純真風さんのマイ★ベストレストラン 2017

純真瑞風の立ち寄り処

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純真風 (40代後半・男性・大阪府) 認証済

マイ★ベストレストラン

レビュアーの皆様一人ひとりが対象期間に訪れ心に残ったレストランを、
1位から10位までランキング付けした「マイ★ベストレストラン」を公開中!

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「マイ★ベストレストラン2017」のトップスリーは、「生まれ」「育ち」「今暮らしているところ」のレストランになりました。3位は生まれ故郷、福井の「望洋楼」さん。その名のとおり日本海を望み、夕食時には美しいサンセットを見ることができます。お料理も滋味溢れ、旨味を引き出した地のものばかり。福井生まれであることが誇らしくなりました。2位は実家のある千葉の名店「ウシマル」さん。千産千消を謳い、軽やかなジビエに舌鼓を打つばかり。素材の持つ味わいをサラッと調理していただく、まさに「ちょうどええ。ちょうど良いでしょう」。余りの旨さに唸ること幾数度です。そしてわたくしの一押しの1位は、今暮らしている大阪の「是しん」さん。始まりから終わりまで、一流の舞台を見ているよう。心動かす場面々々が次々に用意され、作り手の編集力に唸ること請け合いです。そして、お店の方々がそれぞれの働きを十全にこなし、将に一流のチームで一飯を作り上げている。大阪でこんなにも十全な懐石料理がいただけるなんて感動ものです。さて、個人的な2017年の食べログトピックはレビューしたお店の数が200件に到達したこと。更新も滞り気味でつたないレビューですが、コメントやメッセージが励みになって続けられています。2018年もどうぞよろしくお付き合いくださいませ。では。

マイ★ベストレストラン

1位

是しん (大江橋、なにわ橋、東梅田 / 日本料理)

14回

  • 夜の点数: 4.8

    • [ 料理・味 4.8
    • | サービス 4.8
    • | 雰囲気 4.8
    • | CP 5.0
    • | 酒・ドリンク 4.8 ]
  • 昼の点数: 4.8

    • [ 料理・味 4.8
    • | サービス 4.8
    • | 雰囲気 4.8
    • | CP 4.8
    • | 酒・ドリンク 4.8 ]
  • 使った金額(1人)
    - ¥8,000~¥9,999

2022/11訪問 2022/11/09

澄んだ夜空に吉兆が現れる日。立冬の是しんに芳香が満ち満ちる。

大阪・西天満

街は初冬。立冬を迎えました。
「山茶始開(つばき はじめて ひらく)」。

茶碗蒸しから。
アサリの出汁で蒸し揚げた一品。
銀杏かと思いきや栗が仕込まれていて
貝出汁との相性も良く、しみる味です。

甘エビの白醤油漬けと千枚かぶら。
香住の甘エビは大きくプリプリ。
白醤油に漬け込んで甘さが更に引き立ちます。

お椀はクエで取った出汁にクエと本しめじ。
クエの脂が出汁に溶けて深い味わい。
季節の野菜であるネギが新鮮なアクセントに。

マグロとノドグロのにぎり、鯛と烏賊の造り。
この日は日本酒をいただきましたが、やはり
懐石料理には日本酒ですね。全ての魚、薬味、
飯。日本酒を飲むためのものですね。

八寸。
ここでも旬のカマスの棒寿司。
柿なますも泣かせるほど美味しいです。
秋刀魚、ムカゴ、鱈白子。
嫁様の指導がなければこれだけで日本酒を三合は飲めますね。

サワラの杉板焼き。焼き松茸。
無骨な料理法ですね。
日本料理では煙の香りを演出することがあります。
客に供するタイミングも重要な演出の一つ。
魚に匂いをつけるというより、心を躍らせるためのものだと思います。
私はこれが大好きです。

お店に香るお香の薫りも重要なポイントだと思っています。

本日のご飯は栗ご飯。
秋口に採れた栗を一月あまりじっくりと保存して甘みを増してから供するため、立冬の頃合いに出されるのだとか。
確かに甘く、しっとりとしています。
鼻に抜ける芳香にも似た風味が最高に心地よいです。

今回は柑橘の酸を用いた風味付け、旬の野菜であるネギ、ミツバのアクセント。
杉板焼きなど、香りの演出が極まった料理の数々でした。
舌だけではなく、他の感覚器を集中的に狙った献立に驚くばかり。

この日はご主人との会話で筍の話題がありました。
是しんさんで冬に早掘りの筍をいただき、あまりの美味さを自宅で娘に聞かせたところ、娘が小学校で「冬と言えば?」との質問に「たけのこ」と答えた話題。
一般的には筍は春先が旬であって、親として間違ったネタを伝えてしまったようですが、是しんさんでいただく冬の筍はそれほど絶品なのです。

是非にも筍をいただきに参りたい。
そう心に決め、次回の来訪を誓うのでした。

この日の夜は「皆既月食と惑星食」の天体ショー。
立冬の澄んだ夜空に吉兆が現れた日でした。

では。
大阪・西天満

蟋蟀在戸(きりぎりす とにあり)。10月の是しんさんに伺いました。

重陽の節句。長寿を祝う「菊酒」が振舞われて料理が始まります。

湯葉、銀杏、黒豆に出汁餡がかかっています。
中には鮑と焼き林檎です。これがまったりとして、甘酸っぱく、鰹節を利かせた
出汁餡に絶妙にあうのです。

続いて藁焼きのカツオ。
いつもは気仙沼や千葉のカツオとのことですが、本日は高知のカツオ。
これが身が締まっていながら脂もほどよくのっていて旨い。
塩と生搾りの酢橘でいただきます。
口の中で全てが合わさって完成する。完璧、十全に計算された料理だと思います。
日本料理の良いところは、最後の仕上げが食べる者に委ねられているところ。
薬味や果実酢を用いて好きなように仕上げていただける。

お椀は、甘鯛、シメジと小松菜(青梗菜?)でしょうか。
本しめじの味は本当にお椀に合いますね。
甘鯛の脂が程良く吸い地に溶けて、旨さを際立たせます。

向付は熟成烏賊、鯛。ノドグロとマグロの握り。
刺身の盛り付けで砕いた氷を用いる店もありますね。
私はなるたけ常温が好みです。
大トロなどは冷やして口の中の温度で脂を溶かすのも一興ですが。

八寸。
里芋が滋味深く、香ばしくさえ感じる。
旬のカマス寿司かと思えば本日は鯖寿司。唐津の鯖。身が厚く、脂ののりも最高。
旬といえば柿なます。果物を用いた料理で一番旨いですね。
赤貝やナマコ、ホヤとも合うだろうな。

鱧と松茸の鍋。
松茸の香りを溶かした出汁で鱧を炊く。
ほろほろの鱧。鼻に抜ける松茸の香り。
晩秋から立冬を迎えるこの時期に最高のタイミングでいただく。
鱧おいしいわ。クエやアブラメも美味しいけれど、鱧おいしい。

新米と生たまご。
生姜を炊いたもの、わさび漬け、いぶりがっこ。
もう全部旨いわ。しかも全部店で作ったもの。
わさび漬けってこんなにご飯に合うのかってくらい驚きの美味しさでした。
買って帰りたいよ。

いつもおいしく驚きの多い是しんさんです。
本日は進取、斬新の味もありながら、一つ一つの細部に亘るまで、
伝統的な技術に裏付けられた味を見せてもらえました。

京都で好きな店は「近又」です。一子相伝のような技術の粋を表す料理に
心の底から感動します。
是しんさんの料理に同じ感慨を持ちました。
とても嬉しいことです。

本日の大阪は鰯雲が綺麗に浮かぶ秋晴れでした。
短い秋の終わり。味わいがじんわりと身に染み込み、心が温かくなりました。

大阪に是しんあり。
大阪・西天満

大雪、熊蟄穴(くまあなにこもる)。

寒さが強まった大阪。今日は幾分暖かいです。
半年ぶりの是しん。
この半年はいろいろあった。
街はコロナ禍がどこ吹く風か、歳末の活気が感じられます。

そして是しんの世界へ。

師走には何度か訪れていますが、本日は凄かった。
一年の旨味のあらゆるものを集めて集めて、
適度に手を施して、料理に高めて、
どんどんと攻めてくる。

真髄を味わうこと。それが本日の料理。

早掘りの筍、美しく盛られたセイコガニ、クエ、仙鳳趾の牡蠣、できたてのカラスミ。
これだけのものを集めて来て、どうぞと出されるとぐうの音も出ない。
出てくるのはうっとりとする溜息ばかり。
瞑目して食べることなんてなかなかないのに、こちらでいただくたびに目を閉じて味わってしまう。

