5回
2018/04 訪問
(再訪)アラカルトで感じるさらなる奥深さ
最近お気に入りのこちら、これまでは毎回コース料理といただいていました。ホームページのメニューをながめてみるといろいろと興味深い食材が掲載されていることから、今回はアラカルトでお願いしました。
今回一人での訪問ですので3,4皿が限界かな、と思っていましたが、なんともありがたいことにメニューによっては量を調整して下さるとのことです。結局以下のように7品もいただくことができました。
・ホッキ貝白キクラゲ花山椒天然塩炒め
・アブラボウズの香り醤油蒸し 天然山菜添え
・台湾たくわんの卵焼き・台湾の味
・干しナマコの煮込みたまり醤油仕立て
・地鶏たっぷり唐辛子花椒炒め
・黄ニラシラス塩スープ麺
・杏仁豆腐(アイス、エスプーマ、お餅)、柑橘ゼリー
今回アラカルトに挑戦してみてよかったです。これまで以上にこのレストランの素晴らしさを感じることができました。素材、味付け、調理のいずれもバラエティに富んでいながら素晴らしく、「まだこんな美味しいメニューがあったのか!」と一品一品驚くことしきりでした。本当にこちらは奥深いレストランです。
上記7品にドリンクとしてビール1杯、紹興酒グラス2杯いただいて約16,000円でコスパのよさにもびっくりです。後述するようにサービスも相変わらず素晴らしいです。
これらのアラカルトメニューはコースに組み込むことも可能、とのことですので、次回以降はそういったリクエストもしてみたいと思います。
以下はいくつかの料理の内容と印象です。
☆ホッキ貝白キクラゲ花山椒天然塩炒め
いきなり想像を上回る美味しさです。香りはもちろん素晴らしいのですが、提供温度やほのかな生姜味が絶妙です。ホッキ貝も素材がよいことを感じさせてくれます。
☆アブラボウズの香り醤油蒸し 天然山菜添え
これも素晴らしいお皿です。アブラボウズという魚は初めていただきました。北海道で獲れたとのことです。(確か)14kgという巨大な個体なので、例えばハタ類の大きな個体同様に身は細かくほぐれるのではなくやや大きな最小単位です。ですので蒸しものには合う魚と思います。その最小単位はハタ類のようにプリプリではなくもう少ししっとりしています。名前のとおり脂がとても多いとのことですが、そのことからも蒸しものがいいでしょうね。合わせてあるのは山菜で、中華料理としては異質な感じもしますが、脂が多いことからもいい選択です。もちろん脂はくどくないほどまで落とされており、山菜含め稀有な美味しさでした。なお、ナポレオンフィッシュが入ることもあるとのことで、いつかいただける時を楽しみにしていようかと思います。
☆台湾たくわんの卵焼き・台湾の味
外はパリパリ、中はフワフワの仕上げで、かなりの技術が必要とのことです。ですので台湾でも修行経験のある料理長が自ら調理されます。たくわんのシャキシャキ感もなかなかです。
☆干しナマコの煮込みたまり醤油仕立て
日本で干しナマコがいただけるとは、なんと素晴らしいことでしょう。ナマコは最近は需要が少なくメニューから外すお店もあるとのことです。干し鮑とともに中華料理の奥深さを堪能できる素晴らしい食材だと思うのに残念なことです。ナマコや鮑は和食で新鮮なものをいただくより、いったん干して旨みを濃縮させる中華料理の方が断然美味しいと思います。さてこのお皿、見た目よりあっさりの味付けになっていて、だからこそナマコの旨みを感じられるようです。
☆地鶏たっぷり唐辛子花椒炒め
麻と辣がそれぞれに感じられます。素晴らしいです。
☆黄ニラシラス塩スープ麺
薄い塩味が絶妙です。出汁は控えめですが黄ニラは濃厚で、黄ニラが口の中に残る後味が素晴らしいです。
