ドクターSSさんが投稿した一本杉 川嶋(石川/七尾)の口コミ詳細

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掲載保留一本杉 川嶋七尾/日本料理

10

  • 夜の点数:5.0

    • ¥40,000~¥49,999 / 1人
      • 料理・味 5.0
      • |サービス 5.0
      • |雰囲気 5.0
      • |CP 5.0
      • |酒・ドリンク 5.0
10回目

2023/12 訪問

  • 夜の点数:5.0

    • [ 料理・味5.0
    • | サービス5.0
    • | 雰囲気5.0
    • | CP5.0
    • | 酒・ドリンク5.0
    ¥40,000~¥49,999
    / 1人

冬の能登食材パワーを堪能

大好きな七尾の割烹にまたまたお邪魔することができた。

今回は諸事情で少し間が空き約半年ぶりの訪問となってしまったが、それでもこちらの暖簾をくぐるだけで幸せになれるという私の中では数少ない場所なのである。

新幹線の通っている交通の便の良い場所ではなく、最寄りの金沢駅から在来線で約1時間半かかるため、東京、大阪、名古屋からだとゆうに片道5時間はかかる。

また日帰りは車以外は無理なのでどうしても宿泊が必要となるが、それでも2024年まで予約は満席という恐ろしい状況になってしまっているのである。

今回はこちらで今年最後の素晴らしい時間を過ごさせて頂くことができた。

大将と女将さんには感謝である。いつもありがとうございます!!

冬の北陸と言えば真っ先に頭に浮かぶ食材はズワイガニではあるが、もちろん能登の食材はそれだけではない。今回はカニも含めて驚愕するぐらいの食材の数々が川嶋大将にかかるとこうなるのだ!という料理を楽しませて頂くことができた。

いつものように待ち時間には暗い空間に高澤ろうそく店の和ろうそくがゆらゆらと灯っており、これから始まる饗宴をじらしているかの如くの雰囲気であった。

今回は奥の席に「見たことある人がいるな・・」と思ったら名古屋の有名な鮨店の大将とソムリエさんであった。こうやってたまたまでも知った人がいらっしゃると場は和むものである。

最初にこの日のメインの食材、1.7kgの加能ガニが披露された。体格の良い大将が持つと小さく見えてしまうが紛れもなく大物であった。
やっぱり冬の北陸は魅力的だなあ~~

この日は

待つ間に
中能登町の新蕎麦粉で作ったそばがきの揚げ物

菊芋粥 揚げた菊芋を入れて、
大将自らで田植え稲刈りした無農薬のコシヒカリ、固めで

五味を感じさせる一品
焦がし目に焼いた能登椎茸、
金時草、香箱蟹、土佐酢ジュレがけ

椀物
白味噌仕立て
辛子入りの加賀れんこん
1.7キロの加能ガニの身をレアで
天然の茗荷を乗せて

お造り
クエ
専属の漁師が釣ったアオリイカ

16.8キロのぶりの藁焼き
カマトロ、ハツ、大根おろしで

さっき獲れたばかりのたらの白子、搾りたてのポン酢で

八寸
柚子釜タコの柔らかになめこのおろしあげ
春菊と生落花生
甘エビの昆布締め

澤野ごぼうの七日炊き
里芋の唐揚げ
能登の銀杏

蟹の甲羅酒 スープ

ぶりしゃぶ、朝掘りの能登ネギを出汁で

焼き物
鉄砲カマス 近火の強火で

朝採れの蕪、出汁で炊いたもの

自家製カブラ漬け
烏骨鶏の半熟卵

カニ雑炊

たらの肝のお味噌汁

川嶋ですよ
烏骨鶏の卵かけご飯
ぶりの漬け丼

能登の牧場のミルクを使った
アイス
地元のフルーツと

能登栗のきんとん、白味噌で
抹茶


どの季節も良いが、やはり冬の料理は特別な物を感じるのである。この日のカニ料理はレアに火入れした物を白味噌仕立ての椀物で頂くという初の試みであった。大阪や京都での修業が長かった大将ならではのものであろう。上品な白味噌としっとり感MAXのカニとのコントラストが何ともたまらない一品であった。

そしてこの日のもう一つのメインは17キロという普通では考えられない大きさの寒ブリである。七尾で揚がる一番大きいものは川嶋さんのところに来るらしい。これは藁焼き、そしてブリしゃぶとで楽しませて頂いた。

そして最近「チーム川嶋」に加わったイカ釣り漁師さんもいるようで、提供時間を逆算して海で釣ってくるらしい。アオリイカのお刺身もこの日釣れたもののようであった。

そして先ほど釣ってきたばかりのマダラの白子は透明でほんのりピンクがかっていた。こんなにクリアに澄んだ白子って食べたことがない・・・翌日になるともうこのクリアさはなくなるそうである。

大将のこだわりの朝採れ、朝獲れは全くブレがなかった。東京でも大阪でも金沢でもなくこの地を選んだのはやはり能登の食材の豊かさからのようである。天然物、無農薬、時間軸に拘った究極の料理を楽しめるのがこちらの特色であろう。

通う私たちからすると不便極まりない場所にあるのだが、それを差し引いても余りある感動を与えてくれるのだ。

末永く通いたい能登の名店である。

2023/12/11 更新

9回目

2023/06 訪問

  • 夜の点数:5.0

    • [ 料理・味5.0
    • | サービス5.0
    • | 雰囲気5.0
    • | CP5.0
    • | 酒・ドリンク5.0
    ¥30,000~¥39,999
    / 1人

獲りたて、採りたて、作りたて・・またまた能登の食材を堪能

今年3回目、トータルで9回目の訪問である。好みがドンピシャで私にとっては季節ごとに訪問したいと思える数少ない大好きなお店なのであるが人気に拍車がかかり、もうすでに2024年末まで満席・・そうそう気軽には訪問できなくなっているのである。

ご存知の方も多いかとは思うがこちらの大将、川嶋亨氏は若手料理人の登竜門であるU‐35でファイナリストとしてゴールドエッグを受賞。
そして2020年にこちらをオープンさせその半年後にはミシュラン★を受賞するという快挙を成し遂げた。
また最近ではJALの国内線、国際線のファーストクラスの料理を監修するなどすでに日本を代表する料理人になっているのである。
七尾という日本の主要都市からは交通の便がとても悪いところにあるのだが、東京、大阪、名古屋などから多くの客が集まってくるのだ。

しかしながらそういう名声にも惑わされず地域社会の発展のため、一本杉通りのイベントに積極的に参加、また次世代を担う子供たちにも美味しい料理を知ってもらうため、親子で料理を食べてもらうというイベント等も行っているようである。

とかく若くして上り詰めると天狗になる料理人が多い中、あくまでも謙虚・・人間的にも尊敬できる方なのである。

もちろん料理は絶品中の絶品、細部にまでこだわるところは本当のプロなのであろう。

名古屋でもそうなのだが、最近人気ばかりが先行して実力がついていっていない新しい店にはもっと頑張ってもらいたいと思っているのは私だけではないだろう。

今回も地の物を徹底的に、そして時間軸にも恐ろしいほどこだわった極上の料理を楽しませて頂いた。

この日は

待つ時間に
新茶、七尾の靑梅のシロップ漬け、

今出来上がったばかりの
3時間かけて炒った白ごまによもぎを加えた蓬豆腐
上には漁師さんから直接仕入れてた市場には出回ってない能登の雲丹
わりしょうゆ
200年前のスプーンで、