数年前から来ているが、いつ来ても今回が一番旨いと思わせる。
その力量や、もはや他の名店を凌いで余りある。
そう感じざるをえない。

と言って、構えるでなく、ゆるりとくつろぎいただける。
名店であるばかりか、良店でもある。

私と妻の大切なお店。

そして今はもう、大阪の至宝。

では。
大阪・西天満

夏至、乃東枯(なつかれぐさかるる)。
6月の訪問は初めてかも知れません。

「蛸、アメーラトマト、煮鮑の甘酢」
出汁の効いた酢にさっぱりとした三品を。
最初にはもってこいの味。

「無花果とエンドウの胡麻だれ」
こちらもさっぱりとした甘味ある一品。
キリッとした酸味の一品目の次に、じんわりと広がる甘味。
お口とお腹の準備は整いました。

「鱧、卵豆腐とジュンサイのお椀」
厚みがあって、ふんわりほろほろの鱧。コクがありほんのり香る甘味の
卵豆腐。いささかの臭みもないジュンサイ。
控え目の出汁の中でそれぞれが持つ食感と喉奥から立ち上がる香り
を際立たせる一椀です。

「甘手鰈の薄造り」
極薄の造りを煎り酒で。
薄造りながらもしっかりとした歯応えと芳醇な味。
煎り酒との相性が秀逸です。

「すさみのけんけん鰹、アコウ、剣先烏賊、雲丹」
お刺身はどれもこれも頬が緩んでしまう美味しさです。
けんけん鰹は和歌山でしか食べたことがなかったですが、
流石に良いものが入っています。

「八寸」
甘エビの白醤油漬け、穴子寿司、食用ほおずき、鴨のロースト、
車海老とクリームチーズ、小芋、枝豆、津軽の海蘊。
どれをいただいても美味。食材そのものの味が際立っています。
穴子寿司などは頬張って食べるとまさに口福です。

「焼き鮎」
少し小さいですが、そこは香魚。
香りが素晴らしいです。
濃い目の蓼酢がさらに香りを引き立てています。

「鱧、茄子、雲丹の大葉巻きの天ぷら」
驚きの一品でした。
鱧とアスパラガスの天ぷらはまさに複層的な味と食感で、
日本料理の域に収まらない味でした。
揚げ方も、その力量や良し!
天ぷら懐石の専門料理店に勝るとも劣りません。

そろそろ飯かな?
と思っていたところへ、
「鰻の柳川」
お出汁に大きめに切った鰻とささがき牛蒡を卵とじ。
本来はどじょうのところ気前よく鰻をおごる。
やはり柳川の醍醐味は牛蒡にありますね。
この味はこの取り合わせでしか出せないです。

「甘々娘ご飯」
甘い甘いとうもろこしがたっぷりと入ったご飯。
蓮根と合わせた食感のたのしいご飯です。
少しの塩味が後を追って舌に広がり、甘味の残像が消えていく。
夏の陽炎のような眩い味です。

「メロンとマンゴー」
甘い完熟のメロンはキリッと冷たく。
マンゴーは酸っぱさが強まらないように控えめに冷やして。
温度の違いはあれど、甘さは頂点に達しています。

「水羊羹」
これは上品な甘さです。
黒蜜?黒砂糖?と思いましたが、
小豆を長時間煮て、砂糖は氷砂糖のみとのこと。
煮詰めていくと黒砂糖のように感じられるのだとか。
上品なわらび餅に黒蜜をかけていただいた時の感激と
同等の綺麗な甘さです。

最後に少し濃い目のお薄。

夏至を過ぎ、これからが夏の本番です。
その前に、夏の旬の食材をいただき、その甘さで鋭気を養います。
本日の甘さのレパートリーで、このお店の季節の理解と、味の演出に
脱帽させられました。

開店から八年。心躍る演出の味と、職人かたぎの円熟の味が丁度良い塩梅で
融合しています。
私たちは只、臆することなく、緊張もせず、ゆったりまったりと味わうのみ。

気持ちの良いお店だ。

では。

この日に妻がいただいたお酒:
・磯自慢 愛山大吟醸 グラッパボトル
・いづみ橋 特別純米酒
・十四代 中取り 純米吟醸 播州愛山
・鳳凰美田 Gold Phoenix 純米大吟醸 愛山
大阪・西天満

立春。東風解凍(はるかぜこおりをとく)。
初めて如月に伺いました。

一品目は「蟹もち カブラ餡」。
軽く揚げた蟹もちに蕪をおろした出汁餡がかかっています。
立春ながら寒さの厳しい日だったので、温かい品から始まって
体も心も温まります。

続いて「鰤の粕汁」。
大きな鰤がホロホロと崩れ、粕汁のわずかな酸味の中で風味が
活きます。これもまた前日の疲れを癒やし、ほっこりさせる一品です。

今日の刺身は大分奢っていました。
「フグのてっさ、鯛、のどぐろの炙り、雲丹、剣先烏賊」。
フグは湯引きした皮とあさつきと共にポン酢で。
もっちりとしっかりとした歯応え。
鯛はしゃっきり、のどぐろは脂が蕩け、ウニはいささかの臭みもなく、
烏賊はねっとりとそれぞれの持つ甘みを楽しませてくれます。
最後は天城産のワサビだけでいただく。刺身の旨さの余韻を残しつつ、
お口の中がリセットされます。
浄蓮の滝の話題になりましたが、35年ほど前に一度行ったことがあります。
その時に泊まったのは「たつた旅館」でした。


焼き物である銀鱈の西京焼きも乗った豪華な「八寸」。
若筍と蛤のジュレや大豆の煮物。
イワシ、そら豆、海老、チーズ、海蘊、白和え。
酒が進む私たち夫婦には「フグの唐揚げ」を付けてくれました。

大将が海苔を炙り出しました。
「これはあれだな?」。
「鯖寿司」です!
八寸になかったので今日は出ないかと思いましたが
杞憂でした。
千葉産の鯖をほんとうに軽く〆てあり、肉厚で
濃厚な風味があります。塩梅がまた素晴らしい!
千葉出身なので嬉しくなりました。
福井生まれなので若狭の鯖でも嬉しいですけれど。

「帆立のムース、焼き帆立、菜の花」。
ウニが入っていますよ!
ムースはやわらかく、焼き帆立は歯応え十分、
菜の花はしゃこしゃこしていて味と歯触りの三重奏です。
フレンチにも勝るとも劣らない複層性があります。

「氷魚と水菜のご飯」。
琵琶湖産の鮎の稚魚だそうです。
稚鮎にもならないまま頂いてしまうのでは可哀想でもありますが、
それは命をいただく我らの使命です。しっかりと味わいます。
薄口ながら塩味があり、春の滋味といった風情。

「稲荷のお菓子」。
甘く炊いた油揚げで小豆餡を混ぜ込んだ道明寺を包んでいます。
鳥居型に焼きを入れて稲荷と成します。
甘味をお薄で流して、本日の懐石の完成です。

いつもながら夢見心地で店を後にし、
大阪のメインストリートを南下する。
ゆっくりと食事をしている間に大分と暖かくなっていました。
ビル風が東から西へと吹く。
「東風吹かば 匂い起こせよ梅の花 主無しとて 春な忘れそ」
東風(はるかぜ)が吹いている。
カバンの中には八寸に添えられた梅の枝が入っている。

立春。東風解凍。

では。

この日にいただいたお酒:
「田酒」純米吟醸 生 うすにごり
「新政」新年純米 うぼりたて 生酒
「赤武」大吟醸 魂ノ大業 生酒
晩夏に訪ねました。

朝晩の気温の差も大きくなり、蝉の声よりも秋の虫の音が優るこの頃。
「是しん」さんに久しぶりに訪れました。
実に8ヶ月ぶり。

率直な感想は、只一言。「是しん一択でなにも困らない」。

和食にはいろいろな流派や閥があり、もてなしの心から何から何までやり方が
あるとは思いますが、断然にこの店のもてなしが最上に思えます。

最初の一杯は喉の渇きからビールをいただきます。
二杯目の酒を頼んでからは、まさにご主人の意のままに操られている感があります。
「ああ、旨い料理には、最良の伴侶たる旨い酒があるでしょ。それ持ってきて!」。

私たちは本当に素人。
料理の道はさることながら、左党としての道もこの人に勝てるわけがない。
この日も、夕刻に名だたる酒屋の集いに料理を供するという。
「日毎、料理と酒の相性をつきつめているのだなぁ。」
実に面白いことだ。

「たまに来ると、その間に積まれた皆の成果を眼の当たりにできる」。

日々自堕落な私たちは、この店で働く皆との落差を感じながら、日々の糧としてこの味を味わうのみ。
「嗚呼、この間にも、ご主人と皆さんは、大変な料理・趣向の経験を積んでおられる」。
こう感じることが本当にうれしい体験なのです。

「また、明日から、頑張ろう。せめて、明日から」。
そう思って、会計を済ませるのです。

「今日味わったものは、今日までのご褒美ではない。今日からのご褒美なのだ」。

普段は明日からが憂鬱だが、この店でいただいた後には、明日からの英気に満ちている。

では。

※すみません。肝心のお料理について書いていませんね。
どの季節に伺っても、その季語には依らない、実感的な季節の味を体験できます。
出汁一つとっても、蟹身には酸味の効いたポン酢ジュレを合わせ、その後の鱧と松茸の椀には
香りを阻害しないギリギリの吸い地を合わせます。
実に臨機応変。

