3回
2019/08 訪問
味、サービス、雰囲気、どれを取っても好き
前回訪れたのが春先でしたが、夏はどんな料理を出すのだろうと気になり2回目の訪問です。
お店にはシェフの旦那さんのみで前回給仕をして頂いた奥さんの姿が見えません。お話を聞くとどうやらぎっくり腰で本日は旦那さんのみのワンオペとの事。その影響で3組6名だけに絞って営業をされていました。土曜日だったこともあり予約は入れられるのでしょうが、あえて絞っているところに好感が持てます。
泡で乾杯し、まずは鮑とトマトのサラダ。サラダというぐらいなので鮑はほんのちょっとかと思っていましたが、ちゃんとした量が出てきて、サラダというレベルではありません。こちらのお店は一皿注文するとちゃんと人数分に分けてくれるのですが、一人分の量としても満足できる量です。
鮑とトマトに酸味のあるソースがかかって、食欲がどんどん刺激されます。
続いてはウニととうもろこしの冷製スープ。これがもうとんでもなく美味しい。予想を上回るほどの特濃のスープはとうもろこしの甘みが爆発しています。そのとうもろこしの甘さに負けないほどの雲丹がこれまたたっぷり乗って、旨さが爆発。意地汚い話ですが皿を舐めたいぐらいです。
先日北海道でうにを食べたばかりでしたが、それにも負けず劣らずの雲丹でした。今も思い出すだけで涎が出ます。
次は茄子のなめろうの上にイワシのマリネを乗せたもの。
これも抜群に美味しい。マリネの酸味と茄子の仄かな甘みがベストマッチ。夏らしい一皿で、3皿目なのに食欲が無限に湧き出てくるようです。
ここから赤ワインターンで、玉ねぎのロースト。
前回も頼んだのですが、びっくりするぐらい美味しい。玉ねぎってこんな濃厚なの、というぐらい甘味が口の中で爆発します。その上に豚肉のリエットがのっているので塩気も合わさって、影響に食べれそう。こういうなんでも無さそうな料理が抜群に美味しいのが当店の特徴でしょう。
お次はリードヴォ―。これも間違いないですね。ミルキーなリードヴォ―と赤ワインがとてもよく合います。ソースもバター風味で濃厚なのにあっという間に平らげてしまうほど。
メインは写真を撮り忘れましたが鴨のロースト。これは間違いないです。ただこれまでの意外性や想像を超えたおいしさからすると想像の範囲内です。ただそれでも偏差値65ぐらいは取れるレベルです。
まだ終わりません。〆1品目は檸檬そば。さっぱりとしたそばを想像していたのですが、日本そばではなく中華そばですね。これがまたスープが果てしなく美味しい。麺も人気ラーメン店にもひけをとらないほどコシと味わいがあり、立派な〆の逸品です。
〆2品目はスープドポワソンのカレー。前回も頼みましたが、もう感動するレベルで美味しい。魚介風味のカレーでここより美味しいカレーを食べたことがありません。御飯が無くても飲めるぐらい美味しい。さんざん食べてきたのに、御飯大盛にしてしまいました。
料理8品、ワインをグラスで7杯。たべれこれでお会計が1人15,000円弱は奇跡です。1品1品ちゃんとした量がありながら、これだけ食べ、飲めたのは美味しいからに違いありません。
冒頭にある通りワンオペでしたが、料理の提供が遅いと感じる事は一切無く、かつワインのペアリングまでお願いまで快く引き受けてくれ、そのセレクトも間違いのないものでした。もちろん組数を絞っているとはいえ、アラカルトで注文をしているすべての組を滞らせることなく、料理も作りサービスをしていたのは尊敬に値します。
欲を言えばメインがもう少しパンチのあるものだと良いのですが、フレンチと同レベルを求めるとそれに従って価格も上がるので、今ぐらいがベストなのかも知れません。
最初の3皿からあるように、当店はちゃんと旬のものを使って、ちゃんとしたビストロの料理を提供し、かつサービスもぬかりないというビストロとしての理想形だと思います。
また季節を変えてお邪魔します。
2019/08/15 更新
2019/03 訪問
神楽坂にある9席しかないビストロ。ビブグルマンも取得されたそうで、えらく予約が取りづらいです。(1か月前で日曜夜しか取れず・・)
まずはビールとリエットから。塩気が効いていて食欲がそそられます。
お次は初鰹と菜の花にあおさ海苔のソースをつけて頂くもの。
ここからピエモンテのスパークリングを頂きます。
鰹のフレッシュさがあおさ海苔の風味と相まって春らしい爽やかさ。泡ともとても相性が良いです
こちらのレビューを読んで気になっていたハムカツ。注文時にレバーが結構入っていますとの説明でしたが、そこまでレバー感は強くありません。風味付けでしょうか。塩味が強く効いていますが、肉の旨味が濃く、酒が進みます。