先ほど海から獲ってきたばかりの能登のプレミアム鳥貝の炭火焼き 1日数個のみ採取
スナップえんどう粥
自然栽培のお米

椀物 輪島塗水車の椀
ウド、アイナメ、柚

お造り
伝助穴子、天然ヒラメ 6時間前梅おろし
能登島の塩

サワラの藁焼き、無農薬の藁
大葉とワサビ、ジガラシ
九谷焼き 山本長左(やまもとちょうざ)作の器で

おしのぎ 
1キロのアジを使った
アジの棒寿司

八寸
ふぐの昆布締め、甘海老、アオリイカ、
芹のごま酢和え土佐酢ジュレ
五味を感じさせるもの

さわらの卵旨煮

バイ貝ぬた和え

今日獲ったばかりのの幻の岩牡蠣 
能登の横田 沖合5キロ こちらは50年ぶりに開かれた漁場
搾りたてのポン酢、あさつき、みょうが

焼き物
メダイの味噌漬け

11代永楽の器で
能登の賀茂なす
能登の白味噌
数分前に取った実山椒

ご飯
漬物
赤だしごま豆腐の揚出し三つ葉、
豆ごはん うすいえんどう豆

白ご飯
サワラの山椒あんかけ
ヒラメごまの出汁茶漬け
川嶋ですよ
烏骨鶏の卵かけご飯

できたて、能登のミルクのブランマンジェ
作り立ての水ようかん、お抹茶


通い始めてもうすぐ2年になるがますます凄みが増してきた気がした。

しかもより時間軸に拘るようになり、お造りのヒラメは提供時間から逆算して6時間前に〆たとのこと。野菜などはその日収穫したものを使用し、白ごまを3時間炒って作ったよもぎ豆腐は提供直前に出来上がったものであった。

またこの日は海が荒れていたのにも関わらず昼間に獲った巨大な能登プレミアム鳥貝を人数分用意して下さった。これも一日数個しか獲ることができず、ほぼすべてがこちらの川嶋さんが買い占めているそうである。こういうのって漁師さんとの信頼関係がないとできないことだからね。これは抜群に美味しかった~~

またこちらの特徴としては必ず五味(甘味、塩味、苦味、酸味、うま味)を感じさせる料理が提供されることであろう。今回は八寸の中の甘海老やアオリイカのジュレがけがそうであった。

海の物は獲れたて、畑や山の物は採れたて、料理は作りたてで最高の瞬間を客に食べてもらいたいという気持ちが伝わってくるのである。

すべての料理が何も言葉が出ない美味しさであった。私にとってはどんなに遠くてもずっと通い続けたいお店なのである。

  • さわらの藁焼き

  • 先ほど獲ってきたばかりの能登プレミアムとり貝

  • 青梅のシロップ漬け

  • 出来立てよもぎ豆腐、能登の雲丹

  • 能登プレミアムとり貝

  • 炭火焼きのとり貝とスナップエンドウ粥

  • 能登プレミアム鳥貝とスナップエンドウ粥

  • 輪島塗 水車の碗

  • 椀物 ウドとアイナメ 柚子

  • お造り ヒラメと伝助穴子

  • さわらの藁焼き

  • 鯵の棒寿司

  • 八寸

  • 岩牡蠣

  • 目鯛の味噌漬け

  • 能登の加茂茄子

  • さわらの山椒あんかけご飯

  • 川嶋ですよ

  • ヒラメの胡麻出汁茶漬け

  • 烏骨鶏の卵かけご飯

  • 能登のミルクのブランマンジェ

  • 作り立ての水ようかん

  • お抹茶

2023/06/19 更新

8回目

2023/03 訪問

  • 夜の点数:5.0

    • [ 料理・味5.0
    • | サービス5.0
    • | 雰囲気5.0
    • | CP5.0
    • | 酒・ドリンク5.0
    ¥20,000~¥29,999
    / 1人

ますます磨きがかかった2023春の料理

約2か月ぶりの訪問である。冬が終わり能登に行くにも雪の心配をせずにやっと安心して出かけることができる・・そんな季節になってきた。

また今回はブロンズ受賞後初の訪問であった。だからと言って何かが変わるわけでもないだろうが川嶋大将に初めて会った1年半前と比べると一回りも二回りも大きくなられた気がするのである。

それは料理人としての風格だけではなく大将の身体も大きくなったようであった笑

この日は春を感じさせててくれるものをいろいろと楽しませて頂いた。今回もそんな能登の大地と海の豊かさを楽しませてくれる料理の数々であった。

かつては18時30分スタートであったが、最近では30分早くなって18時スタートとなった。遠方からの私たちにとっては早く終れるのでありがたいのである。

料理のスタートまではカウンターの真ん中に一本杉通りにある高澤ろうそく店の和ろうそくの優しい灯がゆらゆらと揺れ、その間にお茶とおやつ的なものを楽しんで時間が来るのを待つのである。料理が始まるまでのその優雅な時間はこちら一本杉川嶋ならではの物であろう。

今回も中能登町の蕎麦粉を使ったお焼きと結んだ昆布と梅を入れたお茶を楽しませて頂いた。

この日は

夕方抜いてきた芹を使ったお粥、海で取れた稚鮎を炭火焼きにして乗せたもの

五味を意識した一品
中島菜のお浸し、柔らか目のあん肝、鰹節

椀物
魂の胡麻豆腐の椀物、大あさりの真薯、岩海苔、木の芽

お造り
①固バイ貝、クエ 天然のあさつき
②メジマグロの藁焼き、鬼おろしと海苔で

能登島の塩、土佐醤油、鳥居醤油店のしょうゆ

鯖の棒寿司
そのままと炙ったもの

八寸
能登の大豆で作った出来立ての湯葉、甘海老ジュレがけ、かに味噌コロッケ
イワシの炙り、烏骨鶏の茹で卵
ひな祭りを意識した大根の桂剥きで作ったぼんぼり


とらふぐの白子のあんかけ茶碗蒸し、胡椒で

サクラマスの幽庵焼、原木椎茸能登115,葉山葵

かぶらあんかけ、揚げた伝助穴子、抜いてきたばかりの水菜


食事
赤出汁 里芋豆腐
①マグロのヅケ
②鰹節と烏骨鶏の卵かけご飯
③牡蠣ご飯
④川嶋ですよ
⑤塩山葵

デザート
能登のミルクとホワイトチョコで作ったアイス、蕗の薹乗せ
ポン菓子

夕採れいちごのいちご大福
お抹茶


完璧な料理とはこういうものを言うのだろう。毎回訪れるたびに凄みが増している・・そんな気さえするのである。これ以上美味しい物って世の中に存在するのだろうか?と真剣に思ってしまう自分がいた。

川嶋大将のスタンスはオープン当時から全く変わっておらず、95%の食材は能登の物を使用しているとのことである。また能登に店を構えているという地の利を生かして、魚は漁師さんから市場に出る前の極上品のみを仕入れている。そして野特に鮮度にこだわりその日の朝採れ、夕採れの物を使用しているのだ。

仕込みにも一切の妥協はない、今回頂いた椀物は大あさりの真薯であったがそのベースに置いてあるのはこちらで「魂の胡麻豆腐」と呼んでいるものであった。なぜ魂かというと白ごまを3時間かけて炒りそこに葛を合わせてとんでもないような手間暇をかけて作るようであった。
私たち客が食べるのは一瞬のことではあるがその一瞬のために恐ろしいほどの手間暇がかけられているのである。こちらの料理が美味しいを越えて感動の領域に達しているのはそういうところが大きいのであろう。

今回も文句のつけようがない素晴らしい料理ばかりであったが、1品目の海で獲れた炭火焼きの稚鮎を使った芹のお粥は一口食べた瞬間、涙が出るくらい感動させられた。

どれだけ時間をかけてでも訪問したい店というのはそうそうないのだが、こちらはそんな店の筆頭格である。毎回何かしらの感動を与えてくれる、私にとっては大切なお店なのである。

2023/03/24 更新

7回目

2023/01 訪問

  • 夜の点数:5.0

    • [ 料理・味5.0
    • | サービス5.0
    • | 雰囲気5.0
    • | CP5.0
    • | 酒・ドリンク5.0
    ¥30,000~¥39,999
    / 1人