お酒をいただく人と、そうではない人とが混在しますが、実に適当にその辺をあしらっている。
どの客にも文句を言わせないチョイスでどんどん攻めてくる。

その意気がとても心憎いのです。

詳しくは、写真で。

大阪・西天満

霜月の秋晴れ。
出不精の夫婦が街に出ました。
まさに小春日和です。
節気の上は立冬。地始凍(ち はじめて こおる)。

旬のさかなは牡蠣、旬の野菜は銀杏や春菊、旬の果物は柿です。
これらの旬をどのように演じていただけるのでしょうか。

本日の感想は、「ジンワリと広がるクッキリとした味わい。味の五味をふんだんと」。

まず、箸置きが柿右衛門の「柿」。早くも旬の果物。

先付け:
福岡産の早掘りの筍。
えぐ味を感じさせないほのかに甘い味わい。

続けて、タラの白子、海老芋、紅ズワイ、菊菜のジュレがけ。
白子、紅ズワイと合わせて「紅白」が縁起が良い。
鮮烈な風味の菊菜とホクホクとした歯応えでやさしい甘みの海老芋。
それぞれが青さの香る柑橘の酢のジュレと相俟って沁み渡る味わいに。

椀物:
松茸、甘鯛、静御前。
どこまでもジューシーで、仄かな甘みをたたえた品を程よい塩梅の吸い地に浮かべ、
最上のほっこり加減に。「日々の疲れが溶けていく」。

向付:
鮪の赤身、中トロ、大トロ、明石の鯛、剣先烏賊、釧路のウニ。
鮪はだれずにプリッと食感のある新鮮な物。
鯛も山葵の持つ甘みに負けず風味豊かだ。
烏賊、ウニの甘みも言うに及ばず。
この甘味を流すのは高知の辛口「文佳人」。

八寸:
仙鳳趾の牡蠣、佐賀牛のサーロイン、津軽海峡の海蘊、銀杏、
キノコの炊き合わせ、鯖鮨、子持ち鮎。
しっかりと旬のものを押さえている。
どれもこれも、来るべき飯物を迎える前ぶれ。
口の中をあらゆる旨味で満たせる。満を持すとはこの事也。

と、ここで、山葵で酒を呑みたいとのたもうた私の言を聞き漏らさない主人から、
炙りたてのノリと山葵のサービス。醤油をつけていただきます。
下の上でじんわりと甘みにも似た印象を残しつつ、酒で流すと
ぴりりと辛い。幾重にも姿を変える味。

焼物:
真魚鰹と鰆の幽庵焼き。
珍しく杉板の焼き板で。
これをやられると酒が止まらなくなる。
単に酢橘の酢を滴らせるのとは格段に気持ちの昂りが異なる。

ご飯:
基本は蟹飯。
銀杏、松茸、栗etc…。
もう晩秋との別れを惜しむ食材のフルラインナップ。
栗は銀寄。
一口で幾重にも味が拡がる。

旬を満喫しつつ、来るべき季節の味を先取りする。
料理の世界では当たり前のことを、これだけ愚直に実践することもまた難しかろう。
季の移ろいにうるさい酒飲みがやってくる店のことだから尚更のこと。

毎日、季節の持つ風と土の匂いを嗅ぎ分け、山海の恵みを目利きし、
酒のこなれに着目する。
料理人の感性に脱帽する。

私たち夫婦といえば、その料理人の仕事の前で、只、飲んだくれるだけ。
ある意味不条理でもある。
カウンターを境に、一飯の客との一会に戦い向かうの料理人の気魄に飲まれる。
「嗚呼、これが心地よい」。

晴天で空が高い大江橋を渡る。
「夢見心地にほっこりとするな」。
腹八分目ながら、感嘆するばかりで疲れたか。

「今日も主人にやり込められたな」。

近いうちに、また、やり込められたい。

では。

※この日飲んだお酒
ビール
「鳳凰美田」初しぼり純米吟醸酒
「文佳人」辛口純米酒
「AKABU」純米吟醸 雄町
「義侠 慶(よろこび)」純米大吟醸
「播州一献」純米大吟醸 超辛
「蓬莱泉」純米吟醸 熟成生酒 “和”

大阪・西天満

嫁さんと連れ立って訪れました。
この日のお料理は、海、里、山の秋の味覚を盛り込んだもの。

先付
「柿なます」
酸味と甘みを効かせた果物のお料理の白眉です。
一杯目から日本酒を選んだ嫁様が羨ましい。
家を出るときから「一杯目から酒にするから」と言ってましたっけ。

椀物
「鱧と松茸」
蓋を開けた時のふんわりとした松茸の香り。
酢橘の酸が松茸の香りを昇華させ、鼻奥にまで届く。
胸一杯に吸い込んでからいただく。
口中に広がる松茸の汁。
ほろっと崩れて舌の上でとろけるかのような鱧。
拡がりの極致。

向付
「鰹、剣先烏賊、鯛、牡丹海老」
主人が今年一番の上物という鰹。
藁焼きにした皮の下にサシのように脂がのったトロカツオ。
赤身のもつ独特の酸味と脂の甘みが舌の上でゆったりととろけていく。
イカ、タイ、ボタンエビと豪華な4種盛。
雄町米の「幻舞」で流します。

八寸
「仙鳳趾産牡蠣、長崎牛サーロイン、かます鮨、鰆の幽庵焼き、
銀杏、茄子と雲丹、栗、スモークサーモンと無花果、海蘊」
初めていただく仙鳳趾の牡蠣はプリプリとした中に海のミルクの本領発揮です。
肉、魚、野菜、果物と山海の恵みが一皿に凝縮され、且つ、口の中で解放されている。
この秋の季節感。うなる味わいばかり。
先付けの「柿」から「牡蠣」へとシャレが効いている。

強肴
「鴨ときのこ」
まったく臭みなく、柔らかい鴨ロースを数種のきのこと。
椀物で鱧と合わせたのは松茸で、此度は鴨肉と。
きのこの風味は淡白な鱧にも合うが、
鴨のような癖のある肉の味をも昇華させる。
口腔と鼻腔のつながりの中を縦横無尽に
味わいが駆け抜ける。

ご飯
「秋鮭とイクラの親子飯」
鮭は炊き込みに絶好に合うのはもちろんのこと。
そこにヅケのイクラときたら、もう悶絶するしかない。
柔らかく繊細なイクラが口の中で弾ける心地良さよ。
ほくほくのご飯と鮭の身にプツンと弾けて纏うイクラの旨味よ。

本日のお料理の数々はまことに酒飲みのお料理でした。
嫁様も上機嫌で猪口を空にしていく。

本日の収穫。
秋の味覚を再確認し、仙鳳趾の牡蠣の味を知ったこと。
こちらで用いる山葵は伊豆産の立派な一流品であること。
そして、八寸の押し寿司を見るなり即座に「おぉ、カマスかぁ」と言い当てた嫁様。
主人の腕と、嫁の才覚に脱帽しました。

帰り道。嫁との会話。
「やはり大阪だな。総てここにあった」。
旨さだけではない、お料理の髄がここにある。

では。

※この日飲んだお酒
「秋鹿」 純米大吟醸 レトロラベル
「小左衛門」特別純米 信濃美山錦
「幻舞」純米吟醸 無濾過生原酒 雄町
「菊姫」大吟醸
「王祿 丈径」純米吟醸 直汲
「而今」大吟醸
⭐︎お酒の味の要望に対する主人の提案は実に的確かと思います。
日本酒度の数値によらない、生の実感を提供してくれます。
経年の変化による味わいも的確に表してくれ、料理に合わせる指標を
供してくれます。
大阪・西天満

久方ぶりの一人懐石です。
「是しん」さん。
本日は「気合い」、「匂い、香り」に圧倒されました。

「気合い」とは、所謂、「力囲希咄」のような気合いではなく、
「気構えと心意気」という気の入れようです。

先付から、
「焼き茄子、汲み上げ湯葉、礼文産雲丹にキャビア添え」
ぽん酢のジュレが実に響いてくる。舌の上に広がる酸味。
その酸味の下地の上に、湯葉、雲丹の甘み、キャビアの塩味が
ササーと走っていく。
焼いたナスの香ばしさ。
立体的な味わいの拡がりを感じることができます。
味わいの拡がりは鼻腔に抜けて、ため息をつかせます。
「これは旨い」。

椀物
「蓮根白玉餅、タマメ、松茸」
これは素材それぞれが持つ風味、歯ごたえ、
所謂、食感を楽しませる一椀。
吸地はギリギリの出汁加減。
蓮根餅にはわずかにシャッキリとした食感を含ませる。
タマメは実に濃厚に脂を溶かし出す。
松茸は出汁の中に泳ぎつつ、どこまでもジューシーだ。
どれも主張の濃い材料なのに、吸地がどれにも協調している。
「一口々々ごとに鳥肌が立つ」。