☆杏仁豆腐アイスエスプーマお餅アイス柑橘ゼリー
実は最初は別のデザートをお願いしたところ、前回と同じと覚えて下さっていたためこのメニューに変更しました。1ヶ月以上前なのにすごいと思うとともに、この舌を巻く素晴らしいサービスもこのお店の大きな魅力です。でこれですが、三種の杏仁豆腐の食べ方を堪能でき、興味深いお皿でした。
2018/04/20 更新
2018/01 訪問
違いがよくわかる上海蟹の「オス・メス食べ比べコース」
今シーズンも上海蟹を何度かいただきましたが、最近お気に入りのこちらでもいただいてみたいと思いまして、そろそろシーズンの終わりかとは思いましたが、年が替わってから「オス・メス食べ比べコース」税サ抜き18,000円をいただきました。内容は以下のとおりです。
・運気の上がる前菜盛り合わせ
・8年物紹興酒に漬けた酔っ払い上海蟹(1/2杯)
・色々乾物の蒸しスープ
・上海蟹味噌の小龍包とパイ仕立て
・上海蟹姿蒸し(オス・メス各1杯ずつ)
・フカヒレ姿の上海蟹味噌煮込み
・牛筋の四川麻婆豆腐 ごはん
・本日のデザート
オス・メス1杯ずつ同じ調理法でいただいてみると、違いがよくわかりますね。上海蟹の旬の時期(10月から1月頃)は、まずはメス、次いでオスと言われていて、すなわちこの時期は断然オスが美味しいわけですが、今回もそう感じました。荒っぽく言ってしまえば甘い唐墨といったイメージの白子が最高に美味しいです。以前よくいただいていた香港でもオスが重宝されていること(オス、メスという選択をしたことはないけどおそらくオスが優先的に供される)を思い出しました。一方メスは内子と味噌がビジュアル的にオスより映えますが、時期的にも蒸しものより漬けの方が美味しく感じられます。なお、足が並べられるなどとても手の込んだ供され方ですが、足は置いておいて胴体からいただくのがいいかと思います。
上海蟹がこれでもかと主役になっているコースではありますが、香辛料使いが素晴らしい前菜盛り合わせの美味しさは健在ですし、麻婆豆腐も辛さとピリリ加減がちょうどよく、美味しくいただきました。
早い時期にするか遅い時期にするか悩みどころではありますが、来年もこちらでこのコースをいただいてみたいものです。
2018/01/14 更新
2017/10 訪問
(再訪)バラエティに富んだ香辛料の使い方による立体感を感じるコース
とある平日、仕事を終えて帰宅途中に「中華が食べたいなあ、先月行った麻布長江は美味しかったなぁ、今度はフカヒレの姿煮が食べたいな」なんて思いつつ、こちらのHPを見てみると、なんと当日の予約ができるではないですか、スマホからさくっとオンライン予約して、1時間後にはレストラン到着です。
税サ抜き9,500円のコースをお願いしました。内容は覚えている限りではありますが以下のとおりです。
・生牡蠣の上にオイスターソース
・儚く消えゆく麻婆豆腐
・前菜(豆腐、水蛸、鴨、ザーサイ、秋刀魚、くらげ、よだれ鶏)
・酸辣湯(柑橘系、胡椒?、もう一つ不明)
・青菜の炒め(色々なソース、龍眼、棗、醤油、クコノミ、香辛料)
・フカヒレの白湯スープ、山芋、広東白菜
・五島列島のスジアラのソテー、雲南省のポルチーニその他珍しいキノコ
・牛タンの煮込み、15種類のスパイスソース
・沢庵入り炒飯
・ココナッツと巨峰のシャーベット
・東方美人とライチのお茶のブレンド
全体的には、個性的でありながら普遍的な美味しさを感じる、素晴らしい料理でした。前回感じた、香辛料の巧みな使い方により感じるコース全体の立体感も感じることができました。わたくしの好みにもばっちり合います。コスパも素晴らしいと思います。
