5回
2020/07 訪問
夏のかに吉=なつ吉!で日本海の海の幸を楽しむ
昨年5月に夏のかに吉=なつ吉でいただいた食事が忘れられなくて再訪。かに吉の蟹はとてつもなく素晴らしいが、夏の海の幸も最高なはず。
見事な蟹の看板。階段を上がると丁寧なお出迎え。座敷、テーブル、カウンター。ウッディな落ち着いた空間。今日はそれぞれの空間に一組ずつ。すべてのテーブルにマスターが目を配る。大将以外、フロアには若い男女と女将さん風の方。
飲み物はお任せで日本酒。お知り合いの蔵の良いお酒のラインナップだそう。
カニ味噌のルイベからスタート。口に含むと一気に溶けて、カニ味噌の香りと濃厚な甘みとうま味がぶわっと拡がる。これこれ、というたまらない味わい。
定番の寝かしたイカ刺し。醤油はスポイトで、微量。とろける甘味と控えめにコリっとした食感を両立している。続いてサザエ。肝は生臭さがない。身はこりこり。大将はいけすでサザエなどを活かすより、市場で最高の状態のものをそのままお店で出す、ということを心がけていらっしゃるとのこと。なるほど~。鯵刺しは山椒の香り醤油で。ワサビを使わずに刺身のベストな味わいを目指す姿勢に脱帽。
続いて骨抜きのカレイの一夜干し。フライドチキンのようにがぶっと食べる。この食べ方も去年のなつ吉でいただいて目からうろこだった。カレイの焼き物は箸で普通にほぐそうとするとキレイにとれないことが結構ある。ほぐれたとしてもこんなにかぶりつくことはない。うま味と香りと適度な脂。やっぱりうまい。
その後も出汁で炊いたシイタケ冷製、ハタハタのかば焼き丼などが続き、いちいち感動する。そして真打のアワビのステーキ肝バターソース!噛むとむっちり歯にまとわりつくような魅惑の触感。肝とバターの濃厚さが快感。バターは吉田牧場のもの。となるとブラウンスイスやね。たまらない。ご飯をソースに絡めて食べるとぱっぱり幸せ。
その後、ヒレ肉とレタスのしゃぶしゃぶ、魚介とフルーツのカレーと続きデザートへ。
今回も圧倒的。おいしかった!鳥取にはかに吉かなつ吉を目的に車で訪れる。タイヤはもちろんミシュラン。彼らの思うつぼにはまっているのかな(笑)
2021/07/24 更新
2020/02 訪問
これが「かに吉」か!
5月のかに吉で鳥取の夏の海の幸を味わい尽くす「なつ吉」を体験した。シーズンにここの真骨頂での蟹を食べないわけにはいかないと思い立って9ヶ月、とうとう松葉蟹をいただきに訪問。
まずは本日いただくカニたちをお披露目。キラキラと七色に輝く見たこともない美しく、大きな蟹たち。。これを今から食べるのか!、と気持ちが高ぶる。
まずは蟹味噌。華やかな蟹の香りと甘味と旨味。これ以上ないくらいに濃厚で余韻が長いのに嫌味がない。目を閉じて日本酒をちびっといくと至福のとき。
その後のワンクッション、なつ吉でもいただいた少し寝かしたヤリイカの刺し身はもちろん最高。
で、茹で蟹。鮮やかな朱色に変化した姿もまた美しい。大将が丁寧にほぐしてくれる。脚の身にまずはカニ味噌をかけてかぶりつく。蟹の身の一筋一筋がぷりぷりした食感で主張する。これは幸せだ。蟹をこんなにグイグイと食べるのははじめて!そして蟹スープのような甲羅酒を堪能。
続いてメインディッシュの蟹スキ。かつおだしに醤油、お酒を加えたスープに春菊、白菜などを投入。これも大将が調理してくれる。蟹は半生でとろけたり、ぷちぷちと繊維ごとが弾けたり。大将の火入れで蟹は変幻自在。お野菜もベストな火加減でひとつひとつ出してくれる。これはすごい。雑炊の直前は冷たい出汁にほぐした蟹の繊維が麺のようになる蟹そうめん?一旦クールダウンした後、雑炊。ほとんど卵に火を通さない状態で生卵のとろみと出汁と米が出会う雑炊に続き、ホイップしたようなふわとろ雑炊に最初にいただいた最高のカニ味噌を贅沢に添えた雑炊:-O
なんだか怒涛のような体験だった。ずっと蟹なのに温度や食感、香りの抑揚が楽しい。一味やカニ酢もいらない。すごかった!これが世界一のカニなんだな、としみじみと思った。
また、いつか、このカニと出逢いたい。
2021/06/24 更新
2019/05 訪問
これがなつ吉!