向付
「鮪、タマメ、縞鯵、剣先烏賊」
予め盆に出された醤油が香る。
皿が来る。山葵も食べてくれとばかりに盛られている。
毎回思うことだが、山葵がおいしい。突き抜ける辛さではなく、
じゅっと舌に染み渡る辛さ。良い意味でのエグ味がある。
一本添えられた穂紫蘇がまた香り高い。
さて、刺身。「嗚呼、何としても食感で攻める気なのだなぁ」。
鮪なぞは、赤身、中トロ、大トロで攻める。
先ほどお椀でいただいたタマメを刺身でも。
「熱の入れようでこれほど味が変るとは」。
歯でぐっと噛むとじんわりと脂がにじむ。
それぞれ刺身を食べるごとに山葵で口をリフレッシュ。

先付、椀物、向付と来て、そのどれもが舌の上全体で拡がりのある
味わいだと気付く。
そして鼻腔へ抜ける味わい。
「何故、ここまで味の奥行きにこだわるのだろう?」
語弊があるが、主人はひょうひょうとしながら、凄みを持って
私たちに旨いものをぶつけてきている。

八寸
「無花果、穴子鮨、車海老ポテト揚げ、新銀杏、長崎牛サーロイン、
鬼灯(ストロベリートマト)、アメーラの酢漬け、沢蟹、海蘊」
食べ進むと、料理ごとに噛み砕く音の違いを楽しむことができる。
笑ってしまうほど、食感のオンパレードだ。
「味の五味」に食感を加えると、十味にも百味にもなる。
行儀は悪いが、「どれを食べようか」と迷い箸になる。

凌ぎ
「鮪のトロ、べったら漬けの手巻き寿司」
カウンター席が左党ばかりだったため、凌ぎに一品。
本当に贅沢な一品。魚の脂をゴマの油と合わせて噛み締めていただく。
パリと焼いた海苔の風味とわずかに染み込ませた醤油が相俟って、
一鉢の料理にも敵う料理となる。
普通は分けていただく漬物が混ぜ込まれているのも一興だ。
「酒呑みの億劫な本性を見抜いているなぁ」。

焼物
「真魚鰹の幽庵焼き」
香りの真骨頂。
焼いた魚の脂がもつ風味はもちろん、
素手で絞る酢橘の酸が周囲に行き渡り、
カウンター席という舞台に食欲をそそる匂いが立ち込める。
日本料理は柑橘の用い方が絶妙だ。
そして、その柑橘の使い方を食べる者に預けている。
「さあ、どうぞ。あとはご随意に」。
私はこの気構えが大好きだ。
カウンター越しという「界」が食べ手の自由を担保している。

ご飯
「小芋と牛蒡の炊き込み飯」
これは本当に妙なる素材の大きさ。
決して色味の良くない小芋の存在を隠すことなく、
じんわりと甘い牛蒡の小片と固めの飯とを一体にしている。
「味わいの奥行きを測り尽くしてるのだろうな」。
以って、食べる者の満足も推して知っているのであろう。


何なのだろう?
地の味に、他の素材の持つ味を最良の状態で溶け込ませることに
長けている。
それだけではない、食感、匂い、彩りを操り、ひいては裏で料理する料理人の
扱う道具の音さえもその場の演出としている。

人が持つ感覚を存分に震わせる。
感覚を弄ぶことができるほどに、このお店は活きている。

では。

※この日飲んだお酒
・ビール
・而今 純米大吟醸
・王祿 無濾過生原酒 八〇
・防長鶴 純米吟醸無濾過原酒
・多賀治 純米大吟醸 雄町
大阪・西天満

5回目にして初めて細君と伺いました。
「このお店は絶対に気にいるよ」と
ハードルを上げての訪問です。

席に座ると私の前のコースターをいつものものに
替えてくれました。我が娘の名前の一文字「風」。

先付けは春の趣。
桜鯛の昆布〆に花山葵。
たらの芽とこごみ、蛍烏賊。
釧路のウニにキャビアを添えています。
この時点で、嫁さんの目が輝いていることを
悟りました。
私が言うのも何ですが、嫁の大好物なのですよ。
はんなりとして、じんわりと旨い。

お椀はアブラメと菜の花、蓬麩。
これも春。
吸い地もギリギリの域で良い塩梅。
アブラメの脂をほどよく溶かして、
しゃっきりした菜の花の風味と活きる。
蓬の芳醇な香りは春の土の香りを想起させる。
この時点で、嫁さんが感動していることを悟りました。

向付は鮪、剣先烏賊、そして桜鯛の白子。
こちらの山葵はよく練られて香り高い。
2キロほどの鯛から得られた白子を海水程度の
塩水で茹でたものは一廉のお料理。
「こんなにも旨いものかな」。
嫁さんもいたくお気に入りのご様子。

続いて八寸。
春の味を網羅。
あらゆる素材の甘みを味わう。
脂の甘みであり、野菜の甘みである。
この一盆でお酒を鱈腹いただけそうです。
嫁が一人首肯しているのを私は見逃さない。

そして、山椒鍋。
牛肉、ワカメ、若牛蒡、芹、筍。
「大好きなやつだね」。
嫁さんと私の大好物。
とっても高価な花山椒をたっぷりと。
けれど、出汁に溶け出た牛肉の脂の味を
損なうことはない。
芹の滋味と若牛蒡の甘みも渾然一体となっている。

ご飯は桜海老。
極細の千切り生姜との相性は抜群。
海老のもつ深みある味と、あっさりとした生姜の味が
相俟って、炊き込まれたご飯の甘みと絡まる。
おかわりする喜び。嫁とともに三杯。

「ご馳走様でした」

嫁とともに初夏のように暑い中之島を歩く。
会話は少ない。
頭の中で、料理の数々を反芻し、
酔い残る体の揺らぎを楽しんでいるのだ。

嫁とともに来たかったお店。
来てみて大満足なのは私も嫁も同じこと。
「大阪にこんなに美味しいお店があるんだね」。
口をついて出てきた感想が、矢張り同じであった。

私たちは伴侶。
何かにつけての記念日には、
このお店で美味しいお料理をいただくことにしよう。

では。
大阪・西天満

夏以来の「是しん」さん。
久々の休日。嫁さんが余暇のために勧めてくれた。

予約席に落ち着く。
用意されたコースターを見ると「風」の文字が。
このような心遣いがいちいち嬉しくさせる。
我が娘の名前の一文字。

海老芋の白みそ仕立てから。

「ほっこりする」という言葉が持ってこい。
疲れ果てた体がじんわりと温まる。

向付はてっさと能登のブリ、瀬戸内のアオリイカ。
ポン酢でいただくてっさの旨いこと。
ブリも脂がのっていて申し分ない。

続けて静御前という大根とたらの白子の椀もの。
大根が程よく炊けていて、出汁の味わいと風味を成す。
白子の焼き具合も良くできていて、プツンと弾ける食感が愉快だ。

八寸。
これは言うまでもなく、酒を飲む私へのご褒美。
洋の東西を問わない味わいの列挙。

そして続くのは、ふぐの揚げ物。
これは少し下品ながら素手でいただく。
やはり手で直にいただくと温度が感じられて
ふぐ本来の味わいはもとより、旨味が増すようだ。

締めは栗と蟹身の炊き込み。
これも旨い。
蟹の甘みと栗の甘み。
飯がこれだけ旨くなるのだから、
素材の持つ味は格別のもの。
軽く三杯をおかわりしてしまった。

しかし、毎度来て、驚きの絶えない店である。
全てが是であり、真である。

嫁さんを連れて来たいのだが、未だ叶わず。
ただ、嫁の心遣いに甘えて回を重ねている。
疲れた体と心が一気に回復して、しばらく先までの糧となる。

頗る付きの旨い店。

御堂筋を歩く自分の頬が緩んでいる。
今年一番の寒さのはずが、心が温まったせいか心地よいぐらいだ。

「師走とはいえ、一駅ゆっくり歩こうか」。
街ゆく足取りが軽やかだ。

では。
久しぶりの「是しん」さん。

一人で訪れた。

嫁さんに許しをもらって、一飯の宴。

まさか、一年前の昼に伺ったことを覚えているとは!
ご主人には料理が始まる前から感嘆させられました。

お酒のコースターは「椿」。
私が好む花の意匠だ。

ビールから、続いて「而今」。
日本酒の二杯目に「秋鹿」を所望するも、
あいにく揃えていないという。
「では、」と私が言うや否や、
主人が「花陽浴」と同時に発したのには驚いた。

今夜は今年の前期の一人打ち上げ。
旨い酒と、旨い料理をいただきに来た。

続いて、「田酒」、そして「王祿」。

旨い酒を飲んでいるからか、次第に頬が緩んでくる。
一人でいるのに、やおらにっこり微笑みたくなる。

「旨い酒と、旨い料理があるからな」。

本日の料理の詳細の記述はしないが、
お酒を飲ませる、頗る旨い料理が続く。

つまり、喰わせるお店。

良い感じに酔う。
したり顔で満足げに店を出る。
「俺は旨いものを今、食べたのだ」。
そう言って、街をミュージカル風に闊歩したい衝動に駆られる。

「喰うも、飲むも十全な店」。
その事実を街行く人々に知らしめたい!

