『二枚目の暮れ』Jackie_mさんの日記

東十条無頼/ランチ編

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ベランダのごみ箱に、空になった納豆のパックを捨てた。
というのは、室内のごみ袋にそれを捨てようものなら、中に臭いが充満してしまう ! と、まるで活きていた頃の記憶の名残りだけで動くzombieのように成り果ててしまった父親に、そこだけやけに強固な意志を伴って怒られるから。

外は氷雨が降っていたが、予報ではじきに晴れてくるという。
どっと流れ込んでくる冷気を遮る為に慌てて締めたガラス戸の、こちら側一面に生えた結露に、ふと、亡き母が映ったような気がした

<R2.12.30>

「某うどん屋 有楽町店」

スポーツ選手がよくよく、“決して練習は裏切らない”ということを口にするが、それと同様に、そば・うどん屋は決してぼくを裏切らない(確率が高い)と思い、また年末年始の稼働にも毎年非常に期待しているこちらへとやってきた。

いつも通りに(空席という点で)余裕の店内。
しかしいつもとはちょっと趣向を変えて、慣れ親しんだポルトガル料理を卵で封印したものを注文したく、その実現の為、うどんと小さいどんぶりの単品注文と相成った

“せいろ(うどん)” @719
“ミニ海老天とじ丼” @582

うどんとして適正なリードタイムを以てやってきたその膳を撮影しようとして、純白のうどんの上にとろろ昆布のようなものがのっていることに気付いてしまい、それを指で摘まんで除け、手早く撮影を終えて食べ始める。
海老は蝋人形だがそれは最初から分かっていたことだし、値段も値段なので、文句を付けることは筋違いというものだろう。

しかしうどんにまた直ぐにとろろ昆布を見つける。これは何だろうと思ったが、水で締めるものなので、汚いものとは思わなかった。
が ……
そこで箸を入れてうどんの中を探ってみると、未だいくつか昆布がいるので(笑)、仕方なくそこで観念してホールのおばちゃんに声を掛ける

「すみません、こういうのがけっこう入ってるんですけど ……」

私は元来神経質な質(たち)だが、それを鈍(なま)らせてくれたのは酒で、それは私にとって自分の汎用性を高める為には寧ろ良いことだと思っている。しかし今回は、さすがにその許容度を越えたということ。

すると茹で場からその場の責任者と思しき男性が出て来て、今すぐにやり直すということを、先ずは隣の席の女性に向かって告げる(笑/ダメダメだな ……)。
その後私のところへやってきて「今茹でなおしていますから」、というものだから、私も単純に興味本位で、「何が入っていたんですか ?」 と聞いてみたら、

「紐だと思います」
「紐 ?」
「そばなんかに入っている」

―― 紐 ? でももう、これ以上追求するのはよそう

そして二枚目のとりわけ凛々しきざるうどんを手中に収めたとき、ああ、どうせなら半分くらい食ってから申し出ればよかった …… と、ちょっと後悔(笑)

「すみません、本日はお代はけっこうです」
「いえ」
「ちゃんとした品物をお出しできなかったので、ほんとうにお代はけっこうです」
「それは違いますよ」

食事を終えて伝票を持ってレジスタカウンタの前に立つと、ホールのおばちゃんがはなっから逃げて(笑)さきほどの男性が顕れ、今日のお代は頂戴できないという。
私はそれは違う[注]と思ったが、お店の人は頑なだし、なりより、ここでばたばたやっていたら、横の席で食べているお客さんも不安になることだろう。
だから私はもうここで意地を張ってもしょうがないと思い、頭を下げてごちそうさまと引き下がることにした

実は先ほど映画の切符をとるときにも、バンブルビー柄で作った私の、映画を6本観たら一回タダになるというカードがそのパワーを発揮し、今回無料で鑑賞できることになっていて、そこに加えてご飯がタダになるという、もう今日はオレの luckyday かよ ! って話なんだけど、でもこんな luckyday は、何か腑に落ちない (笑)

注) 私がそれは違う、と思ったのは、どうあれ食べたんだから料金は払わなければなりません ! という意味での「違います」 ではなく、仕事というものは、それを無くそうと日々努力しつつも不適合が発生することを避けられないもので、しかしそれが発覚して提供責任が認められたときには、それを復旧して引き渡し、定められた通りの代金を請求することが、それが仕事だと思っているから。その意味で、お店の人が代金を頂戴しないと言うことは、私はプロではありません、という宣言になってしまう。私は、それでは逆に“無責任”を招くといった意味で、違うと思ったわけ
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