初めての鳥取。せっかくの日本海側。魚介類を楽しみたい。蟹は季節じゃないけど、紅ズワイ蟹なら出してくれる宿もある。でも初夏の旬の海を味わうにはどうすれば。。。
そこで思い出したのがかに吉!冬は最上の松葉蟹を、オフシーズンは最上の鳥取の海の幸を楽しませてくれるという評判。
落ち着いたウッディな店内。カウンター。広いテーブル席、そして座敷。快適に食事を味わうための空間。くつろぎと同時に凛とした緊張感がある。まずはビールをいただいた。一口飲むとやはりうまい。スタートはかに味噌のルイベ。これをビールでいただいてはバチがあたりそう。すぐに地元の冷酒に切り替える。かに味噌を舌に置くと雪のようにとろけて口腔内に幸せな香りが広がる!
そして日本海側特有の猛者海老、三日寝かせたしろいか。スポイトで微量の醤油をたらして口に運ぶと、両者ともしっかりとした食感ととろける感覚が同居し、濃厚なうま味と甘味が広がる。その後に続くアジ、サザエ、はたはた、どんこと素晴らしい食材とそのおいしさを引き出す繊細な調理の連続。
骨抜きのかれいはワイルドにかぶりついて食べられる大胆なもの。
アワビのソテーの肝バターソースは皿をなめ回したいくらいの美味しさ。
最後にカレーライスがでてきた。この繊細巧緻なコースの最後にカレーとは乱暴な、とも少し思ったがクローブの利いたスパイシーでフルーティーなカレーは華やかでしっかりとコースを締めてくれた。
それにしてもカレーがあるお店は店中がカレーの香りに満ちてしまうことが多いがこちらでは出てくるまでその存在を気づかせない。それぞれのお料理に集中するためへの工夫が半端ない。
素晴らしい体験だった。毎年、夏も冬も詣でたい。
2020/06/01 更新
3度目の夏のかに吉=なつ吉。
相変わらず見事な蟹の看板。今回はテーブル席に改装された座敷だった部屋に案内される。大将以外に若い女性と女将さん風の方が配膳。奥ではお母さんが調理されているとのこと。
飲み物は今夏もお任せで日本酒。
いつも通りカニ味噌のルイベからスタート。口に含むと一気に溶けて、カニ味噌の香りと濃厚な甘みとうま味がぶわっと拡がる。目を閉じてしみじみ味わう。
定番の寝かしたイカ刺し。醤油はスポイトで、微量。多めの量を一度に口に入れると、とろける甘味。
サザエ。よく冷えていて、肝は生臭さがない。身はこりこりですっきりとしたうま味と香りが口中に拡がる。
お料理の順番が昨年と異なりここでハタハタのかば焼き丼。ほろ苦い濃厚なたれの味わい。
出汁で炊いた冷たいシイタケでクールダウン。
そして、楽しみにしていたカレイの一夜干し。骨がきれいに外されていてフライドチキンのようにがぶっと食べる。うま味と香りと適度な脂。感動的。なぜこんな食べ方を思いついたかをマスターに伺うと、鰻の白焼きから着想したとのこと。なるほど。
ここで厚みのあるイサキの刺身。皮目が湯引きされており、皮側のややコリっとした食感と身のしっとりした食感の組み合わせが楽しい。白身で脂ののった濃厚なうま味。珍しいネギの花。視覚的な美しさだけでなくしっかりネギの香りと優しい食感で薬味の役割を果たす。
真打のアワビのステーキバターソース!噛むとむっちりとした魅惑の触感そしてバターの濃厚さと圧倒的なうま味が快感。バターは吉田牧場のもの。大将自らご飯をソースに絡めてくれる。ご飯をいただくと去年よりソースに塩気がしっかりしているがわかる。鮑側はそれほど塩気を感じなかったのだが?コースとしてのメリハリをつけてくれる。
続いて岩ガキのフライ。胡椒がしっかり目でややしっとりとした食感の衣。ミラノのカツみたいな印象。チーズのような風味と牡蛎のうま味。梶谷農園のハーブが油感をリフレッシュしてくれる。
さらに昨年から(?)登場した万葉牛ヒレ肉。80度の昆布だしで大将自ら目の前で湯引きしてくれる。昨年はレタスの上にお肉をのせられていたが、今回は少し昆布だしに浸かって配膳される。かつお出汁のポン酢をたっぷりつけて口に運ぶとミルキーな万葉牛の脂とシャープなカツオの香りをまとったポン酢がチーズのような風味に昇華されてめっちゃおいしい!そしてビロードのような食感。。。これはものすごい進化!
そして、魚介とフルーツのカレー。キウイの種の食感が楽しい。
デザートのきな粉のかんてんは冷たく、しっかりとコースを〆てくれる。
今回も圧倒的。すべての皿がシグニチャとなりうる力がある。食べる順番をはじめ、各お料理が細かく最適化されている。そして、食べ終わったとき、たくさん食べているが、腹パン感がなく、すっきりとフィニッシュ。満足感はより高い。生ものが続いたりするとやはり感性的満腹感に繋がり、一品一品のおいしさを損なってしまうが、揚げ物を導入するなど料理のバリエーションを増やしたり、順番を変えたりすることでコースのメリハリがついて新たな喜びを産んでいるのだろう。
なつ吉、恐るべし。来年もまた来たい。