2023ブロンズ&Best New Entry受賞おめでとうございます㊗㊗㊗

賞の色はともかく今年は絶対に取るだろうな・・と思っていた川嶋さんが予想通りブロンズとBest New Entryをダブルで受賞された。

まずは本当におめでとうございます。

ただ大将自身もこの色では全く満足していないだろうし、料理の完成度から言っても更なる高みを十分狙えると思うのである。

私はこの店が金色に輝く賞をいつか取ってくれると信じているのだ。

今回は先月に続き2か月連続での訪問となった。この週の七尾は大雪・・・数十年に一度と言われる寒波に覆われた能登までの道のりはハラハラドキドキで訪問の数日前から天気予報とにらめっことなっていた。
普段の行いが良いせいか(笑)この日昼間は雪は降ってはいなかった。しかし北陸自動車道福井周辺では閉鎖となっており東海北陸自動車道で4時間かけての到着となった。

七尾はとても雪深くて趣たっぷり・・・ただこの荒天では漁師さんも海に出るのは難しい状況であっただろう。これもタイミングではあるのだが大将も工夫を凝らして素晴らしい料理を提供して下った。

いつも本当にありがとうございます!!

この日の最初のおつまみは半年寝かせて熟成させた安納芋のきんつばからであった。そのお供は正月の名残を感じさせてくれる大福茶。梅干しと結び昆布が美味しい縁起の良いお茶を楽しみながら料理のスタートを待った。

この日は

朝〆め船上放血のタラの白子の粕汁、焦がし蕗の薹

なまこの七草粥

椀物
丸大根、ズワイガニ、菜の花 白味噌仕立て

お造り
クエとメジマグロ
土佐醤油とポン酢で

13キロのブリの藁焼き 鬼おろしと
甘醤油とポン酢で

カニーライス

甲羅酒

八寸
焦がしわたの塩辛、澤野牛蒡の七日炊き、能登115椎茸
辛子ビール大根、かつお菜、数の子、赤かぶ酢漬け、甘海老の昆布締め

1.8kgの甘鯛の蕪ら蒸し

かに味噌クリームコロッケ

穴子磯辺揚げ 新の海苔、能登ネギ、刻み柚子

かぶら寿司と白菜の漬物

食事
炒り米湯桶
能登牡蠣、能登ネギ、能登もずくの味噌汁
メジマグロの漬け、川嶋ですよ、黄身と鰹節のご飯
ぶりのシーチキンマヨ

中能登町の蕎麦と能登ミルクのブランマンジェ
佐賀ほのか

出来立ての椿餅、お抹茶


いや~~どれも素晴らしかったし思いっきり食べた。
今回はいつもの正統派の料理に加えて遊び心たっぷりな新作も披露して下さった。

まず最初の感動はカレーライスならぬ「カニーライス」!!!

他ではまず食べることができない能登の希少もち米「新大正」の上にズワイガニのカニ味噌と身を混ぜた料理であった。これは激旨!!カニ味噌の濃厚さを身の旨味、そしてもち米の風味がマッチして最高であった。これはお代わりしたかったなあ~~

そしてもう一品は出そうかどうか迷っていたが、〆のご飯の時に同行者が大将の話も聞かずに

「それ出して!!」

と指示してくれたおかげで食べることができた。

ぶりで作ったシーチキンマヨご飯である。コンビニのおにぎりを意識して作ってみたそうだがこれも抜群に美味しかった。ぶりをきちんとボイルして自家製のマヨネーズと合わせた絶品であった。

大将のきつそうな割烹着をを見ているとマヨネーズをこよなく愛しているのがよく分かるのである笑

冬の椀物はやはりカニが主役となるのだが、1月も終盤ということで焦がした蕗の薹を合わせることによって春の香りを感じることができた。四季を大切にしている川嶋大将の成せる技なのだろう。

前回の訪問からまだ1カ月しか経っていなかったが、同じ冬でも少し違う・・そんな料理を楽しませて頂いた。

季節ごとに通いたい、そんな店なのである。

  • カニーライス(蟹ライス)

  • 大福茶 梅と結び昆布

  • 芋のきんつば 半年寝かせた安納芋

  • 朝締めのタラの白子の粕汁 焦がし蕗の薹

  • クエとメジマグロ 土佐醤油とポン酢

  • 13キロのぶりの藁焼き

  • 広島の10年物の山葵

  • ぶりの藁焼き、甘醤油、ポン酢

  • かにーライス

  • 八寸

  • 焼わた塩辛、澤野牛蒡七日炊き、能登115椎茸、辛子ビール大根、かつお菜、数の子、赤かぶ酢漬け、甘海老の昆布締め

  • 1.8kgの甘鯛蕪蒸し

  • かに味噌クリームコロッケ

  • 穴子の磯辺揚げ出し、新の海苔とネギ、刻み柚子

  • 炒り米の湯桶

  • メジマグロ漬けご飯

  • 川嶋ですよ

  • ぶりのシーチキンマヨ

  • 中能登町の蕎麦と能登のミルクのブランマンジェ

  • 出来立ての椿餅

2023/02/08 更新

6回目

2022/12 訪問

  • 夜の点数:5.0

    • [ 料理・味5.0
    • | サービス5.0
    • | 雰囲気5.0
    • | CP5.0
    • | 酒・ドリンク5.0
    ¥40,000~¥49,999
    / 1人

冬の能登の魅力を堪能

新年あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。

年の初めを飾るにはやはり自分の一番気に入った店を持ってきたいものである。
今回はタイミングよくこちらのお気に入り店を訪問することができた。

今やその予約の困難さは金沢のあの店と同じぐらいになってしまったのだがラッキーにも定期的に通わせて頂いている。2023年度は既に満席となっており私が通い始めた約1年ちょっと前には想像もできなかった状態になっているのだ。

1日1回転、たった7席しかないカウンターはもはやプラチナシート、もはやそう簡単には座ることができなくなってしまったのである。
北陸の地方人気店であったこちらもはもうすっかり全国的に人気のお店となってしまったようで、今回私たちの両隣は東京からのお客さんであった。

そして今回は冬の能登、ということで真っ先に頭に浮かぶのがあの食材ではあるが、今回はもちろんそれもであったのだが、それだけでなくいろいろと楽しませて頂いた。


この日は

中能登町の蕎麦粉で作ったお焼き

舞茸のすり流し

先ほどまで生きていた海鼠粥、無農薬の棚田米、出汁と

椀物
カニ真丈、蕪のすり流し、糸人参と

お造り
クエ、昼獲れたばかりのメジマグロ
醤油、自家製ポン酢、能登島の塩で
お皿は120年前の永楽

13キロのブリの藁焼き
ブリタワーならぬブリツリー

お凌ぎ
鯖の棒寿司

「輝姫」級の蒸した香箱蟹 蟹の出汁餡かけ

八寸
わきわた塩から
かにみそコロッケ
こんにゃく、椎茸、春菊の白和え
むかご

五味を考慮した
船上血抜きタラの白子、
中島菜の胡麻和え、椎茸土佐酢ジュレ

特撰
「輝き」級の加能ガニの蒸した物

朝掘りの山芋と自家製カラスミの磯部揚げ

澤野ごぼうの七日炊き、醤油のもろみを肥料とした
特月栽培の里芋の煮たもの、葛餡かけ 柚子どめ

食事
カニ餡かけご飯、
麹の味噌汁、揚げた加賀蓮根餅、能登ネギ

漬物
ビール大根等

ご飯
川嶋ですよ
自然薯ご飯

デザート
七尾の柿、能登地鶏のクリームブリュレ

栗きんとん

抹茶


であった。

いや~~ヤッパリすごかった。大将・・何か雰囲気が違う、と思ってよく見たらパーマをかけたらしい。
人生初のパーマをかけた大将はますますパワーアップしていた。

七尾はなまこの産地なのでその地の利を生かして最初に出てきたのはさっきまで生きていたというなまこを使ったお粥であった。海の香りが強過ぎず弱過ぎず・・素晴らしい味わいになっていた。これは最初から飛ばすなあ~~

