥は串に刺さったものではなく、席に設置されている石の上で自ら焼くスタイルである。
生ビールは、プレミアムモルツ。
メニューに載っていないアサヒの大瓶は600円で、海外の瓶ビールも幅広く取り揃えられている。
カクテルやノンアルコールの種類も多く、ドリンクメニューも充実した内容である。
付きだしは、鰹のタタキのカルパッチョ。
一つの器に2人分が盛り付けられており、上から玉ねぎが乗せられてマヨネーズがかけられている。
自家製のたれにマヨネーズが相まって甘酸っぱく、カツオを後押ししている組み合わせである。
一番人気は、看板メニューのももとりくら焼。
京丹波あじわい鶏が使われており、通常の2倍の量が提供される。
最初にスタッフが半分くらい石に乗せてくれるが、それでも半分が皿に残っている状態である。
臭みが一切感じられず、外からじんわりと火が通るので中まで柔らかく焼き上がる。
つけだれは自家製甘ダレ、あっさりおろしポン酢、あら塩の3種類。
土佐産のあら塩はまろやかで、鶏肉をしっかりと引き立てている。
ユッケは朝びきの但馬地鶏で、見た目からも惜しみないボリュームである。
一切れが大きくごろごろと入っており、生卵とたれを絡めると甘みが際立っている。
はまちの刺身は、愛媛県産。
新鮮でぷりぷりとしており、程よく脂も乗っていて身が引き締まっている。
大きく分厚めに切られているので弾力があり、しっかりとした食べ応えがある。
THE鶏唐揚には、あら塩とマヨネーズが添えられている。
下味が付いており、そのまま食べても鶏肉の旨みを存分に堪能することができる。
納豆爆弾オムレツは納豆がたっぷりと包まれており、甘だれとマヨネーズが合わせられている。
具がいろいろ入っていてもまとまりが感じられ、穏やかで優しい味付けである。
最強のカルボナーラは生麺のフェットチーネなので、もちもちとした食感が楽しめる。
角切りベーコンの塩気とチーズの風味が効いており、味わい深い本格的な一品である。
スタッフはおしぼりを何度も交換してくれるなど、心遣いが行き届いているのも好印象。
店を出る際には丁寧に道まで出て見送ってくれ、料理からもてなしまで満足度が高い店である。
河原町丸太町交差点から一本東に入って下っていくと、パチンコ店の裏側に位置する。
鴨川に近いロケーションで、閑静な街並みにひっそりと溶け込むように佇んでいる。
ガラス戸を開けて店に入ると、厨房のスタッフが白衣に和帽子という装いで迎えてくれる。
店内は町屋を改装したような雰囲気で、雅趣のある風情が漂う中に流れるジャズが心地良い。
カウンターを中心にテーブル席や個室も用意されており、奥は坪庭を臨む落ち着いた空間である。
ランチメニューは、近江牛柳川丼と完熟近江牛炭火焼御膳の2種類のみ。
取り扱われている完熟近江牛は、飼育期間が通常よりも長いのが特徴である。
滋賀県の日野町にある岡崎牧場から直送で、厳選された上質な牛肉が使われている。
近江牛柳川丼は数量限定で、もやしナムルと味噌汁が付いて500円。
和食器にもこだわりを感じられ、シンプルながら見た目も全体的に美しく彩られている。
量が少なめなので100円追加すると、丼を大盛にすることも可能である。
丼には牛肉のスジ肉や切れ端が使われており、ささがき牛蒡を一緒に煮込まれている。
卵はとろとろの半熟状態で、山椒がほんのりと効いた芳醇な香りも楽しめる。
上質な牛肉なので、切れ端でも脂が乗っていて旨みを存分に堪能できる。
もやしナムルは薄味ながらも繊細に仕上げられており、上品であっさりとしている。
味噌汁はわずかに入っている牛肉の脂身が加わって、コクを感じられる優しい味わいである。
食後に店主が自ら挨拶に来てくれて、帰りはスタッフが丁寧に店の外まで出てのお見送り。
破格のワンコインでも無下にされるような対応は全くなく、贅沢な気分を満喫できる店である。