レビュアーの皆様一人ひとりが対象期間に訪れ心に残ったレストランを、
1位から10位までランキング付けした「マイ★ベストレストラン」を公開中!
1位
1回
2009/11訪問 2013/07/16
満足度高い時間の中で、ついついデザート全種制覇。。。しましたよ。(笑)
◇撮影了承済
パテオの木々は、晩秋の風を受けて、さわやかに揺れている。
真っ白な店内。
入り口に飾られたワインレッドのユリの花の香りが、店内を包み込んでいる。
都会の喧騒を、ふと忘れさせるそこは、テーブル6卓の小規模だが崇高なイタリアンリストランテアロマフレスカ。
そこには静かな時間が流れていた。
夜のメニューは、デフォルトコース(12,000円+コペルト500円)または、季節のコース(15,000円+コペルト500円)。
この日は、季節のコースを頂くことに。
◆季節のコース (15,000円+コペルト500円)
・最初の一皿 鰻を軽くスモークした一品。
・フレッシュポルチーニの炭火焼
・子持ち鮎の黄金揚げ 赤ワインソース
・冷たいズッパを少し
・海の幸のリゾットアロマフレスカ風
・ホロホロ鳥のポルチーニのカッガネッリ
・スジアラの炭火焼 石川芋添え パッシートソース
・柑橋のソルベット
・シャラン産鴨のロースト 秋トリュフ風味
・野菜のココット (茄子)
・ドルチェ (食べ放題)
・ドリンク
・パン
・オリーブ
・クッキー
◆スプマンテ CAVALLERI BRUT 2006
◆白ワイン VINNAE
◆赤ワイン CANNONAU DI SARDEGNA 2005
カベルネソービニョン、カベルネフラン、メルローのブレンド
酸味が抑えられた、ぼく好みの一杯。
季節柄、フレッシュポルチーニ満喫といった料理の数々。
冷たいズッパは、ポルチーニの凝縮した風味を堪能させてくれるが如し一品。
ポルチーニをシンプルに炭火で焼き、フォアグラを合わせた料理、豪快かつ繊細。お代わりしたいと思った。
川魚の子持ち鮎のフライにフルーティな赤ワインソースを合わせるとは、斬新な一品。
惜しげなく使われたトリュフ風味のシャラン産鴨は、風味・味共に、特に印象が深く残った。
ドルチェは、食べ放題だそうで、ぼくは、全種注文。
一皿づつ供されるそれぞれのドルチェは、その順番がしっかりと考えられている。
ほくほくした栗のココット焼きに、温かいバニラアイスクリーム、これだけでも食べに来たいかも。
林檎のチップスと林檎シャーベットを重ねたドルチャ。リンゴ酸の酸味がさわやかな風味となって突き抜ける。
イチジクのコンポートは中にチーズが。上品かつ贅沢な一品だった。
超濃厚なチョコレートは、一口残っていたソービニオン・ソービニオンフラン・メルローブレンドの酸味の少ない愛赤ワインがフィット。
ダージリン2009年ファーストフラッシュ。今年のファーストフラッシュは出来がいい。この料理を締めくくるには適した備えだと思う。
ワインは別として、季節のコース料理がこれで、15,000円+コペルト500円+サービス料とは、CPは極めて高い。
少ないスタッフで切り盛りしているものの、マネージャーの安永氏の柔らかい雰囲気や女性スタッフの気配りもあって、居心地は非常にいい。
味に飽きやすいぼくが、これらの料理をすべて平らげた後、まだ食べられそうな感じであったことに、珍しく驚いた。
白トリュフのリゾットを追加しようと思ったし。
つまりは、味つけのバランスや流れが、極めて絶妙なバランスで配分されているということだ。
強いて言えば、照明が少々暗すぎやしないだろうか?