そしてそんな料理に北陸の冬の食材の王様、加能ガニがが加わることで「鬼に金棒」野球で言えば1番から9番バッターまですべて4番バッターのようなそんな料理の数々であった。

最初の度肝を抜かれた椀物は、カニ真丈は壊れるか壊れないかぐらいのゆるゆるの繋ぎで作れておりカニの旨味を十分楽しませてもらった。蕪の摺り流しと合わせるところはやはり天才の成せる技なのであろう。

またこの時期しか食べることのできない香箱蟹のカニの出汁餡かけも頂いた。これはかなり大きく能登のプレミアム「輝き姫」クラス。味が濃く美味しかったなあ~

そして茹でた加能ガニも楽しませてもらった。これもかなり大きく「輝き」クラス。大将が持つと小さく見えるが実際はかなり大きく美味しいカニであった。

そして恒例の藁焼きはこの日は13キロのぶりをであった。
それを積み上げ大将曰く「ぶりタワー」ならぬ「ぶりツリー」とのこと。クリスマスにぴったりかどうかは分からないがさっぱりした大根おろしと共に美味しく頂いた。

能登の伝統野菜である澤野大根は伝統の料理法の「七日炊き」で里芋と一緒に葛でとろみをつけ、ほのかに柚子の香りのする料理に仕上がっていた。船上で〆た鮮度抜群のタラの白子は薄いピンク色をしており生臭さなど一切なかった。
また今回はこの料理が川嶋大将がこだわっている「五味を感じる料理」となっていた。

ちなみに五味とは①甘味②塩味③苦味④酸味⑤旨味
のことである。

これらすべては食材の豊富な能登だからこそできる料理なのであろう。

そして恒例のご飯はこの日は蟹餡かけご飯からスタートとなった。加能ガニの甲羅の中でカニ味噌とカニを混ぜ炭火で火を入れた後ご飯にかけて頂いたのだが「凄い!!」としか言いようない美味しさであった。
ご飯2杯目はそのうち桃屋からクレームが来るかもしれない海苔のつくだ煮「川嶋ですよ!」を堪能。
紫蘇の香りがほのかにして本家の桃屋の物とは比較にならないぐらいの美味しく独特の風味を楽しませてもらった。

そして最後は能登地鶏のクリームブリュレ、七尾の柿、砂糖を一切使っていない栗きんとんとお抹茶で終了となった。

至福の時というのはあっという間に過ぎてしまうものである。この日も最初から最後まで一分の隙のない料理を堪能させて頂いた。

通うには遠いがもうこちらにお邪魔できるのが楽しみで楽しみで仕方がないのである。
また次回の訪問を楽しみに待ちたい。

  • 「輝き」クラスの特撰のカニ

  • 中能登町の蕎麦粉で作ったお焼き

  • 舞茸のすりながし

  • なまこ粥

  • 蟹真丈 蕪のすりながし

  • 自家製ポン酢、鳥居醤油店のしょうゆ、すだちと能登島の塩

  • クエとメジマグロ

  • ぶりツリー

  • サバの棒寿司

  • 『輝き』級の加能ガニ

  • 「輝き姫」級の香箱蟹

  • 香箱蟹 餡かけ

  • 八寸

  • 焼わた塩辛、カニ味噌コロッケ、こんにゃく、椎茸、旬義気の白和え

  • 船上血抜きのタラの白子、中島菜胡麻和え、椎茸土佐酢ジュレ

  • 加能ガニ

  • 特撰のタグ

  • 朝掘りの山芋と自家製からすみの磯辺揚げ

  • 澤野牛蒡の七日炊きと里芋の揚げ出汁、

  • 能登の伝統野菜 澤野牛蒡

  • 麹の味噌汁

  • かに味噌ご飯

  • 川嶋ですよ

  • 能登地鶏のクリームブリュレ、七尾の柿

  • 栗きんとん

2023/01/01 更新

5回目

2022/10 訪問

  • 夜の点数:5.0

    • [ 料理・味5.0
    • | サービス5.0
    • | 雰囲気5.0
    • | CP5.0
    • | 酒・ドリンク5.0
    ¥30,000~¥39,999
    / 1人

朝採れ、夕採れは当たり前!!時間軸に拘った能登食材を堪能!!

昨年の10月から通い出してほぼ1年経った。今回が5度目の訪問である。

私にとっては片道4時間近くかかるとても不便な辺境の地にあるのだが、どんなに遠くても行かずにはおられない・・・そんな大好きなお店に4カ月ぶりに訪問することができた。

最近では人気に拍車がかかり新規の予約はかなり厳しい状態になってしまっているようだ。

東京、大阪、名古屋・・福岡等新幹線沿線でもなく、最寄りの空港からもかなり遠い。どこの地からでもあれだけ行きにくいのに「超」がつくほどの予約困難店というのはこちら以外にはほとんど聞いたとことがないのである。

ということで2023年末までは予約がいっぱいらしい。気が付くと1年前には想像もできなかった状況になってしまっていた。

私の周りも多くの友人たちが訪問しており、一度こちらの料理を経験するとほぼ例外なく皆リピーターになってしまうぐらいの魅力を持ち合わせているお店なのだ。

料理が美味しいのは当然のことなのであるが大将と女将さん、そしてスタッフの方々が作り上げる接客の雰囲気などもまったくの隙が無く「また来たい」と思ってしまうのである。

今回も最初から最後まで悶絶続きの料理ばかりであった。

最初のおつまみは早生ミカンの砂糖漬けとほうじ茶。それを食べ終わった頃に大将のご挨拶から始ま
いつものようにカウンターの真ん中にある和ろうそくが消されると料理のスタートであった。
こういう儀式のような演出が気持ちを盛り上げてくれるのだ。

今回は

そうめん南瓜の焼き浸し、モクズガニと金時草、土佐酢のジュレ掛け

コシヒカリを使った朝採れきのこ粥 6種のキノコ

出汁のテイスティング

椀物
葛で作った黄身豆腐
葛打ちした鱧、ツルムラサキ

オコゼと能登の特大天然車海老のお刺身

3時間前に〆たばかりの7.5キロのサワラの腹の部分の藁焼き

お凌ぎ
幻のもち米 新大正を使った銀杏ご飯、上には河豚の子

八寸
カボチャのすり流しと能登の雲丹、朝採れの枝豆
アオリイカの焼き霜、甘海老の昆布締め、百合根団子、
夕採れの無花果の胡麻ダレ、鰆の子、

1キロの能登鰻プレミアムWの焼き物 

ノドグロと椎茸の酢橘蒸し

蒸し鮑とマコモダケの出汁餡かけ

白ご飯、卵かけご飯、塩わさびご飯

能登ミルクで作った雪見大福

白味噌の団子 抹茶


やはこちらの魅力は能登に店を構えているからこそできる時間軸を計算した料理であろう。
甲殻類は鮮度が命なので今回頂いた特大の能登産の特大車海老は〆て5分以内の提供だったし、7.5キロのサワラは提供3時間前に〆たそうだ。この〆る時間というのは魚種によって異なり、例えば以前頂いた真鯛などは5時間前に〆ていた。

能登鰻プレミアムは通常は500gだが今回使用したのは川嶋さんのためだけに養殖している1kgのプレミアムWを使用。皮をパリパリに仕上げ極厚の身はふっくら・・恐ろしく美味しいものであった。

オープンして2年経ち器も素晴らしいものを段々揃えてきているようであった。例えば椀はもちろん輪島塗の極上の物を使用し、普通のお皿でも江戸時代の物とか近年の物であれば人間国宝作の物を使用していた。

今まで私は

「お皿は食べれないから味には関係ない!!」

と思っていた無粋者だったが、こういう一流の器で頂くと味が1段も2段も上になった気がするのである。少しは進歩したのかな??

