2回
2017/10 訪問
桂離宮に行ったら是非寄りたいお店
桂離宮に行ったら是非とも寄るべしと言われての初来店です。生憎の悪天候ですが行列必至のこのお店に行くならこういう時こそ狙い目ですね。食事はテーブル席だけでなく座席もあり、落ち着いた大部屋と風情のある庭を眺めながらの食事も取れます。
注文は栗ぜんざいと麦代餅(むぎてもち)、落ち着きある物腰と丁寧な接客は100年以上続く由緒あるお店のもてなしの結晶でしょうか。
【栗ぜんざい】(890円)
注文を受けてから餅を焼き始めるので10分ほどかかります。
出てきた栗ぜんざいはあっつあつで、湯気と共に芳しくも甘い香りに包まれ一口すすれば体の芯から指先へ向かって痺れるようなじんわりした温かさの浸透。カリカリに焼かれた餅はぜんざいの侵入を頑なに拒みつつも、一噛みしてからはぜんざいと混ざり合いトロリととろけてまさに餅は飲み物(危険行為)
底に行くほど濃厚な味わい深さは健在で、甘さに口の中が飽きてきたら引き締め役の塩コンブを齧り、そしてまたぜんざいを頂く。ギッシリ入った小豆も一粒一粒が立ってて1個ずつ食べたい気分になり、それお食べてる内にまた甘くなって塩コンブが欲しくなる。この単純なルーチンワークの何と幸せな事か。
栗は・・・最初に食べますか?最後まで残しますか?
【麦代餅】(290円)
高島屋などでもお土産コーナーで売られてる有名なお餅です。つきたてのとろりと柔らかい餅で粒あんを包み、きなこをふった和菓子で意外と大きいです。粒あんの風味ときなこの優しい甘さ、そしてお餅の柔らかさでその大きさも気にならないほど一気に食べ尽くしてしまいます。お腹に溜まるので1個で十分かも。
以上です。麦代餅目当てに行きましたが栗ぜんざいで幸せになりすぎて麦代餅はすっかりオマケに。お土産を見る限りは全体的に高めですが、食事をする分には無難な値段設定。接客も丁寧でいい気分で食事できました。ごちそうさまでした。
2018/01/24 更新
先日の大雨による桂川の騒乱ぶりに肝を冷やした人は多いと思います。その桂川がもし氾濫すれば真っ先に大打撃を食うのがここ中村軒と聞いて気が気ではありませんでした。去年の訪問以来、桂に来るたびに馳走になっているここに何かあったら・・・
と思いながら1週間後、思い出したかのように久方ぶりの訪問です。
京阪七条駅から桂まで歩いてきましたが朝の10時で既に38度とか命の危険を感じる気温。さすがにゴーラーではない私でもカキ氷に手を出してしまいます。
【宇治ミルク金時+ミニ麦代餅】(1250円)
抹茶シロップとミルクの綺麗な層を形成していて上品な仕上がり。食べていくと味が薄くなるはずだからと追加のシロップも用意しておいてくれるあたりさすがの接客です。抹茶とミルクの相性は抜群でそれだけでもどんどん入っていきますが餡子と混ぜながら食べていくとそれはそれは至福の一時です。
終盤は確実に甘さが不足しがち。餡子のペース配分は大事なので誘惑に負けない強い心は必要。あと餡子はかなり粒の食感を強く残しているのでこしあんのようなサラリとした餡子を望む人とは相性が悪いかも、です。
そしてある意味本命の「麦代餅(むぎてもち)」です。中村軒を語る上で避けては通れませんが、粘り気が少なくプツンと歯切れのいいお餅は歯茎を優しくマッサージするかの如くソフトに存在感を示しつつ儚く消える。餡子の上品な甘さを受けて感情を激しく揺さぶりつつも終焉に向けて沈静化していく。それはまさに和菓子の完成系とすら言えるでしょう。
総評です。狂ったような暑さの中、ここに来た甲斐がありました。カキ氷による強制クールダウンからの大本命・麦代餅への流れは完璧。落ち着きある店内、物腰穏やかで丁寧な接客など京都の和菓子屋を代表する一角としての格をしっかりと感じ取れました。いつ来ても心休まる、何を食べても心が癒される、次もまた来たくなる和菓子屋です。ごちそうさまでした。