voke-teenさんのマイ★ベストレストラン 2017

フレンチ時々沖縄そば

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マイ★ベストレストラン

レビュアーの皆様一人ひとりが対象期間に訪れ心に残ったレストランを、
1位から10位までランキング付けした「マイ★ベストレストラン」を公開中!

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海外は対象外なので選出できませんでしたが、12月に訪れたリヨンのダニエル・エ・ドゥーニーズには感動しました。リヨンでは、つい伝統料理に走ってしまいがちですが、評判の高い料理人が作る「今の料理」が楽しいと気づかされました。

マイ★ベストレストラン

1位

マッシュルーム (恵比寿、代官山、中目黒 / フレンチ)

68回

  • 夜の点数: 5.0

    • [ 料理・味 5.0
    • | サービス 5.0
    • | 雰囲気 5.0
    • | CP 5.0
    • | 酒・ドリンク 5.0 ]
  • 昼の点数: 5.0

    • [ 料理・味 5.0
    • | サービス 5.0
    • | 雰囲気 5.0
    • | CP 5.0
    • | 酒・ドリンク 5.0 ]
  • 使った金額(1人)
    ¥15,000~¥19,999 ¥15,000~¥19,999

2024/03訪問 2024/04/07

もうすぐ31周年

3月になってようやく始まりました。この店の冬から春にかけてのスペシャリテ、猪バラ肉の煮込み 牛蒡のソースです。

前菜1:藤本氏のブリのカルパッチョ ハナビラタケ添え 京都実山椒ドレッシング
今治の漁師、藤本さんが釣ってきた神経締めのブリは、旨味がもの凄い。その辺で売られているブリとは全く違う。添えられた瀬戸内タコの吸盤が楽しい。

前菜2:ロワール産ホワイトアスパラガス ラヴィゴットソース ニセコの生ハムと紅花卵のポーチドエッグ添え
春を感じる食材、極太のホワイトアスパラガス。生ハムの塩気で食べるアスパラが味わい深い。

白のグラスワインは、新しく仕入れたというアルザスの自然派エデルツヴィッカー。
2022 Melting Potes Edelzwicker /Camille Braun
ピノブラン、シルヴァーナー、リースリング、シャスラ、ゲヴルツトラミネールのブレンドで、ピノブランの比率が高いというが、ゲヴルツの香りが支配的。酸は柔らかめで、カルパッチョやホワイトアスパラにぴったりでした。

主菜:岡山産猪バラ肉の煮込み 牛蒡のソース 黒トランペット茸添え
ジビエが苦手な私でも、毎年楽しみにしている猪バラ肉煮込み。箱罠獲りの猪肉を煮込んで軽く燻製をかけた上、大地の香り高い牛蒡のソースが加わり、獣臭さは微塵もない。やっぱり猪は脂身が美味しいのを再確認。ソースがトランペット茸によく絡む。味変アイテムの黒胡椒ムースはパンにも良く合う。

ワインは猪に合わせて、
1991 Reserve de la Comtesse
レゼルヴ ド ラ コンテス。メドック格付け2級のシャトー ピション ロングヴィユ コンテス ド ラランド、通称ピションラランドのセカンドワイン。ヴィンテージは、なんと1980~90年代の20年間で最悪の年と言われた1991年!季節外れの遅霜で新芽が壊滅、収穫も遅れて雨季にずれ込み、多くのシャトーがワイン作りを諦めた年だ。ピションラランドも例外ではなく、収量減少の中、多くの樽がセカンドに落とされた…が。当時の人は、30年以上経って、これほどのワインになるとは思わなかったんだろうね。見事な熟成感と生きた酸の調和。けぶるような熟成香。これはセカンドワインじゃない、ピションラランドだよ。

さて、4月で31周年です。大偉業達成ですが、シェフの手腕も支配人のサービスも、ますます楽しみな店です。
冬の食材が美味しいです。モリーユもお目見えしました。

冷前菜:フォアグラと伊予美人のテリーヌ トリュフソース
伊予美人は愛媛特産の里芋で、霜に弱い里芋にしては珍しく冬を越えて春先まで収穫できる。粘り強くて甘味とコクがあり、フォアグラとの組み合わせに負けていない。2種の食材の硬さと甘さがシンクロした稀有なテリーヌ。

温前菜:クロムツのポワレ 青海苔のクリームソース ハナビラタケとモリーユ添え
冬が旬の高級魚クロムツが登場。身はホロホロとして程よい脂と旨味があります。通常のハナビラタケに加えてモリーユも添えてくれました。モリーユはクリーム系のソースとの相性が抜群に良い。春キノコのイメージがあるモリーユですが、今の季節はチベット産の栽培物がとても品質が良いとのこと。

主菜:マグレ鴨とキノコのロースト 舞茸ソース 栃木県産無農薬ネギを添えて
支配人の甥御さんが無農薬栽培しているネギは、その名も「夏扇パワー」で、太くて焼くと甘味が強い。「カモがネギしょって」の言葉どおり鴨肉との相性は抜群で、舞茸ソースを吸ってさらに美味しい。フレンチの鴨の付け合わせにネギというのもいいね!

チーズは北海道産のミモレットとウォッシュチーズ、そして熟成したサントモールでワインを消費。デザートはフレッシュチーズのムース(クレメダンジュ)がさっぱりとしていて美味でした。

ワインは、
2018 Dundee Hills Pinot Noir Cuvee Guardian /Yoshiji Coyote Sato
元ワインジャーナリストの佐藤吉司氏がオレゴンのジアイリーヴィンヤードで研修中に2018〜2020年の3ヴィンテージのみ作ったワイン。ジアイリーは1975年、ゴエミヨ主催のブラインドテイスティング「ワインオリンピック」のピノノワール部門で並みいる高級ブルゴーニュを抜いてトップ10に入賞し、オレゴンの名を世界に知らしめた実績がある。わけてもダンディヒルズの評価は折り紙付きで、実際このキュベ・ガーディアンもブルゴーニュ好きを唸らせる品質を持つが、何にせよマニアックなワインには違いない。有名な銘柄のワインではなく、本当に飲む価値のあるワインを置くという店の気概を感じる。いつか、佐藤氏が長野県富士見町で造るワインがオンリストする日が来るのかもしれない。

2月の中旬で、冬のスペシャリテである猪の煮込みは、いまだオンリストせず…今冬は無しかな?


冷やし中華じゃないですが。
6月半ばから、この店のスペシャリテ「鮎と夏トリュフのムース」が始まっています。

冷前菜:鮎と夏トリュフのムース フィレのソテーバジルソース ミントで和えた桃を添えて
今年の鮎は山梨県桂川産。サマートリュフの柔らかな香りがムースにした鮎と絶妙にマッチしています。身、内臓、骨から取ったフォンすべてを使ったムース。毎年の楽しみです。

鮎に合わせてサンセールをグラスで。
2021 Sancerre Blanc La Plante Froide /Dom. du Nozay
ドメーヌ デュ ノゼはロマネコンティの所有者であるオベール ド ヴィレーヌの妹夫婦が興したワイナリーであり、現当主は次男(オベールの甥っ子)が務めている。サンセールにしては繊細で柔らか。白桃の香り。ラ プラント フロワードは区画名であり、そういう所もなんだかブルゴーニュ風。鮎ムースに合わせるにはギリギリ耐えられるいったところ。

温前菜:マナガツオのポワレ 青海苔ソース
西の魚というイメージが強いマナガツオ。鮮魚のポワレは真鯛や黒鯛の日が多いが、マナガツオの時は見逃さずに頼むようにしている。火を通すと真価を発揮するマナガツオはフレンチと相性がいい。もちろん青海苔のクリームソースとも。

キノコのソテー
形の良いセップが届いたというのでオーダー。この大きさならカットせずにそのまま焼きたい気持ちが分かる。香りも絶品でした。

メイン:牛ほほ肉の赤ワイン煮込み
夏こそ煮込みがおすすめ。酸味が効いて食欲をそそる赤ワイン煮込みは、口の中でホロホロと崩れて胃にも優しい。原木椎茸や舞茸も旨し。

フロマージュはお任せで熟成トムドサヴォア、栃木森のチーズ、サントモール。デザートは岡山草苺のソルベでした。

ワインは、
2013 Chateau Malescot St. Exupery
メドック3級のシャトー マレスコ サン=テグジュペリ。10年を経て熟成感があり、今まさに飲み頃。久しぶりに嗅ぐけぶるような熟成香がたまらない。これは格付けワインならでは。ちなみにサン=テグジュペリの名があるのは、「星の王子様」の著者の曽祖父がシャトーを所有していたことによる。まぁ、マルゴー村っつったらシャトーマルゴーなので、3級とはいえマニアックなワインである。名前長くて舌噛みそうだし。なお、エチケットに書かれたSemper ad altumは「常に高みへ」の意味。格好いいね。

夏キノコのスター、タマゴタケもそろそろ入荷しそうです。



そろそろ人間ドックなので、ヘルシーなフレンチを食べに来てみました。

冷前菜:季節野菜と帆立貝のテリーヌ
モザイク模様を織りなす野菜がぎっしり詰まっていて、しかもホタテはローカロリー&低糖質。添えられたカンゾウタケが嬉しい。

温前菜:キノコのブイヨンスープ
色々キノコがふんだんの具沢山スープ。太る要素なし!

主菜:真鯛のポワレ 青海苔のソース 山菜とハナビラタケ添え
いつも前菜で食べている鮮魚のポワレを、今回はメインでチョイス。背身、腹身、尾の身など藤本氏による神経締めの真鯛を思いっきり堪能しました。ソースにはクリームが入っているけど、まぁこれくらいなら無問題。

ワインは、
2019 Rully 1er Cru Blanc Rabource /Dom. de Villaine
2018が初ヴィンテージの、ヴィレーヌのリュリー。畑は1級のラブルセ。ヴィレーヌは、言わずと知れたロマネコンティの共同所有者で、コートシャロネーズで「家庭用ロマネコンティ」を作っていたが、最近リュリー村の畑を幾つか購入したらしい。モンラッシェを彷彿とさせるスケールの大きさ。DRCと同じ収穫を遅らせることによる熟したニュアンス。

翌日、体重は500グラム減っていた…恐るべし、キノコデトックス!

誰かが言った。
「10年続く店は偉大。20年続く店は恐るべし。30年続く店は歴史」

ついに歴史となる扉を開いたレストランマッシュルーム。4月13日で30周年を迎えました。

30周年記念パーティの熱も冷めやらぬ週末、供出されたグラスシャンパンはドラピエのマグナム。レギュラーボトルとは異なる熟成をするマグナムボトルに、ランチタイムは2杯目を頼む客が多かったそうな。

アミューズ:エノキダケと胡麻と葱のキッシュ
シャンパンに良く合いました^ ^

前菜1:今治藤本氏の神経締めカツオのカルパッチョ ラヴィゴットソース ハナビラタケとカンゾウタケ添え
丁寧に手当てされたカツオは、生臭さが一切感じられない。カツオに合わせて生姜を効かせたラヴィゴットソースがバッチリ合いました。カンゾウタケは、モリーユが終わる頃から出回り始めるキノコ。流れ出る肉汁(?)といい、歯ごたえといい、かなり肉っぽいのですが、味は酸味があってレバーっぽさはカケラもありませんw

前菜2:ロワール産ホワイトアスパラガス 紅花卵のポーチドエッグとシャルキュトリ赤石の生ハム添え
3月と比べて格段に太くなったホワイトアスパラは、今がまさにシーズン。瀬戸内レモンのソースでさっぱりといただけました。

主菜:愛媛産 媛っこ地鶏とキノコのロースト ガルムソース
大好きな地鶏のロースト。イタリアの魚醤ガルムを使ったソースによって肉の旨味が倍増します。この日はジューシーな腿肉に加えてハツが添えられていてラッキーでした。山菜のコシアブラが春らしい。

ワインは、 
2021 Alsace Les Vignes du Precheur /Weinbach
アルザス随一の作り手ヴァインバックのお手頃ワインがオンリスト。特級畑ケフェルコプフのふもとのプレシュール(伝道師)という名の区画から収穫された5種類のブドウの混醸ワイン。ただし、エデルツヴィッガーではないらしい。リースリング40%、ピノブラン30%、ピノグリ20%、ミュスカ5%、シルヴァーナー5%で、リースリングが支配的。ヴァインバックらしいピュアで力強いワイン。

2018 Sonoma Coast Pinot Noir /Patz & Hall
リスト上にパッツ&ホールの名を見つけて、思わず懐かしい!と声をあげてしまった。90年代後半のワインブームを牽引した漫画ソムリエ。稲垣吾郎主演でドラマ化もされたが、それに出てきた数少ないカリフォルニアワインの作り手。シャルドネとピノノワールしか作らず、自社畑を持たずに高評価の畑から買い付けたブドウのみからワインを作るスタイルは今でも変わらない。フレンチオークの樽を使ったブルゴーニュの伝統的な醸造方法にこだわっているが、飲めばやはりカリフォルニアらしい濃さを感じる。もっとも、本家ブルゴーニュも最近は濃い作りが多いので、そういう意味では似ていると言える。

シェフの腕前、支配人の熟練したサービスは健在。30年目も楽しみな店です。


毎年楽しみにしている春のランチ。休日はほぼ満席。予約は必須です。

Bコース
・海老とキノコと季節野菜のフリチュール
春野菜にまじって山菜がチラホラ見えます。タラノメ、ニンニクの芽(中華のアレじゃないよ)、春エシャロット、茄子、ズッキーニ。プリプリの海老に、ハタケシメジや椎茸等のキノコ。サクサクでビールが欲しくなります。

・ヒラスズキのポワレ 青海苔ソース ハナビラタケのグリエ添え
この店のスペシャリテである青海苔ソースが大好きです。トロワグロのオゼイユソースを原型に、日本の食材でアレンジしたソース。プロの料理人が絶賛するそうな。スズキと異なり寒い季節が旬のヒラスズキは身がプリプリで、青海苔ソースに良く合いました。

・ナヴァラン
メインは春野菜を使ったナヴァラン・プランタニエール。蕪(ナヴェ)に、芽キャベツ、新じゃが、ズッキーニ。さらに分厚いヒラタケ。仔羊の脂がソースに溶け込んでたまらない。

デザートは生姜のアイスにルバーフのコンポートで、甘さ控えめの酸っぱいもので締めました。

ワインは、
Experience Blanc de Blancs Vertus Premier Cru /Andre Jacquart
アンドレ ジャカールのブランドブラン エクスペリエンスには、メニル シュル オジェ村のものと、ヴェルテュ村のものがあるが、これはヴェルテュ村の方。メニルのラベルが銀色であるのに対し、ヴェルテュは金色なので、ヴェルテュの方が上なのかな?実際、価格も若干高い。しっかりしたボディに、ブランドブランらしいエッジの効いた酸。グランクリュでなくても充分に高品質なシャンパーニュ。

さて、いよいよ30周年です。

春の食材であるホワイトアスパラとモリーユ(アミガサダケ)がお目見えしました。

アミューズ:カジキマグロとハナビラタケのカルパッチョ のれそれ添え
アミューズにカルパッチョが出ると嬉しい。何だか得した気分。寒い時期のカジキマグロは殊のほか美味しい。のれそれ(穴子の稚魚)は初めて食べましたが、なぜだか海原雄山の怒り顔が脳裏にチラつきます…

冷菜:ロワール産ホワイトアスパラガス 紅花卵のポーチドエッグとシャルキュトリ赤石の生ハム添え ラビゴットソース
フランスからホワイトアスパラが届き始めました。生ハムの塩気で食べるのが好きです。卵の黄身を絡めるのも良し。

温菜:牡蠣とモリーユのフリカッセ
今春の新作料理。牡蠣の旨味が溶け込んだホワイトソースがモリーユと絡み合って絶品でした。ソースはベシャメルではなく野菜のピュレを使ったサラッとした感じ。さらに牡蠣のピュレのせ。

主菜:横濱ビーフのポワレ セップソース
この店では初登場の横濱ビーフ。初めて食べました。餌にオカラ等を加えた「横濱ビーフA」を使い、神奈川県内の特定生産農家が育てた牛とのこと。腿肉でしたがサシが多め。噛みしめると脂がジュっと口の中に溢れるほど。若い人向けかな。セップソースは相変わらず素晴らしい。添えられたキノコはパイリング(白灵茹)を改良したタマシロノタケ(玉白茸)。

デザート:岡山産ヤマボウシのソルベ
岡山のマタギさんが天然キノコと一緒に野生の果物も採って送ってくれるらしい。ヤマボウシの果実はマンゴーのようと表現されますが、まあ、言われてみればそうかな… ヤマボウシは意外に街路樹としても使われているそうです。

ワインは、
2019 Chemin des Moines de Vergy /Gros Frere et Soeur
シュマン デ モワンヌ ド ヴェルジ。直訳でヴェルジ修道士の道。昔の航空写真により、かつてフィロキセラによって放棄された畑を見つけ、そこを購入して再開墾したとのこと。とはいえブルゴーニュのアペラシオンの外で、ワインとしてはVdF(テーブルワイン)扱いになる。インポーターの宣伝文句によればラターシュから500メートル上がった所だという。Googleマップを見ると、ラターシュから西側の斜面に上がる道は、いつしかヴォーヌロマネ村を離れてオーコードドニュイの村へと続いていくが、結局どの辺の畑なのかは分からずじまいでした。
ワインは濃厚かつパワフルで、グロ フルールらしさを感じる。2016年よりベルナールから継いだ息子のヴァンサンが醸造の指揮を取っているそうだが、2019については父親のワインに良く似ている。

来月4/13でいよいよ30周年です。
冬のスペシャリテである猪の煮込みが始まりました。ジビエが苦手な私も、これだけは毎年楽しみにしています。

・鮮魚とハナビラタケのカルパッチョ
この日は長崎産のスズキ。いつもの京都実山椒や瀬戸内レモンではなく、ラビゴットソース。ワインに合わせるにはこの方がいいですね。

・鮑のポワレ 行者ニンニクソース
贅沢な鮑のポワレ。真ん中に肝。安納芋のピュレが敷いてあります。鮑とアラゲキクラゲの食感の対比が面白い。

・岡山産猪の煮込み 牛蒡のソースと黒胡椒のムース
軽く燻製をかけて香ばしい、猪肉で最も高価なバラ肉の煮込み。大地の香り立ち上る牛蒡のソースがベストマッチ。黒胡椒のムースで味変も楽しめます。欧州では煮込みやスープに使うトランペット茸が添えられていました。日本でも採れるらしいのですが、国産は聞いたことないですね。

ワインは、
2019 Hermitage Les Diognieres /Laurent Fayolle
猪煮込みに合わせてエルミタージュを。レ ディオニエールは区画名で畑の中央部とのこと。樽のバニラ香が上手く溶け込んでいて高級感があります。若いのにタンニンがきめ細やかで滑らか。ローラン ファヨールは15のエルミタージュ所有者の中であまり有名な作り手ではないけど、まごうかたなき最上級のシラー。

今年の4月で、ついに30周年です。
11月いっぱいは、シェフの故郷愛媛のはだか麦フェア開催中です。

・季節野菜と帆立のテリーヌ
夏から始まった季節野菜のテリーヌは、秋野菜になっても継続中です。つくづくフランス料理らしい前菜。

・フォアグラのプリン マッシュルームとトリュフのソース
軽く2皿のコースのつもりが、抜栓したキュベ ボトリティスの具合が素晴らしかったので、急遽追加しました。甘口ワインとフォアグラの組み合わせは鉄板。フォアグラの甘味を殺さず引き立てるのは、さすが伝統的なマリアージュ。昔の人のやる事にはちゃんと意味があるのです。

・ブルゴーニュ産小鴨のコンフィ スパイスソース
鴨のコンフィもスパイスソースもランチタイムの定番でしたが、装いも新たにディナーに昇格。スターアニスの効いたソースで鴨のコンフィを食べるのは、新たな味覚の体験でした。

はだか麦を使ったリュスティックが香ばしい。なかなか楽しいフェアです。他にも牡蠣のリゾットに使っているそうな。

ワインは、
1994 Macon Villages Cuvee Botrytis /Dom. de la Bongran
ブルゴーニュでは珍しい貴腐ワイン。果実味、酸味、複雑さ、すべてがバランスよく渾然一体となった奇跡のようなワイン。遅摘みと熟成を信条とするボングランの真骨頂。

キノコソテーを頼めば良かったかな…まだまだシメジ系の天然キノコが沢山入荷しているそうです。

9月に入り、秋のキノコシーズンが始まりました。まだまだ夏キノコも楽しめます。

アミューズ:エノキとコンテチーズのキッシュ 胡麻風味
エノキとコンテと胡麻が香ばしいキッシュ。シャンパンによく合いました。

前菜:軽く燻製をかけた仏産ほろほろ鳥とキノコのグリエ 山形紅花卵のポーチドエッグ添え ブルーチーズのソース
燻製によって旨味を凝縮させたほろほろ鳥とグリエしたキノコを、卵の黄身とブルーチーズのソースで食べる飲兵衛向けの前菜。

季節のキノコのソテー
コースに含まれないサイドディッシュですが、国産、輸入ものを含めて全て天然キノコであるこの時期は、オーダーしない理由がない。この日はオオモミタケ、ハツタケ、オーヴォリ、香茸、セップ、オオイチョウダケ、ピエブルー。夏キノコのオオモミタケに、秋キノコの香茸がもう出ています。甘味のあるオオイチョウタケが印象的でした。

主菜:やまゆりポーク ロースのポワレ エノキと黒胡麻のソース
豚肉ロースのポワレは時々肉が入れ替わるが、この日は神奈川のやまゆりポークが初見参。ジューシーなロース肉に、程よく付いた脂身も旨い。この店では様々なキノコのソースを出していますが、個人的にエノキソースが気に入っています。あまり個性を主張せずとも存在感があり、影の実力者的な感じがいい。

デザート:タルトヴォードワーズ
シェフ山岡夫人であるフランス菓子研究家の大森由紀子先生がスイスから持ち帰って日本に紹介したタルトヴォードワーズ。しばらくデザートメニューから消えていましたが、最近になって支配人によるブラッシュアップを経て復活しました。久しぶりに味わうダブルクリームの甘味とシナモンの素朴な味わいが嬉しい。

ワインは、
2015 Gevrey Chambertin /Hubert Lignier
アタックの力強さとタニックなところはジュヴレシャンベルタンらしいが、香水のような芳香に熟成香が加わり、香りだけならヴォーヌロマネのよう。さすがユベールリニエは上手く造っている。2015年特有の濃さは角が取れ、今まさに飲みごろ。

花金なのに空席が目立ったな…皆さん、キノコシーズンは今ですよ!10月後半以降はもう遅いんですよ〜

夏キノコの代表格であるタマゴタケは、毎年食べたいキノコの一つです。

冷前菜:鮎と夏トリュフのムース フィレのソテーバジルソース ミントで和えた桃を添えて
先月食べたばかりですが、同行者がオーダーしたので、目の前で食べられると羨ましくなると思って再びオーダーしてしまいました^^;
ムースをライ麦のバゲットにのせて食べても美味しいです。

温前菜:タマゴタケのリゾット
タマゴタケは、幼菌の時に卵の殻のようなものに包まれているのが名前の由来ですが、実はその煮汁もタマゴ色をしています。濃厚な旨味のあるキノコで、リゾットにするとまるでウニのような風味を感じる。

主菜:媛っ子地鶏のロースト ガルムソース
日本の地鶏は質が高いので、フレンチにすると最高に美味しい。愛媛が誇る媛っ子地鶏は、ブレス鷄に勝るとも劣らない。今回は最高の部位とされる胸肉と、おまけに手羽元も添えていただいて大満足。旨味のあるガルム(魚醤)を使ったソースが実によく合いました。添えられたキノコはユキワリタケ。

ワインは、
Champagne Extra Brut /Jean Vesselle
最近グラスシャンパンは、アンリオではなくジャンヴェッセルを使っているという。エクストラブリュットとあるが、実際にはノンドサージュで、それでも厚みのあるシャンパン。最近、温暖化のせいか、こういうのが増えたような気がします。

2020 Hautes Cotes de Beaune /Maison En Belles Lies
最近仕入れたというブルゴーニュの赤ワイン、サントーバン村を拠点とするアンベルリーのオーコート ド ボーヌ。御多分に洩れずこれもビオワインなのだが、最近のビオワインはビオ臭や微発泡などの不快な要素の発生が激減したように思う。ある程度醸造技術が確立したのかしら。アルコール度数は11.5度と低め。ビオらしいピュアな酸と果実味が印象的。

そろそろキノコ達が一番にぎやかな季節です。



夏のスペシャリテである"鮎とサマートリュフのムース"が6月の中旬から始まっています。

アミューズ:キノコと魚介のフリチュール
トキイロヒラタケと、魚介は瀬戸内のイシモチ(テンジクダイ)でした。小魚ですが、今治の藤本氏が送ってきたものとのこと。フリットにして食べると、独特の旨味が良く分かります。岡山から帰ってきたばかりですが、瀬戸内の食材が追っかけてきました(笑)

前菜1:季節野菜と帆立貝のテリーヌ
もともとは春の前菜ですが、今年は夏に登場。中央に大きなホタテの貝柱。その周りにオクラ、春菊、アスパラ、キュウリ、キャベツなどの野菜がぎっしり詰まってました。夏向けのラヴィゴットソースがさっぱりしていてとても良い。

前菜2:鮎とサマートリュフのムース フィレのソテーバジルソース ミントで和えた桃を添えて
今年の鮎は山梨の桂川産。そのせいなのか、昨年よりワタの苦味が柔らかく、とてもバランス良く仕上がっていました。ムースの滑らかさも完璧で素晴らしい。そのまま食べても美味しいですが、個人的には桃と一緒にスプーンですくって食べるか、ライ麦のバゲットにのせるのが好きです。

季節のキノコのソテー
入荷したばかりの天然ハナビラタケと、フランス産のセップだけをソテーしていただきました。セップの香り、味わいを楽しむなら、ソテーが一番だと思います。

主菜:ブルターニュ産仔牛のポワレ マスタードソース
さっぱりとした仔牛肉に、キレのあるマスタードソースがありがたい、夏向けのメインです。これなら蒸し暑い日でも、いくらでも食べられそう。さらにここにもセップ茸が添えられていて嬉しい。

デザート:岡山産草苺のソルベ&クレメダンジュ
瀬戸内食材がここでも追っかけてきた(笑) 岡山はさすがフルーツ王国です。未知の果物がいっぱいです。

ワインは、
2014 Steiner Hund Riesling Reserve /Nikolaihof
鮎ムースに合わせてオーストリアのニコライホーフの上級リースリングを。シュタイナーフントはニコライホーフ所有の畑の中でも急斜面な場所であり、凝縮感のあるブドウを生み出す。柑橘や花系の香り、ビオらしいピュアな酸、しっかりとした骨格の白ワインは、肉料理にも良く合いました。

夏キノコと夏の食材を食べて、例年より長くなりそうな夏を乗り切って行きたいところです。



モリーユが終わる頃からカンゾウタケが出回り始めます。フランスでは牛の舌、アメリカでは貧者のビーフステーキと呼ばれるとか。

アミューズ:魚介とカンゾウタケのカルパッチョ
シリヤケイカは、関西や瀬戸内ではシリクサレとかケツクサレなどと散々な呼び方をされるイカで、胴から出す赤黒い粘液が一緒に網に入った魚を台無しにするので漁師たちからの嫌われ者ですが、食べれば大変美味しいイカなのです。この日はラッキーなことに静岡のキンメも盛られ、赤い肉汁(?)したたるカンゾウタケが添えられました。これはメインの料理への前振りでもあります。

冷前菜:ホワイトアスパラと山形紅花卵のポーチドエッグ ニセコの赤石さんの生ハムを添えて
この日はドイツ産のシュパーゲル。そう言えば、彼の地では今が最盛期だ…市場で山と積まれた景色が懐かしい。肉なのにチーズのような風味があるシャルキュトリ赤石の生ハムでアスパラを食べる贅沢さがいい。

温前菜:黒鯛のポワレ 青海苔ソース ハナビラタケのグリエ添え
今治藤本氏の神経締めの魚に、この店のスペシャリテの青海苔ソース。この組み合わせが大好きなので、なかなか他の温前菜に手を出せない。オゼイユソースを彷彿とさせる、良い意味で癖のある青海苔ソースは、赤ワインにも良く合います。

メイン:ブルターニュ産仔牛レバーのポワレ シェリービネガーソース
この店で、リドヴォー以外で内臓料理が出るのは久しぶり。フォアドヴォー(牛レバー)には伝統的にワインビネガーソースにマッシュポテトが添えられますが、ここでは高貴な香りのするシェリービネガーソースに有機栽培人参のピュレになります。臭みがまったく無いレバーに、さっぱりとしたシェリービネガーソースがベストマッチ。これぞフレンチ!という感じがする逸品でした。ステーキのように大きくて肉厚なプリュロット(平茸)にも大感激!

デザート:白いアラゲキクラゲのわらび餅風 ジャラハニーのアイス添え
白いアラゲキクラゲは、実は市販品ではなく、世界でもここでしか食べられないキノコなのです。通常の黒いアラゲキクラゲは火を通しても硬いのですが、白いアラゲキクラゲは火を通すと柔らかくなって粘り気を出すそうで、その特性を活かして、ほぐしてかきまぜてわらび餅風にしたというスペシャルなデザート。確かにほんのりわらび餅のような風味もあります。高級蜂蜜のジャラハニーアイスも贅沢で美味。

ワインは、
2015 Chinon la Diabless /Chateau de Coulaine
ロワール地方シノンのワイン。ディアブレスとは悪女の意味だそうで、シャトー ド クーレーヌのフラッグシップワインになる。カベルネフラン100%だが、タンニンは意外なほど柔らかく、醤油のような旨味が印象的。熟成によりアロマティックな香りは抑え気味で、黒胡椒のようなスパイシーさを感じる。肉料理にはもちろん合うが、意外と合わせる料理を選ばないタイプ。エチケットのベーゼが艶かしいが、悪女っぽい見かけの割に、意外と世話好きのいい人みたいな。

そろそろ夏のスペシャリテの季節になります。来月お目見えするはずの鮎と夏トリュフのムースが楽しみです。

気の遠くなるほどフランス料理を作り続けてきた一人の料理人が、ささやかに迎えた偉業の一里塚。業界きっての本物のフランス料理人の店が、新たな一歩を踏み出す日でもある。

29周年。万感の想いを込めて言う。
美味しい料理をありがとう。
素敵なサービスをありがとう。

アミューズ:トキイロヒラタケとシリヤケイカのフリチュール
春から初夏にかけて海岸に押し寄せるシリヤケイカ。イカ好きにとって密かな楽しみでもあります。

冷菜:蕎麦粉のクレープと青森海峡サーモンのフュメ 蜂蜜を添えて
春の新メニュー。サーモンとディルの組み合わせって、きっと神様が決めたに違いない。これ以外にない組み合わせ。離れられない二人。この店としては珍しいクレープ仕立てはカフェ飯っぽいけど、たまにはこういうのもいいね!

温菜:天然鮮魚のポワレ
この日の魚は神経締めで有名な今治の漁師、藤本さんのスズキのブイヤベース仕立て。天然ナメコの季節は終わってしまったが、アミタケやムキタケがいい仕事をしている。

主菜:ブルターニュ産仔牛のポワレ ホワイトアスパラと国産モリーユのフリカッセ
29周年にふさわしいスペシャルな料理。春の食材の組み合わせとして、これ以上のものはない。春ならではの仔牛肉はさっぱりとした旨味がある。小麦粉を使わず野菜のとろみだけのサラッとしたフリカッセには、大きな岡山産のモリーユと、この時期ならではのホワイトアスパラが添えられる。それぞれの旨味が渾然一体となって前人未到の旨さを発揮するのは、新たな門出にふさわしい。

デザート:練乳のソルベ
牛乳とキビ砂糖だけの素朴な味わいのソルベ。某シェイノ系の店のスペシャリテでもある。

ワインは、周年祝いに相応しくシャンパンを。
Champagne Collection 242 /Louis Roederer
ルイ ロデレールの新たなスタンダードシャンパンであるコレクション242。数字は創業年からのアッサンブラージュの回数とのこと。ジャクソンのシャンパンと同じやね。2017年のブドウを主体に6ヴィンテージのヴァンドレゼルヴを加えた気品のあるシャンパン。繊細な泡。硬質な酸。やや軽いが長めの余韻。



春になるとランチが楽しいです。山菜とキノコのフリチュール、春の魚、春野菜のナヴァランなどなど。

Bコース。
前菜1:キノコと海老と野菜のフリチュール
春のフリチュールは山菜が混じっていて楽しい。3月から4月にかけての時期はカンゾウとフキノトウ。他にニンニクの芽(中華でよく見る茎ではない)、春シメジ、平茸、椎茸、海老、蓮根、茄子。昼シャンに合わせると最高。

前菜2:尾長鯛のポワレ 青海苔ソース
先日ディナーで食べたのと同じ、高級魚の尾長鯛でした。普段はランチとディナーの魚は分けているそうだけど、仕入れの関係でこういうこともある。この日ランチに来た人はラッキーでしたね。この魚もまた春から夏が旬と言われる(シーズン通してあまり味が落ちないらしいけど)。

主菜:仔羊のトマト煮込み(ナヴァラン)
春野菜を使ったナヴァラン・プランタニエール。この日はキノコ多めで、何と岡山産のモリーユ入り。仔羊の脂がとろけるような旨さで、大満足でした。

デザートはピスタチオのアイスをチョイス。ナッツの風味が濃厚でした。

ワインは、春らしくロゼシャンパンを。
Champagne Brut Oeil de Perdrix /Jean Vesselle
ウイユ ド ペルドリとはヤマウズラの眼という意味。ブージィ村のピノノワール100%で作るブランドノワール。ピンク色をしているのがヤマウズラの眼という名の由来だが、ジャンヴェッセルはこれを白のシャンパンとして売っているのがややこしい。ピノノワールらしい繊細な泡、ミネラリックでエッジの効いた酸。ほのかにアプリコットのニュアンス。やや軽めで昼に飲むにはピッタリ。

支配人が自ら焼いているというパネトーネを一ついただいてみました。パネトーネ種という酵母を加え、発酵させて生地を休ませるという工程を繰り返すため、とても手間がかかるパン。素朴な甘さと、ふんわりと柔らかな食感。根強いファンが多いというのも頷けます。

4月13日で29周年だそうです。今年も周年パーティは中止で残念。
立春を過ぎ、寒い中にも陽の長さを感じる頃になると、フレンチレストランのメニューにも少しずつ変化が生じてきます。旬と呼ぶにはまだ先ですが、春を待ち侘びる食材たちが登場してきています。

アミューズ:フキノトウとマスタケのフリチュール
春の山菜の代名詞とも言えるフキノトウ。ほろ苦さが嬉しい。

冷菜:ホワイトアスパラと山形紅花卵のポーチドエッグ ニセコの赤石さんの生ハム添え
フランスのロワール地方から届いたホワイトアスパラは、まだやや細めではありますが、さっぱりした旨味がありました。ポーチドエッグは大胆にカットして黄身をソース代わりにしてもいいのですが、黄身の大半が皿に残ってしまうのがもったいないので、今回は卵の上部にそっと穴を開け、卵の下半分を器の代わりにして、アスパラを黄身に浸けながら食べてみることに。こうすると濃厚な紅花卵を無駄なく楽しめます。アスパラは塩の代わりに生ハムを乗せて食べるのも美味。これから徐々に太くなっていくので、しばらく楽しめそうな食材です。

温菜:八丈島産尾長鯛のポワレ ブイヤベース仕立て
関東での呼び名は尾長鯛ですが、沖縄ではアカマチと呼ぶ沖縄三大高級魚の一つです(あとの二つはアカジンとマクブ)。鮮魚のポワレは、通常は青海苔ソースなのですが、主菜とクリーム系のソースが被ってしまうので、今回はお任せでお願いしました。天然ナメコとキクラゲの入ったブイヤベースは、フュメドポワソン、フュメドコキーユが濃厚なとろみのあるスープ。その上に皮目をパリッと焼いた尾長鯛を乗せていて、かなり贅沢な一皿になりました。

主菜:媛っこ地鶏とモリーユのフリカッセ
メインはオンリストしていない料理から。フリカッセこそがモリーユに一番向いている料理だと思う。なぜならクリームソースがモリーユの網目によく絡むから。フレッシュのモリーユは3月頃からヨーロッパ産、4月頃から国産が出回るものですが、2月に出会うのは初めてでした。なんとチベット産だそうです。結構ものが良かったので使ってみたとのこと。これもしばらく楽しめそうな食材です。フリカッセとはいえ、ベシャメルにはせず、黄カブのピュレを使ったさっぱりしたソースでした。しかも、上からセップのソースもかけたという贅沢さ。愛媛産地鶏のもも肉とも好相性でした。

ワインは、
2013 Original Vines Pinot Noir /The Eyrie Vineyards
この店では久しぶりのオンリストになるオレゴン州のピノノワール。ジアイリーヴィンヤーズのフラッグシップワイン。ワイナリー設立時からの畑で、樹齢は45年から55年。薄い色調ながら各要素がはっきりしたスタイルは、80年代から90年代の上質なブルゴーニュを連想させる。ラターシュのようだと言ったら褒めすぎか。21世紀になると本家ブルゴーニュですら「これがピノ?」と困惑するような濃いワインが多くなってしまうのだが、かつてのエレガントなピノノワールが味わえるのが、今やブルゴーニュから遠く離れたオレゴンというのが何とも寂しい限り。

食材で感じる季節の移り変わり。春はもうすぐそこです。
冬のスペシャリテである猪バラ肉の煮込みが始まりました。

アミューズは、マスタケとトキイロヒラタケのフリチュール。かんずりのソースはそれほど辛くないので、たっぷりつけるのが好き。

冷前菜:フォアグラと伊予美人のテリーヌ トリュフソース
前回と同じオーダーですが、2ヶ月半を経てバージョンアップしており、ジャラハニーの蜂蜜がかけられていました。まるでフォアグラとソーテルヌの組み合わせのようで、これは良い!