マネージャーの方は前回来たことを覚えていてくれていました。とても嬉しいことです。
味が好み、居心地がいい、スタッフの方が覚えていてくれる、直前でも一人訪問の予約可能、ということで、わたくしにとっての好きなレストランの要素満載です。また思いついた時に直前の予約を入れての訪問でお店にはご迷惑をかけてしまうかもしれませんが、何度も通ってみたいものです。
以下はいくつかの料理の印象です。
☆儚く消えゆく麻婆豆腐
正にそのとおりの柔らかすぎるくらいの食感(中は豆乳)で素晴らしい命名です。辛さより香りを感じます。
☆前菜
前回も感じましたが、それぞれ香辛料と言うか香りが素晴らしいです。水蛸や鴨に異なる種類の山椒でぴりりというのがいい感じです。
☆フカヒレの白湯スープ
フカヒレはこの価格ですから極上とまではいかないものの、スープは濃厚ながら少し抑え目で品があります。三つ葉はちょっと強いですが、広東白菜はとても美味しく、山芋もよく合います。フカヒレスープは「茶禅華」「臥龍居」「華都飯店」と好みのレストランがいくつかあるのですが、ここもそれらと同等に好みとなりました。
☆五島列島のスジアラのソテー
キノコの出汁が出ていて絶妙な味と香りです。スジアラは三週間寝かせたものということですがなかなかの素材で、ソテーなのに蒸しものに近い食感、豪快さだけでなく繊細さも感じます。この出来はこれまでは香港でしか出会ったことがありません。
☆牛タンの煮込み、15種類のスパイスソース
カレーみたいな味で辛めですが、様々なお米と一緒にいただくといい感じです。
☆沢庵入り炒飯
パラパラ感はもう少しあるとより好みですが、仄かな香りとシャキシャキな歯ごたえがいい感じです。
2017/11/15 更新
2017/09 訪問
バラエティに富んだ香辛料の使い方による立体感を感じるコース
某予約サイトを通じて数日前に予約しました。当日はほぼ満員のようでした。一人の予約を受け入れてくださるのでありがたいです。
税サ抜き5,000円のおまかせコースをいただきました。再訪するとメニューを入れ替える等するそうです。今回の内容は以下のとおりです。香辛料の説明もいろいろしていただいたのですが覚えていないために記載できずすみません。
・アミューズ
子持ち鮎とだだ茶豆のスープ
・前菜盛り合わせ
干し豆腐、落花生、なんとか茸(名称失念)、合鴨ロース、さんま、グアバとスターフルーツ、よだれ鶏
・磯つぶ貝とツルムラサキのオリーブ醤炒め
・海老の蒸し餃子
・三豊茄子の炒め
・フカヒレとカキと卵白の炒め
・オリーブ牛の牛筋の麻婆豆腐
・デザート
黒酢のムース
・金萱茶
全体的には、香辛料をとても効果的に使って、立体感(味と香りの次元)を感じました。四川料理をベースにしているようですが、辛さはそれほど強くありませんでした。好みではない味のものもありましたが、どのお皿もレベルが高いとともに個性が感じられ、大満足で再訪必至です。一人での予約も取りやすいですし、メニューの入れ替えもされますので、いろんな面でありがたいお店です。
室内はシンプル、ホールの方々は所作が丁寧で、説明もいろいろしていただけます。落ち着いた気持ちでゆったりといただくことができました。ガラス越しに見えるキッチンはスペース的に余裕がありそうで、清潔感も感じられます。
担々麺なんかも提供しているランチタイムにはないかなと思っていたのですが、帰り際には料理長がお見送りしてくださいました。嬉しいことです。
以下は個々の料理の印象です。
☆アミューズ
鮎が柔らかく、苦さはもちろんありながらも五味全体のバランスが良く、これからが期待できるスタートです。
☆前菜盛り合わせ