暗めな照明はムーディではあるものの、料理の美しさを導き出すという点では少々難がある。
レビュアー的意見かもしれないが、写真が綺麗に撮れる程度の明るさはほしい。それはすなわち、料理を美しく反映する光具合であろう、と思う。
ともあれ、なるほど、これでは★の数が増えるのは必然だ。
ぼくとて、★★★★★をつけても遜色ない、そんな評価レベルである。
でも、次回の訪問にも期待したいということで、★4.5に留めておこうかと思う。
帰り際、原田シェフがわざわざお見送りに。
ついつい5時間強も長居をしてしまった、なんとも言えぬ、稀に見る素晴らしい空間にて、有意義な時間を与えてくれたアロマフレスカおよび、友人たちに深く感謝します。
2位
1回
2009/09訪問 2013/07/15
○撮影了承済
友遠方より来るで、突発的にくろぎへ訪問することに。
なんつ~か、ここのところイレギュラーな訪問ばかり。
まあ、黒木君がにこにこしながら元気に活動しているのを見るだけで十分訪問の意味は達しているのだが。。。
この日も、適当に料理を出してもらい、秘密の酒を嗜みながらゆったりと過ごした。
それにしても今月は、あちゃらこちゃらの店で、せいこ蟹オンパレードだな。
来年はどんな方向へと躍進するんだろか、またこれも楽しみ也!
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前経営者から、黒木氏に運営がバトンタッチされたのが、昨年7月のこと。
当時、「せっかくなら、"湯島 黒木” にしたらどうですか?」と黒木に提案したことがある。
当時の黒木氏は、「そうできたらいいですね~」と照れ笑いをしていたのが印象に残っている。
その後、あっという間に人気店になった "湯島一二一” は、早一年を経過し、この度 “くろぎ ” と店名が改名され、新たな未来へと向かい始めた。
“くろぎ ” 、重みがあり、湯島に似合う、実に素敵な店名だと思える。が、看板には店名が一切記されていないので悪しからず。
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◇昼。。。フリーで伺えますが、限定食は、あっという間に売り切れるので予約必須
◇夜。。。完全予約制
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日本酒も充実し始めた今日この頃の湯島一二一、ある日のお話。
「ジゲンさん、せこ蟹(松葉蟹のメス)、食べます?」
「おっ、せこ蟹かぁ~。」
初物で75日寿命が延びた。
白木のカウンターにどかんと置かれていたでっかいキノコ。
「あれ? こ、これ、ひょっとして、ポル。。。チーニ。。。?」
「ええ、フランス産」
「すげ~」
黒木氏、どこまで突っ走っていくんだろか?
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今でこそその趣がなくなってしまった花町湯島に溶け込むように佇んだ、花町らしい趣のある木造の一軒屋があった。その一軒屋を買い取り和食店に改造したのが、こちら湯島一二一だ。
大手の飲食チェーンやコンサル系に流行る旧家イメージの飲食店が乱立する中で、湯島一二一は、昭和の時代から5~60年以上経てきた本物の“時”をそこに感じ取ることができる家屋である。
少々風変わりな店名の湯島一二一。
これは、前経営者のオーナーが打ち立てたコンセプトに基づいたもので、顧客と1対1でじっくりとサービスを提供したいという思いを込めて、1:1 → マンツーマン にかけた "121(ワンツーワン)” を、ひらがな読みで 「いちにぃいち」 になった。
オープン日は、121にかけて2008年12月1日に。
開店当初は、ここを買い取り構築したオーナー自らが運営を試み、無謀にも朝8時までの営業などを行った結果断念。
2009年7月より、湯島一二一立ち上げのコンサルだった黒木氏が引き継ぐことになった。
現在、黒木氏自らが、代表&板長を背負って立っている。
京味にて腕を磨き、吉兆にもいたことがある板長の黒木氏は若干31才。
好奇心の塊ののような黒木氏は、以前北千住に一日一組限定の某和食店を立ち上げ率いたこともあるなど冒険心も旺盛だ。
顔立ちも雰囲気も好青年の彼は、この若さで、人柄もよく実に素直である。
やりたいことはどんどんやる、やりたくないことは極力やらない、そんな頑ななポリシーを持った黒木氏の料理に対する姿勢は、実直で見ているだけでも好感度が高い。