温前菜:天然鮮魚のポワレ 青海苔のソース ハナビラタケのロースト添え
この店で半年ぶりに食べる鮮魚のポワレ。この日の魚は、今治は藤本氏の神経締めのスズキ。フランス料理でスズキは重要魚種で、地方によって様々な呼び方があり、日本のように出世魚でもあるが、ルー ド メール(海の狼)の呼び名が一番格好いい。白身で肉が締まっていて小骨が少なく、古代ローマ時代から好んで食べられていたそうな。青海苔ソースはベルモットのおかげで赤ワインとの相性も良い。

主菜:軽く燻製をかけた猪バラ肉の煮込み 牛蒡とフォアグラのソース 黒胡椒のムースを添えて
今年の猪は岡山産。臭みは全く無く、直前にかけた燻製の香りが芳しい。猪肉と牛蒡の相性がとても良い。別皿で添えられる黒胡椒のムースで食べるとまた違った味わいになり、ボリューミーな料理を最後まで飽きずに食べられました。ジビエが苦手な人にもおすすめです。ちなみに添えられたキノコは黒トランペット。

デザート:フランス産ノイチゴのソルベ
最後はソルベでさっぱりと締めました。

ワインは、
2018 Cambolle-Musigny Orveaux des Bussieres /Perrot-Minot
ペロミノのシャンボールミュジニー。オルヴォー デ ビュシェールと名付けられているが、1級畑のラコンブドルヴォーと、格なし畑のビュシェールほか色々な畑のブレンドらしい。ビュシェールは実に樹齢100年の区画のものだそうで、ペロミノらしい複雑さを感じる。シャンボール村らしい繊細な酸が印象的。
最近、村名ワインやACブルゴーニュにさえ別名を付けるのが流行りだけど、そうやって付加価値を高める風潮は、飲み手としてあまり望ましくないことだと思うなぁ。

残念ながら、これを書いている時点でまん防が発令されてしまいましたが、せっかく始まった猪煮込みを、多くの人が楽しまれるのを願ってやみません。
キノコシーズンも終盤ですが、天然ナメコはまだまだこれからです。

アミューズ:マスタケとトキイロヒラタケのフリチュール
目をつぶって食べたら間違いなく鶏のササミと答えるマスタケは、いつ食べても不思議なキノコです。

冷前菜:フォアグラと伊予美人のテリーヌ
フォアグラと伊予美人のテリーヌが今年も始まりました。シェフの故郷の愛媛特産の里芋である伊予美人ですが、フォアグラと里芋の旨味と硬さが見事にシンクロしています。薄くレモンドレッシングと岩塩がかかっていますが、やはりトリュフソースとの相性が抜群です。フランス人が大喜びしそう。

温前菜:キノコのブイヨンスープ
天然ナメコは栽培物よりぬめりが強くて美味。他にアミタケ、ムキタケ、ヤマブシタケと天然キノコのオンパレード。この時期のキノコスープは贅沢です。

主菜:愛媛 姫っこ地鶏とキノコのグリエ ガルムソース
愛媛が誇る地鶏、姫っこ地鶏。今回はラッキーなことに胸肉と腿肉の盛り合わせでした。緻密な肉質の胸肉と、ジューシーな腿肉は甲乙つけ難し。イタリアの魚醤ガルムを使ったソースは旨味のある塩味といった感じで、肉にもキノコにもワインにもよく合います。

デザート:山形産ヤマブドウのソルベ
タンニンを感じるソルベ。ワイン好きにおすすめ。

ワインは、
2018 Bourgogne Montre-cul /Rene Bouvier
コートドールのブドウ畑の北端はマルサネ村だと思っていたが、なんとディジョン市内の畑だと言う。Googleマップで見ると、確かに市内西側に畑が広がっている。AOCディジョンというアペラシオンは無いので、ブルゴーニュを名乗る。モントル キュとは「お尻が見える」の意味だそうで、斜面が険しく山側で作業する人のお尻が見えることから名付けられたと言われるが、ラベルの絵は女性のお尻をオヤジ二人が見ているという少々えっちいイラストで、日本でこんなん作ったら叩かれるだろーな。だいたいこんなミニスカで畑仕事やる奴などおらん。ただ、ワインはジュブレシャンベルタンの雄ルネ ブーヴィエらしい骨太な作りで、ワインの名前と中身のギャップがもの凄い。

緊急事態宣言が解かれて、ワインと共にゆっくり味わえるようになったことに感謝!
キノコが最もにぎやかなシーズンの到来です。

前菜:オオモンハタとハナビラタケのカルパッチョ 実山椒のドレッシング
珍しい鹿児島産のオオモンハタ。ハタ系の魚の中では小型にあたるらしい。ハタなんで、とりあえず高級魚という認識しかない。もっちりした歯ごたえの中にハタらしい旨味のある魚。

温菜:タマゴタケのリゾット
この季節しか食べられないタマゴタケのリゾット。タマゴタケはその煮汁もタマゴ色なんていうトリビア、世の中のどれだけの人が知っているのか。キノコの旨味と帆立の旨味が溶け込んだ贅沢なリゾット。

サイトディッシュ:キノコのソテー
この季節ならではの一皿で、オーダーしない理由がない。天然舞茸、ハタケシメジ、アラゲキクラゲ、イタリア産ポルチーニ、オオイチョウタケ、ヤナギマツタケ、タマゴタケ、オオモミダケ。夏のタマゴタケと秋の舞茸がソテーで同時に味わえる一瞬の機会。火入れと塩加減が絶妙で、それぞれキノコの旨味の違いが分かるのが贅沢でした。舞茸とタマゴタケとポルチーニの旨味の質って全然違うのですよ。

主菜:仔羊背肉とキノコのロースト グリーンオリーブとアンチョビのソース
羊肉で最も高級とされる背肉の火入れは完璧で、ジュダニョーにオリーブを加えたソースは白いアイオリと共にちょっぴり南仏の雰囲気。アニョーにジュのソースは定番だけど、そればかりじゃ面白くないからね。タマシロノタケのローストは肉並みに分厚くてジューシーでした。

ちなみにこの店のガス入りミネラルウォーターは、ルーマニアのアクア カルパティカ。ヨーロッパ最後の秘境と言われるカルパティア山脈の原生林を水源とする硬度1005の硬水です。


夏バテ気味の身体に、フレンチで喝を入れに行ってみました。

前菜:香川県産アスパラダケのポシェ 山形紅花卵のポーチドエッグと北海道シャルキュトリ赤石の生ハム添え 愛媛産レモンドレッシング
夏の暑さで伸び切らないアスパラガスを、香川ではアスパラダケとして売り出しています。タケノコのような形状ですが、伸び切らなかった分の栄養が凝縮されていて味が濃い。スタミナ回復のアスパラギン酸がいっぱい入っていそうです。栄養豊富な卵も疲労回復に良し。レモンドレッシングでさっぱりいただけました。

主菜:今治藤本氏の鮮魚のポワレ ラヴィゴットソース ハナビラタケのグリエ添え
この日の魚はマナガツオ。前回と同じ魚でしたが、ソースは変わってさっぱりとしたラヴィゴットソース。しかも、ケッパーとアンチョビと香味野菜をピュレにしたものを、表面にたっぷりと塗っていただきました。これこれ、こういうのが食べたかったんですよ。夏バテ気味の身体に染み入りました。

アラカルト2皿でしたが、食から活力を得るって大事だなぁ、と思わせるディナーでした。
7月に入り、鮎と夏トリュフのムースの付け合わせがメロンから桃に変わりました。

アミューズ:エノキとコンテチーズのキッシュ
アミューズでは久しぶり。テイクアウトで食べることもできますが、店で食べると黒胡麻ソースが付いて来ます。

前菜:鮎と夏トリュフのムース ミントで和えた桃を添えて
毎年微妙に出来が違うのですが、今年のは今までで最高傑作ではなかろうか。昨年の鮎は静岡県産でしたが、今年は岐阜県産を使用したせいなのか。溶けたり固まり過ぎたりせず、フワリと滑らかなムース。桃を混ぜると、ワタの苦味を中和してくれます。そして、白桃のニュアンスを持つロワールの白ワインとベストマッチ。これはメロンとは違う楽しみ方だなぁ。

主菜:今治の藤本氏の鮮魚のポワレ 青海苔のソース
曰く、「西海にサケ無く、東海にマナガツオ無し」
流通の発達した今では、沖縄で北海道サーモンを見ることは珍しくないが、関東でマナガツオを見るのは未だに和食屋の西京焼くらいではないか。少なくともスーパーや街の魚屋で見かける魚ではない。この店では新鮮なものをカルパッチョで出すこともあるが、やはりマナガツオは焼きが美味しい。適度に水分を含んだ身は焼くとフワッとして口の中でほどけ、銀色の皮はパリッとして香ばしい。そして、この店のスペシャルソースであるベルモットを効かせた青海苔のクリームソース。トロワグロのソーモンオゼイユを意識したというこの料理、ピエール トロワグロは自宅に生い茂るオゼイユを見てインスピレーションを得たというが、日本の魚にはやはり日本の食材を使ったソースが合う。何より海の魚には、同じ海の食材である青海苔が良く合います。

デザート:岡山県産ヤマモモのソルベ
野生のヤマモモを使ったワイルドな味わいのソルベ。さすが岡山はフルーツ王国です。

ワインは、最も鮎ムースに合うと言われる、
2014 Clos de la Couree de Serrant /Nicolas Joly
ニコラ ジョリーのクーレドセラン。シュナンブランとは思えないほどのスケールの大きさ、複雑さ、熟成感は、濃厚なムースやソースに良く合う。そして、熟した白桃のニュアンスは、確かに桃を使った料理にも合いました。ちなみにインポーターであるファインズはデキャント推奨ですが、デキャント前と後で比較試飲したところ、デキャント後の方がやはり香り、味わい共に開いている。澱はあえて取り除かずデキャンターに注ぎ込みました。ピリッとした微発砲はデキャントでは無くならないものの、時間の経過と共に消失しました。温度はやや高め、赤ワインと同じの18度くらいが良いようです。

残念ながら、これを書いている時点で緊急事態宣言が発令されてしまいましたが、酒類提供の再開を待ちたいと思います。
6月の鮎解禁と共に、この店のスペシャリテである鮎とサマートリュフのムースが登場しました。

前菜:鮎とサマートリュフのムース フィレのソテーバジルソース メロンを添えて
鮎の身とワタに骨から取ったフォンを加えてムースにしたこの店のスペシャリテ。フレンチで鮎というと、たいていベニエやエスカベッシュで、ムースはまず見かけない。なぜかというと、鮎に含まれた何らかの成分のせいでなかなか固まらないんだそうです。この店では技術の粋を尽くしてムースに仕立てています(もちろん教えてもらえません)。天然鮎のワタのほろ苦さ、身の旨さが口いっぱいに広がる、世界でここでしか食べられない料理。季節が進めばメロンが桃に変わりますが、個人的には初夏のメロンが香魚のオマージュとしてふさわしいように思います。
付け合わせでカンゾウタケを添えていただきました。どう見てもレバーにしか見えませんが、口に入れると鮮やかな酸味が印象的なキノコで、見た目と味のギャップが楽しい。こちらも初夏ならではの味わいです。

主菜:阿波尾鶏のロースト ガルムソース 秋田ゴールデン舞茸のロースト添え
過去ログを振り返ってみると、この時期は前菜が鮎ムースに、主菜が地鶏のローストというパターンが圧倒的に多い。さっぱりしたものが食べたい季節だからでしょうか。イタリアのガルム(魚醤)を使ったソースの旨味が、阿波尾鶏の旨味に負けていません。ふさわしい食材にふさわしいソースの組み合わせに出会うのは幸せです。秋田のブランド舞茸と、北海道産のグリーンアスパラのローストも美味でした。

鮎ムースには、個性の強い白ワインを合わせたいところです。ニコラジョリーのクレドセランなんて最高ですね。並のブルゴーニュ白だと負けてしまいそうです。
マッシュルームの春のランチには、春らしい楽しみがあります。

Bコース
前菜:キノコと海老と野菜のフリチュール
春は山菜が多めです。コシアブラ、タラノメ、フキノトウ。おまけにスナックエンドウも。緑多めのフリットは季節を感じさせます。もちろん、椎茸、舞茸、ヤナギマツタケ等のキノコもたっぷり。

魚:メバルのポワレ 青海苔ソース
春告魚とも呼ばれる春のメバルは石川県産。ディナーと違って今治の藤本氏の魚ではないが、充分美味しい。ベルモットを効かせた青海苔のクリームソースとハナビラタケのグリエは、ディナーと同じで贅沢。

主菜:仔羊のトマト煮込み(ナヴァラン)
春野菜を使ったナヴァラン・プランタニエール。春はこれを食べにランチに来ると言っても過言ではない。ナヴァランの語源とされるナヴェ(蕪)はもちろん、新じゃが、筍、空豆。そして、シーズン最後のモリーユ。他にもキノコがふんだんに使われたこの店ならではのナヴァランは、結構肉もたっぷりでボリュームがありました。ナヴァランはAコースでもokなのでおすすめです。

デザート:ホワイトアスパラガスのプリン 抹茶のソース
久々に登場しました。前菜じゃなくてデザートですよ。プリンを口に含めば春らしいアスパラの香りが口いっぱいに広がります。気をてらっているのではなく本当に美味しいです。のっているのはカエルの卵…ではなくてタピオカです。途中で抹茶のソースをかけて味変するのが楽しい。

焼き菓子やパン以外のテイクアウトメニューが出来ました。
エノキ茸とコンテチーズのキッシュ 400円
マッシュルームのムース 1000円/100グラム
これらもおすすめです。

6月の鮎解禁までもう少し。あのスペシャリテが待ち遠しいところです。
欧州産のみならず、国産のモリーユも入ってきました。ワインリストには、この店では初のツィントウンブレヒトがオンリスト。今月で28周年を迎えてますます意気盛んなはずなのに、まさかの緊急事態宣言発令で酒類の提供禁止。嗚呼…

アミューズ:ポロ葱のテリーヌ レバームース添え
この料理を見て、表参道の某レストランのスペシャリテを思い浮かべる人は何人いるだろうか。本家より酸は抑え気味で、ほのかに葱の風味が香る。テリーヌを崩してレバームースと混ぜて食べると美味。

前菜:マグレ鴨の軽い燻製とローストしたキノコのサラダ 山形紅花卵のポーチドエッグ添え ゴルゴンゾーラのソース
究極の飲兵衛向け前菜。鴨の燻製と炙りキノコを半熟卵に絡めた上で、濃厚なブルーチーズソースで食べるという、ワイン好きにはたまらない一皿。

主菜:阿波尾鶏とモリーユのフリカッセ
モリーユ、日本で言うアミガサダケは、春のキノコの代名詞であり、春山の食材のスターとも言える。そして、最もフリカッセに合うキノコだと思う。なぜなら、キノコの傘の網目がクリームソースとよく絡むから。ソースの中のモリーユはフランス産、上にのったソテーは岡山産とのこと。とりわけ届いたばかりの岡山産モリーユは香りもすこぶる高い。色鮮やかなコシアブラとそのソースの緑が映える。旨味の濃いモリーユと、これまた旨味の濃い阿波尾鶏を使った、この時期だけの贅沢なフリカッセは、28周年記念にふさわしいスペシャルなメインディッシュでした。

デザートは、愛媛松山のレモンを使ったリコッタチーズケーキ 練乳のソルベ添えでした。さっぱりしたデザートで締めるのはいいですね。

ワインは、
2015 Riesling Hunabihr Clos Winsbuhl /Zind Humbrecht
ツィントウンブレヒト所有の単一畑であり、ポテンシャルは特級畑並みとされながら、大人の事情でグランクリュにはなっていないクロヴィンスビュール。ミネラリックな酸と程よい残糖感の調和。柑橘、白い花、若干のペトロ香が複雑さに深みを加える。

2016 Riesling Rangen de Thann Clos Saint Urbain Grand Cru /Zind Humbrecht
ツィントウンブレヒトを代表する畑であるクロサンチュルバン。14ヵ月樽発酵、18ヵ月樽熟成に由来する樽の印象が強い。バニラ香に赤ワイン並みのタンニンは好みの差が出そうだが、他のアルザスワインとは一線を画した存在であるのは確か。比類ない凝縮感。厚みと広がり。

こんな素晴らしいワインが入荷したのに、25日から酒類の提供は禁止だなんて!コロナ禍の終息を心から願わずにはいられません。
1993年4月13日に開店したマッシュルーム。今月で29年目に入りました。

冷前菜:ロワール産ホワイトアスパラのポシェ 山形紅花卵のポーチドエッグと北海道シャルキュトリ赤石の生ハム添え
この季節になるとついオーダーしてしまうホワイトアスパラですが、付け合わせは日々変わっています。この日は春らしくニリンソウが添えられていました。こういう食用花を残す人は多いですが、本当にもったいないと思います。ぜひ食べて季節を感じて欲しいですね。ニセコのシャルキュトリ赤石の原木生ハムはチーズのような風味で、アスパラによく合いました。

温前菜:今治の藤本氏の黒鯛 青海苔ソース
オゼイユソースを原型とした青海苔ソースはこの店のスペシャリテ。玄人の料理人達に人気があるそうです。リースリングに殊のほか良く合ったので、これを主菜にしても良かったかも。

主菜:マグレ鴨胸肉とキノコのロースト 舞茸ソース
舞茸ソースを味わいたくて、久々に鴨のローストをオーダーしてみました。キノコの香りがすこぶる高い。マグレ鴨は他の鴨と比べて歯応えがありますが、鴨特有の鉄っぽさが少なく、肉の味を楽しめていいですね。

デザート:オーストラリア産ジャラの蜂蜜のアイス
2年に1度しか咲かないというジャラの花から採った蜂蜜は、まろやかな甘味で口当たりが良い。貴重な蜂蜜で、一瓶14000円と聞いてぶっ飛びました。

ワインは、
2016 Riesling Roche Calcaire /Zind Humbrecht
90年代から2000年代初頭にワインを勉強していた人達にとって、ツィントウンブレヒトはアルザスワインの中でも別格の存在だった。(最近はフンブレヒトと表記する店が多いのも時代を感じる)
特級畑に隣接する畑のブレンド。抜栓直後はぼやけていたが、時間が経つに連れて酸が立ち、力強さと凝縮感を感じる。手頃で良質なリースリング。

店内で焼き菓子の販売を始めていました。元パテシエだった支配人が丹精込めて焼いています。
パルメザンチーズのサブレ 150円/2枚
塩カカオのサブレ 150円/2枚
オレンジケーキ 300or350円
クグロフ 試作中
サブレはキノコ型で可愛い。特にチーズサブレはワインのアテにもおすすめです。
春ならではのキノコがお目見えしました。

前菜1:ホワイトアスパラのポシェ キジハタのカルパッチョと共に ラヴィゴットソース
アスパラはフランスのロワール地方産です。キジハタのカルパッチョが添えられていました。キジハタは瀬戸内ではアコウと呼ばれ、人気のある魚です。瀬戸内の寿司屋に入ると、大将がアコウを出す時、なんとなく誇らしげに見えます。ラヴィゴットソースで食べるカルパッチョもいいものです。アスパラは愛媛みかん卵の黄身を絡めて食べますが、単純ですけど、卵料理としても秀逸です。

前菜2:愛媛の漁師、藤本氏の天然鮮魚のポワレ
この日の魚はコブダイでした。身が厚く、しっとりとしていて美味。オマールクリームとナメコのブイヤベース仕立てにしていただきましたが、冬の間下処理をして冷凍保存してきた天然ナメコもこれで終了だそうです。

主菜:フランス産ウサギ背肉のロースト マッシュルームソース モリーユのソテートリュフソースを添えて
久しぶりに登場したウサギ背肉のローストです。この店では、中心にマッシュルームのムースを詰めたファルシになっています。ソースも濃厚なマッシュルームソースで、柔らかな背肉を存分に楽しめました。この季節ならではのモリーユ茸を添えてくれたのがありがたい。トリュフソースと共に贅沢な付け合わせでした。

ワインは、
2013 Chassagne Montrachet 1er Cru Les Champs Gains /Dom. Paul Pillot
白ワインの名手、ポール・ピヨ。この店では長らくクロサンジャンを出していたが、1級畑シャンガンのバックヴィンテージものがオンリスト。シャサーニュの1級畑としては酸がやや丸みを帯びているが、熟成の影響というより畑の個性と思われる。樽香はそれほど強くなくエレガント。フローラルな香り、クッキー、蜂蜜のニュアンス。

この4月で28周年になるそうです。コロナ禍のため、残念ながら毎年恒例の周年パーティは無しだそうです。
フランスのロワール地方から極太のホワイトアスパラガスが届いています。

前菜1:愛媛今治、藤本氏の鮮魚とハナビラタケのカルパッチョ
この日はマダコと真鯛でした。冬のマダコは大型になり、3キロ超えると番傘級などと呼ばれますが、旨味が一層濃くなる時期でもあります。コゴミが添えられていて、春が近いことを感じました。

前菜2:ロワール産ホワイトアスパラのポシェ 愛媛みかん卵のポーチドエッグと北海道赤石さんの生ハム添え ラヴィゴットソース
こういうのを見ると、フランス人のアスパラ好きは半端ないな、と思います。一年中食べたいんでしょうね。さっぱりとしたラヴィゴットソースで食べるのも良し、濃厚なみかん卵を絡めて食べるのも良し、塩気のある生ハムと一緒に食べるのも良し。

主菜:オランダ産リドヴォーとキノコのフリカッセ
フランス料理らしい食材であるリドヴォー。たまにしか食べないと味を忘れてしまいそうです。癖が無くて柔らかいが、意外に肉っぽい。ミルクを消化する器官だけあって、クリーム煮が良く合います。キノコと一緒に煮込むとさらに美味しい。

ワインは、
2015 Bourgogne Blanc /Dom. Jean Philippe Fichet
ジャン フィリップ フィシェというと聞きなれないが、あのコシュ デュリの甥と聞くと、旨さ3割増しというミーハーな私。ムルソー村の村名区画外の畑とのことで、実際、少々丸みのあるムルソーっぽい酸を感じる。やや厚みのあるリッチな感じの白ワイン。

3/7までディナータイムは17時半開店、18時にコースのラストオーダー、20時閉店だそうです。開店と同時に入店しましたが、充分楽しめました。
パルマンティエは、フランスでジャガイモ栽培の普及に尽力した人です。日本でいう青木昆陽みたいな人。青木昆陽はサツマイモだけど。
現代では、青木昆陽は千葉の幕張で神様になっていて、パルマンティエは料理の名前になっています。この辺の扱われ方の違いは、日仏の文化の違いなんでしょうね。

3500円のランチコース。
前菜1:キノコと海老と野菜のフリチュール
舞茸やハタケシメジ等のキノコ、ズッキーニや海老のフリットの盛り合わせ。ほんのりカレー風味。ちょっぴりジャンキーで楽しい。

前菜2:鹿児島産スズキのポワレ
ランチは今治の藤本氏の鮮魚じゃないですが、充分美味しいスズキでした。ソースはシェフのお任せで、この日は天然ナメコを使ったブイヤベース仕立て。ナメコの旨味が濃い。

主菜:牛ひき肉とキノコのアッシェ・パルマンティエ
熱々のポテトグラタン。クミンの香りがエキゾチック。表面のチーズをめくれば、ポテトとひき肉に混じって黒トランペット茸がいっぱいでした。

デザートは、長野産ルバーフのコンポートと生姜のアイスでした。程よい酸味が心地良い。

フリチュール盛り合わせやパルマンティエ等、ランチでしか食べられないカジュアルなフレンチもいいものです。
愛媛県がレストランを愛媛産の食材で応援するという他県では類を見ないプロジェクトです。

冷菜:マグレ鴨胸肉の軽い燻製と愛媛みかんたまごのポーチドエッグ ブルーチーズソース
愛媛みかんたまごを崩すと、黄身の色はみかん色、というよりポンジュースの色をしてます。これと鴨やグリルしたキノコを絡めて食べるのは、飲兵衛にはたまらないアテです。ゴルゴンゾーラを使ったソースもいい。

温菜:牡蠣とキノコのリゾット
牡蠣は愛媛県産ではないけれど、冬のスペシャリテです。舞茸やタモギタケといった出汁のでる系のキノコと、牡蠣の旨味が溶け込んだ滋味深いリゾット。牡蠣のピュレがいい味出してます。

主菜:愛媛伊予牛とキノコ、野菜のポトフ
ホロホロと柔らかい赤身の伊予牛と、キノコから出たエキスいっぱいのスープが美味。やっぱり冬には暖かいポトフがいいですね。

デザートは、シェフの故郷松山のレモンソルベでした。強烈な酸がかえって心地良い。

ワインは、
2015 l'Etoile Savagnin /Montbourgeau
ジュラ地方のレトワール村で作る、サヴァニャンというマイナーな品種の白ワイン。レトワールのワイン自体が生産量が少なく、フランス国内でも入手困難と言われる。ジュラ独特の産膜酵母を発生させる醸造に由来するナッツのような香りが特徴。産膜酵母といえばシェリー酒だが、酵母菌はレトワール村に自生するもので、スペインのシェリーとは根本的に異なるものだそうな。アタックの酸が印象的だが、時間と共に膨らみや広がりもみせる。ありきたりの白ワインに飽きた人向けのワイン。

コロナ禍で飲食店は厳しい状況ですが、こういう愛媛県の応援の仕方は素敵だと思うのです。
12/21~25のスペシャルコース初日に訪れてみました。

・マッシュルームムース、フォアグラと里芋(伊予美人)のテリーヌ、ジャンボマッシュルームと黒トリュフ
まずは冷菜の盛り合わせ。生のジャンボマッシュルームは手で摘んでムースを塗って食べると美味。フォアグラと里芋のテリーヌは両者の硬さと食感が一緒だという希有なテリーヌ。さらにトリュフの香りがこれから始まるコースの期待を高めます。

・今治産天然鮮魚と天然キノコのマリネ 愛媛産レモンドレッシング
今治の藤本氏の真鯛に、松茸、天然ナメコ、アミタケ、ムキタケのマリネが添えられていました。レモンドレッシングは酸が柔らかく、ワインと料理を絶妙に結びつけてくれました。

・愛媛鬼北町キジ胸肉のコンフィとゴールデン舞茸 干し舞茸のピュレ
鬼北町で育てられたキジ肉を短時間コンフィしたもの。ほんのり桜色したキジ肉は旨味が濃い。秋田のブランド舞茸のローストは香りも高く、干して旨味を凝縮させた舞茸のピュレと共に、旨味の三重奏になりました。

・オマール海老とハナビラタケのリゾット
オマールの身と共に海老ミソのピュレが加わって、濃厚な海老の旨味がしみたリゾットは、赤ワインにもよく合いました。

・燻煙した猪バラ肉の煮込み 牛蒡ソースと黒胡椒ムース
この店の冬のスペシャリテ。冬に備えて肥え太った猪のバラ肉の脂が程よくとろけ、直前にかけられた燻製香がさらに食欲をそそります。猪は鹿児島産と伊豆産とのこと。大地の香りがする牛蒡のソースはもちろん、黒胡椒のムースがフレンチらしさを演出してました。ジビエが苦手な人にもおすすめです。添えられたキノコのシャントレルと黒トランペットが、ソースによく絡んで美味でした。

・愛媛産和栗のモンブラン 和栗アイスと渋皮煮
3つの形の栗のお菓子が一体化したデザート。特に和栗のクリームがふんだんに使われていて贅沢でした。コースの締めにふさわしい。

プティフールは、紅マドンナと白キクラゲのジュレ、紅玉のタタン風フィロ包み、メレンゲとガナッシュチョコのシャンピニオン仕立てでした。最後までキノコなのが、この店らしい。

ワインは、2014 Virginie de Valandraud
ボルドーの赤でコースを通しましたが、ヴィルジニーはガツンとパワフルなタイプではないので、カルパッチョとも問題なく合いました。シャトーヴァランドローのセカンドというより、畑は別の区画でブドウの比率も異なり、実質はまったく別のワインです。新樽100%ですが樽の香りはあくまで上品で、熟成感とは言わないものの程よい落ち着きが見られ、飲み頃と言っていい。とりわけ燻製香の効いた猪とのマリアージュは最高でした。

時短営業中ですが、まだ空席はあるようです。ご予約はお早めに…
国産キノコのシーズンはもう終盤ですが、イタリア産の良質なキノコがまだまだ届いています。ラッキーなことにポルチーニとオーヴォリ(セイヨウタマゴタケ)が届いたばかりでした。

冷前菜:フォアグラと里芋(伊予美人)のテリーヌ レモンドレッシング
長年フレンチを作り続けた本物のフランス料理人の技を目の当たりにしました。フォアグラと里芋の組み合わせなんて、誰が思いつくでしょうか。なんと同じ硬さ、同じ食感なんですよ。ネットリして濃厚な里芋とフォアグラの共演。これはぜひ体験して欲しい逸品。
そして、イタリアから届いたばかりのオーヴォリ。きれいな卵形のキノコ。新鮮なうちなら生で食べることもできる。キュキュッとした食感がなんとも心地良い。

温前菜:今治の漁師 藤本氏のコショウダイのポワレ 青海苔ソース
ミシュラン三つ星トロワグロの名物がソーモンオゼイユ、つまり鮭のソテー オゼイユソース。これをアレンジしたのがこの店の鮮魚のポワレ青海苔ソースです。ベルモットで酸味を効かせたクリームソースで魚を食べる。癖のあるオゼイユの代わりに日本の海苔を使用。神経締めで有名な藤本氏の魚と合わせれば、極上のスペシャリテになります。

キノコのソテー:イタリア産ポルチーニ
形の良いポルチーニが入荷したということで、それだけをソテーしていただきました。香り高く、贅沢でした。

主菜:伊予牛ランプ肉のポワレ セップ(ポルチーニ)ソース
サシの多いイチボよりさっぱりしたランプの方が好みです。伊予牛は噛みしめるほどに旨味がありました。先の皿のポルチーニつながりで、ソースはフランスのセップ茸。

前菜からメインまでシェフの故郷愛媛の食材がてんこ盛りでした。他にもポーチドエッグ等に使う卵が愛媛の"みかん卵"だそうです。近々愛媛食材フェアをやるようです。

デザートはニセコの山ブドウのソルベでした。ワイルドな果実感。

パンが、滅多に焼かないという蕎麦粉のパンでした。茨城県常陸太田産の常陸秋そばを使用した香ばしいパン。これだけでボトル1本ワインを空けられそう。

ワインは、
2017 Chorey les Beaune /Dom. Rollan
ボーヌ近郊のショレイレボーヌ村は、ほとんど傾斜のない平地にある村。平地のピノノワールらしく酸が柔らかいバランス型のブルゴーニュ。程よいタンニンと果実味が心地良い。

ポルチーニ、オーヴォリ、蕎麦粉のパン。たまたま巡り合わせが良かっただけですが、最高のディナーを彩るのにふさわしい食材たちでした。
サイドディッシュのキノコソテー。この季節にオーダーしない理由がないです。

アミューズ:キノコのフリチュール
カラカサタケ、トンビマイタケ、サクラシメジ。アミューズから珍しい天然キノコが次々と出てきました。

前菜: マグレ鴨胸肉の軽い燻製と紅花卵のポーチドエッグ ブルーチーズソース
前回非常に美味しかったので再びチョイス。今回のブルーチーズはスティルトンでした。鴨に卵を絡めた上にブルーチーズが加わって、ワインによく合います。キノコはトキイロヒラタケ、ヤナギマツタケ、原木椎茸、ゴールデン舞茸。グリルしたキノコを絡めるのも楽しい。

キノコのソテー:天然舞茸、オオモミダケ、香茸、ハタケシメジ、クロカワ、アカモミタケ、ショウゲンジ。
圧巻なのはやっぱり天然舞茸と香茸で、これが食べられるのは今の時期ならでは。夏キノコのオオモミダケが入るのは珍しい。そして、ほろ苦くて通好みのクロカワ。香ばしいアカモミタケ。お坊さんの形をしたショウゲンジ。贅沢な一皿でした。

主菜:信州牛イチボのポワレ セップ茸と牛蒡のソース
リンゴを食べて育った信州牛はとてもジューシー。セップ茸はともかく、牛蒡は日本人しか食べないはずなのに、しっかりフレンチのソースになっているのはさすがです。牛肉並みにジューシーなタマシロノタケが添えられてらいました。

ワインは、
1999 Savennieres Roche Aux Moines /Dm. Aux Moines
新入荷したロワールの白。20年を経たシュナンブランは初めてでした。見事なまでの黄金色。柔らかな酸、カリン、蜂蜜、若干のペトロ香。熟成による複雑味を感じるが、重厚な感じは無い。これとクレドセランがサヴニエールの双璧と言われますが、ロッシュオーモワンヌの方が熟成具合を差し引いても大人しめでエレガントですね。秋の夜長にじっくりと傾けたいワインでした。
映画「バベットの晩餐会」に出てきたという海亀のスープ。フランス料理としては有名らしいですが、今は世界的な禁漁で、ほとんど食べることはできない。その代わりにスッポンを使うのが、フランス本国でも広まりつつあるらしい。

アミューズ:キノコのフリチュール
定番のトキイロヒラタケとマスタケの他に、蕎麦の実揚げをしたトンビマイタケが出てきました。実際は羽を広げた鳶のように大きく茶色いキノコなのですが、茹でて火を通してから揚げると黒っぽくなります。キノコの種類が増える楽しい季節です。

前菜:マグレ鴨胸肉の軽い燻製と紅花卵のポーチドエッグ ブルーチーズソース
ブルーチーズは日替わりで、この日はペルシェドシェーブル。山羊のミルクで作ったブルーチーズには、好きな人にはたまらないコクと香りがあります。鴨の胸肉を卵にからめて食べるのもいいですね。飲兵衛向けの前菜でした^^

温菜:相模川産天然スッポンとキノコのスープ(+1000円)
スッポンのブイヨンの濃厚な旨味に、シークワッサーの程よい酸味と柔らかなディルの香り。肉と一緒に肝と白子が入っていました。スープを吸ったアミガサダケが素晴らしい。当然、生きたままこの店に届いたのですが、締める様子を聞いても、ここでは到底文字化できない。まぁ、聞かぬが華というやつで…

主菜:比内地鶏とキノコのロースト 赤ワインとフォアグラのソース
2ヶ月前の阿波尾鶏から変わって比内地鶏になりました。さっぱりとした旨味の胸肉に、酸味の効いた赤ワインソースと、濃厚なフォアグラソースが良く合いました。牛や豚肉よりも、鶏こそがフレンチという感じがします。その上、日本の高品質な地鶏をフレンチで食べるのは何より贅沢。キノコは比内地鶏と同じ秋田のゴールド舞茸でした。

デザート:愛媛松山の檸檬のソルベ
目が覚めるほど酸っぱいレモンのソルベ。〆には最高です。おすすめ。

ワインは、
2013 Bourgogne Viellies Vignes /Perrot-Minot
レストランでワインを飲む楽しみは、店で寝かせたワインを飲むことにあると思う。この店で飲んで以来3年半ぶりに再び飲むペロミノの2013ブルゴーニュV.V.。3年半この店のセラーで成長した証としての、エッジの煉瓦色、けぶるような熟成香、滑らかなタンニン。時が経つのは決して無駄ではないのだなぁ、と思わせる1本でした。ACブルとしては高めの値段(ブシャールの2015サヴィニーレボーヌ1級ラヴィエールと同額)ゆえになかなか売れなかったようですが、こういうのこそ狙い目だと思う。残り2本だそうです。

秋の美食としてふさわしいスッポン。この店の新たな名物になるかも?


