2回
2017/03 訪問
研ぎ澄まされた薄味の醍醐味。
2017/3 初訪
岐阜の柳家さんへのオフ会の際に、幹事さまに連れて行って頂きました。
夜は連日満席のようですが、ランチはそこまで混まないようで、ゆっくりと頂けました。
ご夫婦二人でされていて、店内は落ち着く自然体な空間です。
掛け軸の筍や、生けてある椿や桃にさりげなく上質さを感じます。
柔らかく温かくいい雰囲気だなぁ。
ノンアルコールはあまり選択肢がなく、ノンアルビールを頂きました。
以下、お品書き。
・わらび、うすい豆の葛豆腐、鮑。
一口食べて好きな予感がしました。
鮑の旨みと豆の味だけが綺麗にする葛豆腐がベストマッチ。
しっかりとした丁寧な仕事で、食感にも味にも豆の雑味が全くなく、また他に余分な味が足されていないのが非常に美味しい。
蕨もえぐみなく、でも蕨らしさはしっかりと残り、確かな春を感じます。
・お造り。(ひらめ、うに、海老)
ひらめは柔らかく白身の旨み、海老はレア感あるプリプリ食感で強い甘み、うには身がしっかりしていてジューシーかつ濃厚なコクと甘みで1つ1つが厳選されています。
添えられた炊いた筍と菜の花も優しいながら個性をクリアに感じられる味で細かいところまでお料理がピンと張り詰めています。
一枚一枚、柄が違う絵皿は大好きな藤の花♪
あの綺麗な紫と甘い香りが好きです。
・ぐじを筍のすりおろしで包んだもの、わかめ、餡掛け。
優しい味です。
筍の食感が適度に不均一に残り、香り高く軽やかな旨みのぐじと春の味覚がコラボします。
魚と野菜の甘みが重なって美味しいな。
優しい餡は毎日食べられる大好きな味わい。
・さよりのお寿司、柚子のお寿司。
繊細で、しなやかな弾力を持つさよりは少し山椒の香りがして桜の葉の香りもついて。
美魚が春の羽衣をまとったような感覚でした。
柚子は香り良く適度に甘く不思議と酢飯と合いました。
バランスがいいなぁ。
・氷豆腐のゴマ酢和え、烏賊コノワタ塗り、真魚鰹焼き、春菊&椎茸&エゴマ白和え、焼き筍、百合根の木の芽味噌、車海老の足のてんぷら。
ゴマ酢和えがゴマ過ぎす、酸味と甘みのバランスよく非常に美味しく堪らなく好みです。
白和えも春菊の個性がクリアで鮮やかに感じられ、エゴマがいい塩梅にゴマ感と食感をプラスしています。
焼き筍はまだ若い柔らかい味わい。
あまり青臭さはなく香ばしく甘い。
木の芽味噌の甘みと香り加減や、コノワタの癖あるコクと塩加減などが、ちょうどいい繊細で柔らかく円を描くようなバランスで大好き。
どれも美味しいなぁ。
・白魚、蕗の薹、コシアブラのてんぷら。
衣の揚げ感がとても軽いです!
白魚の身の繊細な柔らかさやほのかな苦味、山菜のほろ苦さとそれぞれの食感が感じられるベストパフォーマンス!
当たり前のようにさりげなく完成度が高く非常に美味しいです。
コシアブラはたらの芽と見た目似てるけど、より山菜の味も香りも強くて鮮やかに春を感じます。
・赤貝、うるい 酢味噌。
酢味噌の酸味と甘みのバランスがよく、味のピークが短く、はっきり&すっきりとしていて非常に好き。
赤貝、うるいも綺麗に個性が引き出されています。
・蛤のお椀 胡麻麩 大根。
凄く美味しくて大好きな味だけど、今まで懐石で感じた事がない新感覚のお出汁でした。
昆布出汁なんだけど、昆布があまり前面に出てなくて、どこか高級乾物を戻してとった中華の澄んだ上湯のような旨みでした。
うーん、深くて美味しい!
蛤も2つ入っていて嬉しいな。
江戸時代の千鳥のお椀も状態がよく非常に上品で可愛くて素敵でした。
・筍ごはんとお漬け物。
ごはんは固めが好きなので、これはちょっと柔らかめでした。
味は美味しかったです。
お漬け物も塩分控えめで、珍しく薄味の私も美味しく頂ける味。
・黄蜜柑ゼリー
フレッシュな酸味と甘さが心地よいデザートでした。
はぁ、味も人柄も雰囲気も好みドンピシャでした。
薄味の私が終始全く味の濃さを感じなかったので一般的にはかなり薄味と思います。
裏仕事を非常に手間をかけて丁寧にされていて、素材を感じられる優しく穏やかで無駄がそぎ落とされた味わいで、飽きずに毎日食べたいような、地味好きな私には大ヒットのお店でした。
大将と女将さんも実直で飾らず自然体で温かく、お料理も接客も雰囲気も綺麗な空気の中で深呼吸するように寛げました。
はぁ、美味しかったなぁ。
こういうのが好きなんだよなぁ。
近くにあったら月に何回も行っちゃうなと思うお店でした。
必ず再訪します!