この後の流れを考えて白でお願いしたのですが、ハムカツということで南アのピノグリを出してくれました。ピノグリの仄かな甘さがハムカツの塩気に更に助長されて、とにかく酒が進みます。しょっぱいもの食べると甘いものが食べたくなるあれですね。
玉ねぎのロースト。上に豚肉をペーストしたものが塗ってあります。
これは問答無用に美味しい。想像の1.5倍ぐらい甘みというか味が濃いです。ここから西オーストラリアのリースリングという珍しい白でしたが、赤ワインでもよかったかなと思うぐらい濃厚な玉ねぎのローストでした。このリースリング自体もおいしいのですが、違う組み合わせだったらもっと引き立ったかも。
春らしくたけのこのから揚げ。これがこの日のベストでした。たけのこのから揚げにからすみを乗っけているのですが、たけのこ自体がまさに今芽吹いたという感じで瑞々しく、めちゃくちゃ美味しい。春なんだなーと一口かみしめるごとに思います。少し塩気のアクセントでからすみを載せているのもグッドです。たけのこってこんなおいしいんだって感じです。これはリースリングに合いますね。
先ほどの鰹もそうですが、メニューに日本酒が多いのも納得。この二つはワインでもいいですが、日本酒でもよかったかも知れません。
お次はメインその1の、リードヴォーをクリームソースで煮込んだもの。こちらには品種等忘れてしまいましたが軽めの赤を合わせて。濃厚なクリームソースに濃厚なリードヴォーが合い、これぞメインという感じ。ただもうちょっとひねりが欲しかったかなという感じ。十分美味しいんですが、その前のたけのこが美味しすぎました。
メインその2はラムシャンクブレゼ。羊のすね肉を骨ごと煮込んだものです。
見た目は赤ワインで煮込んだだけかと思いきや、意外とスパイシーな味わい。これが口に入れた瞬間ほぐれるほど柔らかく煮込まれたお肉ととても合います。どこかエスニック的な感じで、シラーととても相性が良い。
〆はスープドポワソンのカレー。
最近なぜか〆カレーを置いてある店に行くことが多いのですが、ここはベスト1,2を争うレベル。シーフードカレーと言われればそうですが、濃厚な魚介の旨味が、街のそれとはまったく違うカレーに仕立てあげています。もはや溺れるレベル。ここまで相当食べていますが、あまりに美味しいので普通に1人前食べてしまいました。何ならもう1人前食べたかった。
よく食べました。料理提供のスピードはゆっくりですが、食べるスピードを見ながら作ってくれているので、それほど冗長感はありませんし、むしろお酒と会話をゆっくり楽しめるので、早食いせっかちの私でもイライラする事はありませんでした。
接客をして下さる女性はお酒を聞くと、今後の流れを考えて的確なものを持ってきてくれるので、ペアリングを楽しむこともできます。
しかし、料理8品、酒6杯/人飲んで、一人当たり12,000円強は素晴らしいですね。お店の方に心配され、最終的には感謝されるほど2人にしては食べましたが、普通の方はもう2品ぐらい少なくても十分だと思いますし、そうなると1人1万以内では確実に収まるのでコスパも良いです。
なかなか予約が取りづらいのが難点ですが、また季節を変えて訪れたいお店が出来ました。
2019/03/18 更新
久々に神楽坂に来ました。神楽坂って良いですよね。私は万が一大金持ちになったら元麻布の低層マンションに住もうと心に決めているのですが、第二候補に神楽坂を挙げるほど好きな町。こちらは牛込神楽坂の駅から牛込柳町の方に向かった交差点から少し入った所にあるビストロです。もう少し牛込柳町の方に行くとカルネヤもあります。
以前2度ほど来た事があり久々の来店です。以前は奥さんと2人だった気がするのですが、この日は別の女性。この新しい女性も仕事はテキパキとしてよく気が効くし素晴らしい。
いつもは泡から行くのですがこの日の朝16km走った後、日中に14kmも歩いたのでビールを。しかし字面にするとなんでそんな歩いたのか意味不明です。
こちらのお店はコースも出来るのですがアラカルトで。連れとビールを飲みつつ料理の流れを考えながらじっくり選びます。この瞬間がアラカルトのお店の醍醐味です。
まずはタスマニア産サーモンのミキュイとパクチーサラダ。皮目が香ばしいミキュイは火入れが絶妙であり、パクチーサラダもオリーブオイルと塩だけでありながら新鮮で爽やか。左手前の青いのは春菊とレモングラスでさっぱり、右手前はハーブを混ぜたサワークリームで少しこってりと、味に陰影をつけているのも良いですね。
ワインはグラスをおまかせで。赤白共に5種ほどあり、オレンジワインやロゼ、泡もグラスで揃えています。なんなら日本酒や焼酎、ビールカクテルもあり飲み物が豊富。隣の若いカップルはビールカクテル頼んでましたが、それはそれで美味しそうでした。