それぞれの味付け、香り付けがよく練られていて、バラエティに富んだ素晴らしい前菜盛り合わせです。「趙楊」の前菜を思い出しました。なお、これは縦に供されまして、運気が上がるように下から上に食べてほしい、とのことでした。
☆磯つぶ貝とツルムラサキのオリーブ醤炒め
ツルムラサキがシャキシャキに仕上げてありました。
☆海老の蒸し餃子
ほのかな塩味だけのシンプルな味と感じました。
☆三豊茄子の炒め
唐辛子は香り付け、という説明でしたが、確かに味というより香りでした。茄子はとても柔らかく仕上がっていました。
☆フカヒレとカキと卵白の炒め
何かわかりませんが旨味が濃厚です。いろいろ入っている割に味のバランスもいいですし、とても美味しくいただきました。
☆オリーブ牛の牛筋の麻婆豆腐
香りはとても辛そうで、まいったなあと思うも、口に運んでみるとちょうどいい辛さでした。もう少しピリッとした感じがあると奥行きが増すのではないかと感じました。牛筋の食感もグッドです。
☆黒酢のムース
黒酢でデザート、うーむ、好きな味ではないけれども美味しくて、まいりました、という感じです。
☆金萱茶
とても甘く、最後にはぴったりです。別途鉄観音も注文しまして、こちらも素晴らしかったです。お茶はセレクションもよく、煎れ方にもこだわっているようです。
2017/10/09 更新
申し訳ないなと思いつつも、こちらには直前に電話して訪問させていただくことが多く、今回もふと中華料理をいただきたくなり、仕事帰りに電話したところ空席があったので訪問しました。
こちらはコースでもアラカルトでも楽しめます。しかもありがたいことに一人でもどちらも楽しめ、アラカルトですとメニューによっては量を調節してくださいます。メニューをながめてみて、今回はアラカルトでお願いすることとしました。お願いしたのは以下の料理です。
・大根餅 空心菜 腐乳 炒め
・五島列島 スジアラ切り身 松茸の酢橘風味炒め
・ラムチョップ 四川薫るスパイシー炒め
・丹波山村 原木舞茸春巻き 栗の香り
・乾燥すっぽんのえんぺら 黄にら 天然塩炒め
・からすみチャーハン
・パープルクイーン<赤梅>のシャーベット 白桃スープ
いつも思うのですが、日本の食材をここまで中華料理に自然体で取り入れているのは素晴らしいです。もちろん料理としてはきちんと中華料理であることが感じられる味付けと香り付けです。かと言って強すぎない味付けで体に負担を感じないのもありがたいです。
次回かその次にはこれからシーズンの上海蟹をいただいてみたいと思っています。
以下は個々の料理の印象です。
☆大根餅 空心菜 腐乳 炒め
空心菜の食感が最高に仕上げられており、味付けはマイルドで品がいい炒め、いきなりとても美味しいです。
☆五島列島 スジアラ切り身 松茸の酢橘風味炒め
松茸って強すぎる食材と感じていますが、このお皿はしっくりと合っていて素晴らしいです。スジアラは清蒸が最高に美味しいですが、やはり美味しいのはさっきまで泳いでいたもの、そのことを知ってなのか、蒸しものにせずに炒めるのも潔さを感じます。
☆ラムチョップ 四川薫るスパイシー炒め
麻辣は弱めながらバランスが秀逸で、甘さが際立たされています。
☆丹波山村 原木舞茸春巻き 栗の香り
とても熱々に仕上げてあり、栗の香りがきちんと感じられます。
☆乾燥すっぽんのえんぺら 黄にら 天然塩炒め
食感は他の中国乾物に負けますが、味付けは薄めでさすがこのお店ならではの美味しさです。
☆からすみチャーハン
ブロック状になっていることで食感と香りが効果的に感じられます。
☆パープルクイーン<赤梅>のシャーベット 白桃スープ
甘さと酸味の競演が見事です。