そうこうしているうちに、
夢見心地で家に着き、
布団の中で夢見る幼き娘、息子に語りかける。
「俺は今、最高に幸せだ」。

今年の下半期も俄然頑張れる!

そして、これだけは言いたい。
今日の一人飯を許してくれた嫁さんよ!

「ありがとう」。

では。
師走

夜の「是しん」さん。

どのお料理にも季節と料理人の力を感じますね。
以前(平成29年夏)にも増して、入魂のお料理と感じ入りました。

味の五味が、それぞれのお料理に分けて配されて、
一つ一つのお料理の味わいがびしっと決まっている。
かといって派手さ硬さがあるでなく、実にたおやかに味わい深い。

街に出ることが稀な私。
家が遠いので、酩酊するのを避けて、お酒は控えめに。

この夜は備前雄町で醸した「旦」の純米大吟醸無濾過生原酒を五勺ほど。
大吟醸ながら雄町の猛々しい旨味があり、それでいて後口がよい。
酸は立たずに、じっくりと旨い。
「これがお料理に抜群に合うのだね」。
それにしても旨い酒ですね。「秋鹿」の雄町と双璧かも知れない。

酩酊するのを避けてと書いたが、
本当はお料理を味わうために、自重しているだけなのかもな。

至極旨いお料理を、至極まっとうなタイミングで食する。
その見計らいや絶妙。

お店をあとにするその時に、次の訪問を期する。

師走の街は喧騒に溢れていますが、「是しん」の夢にうつつとなる夜でした。

では。
西天満

伺う前からレビュー。
「是しん」さん。

訳あって、夏の旅行を取りやめることに。
とは言え、連休を大事に過ごしたい。

そこで、いつもは子連れでは行けないお店に、
私一人で行くことになりました。
もちろん、嫁さんのお出掛け日も設定。

条件は以下のとおり。
・一人でも行ける。
・子連れでは行けない。
・日本酒の揃えが良い。

この条件にヒットしたのが「是しん」さんなのです。
レビュアーの皆様の投稿や写真を見て、楽しみ最高潮です。

 ーーーーーーーー

さて、以下が伺ってみてのレビューです。

門をくぐり、待合の席に腰掛けて開店を待ちます。
入店。
蹲があり、躙口の茶室がある。
「懐石料理」なのですね。

温かいお茶をいただき、
ビールを注文。
「さぁ、食べるぞ」。

・先付(枝豆出汁と胡麻豆腐)
 これは美味しい。丁度ビールをいただいていたので、枝豆の香りが良く合います。
 胡麻豆腐には辛子がつけられ、程よいアクセント。
 お出汁が枝豆の濃厚な風味と相俟って、喉奥においしい味わいを残す。
 
・炊物(茄子、南京、万願寺唐辛子の冷製)
 どの食材も程よく炊き上げられ、甘めの出汁を含んで且つ素材の味が
 口中に広がります。蓮の葉に残った出汁を飲みたい衝動に駆られました。

・向付(縞鯵、鮪、タマメ)
 縞鯵には丁寧な飾り包丁が。鮪、タマメともに脂がのって、良く練られた
 わさびの辛味と抜群に合う。

・お椀(鱧真薯、冬瓜、松茸)
 鱧真薯が香る。クセの強い魚も真薯に仕立てて、そのくせを出汁に溶かすと
 こうも美味くなるのか。別に炊いた冬瓜も風味を残して美味。

・八寸(無花果胡麻クリーム、穴子寿司、玉蜀黍かき揚げ、白海老、沢蟹、
 鬼灯、銀杏、フォアグラと胡桃の粕漬け)
 どれをとってもそれぞれのパワーを感じます。それぞれの持つ、濃い個性が
 強い味わいになって、美味さを主張します。

・焼物(鮎、鯛うにのせ)
 鮎旨い。頭から食せる。香魚が口中に香る。
 鯛も旨い。低温調理で潤いを留めてしっとり焼き上げられています。

・香の物(昆布、胡瓜)
 塩っぱすぎす、しっとりとした一品。

・飯(鯛、松茸)
 ついに出ました。久々の鳥肌です。
 味が良いとはこのこと。味と香りと食感と一体となっています。
 ご飯が美味しいのは、究極のご馳走。
 ついついおかわり(二度も)。

・赤出汁(鶉卵黄)
 飯を掻き込む際に、卵黄がまじわり、えも言われぬ締めご飯に。 

・葛切り
 さっぱりと甘い。
 べたべたせずに、潔い甘みと食感。

・お薄
 ご馳走様でした。

大阪で初めて伺った日本料理のお店。
いつもは京都ですが、お料理、設え、接客どれをとっても勝るとも劣らない。
素材の味わいをこれでもかと際立たせて提供する、一飯の客に対する実直な姿勢。
お昼の懐石でこれほど十全なお料理を食せるとは思わなかったです。

このお店。
できるならば通いたい。

では。

※食中にいただいたお酒は、
・「花陽浴」純米大吟醸 五百万石 無濾過生原酒
  フルーティに香る吟醸香。優しくふくらみのある飲み口で、後に苦味を残します。

・「田酒」純米吟醸 古城乃錦
  旨いお酒。ふくよかな飲み口。

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2位

ウシマル (松尾 / イタリアン)

2回

  • 夜の点数: 4.6

    • [ 料理・味 4.6
    • | サービス 4.6
    • | 雰囲気 4.6
    • | CP 4.6
    • | 酒・ドリンク 4.6 ]
  • 使った金額(1人)
    ¥5,000~¥5,999 -

2017/03訪問 2017/03/27

始まりから終わりまですべて、「ちょうどええ。ちょうど良いでしょう」。其の弐

山武市・松尾

帰阪前夜。
「ウシマル」さんに二度目の訪問。

今回はどのような「ちょうどええ」になるのでしょう。

「ハマグリのグリル」。
めちゃめちゃジューシー。
オリーブの風味が香る。
火傷するほど熱い。

「車海老と伊勢海老」。
半生に焼いただけ。
海老塩と共に。
野趣を感じる。

「土筆と生ハムと漬けた卵黄」。
このように聞こえたのです。
土筆はしゃきしゃき。
漬けた卵黄はもはや調味料。
こってりネチネチしていて、卵黄の濃厚な風味に
生ハムのコクのある塩味が溶けている。

「筍に平目のソース」。
筍って玉蜀黍の若いのに味が似ています。
魚系のポタージュを煮詰めたようなソースと
良く合います。

「椎茸となんとか貝」。
聞き取れませんでした。
チーズを焼き焦がしたものとグリルした
椎茸となんとか貝。
熱々をジューシーにいただく。
椎茸の旨味と貝の旨味がほどよく焼き詰められている。

「アンコウとあん肝、柚子胡椒のジャム」。
うん、アンコウって感じ。
ゴメンナサイ。アンコウには苦い思い出があって、
あまり良い印象がないのです。
あ、あん肝は大好物ですけれど。

「甲烏賊に烏賊墨と肝のパテ」。
これは辛かった。
何が辛味の元だったのだろう。

「甘鯛のソテー」。
松笠焼きのイタリアンバージョン。
皮目はぱりっぱりなのに、身はほどよい火入れ具合。

「カルパッチョ、ディルと山わさび」。
何の魚か聞き忘れました。
ディルっていわゆるピクルスの風味づけの香草ですが、
生でも嫌味のない風味で、カルパッチョに向いていますね。
山わさび。これはいわゆるホースラディッシュですが、
刻みたては辛味絶頂で、淡白な魚では辛味が引き立って
しまいますね。

「自家栽培の野菜サラダ、温かい大豆のドレッシング」。
これね、前回も書きましたが、
バケツ一杯食べられますね。

「ビーフとハンバーグと猪」。
すべてのお肉がそれぞれの持ち味豊かに、香り、歯ごたえる。
すれすれの塩梅で、熱が入っている。

「アンコウとパセリのパスタ」。
アンコウは訳あって苦手。
パセリと聞こえたが、ものすごく辛くてビックリ。
自家製のパスタはやはりモッチモチで、
不思議と満腹のお腹に収まってしまう。