メニューにアスパラダケと書いてあると「いくらキノコフレンチの店だからって、アスパラガスを間違えるなんてやーねー」と思いがちだが、実は本当にあるのですよ、アスパラダケ。
ただし、キノコではない。夏の暑さのため、上に伸びきらずに土の中に隠れたアスパラガスのことだそうです。ちょっとタケノコに似てるのでアスパラダケ。

アミューズ:白キクラゲ入り冷製ポタージュ
甘酒のような冷製コーンポタージュの中に、涼やかな白キクラゲが隠れています。夏バテが吹き飛びそう。

冷前菜:アスパラダケと紅花卵のポーチドエッグ ニセコの赤石さんの原本生ハム添え
アスパラ王国とうたわれる香川県産のアスパラダケ。ずんぐりした形で、先端だけほのかに緑色。伸びきらなかった分の栄養が甘味として凝縮されてます。ソースは酸味のある赤ワインとエストラゴンのソースで、さっぱりといただけました。コクのある紅花卵とシャルキュトリ赤石の生ハムは相変わらず美味しい。

季節のキノコのソテー:白舞茸、ヤナギマツタケ、チチタケ、オオモミタケ、仏産ピエブルー、佐渡島産アンズタケ、タモギタケ、ハタケシメジ。中央にムラサキヤマドリタケ。
圧巻なのは国産セップのムラサキヤマドリタケで、傘にネットリとした旨味があって香り高い。そして、国産ジロールのアンズタケ。仏産と比べてやや色が薄い。実はジロールはソース用の小さい方が珍重されるのだそうだが、ソテーならこういう大きい方が食べ応えがあって良い。余談ですが、チチタケの隣にモミタケを置かないという暗黙のルールがあるらしいのですが、今回は並んでました。説明中にどうにも笑ってしまう客がいるんだそうで…やーねー

主菜:和牛のウィンナーシュニッツェル
とある常連客のリクエストで作ったというウィンナーシュニッツェル。出てきた皿を見て、絶句、驚愕、なんじゃこりゃあ!叩いて薄く伸ばした宮崎牛にパン粉をまぶして揚げるように焼いたシュニッツェル。さっぱり食べられるようにソースはヴィネガーを使ったラヴィゴット。そして、度肝を抜くのが一面に敷かれた生のジャンボマッシュルーム。シュニッツェルとは対照的に油分の無いさっぱりしたキノコは、柔らかいシュニッツェルと一緒に食べると絶妙の相性でした。見た目だけでなく、きちんと計算されているのです。
もし、この特製ウィンナーシュニッツェルを食べたい方は、前日までに連絡を。おすすめですよ。

ワインは、
Champagne Tradition Extra Brut /Lelarge Pugeot
ルラージュ プジョーのスタンダードキュベ。ピノムニエ65、ピノノワール25、シャルドネ15。ムニエ主体のクラシカルなシャンパンは、硬質でシャープな酸が印象的。夏にはこのくらいの酸っぱさが心地良い。

2017 Ladoix Le Cloud /Prieure Roch
引く手あまたのプリューレ ロックのラドワがオンリスト。プリューレ ロックらしい甘い香りが印象的。ビオっぽいピュアな酸に、旨味系の味わいが広がっていく。しかし、いつ見ても厨二病的なエチケットです。ゼーレ入ってますね。

夏のキノコとフレンチは元気をくれます。
「マッシュルーム通信」というお店のメールが届きました。支配人がお店のお知らせ等を不定期に送ってくるのですが、今回の通信は文面から興奮が伝わってきました。
「今年は夏キノコが盛り沢山!夏にキノコを食べずして、いつ食べるのか」という宣伝文句に誘われて、今月2度目の訪問です。

Bコース+キノコのソテー
冷菜:スイカのガスパチョ
白キクラゲが涼やかな甘いガスパチョ。スイカの自然な甘さの裏にピリ辛が隠れています。蒸し暑い季節に体力が付きそう。ムール貝、ツブ貝、ホッキ貝、ヨコスジフエダイといった魚介が入っていて、ワインのアテにもなります。

キノコのソテー
痛恨の写真撮り忘れ。キノコの名前をメモするのに夢中になってしまいました。オオモミダケ、ヤマドリタケモドキ、ヤマドリタケ、シモコシ、ハタケシメジ、ジロール、アイタケ、天然ハナビラタケ。
夏の松茸とも言われるオオモミダケは山岡シェフのお気に入りキノコ。ヤマドリタケとヤマドリタケモドキの食べ比べができるのはこの店ならでは。どちらも味わいや香りの強さに遜色は無く、好みの差だけです。モドキの方が低地の広葉樹に生え、ヤマドリタケがやや高地の針葉樹に生えるため、モドキの方が多く採れて価格が低いらしい。シモコシは霜越と書き、晩秋のキノコなのですが、何故か夏に採れたというもの。アイタケは藍茸と書く緑色のキノコで、写真で見るととんでもない色をしてます。

温菜:タマゴタケのリゾット
少量ながら入荷したとのことで、迷わずオーダーしました。夏キノコの代表格で、煮汁もタマゴ色なので、リゾットにすると真価を発揮する。旨味の濃いキノコだが、テングダケとそっくりなので、素人は手を出しちゃダメなキノコの代表格でもある。もちろん、こちらのキノコは、プロのマタギさんが採ってくる物なので安心です。

主菜:徳島阿波尾鶏のロースト ガルムソース
「マダムがいたら胸肉をゆずれ」という言葉があるそうで、フランスでは腿肉より胸肉の方が好まれます。日本で腿肉の方が好まれるのは、唐揚げのせいだと思う。阿波尾鶏の胸肉は、ブレス鶏と比べても遜色のないほど旨味が濃く、ガルム(魚醤)を使ったソースとよく合いました。

ワインは、
2012 Bourgogne Rouge /Gerard Mugneret
ヴォーヌロマネ村のミュニュレ一族に名を連ねるジェラール ミュニュレ。日本ではマイナーな作り手だが、質の高いワインを作っている。畑の詳細は不明だが、硬質な酸はオーコートドニュイの村を連想させる。手頃なワインだが、程よい熟成感があって飲み頃でした。

まさしく夏キノコ本番。楽しい季節が来ました。
「まあ…フランスでドイツワインを注文するとは、なんて命知らずなんでしょ!!」
新谷かおる作「エリア88」の一場面。
実際のフレンチレストランで、ドイツワインをオーダーして怒られることは無い。むしろ、夏のフレンチにはさっぱりとしたドイツワインがおすすめです。この夏、マッシュルームにも3種類がオンリストしています。

アミューズ:マスタケとトキイロヒラタケのフリチュール
もう何度となく食べたマスタケですが、本当に不思議なキノコです。火を通すと鶏のササミのような食感になる。大きくなると硬くなるので、若い内じゃないとダメなのだそうです。

前菜:ホワイトアスパラガスと紅花卵のポーチドエッグ ニセコの赤石さんの原木生ハム添え
今春コロナ禍で食べられなかった人たちのために、ホワイトアスパラがオンリストしています。春のドイツの市場はどこに行ってもホワイトアスパラが山積みでした。シンプルに茹でて、ハムの塩味と共に食べるのが本場流。シャルキュトリ赤石の生ハムなら最高の組み合わせ。

メイン:鹿児島純正黒豚ロースのポワレ エノキと黒胡麻のソース
白ワインに合わせてメインは豚肉をチョイス。Aコースのメインではもっともボリュームのある皿になります。真っ白なエノキソースはこの店のスペシャルソースで、癖のないソースだと思っていたのですが、改めて食べてみると、エノキダケのふんわりとした独特の風味があって実にいい。黒胡麻ソースの色と味わいのコントラストもいい。

デザート:鹿児島のオーガニックグレープフルーツ果汁を加えたフロマージュブランのソルベ
新作ソルベはチーズとグレープフルーツのソルベ。ネーミングが長い(笑)。ほんのり苦味が大人の味。夏のコースはさっぱりとしたソルベで締めるのがおすすめです。

ワインは、ドイツワイン3本開け(爆)
2018 Riesling Venture /Breuer+Mehrlein+Lunden
ラインガウを代表する若手3人、ゲオルグ ブロイヤーの当主テレーザ、醸造長のマルクス、ブドウの産地エストリッヒ村のルンデン氏によるジョイントベンチャー。その名もリースリング ベンチャーで、そのまんまのネーミング(笑)。キレのある辛口だが、しっかりした糖に支えられた、コストパフォーマンスの高いワイン。

2014 Spätburgunder Rose /Georg Breuer
シュペートブルグンダーはピノノワールのことで、皮を除いて醸造するブランドノワールと同じ作りだが、最後に1%だけピノノワールの赤ワインを加えてロゼにしている。ピンクの色合いはもとより、これがほのかな甘みとボディを形成しているような気がする。「ピンクの方がかわいいじゃない!」という当主テレーザの意向でロゼにしたとのことだが、大当たりだと思う。

2006 Oestricher Lenchen Riesling Spatlese /Peter Jakob Kuhn
約14年を経た熟成リースリング。ペーター ヤコブ キューンというマイナーな作り手だが、質の高いシュペトレーゼで、本当に綺麗に熟成しています。アルコール度数は8.5%と低いので、蒸し暑い夏でも飲み疲れることがなく、じんわりと身に染みていくようでした。

夏のフレンチとドイツワイン。おすすめです。


今年も夏のスペシャリテが始まりました。再開して本当に良かった…。さらに6月はボトルワイン10%off実施中です。

・鮎と夏トリュフのムース ミントで和えたメロンを添えて
鮎は山梨から静岡にかけての天然物を使用。これをワタごとムースにするには秘伝の技が必要で、他店では食べることのできない正真正銘のスペシャリテ。初夏のうちはメロンが添えられ、ムースと混ぜることによって、皿の上で香魚として蘇ります。さらにトリュフの香りがフレンチらしい。普通の白ワインでは負けてしまうので、シャンパンか、クレドセランのような濃厚な白ワインと合わせるのがおすすめです。添えられている茶色いのはレバーではなくて、カンゾウタケというキノコです。

・岩手産アイナメのポワレ 青海苔のソース
青海苔のソースは海の香りがするこの店のスペシャルソース。青海苔とベルモットの香りが絶妙のバランスを保っています。ちなみに鮎に似ているので鮎魚女(アイナメ)というのですが、この日の魚だったのは偶然です。

・仔羊背肉のロースト オリーブとジュのソース
シャトー ムートン ロスシルドを持ち込んだので、メインもムートン(羊)にしました。ジューシーな仔羊と熟成したボルドーの完璧なマリアージュ。なお、持ち込み料は1本につき3000円で、さらにワンドリンクオーダー必須です。あと、これはルールではないのですが、良いワインの場合、グラス1杯分ほど店のために残すのがエチケットかな、と思います。

・練乳のソルベ コーヒーのジュレを添えて
新作ソルベは自家製の練乳。卵やクリームを加えてないのに濃厚なコクがありました。

ワインは、
Champagne Blanc de Blanc /Henriot
華やかな印象のあるブラン ド ブラン。アンリオのシャンパンはすべてのクラスでレベルが高いのですが、スタンダードなスーヴェランよりちょっと贅沢したい時におすすめ。

1997 Chateau Mouton Rothschild
ラベルの絵はフランス人画家ニキ ド サンファルによるもの。アタックは強め、滑らかなタンニン。果実味は影を潜め、熟成したブーケ、とりわけチョコレートのニュアンスが印象的。1997年のボルドーはあまり良い年ではなかったが、まだ力強さがあり、今でも飲み頃を保っているのはさすがムートンというべきか。

雌伏の時を経て立ち上がったレストランマッシュルーム。夏キノコのシーズンを迎えて、再スタートを切りました。
緊急事態宣言を受けて5月6日まで休業。こんな形で27周年を迎えるとは…とても残念です。
しばしの別れの昼餐に、車で訪れてみました。近隣で最も安い駐車場が200円/15分…さすが恵比寿です。高い。ちなみに店のはす向かいの駐車場は400円/15分で、とてもじゃないけど止められない。

・秋田産舞茸のポタージュ
栽培物の中でもトップクラスの品質を誇る秋田十條きのこ園の舞茸を使った濃厚なポタージュ。舞茸の香りが口いっぱいに広がりました。

・豚肩ロースのポアレ スパイスソース
スパイスソースはランチのみ使われるソース。スターアニスの甘い香りが印象的。筍、菜の花といった春野菜の他に、この季節ならではのモリーユ茸を添えていただきました。ありがたい。

・紅玉のタタン風フィロ包み タヒチのバニラビーンズを使ったアイス添え
タルトタタンの中身をパートフィロに包んでパリパリに焼いた焼き菓子。結構ずっしりしたボリュームがありました。

きっとまた逢えることを約束して退店。
「ナヴァロンの要塞」をDVDを借りて観ました。半世紀以上前の映画とは思えないほどの出来栄えで、手に汗握りました。

久々に2500円(税サ別)のランチコースを。
・砂肝のコンフィ 紅花卵のポーチドエッグ添え
砂肝のコンフィよりキノコが目立ってます(笑) トキイロヒラタケ、ヤナギマツタケ、ハタケシメジ、原木椎茸。キノコとコンフィを、山形の山田ガーデンファーム謹製紅花卵の濃厚な黄身に絡めつつ食べるのは贅沢。

・仔羊と野菜の煮込み(ナヴァラン)
ナヴァランの語源は諸説あるようですが、最も有力なのが蕪(ナヴェ)に由来する説だそうで、ナヴァロンの要塞は関係が無い。蕪と共にキノコが入っているのがこの店らしい。春野菜を使ったナヴァランのことを特にナヴァラン・プランタニエールと呼ぶそうで、これも季節の料理なのですね。仔羊肉は柔らかく、重層なフォンが溶け込んだスープが絶品で、これがランチタイムしか食べられないというのが残念。

デザートは、胡桃をふんだんに使った香ばしいケーキと、濃厚なキャラメルアイスでした。

ワインは、
2017 Chablis 1er cru Vaillons /William Fevre
下手なシャブリはボディが細く、強い酸ばかり際だって飲み疲れしてしまうが、1級畑のヴァイヨンは適度にボディがあり、蜂蜜のニュアンスも加わって、飲んでいて楽しい。

来月13日で27周年だそうです。
冬の寒さを過ごして、ようやく脂がのった猪のスペシャリテが登場しました。

・仏産ホワイトアスパラ 北海道シャルキュトリ赤石の生ハムと紅花卵のポーチドエッグ添え
春を告げる食材であるホワイトアスパラ。激動の世の中にあっても、自然は季節の移ろいを人に教えてくれます。こういう事を見失わずにいたいものです。

・牡蠣とキノコのリゾット
春になると、山の養分をたくさん含んだ雪解け水が河口に流れ、牡蠣は産卵に備えて栄養を蓄えようとします。牡蠣はこの時期からグリコーゲンが一層高まるそうです。大粒の牡蠣2個に牡蠣のピュレ、さらにジロール茸を贅沢に使ったこの店ならではのリゾットでした。

・岡山産猪バラ肉の煮込み 軽く燻製をかけて 牛蒡のソース 黒胡椒のムース添え
2月半ばになってようやく登場したこの店のスペシャリテ。猪はバラ肉が一番旨い所で、バラ肉は煮込みが一番良い食べ方だと思う。大地の香りのする牛蒡のソースが、猪肉に本当に良く合う。歯応えのあるタマシロノタケも旨い。

・ショコラドゥーブル
チョコのスポンジケーキとムースが二層(ドゥーブル)になっています。ヴァローナチョコレートのファンは必食のデザート。

ワインは、
2013 Cornas /August Clape
コルナスを代表する作り手であるオーギュスト クラープ。コートロティやエルミタージュに並ぶ地位にコルナスを押し上げたのは、彼の存在なくしては語れない。太い骨格でスケールの大きなワインでありながら、驚くほど滑らかなタンニン。2013はようやくこなれて来た感じがあって、飲み頃に差しかかっています。

来月で27周年だそうです。凄いことです。
寒い冬にこそ食べたいポトフ。旬の走りのホワイトアスパラも出始めました。

・フランス産ホワイトアスパラガス シャルキュトリ赤石の生ハムと紅花卵のポーチドエッグ添え
アスパラはまだ小指程度の太さですが、春の到来を告げているようで、思わず顔がほころびます。生ハムは貴重な北海道のシャルキュトリ赤石のもので、チーズのような風味がありました。紅花卵の半熟ポーチドエッグはコクがあり、アスパラと絡めて食べれば言うことなし。

・和牛とキノコのポトフ
仙台和牛赤身の脂の少ないところをじっくり煮込んであります。肉とキノコと野菜の旨味が溶け込んだスープが絶品でした。メインがポトフで追加料金1000円?と一瞬ためらうかもしれませんが、食べれば納得。満足しました。

・とちおとめのソルベ
新作デザートはとちおとめのソルベ。さっぱりとした締めくくりにふさわしい。

ワインは、
2006 Vire Clesse Cuvee Levroutee /Dm. de la Bongran
良い貴腐菌がついた年のみに造られ、10年に2、3回しか造られない希少なキュヴェ ルヴルテ。2006年はボングラン史上屈指の出来栄えであり、ルヴルテがリリースされています。花やハーブ、胡椒の香りに蜂蜜、バタースコッチのニュアンスが加わる複雑な味わい。下手なコートドールの白ワインが太刀打ちできない、マコネーの最高傑作。

ちなみに、猪のバラ肉煮込みがようやくオンリストしています。近いうちにもう一度来なければ!
和牛のポワレ セップソースはこの店のスペシャリテですが、今冬、鹿児島の「のざき牛」が入荷しています。のざき牛は、日本で初めて個人名を冠したブランド牛です。個人名の牛というと宮崎の尾崎牛が有名ですが、響きが似てますね^^; 牛に敬意を払い、「牛さん」と呼んで大切に育てられた牛肉は、他の和牛とは一線を画しています。

・フォアグラプリン マッシュルームのポタージュとトリュフのクーリ
濃厚な味わいの一皿です。フォアグラはもちろんですが、マッシュルームとトリュフの2色のソースもまた濃厚な旨さがあります。最初から赤ワインで行きたい人向けの前菜。

・のざき牛のポワレ セップ茸のソース バルサミコのクーリ
赤身のもも肉ですが、サシがやや多め。と言ってもしつこさはなく、柔らかく旨味のある肉です。セップソースも合いますが、バルサミコのクーリがさっぱりと食べさせてくれました。ソースと共に添えられたフランス産セップ茸のソテーも贅沢です。

・岡山産桑の実のソルベ
新作ソルベは桑の実です。ちょっぴりワイルドな酸味。

ワインは、
2013 Ch. Beau-Sejour Becot
この店のワインリストにはニューワールドがほとんどなく、ブルゴーニュでも比較的新樽を使わない作り手がオンリストしているが、ボーセジュールベコは新樽100%。そのせいか、メルロー主体のサンテミリオンのワインにしてはかなりタニック。荒々しささえ感じるが、さりとて下品ではない。ボルドーのグランヴァンらしい1本でした。

この店の冬のスペシャリテである猪バラ肉の煮込みは、まだオンリストしていませんでした。まだシェフの眼鏡にかなう脂のノリではないらしいです。



キノコシーズンは終盤ですが、メニューには蝦夷鹿や青首鴨等のジビエがオンリストする季節になりました。しかし、この季節の楽しみは別にもあります。

アミューズ:フリチュール カンズリのソース
カミナリイカとトキイロヒラタケ、そしてこの時期には珍しい天然フキノトウのフリチュール。白神山地からだそうです。

静岡産くぬぎ鱒のコンフィ 木の芽ソース
新メニューの鱒のコンフィです。くぬぎ鱒は富士山麓で薬を一切使わずに養殖した鱒だそうで、しっとりとした身と燻製の香りが印象的。

今治藤本氏の鮮魚のポワレ 青海苔ソース
温前菜は色々あるのに、ついオーダーしてしまう鮮魚のポワレ。この日は大好きな太刀魚。青海苔ソースは山岡シェフのスペシャルソースの一つですが、以前この店を訪れた時、アルザスで料理人をやっているというフランス人の客が、しつこくレシピを聞いていたのを見たことがあります。ベルモットの香りと海苔の香りの相乗効果が素晴らしい。

イタリア産仔牛フィレ肉のポワレ 和栗ソース
淡白で柔らかい仔牛肉が、この時期ならではの和栗ソースをまとえば極上の一皿になります。ほんのり甘い、季節を感じさせるソースです。フランス産セップ茸が添えられていてさらに贅沢。

ワインは、
2014 Chassagne Montrachet Clos Saint Jean /Paul Pillot
ポール ピヨのクロ サン ジャンは、白ワインにもかかわらずタンニンを感じます。魚介から仔牛肉まで相性はばっちりでした。

猪の煮込みはまだオンリストしていませんでした。例年通り、年明けからのようです。
残暑が厳しい季節には、肉ではなく魚介のコースが食べたくなるものです。加えて夏キノコも。

・マナガツオとタコのカルパッチョ ハナビラタケ添え 実山椒のドレッシング
「西海にサケ無く、東海にマナガツオ無し」という言葉があるほどマナガツオは西を代表する魚ですが、流通の発達により、昔は東京では食べられなかった生のマナガツオを食べることができます。それでも珍しいことには変わりないので、鮮魚のカルパッチョでこれが出てきた日は当たりだと思う。瀬戸内の蛸も、身が締まっていて美味。

・アカヤマタケとホタテのリゾット
本来ならタマゴタケの時期ですが、今年は猛暑の影響で入荷があまり無いそうで、同じく夏キノコのアカヤマタケでリゾットを作っていただきました。カレーのような色合いですが、すべてアカヤマから出た煮汁です。超贅沢な一皿になりました。

・ヨコスジフエダイのポワレ トマトとケッパーのソース
神経〆で有名な藤本氏の鮮魚は、この日はフエダイ。これも西から南方系のイメージがある魚で、赤い皮目の色合いを残して焼いてあり見た目も美しい。トマトとケッパーのソースがさっぱりと夏向けでgood。

ワインは、
2014 Clos de la Coulee de Serrant /Nicolas Joly
ビオディナミの伝道師と呼ばれるニコラ ジョリーのワイン。彼のワインは「作ったらこうなった」と言わんばかりの、ヴィンテージチャートが当てはまらないワインで、かつては正直あまり美味しくないものもありました。しかし、「究極のシュナンブラン」と言われるほどの傑作を生み出した2004年以降、だいたい安定して旨いワインを作り続けています。それはビオディナミでもなんでもなく、収穫時期を遅らせ、貴腐化したブドウを混ぜるようになったからだとか。2014年はやや大人しめだが、それはクーレドセランとしてであって、通常のロワールの白よりはるかにスケールが大きい。ただ、抜栓直後の酸が厳しいのは相変わらずで、デキャントして1時間は置いておきたいところです。

さっぱり系のフレンチとキノコに白ワイン。猛暑を乗り切る気力が湧いてきました。
キノコのスペシャルソースによる和牛ステーキはこの店の名物料理でしたが、この夏からシャロレ牛がオンリストしました。フランス原産の、脂肪の少ない赤身肉になります。

・赤鶏さつまレバーとイベリコ豚のパテ
いわゆるパテ ド グランメールですが、肉とレバーにブランド物を使っているという贅沢なパテ。キノコのフリチュールが添えられるのがこの店らしい。

・フランス産シャロレ牛フィレ肉のポワレ マデラ風味の牛蒡ソース
牛蒡ソースは、この店では猪肉にも使っている大地の香り高いソース。香ばしく焼き上げられた牛フィレ肉に良く合いました。サシが少なくて、まさしくフランス人好みの牛肉。

ワインは、
2014 Saint-Joseph Terre d'Encre /Dm. Georges Vernay
ローヌ川を挟んでエルミタージュの対岸にあるのがサンジョセフ。さほど広くもない川幅を越えるだけでワインの値段が3倍に跳ね上がるのを、サンジョセフの住民たちはどんな気持ちで見ているのでしょうか。ジョルジュ ヴェルネはコンドリューで名を馳せた作り手ですが、シラーで作るサンジョセフも非常に高品質です。エルミタージュと比べて若干軽めですが、夏に飲むならその方がいい。

サシの少ないさっぱりとした赤身肉と、軽めのローヌワイン。夏向けのフレンチとしておすすめです。
ファンの多い夏のスペシャリテ、鮎と夏トリュフのムースは、今年は6月11日から始まりました。

・鮎と夏トリュフのムース フィレのソテーバジルソース ミントで和えたメロンを添えて
トリュフの香り、鮎の旨味、ワタのほろ苦さが渾然一体となって口の中に広がる、唯一無二の料理です。色々な食べ方がありますが、そのままでも、メロンと混ぜても、酸味のあるライ麦パンにのせても良し。季節が進むとメロンが桃に変わりますが、個人的にはメロンの方が好みです。

・赤ピーマンとトマトのガスパチョ 甘エビと鮮魚のタルタル 白キクラゲをのせて
カルパッチョに使っている鮮魚と甘エビのタルタルの周りに、ほんのり辛いガスパチョを流した夏向けの前菜。この日の鮮魚はフエダイで、白キクラゲが涼やかな雰囲気を醸し出していました。

・今治藤本氏のスズキのポワレ ニラバターソース ハナビラタケのグリエ添え
4月に山岡シェフが参加したキッコーマンライブキッチン東京で大好評だった鮮魚のポワレ ニラバターソース。これを再現してもらいました。プリプリのスズキに香り高いバターソースが、暑さで疲れた身と心に活力を注ぎ込む夏向けの一皿になっていました。今後レギュラーメニューとして定着するといいなぁ。

ワインは、
2015 Pouilly-Fuisse Vignes Blanches /Dm. Saumaise Michelin
ビオディナミの作り手ソメーズ ミシュラン。プイィ フュイッセながらピュアな酸に樽香は、シャサーニュ モンラッシェ辺りの白を彷彿とさせる。ただ、温度が高いと樽香が浮き気味になるので、やや冷やし目がいいかも。

山では梅雨の雨でキノコがドッと生える季節です。これからがこの店の真骨頂です。
静岡県の一部河川では5/20から鮎釣りの解禁です。旬の走りの小さな鮎ですが、楽しみな季節がやってきました。

・天然鮎のコンフィ 木の芽ソース
ワタの味がこれほど豊かな魚って他にあるでしょうか?そして、実のところ身も旨い。この店のスペシャリテである鮎と夏トリュフのムースにするにはちょっと小さい鮎を、今年はコンフィにして出しています。木の芽ソースが初夏らしい香りで心地良い。頭も骨も食べられる濃厚な味わいのコンフィは、リースリングに良く合いました。
2013 Riesling Trocken /Robert Weil
ちょうどグラスで出していたロバート ヴァイルのリースリング。5年を経てもまだまだフレッシュで、相変わらず高品質。

・山菜とキノコのフリチュール
通常メニューにはない、この日の温前菜。コシアブラ、イタドリ、行者ニンニク、シドケ、タラノメ、タケノコ、トキイロヒラタケ、原木シイタケ。ほんのりカレー風味のフリットは、白ワインにも赤ワインにも良く合いました。行者ニンニクは揚げても香りが強いのが驚き。

・ピレネー産乳飲み仔羊のロースト グリーンオリーブとアンチョビ風味のジュと、エストラゴンのソース 舞茸とハナビラタケのグリエ添え
春先に生まれた乳飲み仔羊が出回る季節です。絶妙な火入れで旨味を最大限に引き出された繊細な肉質の仔羊。これもまたフレンチらしい逸品でした。

ボトルで開けたのは、
2008 Cote de Nuits-Villages /Philippe Charlopin Parizot
ブルゴーニュのスター、シャルロパン・パリゾですが、お手ごろ価格のコート ド ニュイ ヴィラージュも作っています。アプリコッティなニュアンスが印象的ですが、10年を経た熟成によって深みが増し、今まさに飲み頃でした。

さて、熱烈なファンの多い鮎と夏トリュフのムースですが、来月早々にはオンリストするそうです。楽しみです。
地球征服を企む悪の総裁でも、失敗しない外科医でもなく、遊星から来た物体でもない。ましてや超有名なロックバンドとは何の関係もない。TOKYO X(トウキョウエックス)とは、東京都が生み出したブランド豚のことです。

・ホワイトアスパラと生ハム 紅花卵のポーチドエッグ添え ゴルゴンゾーラソース
残念ながら北海道のシャルキュトリ赤石の生ハムは終了しました。供給が追いつかないらしいです。代わりにハモンセラーノになりましたが、これもまたチーズのような風味で美味しい。アスパラと生ハムを半熟卵の黄身と絡めて食べるのって大好きです。

・TOKYO X ロースのポワレ エノキのソース
全国のブランド豚の多くが脂身の旨さをうたいますが、TOKYO Xはどちらかと言えば肉の旨さを押し出しています。エノキのソースはこの店のスペシャリテで、ほぼ豚肉専用のソースになってますが、程よくサシの入ったロース肉とよく合いました。黒いソースは黒ゴマのソースで、これも豚肉にぴったり。添えられたキノコは、富士山麓で採取され、群馬で栽培に成功したユキワリタケ。 小気味良い歯ごたえが印象的なキノコ。

ワインは、
Champagne Ay Grand Cru Brut Tradition /Gatinois
アイ村の特級畑の葡萄で質の高いシャンパンを作るガティノワ。ピノノワール90、シャルドネ10というが、醸造段階で果皮を浸漬するタイミングでもあったのか、ロゼのような色調をしている。間違ってラベルを貼って出荷してしまったのではないか?と疑ってしまった。ラベルの2018はデゴルジュマンをした年で、ミレジメと誤解されそうだけど、こだわりなのかしら。色々ツッコミ所の多いシャンパンです。
この店が不定期に開催しているワイン会に参加してきました。今回はシャンパンメーカーのブールデールガロワで、当主のダヴィド ブールデール氏を迎え、輸入元アオセフランスのアントワーヌさんの解説付きでした。アントワーヌさんもシャンパーニュ地方の生まれで、東京の天ぷら小野でソムリエをしていた経歴があり、日本語が堪能です。
ワイン会の楽しみといえば当然ワインなのですが、それに合わせた通常メニューにはない料理が出るという楽しみもあります。

・レゼルヴ(ピノノワール40、ピノムニエ40、シャルドネ20)熟成4年 ドザージュ無し
・ホワイトアスパラガスと帆立貝 ポーチドエッグ添え ラヴィゴットソース
アプリコットのニュアンス、繊細な泡。畑のあるシャンパーニュ北部は遙か昔に海だった砂地のため、塩のようなミネラルを感じます。そのため、ホワイトアスパラの通常メニューは生ハム添えのところを帆立貝に差し替えてあって、これがとても良く合いました。

・トラディション(ピノムニエ100)熟成4年 ドザージュ無し
・貝、ウニ、天使の海老、白キクラゲ オマールのジュレ仕立て
ブールデールガロワの代名詞的なシャンパン。ピノムニエ100%で、レゼルヴよりもフレッシュ感とミネラル感が強め。これには通常メニューにない魚介のカクテルを合わせました。贅沢です。

・ブラン ド ブラン(シャルドネ100)熟成4年 ドザージュ無し
・天然真鯛の軽いフュメ 柑橘バターソース ハナビラタケのグリエ添え
ピノムニエとは異なる柑橘系の香りと、よりしっかりとした酸があります。有名なシャンパンにはブラン ド ブランが多いため、やはり醸造家として作ってみたくなるようです。それに合わせた柑橘系のソースと、直前に軽く燻製をかけた真鯛とのマリアージュが素晴らしい。魚のフュメは、将来的に通常メニューでも出してもらいたいものです。

・プレスティージュ(ピノノワール40、ピノムニエ20、シャルドネ40)熟成5年 ドザージュ無し
・阿波尾鶏とフレッシュモリーユのフリカッセ
ブールデールガロワの上級キュベ。ドザージュ(甘みの追加)が無いにもかかわらず、蜂蜜のようなニュアンスを感じます。メインはこの季節ならではの生モリーユ(アミガサタケ)と地鶏のクリーム煮でした。シャンパンと合わないわけがない組み合わせ。

・エノキプリン
・ショコラドゥーブルとグラスセップ
デザートは2皿でした。エノキのプリンは奇をてらったものではなく、みじん切りにしたエノキの食感を楽しむという必然的な意味があります。ショコラドゥーブルはスポンジとムースが二層(ドゥーブル)になったケーキ。ヴァローナのチョコがふんだんに使われています。セップ茸のアイスは、これも奇をてらったわけではなく、香りを楽しむデザートです。

すべてシャンパンという贅沢なワイン会でした。次の開催は未定だそうですが、またの企画を期待したいところです。


春の訪れを告げる食材のひとつにホワイトアスパラガスがあります。3月に入って一斉にフレンチレストランがこれをメニューに載せ始めましたが、ここマッシュルームの皿はひと味違うのです。

・ホワイトアスパラと北海道赤石さんの原木生ハム 紅花卵のポーチドエッグを添えて ゴルゴンゾーラソース
アスパラとハムは欧州でも定番の組み合わせだが、シャルキュトリ赤石の切りたて生ハムとくれば、それだけでスペシャリテになる。濃厚な半熟卵やゴルゴンゾーラと絡めれば、もう言うことなし!一皿目から赤ワインで行けます!

・今治藤本さんの黒鯛 下仁田ネギソース
近所のレクテも最近使い出した藤本さんの鮮魚。しかし、同郷の山岡シェフはかなり早い段階からこの人の魚を使っている。しっとりとした完璧な火入れに、魚と相性の良いネギのソースが絶妙のハーモニーを奏でます。

・京都丹波産猪バラ肉の煮込み 軽く薫製をかけて 牛蒡のソースと黒胡椒のムース
山岡シェフの冬のスペシャリテ、猪バラ肉の煮込み。ジビエが苦手な私でも、この料理だけは毎年楽しみにしている。古くから野生猪の食肉化に努めてきた丹波はそれだけブランドであり、一番美味しい部位であるバラ肉は結構いい値段がするとのこと。そして、猪なんて一年中獲れそうなものだが、シェフのお眼鏡にかなうのは、脂がのった冬から早春にかけての短い期間のみ。丁寧に日本酒で煮込み、オーダーが入ってから薫製をかけ、大地の風味がある牛蒡のソースによって、極上の一皿になる。黒胡椒のムースが添えられるが、これはパンにつけても美味しい。これだけでワインがすすむ逸品。

ワインは、
2011 Volnay /Henri Boillot
アンリ ボワイヨのヴォルネイは超熟タイプであり、7年を経てもまだまだ堅さを感じる。しかし、ゆるやかに立ち上るブーケと、バランスの良い味わいが、コースを通してもまったく飲み飽きさせない。

来月で26周年だそうです。凄いことです。

キノコのハイシーズンは終わり、栽培もの(といっても普通には買えないもの)が主流になる季節ですが、入れ替わるように冬の風物詩、牡蠣と下仁田葱が登場です。

アミューズ:フキノトウとトキイロヒラタケのフリチュール
新年早々にフキノトウが登場。意表を突かれました。

冷前菜:スペイン産ウサギとニンギョウタケのジュレ寄せ 秋田産兎のレバームース添え サルナシのピュレと香草のソース
冷菜の新作はウサギのジュレ寄せ。癖のないウサギ肉とニンギョウタケの歯触りが楽しいですが、ワインのアテとしてはレバームースの方が飲兵衛的に嬉しい。サルナシのピュレはゼリー寄せに、イタリアンパセリやディルを使った香草のソースはレバームースにそれぞれ合いました。

温前菜:牡蠣とキノコのリゾット
タモギタケは蛍光ペンの黄色のような派手な色合いのキノコですが、鍋にするといい出汁が取れます。これをみじん切りにして、牡蠣と共にリゾットに仕立てているのですが、さらに牡蠣のピュレがかけられて旨味を濃厚にしています。この店ならではのリゾットです。

メイン:愛媛今治 藤本氏が釣ったスズキのポワレ 下仁田葱ソース
人気沸騰、高級レストランに引く手あまたの藤本氏の鮮魚。同じく愛媛出身の山岡シェフの熟練の技によって、最高のポワレに仕上がってます。下仁田葱ソースは、この店の冬のスペシャルソース。ユリ根のピュレと共に白と緑のマーブルを描く皿は、食べる前からワクワクさせてくれます。

・ 長野県富士見町産ルバーブのコンポート 生姜のアイスをのせて
甘いものが苦手な男性に、あるいは酸っぱいものが大好きな女性に人気のデザート。ランチでも出していますが、食事をさっぱりと締めくくれるのがいいですね。

ワインは、
2014 Chassagne-Montrachet Les Caillerets /Jean-Noel Gagnard
カイユレはシャサーニュでも評価の高い1級畑。ジャン ノエル ガニャールのワインは樽香が抑え気味で、香水やバラの香りが立ち上ってエレガント。時間をかけてじっくり飲むべきリッチなシャルドネ。

余談ですが、名物のキノコのソテーが冬になって値下げしています。お得ですよ。

9月下旬から10月いっぱいが一年でもっとも多様なキノコが並ぶ季節になります。なのに、この日は4テーブル…フレンチ好き、きのこ好きの皆さんに言いたい。この店に今行かずして、いつ行くの?

