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夜の点数:4.4
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¥15,000~¥19,999 / 1人
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料理・味 -
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引き算の美学に貫かれた、徳島の自然の豊かさを味わう
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2021/09/08 更新
日本を代表する懐石料理店の1軒が徳島にある。
場所は徳島市から車で30分、山深い佐那河内村。
吉兆の湯木貞一に料理を学んだ岩本光治さんによる、徳島の自然の豊かさを味わう店。
もと料理旅館だった店の庭は、岩本氏自身が設計した山の情景を映したものだ。庭の鹿威しからは、絶え間なく細い水音が聞こえる。
虎屋壺中庵の名物は四季いろいろあるが、最も有名なのは何といっても夏の鮎と鰻だろう。
鮎は近所の川から岩本氏自身が釣ることもあるという。
店の横には吉野川系の園部川が流れる。
だしの醤油や塩は最低限で、食材の味を引き立てる。料理はみな引き算の美学に貫かれている。
食べる側は、料理の淡さの奥にあるものを五感を研ぎ澄ませて感じる努力が要る。
壺中庵とは「壷中日月長(こちゅう、にちげつながし)」という中国の故事から。壺中に別天地があるという意味らしい。確かにここは山中の聖地といおうか、下界と隔絶した雰囲気を持つ。
料理もサービスも淡々としている。
大女将も、若女将も、淡々と。あまり親しげにはなさらない。
しかしそれは、冷淡であるとか、サービスが足りないということでは決してない。それが証拠に、料理を持って来られるタイミングはモニタで見られているのではないかと思うほどドンピシャで、何か訊けば必ずすぐに答えが返ってくる。
料理をいただきながら思った。
京の懐石料理のようなハレ感や豪華さは、京から遠く離れたこの地には当然ながらそぐわない。
周囲の自然を取り込みこの土地ならではの料理に昇華するのに、どれだけの時間がかかるのだろうか。
都会に店を出してピンの食材をかき集めて洗練された京料理として出すことだってもちろん相当に難しいのだろうけれども、この徳島のように、京都でない場所で、その土地の名産の食材を生かして、京都では出せない洗練を生み出すのは、ある意味それより難しいかもしれない。
食材が全部良すぎても嘘くさくなる気がする。
洗練でも野暮でもダメだし、素朴とも違う。
料理にこめられた思考と哲学、そしてそこに至った長い時間に思いを馳せること。
虎屋壺中庵の本質はおそらく料理そのものではなく、これらを感取することにちがいない。
さらにそれを一軒家のお座敷、全個室でいただけるコース15,000円って、個人的感慨ながら、ホント何かの間違いじゃないかと思うほど安い。
この日は友人でもある広島の著名なハーブ農家氏とご一緒したが、彼は月イチでここに来ているそうで、壺中庵を世界一愛しているのは俺だと豪語していた(それほどまでに訪れているのに、名前は覚えてもらえてないみたいだと嘆いていた)。
虎屋壺中庵は、それほど熱狂的なファンがついている店でもある。