そして今回初めて使ったのが230年前にイギリスで作られたスプーンであった。柄には装飾が施され、薄い先は口当たりがよく料理を美味しく頂ける気がした。力を入れると曲がりそうな・・・そんな素晴らしくも触るのが恐ろしいものであった。

鮑の出汁餡かけも鮑の旨味が凝縮され、「旨い!」と思って食べた京都の名店Dの鮑の椀物が全く勝負にならないぐらいの美味しいものであった。

全部説明したいがとにかく素晴らし過ぎる・・・・もうすっかりとりこになってしまっているのである。

出来れば毎月行きたいと思うのだが、それは叶わぬ夢というもの・・・2023年末までほぼ満席のようである。次は北陸の食材の王者、蟹の時期に行けそうなので今から楽しみなのだ。まだまだ若い大将、今後が末恐ろしい、そんなお店なのである。

  • 能登産の活き車海老

  • 10年物の山葵

  • 7.5㎏のさわらの腹の藁焼き

  • モクズガニ

  • 鰻能登プレミアム

  • 朝採れのきのこ粥

  • 出汁のテイスティング

  • 鱧と黄身豆腐の椀物

  • オコゼと特大車エビのお造り

  • 5分前まで活きていた車海老と3時間前に〆たオコゼ

  • 7.5kgの鰆の腹の藁焼き

  • 幻のもち米、新大正の銀杏おこわ

  • 八寸

  • 夕採れの無花果とゴマダレ蒸しアワビ

  • 蒸し鮑、マコモダケの出汁あんかけ

  • 烏骨鶏の卵かけご飯

  • 塩山葵ご飯

  • 白味噌の餡の餅

2022/10/17 更新

4回目

2022/06 訪問

  • 夜の点数:5.0

    • [ 料理・味5.0
    • | サービス5.0
    • | 雰囲気5.0
    • | CP5.0
    • | 酒・ドリンク5.0
    ¥20,000~¥29,999
    / 1人

「そこまでやるか!!」という心血注ぎ込んだ料理

またまた一番好きなお店に3カ月ぶりに訪問することができた。最近では食べログの点数も上がりそれに加えて評判が評判を呼び、今では予約状況が大変なことになってしまっているようである。

年内は当然満席、そして2023年もかなり埋まってきているようなのである。もちろん今回の予約も昨年お願いしておいた分であった。

スタート15分前に店の扉が開き、その間はお茶と1品つまむ物が出されるのだが、今回は七尾産青梅のシロップ漬け、そして新茶を頂きながら他のお客さんの到着を待った。

そして18時30分、時間になり正面に置かれていた高澤ろうそく店の和ろうそくの火が消され料理のスタートとなった。

まずは先んじてお弟子さんから本日の食材として大きな殻付きのとり貝を披露してもらった。

そしてここから料理のスタートであった。

この日頂いたのは

3時間かけて直前に出来上がった「魂のごま豆腐」出し醤油で、炒った胡麻と共に

朝採れたばかりのプレミアムとり貝の炭火での炙り、土佐酢ジュレ、朝採れの小松菜

しら井昆布店の利尻10年熟成の昆布と枕崎の特注の普通より多く燻した鰹節を使った出汁の鯛スティング

椀物 その出汁を使いヤナギバチメの真丈、手摘みのじゅんさい、サンド豆

提供する時間の5時間前に〆たカレイのお造り、あさつきと能登島の醤油、塩、ポン酢で

140キロのマグロと特大シャコのお造り

自然栽培の藁を使った、昼〆たばかりのサワラの藁焼き

おしのぎ 特大鯵の棒寿司

八寸 ふぐ、海苔の佃煮とサザエの麹漬け、ベニズワイガニのコロッケなど

幻の岩牡蠣をポン酢で

甘鯛の焼き物

能登の赤土で育った新玉葱と鱧

豆ご飯、烏骨鶏の卵かけご飯、白ご飯 その他

デザート
フルーツの盛り合わせ、ほんのり甘いジュレかけ、
今作ったばかりのよもぎ大福のお焼き
抹茶


であった。


やはり大将は地物の一番良いものを使うということに徹しておられるようである。海の幸、そして山の幸に恵まれた能登だからこそできる料理があるのだ。この地にお店を構えているからこそ可能なんだろうなあ~~とつくづく思わせる料理の数々ばかりを堪能することができた。

金沢などから仕入れに来てもこれだけのものを使うことは難しいのでは、と素人目にも分かるのである。例えばこの日頂いたプレミアムとり貝はこの日の朝、漁師さんが採ってきたものである。しかも一般には流通しておらず地元とのつながりの深い川嶋大将だからこそ漁師さんも直接おろしてくれるようなのだ。

ちなみにこのとり貝の炭火焼きは人生の中で経験した物の中で最高に美味しかったものであった。京都や東京、大阪などでこの時期とり貝はいろいろ頂く機会もあったがここまでのものはなかった。炭火で軽く炙っただけのものであったがとり貝がこれほど美味しいものは!!・・・目からウロコであった。

また最初に出てきたごま豆腐も提供時間に合わせて3時間かけて作り、出来立てを出してもらった。大将自身が「魂のごま豆腐」とおっしゃるように魂をすり減らして相当の手間暇をかけているようなのである。これが素晴らしかったのは言うまでもないだろう。

椀物はいつものように斜め向かいのしら井昆布店の10年熟成の利尻昆布を使った出汁に、特注の枕崎の多く燻した鰹節を使用したものであった。最初に薄く削った鰹節をテイスティングさせてくれるのであるがその香りからも燻した感じが伺われた。

出汁が美味しい一流店は多くあるが、私にとってはここが日本一なのである。名古屋、東京、京都、大阪、金沢と出汁の美味しい有名店はそこそこ経験したがやはりココが一番好きなのである。
そこから作った出汁の椀物はヤナギバチメの真丈、手摘みのじゅんさいとサンド豆を組み合わせたものであった。

もう言葉も出ない・・・とはこのことであろう。私の知る限りどことも比較できない最高の椀物であった。

どの料理も素晴らしいが好きなものを一つ挙げろと言われれば私はこの椀物を選びたいのである。

そしてお造りは提供時間の5時間前に〆たカレイであった。能登島の塩、醤油、そしてポン酢で頂いたが食感と旨味のバランスがとてもよい美味しいものであった。また続いての2皿目のお造りは140キロのマグロと特大の子持ちシャコであった。これも美味しかったなあ~~

続いては恒例の藁焼きであった。昼に〆たばかりのサワラを大将が管理している自然栽培の藁を使い火事になるのでは・・と思えるぐらい豪快に焼いたものであった。これを食べないと川嶋さんに来た気がしないのである(笑)

そのあとびっくりするぐらい大きな鯵の棒寿司を頂き八寸を頂いた。虫かごのようなシック籠の中には
ホタルイカの醤油漬け、ベニズワイガニのコロッケ、などなど季節を感じさせてくれるアジサイの花を囲んだ華やかな物ばかりであった。どれもとても手間がかけられているのは私にも分かる、そんな料理であった。

そのあと岩牡蠣をポン酢で頂いた。しかもそこらの岩牡蠣ではない。「幻の岩牡蠣」と呼ばれている物である。能登の岩田の沖合5キロのところで素潜りで12メートルのポイントから獲ってきたものらしい。しかもそのポイントはずっと漁をすることができなかったようでほぼ半世紀ぶりに復活したとのこと。それで「幻の岩牡蠣」と呼ばれるのだ。
牡蠣独特の臭みは皆無、旨味だけが感じられ牡蠣嫌いの人でも食べれそうなものであった。