プリフィクスのコースが基本ですが、きのこ尽くしのコース(2名以上。要予約)の他に、予算に合わせたおまかせコースをオーダーすることもできます。これも2名以上、要予約です。きのこ尽くしと違うのは、皿数が少なくなる分、一皿ごとのポーションが多めになります。

・豆乳のブランマンジェ ペルノー風味
甘くないブランマンジェ。口に含むとペルノーの香りが鼻に抜けていきます。天然ナメコとシャカシメジ添え。シャカシメジは砂が混じらないよう下処理が大変なんだそうです…

・天然舞茸のグリエ 豆乳と赤ワインの2色のソース
おまかせの前菜は、届いたばかりだという天然舞茸のグリエ。味も香りも最高でした。豆乳のソースは、この店のスペシャルソースであるガルムソースの進化版で、2色のソースのコントラストが美しい。

・季節のきのこのソテー
12時の位置からオオモミタケ、ハナイグチ、タマゴタケ、クロカワ、オオツガタケ、ヤマイグチ、アカモミタケ。夏のオオモミタケやタマゴタケから、秋のクロカワ、オオツガタケに切り替わる時期なのだそうです。なかでもオオツガタケはシェフの一番のお気に入りだそうで、旨味、歯ごたえ共に群を抜いています。傘がトロリ、柄がシャキシャキしたイグチ系のきのこもgood!

・宮崎牛ブリスケのポワレ マッシュルーム、トリュフ、セップの3種のソース 国産セップのソテー添え
ブリスケは前脚の内股の部分になります。赤身で噛みしめるほどに旨味がほとばしります。3色のキノコを使ったソースが贅沢の極みでした。国産のセップはヤマドリタケモドキ。ヨーロッパでは区別しませんが、日本のセップはヤマドリタケよりも、ヤマドリタケモドキの方が多いのだそうです。

ワインは、
Champagne Brut Tradition /Bourdaire Gallois
ピノムニエ100%、ノンドサージュ、熟成4年。なんてマニアックなシャンパンなんだ(笑)。ピノムニエとノンドサージュが、作り手であるブールデールガロワのこだわりなんだそうですが、ノンドサのシャンパンにありがちな強烈な酸はない。むしろ熟成感が印象的で、小梅やアプリコットのニュアンスが小気味良い。

今期最高の料理とワインでした。満足です。

こう暑いとフレンチなんて食べたくなくなる…なんていうことはなく、夏には夏のフレンチの楽しみがあります。特に、この店では夏のキノコであるタマゴタケが毎年の楽しみ。だいたい、8月に入ってから入荷します。

・ハモとハナビラタケのカルパッチョ 実山椒のドレッシング
夏の魚介の代表格とも言えるハモ。ハモと言えば落としにして梅肉につけていただくのが定番ですが、カルパッチョにしても美味しいものです。実山椒の香りがよくマッチしてました。

・タマゴタケとホタテ貝のリゾット
この店の夏のスペシャリテです。リゾットの中にみじん切りにして入っているものも、上に乗っているフリットにしたものも、みんなタマゴタケ。リゾットを染める黄色もタマゴタケの煮汁です。ただし、タマゴタケの名前の由来は、このタマゴ色によるものではなく、幼菌の時に卵の殻のような膜に覆われているからです。旨味の濃いキノコなので、リゾットとの相性は抜群です。

・タチウオのポワレ ケッパーのソース ジロール茸添え
タチウオも夏が旬の魚。支配人が「ソースはお任せでいいですか?」と聞いてくるときは、素直に任せた方が良いのは経験則で知っていること。果たして今日のソースは酸味の効いたケッパーのソースで、脂がのって旨味が濃いタチウオをさっぱりといただけました。夏のフレンチのメインはこうでなきゃいけない。

ワインは、
Champagne 1er Cru Brut /Yves Ruffin
1971年という比較的早い時期からビオロジックを採用しているイヴ ルーファン。いわゆるレコルタンブームから十数年以上が経っても、まだまだ世に知られていない優良な生産者はいるものだと思い知らされました。ドサージュが少なく、キリッとシャープな酸が印象的なシャンパーニュ。夏はこういうシャンパーニュで魚介のコースを食べるのが幸せです。

6月になって各地で鮎釣りが解禁になりました。それと共に、この店の夏のスペシャリテである「鮎と夏トリュフのムース」が始まりました。今年も昨年と同じく、静岡県産の天然鮎を使っています。

・天然鮎と夏トリュフのムース フィレのソテーバジルソース ミントであえたメロンを添えて
最近ではフレンチレストランでも鮎を扱うことが珍しくなくなりました。エスカベッシュやベニエなどをよく見かけます。しかし、この店の十数年来のスペシャリテである鮎のムースは、いまだに他の店で見たことがありません。何故か?それは、なかなか固まらないのだそうです。鮎の持つ何かの物質が固まるのを阻害するらしいのですが、試行錯誤と技術の粋を尽くして、ムースに仕上げることができたのだそうです。

ムースにすることによって口の中でとろけ、口中に鮎の旨味とワタのほろ苦さと、夏トリュフの香りが渾然一体となって広がります。これが秋のトリュフだと、強すぎてバランスが崩れるのだとか…本当に繊細な料理です。ムースをそのまま食べても良し、酸味のあるライ麦パンに乗せても良し、さらにメロンと混ぜて香魚としてのオマージュを偲ぶも良し…唯一無二の料理を食べに来る価値は、確かにあると言えます。

・姫っこ地鶏とキノコのロースト ガルムソース
先月ブレス鶏を食べましたが、愛媛の地鶏も負けず劣らず美味しい!旨味のある塩味といったガルムソースが、鶏肉の旨味をさらに引き立てています。

ワインは、
2017 ピノグリ /奥尻ワイナリー
リストにまだ載せていないものを出していただきました。奥尻島唯一のワイナリーで作るピノグリは、ほのかに潮のニュアンスを感じます。小梅のような小気味よい酸のある、チャーミングな白ワイン。

初夏のキノコのカンゾウタケがお目見えする季節になりました。

・オランダ産ホワイトアスパラガスの温製 オレンジとウニのソース
春先はただのオレンジバターソースでしたが、初夏になってウニが加わりました。これが意外なほどウニ感があって、絶妙のコンビネーションです。確かにウニとオレンジは同じような色してますけど、ここまで合うとは意外な発見でした。

・愛媛今治の藤本さんから届いた天然鮮魚のポワレ
藤本さんの魚は締め方が完璧なので、味わいが格段に違います。サゴシの尾の身でしたが、魚らしい味わいの部位で好み。ソースは通常、青海苔のクリームソースなのですが、メインのフリカッセと重なるので、ブイヤベース仕立てに変更してくれました。この辺りのサービスはさすがです。

・オランダ産リドヴォーとキノコのフリカッセ
リドヴォーとキノコのフリカッセはクラシカルなフランス料理ですが、ここはレストラン マッシュルームなので、ただのキノコは使いません。カンゾウタケはフランス語でランゲ ド ブフ、つまり牛の舌と呼ばれるほど肉肉しい見た目なのですが、味は酸味があってさっぱりしてます。こういう料理を食べると、フランス料理っていいなって思います。

ワインは、
2012 Mercurey Rouge 1er Cru Les Vereys / F. Raquillet
メルキュレの1級畑。2012もようやく熟成感が出てきましたが、それを上回る果実味があり、ピノらしいストラクチャーがはっきりした、素直に好感が持てるワイン。
春の訪れと共に、どこのフレンチレストランも競うようにホワイトアスパラガスをメニューに載せるようになりますが、この店も例外ではありません。

・フランス産ホワイトアスパラガス オレンジバターソース
旬の走りとはいえ、女性の指ほどの太さがあります。爽やかな風味のあるバターソースに、シェフの故郷愛媛産の柑橘と、金目鯛のカルパッチョが添えられた贅沢な一皿。

・キノコのブイヨンスープ
フュメ ド コキーユをベースに、天然ナメコやジロール等キノコの旨味がたっぷり溶け込んだ芳醇なスープ。香草とシークワッサーがいいアクセントになっています。何度も食べていますが、しみじみと美味しい。

・オーストラリア産ドーセット種仔羊背肉のロースト オリーブとアンチョビのソース
メインは久々に仔羊にしました。最高級の背肉を、ジュ(肉汁)をベースにオリーブのピュレとアンチョビを加えたソースでガッツリ食べるのは至福のひと時です。付け合わせは原木椎茸のグリエと、青森の「大鰐温泉モヤシ」でした。350年の伝統があるというモヤシですが、初めて食べました…しかもフレンチレストランで(笑)

バゲットには、稀少な石臼挽き「はるゆたか」全粒粉を使っていて、こんなところも春らしい。

ワインは、
2015 Bourgogne Rouge /Hudelot-Noellat
きれいな酸をバックボーンに、意外なほど肉付きの良さも感じる、村名クラスと言って過言ではないAOCブルゴーニュ。値段も村名クラスだけど…。ユドロ・ノエラのあまりの人気の高さに、2本しか確保出来なかったそうな。その内の1本をいただいて幸せ^^

来月で25周年になるそうです。本当に、奇跡のような店です。

国産松茸は10月の中旬で終了し、キノコたちは晩秋に向けてハタケシメジやシモフリシメジ、キシメジ、ムラサキシメジ等、シメジ系が増えて来ました。しかし、その中で一つ気を吐くのが香茸です。乾燥したものは中華の高級食材として一年中出回っていますが、フレッシュなものは今しか食べられない貴重なキノコです。

○カジキマグロとハナビラタケのカルパッチョ 実山椒のドレッシング
脂の少ないカジキマグロは、カルパッチョととても相性がいい。オリーブオイルをまといつつ、肉の旨味を味わえます。

○仙台和牛シャクシのロースト 香茸と牛蒡のソース 香茸のグリエ添え
シャクシは関西での肩肉の呼び名です。赤身でコクのある部位になります。そしてソースは香茸のみじん切りが入ったデュクセルソース。さらに香茸のグリエが添えられます。とにかく香りが高い。ほんのり甘い、胸空くような香りです。

ワインは、
2011 Vosne Romanee Clos des Reas /Michel Gros
グロ家単独所有のクロ デ レア。相続の際、妹にリシュブールを譲り、特級畑ではないこの畑をミッシェルが受け継いだのは、クロ デ レアこそグロ家の歴史であり、象徴であり、他に比肩し得ない存在であるからだ。実際、畑は背丈より高い石垣に囲われて、ヴォーヌロマネ村の中でも隔絶された特異な区画になっている。そこから産み出されるワインは、しなやかさと力強さを兼ね備えた別格のピノノワールで、最高のブルゴーニュワインの一つ。2011は6年を経て熟成感が現れ、妖艶さにさらに磨きがかかる。香茸を味わうのにふさわしいワイン。
6月から始まったスペシャリテ「鮎と夏トリュフのムース」ですが、天然鮎を使うのは香りが無くて安い初夏の頃だけで、そのうち養殖物に切り替わると思ってました。しかし、予想に反して9月の半ばになっても天然鮎を使っているという…素晴らしい!

○天然鮎と夏トリュフのムース フィレのソテーバジルソース ミントで和えた黄桃を添えて
静岡産の天然鮎を使ったムースは、溶け込んだワタの味わい深さが特筆ものです。グラスで1杯だけACブルゴーニュの白(アンリ ボワイヨ)を合わせてみましたが、ACブル程度では負けてしまいますね。もっと濃い白でないと太刀打ちできません。

○愛媛産 姫っこ地鶏のグリエ ガルムバターソース
地鶏がシェフの故郷の愛媛産に替わりました。姫っこ地鶏は適度に柔らかくて旨味が濃い。添えられたキノコは、オオモミタケ、ショウゲンジ、ハタケシメジ、白舞茸。秋のキノコが入り始めました。

ワインは、
2011 Vosne Romanee /Mongeard-Mugneret
抜栓直後からヴォーヌロマネらしい妖艶な香りが炸裂。程よく熟成も入って、2011ブルゴーニュも飲みごろになってきました。
そろそろキノコのハイシーズン。香茸ソースが始まりました^^

○有機野菜のグリエ ラヴィゴットソース ジャンボマッシュルームとブレザオラ添え
ジックリ網焼きして甘味が増した野菜と、フレッシュなジャンボマッシュルーム&ムース。これだけでも充分ワインのアテになるのですが、さらに牛肉の生ハムが添えられているので、最初から赤ワインいっちゃってもいいですね。料理名のヘルシーな印象と違い、おつまみ盛り合わせといった感じの一皿です。

○和牛のポワレ 香茸と牛蒡のソース
この日は仙台和牛のランプでした。嚙みしめるほどに旨味が口の中にほとばしります。香茸ソースは、これほどまでに香り高いソースを私は他に知りません。フレッシュな香茸を一籠、店内に置いておくだけで、店中が香りでいっぱいになるそうです。香り松茸、味シメジといいますが、ある意味、松茸よりも凄いキノコです。

ワインは、
2013 Amiral de Beychevelle
格付4級シャトー ベイシュヴェルのセカンドワイン。メルローの比率が4割と比較的高いので飲みやすい。素直に美味しいと思える質の高いボルドー。
新メニューとして、兎がオンリストしました。もう10年以上この店に通っていますが、ここで兎を食べるのは初めてです。

・豆乳のブランマンジェ ペルノー風味 ノルウェーサーモンとズワイガニ添え
古いフランス語で「白い食べ物」を意味するブランマンジェ。今でこそデザートとしてポピュラーですが、はるか昔は鶏のブイヨンで米を煮た料理だったといいます。現代の甘くないブランマンジェは、喉を通る際にペルノーの香りが鼻に抜け、夏の冷菜として爽やかでした。

・スペイン産ウサギ背肉のファルシ エストラゴンのジュとマッシュルームソース
マッシュルームのムースが詰められた兎肉は見た目が鶏肉のようですが、さっぱりした味わいの中に旨味があり、所々ゼラチン質が混じって鶏肉との違いを主張します。サラッとしたエストラゴンのジュと、濃厚なマッシュルームソースのコントラストが美しい。

食前酒に、珍しいシャブリ産の麦とホップを使ったビールをいただきました。
Porte Romane Blonde Bio /Maddam-Chablis
フランスのビールなんて…という偏見を打ち砕く、香り高いビール。1本2000円(市場では千円前後)ですが、飲んでみる価値はあります。

ワインは、
2011 Vosne Romanee 1er Cru Les Suchotes /Gerard Mugneret
エシェゾーとロマネサンヴィヴァンに挟まれ、はす向かいがリシュブールという好立地にありながらスショが格下の1級なのは、畑がやや窪地になっており、冷気が溜まるから。しかし、そういう余計な知識を蹴散らす深みと旨味がある、最高のブルゴーニュでした。
夏のキノコとして人気の高いタマゴタケの季節が今年もやってきました。夏らしい料理が続々とオンリストしています。フラン、リゾット、ムース等、消化の良いものでスタミナをつけたい季節です。

・ブロッコリーのフラン ズワイガニ添え
野菜を混ぜ込んで色鮮やかなフランに、旨味の濃いズワイガニをたっぷりのせた夏らしい冷菜です。上にのったカンゾウタケはそろそろ終わりになりますが、見かけは本当にレバーそっくりで、いつ食べても不思議なキノコです。

・タマゴタケのリゾット
タマゴタケの名前の由来は、幼菌の時に卵の殻のような膜に包まれていることによりますが、実は煮汁も卵のように黄色いので、リゾットが鮮やかなタマゴ色に染まります。独特の旨味があり、毎年これ目当てに来店するファンは多いそうです。

・大アナゴと鶏ムースのルーロー ベルモットとバルサミコの二色のソース
例年、アナゴの旬になると前菜として出てくる料理ですが、今年の夏は主菜に昇格しました。瀬戸内の大アナゴを使っていますが、ふわふわな鶏ムースをふわふわなアナゴの身が巻いていて、結構な大きさがあっても、酸味のあるソースのおかげでペロリと食べられます。

ワインは、2014 Meursault /Henri Boillot
支配人がアンリ・ボワイヨのワインの熱烈なファンであり、赤白ともにラインナップが充実しています。輸入元と一緒にボワイヨ氏自身もこの店に来た事があるそうです。ムルソーの特徴である粘土質の土壌由来の柔らかな酸が感じられ、樽香も抑え気味で、エレガントで上品なシャルドネでした。
夏のスペシャリテ「鮎と夏トリュフのムース」が始まりました。今年は天然鮎を使ってます。そのうち養殖物に切り替わるかもしれないので、早めの来店をお勧めします。

・アミューズ:牛タンのポシェ カンゾウタケ添え
牛タンとカンゾウタケの組み合わせは、この店の定番です。カンゾウタケはフランス語でランゲ・ド・ブフ、「牛の舌」という意味がありますので、それと掛けています。遊び心と驚きに溢れた逸品。

・天然鮎と夏トリュフのムース フィレのソテー 桃とミントのサラダ添え
鮎の身とワタを、頭や骨から取ったフォンを加え、トリュフと共にムースにしたこの店のスペシャリテ。身の旨味とワタのほろ苦さ、トリュフの香りが渾然一体となって素晴らしい。ロワール地方の名物、川カマスのクネルに代表されるように、川魚を使った料理というのもフレンチのジャンルとして存在しますが、これはその中でもトップクラスの出来栄えでしょう。フィレのソテーは、身が締まった天然鮎の旨味に思わず唸らされます。

・阿波尾鶏と原木椎茸のグリエ ガルムソース
ガルム(魚醤)と言ってもタイのナンプラーのような臭みは一切ありません。旨味のある塩味という感じ。ソースの旨味が強いので、よほど良い素材でないと負けてしまいそうですが、肉厚の原木椎茸と阿波尾鶏の旨味は、ガルムソースの旨味と拮抗しています。良い素材に良いソースが組み合わさった好例です。

ワインは、
2011 Pouilly-Fuisse Clos sur la Roche /Saumaize Michelin
ソメーズ・ミシュランはプイィフィッセのビオディナミ実践者。でも、早熟であること以外あまりビオっぽくない。もちろん高品質のシャルドネで美味しいのですが、支配人の「誠実な人だと思って付き合い始めたら、意外に軽い男だった」という評価に大いに納得(笑)
この店でキノコのソースと言えば、トリュフソース、セップソース、マッシュルームソース、エノキソース、香茸ソース、モリーユソース等々、様々なキノコをソースにしています。
今回は「鹿児島産純正黒豚ロースのポワレ エノキソース」をオーダーしてみました。ほぼ豚肉専用のソースになっているこのエノキソース、トリュフやセップと比べると地味ですが、実にいい仕事をしています。

エノキダケ自体が癖のないキノコなので、豚肉の旨味をシンプルに引き立てます。フレンチで言う「森の食材」のソースになりますが、同じく森の食材である果物のソースとは別方向のマリアージュで興味深い。脂身には熟成バルサミコソースを合わせるとさっぱりいだたけます。見た目も、エノキの白とバルサミコの黒のコントラストが美しい。

ワインは、2013 Bourgogne Veilles Vignes /Perrot Minot
ワイン評論家によって絶賛され、アンリ・ジャイエの最後の弟子としても語られることの多いペロ・ミノですが、意外なほど知名度が低い…ただ、実際に飲んでみるとやはりクラシカルで重厚な作りに唸らされるのも事実です。このワインもACブルゴーニュですが、厚みと深みに驚かされます。もっとも、ネットによればモレサンドニ村の樹齢55年以上の葡萄を使っているそうですが…。じゃあ、なんでモレサンドニを名乗らないの?という疑問も生じますが、その点についてのコメントは無し。ただ、モレサンドニを名乗ってしまうと酒屋で5、6千円、レストランでは1万円を超えるのは確実なので、飲み手としては感謝しなくてはなりません。そして、おそらくペロミノの意図も、自分の所のワインを安価で多くの人に飲んで貰いたい、ということなのではないかと妄想しています。



春と言えばホワイトアスパラ、そしてモリーユ(アミガサダケ)の季節です。

・アミューズ:たらの芽とスミイカのフリチュール
アミューズも春らしい皿に変わりました。スミイカが柔らかくて甘い。

・ホワイトアスパラガスとプリリガーサーモンの冷製 ラヴィゴットソース
極太のアスパラはイタリア産。肉厚のサーモンと共に贅沢な一皿でした。

・国産モリーユ(アミガサダケ)のポワレ フォアグラとトリュフのソース
乾燥モリーユは通年ですが、フレッシュのモリーユが手に入るのはだいたい4月の1ヶ月という短い期間のみです。昔、別の店で「フレッシュのモリーユが入ったので、削ってリゾットに入れましょうか?」なんて聞かれたことがありますが、この店ではモリーユそのものがゴロゴロ。充分堪能できました。

・軽く燻製をかけた対馬産猪バラ肉の煮込み 黒胡椒のムースと牛蒡のソース タマシロノタケのグリエ添え
そろそろ猪も終了の季節になりました。日本酒で煮込み、提供する直前に軽く燻製をかけて、さらにゴボウのソースを使ったバラ肉の煮込みは、フランス風の角煮といった感じで、この店のスペシャリテです。臭みは全く無く、ジビエが苦手な方にぜひおすすめです。

*パンの話
昔、この店ではブーランジュリーの名店である大倉山パリゼットがパンを卸していました。その後、パリゼットは上尾に移転してしまったので卸せなくなりましたが、支配人が一念発起してパリゼットの塩塚シェフに教えを請い、ついに塩塚シェフが太鼓判を押すほどの腕を身に付けたのです。支配人がパンを焼くフレンチレストランというのも珍しいですが、パリゼット仕込みのパンは、いまやこの店の隠れた名物になっています。
この店のおすすめはもちろんディナーなのですが、ランチは比較的カジュアルで、ランチでしか食べられない料理も楽しみのひとつです。

・薩摩赤鶏とイベリコ豚のパテ キノコのフリチュール添え
ディナーではどっしりとした「猪とフォアグラのパテ」なのですが、ランチでは軽めの鶏のパテになります。カレー風味のキノコのフリットがビールに良く合いました。

・鮮魚のポワレ
ランチの魚は、ディナーとは違って愛媛産にこだわらず、各地の旬の魚を出してくれます。この日はイシナギという珍しい魚で、タラに似た食感でした。ランチのソースはシェフのおまかせになりますが、この日はディナーと同じ青海苔風味のヴェルモットソースでした。

・イベリコ豚のリヨン風 ケッパーのソース
リヨンはLyonではなく、Rillonです。豚肉を白ワイン煮込んだもので、ほぐすとリエットになります。酸味の効いたケッパーのソースでさっぱりといただけました。

・マッシュルームオリジナルビール
常陸野ネストビールで有名な木内酒造で独自ブレンドで醸造してもらっている、この店でしか飲めないビールです。昔、お店の研修旅行で木内酒造に行った時に試しに作ってみたところ、美味しいのができたのでお店で出す事にしたそうです。アルコール度が8%の飲みごたえのあるタイプですが、これとキノコのフリチュールの組み合わせが最高でした^^
今治に藤本さんという腕の良い漁師さんがいて、そこから魚を仕入れているそうです。魚の質の違い、締め方の違い、そして味が乗った食べ頃のものを送ってくるので、料理人としては腕の振るい甲斐があるらしい。

・イシモチのカルパッチョ 実山椒のドレッシング ハナビラタケ添え
瀬戸内のイシモチ。決して高級魚ではないのですが、味が乗っていて下手な鯛より美味しい。実山椒のドレッシングはこの店のスペシャリテ。胸すくような爽やかな香りです。

・鱈の白子のムニエル 原木椎茸のグリエ添え 里芋のムースリーヌと熟成バルサミコソース
この時季ならではの鱈の白子はトロトロで旨味が濃い。ムースリーヌはこの場合、野菜のソースのような感じになります。白子に良く合いました。

・オマール海老の天火焼き オマールクリームソース 季節の野菜添え
この店ではほとんど唯一の「キノコが付かない料理」です。みっちり詰まったオマールの身とミソはもちろん、オマールのソースが美味しくて、一滴も残さぬようパンの消費量が上がる上がる^^。海老って誰のためにこんなに美味しくなるのかねぇ…

ワインは、
2008 Chablis Grand Cru Valmur /William Fevre
08からビオディナミを導入したウィリアム・フェーブルですが、シャブリらしい酸を残しながら、ビオらしい熟成をしています。スケールの大きさはさすがにグランクリュですが、現時点が熟成のピーク、これ以上は良くならないような印象でした。熟成したワインが好きな人にはたまりませんが、シャブリにフレッシュさを求める人には向いてないかも。
冬はキノコのオフシーズン。天然ものはエノキ、ナメコ、カンダケ等、地味に美味しいキノコ達になりますが、そこはそれ、ここはフレンチレストラン。冬しか食べられない料理もあるのです^^

・天然鮮魚のポワレ 下仁田ネギソース
冬限定のスペシャルソースである下仁田ネギソース。もう、これ絶品なんですよ〜。鍋料理で分かるとおり、ネギと魚って相性がすこぶるいいんです。グリーンのソースと白身の魚のコントラストも美しい。添えられるハナビラタケは癖がないのでソースと良く合います。ちなみにこの日の魚はイトヨリでした。もちろん美味しいのですが、瀬戸内のマナガツオやヤガラなんかに当たった日には、もう最高ですよ〜

・愛媛県産甘トロ豚のポワレ 愛媛の和栗ソース黒ビール風味 ユキワリダケ添え
シェフの故郷、愛媛県の誇る食材は多々ありますが、甘トロ豚もそのひとつです。融点が低い脂身が、口の中に入れると同時にとろけます。ほのかな甘味のある栗のソース、舌をキリリと締めるバルサミコソースとの相性もバッチリです。

只今、愛媛県産食材フェア開催中だそうです。鬼北町熟成キジ胸肉もあります。甘トロ豚とどっちにしよか、正直迷いました^^;

ワインは、2010 Wachau Im Weingebirge Gruner Veltliner Smaragd /Nikolaihof
ニコライホーフのスタンダードなホワイトラベルは何度も飲んだことがありますが、これはオーストリア最古の畑の最上級のもの。ヴァッハウ独自の格付けで最高のスマラクトです。ドイツのシュペトレーゼに相当しますが、ビオらしいクリアな酸と、アフターに複雑味を感じます。若い女子に飲ませて「何これ飲みやすい〜」なんて言って欲しくないワインだなぁ…
フレンチレストランではジビエの季節です。この店も例外ではありません。キノコ料理店ではないのです。(2016年11月)

・猪とフォアグラのパテ カラスタケ添え クルミのドレッシング
例年どおり猪のパテが今年もお目見えです。今年はフォアグラが入って濃厚さパワーアップ^^

・牡蠣とキノコのリゾット
タモギタケ等、出汁の出るキノコと牡蠣の旨味たっぷりリゾット。牡蠣の身だけでなく、ピュレを使ったソースがいい味出してます。

・蝦夷鹿うち腿肉と原木椎茸のポワレ カシスソース
例年、この店で蝦夷鹿はガルムバターソースが定番なのですが、今年は伝統的な果物のソースです。きめ細やかな肉質が滋味深い。

ワインは、
2011 Vosne Romanee 1er Cru Les Brulees /Gerard Mugneret
ブルゴーニュでミュニュレと言えばモンジャール・ミュニュレが有名ですが、個人的にはジェラール・ミュニュレの方が好みです。ブリュレはリシュブールに隣接する優良畑。窪地のスショより良いワインを生み出していると思う。こういうワインを探して来てくれる支配人とシェフに感謝!

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天然キノコが美味しい季節。夏の名物タマゴタケも入荷してます。(2016年9月)

・アミタケと魚介のマリネ
アミューズは、チョコレート色をしたアミタケのマリネ。つるんとした食感が楽しい。

・季節のキノコのソテー
久しぶりにオーダーしてみました。白舞茸、トンビマイタケ、オオモミタケ、ヤナギマツタケ、タモギタケ、ジロール、クロカワ、オオイチョウタケ、ショウゲンジ。
オオモミタケやオオイチョウタケのような大型キノコが目立ちます。クロカワは初物。ショウゲンジも根強いファンがいるキノコですが、旨味が濃い。

・タマゴタケと帆立貝のリゾット
熱烈なファンが多いタマゴタケ。リゾットでその真価を発揮しますが、食べられるのはおそらくこの店だけ。のせるキノコとみじん切りにしたキノコで3、4個のタマゴタケを使う贅沢な一皿。

・マグレ鴨のロースト ビガラードソース
国産オレンジを使った爽やかなソースは、シェフが修行していたトゥールダルジャンを彷彿とさせます。アカハツタケ、ユキワリダケ、原木椎茸のグリエ付き^^

ワインは、
2007 Nuits-Saint-Georges Les Poisets/ Robert Arnoux
すっかり大御所のロベール・アルヌーは、07のようなオフヴィンテージでも力強さを感じる。程よく熟成も入って飲み頃でした。

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8月。天然キノコが多く出揃う季節になりました。これから10月上旬くらいまでがキノコシーズンのピークになります。(2016年8月)

・牛タンのテリーヌ ラヴィゴットソース チチタケのグリエ添え
アミューズは支配人の故郷、栃木県人が大好きなチチタケ。栃木ではチダケと呼ぶそうですが、旨味の濃いキノコです。

・鮎と夏トリュフのムース フィレのソテー ミントと白桃のサラダ添え
今年2度目のオーダーになります。繊細な料理なので毎回微妙に味わいが異なるのですが、今回はややワタの風味を強く感じました。こういう時はミントと白桃を混ぜて食べると、癖がかえって長所に転じます。濃厚な白ワインによく合いました。

・ブラックアンガス牛のポワレ ガルムバターソース オオモミタケのグリエ添え
知人の常連さんからブラックアンガスが入荷という情報があったので、これを目当てに来訪しました。噛むほどにジューシーな赤身肉です。それを引き立てるのがガルム(魚醤)のソース。魚醤といっても臭みはまったく無く、旨味のある塩味といった感じです。元はジビエの季節の「蝦夷鹿のポワレ」に使う山岡シェフのスペシャルソースになります。本来ジビエには果物のソースが定番ですが、まったく違った発想で野生肉の旨味を引き出します。当然、牛肉にも合いますが、オオモミタケにもよく合いました。その名の通り巨大なキノコは1/4カットしても肉より大きい^^ 

この日は5人で3本のワイン祭りになりました。
1998 Cuvee des Enchanteleurs /Henriot
この店の支配人が愛してやまないアンシャンテルール。さすがに泡は弱まっていますが、18年の歳月を経ても、いまだ若々しさを感じます。熟成香にハーブ香、ナッツ、焼きたてのパンの香り。非の打ち所の無いシャンパーニュ。

2011 Clos de la Coulee de Serrant
クレドセランにはヴィンテージチャートが当てはまらないと言われますが、2011には当てはまるようです。2010や2009と比べると、ややスケールの小ささを感じます。とはいえ、並のロワールよりはるかに濃厚です。なんでも、「鮎と夏トリュフのムース」に一番合うワインだとか…

2006 Vosne Romanee Aux Reas /A. F. Gros
この店では珍しいくらいメジャーな作り手さん。抜栓直後はなめし革の香りが立ち過ぎていましたが、時が経つにつれ、紅茶、腐葉土、スパイス等が混じってヴォーヌロマネらしい妖艶な香りに^^ アンガス牛によく合いました。

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7月。季節を反映して、少しずつメニューも変わっていきます。(2016年7月)

・トウモロコシのフラン
ソースはホワイトショコラ、フランはピーターコーンという種類のトウモロコシを使っているそうです。どちらも果物のように甘い。夏の冷菜としては、ヴィシソワーズよりもこちらの方が好みです。この店の料理としては珍しく、キノコが添えられていません。透明感のある白キクラゲなんか合うと思うのですが…

・スルメイカとズッキーニ、キノコのガレット カレー風味のブールバテュ タマシロノタケとズッキーニのグリエ添え
春はヤリイカと筍でしたが、夏になってスルメイカとズッキーニになりました。スルメイカは別名「夏イカ」。食材で季節を感じるって素晴らしいですね。イカ好きにはたまらないので、しばらく続けて欲しい料理です。

・宮崎牛腿肉のポワレ セップ茸のソース セップ茸と山芋のグリエ添え
腿肉はトモサンカク。柔らかく、赤身ならではの旨みがあります。ソースは、この店のスペシャルソースである濃厚なセップソース。セップ茸のグリエもついて、なんて贅沢なんでしょう。

ワインは2013 Chassagne Montrachet Clos Saint Jean /Paul Pillot
白ワインにしては珍しく、タンニンを舌に感じます。ブラインドならピノノワールと答えてしまいそう。肉料理にもばっちり合いますので、夏はこれ1本でコースを通して良いかも。

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6月になり、夏のスペシャリテが登場です。それと共に一部を夏メニューに改新。この店らしい料理を3皿いただいて来ました。(2016年6月)

・牛タンのテリーヌ カンゾウタケ添え ラヴィゴットソース
この店でしかあり得ない一皿です(^^) 牛タンのテリーヌに添えられたカンゾウタケは、フランス語でランゲ・ド・ブフ、まさしく「牛の舌」という名のキノコです。赤い身に白い筋が入って霜降り肉にしか見えないのですが、味は意外に酸味があって、見た目とのギャップも楽しい。ラヴィゴットソースに良く合います。

・鮎と夏トリュフのムース フィレのソテー ミントと白桃のサラダ添え
鮎の濃厚な旨味と夏トリュフの香りがこれ以上ないほどにマッチした夏のスペシャリテ。毎年楽しみにしている客からの問い合わせが相次ぎ、例年よりちょっと早めの登場です。毎年微妙に味が違うのですが、今年のムースは硬めで、口に入れるとじんわり溶けて、旨味と香りが口いっぱいに広がります。

・コショウダイのポワレ キノコのブレゼソース
ソースに「キノコのブレゼ」という名が付いてますが、実際は2皿目に選択できる「キノコのブイヨンスープ」に魚のポワレが乗った、いわゆる「スープ仕立て」です。この店に限らず、魚のポワレのスープ仕立てはフレンチやイタリアンで時折見かける料理ですが、食べ方にコツがあります。最初の一口は魚そのものの旨味を味わうために単純にカットして口にしますが、その後は、ナイフとフォークで魚の身をほぐし、スプーンを使ってスープと魚とその他の具を一緒に口に入れます。ポワレによって閉じ込められた魚の旨味と、フュメ・ド・コキーユをベースにしたスープの旨味、ブレゼにしたキノコの旨味が渾然一体となって味わえます。通常のソースのように一口大に切ってソースを塗りつつ食べるような仕方だと、魚とソースがバラバラに感じてしまうことでしょう。この料理をオーダーする際には、ぜひ試してみてください。

ワインは、2007 Poilly-Fuisse /Saumaize Michelin
プイィフィッセは高品質のシャルドネですが、熟成したものに出会う機会が意外に無いワインです。07らしい酸を感じますが、熟成による複雑さもあり、今まさに飲み頃です。比較的お手ごろ価格なので、出会えた方にはぜひオススメです。

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春メニューがある内に、再度訪問しました。気になるのはガレットです^^(2016年5月)

・2色のアスパラガスとプリリガーサーモンのマリネ 愛媛県産ポンカンと、コシアブラのピュレ添え
・ヤリイカと筍、キノコのガレット カレー風味のブールバテュ 天然椎茸のグリエ添え
・マグレ鴨のポワレ カシスのソース 4種のキノコのグリエと共に

プリリガーというのは正直言って謎なのですが、どうもpre-riggerではないかと推測。水揚げ後すぐ活け締めして、即フィレ加工したサーモンだそうです。身が締まって色鮮やかなサーモンが、2色のアスパラと共に皿に映えます。

ガレットは蕎麦粉のクレープではなくて、円盤状に焼いた料理のこと。天然の椎茸は初めてでしたが、カレー風味をはね返すほどの濃い旨味がありました。

マグレ鴨のポワレは、昨年の秋まではガルムバターソースでしたが、個人的には、マグレ鴨にカシスソース、蝦夷鹿にガルムバターソースの組み合わせがこの店らしいと思います。古典的ですが、やっぱり鴨には果物のソースが良く合います。

ワインは、2013 Sancerre Le Manoir Vieilles Vignes /Andre Neveu
ハーブ系の香りが心地良いソービニョンブラン。ミネラリックな味わいの中に厚みも感じる、質の高いサンセール。

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アスパラガスの季節になりました。今年は三種類のアスパラ料理が登場です。(2016年5月)
・グリーン&ホワイト2色のアスパラガスとプリリガーサーモンのマリネ 愛媛県産ブラッドオレンジ添え
・ホワイトアスパラガスのポワレ フォアグラソース
・2色のアスパラガスのフィロ包み焼き マスタードソース

ホワイトアスパラのフォアグラソースはモリーユ茸添えだったのですが、モリーユは3月末から4月いっぱいで終了。しまった、食べ損ねた…と残念がる私に、特別にフォアグラソテーをのせていただきました。ありがたや〜

アミューズにロゼアスパラを出していただきました。千葉県産のピンクのアスパラです。生で食べられるのが驚きです。

久々に天然鮮魚とハナビラタケのカルパッチョをいただきましたが、添えられた鰹節のクリームは、魚だけでなくハナビラタケにも合いますね。

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10月から始まった猪フェアも、2/14にて終了。今年は例年より早い終了になり、猪バラ肉の煮込みは次のシーズンまでお預けです。しまった、食べ損ねた…(2016年2月)