「牛乳のシャーベット、ヨーグルト添え」。
本当にスッキリ、サッパリ。
これほどまでにタイムリーなデザートはないよ。

こんな感じで3h00m。
始まりから終わりまですべて、
「ちょうどええ。ちょうど良いでしょう」。

本当に、作り込んでいないのに、
素材の持ち味を損なわずに、昇華させているのですね。

こんなにも「美味しい!」と感動を得たのは二度目のことです。

「生きてるなぁ~」。

では。
山武市・松尾

帰阪前夜。
「ウシマル」さんに初めて訪問。

田舎道をひた走り、小道に逸れてちょっと奥へ。
このようなところにレストランが?
「あ、あった」。

お店に入るなり暖かな雰囲気と芳しい香り。

「自家製生ハムといも」。
もう、この時点で絶品です。
生ハムの熟成した味わいが喉の奥で香っていますよ。
いもも良い。おいしい。

「あかにし貝の自家製チーズ添え」。
これは明らかにエスカルゴをイメージした逸品。

「ヒイカとイカ墨のウィンナー」。
ヒイカがしゃっきりと火通しされ、イカワタのソースと合う。
ウィンナーもほどけるように柔らかく、味わい濃厚。

「鴨肉団子のスープ、芹とともに」。
旨み出汁濃厚。鴨肉団子がほろほろと崩れチーズと絡まる。
ネギではない芹の風味が口の中でスープに溶けて
至福の味わいをもたらす。

「ハマグリとロマネスコのソース」。
ハマグリから出汁がじゅわっと溢れ出す。
ロマネスコとオリーブオイルが若干の苦みを添えて、
海の出汁に奥深さを与えている。

このソースを焼き立てのフォカッチャにからめつけて
食する。全身が震えだしそう。

「贋造ヒラメのパイ包み」。
外サク、中もっちりのパイ。
そこに包まれるのは、ジューシーなヒラメ。
ニンニクの風味をまとって、じゅわっと口中に拡がり、
喉に落ちてゆく。

「野菜に温かい大豆のソース」。
これ、ほんとうにバケツで食べられますよ。

「ジャージー牛、キングポーク、小鴨」。
すべてのお肉がそれぞれの持ち味豊かに、香り、歯ごたえる。
すれすれの塩梅で、熱が入っている。

「自家製パスタ、パルミジャーノ」。
ここにきてもっちもちのパスタ。
バターとニンニクで炒めただけ。
これが不思議と旨い。
いくらでも食べられそう。
直前までお腹一杯だったのに。

「おお、そうか」。
あのお肉たちの残像が、この何も無いパスタに
絡まりついている。
「時間差でスパゲッティと具を合わせているのか」!

「牛乳のシャーベット、ヨーグルト添え」。
本当にスッキリ、サッパリ。
これほどまでにタイムリーなデザートはないよ。

こんな感じで2h30m。
始まりから終わりまですべて、
「ちょうどええ。ちょうど良いでしょう」。

本当に、作り込んでいないのに、
素材の持ち味を損なわずに、昇華させているのですね。

こんなにも「美味しい!」と感動を得たのは久しぶりのことです。

「生きてるなぁ~」。

では。

  • 土筆と生ハムと漬けた卵黄
  • 筍に平目のソース
  • 甘鯛のソテー

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3位

望洋樓 (三国港 / 料理旅館、かに、日本料理)

2回

  • 夜の点数: 4.5

    • [ 料理・味 4.5
    • | サービス 4.5
    • | 雰囲気 4.5
    • | CP 4.0
    • | 酒・ドリンク - ]
  • 使った金額(1人)
    - -

2019/05訪問 2019/06/02

福井生まれであることが、尚更誇らしい。まさに愉悦のひととき②。

福井・三国

改元の記念に「望洋楼」に行きました。

福井産まれの自分にとって、今まで経験した中で最高・最良の旅館です。

ゆっくりと温泉に浸かり、日頃の疲れを癒し、
お腹を減らせたところで、びっくり仰天の豪華な食材をふんだんに用いた
料理が運ばれてくる。

非日常の極致です。

その味は申すまでもなく、最上。

材料の持つそのもの自体の味を更に高める、手を加えすぎない調理。

前回の投稿でも書きましたが、
「福井生まれであることが、尚更誇らしい。まさに愉悦のひととき」。

何度でも伺いたい旅館です。

では。
三国

週末を利用して福井へ旅行。

丸岡城、東尋坊、三国の街と巡り、
海鮮や地元の甘味を堪能しました。

お宿は「望洋楼」さん。

各地に泊まってみたいお宿があり、
福井ではこちらでした。

数年来の願いが現実に。

三国の街から東尋坊へ向かう道途中にあり、
海岸に位置しています。

部屋に入るなり、眼前に日本海の水平線が。

早速一風呂浴びます。
三国海岸のまだ冷たい春の潮風を上半身に浴びながら、
少し熱めの掛け流しに浸かる。
水平線に迫りつつある西日が眩しいです。

そして夕食。

カニ身と甘エビのお寿司から始まり、
カレイの子、うるいとホタルイカの出汁ジュレがけ、
新鮮な魚介のお刺身、カレイと筍焼き物、
春野菜の花山椒しゃぶしゃぶと立て続きに春の味覚で
攻めてきます。

どれもあっさりと仕上げられ、重くなく、ゆったりと味わいながら
箸を進めることができます。

特においしかったのは春野菜の花山椒しゃぶしゃぶ。
芽の伸びたたらの芽とセリなどの春野菜を
花山椒がたっぶりはいった出汁にくぐらせていただく
たいへん乙な一品。
しゃっきりとして、滋味が深く、舌の上にぴりりと刺激を残しつつ、
じんわりと苦味を残します。

「これはたまらない。春の命のほろ苦さだ」。

そんな愉悦の時を過ごしていると、
太陽がまさに水平線に沈まんとしているではないですか。

「これを見るのは生まれて初めてだ」。
記憶している限り、確かに初めてのこと。

三国に来てよかった。

立ち寄ったところ、食べたもの、
そして今宵のお宿。

「すべて大満足」。

福井生まれであることが、さらに誇らしくなりました。

では。

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4位

弥助 (宿院、大小路、寺地町 / 寿司)

1回

  • 昼の点数: 4.2

    • [ 料理・味 4.2
    • | サービス 4.2
    • | 雰囲気 4.2
    • | CP 4.2
    • | 酒・ドリンク - ]
  • 使った金額(1人)
    - -

2017/11訪問 2020/09/12

ちょうど良い塩梅で腹八分。「おいしいこと限りなし」。

堺・宿院

最近は京都に食べに出かけることを控えて、
食べるなら近くを旨としています。

きっかけは大阪で旨い日本料理を食べたことと、
単なる出不精。

今日は堺の寿司屋、「弥助」さん。
宿院の交差点から至近の立地で駐車場も広い。

昼のおまかせをいただきます。
説明では料理数品と寿司とのこと。

まずは料理。
夜のおまかせのようなつまみではなく、
しっかりとしたお料理が出されます。
「松葉ガニの出汁ジュレがけ」、
「クエ鍋」、
「八寸(シラス、湯葉、ほうれん草)」、
「蕪 柚子味噌がけ」
どのお料理も出汁の味が控えめですっきりと仕上げられています。
柑橘が香ったり、昆布出汁が含まされていて、じんわりと味わえる。

「おいしいこと限りなし」。

そして寿司。
のどぐろ炙り、
帆立、
鮪トロ、
海老、
鮪ヅケ、
スミ烏賊、
春子、
アナゴ、
イナリ、
玉子焼き

これで一通り、
追加で、
小鰭。

ちょうど良い塩梅で腹八分。
「おいしいこと限りなし」。

これは夜に来たら楽しめそうだ。
純米大吟醸などいらないから、香る雄町で
しっぽりやりたい。

さて、いつ来ようか。

では。

  • のどぐろ炙り
  • 蕪 柚味噌
  • 鮪トロ

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5位

レストラン タケウチ (東舞鶴 / フレンチ)

3回

  • 昼の点数: 4.0

    • [ 料理・味 4.0
    • | サービス 4.5
    • | 雰囲気 4.5
    • | CP 4.5
    • | 酒・ドリンク - ]
  • 使った金額(1人)
    - ¥3,000~¥3,999

2023/12訪問 2024/01/08

「料理が輝いている」

京都・東舞鶴

2023年末に伺いました。

蕪が美味しい季節。こちらの蕪食べたいなーと思っていました。
魚料理で出てきました!