紹介してくれた有名レビュアーさまに感謝です。
ご馳走様でした!
2017/04/02 更新
2017/7 再訪
前回、薄味で繊細でセンス溢れるお料理が凄く好きだった八泉さん。
こちらを紹介して下さった某有名グルメレビュアーさんと母と3人で再訪しました。
好きなお店には必ず母も誘います。
今回は車で行きました。
名古屋は昔行った時に全般に運転が荒くて、かなり嫌な記憶があったので、それ以来行くのを避けていた地域でしたが、今回は高速のインターからそんなに距離がなく、日曜の昼だった事もあったのか、問題なく辿り着けました。
周辺のコインパーキングも複数空いていて、最大料金もありでした。
以下、お品書き。
夏らしく、切子を多く使った涼しげな器達が並び、器に疎い私も、さりげなく個性的でセンスがいいなと感じました。
・芋茎、鮑、蓴菜、おくら。
あぁ、このお出汁が八泉さんのオンリーワンであり、最大の魅力です。
結構な薄味の中に繊細で綺麗なバランスの良い調和があります。
お出汁の味がしみているのに、その淡さゆえに合わさると食材の色が勝ち、ごく自然に味が一体化しているような、薄く存在を感じさせつつ食材を引き立てると言うか。
まさに、薄味の醍醐味。
綺麗で優しいお出汁はもちろん全部飲み干します。
良い物が丁寧に仕事されて、当たり前のように美味しい、そんな確かに上質で奥ゆかしく穏やかな空気も大好き。
・お造り 鮪、湯引き鱧、茄子。
良い鮪でした。
・すっぽん小鍋。
これが絶品で、この一品のために今日ははるばる来た意味があったと思うほど。
綺麗で、余分な味がせず、純粋に、ただすっぽんだけの味をこれほどまで強く濃く味わった事があったでしょうか。
すっぽんの泥臭さをうっすら感じたり、酒や生姜などの香りや味ですっぽんが隠れてしまったり、すっぽんの味が薄かったり、そんな事が多いので。。。
もちろん全く薬味が使われていないわけではないけど、その塩梅が素晴らしい。
再訪の際に可能であれば毎回リクエストしたい究極の逸品でした。
・活鮎 2匹。
焼き加減もちょうど良く、淡白な身の旨みとわたの苦味、甘みのバランスが良い、美味しい鮎でした。
鮎をしっかり感じたいので、振り塩がもう少し控えめだと嬉しいな。
添えられたのは薄い酢に漬けたシャキシャキの蓮根。
これがまたさっぱりして良かった。
・八寸。
無花果 胡麻豆腐かけ、車海老、海老頭 素揚げ、里芋、鱧寿し、くらげの酢の物、蛤の潮ゼリー包み。
味も食感も繊細でひとつひとつが美味しい八寸です。
無花果と胡麻豆腐、胡麻の塩梅がまた絶妙でしびれます。
たいてい胡麻胡麻しすぎちゃうのが多いので。
太く切られたくらげは、気持ちいい食感で、適度に柔らかい酸味で。
蛤を包むゼリーは蛤と同じ塩分&旨みで、味が一体化し、ゼリー感も蛤と合わせて茹でた貝の固さで、食感も一体化して、うーん、美味しいと言うより、もはやそのバランス感覚が美しいと感じます。
この辺のバランス感覚が本当に素晴らしいと思います。
・甘鯛を冬瓜のすりおろしで包んだもの 餡かけ。
前回は筍バージョン、今日は冬瓜バージョンです。
冬瓜の瓜感が綺麗な味と濃度でとても美味しい。
適度にぷりっとした食感がある甘鯛の旨みと絶妙に合わさって、鱗のサクサク食感も良いアクセントになって楽しく美味しい一品でした。
・生姜ごはん、お漬物。
生姜ごはんって生姜の清涼感を味わうものだと思っていたけれど、ごはんを味わうものにもなりうるんですね。
生姜感はあるのに、またお米との絶妙なバランスで、結局お米の甘みと旨みを引き立てる形になっています。
白飯好きにはたまらない仕上がり。
塩梅なんだなぁ。
勉強になります。
・マンゴージュース。
これも素晴らしい一品でした。
宮崎の熱帯感のない、上品な香りと味のマンゴーを少し食感が残る程度にジュースにしてあって、そこに出す寸前に薄く香る氷(柑橘か洋酒か忘れた)を適度な粗さに刻んでIN。
冷たすぎず、濃淡があり、上品な甘みと香りの非常に美味しく美しいデザートでした。
はぁ、今回も期待以上に素晴らしい内容で、大将の類い稀なる繊細で美しいバランス感覚にすっかり魅了されました。
名古屋に来たら必ず再訪するし、年何回かは訪店したいと思うお店です。
東京にあったらいいのに。。。
また必ず伺います。
ご馳走様でした!