黒木氏が引き継いだことによって、湯島一二一が、極めて次元の高い店に変貌したことは言うまでもない。
料理は、京風ベースではあるが、そこに黒木流のコンセプトや挑戦的創造性が、しっかり反映された、むしろ濃い口の和食である。
湯島一二一は、二階建で、一階はカウンター&テーブル席、二階は、8名用座敷、2人用個室二部屋になっている。
内装には並々ならぬ拘りが感じられるが、これはコンサルだった黒木氏のイメージがぎっしり詰まったゆえにだ。
分厚い欅のカウンターは、実に美しい。
奥の部屋は、天井までも心憎いほどの細工が施されている。
二階は、落ち着きはらったイメージの座敷と個室が用意されている。これらの徹底的拘りを持って造られた和風インテリアデザインは、東京の和食店としても一線を隔したレベル。
― 夜 ―
完全予約制
8,800円(10%サービス料別)のコースのみ。
2009年10月3日の献立
・先 付 鱧叩き 梅肉・山葵醤油
無花果の風呂吹き
・八 寸 吹き寄せ盛り
筋子・大間棒寿司・丹波栗・丸十・ばち子・ゆべし・蛸・柿玉子・銀杏・むかご
・お 椀 土瓶蒸し (松茸・鱧・百合根)
・焼き物 太刀魚
松茸・天然舞茸・天然こう茸
・煮 物 鴨と鴨茄子おろし仕立て
・お造り 大間鮪・豊後水道盛り合わせ・松輪の〆鯖・鮑
・強 肴 和風牛タンシチュー
・香の物 丹波京漬物
・食 事 丹波栗御飯
・止め椀 鱧出汁味噌汁
・甘 味 葛切り
◆酒 口開けは、八海山生ビール。。。これ結構旨い。
次にシャブリをバイザグラスで。
その後嗜んだ5種の日本酒は、この日限定の特別仕様だったので割愛。
◇天然みずの実(イラクサ科ウワバミソウ属)の醤油和え
途中サービスされた一品、これ、コリコリした食感にて自然を味わえる一品。
それぞれの料理は、質実、CP共に高次元なり。
栗木氏率いるスタッフたちの接客も大変好感度高し。
― ランチ ―
◆鯛茶漬け(1,000円) ★★★★★
豊後水道の朝取りの天然鯛を惜しみなく使用した茶漬け。
甘みの強い胡麻ダレの鯛茶漬けは、個人的にはあまり好みでなかった。が、こちらのは別格。
非凡に深煎りした胡麻ダレは、甲高い香ばしさと程よい苦味にただならぬインパクトがあり、なんとも美味。
いわゆる鯛茶漬けとは一線を隔した特筆すべき味わい。
硬めに炊いた銀舎利との相性が、素晴らしい。
な、なんと、ご飯の御代わりはもちろん、鯛もお代わりできる。。。@@;;
板長の黒木氏曰く、「うちは豊後水道の朝取り空輸の天然鯛を使っているんですが、前日仕入れたのもを、再び翌日の夜に供するのは自分のポリシーに反するんですよ。それで、昼間に全部使ってしまおうとランチを始めたんです」
「お代わりしてもらって、早く残っている分をはかして、さっさと仕込みを始めたいんですよぉ~」 と笑う。
「ランチは、あくまでオプションなんで、鯛以外は、あるものを適当に出してます」 とな。
それにしても、1,000円って。。。
・味噌汁
この日の味噌汁は、不思議な優しさを感じる味わいだった。
「加茂茄子の皮です。食材は、すべてが材料なので、すべてを使うように心がけてます。お出汁は、今日は鱧のあらで摂ってます」 と。
・出し巻き玉子
京都の出し巻きそのもの。食感は湯葉の如し。
・焼き胡麻豆腐
ランチでこれが味わえるとは。。。@@;;
・デザート
この日は、イタリアの塩を使ったアイスクリーム。
「何の変哲もないイタリアの塩を使ったアイスクリームです~」 板長の黒木氏、かなりお茶目だ。
◆"幻の” 和風タンシチュー (1,000円)
夜、一口、供されるタンシシューをランチメニューへ。
心地よい甘みとほのかな酸味を感じる上質な牛タンシチュー。
現在、ランチサービス終了。。。幻のランチメニューに。。。
黒木氏は、
「ぼくは、料理の味わいと共にインパクトもを楽しんでもらいたいために、しっかりと味付けをするように心がけています。なので、京料理と思って来られる年配のお客様からは、しょっぱいと言われちゃうんですよ」 と屈託なく笑う。
それでいいと思う。
この店は、そんな黒木料理を味わいに訪れる、それでいいのだから。
黒木氏が、ここへ腰を落ち着けることができれば、将来、きっと名店として認知されることになることだろう。
評価は、高得点をつければいいというものでもなく、黒木氏が引き継いでから間もないということを勘案し★★★★ということで。
味わいと空間、そして人との出会い、そこに生まれる寛ぎを感じられる上質な店に出合えたことに、この上ない喜びを感じます。