メインとなる魚、肉の調理も申し分ないですが、野菜の調理が
秀逸です。ソース、ムース、果実の扱いも驚くほど。
作り込まれた味が、「美味しい」という一言に結実される。
本当に言葉になって口から出てしまいます。
「美味しいなぁ」

私は、このお店がなんとも好きで、我が子が生まれる前から幾度も
伺っているのですが、伺うたびに新たな感動があります。
「料理が輝いている」
美味しいだけじゃないんです。
創意、工夫、そして想いを感じるのです。

生きること、その源を感じる料理。
エネルギーをもらうことができる。
毎度のことです。

妻とは結婚して15年。
記念日を忘れていて、何も伝えていなかった。
「私はあなたと居てとても幸せなんだ」

随分と遅くなったけれど、伝えることができました。

では。
京都・東舞鶴

6年ぶり2度目の「タケウチ」さん。
前回は娘が生まれる直前に伺いました。
娘は今、6才です。
娘はもちろん、2才の息子もはじめて訪問。

食後の感想は、初めての時と同じ。
つまり、以下のとおり。

“静かで、やさしい時間。
店内に差し込む光も、器の形も、
総てがやさしさに包まれているような、そんなお店。”

“静謐で、生命の誕生に相応しい、
見事な料理を味合わせてくれる。”

“植物と動物の命を食す。
人が活きる源泉。”

娘は天然酵母でおこしたパンを何回もお代わりしていました。
息子もしかり。

魚はヒラメのポワレ。
エシャロットのブールブランソースが素材の全てにベストマッチ。
普段はあまり好まないトマトも美味しくいただけました。

お肉は黒毛和牛のロースト。
マデラ酒とマスタードのソース。
あらゆる根菜と一緒にいただきます。
「あ〜。根菜ってなんとうまいものなんだろう」。
まさに旨さの根源ですね。

本日のお料理で抱いた一番の感想は、
「永遠に食べていられそう」。
本当にそう思いました。

「命を養う料理ですね」。

外は秋霖の最終期です。

では。
妻とはいろいろな所で食事をしています。

我が子が産まれる直前に、「タケウチ」さんへ行きました。

産前帰省している妻に逢うため、大阪から福知山まで、
何往復したかわかりません。

お腹が大きくなるたびに、喜ぶのと不安になるのと…。

臨月を迎えた妻と舞鶴の「軍港」を見に行きました。
このあたりの人は未だに「軍港」と呼びますね。

そして、「タケウチ」さんへおもむいたのです。

ご家族で切り盛りしている風のお店。

静かで、やさしい時間。
店内に差し込む光も、器の形も、
総てがやさしさに包まれているような、そんなお店。

お料理も全部、「やさしいお味」。

今も、思うのです。このお店に来て、

優しい気持ちになれた、
不安がなくなった、と。

そして、我が子が優しく育ってくれている。

静謐で、生命の誕生に相応しい、
見事な料理を味合わせてくれる。

そんなお店。

植物と動物の命を食す。
人が活きる源泉。

では。


  • (説明なし)
  • 平目のポワレ、ブールブランソース
  • 黒毛和牛のロースト、マデラ酒とマスタードのソース

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6位

レストラン フィーネ (三国ケ丘、百舌鳥八幡 / フレンチ)

1回

  • 昼の点数: 4.7

    • [ 料理・味 4.7
    • | サービス 4.7
    • | 雰囲気 4.7
    • | CP 4.8
    • | 酒・ドリンク - ]
  • 使った金額(1人)
    - ¥1,000~¥1,999

2017/07訪問 2017/07/29

感性と感覚が、常人の考え得るところを超越しているとしか言いようがない。

平成29年7月再訪

週末の家族ランチ。
久しぶりの「fi-ne」さん。

どれもこれもおいしい。
仔羊のローストはべらぼうに美味しかったです。

レンズ豆のスープも程よく塩味が効いていて、
甘みとの連携が丁度よく、ふくよかですっきり。

いつ伺っても驚きと、感動がありますね。

本日、息子がお子様ランチデビュー。
娘のお子様ランチデビューもこちらです。

 ーーーーーーーー

平成28年3月再訪

週末の家族ランチ。
いつもの「fi-ne」さん。

どれもこれもおいしい。
昼食とは言え、このお値段で、これだけのものを。

まったく、驚きです。

 ーーーーーーーー

平成27年12月再訪

四人家族になって初めての「fi-ne」さん。

鯛のマリネには洋ナシやナッツを用いた不思議なソース。
実に深い、チャレンジャー海淵の如く深い味わい。

スープはカリフラワー、那須、インゲンを用いたポタージュ。
実に豊かな、七福神の宝船の如く豊かな味わい。

イベリコ豚のタンの煮込み。
実に複雑な、カンディンスキーの抽象絵画の如く複雑な味わい。

本当に美味しい。

今回も一言。

「感性と感覚が、常人の考え得るところを超越しているとしか言いようがない」。

 ーーーーーーーー

2015年7月再訪

堺にて、急に思い立って伺いました。
本日は初めて娘を連れていきます。

前菜は「自家製オイルサーディン」を用いたパイ包み。
アボカド、ナスと一緒に包まれ、トマトのソースに浸る。
今回の料理も感覚にうったえるもの。様々な感触が備わる。

嫁さんの前菜を一口いただく。
「シマアジと水ナスのミルフィーユ仕立て」。
複雑でいて明瞭。
味と食感が複数種混ざり合いながら、只々「おいしい」。

メインは「BBCポーク」。
マスタードと粉チーズが混ざり合い、表面はパン粉が香ばしく、
スパイシーなスープに浸って、これまた様々の食感が複合する。

デザートは「桃のコンポート」。
ジャスミンのシャーベットと何かのアイスが添えられて、
本当に、今まで食べたことがない味わい。
「こんなにうまいデザート、食べたことがない」。
家の近所の有名なケーキ店でも、こんなにおいしいものはありません。

なんだろう。おいしいものを作ることは、凡人では無理なのか。
「非凡な才能と努力の結実なのだろうな」。

今回も一言。

「感性と感覚が、常人の考え得るところを超越しているとしか言いようがない」。

では。

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2015年6月再訪

「fi-ne」さんに再び。
本日はカウンター席ではなく、テーブル席に。
前菜は「鮎のパテとカンパチのカルパッチョ」。

鮎が「香魚」と呼ばれる由縁がはっきりと感じられました。
とてもいい風味です。
鮎とバジルのソース、刺身とケッパー&オリーブオイルのソース。
どれをとっても絶妙にマッチしています。

メインは「但馬鶏のフリカッセ ストロガノフ猟師風」。
なんなんだこれは。香ばしくもあり、優しくもあり、舌に刺激もあり。
様々の食感、食味が入り混じっている。
感嘆の味。

フランス料理の奥の深さを感じ入りました。

このお店のシェフは、いったいどんな感性の持ち主なのでしょう。
感服。

マスカルポーネとマカダミアナッツのグラッセ。
渾然一体の極致。
二つの非なるものが交わって、ここまで止揚されるものなのか。

これはシェフが作ったものなのか。
だとしたら、感性と感覚が、常人の考え得るところを超越しているとしか
言いようがない。

たまのデートが良いものになりました。

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2015年4月

堺、三国ヶ丘

摂河泉の境目。
「fi-ne」さん。
以前から行ってみたいと思っていました。

GW前の振り替え休日。
平日なので、娘を幼稚園に送った後、
ゆっくりと出発。

子供連れは何かと気を遣うもの。
本日は気兼ねないゆっくりランチができそうです。

嫁さんと二人、前菜とメインを別々にして、分け合うことに。

前菜はつぶ貝を赤ワインソースで煮込んだものと、野菜と魚のカルパッチョ風。
赤ワインのソースがなんとも深い味わい。そこに歯ごたえの軽いつぶ貝が絶妙に合います。

野菜は色とりどりのものが幾層にも重なり、それぞれの層に別の味付けがあり、
食味も様々。野菜の持つ酸味と甘みが薄切りの魚によく絡まる。

「おいしいね」。
ここで人心地つく。
たまのデートが良いものになりそうだ。

ヴィーツのスープ。
独特の風味。やさしい舌触りの中に、ピリッと主張する酸味。
ヴィーツの持つ鮮烈な味と色を、クリームが抑えてまろやかに。
これぞスープのマジックですね。

スズキのグリエ。
なんともやさしい色合いとやわらかさ。
いささかの角もなく、見た目も味もすべてが「まあるい」。
ソフトフォーカスのような優しさ。

ポーク。
料理名はひかえなかったですが、このような食感は初めて。
もともと柔らかいお肉が鳥のスープに浸って、じんわりと柔らかく、
表面はパン粉が焼かれてパリッと仕上がっています。
口の中でそれらが重なり、えも言われぬ食感に。
塩味が効いて肉脂によく合う。

「おいしいね」。

最後にデザート。見た目より量もしっかりとあります。
ライチのババロア。
クリームブリュレ。
フルーツの甘さとお菓子の甘さ。
渾然と溶け合う。嫌味のない甘さですね。

「おいしいね」。

たまのデートが良いものになりました。

では。

  • 鰹のタルタル
  • 小鴨
  • ヴィーツのポタージュ

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7位

天ぷら 松 (松尾大社、嵐山(阪急) / 天ぷら、日本料理)

1回

  • 昼の点数: 4.2

    • [ 料理・味 4.2
    • | サービス 4.2
    • | 雰囲気 4.2
    • | CP 4.5
    • | 酒・ドリンク - ]
  • 使った金額(1人)
    - -