しっとりと感じられる甘鯛の焼き物を頂いたのちは、能登の赤土で育った新玉葱と鱧の煮物を頂いてご飯を頂くことになった。

この日は土釜で炊いた豆ご飯がメインであった。昔で言う「グリーンピースのご飯」のようであった。グリーンピースは独特の臭いがあり子供などは嫌いな場合も多いが、こちらの豆は大粒でとても美味しいものであった。またお代わりとして、今朝産んだばかりの烏骨鶏の玉子を使った卵かけご飯、海苔の佃煮のご飯など炭水化物祭りを十分楽しむことができた。

最後にフルーツとたった今出来上がったよもぎ大福のお焼き、そして抹茶を頂き楽しい宴は終了となった。ちなみにこのよもぎ餅のよもぎも田んぼのあぜ道で自生しているよもぎを摘んできたもののようである。

一本杉川嶋の料理の特徴としては素材はやはり地の物を大切にし、その中でも最も良い物だけを独自のルートで仕入れ、七尾の外からでは絶対に手に入らないピン素材を使うことであろう。地元だからこそできる強みがあるのだ。また朝揚がったばかりの魚や貝をそのまま仕入れ、提供時間に合わせて料理するような高度なことは東京や京都の料亭でもさすがにできないと思うのだ。

海産物だけでなく畑からも朝採れにこだわり精米は炊く直前に行うこだわり、また卵は朝産んだものなど、素材自身と同様にその時間軸にまでこだわる姿勢は見事としか言いようがないだろう。
極力地元の物を使うことによって、地元が活性化することを心の底から望まれているようなのである。そういう姿勢が生産者、漁師さん、乾物店、醤油屋さんなどから支持を得て
「最高の物は川嶋さんに・・」という流れが出来上がっている様な感じであった。

やはり市場の目利きで仕入れてきたものとは全く違うようなのである。そういう理想を実現させるためにだろうか、今回もお弟子さんが一人増え3名、そこに大将と奥様の5人での接客は全くストレスのないものであった。

前述したように予約はかなりきつくなってきており、このままだと相当先まで予約を取るか、客を絞って営業するかの2者択一になるだろう。
もう一見さんはギリギリ予約を取れるかどうかのところまで来ていると思う。行くなら早めにトライして欲しい!!

  • 朝と獲ってきたばかりのプレミアム鳥貝

2022/06/23 更新

3回目

2022/03 訪問

  • 夜の点数:5.0

    • [ 料理・味5.0
    • | サービス5.0
    • | 雰囲気5.0
    • | CP5.0
    • | 酒・ドリンク5.0
    ¥20,000~¥29,999
    / 1人

春の川嶋も悶絶の嵐!!

私から見ると最果ての地に2カ月ぶりに行ってみた。片道4時間弱の道のりにも慣れ、とても待ち遠しい訪問であった。もちろんすでにかなりの予約困難店になっており、この予約も昨年入れたものである。

6時15分オープン、6時30分スタートなのだが、早めに行っても何かしらおやつ的な物を頂けるので退屈することはない。今回はお茶とかりんとうのようなものを頂いた。蕎麦粉、きな粉そして蜂蜜を混ぜて揚げたもののようである。今回はいきなり揚げ物とは嬉しいところを突いてくるものだ・・

カウンターの上に置かれたゆらゆらしている炎は近所の高澤ろうそく店の和ろうそくである。この演出はこちらのお店のしきたりみたいなもので、スタート前はお店の照明を落として敢えてこの和ろうそくの灯の揺らぎを楽しんでもらおうという店主の粋な計らいによるものなのだ。

今回もスタート時間よりも少し早めには行ったのだが私たちが店に入った最後の客のようであった。
話しぶりから他のお客さんも新規ではなくリピーターらしかった。ただ常連さんというところまではいかないようなそんな方たちであった。いつもなら7席なのだが今回は6名の客であった。

時間になりろうそくの灯りが消され、店内の照明が明るくなっていった。この過程は突然明るくなるのではなく、おそらくLED照明で時間をかけてゆっくりと明るくして客に違和感を与えないようにしているようであった。こうやってカウンターを見ると後ろの赤めの土壁が何とも心地良い色彩を目で感じることができた。

訪問2回目までは料理に対する期待ばかり先走って、そういうところに目配りする余裕もなかったのであるが、今回は3回目・・店全体から大将が目指す心意気などを感じる余裕もできたようであった。

今回頂いたのは

・先ほど抜いてきたばかりの芹と精米したてのお米を使ったお粥、炭火焼きした稚鮎を乗せて。

 極厚の能登てまり椎茸、サヨリ、蕪の葉っぱのお浸しのジュレ掛け

・しら井昆布店の4年熟成の昆布出汁に枕崎の1本釣りのオーダーして作った鰹節の出汁の椀物
 ばか貝の真薯に3時間半かけて作った「魂のごま豆腐」を合わせ今摘んだ木の芽を乗せて。

・堅ばい貝、クエのお造り、10年物の山葵を添えて。自家製ポン酢か醤油で

・〆鯖のお刺身、藁焼きとの食べ比べ

・おしのぎ
 能登のもち米、新大正を使ったとらふぐの白子の飯蒸し、間には海苔で作ったシート

・20キロのアンコウの酢橘蒸し、身、ヒレ、胃袋

・抜いたばかりの水菜、素焼きの穴子に擦りおろしたかぶら

・八寸
 出来立ての湯葉、イワシ、鮟肝、ホタルイカの酢味噌、カニ味噌コロッケ、
 海老のすり身のカステラ

・目鯛の味噌幽庵焼きと大根おろし

・食事 釜炊きの白ご飯
 新海苔の佃煮、マグロのヅケ、烏骨鶏の卵と鰹節、牡蠣フライと煮山椒、穴子天の出汁漬け、

・デザート
 ホワイトチョコレートのアイスに蕗の薹、もち米新大正のポン菓子
 朝採れの七尾のいちご大福 つきたてのお餅と練乳餡で
 お抹茶

であった。

やはり五味を大切にしている川嶋大将は初春を感じさせてくれる蕗の薹の苦みなどもとても上手に使われていた。

また普通ならあまり使わないバカ貝からうまく出汁を取り、いつものしら井昆布店4年熟成の昆布と枕崎の特注の鰹節を使った椀物はもうぐうの音も出ないほどの極上の逸品であった。私はまだ経験値は低いかもしれないが、そんな中においてここ以上の椀物を食べたことがない。
やはり和食の神髄は椀物にあると言っても過言ではないことを再認識させられた。

お弟子さんも新しくもう一人入られ、オペレーションもかなり良くなった気がした。というのもこちらでは3時間半は当たり前、4時間近くかかったこともあったが、今回はとてもテンポよく料理が提供され、2時間半程度で終了となった。
大将も、コロナ時短営業でみんな鍛えらえた、と笑っておっしゃっていた。

これだけ手際よく進めば、スタート時間を早くすれば2回転できそうだと思い、そういう予定なの?と聞いてみたら全くその気はないとことであった。
毎日1回転でそこに全力投球するとのことである。

能登の地物に重きを置き、生産者と密接に連携を取るからこそ仕入れることができるものもある。
単に市場から「良いものだから仕入れてくる」ということではなく普通ではやらないような手間のかかる活き締め、神経締めを信頼している漁師さんにお願いしそれを鮮度よく仕入れてくるのである。
また野菜などは朝採れ、営業時間ギリギリに摘んでくることにこだわるのだ。精米はお店のオープンぎりぎりに行い、最高鮮度のご飯を提供直前に藤瀬の霊水で炊くという普通では考えられない手間暇のかかることをされているのである。また以前にも書いたが藁焼きは無農薬の自家製米のものしか使用しない。
こういう地物へのこだわり、新鮮さ、そしてとにかくすべてのものをすぐに提供するといった時間軸へのこだわりがこちらの料理をここまで高めているのだろう。