・真鱈白子のムニエル 蜜芋のピュレとバルサミコのクーリ
・宮崎牛腿肉のポワレ 香茸ソース

旬の真鱈の白子が入荷したとの事で、早速いただきました。蜜芋とバルサミコによる甘酸っぱいソースが良く合います。
腿肉は外腿のナカニクという部位。嚙みしめるほどに旨味が出ます。ソースはこの店のスペシャリテ、香茸ソース。牛肉はやっぱりフレンチの王道ですね。

ワインは2013 Pinot Noir Williams' Vineyard /Koyama Waipara Wines
バランスが良く、フレンチオークの香りが溶け込んで、まるでコートドボーヌの1級畑のよう。アルコールの高さと舌先の微妙な甘さが、辛うじてニューワールドのワインである事を伝える。非常に質の高いワイン。相変わらずセンスの良いワインを置いています。

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今回はメニューにオンリストしていない料理から。いつもあるとは限らないのですが、こういうのは積極的に頼むことにしています。(2015年12月)

・オマール海老のムースリーヌ オマールソース ユリ根のクレープにのせて
・マグレ鴨、フォアグラ、イベリコ豚と天然ヒラタケのカスレ仕立て

きめ細やかなオマールのムースには、濃厚な海老とミソのクリームソースがたっぷりかかっています。なぜだか昔のドラマ「王様のレストラン」に出てきた「オマール海老のびっくりムース」を思い出しました。
この店では珍しいカスレは、ココットで出される熱々の料理。鴨と豚の出汁が豆にしみこんでとても美味です。

ワインは2010 Arugabranca Vinhal Issehara
熟成した甲州は初めてでしたが、かなり美味しい。もっとも、イセハラだからだということもありますが。

来年もここで美味しい料理に出会えますように…

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iPhone6に機種変更したところ、カメラのシャッター音の大きさに驚きました。まるで何か物を落として壊したかのような…「食事をする時に響いていい音じゃないですね」とは支配人のお言葉。料理の写真を撮るのは構わないですが、フラッシュとシャッター音は不可だそうです。スマホで写真を撮る方はOneCam等の無音シャッターアプリを用意しましょう。(2015年11月)

きのこづくしのコース@7000円。
・きのこのフリチュール(マスタケ、クリタケ、トキイロヒラタケ)
・ハナビラタケと真鯛のカルパッチョ
・きのこのソテー(白舞茸、ヤナギマツタケ、ヒラタケ、ジロール、ササクレヒトヨタケ、ハタケシメジ)
・きのこのブイヨンスープ
・ジャンボマッシュルームのグラティネ
・宮崎産霧島山麓豚のポワレ エノキダケのソース
・セップ茸のアイスクリーム

マスタケは火を通すと鶏のササミのような食感になる不思議なきのこ。生ハムで巻いてから揚げているので肉っぽい味もある…というより目をつぶって食べたら肉でしょ、これは。
さすがにこの時期になると栽培物のきのこが増えてきましたが、秋田から届く白舞茸はいわゆるブランドきのこで、天然物に勝るとも劣らない美味しさです。
ブイヨンスープとグラティネ、エノキのソースはこの店の定番。セップのアイスは一食の価値があります。

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秋本番になって、メニューも一新。今年は例年より早く猪がオンリストしました。(2015年10月)

・島根県産猪のパテ 胡桃ドレッシング コハゼの実のコンポートとカラスダケを添えて
・鶏のムースを巻いた穴子のルーロー ハナビラタケ添え ヴェルモットとバルサミコの二色のソース
・島根県産猪肩ロース肉のロティ 香茸ソース 香茸のグリエ添え

猪のパテは癖がなく食べやすい。穴子は軽く燻製をかけているので味に深みがあり、赤ワインにも合います。
メインの猪は、通常はこの店のスペシャリテである「バラ肉の煮込み 牛蒡のソース」になるのですが、今回はたまたま入荷していた肩ロース肉をロティにしていただきました。やや癖がありますが、ジビエが苦手な私でも許容範囲内。肉の旨味が濃く、何より貴重な香茸をふんだんに使ったソースが素晴らしい。

ワインは、2007 Chateauneuf-du-Pape /Domaine des Senechaux
安ワインにも使われるグルナッシュ主体ですが、ヌフパプのワインが高いのには訳があります。35l/ha以下というヴォーヌロマネより低い収量制限が定められているから。おかげで8年を経ても、程よい熟成感の中に未だ若々しさを感じます。猪に良く合いました。

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初秋の季節。夏メニューに混じって、秋の料理が出始めました。(2015年9月)

・フルーツトマトの雫によるガスパッチョ 甘エビのタルタル添え
・キノコと秋刀魚のリゾット 秋刀魚のワタソース
・ホワイトサフォーク種仔羊背肉のロースト クミン風味のジュ、黒ニンニクのピュレを添えて

果汁のみを使った透明なガスパッチョは、トマトの旨味と甘エビの旨味が合わさって、旨い旨いの二乗です。
季節ごとに変わるリゾットは、旨味たっぷりの秋刀魚のリゾットになりました。魚好きにはたまらない逸品です。
羊肉がホワイトサフォーク種に変わったというので、早速オーダーしてみました。肉質はきめ細かくジューシーで、脂身は癖が無いです。

ワインは2006 Savigny-les-Beaune 1er Cru Les Serpentieres /Domaine Fransois Gay
サヴィニーの畑の中で最も力強いワインを生み出すセルパンティエールも、06ともなれば熟成感があって滑らか。極上です。

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夏のキノコとして人気の高いタマゴタケが出回る季節になりました。(2015年8月)

この店ではタマゴタケをリゾットにします。そうすると、タマゴタケから出たエキスでリゾットが玉子色に(^^)
本来は幼菌の頃に卵の殻のような外皮膜に覆われていることからついた名前ですが、これほどまでに見事な玉子色に染まると、こっちが名前の由来かと思ってしまいます。タマゴタケの魅力を存分に引き出すシェフの腕前に脱帽です。

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レストランの支配人と言えば、オーケストラの指揮者に相当します。この店の支配人の奏でる旋律は穏やかで、時にアグレッシブなユーモアが入ります。そんな彼女のサービスに、ファンは多い。(2015年7月)

・季節野菜のラビゴットソース イベリコ豚のベーコンとジャンボマッシュルーム添え
・季節のキノコのソテー
・北海道産牛ほほ肉と原木椎茸の赤ワイン煮込み

久々にキノコのソテーをオーダーしてみました。今回は白舞茸、プリュロット、アカヤマドリタケ、ジロール、タモギタケ、ヤナギマツタケ、ササクレヒトヨタケ、ユキワリタケ。
アカヤマドリタケ等、セップ系のキノコがお目見えする季節になりました。
「牛ほほ肉と原木椎茸の赤ワイン煮込み」はこの店の定番メニューですが、肉より大きな椎茸に思わず目を見張ります。定期的に食べたくなる一皿です。

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6月になり、夏のスペシャリテが登場しました。「鮎と夏トリュフのムース、鮎フィレのソテー、メロンとミントのサラダ添え」です。(2015年6月)

鮎の身と内臓に、トリュフと鮎の骨と頭で取った出汁を加えてムースにしたものですが、フレンチとは素材を余すところなく使いきる素晴らしい技法なのだと思い知らされます。濃厚な旨味がトリュフの香りと良く合います。

香りばかりもてはやされる鮎ですが、実は身も旨い魚なので半身はソテーにしてバジルのソースを。添えられたメロンのサラダは香魚としての素材へのオマージュです。個人的にはメロンとムースを混ぜて食べるのが好きです。

・鮎と夏トリュフのムース
・天然ナメコとズワイガニのスープ
・仔羊背肉のロースト 黒ニンニクのピュレとクミン風味のジュのソース 白舞茸と原木椎茸添え

梅雨入りと共にキノコの美味しい時期になりました。これからがこの店の本番です。

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新メニューがお目見えしたので、アラカルトでいただくことにしました(2015年5月)
・蛤とキノコを詰めた若鶏のクロケット 行者ニンニクのバターソースで
・霧島山麓豚ロース肉のポワレ マデラ風味の牛蒡のソース

クロケットにナイフを入れると行者ニンニクバターがとろりと出てきます。蛤とタモギタケを絡めながら、貝ダシのスープに浸して食べると美味(^^)。牛蒡のソースは冬のスペシャリテだった猪の煮込みに使われていたもので、脂身まで旨い霧島山麓豚にもよく合います。肉厚の原木椎茸が添えられていました。

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モリーユの季節になりました。このキノコがお目見えすると、春が来たと感じます。(2015年4月)

・フォアグラのプリン マッシュルームポタージュとトリュフのソース
・真鱈白子とセップ茸のムニエル バルサミコのクーリとユリ根のピュレ
・黒毛和牛のポワレ モリーユのソース

黒毛和牛は常陸牛のシンタマでした。モリーユを贅沢に使ったソースがすこぶる旨い(^^)

ワインはフォアグラのプリンに合わせて2006 Vire Clesse Cuvee EJ /Domaine de la Bongranを。遅摘みを信条とするボングランの特徴がよく現れた濃厚な白ワインです。貴腐ワインほどではありませんが、甘めなのでフォアグラの甘味を殺さず良く合います。もちろん、白子や和牛にも。

ワインリストにはボングランやアンリ・ボワイヨなど、派手ではないですが秀逸な作り手が多く、店のセンスの良さが伺えます。

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ディナータイムに再訪。春メニューになり、山菜が一皿ごとにお目見えします。(2015年3月)

・国産新筍とイベリコ豚のベーコン、生マッシュルームのサラダ
・キノコのブイヨンスープ
・愛媛県産「媛っこ地鶏」のポワレ、行者ニンニクのバターソース

柔らかくてほのかな苦味がある新筍に合わせるのは、フォアグラのソース。分厚い生マッシュルームは栗のような風味があります。

愛媛県が誇る食材「媛っこ地鶏」は、ただ単に硬い地鶏とは違い、適度に柔らかくて旨味があります。

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ランチタイムに再訪。ランチではフランス家庭料理がメニューに載ります。(2015年2月)

・マッシュルームのポタージュ
・牛肉とキノコのアッシェパルマンティエ
・クレメダンジュとルバーブのコンポート

マッシュルームのポタージュはもの凄く濃厚。
パルマンティエは、牛肉とキノコのみじん切りとマッシュポテトを器に入れて、チーズをたっぷりかけて焼き上げたグラタン風の料理。
冬は熱々の料理が何よりのご馳走です。

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ディナータイムは「キノコづくしのコース」がおすすめです。(2015年1月)

・海老とヤナギマツタケのカダイフ包み
・フォアグラのポワレ マッシュルームとトリュフのソース
・真鯛のポワレ 下仁田葱ソース ハナビラタケのグリエ添え
・蝦夷鹿とキノコのパルマンティエ
・軽く薫製にした猪の煮込み ゴボウのソース 原木椎茸とジャンボマッシュルーム添え
・クレープシュゼット 紅マドンナとバニラアイス添え

下仁田葱ソースは冬のスペシャルソース。葱と白身魚。合わないわけがない組み合わせ。

メインは対馬産の猪を煮込んだ冬のスペシャリテ。肥え太って脂身の多い猪肉は、焼くより煮込みが美味しい。猪の脂と煮汁が溶けたソースがグリエされたキノコに良く合います。

すべての皿がスペシャリテ。季節ごとに来たいものです。

  • 今治藤本氏の神経締めブリのカルパッチョ 京都実山椒ドレッシング
  • フォアグラと伊予美人のテリーヌ トリュフソース
  • フォアグラと里芋(伊予美人)のテリーヌ レモンドレッシング オーヴォリ添え

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2位

レストラン・マッカリーナ (真狩村その他 / レストラン、フレンチ、オーベルジュ)

2回

  • 夜の点数: 4.5

    • [ 料理・味 4.5
    • | サービス 4.5
    • | 雰囲気 4.5
    • | CP 4.5
    • | 酒・ドリンク 4.5 ]
  • 昼の点数: 4.5

    • [ 料理・味 4.5
    • | サービス 4.5
    • | 雰囲気 4.5
    • | CP 4.5
    • | 酒・ドリンク 4.5 ]
  • 使った金額(1人)
    ¥10,000~¥14,999 -

2017/07訪問 2017/07/09

穏やかな時が流れるオーベルジュ

1年ぶりの再訪になります。年に一度訪れるのが精一杯ですが、いつまでもここにあって欲しいレストランです。

トラディションコース
前菜1:シロガイのマリネ、フォアグラのテリーヌ、蛸のラグー、蕪のムースを包んだスモークサーモンを地場野菜と共に

前菜2:朝採れブロッコリーの塩茹で お好みでベーコンとエシャロットのドレッシング

スープ:メークインのポタージュ

シャルキュトリ:自家製ハム、2年熟成生ハム、
鹿肉のサラミ、豚肉のソーセージ

主菜:トキシラズのグリエ 焙じ茶のリゾットを敷いて メークインの焼き芋添え

デザート:チョコレートムースとパイナップルのジュレ、キャラメルアイス

ハーブティー、プティフール

塩茹でした野菜そのままの皿や、メインの直前にシャルキュトリの盛り合わせが出る構成がユニークです。地場野菜の種類が豊富で、フェンネルの葉なんて初めて食べました。

メインのトキシラズのグリエは香ばしく焼かれて蕪の葉のソテーが載せられ、さらに焙じ茶のリゾットが敷かれて、海と山の食材の出会いが楽しい。何より、ウェイティングルームの暖炉の灰を使って2時間焼いたメークインの焼き芋が面白かった。掬って食べるよう木ベラが付きますが、パリパリの皮ごといただきました^^

ワインは、2014 Bourgogne Pinot Noir /Frederic Magnien
メインが魚なのに同行者が「赤が飲みたい」と要望、前菜からメインまで1本で通すとなると軽めのブルゴーニュにするしかなく、リスト中唯一のACブルであるフレデリック・マニャンをチョイス。(ブルゴーニュの赤は結構いいワインしかオンリストしていないのだ…) コートドニュイのACブル区画の葡萄にフィサンをブレンドしたというワインは、軽いながらもクリアな酸をバックボーンにしたニュイらしいスタイルでした。料理に合っていたので選択は間違ってなかったですが、面白味に欠けたのが反省点…同じ価格帯で白ならアルザスで色々選択肢があったのになぁ。

穏やかな時が流れる空間。来年もまた来られますように…
肉や魚も美味しいのですが、やはり野菜の印象が強く残ります。

リュックスコース
・前菜:鮑、ボタン海老、鮟鱇と肝、鮪、地場野菜の盛り合わせ
・季節の野菜:塩茹でした朝採れブロッコリー お好みでベーコンとエシャロットのドレッシング
・スープ:越冬メークインのポタージュ
・魚:ヒラメのポワレ ミズ(ウワバミソウ)をのせて トマトソースを詰めた花ズッキーニ添え
・肉:標茶産和牛ロースのステーキ エシャロットのソース 山ワサビ添え
・デザート:オレンジのババロアとパッションフルーツのアイス チョコレートのソース キャットミントを添えて
・ハーブティー、プティフール

出てくる野菜の一つ一つが味わい深い。塩茹で、素揚げ、グリエ、マリネ…素材の旨みを最大限に引き出しています。
そして、魚介はもとより、道産牛の美味しさに感動しました。こんなに旨かったか、北海道の牛。

ワインは、3千円台の道産ワインから5万円台のブルゴーニュまで様々ですが、アルザスのワインが充実してます。

2015 Alsace Cote d'Eguisheim /Emile Beyer
ピノブラン85、ミュスカ15のブレンドワイン。アタックの甘さが印象的ですが、すっきりした酸のおかげでベタベタせず、魚や肉はもちろん、野菜料理によく合います。こんな手頃なワインもオンリストしていてホッとしました^^;

宿泊客用の朝食は、ブーランジェリー・ジンのパン、クグロフ、グリーンサラダ、自家製ハム、ミニトマトのマリネとキャロットラペ、野菜スープ、自家製リコッタチーズ、トマトジュース、牛乳、フルーツ、コーヒー。
どれも美味しいのですが、とても食べきれないので、余ったパンとクグロフは持ち帰りました。袋を用意してくれます。

穏やかな時が流れるオーベルジュ。年に1回くらい行けたらいいですね…

  • シロガイ、タコ、フォアグラ、サーモン、地場野菜
  • 朝採れブロッコリーの塩茹で
  • メークインのポタージュ

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3位

フランス料理 ル・クール (市役所前、新千葉、京成千葉 / フレンチ)

29回

  • 夜の点数: 4.5

    • [ 料理・味 4.5
    • | サービス 4.5
    • | 雰囲気 4.5
    • | CP 4.5
    • | 酒・ドリンク 4.5 ]
  • 昼の点数: 4.5

    • [ 料理・味 4.5
    • | サービス 4.5
    • | 雰囲気 4.5
    • | CP 4.5
    • | 酒・ドリンク 4.5 ]
  • 使った金額(1人)
    ¥20,000~¥29,999 ¥10,000~¥14,999

2023/08訪問 2023/08/12

夏のムニュグルマン

夏のムニュグルマン(シェフのパッション溢れる美食家コース)15000円(税サ込)を食べに来てみました。

・アミューズブーシュ3種盛(ドルチェドリームのムース、ツブ貝のブルゴーニュ風、ブランダード)
・スペシャリテ スープドポワソン
・フォアグラのブリオッシュ包み
・エクルヴィス(道産ウチダザリガニ)のビスクとポーチドエッグ
・和歌山産甘鯛のポワレ プロヴァンス風ソース
・鮑のパイ包み 肝のソース
・ヴォージュ産ウズラのファルシ ジュのソース
・チーズ盛り合わせ
・ロックフォール風味のヌガーグラッセ
・食後の飲物と小菓子

アミューズ+6品+チーズ+デザート+飲物&プティフール。盛りだくさんでした。

同行者のリクエストが「貝が食べたい」というものだったので、アミューズに1品、そしてメインの前に1品出してくれました。鮑は贅沢でしたね。
ブリオッシュ包み、パイ包み、メインもファルシというルクールらしさ全開のコースでした。どの皿も本当に手が込んでいます。スープドポワソンとビスクの2種のスープが出てきましたが、これらも実は下拵えが大変な料理。そして、甘鯛は見事な松笠焼きになっていました。まったくシェフの情熱には頭が下がります。定休日が週2日ですが、うち1日は仕込みの日だそうで、さもありなん。

アペリティフのグラスシャンパンはシャンシーラ。
フォアグラに合わせてグラスでピノ デ シャラント。これ絶妙でした。
ボトルワインは、
2019 Tavel /L'Anglore
相変わらずスケールが大きいラングロール。別格のタヴェルロゼ。色調はほとんど赤ワイン。
2015 Bourgogne Rouge /Leroy
けぶるような熟成香が立ち上る、上質のピノノワール。ACブルでありながら品質は1級畑、香りだけならグランクリュ並み。メゾンものとはいえ、さすがはルロワ。
2020 Fixin Vieilles Vignes /Richard Maniere
最後の1本はK支配人にお任せで。フィサンの印象はほぼジュヴレシャンベルタンと同じだが、値段は若干お手頃。樹齢60年のピノノワールによる、力強さと繊細さを同時に感じる稀有なワイン。

東京から来た初ルクールの人達が大満足しておりました。


1年ぶりのランチコース。あらゆるものが値上がりする昨今だけど、お値段据え置き6000円(税サ込)で変わりなし。

グラスシャンパンはピエール ジモネ。初めて渡仏した時、若造のくせに生意気にも星付きのル ブリストルに行ってしまったが、そこでグラスで出していた。3つ星が認めたシャンパン。(当時は2つ星だったけど)

アミューズ:ラタトゥイユと温玉のカクテル
夏向けの冷菜。ラタトゥイユと温玉って相性いいですね。

ここで、+600円でスープドポワソンを追加。魚のアラだけでは足りず、雑魚を箱買いして捌いて潰して濾して…とエライ手間がかかっているそうな。雑魚はちっちゃなヒメジとか色々だそうです。濃厚なスープはこの店のスペシャリテと言ってもいい。おすすめです。

前菜盛り合わせ:肉と魚介が3品ずつで、真ん中にオカヒジキ等のサラダがてんこ盛り。内容はヤリイカのトマト煮、鱈のブランタード、穴子のベニエ、猪のパテ、スモークチキン、豚のリエット。これ、一品一品作るの大変だと思うのだけど。シェフのサービス精神が詰まった一皿です。ちなみに猪のパテは、鹿肉のブーダンノワールとの差し替え。苦手食材は事前に申告済み。

魚料理:キアラのポワレ 自家製アンチョビのクリームソース
キアラとはアオハタのこと。ただし、魚体は黄色でまったく青くないそうな。魚に魚のソースは相性抜群でした。アンチョビも自家製なんだもんなぁ…シェフのこだわりを感じます。

メインは羊、鹿、小鴨、ロニョン、千葉県産キョンのロワイヤル、県産和牛サーロイン、鳩からの選択。最近ではキョンをよく使うらしい。最初の3つ以外は要追加料金。
肉料理:シストロン産ジゴロティ ソースジュダニョー
羊肉の産地で有名なシストロン産のジゴ(羊もも肉)をチョイス。ルクールではジゴをよく使う。噛み応えはあるけど、背肉より脂身が少ないので好き。

デザート:ブランマンジェ&ハチミツのアイス
ギリギリ形を保っているトロトロのブランマンジェでした。

ワインは、
2015 Venskab L'Anglore
ヴェンスカブはラングロールのエリック ピュフェルリングと、クロデグリヨンのニコラ ルノーの合作だが、裏ラベルにはラングロールと記載されている。
セパージュはグルナッシュ、サンソー、ムールヴェドル、カリニャン、クラレットとのことだが、色調は薄く、ほとんどロゼワイン。タンニン控えめで酸が前面に出るスタイルは、他のラングロールのロゼや赤ワインとはまったく性格が異なる。ピュアな酸の裏に旨味を感じる味わいは、やはりビオワイン。
わずか2ヴィンテージしか作られなかった希少なワインを飲めて光栄でした。K支配人に感謝!

デザートに合わせてモンバジャックを。
2020 Château La Rayre Monbazillac
かつてはカジュアルな甘口と言われたモンバジャックだが、最近では高品質、高級化路線が進んでいる。もちろん円安の影響もあるけど。熟した柑橘、蜂蜜のニュアンスの裏に上品な酸味。

厨房に若手スタッフが加入して陣容が整ったようです。今後のルクールも楽しみです。


4/29からの価格改定によってランチコース5000円→6000円(税サ込)にアップ。しかし、平日昼でほぼ満席。人気店の地位は揺るがない。

ランチコースの肉系・魚系の選択がなくなって、一つに統一されました。

アミューズ:ドルチェドリームのムース グリエした芯から取ったフォンのジュレ
夏らしいトウモロコシのムース。アペリティフのシャンパン、ダニエル デュモンにピッタリ。

前菜盛り合わせ:魚介のテリーヌ、稚鮎のベニエ、自家製スモークサーモン、パテドグランメール、猪のゼリー寄せ、豚肉のリエット、猪肉のリエット。肉系と魚系の前菜が両方皿にのることになりました。そして、中央にてんこ盛りのサラダ。オカヒジキやアスペルジュソバージュ、食用ヒマワリの花が楽しい。これにバゲットとカップスープでカフェランチセットになりそう。

前菜に合わせてグラスで哲多町ドメーヌ テッタ の2017 ボンボンコロレを。ピオーネと安芸クイーンのブレンド。退色気味だが、5年経っても爽やかな酸。意外に熟成に耐えられるようだ。テッタはもう生食用ブドウでワインを作る路線でいいんじゃないかな。

本日のお任せ鮮魚:メカジキのポワレ タプナード ラタトゥイユ添え
この日は南仏風で出てきました。パリッとした焼き上がりの魚を、汁気の無いタプナードで食べるのも良いものです。

本日の肉料理(チョイス)は、羊、猪、鹿、マグレ鴨、アンドゥイエット、ロニョン、鳩、牛フィレからの選択。最後の3つは追加料金あり。

ロニョンドヴォー マスタードソース(+500円)
フランス産が高騰してしまったため、イタリア産の牛の腎臓とのこと。火入れは完璧でプリプリの歯応え、独特の匂いはほのかにする程度。納豆の1/3くらいかな。キレのあるマスタードソースとの相性が抜群でした(アンドゥイエットのマスタードソースとは異なる)。ジビエに隠れがちですが、この店の内臓料理は相変わらず旨いです。

デザートは名称を失念。フルーツとソルベの盛り合わせでした。最後にプティフールとコーヒー。

コースを通してワインは、
2011 L'insolent / François Ecot
ルクールが移転してきた年のワインが発掘されたとのことで、ありがたく飲ませていただきました。ブルゴーニュの自然派フランソワ エコが作るランソレのファーストヴィンテージらしい。ランソレはピノノワール、ガメイ、ピノブーロのブレンドで、今でこそ6種類のブドウを使っているが、最初の年は3種類だった。エチケットも今は赤ワインは赤、白ワインは緑のイラストだが、当初は黒だったのね。赤ワインというより退色してオレンジワインのよう。ピノらしいイチゴのニュアンスを感じるが、小梅のような酸、出汁系の旨味あり。MC由来のキャンディ香はあるが、程よい枯れ具合による複雑味もあって気にならない。バリバリの自然派ワインでも、10年熟成は可能という良い見本。(ただしピークは過ぎている)

人間ドック明けの良い祝杯になりました。

期間限定、完全予約制のお試し企画に行って来ました。1階カウンター席を使ったワインバーです。

料理はアラカルトで。前菜は2人前で、ハーフ対応可(ただし、アスパラは除く)。
・シャルキュトリ盛り合わせハーフ
ランチの前菜盛り合わせをディナーで食べられたら良いのになぁ、という望みが実現しました。猪パテ、パテドグランメール、豚のリエット、フロマージュドテット、鶏レバーパテ、牛ハツスモーク。いや、これホント楽しい。シャルキュトリ好きのシェフなので、一つ一つが入魂の旨さ。これだけでボトル1本イケます。

・アンドゥイエット
夏に食べて以来のアンドゥイエット。しかも前回は緊急事態宣言中でノンアルコールだったので、久しぶりにワインと合わせられるのが嬉しい。今回はマスタードソースにマッシュポテトを添えたビストロチックなスタイル。胃袋、子袋が主体のコリコリとした歯触りが楽しい。本場フランスのものより美味しいし、もの凄く手間がかかっているのは分かるけど、こうなると本来ホルモン料理のアンドゥイエットがけっこう高級料理になってしまうのが悩みどころ。

前菜、メインともにシャルキュトリで、ルクールらしいディナーになりました。プリフィクスのコースだった頃が懐かしい…

ワインは、アペリティフにシャンパンを。
Campagne Grand Cru Brut Blanc de Blanc /Franck Bonville
ノーベル賞の晩餐会で出されたこともあるというフランク ボンヴィル。キレのある酸、特級畑のブランドブランらしいボディ。

次いで、ボトルで赤ワインを。
Cardinal /Valentin Valles
ヴァランタン ヴァルスのカーディナル。推定ヴィンテージは2015。セパージュはカリニャン、グルナッシュ、サンソー、ムールヴェドル。同じヴァルスのローリエと違うのは、シラーではなくカリニャンが入っているところだが、そのせいで軽くてバランスが良い。熟成による複雑さもあって、今がまさに飲み頃。いや、良い作り手のカリニャンは本当に美味しい。ブルーノ デュシェンのシャトー ラ バロンヌ以来の驚きを感じた。

最後にフレンチウィスキーのベルヴォワで締めました。

ワインバー ルクール、楽しい企画でした。また折を見て是非やって欲しいものです。


いつもは季節のお任せコース(ムニュ セゾン)なのですが、今回初めて"シェフのパッション溢れる美食家コース"(ムニュ グルマン)を食べてみました。
ムニュグルマンは料理の選択肢が無くすべて固定です。私はちょこちょこ通っているので聞かれませんでしたが、おそらく予約時に苦手食材を聞かれてコースが組み立てられると思われます。ちなみに私の場合、血液系食材、鳩、飛ぶ系のジビエを避けてます(と店のデータには記録してあるはず) 美食家じゃないですねという声が聞こえてきそうですが、はい、そのとおりです。ただの飲兵衛です^ ^

まずはボトルでシャンパンを。
2009 Champagne Resonance Extra-Brut Blanc de Blanc Grand Cru / J. L. Vergnon
作り手はジャン ルイ ヴェルニョン。10年以上を経たにもかかわらず、ブランドブランらしい力強い酸が印象的。2009という特異な年であるせいか、エクストラブリュットでも充分な糖を感じる。温暖化の今、これがスタンダードになるのかも。


アミューズ:人参のムース 雲丹をのせて 海老のコンソメジュレ
トウモロコシのように甘い人参でした。アミューズから雲丹が出てきて期待が高まります。

・フォアグラのブリオッシュ包み
シャルキュトリが得意なシェフの真骨頂。これまた贅沢ですねぇ。古典的ですが、グラスでソーテルヌと合わせました。ソーテルヌはフォアグラの甘味を殺さず活かすので良いですね。

・鱈の白子のムニエル ケッパーのソース
とろけるようなレアな火入れの白子のムニエル。ケッパーソースのおかげでしつこくならず、シャンパンとの組み合わせは絶妙です。冬瓜のソテーとポムアンナが添えられていました。最近ポムアンナよく見るな…

・ヒラメのポシェ モンサンミッシェルのムール貝と南瓜のソース
しっとりとした火入れのポシェ。茹でると旨味が逃げてしまうのではないかという心配は杞憂です。貝出汁の効いたソースが旨味を倍増させます。来るたびに毎回魚料理が違っていて楽しいな。

・伊勢海老のパイ包み
ムニュセゾンよりこの一皿が多いのですが、これが圧巻でした。世界的なオマールブルーの高騰により伊勢海老を使い始めたそうですが、千葉県は伊勢海老の漁獲高が日本一なので、この方がルクールにふさわしいと思います。身はプリプリ、旨味がパイ皮にまで染み込んでいて絶品でした。ちなみに添えられていた殻は食べられません(笑)

・仔羊背肉のロースト ジュダニョー
ルクールではジゴ(もも肉)を使うことが多いですが、高級なのはカレ(背肉)の方。ロゼ色の火入れでしっとり、脂身も旨い。ジュダニョー(肉汁)のソースは王道で個人的には満足しましたが、私の苦手食材申告がなければ青首鴨とかだったかな?ジビエ好きのシェフは、最近エアライフルの免許を取ったそうなので、そのうちシェフが獲った鴨がお目見えするかもしれません。

アヴァンデセールをチーズ盛り合わせに差し替えてワインを消費。

グランデセール:洋梨コンポートと和栗のモンブラン
今年のモンブランは洋梨のコンポートと共にカクテル仕立て。秋らしいデザートでした。

ワインは、伊勢海老のパイ包みから赤ワインを抜栓。
2003 Vornay 1er cru Santenot du Milieu / Comtes Lafon
ムルソー村の超有名な作り手コント ラフォン。意外なことに赤ワインも作っている。ヴォルネイ村の1級畑サントノのミリューという画地のワイン。単なるサントノと、サントノ デュ ミリューでは雲泥の差があると言う。2009と共に2003も酷暑で特異な年だったが、まったく衰えを見せない。ブラインドなら2013と答えてしまいそうだ。15年以上経っても熟成とフレッシュさが上手く均衡している稀有なワイン。さすがコント ラフォン。

ソーテルヌと合わせたのは、
2015 Chateau Cantegril
シャトー カントグリルは格付けワインではないが、あの有名醸造コンサルタントの故デュニ デュブルデュー博士が所有していたシャトー。最近のソーテルヌは若い内から美味しく飲めるスタイルに仕上げている。濃厚さとフレッシュさのバランスが取れ、上質な貴腐香、バニラ、カリンのニュアンス。

デザートと共に、
2019 Ouate vin de raisins surmûris / Clos de Nines
ラングドックの自然派甘口ワイン。ヴァンドレザン スールムリは、ヴァンドゥナチュレルのようにリキュールを加えていない正真正銘の過熟ワイン。濃厚だが嫌みの無い甘みに、ドライフルーツのニュアンス。

食後酒に、
Brandy Criaderas / Bodegas Ximenez-Spinola
珍しいペドロ・ヒメネスのシェリーブランデー。天然の甘味の余韻が極めて長く続き、飲み応えがありました。

振り返ってみれば、とんでもないラインナップでした。K支配人に感謝!
今年も登場した夏のスペシャリテ、完熟トマトのムースを食べに訪れてみました。

アペリティフにノンアルコールのベリーニを。桃のピュレをトニックウォーターで割ったカクテルですが、ほの甘い程度の甘さなので、食前の飲み物として好印象。

ガス入りのミネラルウォーターはスルジーヴァでした。欧州のミネラルウォーターとしては珍しい軟水で、硬度20。

季節のお任せコース 8600円
アミューズ:自家製スモークサーモン
ファンが多いこの店のスモークサーモン。千葉そごうのフェア等で購入できましたが、今年の開催は無くて寂しい限りです。

冷前菜:完熟トマトのムース 蜂蜜ビネガー風味
今年のムースはエスプーマを使用してフワフワでした。トッピングにはジュレと、色とりどりのミニトマトにトマティーヨ。緑色のトマティーヨは、実はトマトではなくホオズキの仲間なんだそうです。ムースと言うより、ほとんどトマトのパルフェですね。来年はトマトのアイスをのせて欲しいなぁ(笑)

温前菜:鰻・豚足・茄子のシャルロット
この夏の新作料理。この日が初めてのお目見えということでした。薄くスライスした茄子で見事にシャルロットに仕立ててあります。中は粗微塵の鰻と豚足で、ソースは鰻の骨から取ったフォンを使ったマデラソースと茄子のソース。上には茄子のピュレ、皮のフライ、軽くキャトルエピス。夏のスタミナ回復にうってつけの料理でした。

魚料理:クチビダイのポワレ タプナード添え
クチビダイはフエフキダイのことだそうです。身の下にはラタトゥイユが敷かれ、周囲に彩り程度のパプリカのソースが点在していますが、ほとんど魚をタプナードで食べるというスタイルでした。これがさっぱりしている上、魚の身の旨さがよく分かって、かなり美味しかった。火入れに相当の自信がないとできないことではありますが。

肉料理:アンドゥイエット
この日は他に短角牛、羊、鴨、鹿、鳩からの選択でしたが、迷うことなくアンドゥイエットをチョイス。シャルキュトリ好きのシェフが作るこの店のアンドゥイエットは絶品です。中には玄人ぶって少しは匂った方がいいなんて言う人もいますが、やっぱり匂わない方が純粋にモツの旨さを味わえると思うのです。丁寧に下処理されたコブクロ、ガツ、テッポウが実に味わい深い。マッシュポテトと共に出されるのが定番ですが、この店では使わず、添えられた白インゲン豆やプルロットのソテーと共にこぼれたモツを混ぜて食べるのが美味。ジュとマスタードのソースもさっぱりしていて夏向けでした。

アヴァンデセール:茄子のアイスクリーム
見かけによらず、しっかりと茄子の味がするアイスで、さらに焼き茄子を使った茄子塩がふりかけられていて甘じょっぱい。野菜のアイス、癖になりそうです。

グランデセール:サラダフリュイのカクテル仕立て
キウイ、パイナップル、パッションフルーツの上にレモンタイムのアイスとメレンゲ。さっぱりとコースを締めることができました。

大網白里産の蜂蜜を添えたカモミール&プティフール

ノンアルコールで通しましたが、おかげで一つ一つの料理をしっかり味わうことができました。たまにはこういうのもいいものです。
季節のお任せコースは夏真っ盛りの食材になっています。

アミューズ:ドルチェドリーム グリエした芯から取ったフォンのジュレ ベーコン風味のクリーム
夏らしいトウモロコシのカクテル。ドルチェドリームはお菓子のように甘い。

冷前菜:足赤海老のポシェ ラタトゥイユ添え 唐辛子のソース
足赤海老はクマエビとも呼ばれる甘味の強い海老。辛くない唐辛子のソースが良く合っている。ツルムラサキなどの野菜がてんこ盛りで嬉しい。

温前菜:鮎のビスク パルマンティエ風 グリーンオリーブのタプナード
鮎をワタごと濃厚なスープに仕立ててありました。上にのせられたポムアンナ(薄く切ったジャガイモのガレット)で見えませんが、マッシュポテトとオリーブのタプナードが隠れています。稚鮎のベニエも添えられて、鮎を存分に味わえました。鮎のこういう食べ方もいいですね。

魚料理:金目鯛のポワレ ハーブを効かせたブールブランソース
ソースは、石本シェフの修業先が福岡のウサギ&かめで、そこの千綿シェフがシェイノ出身ということで、ソースロワイヤルを彷彿とさせる。ハーブ強め酸強めの夏向けで、さっぱりとして美味。