2017/07訪問 2017/07/01

毎月来たいわ。

京都・嵐山

新たな良店を発見しました。
「天ぷら 松」さん。

斬新、大胆。進取がすでに伝統となっている。
ひとつひとつに面白みと驚きがある。
そして肩ひじ張らない気安さもある。
家族や友人と寛ぎたい。

・トウモロコシのすりながし
 やさしい甘さで喉奥に沁みる。出汁の香りにわずかにショウガが利いている。

・グジとスナップエンドウのフリッター
 天ぷらというよりフリッター。皮目を揚げた松かさがパリパリで甘い。
 グジのエキスがふんだんに閉じ込められ、口中に拡がる。

・刺身(甘海老、鯛、ヨコワ)
 冷たくないのがうれしい。刺身をキンキンに冷やさないで
 常温に近いくらいで身の甘さを際立たせている。 

・椀物(新わかめ、鯛、大根)
 ショウガをきかせた出汁。新わかめのとろみで舌触りが良い。
 鯛がこれでもかとその身の風味を主張するも、ショウガがそれをうまく
 抑えている。大根が違う出汁で炊かれていてほくほくで旨い。

・鮎の蒸し飯(鮎の子を蓼酢につけたもの)
 香魚を味わわせる仕掛け。鮎の身を混ぜ込んだ蒸し飯の上に
 蓼ソースをかけた鮎の身が乗り、口当たりと舌触りも面白く、
 何より味わいが深い。 

・汲み上げ豆腐に桜海老のソース
 これは驚愕。桜海老の独自の味わいが汲み上げ豆腐に溶けて、
 グラタンのようなクリーミーな味に。絶品。とても旨い。
 濃く、深く、拡がりのある味。 

・天ぷら(鰆、薩摩芋、新蓮根、茄子)
 本当にそれぞれの味が閉じ込められている。
 噛むと凝縮された旨味がほとばしる。

・山かけ素麺
 揚げ物の後にうれしい〆。
 
・わらび餅
 黒蜜ときな粉の風味がやさしく舌に踊る。

全体的に、とても奇抜。
でも丁度良い味にまとめ、安心して食べることができ、
寛いでいただける。

とても良いお店をみつけた。
とっても寛げ、感動があり、適度に驚く。

毎月来たいわ。

では。


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  • (説明なし)
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8位

新中国料理 HARAKAWA 堺本店 (光明池、栂・美木多 / 中華料理、飲茶・点心、創作料理)

1回

  • 昼の点数: 4.1

    • [ 料理・味 4.1
    • | サービス 4.1
    • | 雰囲気 4.1
    • | CP 4.1
    • | 酒・ドリンク - ]
  • 使った金額(1人)
    - ¥3,000~¥3,999

2017/08訪問 2017/08/06

この店の味。何ものにも邪魔されず、しばらくお口の中に残しておきたい。

・前菜は一品一品丁寧に作られ、甘酸っぱい味付けで食欲を増進。
・餃子は皮が厚く、風味豊かなタネから肉汁がしたたる。八角を効かせたラー油と共に。
平成29年8月再訪

8月3日に購入した新しいレンズをもって再訪。
憧れの35㎜。
どんな風に写るのだろう。

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平成28年1月再訪

久しぶりに「新中国料理HARAKAWA」さんへ。
店内がリニューアルされて、個室を中心とした設えに。

前菜は、それぞれの食材を一点づつ丁寧に仕込んだもの。
アナゴの肝の煮付けなど珍しい食材が中華の調味で花開く。

蕪のとろみスープなどはふんわりと優しいお味。
こうやって、前菜からスープへと胃の調子を上げていく。

点心は大根餅。
神戸の中華街で食べ歩く「あの味」。
カリッとした一噛みから、えも言われぬもっちり感へ。

海老のオイスターソース炒め、鶏の香味ダレ、
家族で分け分けしていただく嬉しさ。

ご飯はお代わり自由とのことだが、
ここは控えめにしておきたい。

満腹になると、食後の充実した食味感が、どうでもよい満腹感に阻害されてしまうからだ!

この店の味。何ものにも邪魔されず、しばらくお口の中に残しておきたい。

「たいへんおいしいじゃないか!」。

さて、今日はこれから「パンジョ」に行こう。
実際行くのは高島屋だけれど、パンジョと言ってしまう。

では。

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平成26年11月訪問

「だんぜん、おすすめ」

堺・泉南のおいしい中華のお店。その壱です。

「新中国料理HARAKAWA」さん。

中華料理が好きで何件かのお店をローテーションしています。
どのお店もランチが充実していてリーズナブル。
だんぜん、ランチ利用が多いです。

その中でも、こちらは前菜からデザートまでが充実のお店。
だんぜん、行き甲斐のあるお店。

席につくなり供されるジャスミン茶。
一口目からおいしい。
料理が進む中、ポットの中身が少なくなれば、
替わりがいくらでも出て来ます。
だんぜん、サスティナブルな茶接待。

家庭では味わう事の出来ない、中華野菜や調味料。
それらに適度に熱を加え、最良の状態で供していただける。
だんぜん、口福。

そんなお店が、大阪の繁華街ではなく、
光明池にあるという。
家からも近し。

だんぜん、リピート率高し。

では。

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9位

リストランテ ハナタニ (三宮(神戸市営)、三ノ宮(JR)、神戸三宮(阪急) / イタリアン、ワインバー、パスタ)

1回

  • 昼の点数: 3.7

    • [ 料理・味 3.7
    • | サービス 3.8
    • | 雰囲気 3.8
    • | CP 3.0
    • | 酒・ドリンク - ]
  • 使った金額(1人)
    - ¥3,000~¥3,999

2017/12訪問 2017/12/29

やがて、煙に煙るころ、生きたお店になっていく。

師走・神戸

「ハナタニ」さん。
とても綺麗なお店。
雰囲気があります。

帽子を被ったイタリア紳士がはじっこの席でワインを
飲んでいそう。

奥の部屋にはドン・コルリオーネ氏。
各界のえらもんさんが陳情に訪れる。
まるで映画のワンシーン。

さて、コース料理。
一つ一つはとってもおしゃれでちんまりしています。
でも、合間に供されるパンが美味しくて、お腹も適度に満たされていく。

お料理の品々は味がしっかりとした主役級揃い。
「どれも美味しい」。

塩味の塩梅を大切にする料理の姿勢。
素材の味を損なわない。

くせのある食材も、アイデアで上手く調味する。
くせを持ち味に昇華させるのは料理する人の感性ですね。

「もっと雑でも俺は満足だぜ」。
もっと匂って、もっと刺激的でも、
お酒で流せば、満足できる。

新しいお店。やがて、煙に煙るころ、
味わいのあるお店になって、通う人々の時々の感情が積層して、
生きたお店になっていくのでしょうね。

「それが楽しみ」。

では。

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10位

山玄茶 (祇園四条、三条京阪、三条 / 日本料理)

1回

  • 昼の点数: 3.2

    • [ 料理・味 3.2
    • | サービス 3.2
    • | 雰囲気 3.0
    • | CP 3.0
    • | 酒・ドリンク - ]
  • 使った金額(1人)
    - -

2017/07訪問 2017/07/24

私はまだまだ京都の料理の深さと広さを識り得ていない。

京都・祇園

祇園祭の時期に重なるため、一月ほど前に予約をしました。
「山玄茶」さん。

道路も混むと睨んでいましたが、どうやら杞憂でした。
とてもすいているし、市内も思ったより閑散としています。

正午スタート。
「緑茶」の冷茶から始まります。

「胡麻豆腐(雲丹、オクラ、車海老)」
胡麻豆腐のイメージから離れたもの。ぽん酢がすっきりと味をまとめています。

「煮物椀(鱧の葛団子、茄子)」
生姜の風味がとけています。
ただ、鱧は片栗を振って湯引きしたものが好み。
葛に包み込むことで、鱧のくさみがダイレクトに伝わってしまう。
あのクセは出汁に溶かした方が良いように思いました。

「向付」はイタリアンのような一品。
マスタードが意外なほど主張が強く、山葵が見えてこないほど。
シマアジ、鯛、蛸、烏賊など淡泊な味わいを持つ刺身が、
ドレッシングに勝てる訳もなかった。

「鰻の笹ちまき」
鰻と笹は合わないと実感しました。

「稚鮎」
生姜醤油焼きに。
香魚の本領を発揮しています。
パリッと生姜醤油焼きにして尚、
味わいが豊か。

「八寸」
スモークサーモン、白身魚の南蛮漬け、薩摩芋の甘露、クリームチーズの卵焼き、
枝豆、鯖寿司、お浸し、胡麻白和え

「揚げ物」
アスパラ、トウモロコシ、湯葉巾着
おろしぽん酢と山葵塩で。
今年のトウモロコシは甘いなぁ。

「炊き合わせ」
鴨団子、冬瓜、麩
生姜を溶かしたお出汁。
割と甘めの出汁に生姜が強く利いています。

「白米、シラスご飯、卵かけご飯」
近江のコシヒカリを柔らかく炊いたご飯。
シラスは釜茹でにしてから酒と山椒と小一時間炊いたもの。
ご飯が柔らかすぎて、香りが立ってこない。
お米を炊くのは本当に難しいです。
卵が強いので、柔いご飯を団子状にまとめてしまって、
口の中でサラッとほどけないのは残念です。

期待が大きかっただけに、
これはどうなのかと思うことが多かったのは事実です。
椀物のお椀がプラスチックだったことで、大分と気分が阻喪されました。

では。

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