もちろん営業時間外でも試食は重ねられているのだろうね~~
そのせいか、着ている割烹着が心なしかパツパツになっておられたようであった。

通うのは大変だが、これから先もずっと通い続けたい七尾の名店なのである。次回は初夏に伺えそうなのでとても楽しみなのである。

  • 炭火焼きの稚鮎、芹のお粥

2022/04/04 更新

2回目

2022/01 訪問

  • 夜の点数:5.0

    • [ 料理・味5.0
    • | サービス5.0
    • | 雰囲気5.0
    • | CP5.0
    • | 酒・ドリンク5.0
    ¥20,000~¥29,999
    / 1人

すべてが完璧!!またまた完全にヤラれました。

昨年(2021)訪問したお店の中で一番感動したところに約3ヶ月ぶりの再訪することができた。

金沢からローカル電車に乗りさらに1時間半かかる最果ての地(失礼!)にあるにも関わらず、前回に比べてどんどん予約が困難になっているようであった。

また今訪問時に予約しても半年ぐらい先になるような勢いなのである。ただし電話予約用の月末に受ける翌々月の予約の枠は別に取ってあるとのこと。嬉しいことにまだ一般予約も受け付けているのだが、他の名店のいつもの流れから行くとそのうち超予約困難になり、下手したら紹介制になる可能性もある。一晩たった7席のプラチナシートはこれからもどんどん価値が上がっていくのだろね。

また、こちらでは全員が集まるまではちょっとしたスナックを出してくれる。この日は輪島塗のナツメに入った「和風グリッシーニ」であった。能登ワカメを素揚げにしたものの先端にじろ飴をつけそこに蕎麦の実をつけたものを出して下さった。これがとても美味しいのである。そば茶ととともに楽しませて頂いた。

早く行っても単にぼ~~っと待つことはないのである。

そして前回と同じように18時半、全員が集まりスタートとなった。そのころカウンターの真ん中に灯してあった和ろうそくが消され、暗い店内はライトアップされ明るくなった。

これが料理のスタートの合図である。

まずはこの日のメインの食材のお披露目からであった。もうこの時期と言えばやはりこれしかない!という生きた加能ガニである。

山陰では松葉ガニ、福井では越前ガニ、そして石川県では加賀の「加」と能登の「能」を取って加能ガニというらしいがこれらはすべて日本海のズワイガニである。この贅沢な加能ガニをコース料理の中で客7人に対して4匹使うという贅沢なものであった。

このお披露目が終わると新年ということで七草粥からスタートとなった。しかし単なる七草がゆではない。上には自家製の生クチコを炙り添えてあった。これによりこの七草粥が抜群の美味しさになり最初から驚きの連続となったのである。

そして次はこの日の昼に〆たばかりのたらの白子のたらのジュレがけであった。もう色、そして透明感から普通のタラの白子とは全然違う〜まるで白子が生きている・・そんな感じすらする色合いであった。
良物で新鮮な素材が一流の料理人の手にかかるとこの単純そうな料理がここまでになるのか!とかなり衝撃的な美味しさを楽しませてもらった。

そしてここで鰹節を削り、そのテイスティングをさせてもらった。手のひらに向こうが透けるぐらい薄い鰹節を乗せて頂きそのまま食べてみた。鹿児島枕崎の一本釣りのカツオで通常よりも多く燻してある特注品である。これだけの薄さながらほど良い燻した香りが嗅覚をくすぐる~~そんな鰹節であった。そしてこの鰹節と共に出汁の主役となるのがこの一本杉通りにある白井昆布店の4年熟成の利尻昆布である。昆布の出汁に鰹節を加え椀物用の出汁を作られていた。

そして塩も何も加えていない状態で出汁のテイスティングをさせてもらったが、この極上出汁にはもう何もいらない~~何を足すのも何を引くのもして欲しくない・・・そのままで楽しみたい!!そんな気持ちにさせてくれる最高の出汁であった。

その出汁で作った椀物は今の季節にはピッタリのカニ真薯とうぐいす菜であった。このかに真薯、つなぎは全く感じることができない「カニそのもの」であった。しかも食べるとかなりふっくらとした食感で口の中でほぐれ、出汁と共に最高の味に仕上がっていた。ここ数年で一番美味しいと思えた椀物であった。

そして次は北陸産の20キロの特大クエのお造りであった。クエといえば九州が代表的な産地となるが、能登の食材にこだわる大将はそういうものは一切使わない。北陸ではこれほど大きいクエが取れることは珍しいとおっしゃっていた。そこに10年ものの特大のワサビを添えて、能登島の塩、土佐醬油、ポン酢などで頂いたが、やはり私にはワサビとしょう油が一番美味しい組み合わせと思った。もちろんどの組み合わせでもクエの旨味が広がり最高ではあったが・・・

そして2品目のお造りはこれも能登で揚がったメジマグロの大トロであった。大将のように丸々太ったものだったようである。筋にはきちんと包丁が入れてあり食べてみても全く筋っぽさを感じない極上品であった。こんなメジマグロ食べたことなかったなあ~~

食べていると大将が奥の方に行き恒例の藁焼きを始め出した。煙がぼうぼうと立ち上るがそのためにしっかりとした換気ができるようにしてあるようだ。窓の外にはモクモクと立ち上る煙が見えたが、知らない人が見たら消防車を呼ぶほどの煙であった。

この藁焼きに使うのは大将が取引している無農薬の田んぼの藁である。そこらで使うそこらへんの藁とは違いこれも由緒正しき藁のようであった。大将曰く、こういうところにこだわると味が良くなるとのことであった。その藁焼きされたのは今年不漁でなかなか水揚げがないぶりであった。しかも15キロの特大ものである。脂がとても強いので大根おろしとポン酢で頂くことになった。そう言えば今シーズン初のブリかもしれない・・・もうこれも最高であった。

そして八寸は今年の干支にちなんで虎の器を使ったりと面白い趣向であった。鰹の角煮、能登の特産沢野ゴボウのたたき、菊芋の揚げ物、能登の大納言赤飯、海鼠と朝採れの菜の花などなど季節を感じさせるだけでなく、地の極上品をできるだけの高みに持っていく大将の意気込みが感じられる美味しい物ばかりであった。

そしてここからがこの日のメインのスタートであった。まな板の上に置くと横走りして逃げて行こうとする加能ガニを大将がしっかり押さえて包丁を入れていった。

この日のカニはカニしゃぶであった。きれいに根元から身を外し、お湯にくぐらせレア程度で引き揚げその上にはカニの出汁で溶いたカニ味噌をかけて頂いたのだが・・・

もう完敗です・・としか言葉が出ないぐらいノックアウトさせられた。こんな美味しいカニ、今まで食べたことがなかった・・・
一人2本ずつ頂いたが、最初から最後までこれだけでも良いかな、と思えるぐらいの美味しいものであった。

そしてこの後もち米を使ったこのカニ味噌のリゾットが出されたが、これにも完敗・・感動の嵐とはこういうことを言うのだろうな~~「旨い」を超えての体験であった。

そのあとはこれも能登で獲れた7キロの目鯛の粕漬の焼き物であった。これも美味かったなあ~~
焼き物でこれだけの美味しさは初体験かもしれない~~

〆の前には揚げた伝介穴子と沢野ゴボウを頂き蟹雑炊が始まった。カニの旨味が凝縮してこれも絶品!!その後は別に炊いてあったご飯にマグロのヅケと朝掘ったばかりの自然薯、そして烏骨鶏の卵黄を混ぜてのご飯も頂いた。これが美味しくない訳ないだろうね!!