肉料理:カン風トリップ
メインの肉料理は選択で、定番の牛、羊、鴨の他に、カン風トリップ、シュークルート、そして+1000円で鳩でした。シュークルートと迷った上で、カン風トリップをチョイス。シェフとマダムが3年前にカンへ研修旅行で行かれたこともあって、この店のカン風トリップはかなり美味しい。見事な照り。ジューシーなハチノス、センマイ、ギアラ。モツの旨味を吸った野菜達。夏のモツ煮込みは夏バテ防止におすすめです。

アヴァンデセールをフロマージュに差し替えてワインを消費。

グランデセール:桃のコンポートのカクテル仕立て ローズマリー風味のチュイル添え
季節感のあるデザートでした。ハーブを加えた一手間が楽しい。これに、珍しいシャブリのラタフィアを合わせました。シャブリのシャルドネの果汁70%に、シャブリの葡萄で作ったマール30%のデザートワイン。ワイン用のブドウの糖度の高さが分かります。贅沢なマリアージュを楽しめました。

最後は、大網白里産の蜂蜜を添えたベルベーヌ&プティフールで締めました。

ワインは、
Vin Courant /François Ecot
フランソワ エコ。自然派ワイン界の無名の巨人。ヴァンクーランはアリゴテ100%で作られたワインになる。畑はマコン近郊なのでブルゴーニュのはずだが、ボトルにヴィンテージ表記が無い。ただ、K支配人が言うにはファーストビンテージとのこと。ルクールが開店した頃に購入したので、推定2008~2010年。もう市場では手に入らない超希少なワインであることは間違いない。華やかな柑橘系の香り。抜栓直後は酸がぼやけていたが、時間と共にシャープなアリゴテらしさが表れてきた。それよりも、果実味の凝縮感と、熟成による複雑さが凄い。10年以上経てもこれを保ち続けているのは驚くべきことで、So2を使用しないビオワインは早熟という一般論を軽く打ち砕いてくれた。ブルゴーニュワインとしてもかなり高品質なので、ぜひ若いヴィンテージも試してみたい。

夏のスペシャリテである完熟トマトのムースは、ただいま仕込み中とのことでした。この夏、もう一回来なければ。
季節のお任せコースが春の食材になっています。

アミューズ:菊芋のムース
フランスの古い野菜であるトピナンブール、つまり菊芋。土っぽい素朴な香りのムースの下には、あえて生っぽさを残したシャキシャキの菊芋と、菊芋の皮と煮たコンソメジュレ。菊芋ってこんなに美味しかったのね。

冷前菜:桜鱒のミキュイ 菜の花のタブレと新玉葱のソース
春らしい菜の花のクスクス、コゴミや葉玉ねぎ、芽キャベツなど野菜も多くて、身体にも良さそうな前菜。皮ごとパリッと炙った桜鱒が美味しい。

温前菜:手長海老のラビオリ 豆のナージュ
プリプリの海老はラングスティーヌだけでなく車海老も入っているとのこと。海老の風味が濃厚なスープに浮かんだ海老ワンタン(笑) 海老好きにはたまらない逸品。春インゲンの素朴な甘さもいい。

魚料理:ヒラメのポワレ ホタルイカのソース
和歌山から届いたヒラメに、春らしいホタルイカを組み合わせた料理。この店のスペシャリテである魚の裏ごしスープをベースに、肝ごと擦り潰したホタルイカを加えたソースが絶品でした。

肉料理:仔牛のロースト ソースペリグー
メインは仔牛、羊、猪、仔鴨、ロニョン(+300円)、雉のパイ包み焼き(+1000円)からの選択でした。
ここはやはり春らしく仔牛肉をチョイス。肉で季節を感じるのがフレンチらしい。葉付き牛蒡や春人参、ピエブルーなど付け合わせも賑やか。ソースは濃厚なペリグーソースと、旨味のある肉汁のソースの2種類あって楽しい。

アヴァンデセールをフロマージュに差し替えてワインを消費。

グランデセール:イチゴのカクテル ふきのとうの香り
ただのイチゴのカクテルではなく、蕗の薹の苦味がアクセントになったユニークなデザートでした。

ワインは、
Lundi rosé /Valentin Valles
ランディとはアイスランド語でニシツノメドリ(パフィン)のこと。色合いの鮮やかさに由来するらしい。最後の1本だそうで、最近までグラスで出していたとか。ヴァランタンヴァルスのロゼをグラスで出すとはなんと贅沢な!しかも、このワインを知らないお客さんが、余りの旨さに感動して空のボトルを持って帰ったという。
ヴィンテージ表記は無く、おそらく2010〜2012辺り。グルナッシュノワールの古木主体で、いい具合に熟成感と複雑さを感じる。ロゼにしては重めで、パワフルで旨味たっぷり。MC由来のキャンディ香あり。熟成して旨いロゼなんて、一昔前は考えられなかったことですが。

改修工事で1階がカウンターバーになりましたが、開始は未定とのこと。楽しみです。
年末年始に大晦日しか休まず、正月三が日から営業するルクール。毎年この時期のコースは特別メニューが組まれるのですが、ランチコースはお値段据え置きでした。素晴らしい。

5000円のコース
・牛ハツのスモーク
・タスマニアサーモンの自家製スモーク
冷菜2皿はルクールではおなじみのスモーク2種。特にサーモンはソテーのように厚切りで美味。

・ソールファルシ デュグレレソース
舌平目に魚介のムースを詰めたファルシ。みじん切りのトマトが効いたデュグレレソース。クラシカルなフレンチは、正月にふさわしい贅沢を感じます。大胆に皿を横切る黒いモノは素揚げしたイタリアの黒キャベツ、カーボロネロでした。水平線から昇る初日の出のイメージかな。

・仔羊背肉のローストペルシャード ジュのソース
メインは、仔羊もも肉、仔羊背肉、牛フィレ、蝦夷鹿、千葉県産猪、千葉県産網取り真鴨の6種類からの選択(一部要追加料金)。
目玉は網取り真鴨なんでしょうけど、飛ぶ系のジビエが苦手な私は仔羊背肉(カレダニョー)をチョイス。羊肉で最も上等とされる背肉をローストし、表面にパン粉とニンニクとパセリを混ぜ合わせたペルシャードを焼き付けていくという手の込んだ料理。肉のジューシーさとペルシャードのサクサク感を同時に味わえるのが素晴らしい。

デザートは冬らしくリンゴのコンポート バニラアイス添えでした。

ワインは、
Rollier Rouge /Valentin Valles
ラングロールで修業したとして知られるヴァランタン・ヴァルス。ローリエはワイン名でヴァンドターブル扱いなのでヴィンテージ表記が無い。熟成具合からみておそらく2015年。シラー主体だが恐ろしく滑らかで、果実味は落ち着いているものの、深みと広がりはラングロールゆずりか。いや、赤ワインに関しては、ラングロールより上かもしれない。特徴的な鳥のエチケットはローリエ、日本でいうブッポウソウのことだそうで、青い羽がシラーを連想させたとのこと。こういうネーミングの仕方は素敵だと思う。

なお、1/12〜31まで休業です。店内改修工事を行うそうです。
ランチは5000円のコースの他に、8600円のジビエコースの2本立てになりました。2月頃までの予定だそうです。

5000円のコース
アミューズ:鹿肉のゼリー寄せ
ジビエコースじゃなくても、そこはそれルクールなので、ちょこっとジビエが入ります。腕肉を煮てほぐしてゼリー寄せにしたもので、癖はまったく無い。シャンパン(エティエンヌ ルフェーブル)にぴったり。

前菜盛り合わせ(魚系)
ロゼワインに合わせて魚系をチョイス。自家製スモークサーモン、水ダコのグリエ タプナードソース、ワカサギのベニエ ハーブマヨネーズ、イカのトマト煮、ホタテ貝のマリネ、ホウボウのカルパッチョ。と言っても大盛りサラダで見えませんけど(笑)。一品一品にきちんと仕事がしてあって美味。

サメガレイのポワレ ブイヤベース仕立て
初めて聞く魚でした。カレイって色んな種類があるのね。身がしっとりして旨いのはもちろん、エンガワがカリトロで超絶美味でした。かつてプリフィクスのディナーコースで人気だった魚の裏ごしスープの上にのせて贅沢な一皿。

仏産キュイスドプーレジョーヌのロースト ジュのソース
牛、羊、鶏、鹿、猪、軽鴨の中から鶏をチョイス。プーレジョーヌの骨付きもも肉です。以前に胸肉を食べたけど、もも肉も甲乙つけ難く美味しい。フランス人は胸肉を好むというけど、日本人的にはジューシーなもも肉かなぁ。とりわけ骨まわりの肉は旨いものです。

デザートはチョコレートのテリーヌでした。これまた結構クラシカルな味わい。

夏以来続けて来たラングロール巡りも、いよいよオーラスになりました。
2015 Tavel rosé /L'Anglore
赤ワインと見まがうばかりの色調。口に含めばタヴェルらしからぬ厚み、広がりがあり、タンニンと、なぜかイチゴのニュアンスさえ感じる。ただのタヴェルロゼではなく、ラングロールのタヴェルロゼという別のカテゴリーにすべきだと思う。赤や白も色々作っているけど、やはりタヴェルロゼこそがラングロールのフラッグシップワインなのだと納得させられる1本でした。

プティプールにピノデシャラントをショットで合わせて、今回も満足しました。なお、1月の半ばから3週間ほど改修工事のため休業するそうです。
平日の昼で意外に混むのが月曜日。月曜日休業の店が多いので、客が流れてくるそうです。

・前菜盛り合わせ(肉系)
猪のリエット、ミュゾードポール、パテドカンパーニュ、短角牛のサラミ、和牛ハツのスモーク、猪のメンチカツ。これだけでエンドレスで飲み続けられるプレートなのですが、特に猪のメンチカツが良かった。なんて力強いメンチカツなんだ(笑) もう少し大きいのを温前菜、あるいはメインとして食べてみたい。

・サワラのポワレ 焦がしバターとケッパーのソース
魚へんに春と書くので春が旬と思われがちだが、実は秋から冬が旬の魚。寒鰆という言葉もある。添えられているのは台湾野菜としておなじみのA菜。

・アンガス牛のバベットステーキ 赤ワインソース
質の良いアンガス牛ハラミに、定番の赤ワインソース。量も充分で満足しました。ランチだと、もっとビストロっぽく塩胡椒にマスタードを添えてステーキフリットで食べたい気もする。贅沢な話ではありますが。

デザートはイチジクのコンポートでした。

ワインは、
2015 Terre d'Ombre /L'Anglore
樹齢40年のグルナッシュ主体というが、色調はかなり薄い。しかし自然派らしい旨味が感じられる。ただ、キャンディ香が少し気になるかな…

食後にアルザスのマールで締めて、今回も満足しました^^
ジビエのシーズンと言われますが、ルクールは一年中イノシシを出しています。和歌山からバンバン届くらしい。

アミューズ:ビーツのムース
鮮やかな赤紫色が美しい。トップのカリカリベーコンが良いアクセント。シャンパンにぴったり。

前菜盛り合わせ(肉系):豚のリエット、鴨のスモーク、パテドカンパーニュ、牛ハツのスモーク、短角牛のサラミ、猪とフォアグラのパテ
赤ワインに合わせて肉系を選択。これだけで延々と飲むことができそう。1階をバーにして、こういうのを出してくれるのもよいかな、と思いました。

魚:アカハタのポアレ ブールブランソース
ハタ系の高級魚。沖縄でいうアカミーバイ。南方の魚だが、最近は陸奥湾の浅場でも釣れるそうな。身がしっとりして旨味が濃い。シェフのブールブランソースは何度か味わったことがあるが、この日のソースはハーブが多め。同じソースでもバリエーションは多いのです。

肉:和歌山産猪もも肉のロースト 牛蒡のソース
バベットステーキもあったのだけど、迷いに迷って猪を選択。歯応えのあるもも肉は臭みが無く、旨味だけを感じる。大地の香りが立ち上る牛蒡のソースが良く合いました。ジビエ向きのソースですね。

デザートは蜜柑のマリネでした。

ワインは、2014 Lirac /L'Anglore
リラックはロゼワインで有名なタヴェルの隣のアペラシオン。グルナッシュやムールヴェドルのブレンドらしい。思ったよりパワフルさはないが、年を経たせいか、タンニンの滑らかさが印象的。果実の甘み、旨味を感じる、質の高い赤。

連続で訪れると、シェフの引き出しの多さを感じられて楽しいです。
週末に珍しく空いている日がある、との幸運な(店にとっては不幸な)情報を得て、前日予約で訪問。といっても、パッサージュも入って席は8割方埋まってましたが。

前菜は選択で肉系、魚系、そしてこの日も特製パテアンクルートがあり、K支配人が熱心に推してくださったが、鳩嫌いな私はまたもパス。すまぬすまぬ…

・前菜盛り合わせ(魚系)
磯つぶ貝のマヨネーズ和え、自家製スモークサーモン、イワシのマリネ、アカイカのポシェ、白身魚のブランダード、ホウボウのカルパッチョ。6品あるのだが、山盛りのオカヒジキと金時草で見えない^^;
休日のランチはこういうさっぱりした前菜に白ワインってのがいいものです。窓辺の席で、行き交う人とモノレールを眺めながらのんびりと寛ぐ。

・金目鯛のポシェ ブイヤベース風
シェフのスペシャリテ「魚の裏漉しスープ」に、そっと火入れをした金目鯛を加えてブイヤベース風に。このスープ自体が絶品なので、美味しいのが当たり前。しっとりとした金目鯛の身と対照的な、枝豆と落花生"おおまさり"の歯触りが楽しい。上にはフェンネルの花。

・茨城県産ジャージー牛もも肉のロースト 赤ワインソース
肉料理は牛、鶏、羊、猪、鹿に加えてこの日はロニョン(腎臓)も+800円で選択可能でした。乳牛として知られるジャージー牛は、肉としては意外に流通していません。鉄分が濃いらしく深い赤色をしています。歯応えがあってコクのある赤身肉でした。添えられているオレンジ色の茸シャントレルが秋らしい。

・タルトトロペジェンヌ バニラアイス添え
南フランスのサントロペという街の名物で、ブリオッシュでクリームを挟んだ素朴でかわいいデザートでした。ショットで1990年のシャンベルタンの畑だけで作ったマールと合わせて満足。

ワインは、
2013 Bourbourenc /L'Anglore
白というよりオレンジワイン。セパージュはローヌ土着のブドウ品種ブールブーラン。穏やかな花系の香りにややシェリー香が混じる。屹立した酸が印象的。程よいタンニンとの調和。熟成感があって飲み頃だが、これもまた今は生産していないという…。ちなみにブールブランソースとは何の関係もないそうな。

同月にランチを2度訪れても、顧客管理はしっかりしているので、料理がかぶることはないです。
6月の営業再開からランチは5000円(税サ込)のコースのみになりました。内容はかなり充実しています。

アミューズはチーズサブレ。前菜は肉系、魚系、そしてこの日は特別に特製パテアンクルートも選択可能でした。猪、フォアグラ、ビュルゴー家の鴨、ブレス鳩を使った贅沢なパテを追加料金なしでオーダー可能とのことでしたが、鳩が苦手なので断念。まともに頼んだらこれだけで2千円以上しそうですけどね…

・前菜盛り合わせ(肉系)
猪のリエット、ミュゾードポール、猪のパテ、鹿のソーセージリヨン風、牛タンスモーク、猪のゼリー寄せ。シャルキュトリ6種でルクールらしい前菜。これ楽しいので、ディナーでも出して欲しいなぁ…

・ソールファルシ ソースアルベール
白身魚のクネルを舌平目で包んだ古典料理。ランチでアルベールソースなんて贅沢。

・仏産プーレジョーヌ ソースシャスール
メインは国産ジャージー牛、猪、仔羊、鹿、プーレジョーヌの5択の中から、トウモロコシで育てた黄色い鶏プーレジョーヌをチョイス。鶏肉には定番のシャスール(猟師風)ソース。火入れが素晴らしく、ジューシーで旨味が濃い。添えられた落花生おおまさりが千葉らしさを演出。さらにアルザス地方のパスタであるスペッツェルが敷かれていて、ソースを余すことなく楽しめました。

・ワカタイ風味のクレームブルュレ&ベルベーヌのジュレ バニラアイス添え
ハーブ&ハーブなデザート。ワカタイはペルーのハーブで、日本にも帰化していてシオザキソウと呼ばれているそうですね。なかなかユニークな香りをしてました。

ワインは、
Vin de France / L'Anglore
ラングロールの白。タヴェルで白ワインは認められていないので、最下層のテーブルワイン扱いになってしまい、エチケットにはワイン名もヴィンテージも書かれていません。おそらく2013年、セパージュはおそらくグルナッシュブラン主体。黄金色で程よい熟成感があり、青リンゴのような酸に蜂蜜、ドライフルーツのニュアンス、ナッツやビスケットのような香ばしさも感じます。ラングロールらしいワイン。残念ながらラスト1本で、現地でも既に作られておらず、二度と飲むことはできない。小さな作り手ではありがちなことですが…

シャルキュトリあり、古典料理あり、千葉素材ありと、ルクールらしい内容でした。土日祝日のランチは満席のことが多いそうなので、少なくとも1週間前の予約をおすすめします。
夏のスペシャリテ、完熟トマトのムースが登場です。

アミューズ・ブーシュはシューサレ。シャンパンの良き友です。
・完熟トマトのムース 蜂蜜ビネガー風味
濃厚な完熟トマトのムースに、透明果汁を使ったトマトジュレ、具にはピクルストマト。トマトの美味しさと楽しさがつまった絶品スペシャリテです。柔らかい酸味のある味わいも、かわいいピンクの色合いも、ロゼワインにぴったり。

・鱧のクネル ソースクリュスタッセ
ソースクリュスタッセとは、甲殻類のソースという意味で、日によって甲殻類の内容が変わるので、いちいち料理名を書き直したくないので、そういうネーミングにしたという^^;
この日の甲殻類は、なんと九十九里産のアメリカザリガニ!食べられるのは知ってましたが、食べるのは初めてでした。北海道のウチダザリガニを使ったソースナンチュアは聞いたことがあるけど、アメリカザリガニは聞いたことがない。果たしてソースは濃厚な甲殻類の旨味が、これまた濃厚なハモの旨味と合わさって至福の美味しさ。シェフのクネルは何度も食べたけど、これは今までで一番かなあ…

・金目鯛のポワレ ブールブランソース
本日の鮮魚は金目鯛。皮目はパリッと、身はふんわり。ソースはクラシカルな白ワインとバターのソース。正統派のフレンチです。

・オーストラリア産羊もも肉のロースト ジュのソース
メインは羊の他に、宮崎牛、和歌山産猪、仏産小鴨、ブレス鳩サルミソース(+500円)からの選択。最も高級とされる背肉もいいですが、噛み応えのあるジゴ(もも肉)もまたいいですね。というより、脂身の多い背肉よりこっちの方が好みかな。定番の肉汁のソースに、添えられたクレープやお好み焼きみたいのは……忘れた^^;

アヴァンデセールの代わりにチーズ盛り合わせをチョイスしてワインを消費。グランデセールはブルーベリーのタルトでした。ショットでソーテルヌ産のウイスキー(!)を合わせて大満足でした。

ワインは、
2011 Nulle Part Ailleurs Rosé /L'Anglore
いつもはブルゴーニュのリストしか見ずにオーダーしてしまうのですが、この日はリストの下の方までずーっと見ていくと…おいおい、ラングロールあるやんけ!親日派の作り手が日本限定で作ったというニュル パール アイユール。しかも、もう市場には出回っていない2011年。セパージュはカリニャン、グルナッシュ、サンソーとのことだが、ロゼワインでありながらタンニンと酸の調和、深い奥行きと広がるスケールの大きさ、何よりロゼかつビオでありながら、9年経っても未だ若さと熟成感が拮抗しているのが驚き。

そろそろ秋の気配を感じる今日この頃。次回の秋のコースも楽しみです。

6/1より店内飲食を再開しました。再開して本当に良かったです…
座席はソーシャルディスタンスを保って24→16席に減少、6200円のプリフィクスコースが無くなり、8600円と12500円のお任せコース2種類になりました。

季節のお任せコース 8600円
アミューズ:ドルチェドリーム そのエスプーマをのせて
最近話題のトウモロコシ"ドルチェドリーム"と、その芯を使ったエスプーマ。トウモロコシの甘さにカリカリ自家製ベーコンの塩味が効いて楽しい。

冷前菜:新玉葱のムース ラングスティーヌとそのコンソメを添えて
カクテル仕立ての涼やかな前菜。新玉葱と手長海老の甘味、コンソメの旨味、散らしたハーブが白ワインに良く合いました。

温前菜:鮎のパンケーキ 鮎のフォンとディルのバターソース サマートリュフとズッキーニのグリエ、鮎のワタのピュレを添えて
鮎を粉物と組み合わせたユニークな一皿。パンケーキは旨味濃厚なバターソースと相性が良い。もちろん鮎のワタも使います。サマートリュフと共に季節を感じる逸品。

魚料理:金目鯛のファルシ ソースアルベール
アルベールソースはシェ イノの代名詞とも言うべきソース。そして、福岡のフレンチ"うさぎとカメ"の千綿シェフはシェ イノ出身であり、石本シェフはそこでフランス料理の基礎を学んだ。だから、これはまさしく直系のアルベールソースなのです。千葉でこういうのが食べられるとはねぇ… 白身魚と帆立のクネルを金目鯛の身で包んだものに、茄子のピュレを茄子で巻いたものを添えた、実に手の込んだ一皿でした。

肉料理:青森県産短角牛ランプ肉のロースト 赤ワインソース
肉料理は選択でした。他は豪産羊もも肉のロースト、ロニョン(牛の腎臓)のソテー、ブレス産鳩のローストサルミソース(+500円)。
王道の牛肉をチョイスしましたが、サシの少ない赤身肉は噛みしめるほどに旨味があり、フランス料理らしい皿でした。

アヴァンデセールの替わりにチーズ盛り合わせを選択できます。これで残ったワインを消費。

グランデセール:ババ オ グランマルニエ
この店の定番ババ オ ラムを、夏に合わせて爽やかなオレンジ風味にしたデザート。

プリフィクスだと前菜からメインまですべての皿を内臓料理にしたりシャルキュトリにしたりする楽しみがあったのですが、お任せコースではそんな偏ったことはできないのが少々残念。でも、それぞれの皿にルクールらしさが感じられるコースでした。皿数が増えて食材も豪華になって、お得感はあります。

ワインは、
2005 Auxey Duresses Les Fosses /Moissenet Bonnard
ブルゴーニュではマイナーな、オーセイデュレス村の白ワイン。ほんの数十メートル歩けばムルソーという村境に近い畑。約15年を経てシェリー化がすすんでいるが、ナッツやドライフルーツ、蜂蜜のニュアンスも有り。熟成好きにはたまらないが、ピークは過ぎており、ここ1年以内に飲んでしまった方が良いと思われ。

2017 Saarburger Rausch Auslese /Markus Molitor
デザートに合わせてグラスで。マーカス モリトールは今やエゴンミュラーやJ.J.プリュムと比肩するほどのモーゼルを代表する作り手。一部100年を超える古木、2度に渡る一粒ごとの選果、驚異的な遅摘み…それだけやれば良いワインになるわな、という勤勉なドイツ人のすべてを注ぎ込んだワイン。星は独自の格付けで、糖度ではなくフィネス(質感や骨格のバランス)だそうな。非の打ち所の無いリースリングだが、ちなみにこれは2つ星。まだこれ以上があるのか…

8月以降に出るトマトのムースを食べに再び来訪することを約束して退店。それまでコロナが落ち着いていればいいのですが…

週末セットが人気らしい。メインの他にシャルキュトリや副菜が山ほど付いて2人前で税込み8千円なら、かなりお得なので当然だと思う。

今回の目玉はなんといってもブイヤベース!
ルクールで人気の魚の裏ごしスープをベースに、キャベツで包んだ白身魚と帆立のクネルを浮かべた絶品ブイヤベースでした。これ、もう一回出して欲しい…

他には、
豚のリエット
パテ メゾン
鶏胸肉のポッシェ トリュフ風味
豚耳のサラダ
猪とゴボウのパテ クルート
白身魚とじゃが芋のブランダード
スペイン風オムレツ
ブイヤベース
サラダ惣菜2品
フランキーさんのミニバゲット

鶏肉のポシェは、ほんのりピンク色の鶏肉にトリュフの香り高いソースをかけた、これまた絶品料理でした…家で食べられて幸せ。
他にも、ブランダードやスペイン風オムレツ等、南欧風の料理が多くて楽しかったです。

こんな楽しいルクールのテイクアウトも今月一杯。名残惜しいですが、再開を祝したいと思います。(後日、週末セットは様子を見ながら継続ということになりました)
火曜日までにオーダー、金曜日にお渡しという週末セットが始まりました。色々詰め合わせで8000円(税込)です。元々シャルキュトリの店頭販売や、千葉そごう物産展での販売を手がけていたので、品質は高いです。

内容は週替わりだそうです。今回は、
猪と牛蒡とフォアグラのパテクルート
パテドカンパーニュ
和牛ハツのスモーク
テットドフロマージュ
鮮魚のマリネ
豚のリエット
タップナード
サラダ惣菜2種
牛肉の赤ワイン煮込み ジャガイモのグラタン風付き
フランキーさんのバゲット

真空パック入りのシャルキュトリと煮込みは3日以内、カップ入りのマリネやサラダ等はなる早で、となっていました。

赤ワイン煮込みは80度で沸騰させずに湯煎するのがコツで、自宅での再現率は高い。非常に美味しかったです。ジャガイモのグラタンがアクセントになっていてとても良かった。

巣篭もり中のワインのアテに最高ですよ。

来週からはバゲットサンドも開始するそうです。近所の千葉市役所の職員が羨ましいなぁ…定休日を変更して水曜日も販売するそうです。(通常営業はしばらく休業)
3月になって春メニューに一新したとのことで、ホワイトアスパラなどもお目見えしていますが、まだまだジビエのオンパレードです。

・牛テールのゼリー寄せ
ルクールらしい前菜でした。牛テールの旨味を閉じ込めたゼリー寄せは、最初から赤ワインで行きたい人向け。

・イワシのクネル
クネルが得意のシェフは、かつて山ウズラをクネルにしたこともあったらしい。イワシのクネルということで、静岡の黒ハンペンみたいなものを想像しましたが、まったく違いました。イワシの旨味が凝縮されたソースと、フワフワで滑らかなクネルが絶品。

・猪のシュークルート
結局3皿ともシャルキュトリで、ルクールらしいコースになりました。キャベツは柏のヨシノファームの特製で、並のキャベツでは酢漬けにするとトロトロになってしまうので、ガチガチに固いものを使っているとのことです。猪のコンフィ、ベーコン、バラ肉ロール、ソーセージが入っていて、本場アルザスで修業経験のあるシェフのシュークルートは、かなりボリュームがありました。

・ロックフォールチーズのヌガーグラッセ
この季節には珍しいヌガーグラッセ。ロックフォールの濃厚さがとてもいい。ショットでいただいたVDLマクヴァン ドゥ ジュラとの相性はバッチリでした。

ワインは、
2005 Bourgogne Pinot Noir /A. F. Gros
15年を経た名門アンヌ フランソワ グロのブルゴーニュ。よく残っていたなぁと感慨深い1本。オーコートドニュイのアルスナン村と、ポマール村の村名ワイン区画外の畑のブレンドだそうです。並のACブルならピークをとうに過ぎているところですが、さすがにグロ家のワインは長熟です。綺麗に熟成して、けぶるようなブーケが立ちのぼる上質のピノノワール。

今春の料理もワインも絶好調でした。
ルクールが千葉そごうの催事に出店しています。今回はなんと2連チャン。
11/19(火)〜25(月)地下1階で開催のボジョレーヌーボーフェア
11/29(金)〜12/5(木)6階催事場で開催のワイン&チーズマルシェ
ルクール自慢のシャルキュトリやサラダを自宅で気軽に楽しめます。今回もマダムが奮闘中です。

スモークサーモン
鶏のスモーク
色々な豆のサラダ
キノコと冬瓜の煮込み
ヘルシーな4品を購入してみました。スモークサーモンは毎回の楽しみです。冬瓜の煮込みは初登場ですが、和の食材がワインヴィネガーやフォンドヴォライユ、オリーブオイル等で見事にフレンチになっていました。

もちろん、定番のパテドカンパーニュや、鶏とフォアグラのガランティーヌもあります。そして何よりスペシャリテの猪と牛蒡のパテアンクルートも。

ボジョレーヌーボーに興味がない人も、ぜひ足を運んでみてはいかがでしょう。おすすめです。
さっぱりした夏メニューなんかを食べたいな~、と思いつつ訪問。

冷前菜:鴨首肉のファルシ
鴨の首肉に砂肝、ハツ、レバーを詰めたこの店のスペシャル シャルキュトリ。以前は脳味噌も混ぜ込んでいたのですが、最近は入れていないそうです。円形の首肉の真ん中、確かにこの空間に食道や首の骨があったんだろうな~、と想像力をかき立てられるインパクトの強い前菜でした。

温前菜:オマールブルーのクネル
純正オマールブルーだけを使った贅沢なクネル。海老の旨味が凝縮されたクネルは舌触りが滑らかで、熟成した赤ワインにも良く合いました。

主菜:和歌山産猪のカルボナード
夏でも和歌山からバンバン届く猪肉。今年の夏はついオーダーしてしまいました。カルボナード(ビール煮)というよりは、マッシュポテトを敷き詰めてオーブンで焼いたグラタンでした。

デザート:緑のルバーブのタルト バニラアイス添え
赤いはずなのになぜか緑のルバーブを使ったタルト。優しい酸味がとても心地良い。

ワインは、
2006 Santenay 1er cru Passetemps /Jean Marc Vincent
12年を経て熟成がピークに達したブルゴーニュ。飲み頃のブルゴーニュに出会えるというのは、他に比べようがない至福の時です。こういう時に作り手どうこう、畑どうこう言うのは野暮ってもんですね。K支配人に感謝!

振り返ってみれば、全然さっぱりしてませんでしたね。次こそさっぱりした料理を…ってもう秋が近い^^;
内臓料理が好きなシェフの店なので、日によってはプリフィクスのコースで内臓料理だけをチョイスできます。臓物コース…もとい、ハラワタ デ コースを組んでみました。

スターターはグラスシャンパンから。
Dans Un Premier Temps Extra Brut /Dhondit Grellet
ビオシャンパンとして注目度急上昇のドント グルレ。ヴァン ド レゼルヴに古酒を使っており熟成感があって、なおかつパワフル。

冷前菜:フォア ド ヴォーの燻製と豆のサラダ
まずは牛レバーの燻製から。ラヴィゴットソースでさっぱりといただけました。最初から赤ワインで行けます。

温前菜:ロニョン ド ヴォー 紫粒マスタードと赤ワインのソース
人生初のロニョン。牛の腎臓です。店を選ばないとエラいことになると聞きます。(特にフランス本国では絶対手を出しちゃいけないとか) しかし、まったく匂わないというのも面白くない。石本シェフのロニョンはフワリと香る程度で美味しくいただけました。納豆の半分くらいかな?歯ざわりがプリプリして楽しい。量的にはこのくらいで充分かな。

メイン:自家製アンドゥイエット マスタードソース
こちらはまったく匂い無し。リヨンの有名店のアンドゥイエットでさえそれなりに香ったものですが、さすがに日本人向けにしてあります。モツの旨味を存分に味わえました。

内臓料理に合わせたワインは、
1995 Mercurey /Regnard
24年を経て充分に熟成したブルゴーニュ。絹のような滑らかさ。カシス、紅茶、トリュフの香り。しかしまだ若い酸も感じる。よく手に入ったな、と感慨深い1本でした。さすがの品揃えです。

デザートは+300円で盛り合わせにしましたが、酔っぱらって記憶が曖昧…

身も心もスタミナアップしたような気分になりました。ハラワタ デ コース、最高です^^
毎年楽しみにしている千葉そごうのチーバくんグルメ博覧会。今年は5/28~6/3で、ルクールのシャルキュトリが家で楽しめるという絶好の機会です。今回は、なんとエスカレータを6階で降りてすぐそばの好立地!