そんなワインはトゥレーヌのソーヴィニヨンブランから。教科書通り。生のサーモンにはぴったりの爽やかさです。
グリーンピースのポタージュ。イタリアンサラミも入っています。グリーンピースの青臭さはどこかに消え、なのにグリーンピース自体の味はこれでもかと濃縮。サラミとの相性も良く、まさに飲めるスープです。
ポルトガルのダン。ポルトガルワインらしい葡萄の味の濃さ。味の強いもの同士ですがぶつかっていません。
蕪のムースに締め鯖。和食かよと突っ込みたくなります。上に乗ったクワイの根っこ?が興味深い味わい。最初はこの野菜の香りと蕪のムースの味が強いのですが、徐々に締め鯖の酸味が来ます。和食っぽいけど、完全にフレンチ的味わいなんだよなあ。不思議。
ハチノスのフリット。下にはインゲン豆が敷いてあります。ハチノスを揚げ焼きにしてあり、グニグニとした食感が残されていて美味。パルミジャーノと合わせるので今度はイタリアンっぽい。縦横無尽です。
こちらにはボジョレービラージュ。まさにボジョレーという味わい。
鱈の白子のソテー。ぐわーこのボリュームで1人分ですよ。調理中から店内に広がるバターの匂いだけで美味しいことを確信。白子の濃厚さはもちろん、トマトのソテーの酸味がはっきりして負けてない。見た目通り濃厚なんですが味のバランスが良いのでスイスイ食べれてしまいます。
こちらにはド直球のブルゴーニュのシャルドネ。適度な樽感。ACブルゴーニュだけどちゃんと美味しい。
メインはアンガスビーフ?のミスジのソテー。マスタードと、手前は赤ワインで炒めた玉ねぎです。ミスジのソテーは適度な柔らかさと赤身肉であり冷めても美味しい。少し筋がありますが、逆に咀嚼すると旨味が出て良いですねえ。あえてこの部位を選んでるそうです。玉葱との相性も抜群。ここまで縦横無尽なのにメインはしっかりメインなのも良い。
写真を失念してしまいましたがカベルネソーヴィニヨン。タフでお肉にピッタリ。
さてお待ちかねの炭水化物タイム。私はここの炭水化物を食べるのを人生の中の楽しみの一つにしているぐらい大好きなのです。
まずは私の大好きなスープドポワソンのカレー。魚介の旨味とスパイスの香りが満腹なのに食欲を刺激。こんな美味しいカレー、専門店でも食べたことありません。私の中で淡如雲のカレーと双璧。なんなら大盛りにすればよかった。
カベルネを飲みきったので〆中ですがワインを追加。ブルゴーニュのピノ。やっぱり私はピノが好きだ。
連れはこちらも大好きな檸檬そば。見た目はさっぱりですが、蛤などの出汁から取っており結構しっかりしたスープです。レモンの爽やかさとの相性も良く、メニュー名からいい意味で裏切られる。もはやカレー屋とラーメン屋でもかなり繁盛しそうです。
という事で食べも食べ、飲みも飲み、お会計。2人で28000円。うわー安い。なんとリーズナブルなのか。素晴らしいを通り越して有難い。思わず手を合わせて拝みたくなります。
全体を通して、和食的な食材やエッセンスはあるものの、フレンチやイタリアンの要素が強いお料理です。予約時にお酒を飲めるか確認されますが、確かに味がしっかり目についているのでお酒を飲む前提の料理だと言えるでしょう。とは言え単に濃いという訳ではなく、何を食べてるかはっきり分かる輪郭の濃い料理です。また季節の食材を使い、季節感があるのも良い。
基本的に一品は2人分であり、お皿も2つに分けて出して頂けます。とは言えボリュームもしっかりとあり、食べ応えも十分。私の大好きな食べるのが大好きな人の作る料理です。そう言えばここのシェフとオステリアオルモのシェフはどことなく似ている。
ワインも高く無く、それでいてちゃんと美味しいものを揃えています。料理に合わせて出して頂けますし、ワインが飲めなくても楽しめる。自由自在。
サービスも良いですね。満席で10名であり、5組の客がみんなバラバラに来てアラカルトで違うものを頼み、食べるペースも違うのに、長く待たされる事が一切ないのは見事。本当に素晴らしい手際の良さ。大阪のあの店の対極です。
加えて客層も良い。神楽坂らしく御年配の夫婦やカップルもみな品が良い。有名店や予約困難店にありがちなオラついた客や映えばかり狙ったインスタ女子、蘊蓄たれるおっさんなど居ないのが居心地の良さを生んでいます。みんな美味しいものをちゃんと食べに来てるんだよなあ。これが健全なお店だよなあ。
と、この様に非の打ち所がないのですが、その上このお値段。一流店と全く変わらないレベルをこの値段で、しかも好きなものをお腹いっぱい食べれるなんて奇跡です。
縦横無尽、自由自在。本当に大好きなお店。御馳走様でした。また季節を変えてお邪魔します。