今回の目玉はなんと言っても「トリュフ風味のフォアグラのコンフィ」 出店で初登場です。1890円/50gと値が張りますが、だいたい40g前後で販売してますので、1個1400円くらいです。芳醇なトリュフの香りと濃厚なフォアグラ…めちゃくちゃ美味しいですよ。

他に購入したのは、
・鶏とキノコとフォアグラのガランティーヌ 918円/100g 実売1個800円くらい
比較的お手頃なのがこれ。フォアグラを鶏肉で巻いた贅沢なシャルキュトリです。

・猪肉と牛蒡のパテアンクルート 918円/100g 実売1個1100円くらい
ルクールの顔とも言えるパテアンクルート。牛蒡がいい味を出してまして、パテ全体にふんわりとした香りを伝えています。これにもフォアグラが入っていて贅沢。

・スモークサーモン 810円/100g 実売1個600円くらい
スーパーで売ってるような薫液を使ったまがい物ではなく、純然たる鮭、酒、ハーブ、塩、砂糖、香辛料のみで作った本物のスモークサーモン。薄くスライスするのではなく、ぜひステーキを食べるように塊でカットして噛みしめて欲しい。燻製の素晴らしさを実感できます。

私が買ったのは以上ですが、他にもパテ ド カンパーニュとか、豚肉のリエットとか、ルクール定番のシャルキュトリの他に、キャロットラペや豆のサラダなど箸休めにふさわしい逸品もあります。マダム自ら奮闘中です!応援がてら御来場をおすすめします!
正月でも営業しているルクールですが、この時期のディナーは普段のコースがお休みで、5皿+デザートのプリフィクスコース(7500円。税サ込)か、おまかせジビエコース(15000円)の2種になります。

正月の特別プリフィクスコース
アミューズ:竹炭のケークサレ
真っ黒な塩味のケーキ。ルクールのことだから血でも使ったのかと思ったら、竹炭でした^^; 正月早々ちょっとびっくり。

冷前菜:真鯛のカルパッチョ 柑橘のソース 柏市ヨシノファームのマイクロハーブを添えて
蝦夷小鹿のテリーヌと悩んだ末に、カルパッチョをチョイス。シャルキュトリ好きのシェフなので、意識しないと肉に偏りがちになってしまい、あえての選択です。カルパッチョと刺身の違いと言えば、塩の仕方に差が出ますが、この店のカルパッチョは塩をして水分を飛ばし、旨味の凝縮感があります。そこらの居酒屋のカルパッチョとは雲泥の差がありました。

温前菜:ブッフブルギニオンとジャガイモの焼きガランティーヌ ポーチドエッグ添え
新作シャルキュトリ。牛肉の赤ワイン煮とマッシュポテトを自家製ベーコンで巻いたガランティーヌを、ソテーして半熟タマゴを添えたという楽しい一皿。肉をトロトロのタマゴと絡めるのって大好きです。

魚料理:キアラのポワレ ブールブランソース
魚は選択肢無しでした。キアラの一般名はアオハタだそうですが、実際の見かけは黄色らしい。一応ハタの仲間なので、高級魚です。白ワインとバターのソースがフレンチらしい、安定の美味しさ。

肉料理:和歌山県産猪バラ肉の煮込み 猪の自家製ベーコン添え
もも肉のローストも選択できましたが、煮込みにしました。しっかり血抜きされて臭みがなく、意外に脂身が少なめで、猪のフォンが溶け込んだソースと共に、猪肉を食べているという満足感があります。これならジビエが苦手な人でも食べられるでしょう。

デザート:フォンダンショコラ
デザートも固定でした。通常の6000円のコースと比べて選択肢が少なめでしたが、一皿多い上に食材も格上で、とても満足できるものでした。

ワインは、
2006 Auxey Duresses Clos du Moulin Aux Moine /Domaine du Moulin Aux Moine
2年前に2002を飲んで以来のムーラン オー モワーヌ。長いこと閉じたフェーズだったようですが、ようやく開いてきており、熟成感たっぷりのブルゴーニュを楽しめました。

正月に営業した分、1/15〜23まで休業だそうです。
真夏のルクール。どんなものかと行ってみれば、K支配人の口から語られる本日のおすすめは、猪のパテ アンクルート、猪のブランケット、猪のカルボナード(ビール煮)等々…。和歌山からバンバン届くらしい。夏でもルクールらしさは健在です。

プリフィックスのAコース。
・金目鯛のカルパッチョ
塩をして薄くマスタードを塗った限りなく刺身に近いカルパッチョ。しかし、魚の旨味を存分に引き出しています。添えられたシーアスパラガスが面白い。初めて食べましたが、海水の塩を取り込むそうで、結構しょっぱい。

・バスク風ソーセージ ポーチドエッグ添え
夏の新作シャルキュトリは、バスク地方の唐辛子ピマン デスペレッソとニンニクを練りこんだソーセージ。これを、つくねのようにタマゴを絡めていただきます。辛さはほとんどなく、唐辛子の風味が心地よい。美味です。

・仏産乳飲み仔羊のロースト ジュとバジルのソース
メインはさっぱりしたものが食べたいな〜、と思っていたら、アニョー ド レ(乳飲み仔羊)のジゴ(腿肉)があるというのでオーダー。脂身が無く、淡白でまったく臭みのない仔羊肉は、豪快に200gくらいありましたけど、ペロリと食べられました。添えられた黄色いのはトウモロコシのベニエですが、これも夏らしい。

はい、すみません、意図的に猪を避けました…けれど結局、魚肉肉の組み合わせ。さすがルクール、やはりルクール。

ワインは、
2015 Bourgogne Chaumes des Perrieres /Raymond Dupont-Fahn
元はムルソーのショームとペリエールに接していた休耕地だったものを、開墾する際に盛土をしたところ、周りの農家からクレームが付いてムルソーを名乗れなくなってしまったという、いわくつきのワイン。テロワール重視というより、ただの農家のやっかみのような気がしますが、作られたワインはムルソーの特徴を色濃く反映してます。ミネラリックでありながら、粘土質に由来するふっくらした丸みも感じる。値段は一般的なムルソーの2割安といったところで、飲み手には嬉しいワイン。

本当はセルヴァンのシャブリか、コルディエのプイィ フュイッセにするかで悩んでいたことろ、K支配人がリストに載っていないこれを探して来てくれました。「ラスト1本だったので、ふさわしい人に飲んでいただきたくて」という殺し文句で即決しましたが、やはり客が本当に飲みたいワインをずばりセレクトしてくれる一流のサービス人がいる店というのは、本当に来る甲斐があります。

デザートは、名物のババ オ ロム。追いラム付き(笑) 楽しいねえ、ホントに。

プリフィックスのAコース。前菜、メインともにメニューに載り切らない「本日の料理」が多数あって、K支配人の説明を聞くのが楽しい^^ シェフの創造力には、本当に頭が下がります。

冷前菜:炙りミズダコのタブレ
クスクスの上に軽く炙ったミズダコとタプナードを乗せ、周りにガスパチョを流した初夏らしい前菜。白ワインによく合いました。緑色の葉は山菜のスベリヒユ。

温前菜:トリュフとモリーユを入れた仔ウサギのブーダンブラン
ルクールの新作シャルキュトリは、イタリア産の仔ウサギ肉で作った白ソーセージ。ソースは骨から取ったフォンのソース。癖がなくフワフワな仔ウサギ肉に、トリュフの香りが移ってとても贅沢。

メイン:千葉県産ヤギのナヴァラン
通常、羊肉で作るナヴァランのヤギ肉版。二十年ほど前までは、国内のヤギ肉はほとんど沖縄でのみ消費されていたのが、最近では内地(本土)にエスニック料理店が増えたのと、沖縄のヤギ肉離れのせいで、いまや内地が沖縄の3倍も消費しているのだそうな。輸入物は全てオーストラリア産ですが、国内産もチラホラ見かけるようになっている。これは千葉の山武産だそうです。
よく煮込まれたヤギ肉は、沖縄のヤギ汁のような強烈な臭みはなく、とても食べやすい。脂身もトロトロで美味しい。ただ、沖縄でヤギ汁を食した者としては、ヤギの個性があまり感じられないのも寂しい…といってもヤギ汁並の匂いだったら、フレンチレストランで出せないけどね。

デザート:タロッコオレンジのヴァシュラン
タロッコオレンジはいわゆるブラッドオレンジの一種ですが、それほど赤みは無い。サクサクのメレンゲと相性の良い、爽やかなデザート。

ワインは、
1999 Savigny lès Beaune Rouge /Antonin Rodet
酒のやまやでおなじみのアントナン ロデ。おかげで安いネゴシアンのイメージがあるが、実際には高品質なワインも数多く造っている。これは抜栓と同時に熟成香が立ち上り、かなり状態が良かった。ゆっくりと時間をかけて熟成してきたブルゴーニュのみに発現する芳醇な香り、複雑な味わい。

前菜に合わせてグラスで白を。
2016 Santorini Assyrtiko /Domaine Sigalas
ギリシャワインフェアというほどでもないのですが、最近ギリシャのワインを幾つか仕入れてグラスで出しているのだそうです。サントリーニ島のアシルティコというぶどう品種を使った白ワイン。味や香りはリースリングに似ていますが、アルコール度数はなんと14度!フィロキセラに侵されたことのない葡萄という意味がでも貴重です。

料理にもワインにも勢いを感じます。ルクールは今、千葉で最も熱いフレンチレストランです。


冬のルクールは、ジビエのオンパレードです。が、もちろんジビエでなくても美味しい料理はあります。いつもどおりプリフィクスのAコースをオーダー。

冷前菜:蝦夷鹿と根菜のポトフのゼリー寄せ
鹿のバラ肉とすね肉を根菜と共にポトフにしたものを、そのままゼリー寄せにしたような料理です。見た目やイメージと違い、さっぱりした前菜でした。

温前菜:マトウダイのベニエ タルタルソース
見た目が沖縄の天ぷらみたい。沖縄の天ぷらって、フランス料理のベニエだったんだ(笑)タルタルソースが、軽めの赤ワインにめちゃくちゃ良く合いました。

主菜:プーッサン(Poussin:雌のひな鶏)のロティ ジュのソース
ル・クールでもこんな料理を出すんだぁ、と意外に感じた一皿。肉汁を保った絶妙な火の通し方で美味でした。この店だと、ついジビエやシャルキュトリに目を奪われがちですが、こういうごまかしの効かないシンプルな料理をいただくと、シェフの腕の高さが分かります。

ワインは、
2015 Coteaux Bourguignons /Fernand & Laurent Pillot
ガメイ80%、ピノノワール20%。コトーブルギニョンは新しくできたアペラシオンですが、どうせパストゥグランやオルディネールみたいに、安っぽいガメイにブルゴーニュを名乗らせりゃ売れると考えた質の低いワインだろ、と思って今まで飲まずにきました。ところが最近、リヨン料理めぐりでガメイに目覚めたので、K支配人に「何か美味しいガメイない?」と問うたところ、ニヤリと笑って勧めてくれたのがこのワインです。何でもフェルナン爺さんが毎晩2本空けてたのを、歳のせいで1本しか飲まなくなったので、余った分を売りに出したとか。自家消費のワインこそ旨いのは当たり前で、ガメイとは思えないほどの透明感と、古木らしいしっかりした旨味を感じます。

デザートにババ オ ロムをいただいて、今回も大満足でした。

料理といい、サービスといい、ワインの品揃えといい、間違いなくトップレベルのフレンチです。千葉にあることに感謝です。

○シドケのゼリー寄せ 豚耳入りレフォールソース
季節柄、山菜を使った冷菜です。シドケというフキのような中空のある茎を使ったゼリー寄せですが、添えられたレフォールソースに豚耳のみじん切りが入っているのがこの店らしい。

○リダニョーのムニエル ジュダニョーとロックフォールのバターソース
リドヴォーではなくリダニョーです。すなわち、仔羊の胸腺です。リドヴォーよりもみっちりとして肉っぽい感じ。仔羊から採った出汁ジュダニョーにロックフォールチーズを加えてバターでつないだ濃厚なソースが、ワインに素晴らしく良く合いました。こういう料理を食べると、ああ、フランス料理っていいなぁ、と思います。

○トリップ アラモード カーン
いわゆるカーン風トリップです。牛のハチノス、センマイ、ギアラにシードルとカルバドスを加えて煮込んだフランスのモツ煮です。癖のある食材をここまで美味しくするには、よほど内臓料理を愛してないと出来ない事だと思う。一緒に煮込んだ新ジャガも嬉しい。

○イチゴとルバーブのタルト バニラアイスとルバーブのチップ添え
クラシカルな中にも季節感を感じるデザートでした。

グラスシャンパンはDaniel Dumont。繊細で、ほんのり甘め。
そしてワインは、2005 Chablis Vieilles Vignes Selection Massale /Servin
12年の熟成がきれいに入った、まさに飲み頃の逸品。村名クラスでここまで熟成に耐えうる白ワインに、私は他に覚えがありません。さすがセルヴァンといったところ。あまりの濃厚、濃密さゆえにブラインドならシャサーニュ・モンラッシェあたりの1級畑と答えてしまいそうですが、フリンティな香りが混じるのは上質なシャブリの証。

この店らしい料理の3連打とワインに、とても満足した夜でした。

秋はジビエの季節。ルクールがその本領を発揮する季節です。(2016年10月)

・フォアグラのテリーヌ ブリオッシュ包み
フォアグラのテリーヌと鴨のコンソメジュレをブリオッシュ生地が包みます。フォアグラと鴨の旨味がブリオッシュに溶け込んで、すこぶる美味^^

・パリ風ソーセージ レンズ豆と人参のピュレ、マスタード添え
直腸を使った太いソーセージは、ニンニクが効いていて食べ応えがありました。

・蝦夷鹿シンタマのロースト ポワヴラードソース 黒トランペットのスペツルと松茸のグリエ添え
個人的にジビエはあまり得意ではない。そういう人向けに牛肉の赤ワイン煮も用意してあるのですけど、せっかくルクールに来たので、ジビエ入門とも言える蝦夷鹿をチョイスしてみました。レアに焼かれた肉に臭みはまったく無く、きめ細かい肉質で美味。ソースのポワヴル(胡椒)はやや強め。2種のキノコが添えられていて、秋らしい一皿でした。

ワインは、2001 Saint-Aubin 1er cru /Marc Corin
サントーバンの赤という珍しさ、しかも2001とくれば否が応でも期待が高まりますが、丁度閉じたフェーズだったらしく、超低血圧のお姫様といった感じで、おずおずと開き始めたのが抜栓から1時間後、ようやく熟成した1級畑らしさを発揮したのがさらに30分後…まぁ、たまには人がワインに合わせる食事というのもいいものです。

最後はデザートのモンブランにペドロヒメネスの蒸留酒を合わせて、秋の夜長を楽しみました。今回も大満足です(^-^)

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季節柄、ジビエやシヴェ(血入り煮込み)などクラシカルな料理が多いですが、私の目当ては内臓料理やシャルキュトリ、そして創作料理です。(2016年2月)

冷菜:ポーチドエッグとトリュフのアスピック お米のソース 鴨のスモーク添え
ブラウンの瞳のような、見た目も楽しい創作料理。瞳孔に当たるトリュフの裏にポーチドエッグが隠れています。トリュフと卵って本当に良く合いますよね…なぜお米のソースかと言うと、卵かけ御飯をイメージしたとか(笑)

温菜:自家製ソーセージ アルザス風
昨年のシャブリ風の別バージョン。白ワインにゲヴルツトラミネールを使っているそうです。もちろんライチの香りはしません(笑)

主菜:豚足のギャレット シャルキュトリソース
この場合のガレットとは蕎麦粉のアレではなくて、丸くてカリカリしたものの意。表面はジュワーっという音が聞こえてきそうなほどカリカリです。骨は外してあるのですが、外すと意外に食べるところが少ないのが豚足の定め。しかし、裏には豚肉のミンチがたっぷりと敷いてあります。みじん切りにしたピクルスのソースでさっぱりといただけました。

ワインは2002 Auxey Duresses Clos du Moulin Aux Moine /Domaine du Moulin Aux Moine
状態もバッチリで最高でした。よくこの値段でこれ出せますね…掘り出し物なのは間違いないでしょう。こういうのがあるからこの店は楽しい。

スターターの伊予柑のシャンパンカクテルからデザートのファーブルトンまで、すべてが楽しく美味しかった。成田空港に一番近い星付きになりそうな予感…あ、そしたら気軽に行けなくなっちゃうか^^;

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アミューズにブーダン・ノワール、脳みそまでミンチにした鴨の首の詰め物、鴨のロースト・ソース・オー・サン、鹿ハム、鹿コンソメ…初夏だというのに晩秋のような料理の数々がメニューに踊ります。(2015年5月)

オーソドックスなものをチョイスしました。
冷菜:フォアグラのテリーヌ
温菜:豚足と小海老のガレット ポーチドエッグ添え
主菜:仔羊のロースト
ガレットはお好み焼きでした(笑) ソース・オタフクが欲しい。

ワインは大当たりでした。
2013 Gentil d'Alsace Metiss /Bott Geyl
薄っぺらいワインだったらどうしよう、という心配は杞憂でした。スターターにふさわしい白。
2006 Beaune Greves 1er Cru /Chateau de Meursault
ブルゴーニュでは果実味に過ぎるのがボーヌの特徴だと思っていますが、程よく熟成して果実感が抜けて、良いバランスになっています。まさに飲み頃。

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得意の内臓料理を目当てに訪れてみました。(2015年3月)

アミューズ:グージュール
前菜1:紀州鶏のガランティーヌ、フォアグラ詰め
前菜2:サザエと磯ツブ貝とアサリのブルゴーニュ風
主菜:アンドゥイエット(内臓の腸詰め)
デザート:イチゴのヴァシュラン

いかにもフランス料理らしい皿が並びます。ガランティーヌにはヘーゼルナッツが混ぜてあってワインが進む。パンには豚肉のリエットが添えられていて、これまたワインが進む。いかんいかん(^^;

圧巻だったのはアンドゥイエット。結構な大きさですが、とてもジューシーで、マスタードを効かせたソースのおかげでペロリと平らげました。満足、満足(^^)

ヴァシュランは、メレンゲと生クリームとバニラアイスを王冠に仕立てた古典的なお菓子。とても華やかです。

美味しい料理と心地よいサービス。また来たいと心から思える店でした。

  • 完熟トマトのムース 蜂蜜ビネガー風味
  • 青森産短角牛ランプ肉のロースト 赤ワインソース
  • アミューズ3種盛(ドルチェドリームのムース、ツブ貝のブルゴーニュ風、ブランダード)

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4位

ビストロ ル ケイク (新富町、宝町、八丁堀 / ビストロ)

4回

  • 夜の点数: 4.5

    • [ 料理・味 4.5
    • | サービス 4.5
    • | 雰囲気 4.5
    • | CP 4.5
    • | 酒・ドリンク 4.5 ]
  • 使った金額(1人)
    ¥10,000~¥14,999 -

2018/07訪問 2018/07/18

明石の魚介とシャルキュトリが美味しい

夏といえば鱧、鱧といえばルケイクです。

3800円のおまかせコース
・シャルキュトリ盛り合わせ(豚、鹿、鴨のリエット、田舎風パテ、マグレ鴨の生ハム&スモーク、自家製ハム、ケークサレ)
・グリーンサラダ&キャロットラペ
・明石の魚介3種盛り(鱧、縞鰺、鱸)
・牛ほほ肉の煮込み

相変わらずシャルキュトリは酒が進むし、明石の魚介盛りは丁寧に仕事がされた逸品です。鱧は落としじゃなくて、炙って塩でいただくのがベスト。皮目から滴る脂の旨いこと…ていうか、フレンチだよね?ここ^^;

ワインは、
Fete d'Or Blanc de Blancs Brut /Michel Tissot
2015 Mâcon Aux Bois d'Allier /Cordier
2011 Bourgogne Rouge Renommée /Remoissenet
フェトドールはいつものジュラの泡ですが、コルディエのマコンに、ルモワスネのブルゴーニュ…なかなかセンスの良い安旨ワインを置いています。
コルディエのマコンはやや酸が立ちつつも、やはりコルディエらしく濃密。ルモワスネはアメリカ資本になっても「飲み手のために飲み頃のワインを」という伝統は変わってないようで安心。けぶるような熟成香が立ちのぼり、クラスを超えた質を感じました。

今注目の裏銀座の中で、コスパ良く珠玉の料理が味わえるお店です。
カウンター席で、ワインバー的に使ってみました。ボトルワインと、合いそうなアテをオーダー。

○明石の鱧と太刀魚の炙り
鱧の炙りだけをアラカルトでオーダーしてみたところ、この日は入荷が少なく、太刀魚との盛り合わせになりました。もちろん太刀魚も美味しいのですが、鱧が目当ての場合は事前確認した方が良さそうです。

○テット ド フロマージュ
テット ド フロマージュ(煮こごり風の頭)か、フロマージュ ド テット(頭の煮こごり)か、店によって表現が違いますが、要するに豚の頭(顔の肉、皮、耳)のテリーヌです。箸で食べやすいよう8分割で登場。見かけは別の料理みたいになってしまいましたが、煮こごりが口の中でとろけて美味。

ワインは、
2015 Alsace Riesling Les Elements /Bott Geyl
レ ゼレマンは畑名ではなくワインの商品名、というかシリーズ名です。ボット ゲイルのスタンダードクラスのワインになります。フローラルな香りが印象的ですが、リースリングらしい酸が少々物足りない。ドイツワインでいうハルプトロッケンですね、これは。

カウンターでは独りコースを楽しむ男性客や、キャロットラペとテリーヌでグラスを傾ける女性客もいたりして、誰にとっても居心地の良い店です^^
明石の鱧を食べに再訪しました。

・田舎風パテ
ふんわり柔らかめのパテ。程よい塩加減でワインがすすみます。

・キャロットラペ
オレンジ風味で爽やかなラペ。

・明石の魚介4種盛り
相変わらず料亭風のビジュアルです。お目あての鱧は皮ごとグリエされて香ばしく、ふんわりした身の皮目から脂が滴って実に旨い。他にはメジロ(関東でいうワラサ)、サゴシ、マダイ。そんじょそこらの和食の店より美味しいです。

・ピレネー産仔羊のブレゼ
しっとりした肉質に、ふわりとアニョーの香り。エシャロットと一緒に蒸し煮にして出た肉汁を、スプーンで肉にかけつついただきます。良い仔羊はブレゼにしても美味しい。

・相談パスタ
客と相談して作るパスタ(笑)。こちらからリクエストしたのはカルボナーラと、もう一品はおまかせで。果たして出て来たのは夏野菜のレモンパスタ。大胆に輪切りにされたレモンの見た目が凄いですが、意外にさっぱりして食がすすみました。

ワインは、
Fete d'Or Brut Blanc de Blancs /Michel Tissot
この店の定番スパークリング、ジュラのヴァンムスー。ブランドブランを名乗るわりには酸が乏しい、というより甘いですが、蒸し暑い日にはいいですね。

2014 Bourgogne Pinot Noir /Seguin Manuel
日本ではほとんど無名の作り手ですが、驚くほど高品質なACブルゴーニュ。村名クラスと言って過言ではない(実際、村名クラスのブレンドらしい)。おすすめです。

銀座から流れて来る客がいるのか、万超ワインも少しだけオンリストしてますが、ビストロチックなワインが主流です。

ほぼ一年中鱧を出しているお店ですが、夏にもう一度訪れたいところです。
風の噂に美味いと聞いていたビストロ…ようやく訪れることができました。そろそろ開店1周年、常連客もついて、平日夜だというのに8割方の席が埋まっていました。

おまかせコースでお願いしました。
・自家製シャルキュトリ盛り合わせ
リエット三兄弟(豚、鴨、兎)、燻製鴨、テートドフロマージュ(豚の頭のテリーヌ)、ポークハム、ブーダンノワール、ケークサレ。三種のリエットの食べ比べが楽しい^^

・明石の魚介4種(鱧、鰆、太刀魚、真鯛)
シェフの故郷、明石の魚介の数々。和食の料亭と見紛うばかりの珠玉の逸品。特に鰆は6日間熟成でネットリとした旨味がありました。

・仔羊のクスクスと自家製メルゲーズ
個人的にクスクスは大好きなので、これだけで贔屓にしちゃいますね。メルゲーズとスムールに、たっぷりソースをかけてアリサ効かせて、お腹いっぱいいただきました。満足、満足。

ワインはボトルで3千円台からありますが、5千〜1万円が主流です。
・Ay Grand Cru Tradition Brut /Gatinois
・Fete d'Or Brut Blanc de Blancs /Michel Tissot
圧巻のガティノワ。フェテドールも悪くないのですが、特級畑のシャンパーニュと比べては可哀想でした。

・2013 Alsace Riesling /Bott Geyl
ボットゲイルは相変わらず安くて高品質です。

・2013 Bourgogne Pinot Noir Clos Saint Germain Veilles Vignes /Rochebin
・2013 Bourgogne Pinot Noir /Seguin Manuel
ピノ2種ですが、ヴェイユヴィニュを名のるロシュバンより、セガンマニュエルの方が深みがありました。後で調べたら、後者はサヴィニー、ショレイ、ボーヌ、ヴォルネイの村名クラスのブレンドだとか。やっぱりワインは名前じゃ判断できません。

最近は裏銀座とか呼ばれるらしい新富町周辺ですが、まさしく隠れ家のようなお店です。月並みな表現だけど、本当に安くて美味しい店。カウンターもあって、お一人様でも入りやすい。ふらりとまた訪れたいですね。

  • シャルキュトリ盛り合わせ(3人前)
  • 明石のハモ、シマアジ、スズキ
  • 牛ほほ肉の煮込み

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5位

サラマンジェ ド イザシ ワキサカ (銀座、内幸町、日比谷 / フレンチ)

10回

  • 夜の点数: 4.5

    • [ 料理・味 4.5
    • | サービス 4.0
    • | 雰囲気 4.5
    • | CP 5.0
    • | 酒・ドリンク 4.5 ]
  • 昼の点数: 4.0

    • [ 料理・味 4.5
    • | サービス 3.0
    • | 雰囲気 3.0
    • | CP 4.5
    • | 酒・ドリンク - ]
  • 使った金額(1人)
    ¥10,000~¥14,999 ¥6,000~¥7,999

2020/05訪問 2020/05/13

デリバリーでカスレ再び

サラマンジェのデリバリーも当初と比べて色々種類が増えたが、コストパフォーマンスにおいてカスレに勝るものはない。おつまみセットが8千円だがメイン無しでこの値段はさすがに躊躇してしまうし、スペシャリテのカワカマスのクネルはオーブン必須のため手を出し難い。

・カスレ 3456円
オーブン以外の調理法は、湯煎か、中身を鍋にあけて煮るかのどちらかになる。前回湯煎だったので、今回は鍋でやってみた。冷えたスープは粘性が高いので、指示に従って水100ccを加えて煮込むことになる。当然スープは薄まるが、煮込む内に水分は飛ぶだろうという算段なのだが…なかなか飛ばないもんよ、これ。どでかい肉を温めるには蓋をする必要があるが、そうすると水が飛ばない。もちろん、多少薄まっても充分美味しいのだけど、店の味そのままではないという懸念がつきまとう。となると、湯煎の方が無難だと思う。ただし、肉の重さで袋が破れる危険があるので、細心の注意を払う必要があるが。

・ブフ ブルギニョン 1512円
比較的安価だが、肉が80グラムとやや小さいのが惜しい。ベーコンと野菜の付け合わせも付くのでそれほど物足りなくはないけれど。味は充分美味しいです。

おまけにマスクが同梱されていたけど、どうせならメルゲーズを1本でも追加してくれた方が嬉しいかな^^;

多くの店が6月からの再開を見込んでいるようなので、デリバリーはあとわずかかもしれない。もちろんそれは歓迎すべきことなのだけど、カスレのデリバリーは継続して欲しいな、と思ったりもします。
3月のワイン半額フェアが終了した途端、4月から何とデリバリーに参入。未曾有の患難の中、脇坂シェフ攻めてます。

カスレ 3456円
メルゲーズ 1本追加 220円
ゆうパックチルド(代引き) 1360円
合計 5036円

代引きでなくpaypayだともう少し安くなりそうです。
メルゲーズはデフォルトで2本付でした。別売と勘違いして1本追加したので3本になってしまいました。

発送日と到着時間指定を伝えることができます。メルゲーズはカスレと一緒になってパックされているので、後日のツマミのためにメルゲーズを多めに注文するのは無理そうです。

オーブン調理がオススメとされていますが、オーブンが無いので湯煎にしました。骨付き羊肉のためパックは結構大きく、21cmのタジン鍋(エミールアンリのSサイズ)だとはみ出てしまうので、中華鍋でパックを20分温めた後、開封してタジン鍋に移しました。移した後、さらに軽く煮込んで出来上がり。20分ではやや足りない(羊肉の中心が熱くない)ような気がしたので、直接火にかけられるタジン鍋にして良かったです。

味はホント、問題なく美味しいです。アニョーの香りがたまりません。人目を気にせず骨をしゃぶれるのがいいですね。自宅でサラマンジェの冬のスペシャリテを食べられるのは嬉しいことなのですが、1日も早く事態が終息することを願ってやみません。


3月はワイン半額フェアという事で、初日に訪問しました。

・サラディエ リヨネ
「かき混ぜて、お召し上がりください」は、TVドラマ「王様のレストラン」の西村雅彦演じるディレクトールの、クレープシュゼットを出した時の迷セリフですが、こちらでは「シャッフルしてください」でした。なんだかカードゲームみたい…

・バスク産乳飲み仔豚のポシェ 黒オリーブのソース
ポシェってあまり食べる機会がないのでオーダーしてみました。肉を焼いた香ばしさは無いですが、しっとりとした肉質が楽しめていいですね。アミューズと同じ黒オリーブを使ったソースがさっぱりとした仔豚背肉に合って美味。

ワインは、
2000 Champagne Noble Cuvee Brut /Lanson
市場価格で15000円くらいなシャンパンを銀座で18000円でオンリストしていること自体太っ腹なのだが、半額フェアで9000円…さすがに良心が痛むが、私が飲まなくても誰かが飲んでしまうので、心を鬼にしてオーダー。繊細な泡、深みのあるゴールド、たっぷりとした熟成感に、まだまだ強めの酸もあり、まさしく状態ピークのヴィンテージシャンパンでした。

同日、クリスタルやボンヌマールを開けた客もいたらしい…翌日のワインリストは所々スカスカになっていました。
花金でほぼ満席。何とか最後のテーブルに滑り込めました。満席の喧騒は質の良いブションのBGM。

・菊芋とニシンのマリネ
見た目はキビナゴの菊花造りみたい(笑) リヨン料理としてのニシンは、その昔、内陸のリヨンには塩漬けのニシンしか届かなかった時代、塩を抜いてマリネにしたものを食べていた名残りだという。もっとビストロチックな店だと、スライスした茹でじゃがの上にニシンをのせたものを出しますが、こちらでは賽の目に切った伝統野菜トピナンブール(菊芋)のセルクル仕立てにのせて、精錬された感じになってました。

・平目のデュグレレ
ガンダムに出てくるモビルスーツっぽいネーミングだが、19世紀半ばの料理人デュグレレが創作した料理。粗微塵にしたトマトを使った白身魚のブレゼなのですが、バターとクリームたっぷりのソースがいかにもフランス料理って感じでいい。しっとりとした火入れの平目が美味で、トマトの酸味が効いてます…飾りじゃないのよトマトは、ハッハ〜♪
この店ではこういう古典料理を今日のスポットメニュー(plats du jour)として出してます。ちなみにウェブに載っているplats du jourは当てにならないので、出会えたらラッキーってことで。

ワインは、ポ リヨネ(460ml)で白を。この日は、
アルザス ゲヴルツトラミネール
コトー デュ リヨン 白
ロワール シュヴェルニー
他1種から選択でした。だいたいボトルで5500円くらいのワインが中心になるようです。ローヌ白が無いのが残念。

2017 Chevelny Delaille /Dm. du Salvard グラス1200円×3=3600円
ロワールのワインとしては、サンセールやプイィフュメと比べて知名度の低いシュヴェルニー。ソーヴィニョンブラン主体だが、ハーブ系の香りは抑え気味で、白桃の香りが印象的なモダンなワイン。アタックは甘いが、後で強めの酸がキューっと来ます。

満席の中、新しいサービス人が八面六臂の大活躍でした。
寒い冬にはオニグラとカスレが鉄板の組み合わせです。

・オニオングラタンスープ
熱々にして濃厚。メニュー上には「説明は不要かと」との文があるが、リヨンのブションによっては、ア ラ リヨネーズをうたう店もある。どの辺りが違うのかは不明だが(玉ねぎがリヨン産というだけかも)。量的にはもうちょっと飲みたいな〜、と思う辺りで終了。だが、これが後々救いになることに。

・仔羊すね肉とメルゲーズのカスレ
大きな深皿に、巨大な骨付き肉がドンと鎮座してます。カスレというより「マンガ肉と白インゲン豆のスープ」という感じ。メルゲーズソーセージも結構な大きさがあるのですが、肉の横だと小さく見える。肉はホロホロと柔らかく、肉の旨味が溶け込んだスープが大変美味しいのですが、食後は満腹でしばらく動けず…一皿ごとの量が多いこの店の中でも群を抜いています。前菜をオニグラにして正解でした。ガトードフォアやサラディエ リヨネにしていたらエラいことになっていたかも。

ただ、本場リヨンのブションでは、これに山盛りポテトとマカロニグラタンが別皿で付くので、これでも手加減している方かと思う。

・ポ リヨネ
460mlのカラフェ。値段はグラスワイン(150ml)の3倍という計算。10mlだけお得ということになるが、これは誤差の範囲でしょう。この日のグラスワイン赤は、
コート デュ ローヌ 900円
コトー デュ リヨネ 1400円
ボルドー シャトー スオウ 1400円
ブルゴーニュ マルサネ 1700円

この中から、
2017 Cotes du Rhone Villages Visan /Bastide をチョイス。900円×3=2700円
グラスワイン用として既に抜栓したあったものを移したもので、抜栓直後の荒々しさが抜け、滑らかで香りも立っており、羊肉に良く合いました。独特の形状のポ リヨネは一見の価値有り。日本では入手できないものなので。

なお、この日はスペシャリテのバヴェットステーキが欠品。バヴェットのファンは電話確認した方がよさそうです。とはいえ、美味しいものがいっぱいある店なので、他の料理を頼めばいいことなんですけどね。
間を置かずに再訪。

・サラディエ リヨネ
この店で一番好きな料理。メインはこれを食べるついでに過ぎない…というのは冗談ですが、これほど人をわくわくさせるサラダというのも珍しい。内臓系かきまぜサラダ…というとあまり美味しく聞こえないですけど、おすすめのサラダです。

・北海道産ジャージー種バヴェットのソテ エシャロットのソース
バヴェットは牛肉のカイノミのこと。広く知られているようなハラミではない…というのはシェフのブログで知ったことですが、一読の価値はあります。赤身ですが、意外にサシが入っていて、結構こってりした味わい。

・タルトプラリーヌ
フランボワーズ無しで焼いていただきました。ねっとりと歯にからみつくプラリーヌは、パワフルな甘さがありますが、決して不快になるほどではない。ちゃんと手加減している甘さです。寸止めというか、これ以上甘くなったら下品というギリギリの線で作られています。とても美味しい、リヨン料理店にふさわしいデザート。

ワインは、バヴェットに合わせてローヌの赤を。
2016 Cotes du Rhone Villages Visan /Domaine de la Bastide
リヨン料理店なら、ボージョレと共に忘れちゃいけないのがローヌワイン。バスティードのヴィザンはこの店で一番安いワインになりますが、値段でワインを判断してはいけない好例。村名を名乗ることを許されたコートデュローヌは、シラー60、グルナッシュ20、ムールヴェドル20のセパージュで、かなりパワフル&スパイシー。ボージョレならいくらでも飲める私も、さすがに若いシラー主体のワインは少々荷が重すぎたかもしれない。とはいえ、バヴェットにはめちゃくちゃ良く合いました。
ホロホロ鳥を食べに再訪。

○トリップ ア ラ モード ド カン
冬のグラドゥーブルがメニューから消えて、夏のカン風トリップがオンリストしました。カルヴァドスやシードルで煮込んだトリップはリンゴ風味の優しい味わい。結構すっぱくて尖ってたグラドゥーブルよりも、内臓料理としては親しみやすい。他店のようにジャガイモなどと一緒に出すことはなく、トリップのみの潔い皿。

○詰め物をしたホロホロ鳥のロースト
ホロホロ鳥にリヨン料理のイメージはないが、リヨン周辺にはホロホロ鳥を飼育している業者がごまんといるに違いない。知らんけど。
ホロホロ鳥の味は野鳥に近いという人もいるが、そんなにワイルドということはなく、どちらかというと国産の地鶏に近い。適度に歯ごたえがあって旨味が濃いが、癖はない。今回は豚肉を粗くミンチにしたものが詰められていたけど、木の実や果物やリゾットなんかを詰めた方が好みかなー。添えられたジロール茸とフォアグラソースがいかにもフレンチという感じがして贅沢。

○タルトプラリーヌ
フランボワーズの酸味がある甘さ控えめのタルト。本場のタルトプラリーヌは激甘なので、あえて酸味を加えて上品に仕上げています。しかし、最近現地で食べたタルトプラリーヌは、現代フランス人の嗜好に合わせたのかそれほど甘くなかったので、いっそのことフランボワーズを抜いたらどうでしょう?と酔いに任せて口走ったら、抜いたのを焼いてくださるという。再訪確定となりました。(←乗せられたかな?)

ワインは、
2014 Juliénas Roche Bleue /Laurent Perrachon
リヨン料理店は、ボージョレをおおっぴらに飲めるのがいいねぇ…
ジュリエナは2千年以上前にボージョレで初めてぶどうを栽培した場所と言われ、いわばボージョレワイン発祥の地。ローラン ペラションはその中でも評判の作り手で、地元でロシュブルー(青い石)と呼ばれる閃緑岩が多く見られる畑の平均樹齢55年のガメイで造られたワインになる。ロシュブルーがある土地のワインは、他の土地よりも深みのある味わいになるらしい。といっても、モルゴンのような濃さはなく、むしろバランスが良くて飲みやすい。いくらでも飲めそう。
今回も前菜3皿から。アラカルトは楽しいです^^

○”貧乏人のフォアグラ”のトリュフ
リヨン料理ではないですが、この店の名物料理になります。しかし、日本語の下にpate de foie de volaille と書いてある上、サービスの人が「鶏のレバーです」と早々に正体をバラしてしまうので、誤解のしようがないのが少々残念。トリュフ型に成型されたパテをブリオッシュに塗りつつ食べます。確かにフォアグラのように濃厚で、ワインの減り具合が速いこと速いこと。

○タブリエ ド サプール
牛のハチノスのカツレツ。ブションによってはメインで出すこともある料理ですが、この店では、おつまみ仕様で出されます。細切りにして揚げたプニプニしたものを、トスカーナソース(アンチョビとマスタードと香味野菜のソース)に付けつつ食べる。途中で面倒になって指で摘んで口に放り込んだりして、なんだか楽しい^^

○ソシソン リヨネ
リヨン名物のソーセージ。冷前菜で出す店が多いですが、ここでは温前菜で、しかも倍量にしてメインで出すことも可能。通常は輪切りにしますが、なんと四つ割で出てきました。しかも、キャベツの酢漬け添え。見るからにアルザス風ですが、さすがにリヨンでは珍しいやり方だそうです。まぁ、毎回このスタイルではないと思いますが、思ったよりスパイシーで、倍量でも軽くいけそう。

今回の3皿は比較的軽めでしたので、デザートをオーダー。実はこれが今回の訪問の主目的だったのです。

○タルトプラリーヌ
真っ赤なアーモンドクリームタルト。キャラメルのようにネットリしてます。本場リヨンでは激甘なのですが、この店ではフランボワーズのピュレを混ぜて甘さを中和しています。大変に美味しいのですが、「タルトプラリーヌってフランボワーズとアーモンドのタルトのことなのね」と誤解する人が出ないか心配。

2011 Fleurie les Moriers /Chignard
ボージョレとしては珍しい畑名付きです。フローラルな香りが印象的。果実味と熟成による落ち着きが調和している。こういう6〜10年くらいを経た、ちょっと熟成したクリュ ボージョレって大好物です。ボージョレのコレクションとしては神楽坂の某店に負けますが、手頃でいい物を揃えていると思います。
リヨンで豊富な内臓料理目当てに再訪しました。前菜のみ3皿をオーダー。

○グラドゥーブル
牛の第1、2胃(ミノ、ハチノス)のワインビネガー炒め。見た目は居酒屋料理で、なんだか親近感がわきます。味はビネガーによる酸が強めで、博多の酢モツに似ているかも。

○ガトードフォア リドヴォーのフリカッセ添え
直訳で鶏レバーのケーキ。前菜のはずですが、かなり大きい。臭みはまったく無く、鰯のつくねに似た感じ。リドヴォーのフリカッセはクリーム煮ではなく、色が付いていない煮込みの意味ですが、これがさらにボリュームアップの役目を果たしています。ただ、酸味のあるトマトソースのおかげで意外にペロリといけてしまうものです。

○アンドゥイエット
内臓のソーセージ。店によって個性が出る料理ですが、こちらのは結構歯応えを残したタイプでした。これもマスタードを使った酸味のあるソースで、3皿連続で酸っぱいものをオーダーしてしまったのはちょっと失敗でした。アラカルトだとありがちな事ですが…

ボージョレを置かないフレンチレストランが多いですが、リヨン料理店では大っぴらに飲めるのがいいですね^^
2013 Beaujolais /Chateau Cambon (Marcel Lapierre)
ボージョレを有名にしたのがジョルジュ デュブッフなら、自然派という造りを持ち込んでボージョレをさらに底上げしたのはマルセル ラピエールの功績でしょう。軽めですが、ピュアな酸に程よいタンニンがあり、決して安っぽいワインではない。

前菜3皿でかなりお腹いっぱいになりました。今回もデザートはおあずけです。
エレベーターで地下1階に降りると、そこは既に店の中。気配を察知したサービス人が前から迫り、背後でエレベーターの扉が閉まると、「もう逃げられない」という感情がこみ上げてくる。別にやましいことは何一つないのだけれど。

それはともかく、リヨン料理の有名店です。コース無しでアラカルトのみですが、前菜1皿、メイン1皿を勧められました。

○サラディエ リヨネ
サラディエとはサラダボウルのこと。リヨン風サラダとは異なり、鶏レバー、ハツ、豚耳、ニシンのマリネ、ベーコン、フライドポテト、キャロットラペ、ロケット、タンポポが丼ぶりに山盛りになったサラダで、ボリュームが凄い。「かき混ぜて食べてください」という指示に従うと、麺は入ってませんが、ほとんどまぜそば状態です。これで1400円なら大いに納得。

○ブロシェのクネル
熱々の鉄皿で供されるカワカマスのクネル。リヨン料理の代名詞的存在ですが、日本で獲れないカワカマスを使っている店は、国内でもかなり限られるそうです。ソースがついていない部分を食べると、きちんと川魚の風味を感じる。ナンチュアソースも、ちゃんとザリガニを使っているとのこと。作りによるところもあるのでしょうが、甲殻類のソースとしては尖った感じがあります。本場フランスでもオマール海老を使う店が多い中、本場よりも本場らしく、という意気込みが伝わってきます。

○セルヴェル ド カニュ
ワインが余ったので、最後にフロマージュをオーダー。フロマージュブランにハーブやニンニクを混ぜたもので、バゲットと一緒にオレンジのジャムが添えられますが、これが実に良く合いました。しかも600円。安い。神楽坂の某店なんてこの3倍近くするんですよね…

ワインは、
2007 Moulin-a-vent /Chateau des Jacques (Luis Jadot)
90年代後半にワインの勉強をしていた人には思い入れのあるワインではないでしょうか。後にSMAPの稲垣吾郎主演でドラマ化された漫画「ソムリエ」に出てきました。「若飲みのボージョレが7年も経って飲めるものか」と懐疑的なコミソムリエの水谷君が、シェフソムリエの佐竹城にテイスティングを勧められて「これがボージョレ?果実味を保ちながら絹のような滑らかさ。上級のブルゴーニュにも匹敵する味だ」と驚愕する場面がありましたが、そのワインがシャトー デ ジャックのムーランナヴァンでした。当時はネット通販なんてものはなく、個人で入手することは困難で、歯がみをしたものです。懐かしさと共に飲んだ印象は、水谷君のセリフそのままでした。

銀座という立地にありながら気取らない店です。しばらくリヨン料理目当てに通いたくなりました。

  • デリバリーのブフ ブルギニョン
  • 自宅でブフ ブルギニョン
  • 自宅でカスレ

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6位

ラカーヴデランパール (築地市場、東銀座、銀座 / フレンチ、ワインバー)

12回

  • 夜の点数: 4.5

    • [ 料理・味 4.5
    • | サービス 4.5
    • | 雰囲気 4.5
    • | CP 4.0
    • | 酒・ドリンク 5.0 ]
  • 使った金額(1人)
    ¥10,000~¥14,999 -

2023/02訪問 2023/02/16

シェフの釣り太刀魚

日本各地で爆釣しているらしい太刀魚。湯澤シェフは横須賀走水沖へ毎週のように自ら釣りに行き、神経締めまでして持ち帰り、しばらく置いて食べ頃になってから出すという、何とも素晴らしいことをしてくれています。

・釣り太刀魚の炙り
鮮やかに発色した赤大根が絵画のように美しい。炙り太刀魚はねっとりとして旨味が濃厚。ヴィネグレットと、赤大根のピュレと砕いて散らした黒オリーブがさらに味を引き立てる。絶品でした。

・釣り太刀魚のふわふわクレープ ボナシェンヌ ブールブランソース 塩いくら添え
じゃがいものクレープボナシェンヌの下に、太刀魚とシャンピニオンデュクセルを重ねて焼き上げたという楽しい一皿。力強い酸のブールブランソースが印象的。葉っぱに隠れていますが、自家製塩イクラが良いアクセント。

ワインは、
2015 Sancerre Florès /Vincent Pinard
フランス人にとって白ワインと言えばサンセール。パリのどんな小さなカフェにでもある…とはパリ在住の人に聞いた話。サンセールのワインを生産する村は14あり、現地の星付きレストランに入ったら、サンセールだけの村ごとに記した分厚いワインリストを見て思わずのけぞった。ランパールでオンリストしているのはビュエ村の名手ヴァンサン ピナール。7年を経て熟成感があり、酸が丸くなった代わりに熟した果実味が前面に出てきている。白桃の香りがするモダンな作り。というより、猫のオシッコに例えられる香のするソービニョンブランなんて、近年すっかり無くなってしまった。時間をかけて飲んで楽しい上質なサンセールでした。
湯澤シェフ就任から半年後に再訪。メニューはすっかり湯澤色に染まり、色々目移りしそうです。ランパールの歴代シェフの中でも魚介系がやや多めかな。ただ、この日は赤ワインが飲みたかったので、その中でも肉系の料理を2品チョイスしてみました。

・フレッシュモリーユ茸とリドヴォーのヴォローヴァン
vol-au-vent、直訳で「風で飛ぶ」。風に舞うほど軽やかなパイと言うことらしい。丸いパイの上に、ソテして軽くクリームで煮込んだモリーユとリドヴォーがのる。ナイフを入れればサクフワトロリ。絶妙にワインに合いました。

・国産牛ハチノスと鰻のフリカッセ ミント風味
世間一般に言うフリカッセ=クリーム煮の事ではありませんでした。レンズ豆の煮込みの上に、ミントを散らして衣を纏いカリカリにソテーしたハチノスと鰻がのる。フリカッセとは赤ワインやバジル等で色を付けない「白い煮込み」の意味なので、こういうのもありらしい。牛ハチノスはもちろんのこと、鰻の脂がいい感じに軽めの赤ワインに合いました。

ワインは、
2016 Faugères Le Presbytere /Mas d'Alezon (Catherine Roque)
フォジェールの赤と言えばレオンバラルがあまりにも有名で、南仏らしい果実味の濃いワインという印象があったが、カトリーヌ ロック率いるマスダレゾンのフォジェールは意外にも細身でドライ。畑の標高が400mと高い場所にあるせいか冷涼さを感じ、どことなくブルゴーニュ的ですらある。セパージュはリュドナーペルト&グルナッシュ45%、サンソー45%、カリニャン10%でビオディナミ。リュドナーペルトはグルナッシュの近似種。カリニャンを10〜40%という中途半端な量を入れるのがフォジェールの条件となると、フォジェールの赤ワインの特徴を一言で表すのは困難なようです。

以前の店からの湯澤シェフの料理のファンが続々と来店しているようで、事前の予約は必須です。
11月から新シェフとして湯澤貴博シェフが就任されました。五味シェフと同じ、いわゆる五十嵐一門の方です。
銀座マノアールダスティンでスーシェフ、表参道アンフォールや中目黒スゥリルでシェフとして腕を振われたという華々しい経歴。中島ソムリエとも旧知の仲とのことで、身長190センチとかなり長身のシェフです。

・秋刀魚とフォアグラのテリーヌ
私にとっては初めての湯澤シェフの料理なので、まずは名刺代わりの一皿。いやしかし、これが凄かった。
秋刀魚とフォアグラって全く共通項が無いと思っていたら「脂が旨い」と「溶ろける」という点で共通していたのを気づかされたという…しかも、周りのバルサミコとコンソメのジュレのおかげでワインにもバッチリ合いました。かなり計算された、というより余程ワイン好きじゃないとこのマリアージュはあり得ない。この一皿でシェフの料理が好きになりました。肝のソースと、添えられたキャビア ド オーベルジーヌ(茄子の粒々をキャビアに見立てた茄子のピュレ)も印象的でした。

・トリップ キッシュにのせて
正式名称が分からないのですが、メニューに載せていない料理の一つ。アパレイユがトロトロなので、キッシュというよりベシャメルを詰めたパイに近い。その上に牛ハチノスの煮込みをのせてありました。ナイフを入れると、サクサクした生地と、濃厚なアパレイユと、旨味のあるトリップが混ざり合って渾然一体となるという…これもまたよく計算された、ワインにめちゃくちゃ合う料理でした。

本格フランス料理でありながら、かなりワインバー向けに振った料理で、これから色々食べてみるのが楽しみです。

ワインは、
2011 Bourgogne rosé / Catherine et Claude Marechal
ブルゴーニュでロゼワインの地位は低い。同じピノノワールでも、赤ワインよりはるかに安い。カトリーヌ&クロード マレシャルは、十ウン年前に私が初めて渡仏した時、ラヴィーニャですすめられたワインという思い出がある。ブリニィ レ ボーヌというマイナーな村を拠点にする堅実な作り手。色合いは10年を経てロゼというよりオレンジワインのよう。落ち着きはあるものの、小梅のような若い酸は健在で、それと共に熟成による複雑さも感じた。ロゼはフレッシュさが身の上だけど、良い作りのロゼは熟成にも耐え得るという好例。セラーの奥に数年は眠っていたであろう、こういうワインを掘り起こすのも面白い。

新生ランパールがスタートしました。今後が楽しみです。
惜しまれつつ閉店したカーヴデヴィーニュの五味シェフが、1年半ほどの時を経てランパールのシェフとして就任しました。熟練の技を披露してくださっています。

・鮟鱇のテリーヌ青海苔風味 赤ピーマンのバヴァロワ
カーヴデヴィーニュ時代の冬のスペシャリテ。キワモノじゃないですよ。超旨いです。まずバヴァロワから口にすると、これは確かにフレンチなんだと感じさせてくれます。本体のテリーヌは鮟鱇の旨味が凝縮。鍋で食べてた鮟鱇が、いかに汁に旨味が逃げてしまっていたのがよく分かる。鮟鱇はテリーヌにして食べるべきなんだ!と思わずにはいられません。肝心のアンキモですが…大丈夫、生臭さは感じません。所々散りばめられた岩塩がいい仕事してます。

・牛テールとアキレス腱のクレピーヌ包み焼き ブルーチーズのソース
柔らかく煮込んだ牛テールとアキレス腱を網脂で包んで焼き上げた料理。手をかけないと旨くならない部位を、丁寧に仕事をして極上の皿に仕立ててあります。フランス料理の楽しさ、美味しさが詰まった料理。ねっとりゼラチン質とブルーチーズのソースが、ワイン好きを狂喜乱舞させてくれます。

ワインは、アンキモに合わせるべく、ホームページのワインリストを見て予習して行きました。赤ワインは合わせたくないし、酸の強い白だとアンキモの旨味や甘味を殺してしまいそうだし…フォアグラに合わせるより難しい組み合わせ。まぁ、こういう風に悩むのが楽しいんですけど。

2016 Faugeres Cabretta /Mas d'Alezon (Catherine Roque)
ヴィオニエやルーサンヌ主体で、酸が柔らかくアタックに甘味のある南仏の白をチョイス。フォジェールの赤はレオンバラル等で有名ですが、白はほとんど聞かない。しかし、カトリーヌ ロックは女性醸造家としてマダムルロワ並みに有名な方。こういうワインがオンリストしていること自体が素晴らしい。中島ソムリエのすすめに従ってデキャントしていただきました。澱混じりでも旨いのですが、やはりクリアな方が旨いです。ありがたい。

グランシェフの現場復帰により、行くのがますます楽しみな店になりました。
野菜室の奥から発掘されたオーストラリア土産の2010 Sauvignon Blanc Vandanges Tardives /Dominique Portet を開けるため、アテになるようなものを探していると、ランパールのテイクアウトにいいものを発見。

フォアグラとアプリコットのテリーヌ
思ったより分厚いテリーヌ。フォアグラふんだん。酸味のあるアプリコットがいい仕事をしていて、甘口の白ワインに良く合いました。

牛ハチノスと豚足のトマト煮込み
こちらはビストロチックな料理。甘口の白をやめてロワールの白にチェンジ。ハチノスは柔らかいけど味がしっかり残っていて、居酒屋のハチノスとは一線を画していました。さすがの逸品。

テイクアウトも実店舗と同様、基本的に2人前なので、結構な量になりました。コストパフォーマンスは高い。

さて、多田シェフが6/14でお辞めになるそうです。新シェフは既に決まっているとのことですが、あの美しい秋刀魚のテリーヌを今年の秋に食べられないのは寂しいな…
でも、今まで素晴らしい料理をありがとうございます!シェフのこの先の道に幸多からんことを!
多田シェフの秋のスペシャリテが晩秋になってようやく登場です。

・秋刀魚のテリーヌ すり身のチュイルとハーブのピュレ
幾重にも重ねられた秋刀魚によって構成される、見た目も美しいテリーヌ。身がしっとりとしていて美味。すり身と肝で作ったチュイルもワインに合います。ソースはディルとナスタチウムのピュレで意外に柔らかい味わい。ソービニョンブラン等の白が定石でしょうが、軽めの赤でもok。

・アンドゥイエットversion TADA じゃがいものピュレとシャウルス風味のマスタードソース
シェフが替わっても途切れることなくオンリストしてきたアンドゥイエット。粗挽きで適度な歯応えのモツが旨い。ジャガイモのピュレとマスタードソースはアンドゥイエットの定石ですが、多田シェフバージョンではソースにシャンパーニュ地方のチーズであるシャウルスを使っていてとても濃厚。ワインバーらしいアンドゥイエットでした。軽めの赤で通しましたが、シャンパンで通しても面白かったかも。

2014 Beaujolais Villages la Tentation /Jean Claude Rapalu
現在、この店でオンリストしている唯一のボージョレーですが、別にボージョレーを避けているわけではないらしい。ラピエールやC.パカレといった有名どころではなくラパリュというのがなかなか渋い。自然派らしく熟成が早めですが、結構こなれた感じは好きですね。

季節のスペシャリテもレギュラーメニューも旨い店です。
「それでも地球は回っている」とガリレオは言った。21世紀の今、シェフが不慮の怪我で休んだとしても、それでもレストランは回っている。

・牛ハチノスのリヨネーズ
トリップといえばトマト煮込みが多いが、こちらはソテでした。ジャガイモと玉ねぎとベーコンを使えばリヨン風ということになるらしい。丁寧に下処理されたハチノスの美味しさもさることながら、三原マートルレインピクルスのジャガイモがめちゃくちゃ美味しい。これだけでワインがいくらでも飲めそう。

ワインは、
2011 Pernand-Vergellesses 1er cru Les Vergellesses /Rapet
ペルナンヴェルジュレスはブルゴーニュの中でも隠れた銘醸地だ。派手さはコルトンに及ばないが、骨格のしっかりしたワインを生み出す。ドメーヌ ラペは、そんなペルナンの中でも随一の作り手。

ワインバーで顔を覚えてもらえると、リストを開くより早く「こんなのどうですか」と勧めてくれるようになる。それがぴったりと好みに合い、なおかつ懐具合まで読み取ったものだったりすると、飲み手としてとても嬉しい。今回のワインがまさにそれで、大人の楽しみを味わえる店は人生の宝だと思う。
12月になってもブレス鶏のローストがオンリストしている。ランパールの名物として定着して欲しいなぁ。しかし、今回はグッとこらえて新メニューを。タルタルステーキなんてこの店では初めてじゃないかしら。

・馬肉のタルタルステーキ
カナダ産のもも肉で、結構真っ赤で生々しいですが、さっぱりしていて旨いです。本来はシャルドネなんかを合わせるのでしょうが、ピノノワールでも問題無し。

・シュークルート
絶賛売り出し中の冬メニュー、豚バラ肉、すね肉、自家製ソーセージのシュークルート。本来ならアルザスの白なんでしょうが、酸味は抑え気味なので、ブルゴーニュ赤にも良く合いました。個人的にはこれで充分な量ですが、本場だとこの3倍の量があるとか…そりゃ食えんわ。

2014 Beaune /C.Newman
2014がそろそろ柔らかくなってますよ、とのことなのでこれをオーダー。ドメーヌ ニューマンは知らない作り手でしたが、薄い色調でエレガント、けぶるような腐葉土系の香りが昔ながらのブルゴーニュと言った感じで好感が持てました。相変わらず品揃えがいい店です。

18時半から2時間ほどゆっくりとグラスを傾けて、店が後半戦にさしかかる前に退店。いつの間にかテーブル席に団体さんが。銀座の夜はこれからが本番のようです。
ブレス鶏が入荷したというので再訪。

・ブレス産プーラルドのロースト 赤ワインソース
鶏肉の最高峰とされるブレス鶏。産地に近いリヨンのレストランで30ユーロくらいだった。銀座で4500円というのは、プーレ(若鶏)ではなくプーラルド(肥育した雌鶏)であることも考えると、だいたい相場通りと言っていいのではなかろうか。つまり、ブレス鶏はフランスでも日本でも同じように高い^^;

今回は胸肉×2、ササミ、手羽先、手羽元。ほんのり桜色の絶妙な火入れは多田シェフの手腕の賜物で、しっとり柔らかくてジューシー。パリッと焼かれた皮目から脂が滲み出て、実に旨い。咀嚼して飲み込んだ後、口の中に残る余韻の長いこと…鶏肉の余韻というのも凄いけど。 ちょっと値が張ったけど、頼んで悔いなし!

ワインは、
2015 Saint Veran En Faux /Cordier
ブレス鶏の産地であるマコネーのワインを合わせたい旨を伝えると、中島ソムリエが勧めてくれたのがサンヴェラン。作り手はプイィ フュイッセで高い評価を得ているドメーヌ コルディエ。隣のサンヴェランであっても、コルディエらしいこってり濃厚な作りが反映されていて、旨味の濃いブレス鶏と良く合いました。それにしても、相変わらず品ぞろえがいい店です。

最近のブルゴーニュワインの異常な高騰によって、コートドールのワインは非現実的な価格になっていますが、その代替物としてのマコネーではなく、もっと積極的な意味で飲むべきと感じました。モンラッシェよりサンヴェランが美味しいから飲む…なんてね^^;
寒い冬に、熱々の料理とワインを飲みに再訪。

・芝海老のクネル 濃厚なブイヤベースソース
クネルは通常、魚のクネルに海老のソースという組み合わせですが、それを逆転させた料理で面白い。海老の風味を強く感じます。クネルが4つも入っていてお腹いっぱいになり、今回も1品×1本の組み合わせになりました^^; カウンター端の客のオニグラスープの香りが魅惑的だったのですが、これはまた別の機会に。

2009 Mercurey 1er Cru Les Naugues /Jacqueson
リュリーの白で名を馳せるドメーヌ ジャクソンですが、メルキュレーの赤も旨い。09らしい果実味が、ようやくこなれて来ていい感じ。

地方都市だとこういう料理とワインを出す店が無いんですよね…酔って帰るのが少々面倒ですが、どうしても銀座に通わざるを得ない。
昨秋にシェフが代わりましたが、白金台ルカンケでスーシェフをしていた方なので、今後も本格フレンチを期待できます。

・鰹のカツレツ 空豆のソース
外観は鰹のタタキに似ていますが、サクサクした衣の食感が楽しい。安易にビネガーに走らないソースが、初夏の鰹のさっぱりした赤身とワインを上手く結びつけてくれました。

ワインは、
2009 Rully 1er Cru Gresigny /Jacqueson
リュリー村随一の作り手ジャクソンの白。重くなく、さりとて軽くもなく、この季節に飲むのにふさわしい手頃なシャルドネ。適度な熟成感もあって、時間をかけてじっくり飲んでも楽しい。銀座のワインバーですが、万超でなくても良質のワインを置いているという好例。

ワインバーはレストランより自由で、気楽でいいです。冷菜一皿×ボトル1本という組み合わせでも許される。大人の隠れ家ですね。

吉澤シェフが店をお辞めになるというので、急きょ再訪しました。(2016年9月)

・ドンブ産グルヌイユのソテーとエスカルゴの煮込み、ニョッキ添え
吉澤シェフの最新の、そしておそらくこの店で最後の創作料理は、フランス料理らしい食材の蛙と蝸牛。ふんだんに散りばめられたナッツが楽しい。スープを吸ったニョッキと細身のパイ生地が味わい深い。

・胡麻を纏ったスペイン産ガリシア栗豚バラ肉のロースト
脂身が美味しいガリシア栗豚のバラ肉の片面に胡麻をまぶして焼いた、香りと旨味の際立つ一皿。脂がしつこくなく、さりとて抜けてもいない絶妙な火の通し加減で美味^^

ワインは、2011 Chambolle-Musigny/ Herve Sigaut
無名な造り手のせいか、お手頃価格のシャンボール・ミュジニー。薄い色調の、エレガントでクラシカルな造り。チャーミングな印象だけど、それなりに深みもあります。残暑が厳しい季節には、これくらいがちょうどいい。

美味しい料理をありがとう、吉澤シェフ!
後任の多田シェフもフランス修行経験のある実力派。今後のランパールも楽しみです。

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たまにはじっくりと1本のワインを楽しむべく訪問。(2016年3月)

2008 Pernand-Vergellesses 1er cru Les Fichots /Follin Arbelet
名前の読みにくさゆえに市場価格が低いという冗談のような話があるペルナンベルジュレス。実際には銘醸地コルトンの丘に連なる丘陵に畑が広がっており、そのポテンシャルは高い。華やかさには欠けますが、程良い熟成感があり、意外なほど豊かなタンニン、1級畑らしい肉づきの良さを感じます。

・天草大王のバロティーヌと砂肝のコンフィ ペリゴール風サラダ
・コラーゲンたっぷりな肉のテリーヌ ミュゾー風
熊本フェア中ということで地鶏の天草大王を使った冷菜と、豚の頬耳足を使ったこりこりテリーヌ。シェフの得意なシャルキュトリです。じっくりと時間をかけて開くブルゴーニュを楽しむにはうってつけでした。

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軽く飲むつもりで、ふらりと訪れてみました。(2015年7月)
・スープ ド ポワソン グリュイエールチーズとルイユ添え
・イカ墨のリゾット イカとウニ添え

濃厚で滋味深いスープドポワソンが、しみじみと美味しい。リゾットも海の香りがいっぱい。夏はこういう料理がいいですね。胃にも優しい。

白:2013 Sancerre /Claude Riffault
赤:2011 Santenay 1er Cru Clos de Mouches /David Moreau
キリっとミネラリックなサンセール。サントネーは1級畑とはいえそれほど重くはなく、タンニンは滑らか。

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春らしい料理でワインを楽しむべく再訪。(2015年3月)

石垣産美ら豚の自家製シャルキュトリー(ブーダンブランとハム)
ロワール産ホワイトアスパラ、ソテーした富山産ホタルイカと焦がしバターソースをかけて

味わい深い美ら豚。シェフの腕前に、ただただ感心するばかり。
ホワイトアスパラとホタルイカは、シンプルに季節を感じさせてくれる逸品。

今回はグラスワインで。
2013 Sancerre Les Boucauds /Claude Riffault
2012 Clos Saint Andre /Mourat
2012 Marsannay /Philipe Charlopin

白はロワール2種。ホワイトアスパラには2杯目のシュナンブランの方が合うかな。
赤はブルゴーニュ。2012は収量こそ少なかったけど、しっかりしてます。シャルロパン旨いわ~、ちょっと高いけど…

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豊富なワインもさることながら、料理が美味しいお店です。(2014年12月)

<しっとりとした田舎風テリーヌ>
レバーの塊がゴロゴロ入ったタイプより、しっとり滑らかな方が好き。

<豚大腸とガツのアンデュイエット 根セロリのピュレ>
こちらはいかにもホルモン!という感じの内臓がゴロゴロ入った腸詰め。細かく挽いて普通のソーセージと区別がつかないようなアンデュイエットを出す店もありますが、断然こっちの方が好みです。

等々、好みに合う料理があって嬉しい(^^)

<鶉とオマール海老のサラダ仕立て 林檎のソース>
鶉の肉ってこんなに味が濃かったっけ?と瞠目する逸品。炙られたオマールに果物のソースが良く合う。

他にも、ワインに合う本格フレンチが多数あり。料理目当てに来るのも吉。

ワインは、銀座でこの値段で出せちゃうの?という値付けのワインもチラホラ…。素晴らしいラインナップ。

カウンターで一人楽しむ紳士から、テーブル席で「フィロキセラが~」とワイン談義が弾むマニアまで、多様なワイン好きを受け止める度量のある店でした。

  • 鮟鱇のテリーヌ 赤ピーマンのバヴァロワ
  • 牛テールとアキレス腱のクレピーヌ包み焼き ブルーチーズのソース
  • 秋刀魚のテリーヌ すり身のチュイルとハーブのピュレ

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7位

ル・プーレ ブラッスリーうかい (大手町、竹橋、二重橋前 / ビストロ、ダイニングバー、ワインバー)

1回

  • 夜の点数: 4.5

    • [ 料理・味 4.5
    • | サービス 4.5
    • | 雰囲気 4.5
    • | CP 4.5
    • | 酒・ドリンク 4.5 ]
  • 使った金額(1人)
    - -

2017/07訪問 2017/08/06

ロティサリーチキン食べ比べ

コースもありますが、6人以上ならアラカルトで2種類のロティサリーチキンの食べ比べが楽しいです。前菜を数皿頼んでシェアした上で、1羽ずつフルサイズでオーダーしても、6人で丁度いいくらいでした。

・スペイン産プーレジョーヌのロティサリーチキン
・国産地鶏のロティサリーチキン
プーレジョーヌは家禽としての鶏肉の旨味を突き詰めた頂点と言っていいかも。国産地鶏は福島の川俣鶏でしたが、筋肉質な食感の中にさっぱりした旨味があって、どちらも甲乙付け難い。車一台分はするというフランス製ロティサリーマシンで炙った鶏はとてもジューシーで、添えられたソースやマスタードを付ける必要が無く、塩だけで充分に美味しい。

ワインは、白赤ともにル プーレ ブラッスリーうかいオリジナルラベルがあります。中身はそれぞれバロン フィリップ ド ロスチャイルドがチリで作るシャルドネとカベルネソービニョンですが、両方とも新世界らしく果実味が濃くて樽香が強めです。鶏肉にカベルネソービニョンが合うのか?と心配になりましたが、良い鶏を使っている上、肉汁がたっぷり封じ込められているので、濃厚な赤でも良く合いました。

他にも多数のワインがオンリストしてますが、ボトル3800〜7800円で、結構手頃です。カベルネ系が嫌なら、ブルゴーニュもあります。
2014 Bourgogne Pinot Noir /Jean Michel Giboulot
サヴィニーの作り手。アタックが強く濃いめの色調、アニス系の甘い香りが混じるモダンなブルゴーニュ。これで5800円ならかなりおすすめです。

  • スペイン産プーレジョーヌのロティサリーチキン
  • 川俣鶏のロティサリーチキン
  • パテドカンパーニュ 鶏のジュのソース

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8位

和酒和食の坂 (恵比寿、代官山、中目黒 / 日本料理、居酒屋、海鮮)

3回

  • 夜の点数: 4.5

    • [ 料理・味 4.5
    • | サービス 4.5
    • | 雰囲気 4.5
    • | CP 4.5
    • | 酒・ドリンク 4.5 ]
  • 使った金額(1人)
    ¥6,000~¥7,999 -

2018/02訪問 2018/02/05

和食を愉しむならここ

平日の21時以降に、日本酒バー的に使ってみました。

七本鎗純米
義侠純米
苗加屋特別純米

どれも旨いのですが、富山の苗加屋が秀逸な出来でした。

雲丹のお浸し
お造り(ハタ、シマアジ、ヒラメ昆布締め、ボタン海老昆布巻き)
青森産ナメタガレイの煮付け

じっくりと日本酒を味わうのにふさわしい肴の数々。言うこと無いです。季節柄、やはり煮付けがいいですね。脂のノリといい、子持ち卵といい、酒を味わうのにこれ以上の肴はないです。

日本人として生まれて良かったと心の底から思える逸品と、選りすぐりの日本酒。相変わらず、しみじみと愉しい店です。
冬の寒い夜、予約時に鮟鱇鍋をリクエストして訪問しました^^

お通し:ホタルイカと筍のお浸し
毛蟹の酒盗クリームかけ
鱈の白子の白和え
サザエのイカワタオーブン焼き
焼き煮穴子
お造り(シマアジ、ハタ、真鯛・平目・ボタン海老の昆布締め)
鮟鱇鍋

毛蟹の酒盗クリームかけが絶品中の絶品でした。いやはや、これはたまりませんわ。
白子もサザエも、ただそのまま出すのではなく、酒がより旨くなるよう一仕事加えてあります。香ばしく炙った煮穴子や、昆布締め3種等、飲兵衛の心をくすぐる逸品ばかり。酒飲みの聖地ですね、ここは。

リクエストに応じて仕入れてくれた鮟鱇鍋は、肝を溶かした濃厚な味噌仕立て。やや癖のある長陽福娘と合わせると、味わいもひとしお。

飲んだ日本酒は、
初亀純米大吟醸
飛露喜純米
七本槍純米
長陽福娘純米

圧巻は初亀純米大吟醸。酔っ払う前に飲んで味わうべき。

締めは薩摩錦鶏の肝入り親子丼。昨年は限定ランチでこれを出していましたが、惜しまれつつも終了。ディナーのみになりました。

いつ来てもいい店ですが、やはり冬の寒い時期が楽しい所です。

ひやおろしと秋の味覚を楽しもうと再訪。(2016年9月)

・厚岸産牡蠣とイクラのお浸し
・お造り(ハタ、イサキ、つぶ貝、ボタン海老の昆布〆)
・鱧と松茸の酒蒸し
お任せで3品を頼んだところ、どれも味わい深いものばかりでした。厚岸産の牡蠣は大ぶりで甘い。そして、鱧と松茸…言うことないです

合わせた酒は、
・惣邑ひやおろし
・山形政宗ひやおろし
・廣戸川純米
やっぱり日本人には日本酒だなぁ、としみじみ。

お腹が空いていたので、〆にご飯ものを。

・レバー入りさつま錦鶏の親子丼
プリプリのレバーが実に美味しい。親子丼にはレバーが入っていた方がいいですね。山椒がよく合います。
これをご飯増量して今月からランチを始めたそうです。メニューは親子丼オンリー1000円。おすすめです。

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夜の遅い時間、軽く飲みに訪問しました。(2016年1月)

・生牡蠣(お通し)
・煮穴子と山芋豆富
・サザエの黒焼き
・鰤カマの塩焼き

魚介中心で軽めのを3品、という注文にも応えてくれます。煮穴子と山芋豆富は大ヒットでした。「思いつきで作っただけだよ」と大将は謙遜しますが、絶品です。鰤カマは小さくカットしていただきました。この辺りもきちんと見てくれています。

・勝駒純米
・松の司 純米吟醸 竜王山田錦 情熱ブルー

いつもながら勝駒はするりと飲みやすい。対照的に松の司は良い意味で飲みづらく、チビチビと飲むのに最適。余韻が長くて肴の味が引き立ちます。

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10周年ということで、再訪してみました。(2015年9月)

・松茸の土瓶蒸し
・イクラとキノコのお浸し
・サザエの黒焼き
・子持ち鮎の煮付け

10周年記念で、お通しは松茸の土瓶蒸し。しみじみと旨いです。イカのワタと墨を詰めて焼いたサザエが、日本酒にすこぶる合いました。

今回も富山の銘醸3種
・羽根屋 ひやおろし
・勝駒 純米吟醸
・勝駒 純米
この季節ならではの、ひやおろしが旨い。

客が一回転した頃に、日本酒バー的な使い方も出来るお店です。

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よく通る道沿いなのですが、しばらくこの店に気づきませんでした。まさに都会の隠れ家です。
(2015年6月)

コースではなくアラカルトで。
・タコのやわらか煮
・岩牡蠣
・白海老のこのわた和え
・お造り(クロムツ、真鯛、ヒラメ、金目鯛)
・天ぷら(フグの白子、トウモロコシ)
・和牛の炭火焼き

どれもすこぶる美味しいです。白海老のこのわた和えなんて、思わず唸ってしまうほど旨い。

お酒は富山の銘醸を。
・勝駒
・林
・三笑楽
知らない銘柄ばかり(^^;
しかし、どれも肴の味わいを深めます。

連れは栃木の柚子酒をロックで飲んでましたが、これもなかなかいい。

気さくな大将を交えて、愉しいひとときを過ごせました。

  • 青森産ナメタガレイの煮付け
  • お造り(シマアジ、ハタ、ヒラメ昆布締め、ボタン海老の昆布巻き)
  • 雲丹のお浸し

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9位

ラ カンドゥール (仙川、つつじケ丘 / ケーキ)

3回

  • 昼の点数: 4.5

    • [ 料理・味 4.5
    • | サービス 4.5
    • | 雰囲気 4.5
    • | CP 4.5
    • | 酒・ドリンク 4.5 ]
  • 使った金額(1人)
    - ¥1,000~¥1,999

2017/08訪問 2017/08/31

イートインスペースで極上のスィーツを

13時〜18時(17:30L.O.)、5月〜10月の限定ですが、3席のイートインスペースでケーキとドリンクを楽しめるようになりました。

○マダガスカル
マダガスカル産のカカオとバニラを使ったケーキ。外はチョコムース、中は濃厚バニラクリーム、トンカ豆のエスニックな香りがアクセントになっています。チョコレートの艶やかで滑らかな舌触りは、さすがの一言です。

○シュー ラカンドゥール
サクサクのシュー生地に、オーダーが入ってから絞る濃厚クリームがたっぷり。これはイートインで食べたい逸品。

安藤シェフも大ファンだという「しば田」で食事をした後、ラカンドゥールでデザートはいかがでしょうか?

なお、8/31〜9/7は夏季休業です。
ショーケースに並ぶきらびやかなケーキも良いですが、タルト等のフランスの伝統的な焼き菓子もおすすめです。

◯パン・ド・ジェンヌ
アーモンドをふんだんに使ったクラシカルな焼き菓子。甘みが抑えられていて、とても上品な味わい。

◯赤桃のタルト
桃の自然な酸味が印象的なフルーツタルト。

こういう焼き菓子は、実のところワインにも合います。例えば、パン・ド・ジェンヌはフルーティなロワールの白に。赤桃のタルトは軽めのブルゴーニュ赤に。

塩気の効いたチーズパイなんかがあると、もっと嬉しいのですが…飲兵衛は別の店に行けと言われそう^^;
ロオジエ出身、デフェールの人気パティシエだった安藤シェフが遂に独立。仙川観光を兼ねて訪れてみました。せっかくなので、いろいろ購入。

・オペラ
コーヒーシロップを染み込ませた生地にコーヒーとコニャックが効いたガナッシュ。

・ヴェリーヌ サヴァラン
ラム酒が染み込んだブリオッシュ生地に柑橘のジュレとクレームブリュレ。

・ヴェリーヌ シャンパーニュ
シャンパンゼリーにライチのムース、タイベリーのソース。

・フロマージュ エペ
3種のチーズを使った濃厚なチーズケーキ。他にはない滑らかな口溶け。

・ブールドネージュ
アーモンドとシナモンの風味が上品な逸品。

と言っても、自分が食べたのはオペラとブールドネージュだけですが。オペラはコーヒーの香りとコニャックの効いた大人の味でした。

イートインスペースも近々オープンとの事で楽しみです。

安藤ストリートで食事をして、仙川湯けむりの里で温泉に入って、ラカンドゥールでケーキを買って帰るという良い休暇になりました。次は「しば田」にも行かなきゃ…仙川、なかなか良い街です。

  • シュー ラカンドゥール&マダガスカル
  • マダガスカル カット
  • ドリンクメニュー

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10位

新垣そば (うるま市 / 沖縄そば)

1回

  • 昼の点数: 3.5

    • [ 料理・味 4.0
    • | サービス 3.0
    • | 雰囲気 3.0
    • | CP 4.0
    • | 酒・ドリンク - ]
  • 使った金額(1人)
    - ~¥999

2017/01訪問 2017/01/15

豪快!だし骨そば

「だし骨そば」という名に興味を惹かれて、試しに頼んでみたら、丼からはみ出るほどの豚骨がそばと一緒に出てきてびっくりしました。

だしを取った後の豚骨を、再び味付けしたものだそうです。「ソーキよりも身がギッシリ」という宣伝文句はウソじゃない。ひたすら肉をむさぼり、骨をしゃぶり続けました。単品250円で頼むことも出来ますし、持ち帰りもokです。ただ、毎日あるわけではないそうです。

だし骨のインパクトが強烈でしたが、そばもかなり個性的です。汁は昆布だしが濃厚で、具にも細切りにした昆布がのります。

なお、生麺、軟骨担々そば、本ソーキそばはメニューから無くなっていました。昨年12月で販売終了したそうです。

  • だし骨そば(小)600円
  • 丼からはみ出るだし骨(笑)
  • (説明なし)

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