最後に能登ミルクと蕎麦で作ったブランマンジェ、そして自家製のつばき餅にお抹茶を頂いて終了となった。

もうどれが美味しいとか不味いとかのレベルではなく、どれを食べても感動の領域に達するものばかりであった。もう段々と名も知られ始めてきているようで、この日は大阪からの方、そして金沢の常連さんと私たちであった。大将の話によると名古屋のお客さんも増えているとのことである。
予約は大変だし、かなり遠いが苦労して行った分以上の感動を体験できるお店である。

興味のある方は予約が取れなくなる前に訪問することをお勧めしたい。

  • 加能ガニ

  • ワカメのグリッシーニ

  • 七草粥と炙った自家製生クチコ

  • 昼に〆たタラの白子

  • 出汁を引いているところ

  • カニ真薯

  • 20キロの特大クエ

  • メジマグロの大トロ

  • 七尾の15キロのブリの藁焼き

  • 八寸

  • 能登の大納言赤飯、海鼠、

  • カニのしゃぶしゃぶ 味噌と

  • もち米でカニ味噌のリゾット

  • 目鯛の酒粕漬

  • 沢野牛蒡と伝助穴子

  • カニ雑炊

  • 朝採れ自然薯、マグロ、烏骨鶏の卵のご飯

  • 胡麻豆腐の揚げ出しの粕汁

  • 能登ミルクと蕎麦のブランマンジェ

  • 自家製の椿餅

2022/01/20 更新

1回目

2021/10 訪問

  • 夜の点数:5.0

    • [ 料理・味5.0
    • | サービス4.9
    • | 雰囲気5.0
    • | CP5.0
    • | 酒・ドリンク4.7
    ¥20,000~¥29,999
    / 1人

身震いするぐらい恐ろしい「切れ!」を感じる料理

七尾に片折と比較しても遜色のないとんでもない割烹があると聞いたので行ってみることにした。

ちなみに片折は食べログ4.63、石川県の第1位で日本総合でも6位という堂々たる結果に対して
こちら一本杉川嶋は食べログ3.29 石川県第913位(2021/10/16現在)と今時点のランキングでは全く勝負になっていないのである。

ただこういうランキングの低いお店こそ面白い、この店は大化けする・・・
数年に一度そんな直感が働くことがあるのだ。

私の食べ歩き人生の中で一番嬉しいと思うことは、すでに人から評価を受けている予約困難な有名店の常連になることではなく、評価はまだまだだが、これから伸びる店を人より早く発見して常連になることの方が何倍も嬉しいのだ。

久しぶりにそんな可能性を大いに感じた大将と出会ったので今回ご紹介したい。

七尾と言えば和倉温泉がある風光明媚な観光地だが、金沢から在来線でさらに1時間超かかるという愛知県在住の私にとってはとてもハードルの高い地でもある。

そう気軽に行ける場所でもないのだが、今回は気合を入れて行ってみた。

こちらのお店は2020年7月にオープンしてまだ1年ちょっとしか経っていないが、2021年にいきなり一つ星を獲得、そして人気に拍車がかかり、すでにかなりの予約困難店になってきている。

ただその人気は今はまだ北陸の地方レベル・・・・

このままだとすぐに全国的なレベルの人気店になり、本当に金沢の超人気店ぐらい予約が取れなくなるから行くなら今のうちだと、と信頼できる方からおススメ頂き7月に予約を入れ、ピンポイントでここだけ空席があった日に訪問させて頂くことにした。

お店のある七尾の一本杉通りは各店舗が灯篭のようなライトをつけ、歴史を感じる風流な通りであった。訪問した夕方6時過ぎには商店街のお店はシャッターを下ろしており閑散とした雰囲気が寂しささえ感じさせる光景であった。

その中でももともと万年筆屋さんであった築80年の建物を改装して割烹にしてある川嶋さんはひときわ目立つ存在であった。ちなみにこちらの建物、七尾の歴史重要建築に指定されているようである。

開店15分前にはお店に看板に灯が灯り、一番乗りで中に入らさせて頂いた。

またこちらでは6時半一斉スタートである。カウンター7席の小さなお店で、個室もあるようだが普段は使うことはなさそうであった。

今回一番に行ったのが功を奏したのかどうか分からないが、座った席が常連さんの横のほぼ特等席であった。一番奥の席は名物の藁焼きが見えないし、入口付近の席ではやはり大将の包丁さばきを見るには遠過ぎる・・・

カウンターの中央には料理が出てくるまで和ろうそくが灯りゆらゆらした炎を眺めながら、食事前に出された加賀棒茶とサツマイモの蜜煮を頂き、他のお客さんの到着を待った。

凛とした空間で待つ間、名店のみが持つ独特の空気感を感じていたのである。

そして時間がきてここからが一斉スタートであった。松茸料理は希望する人のみに追加で提供されるのだが、この日はお昼ごろに女将から連絡があり、
いろいろと手を尽くしたが全く松茸を仕入れることができなかったので通常コースとなります、とのことであった。

しかし夕方に知り合いの業者がほんの少しだが手に入ったので持っていく・・という連絡があったようで、急転直下でわずかではあったが松茸料理も楽しめることとなった。傘が開いていたので焼き松茸には使えなさそうであったがまずは松茸の顔見世からであった。
これも当然その日の朝採れの能登松茸であるのは言うまでもない。

そして今回頂いたものは
松茸のお粥、
着せ綿戸菊の花朝露 シマアジと菜のお浸しのジュレがけ
朝収穫した無花果のゴマダレがけ
出汁のテイスティング、枕崎一本釣りのカツオから作った特製の鰹節、利尻昆布
輪島塗のお椀に朝採れたての能登地鶏の玉子から作った玉子豆腐と鱧の椀物
マハタとアオリイカのお造り、10年物のワサビとポン酢で
7キロの船上締めのトロサワラの藁焼き
八寸:金時草のお浸し、半生に煮た海老、アワビの肝、姫冬瓜、朝採れの銀杏、万願寺唐辛子、 渡り蟹の土佐酢ジュレ
4.7キロのメダイの直焼き
朝採れ松茸のフライと海老芋、能登島の塩
クエの揚げ出しとさわのゴボウを使った造りたてのゴボウ豆腐、
土釜で炊いた能登の契約農家からの無農薬の棚田米、
平宗田鰹の利休漬けを乗せたご飯、そしてそれに出汁をかけた物
さまつとほうき茸のご飯、
能登ミルクと蕎麦のブランマンジェ
抹茶と出来立ての団子

であった。

大将のスタンスとしてはまずは地のもので新鮮なもの、できれば朝採れたか収穫できたもの、そして必ず無農薬な物を使用することを旨としているようだ。
また水にもこだわりっており、藤瀬の霊水を使用しているとのことであった。

そして特に能登半島の素材を使うことに心掛けておられるようであった。またどの素材もすべて素性がはっきりしており、「単に市場で仕入れた」というものは皆無のようである。そのこだわりは藁焼きに使う藁でさえ、無農薬で自分のお米を作っている田んぼのものしか使わないほどの徹底ぶりであった。しかも精米は営業時間直前に行うそうである。

また松茸に関して言えば前日には松茸は山ほどあったそうだが、私が訪問した日は全くと言っていいほど市場には出ていなかった。それでも前の日のものは使わずその日の朝に採れたものだけを料理に使うようである。
またさわら等大きな魚は事前に知り合いの漁師さんに声をかけて置き、釣れるとその場で電話が入るそうだ。そして仕入れるとなると船上で血抜き、生き締めをしてもらいすぐに届けてもらうそうである。
今回頂いた魚は、クエ、トロサワラ、マハタなどなどであったが、どれも極上品ばかり、ぐうの音も出ないほどやられてしまった。

野菜に関してもすべて無農薬、玉子豆腐を作るにもその日の朝に鶏が産んだ卵を使用するというこだわりようなのである。

香りもとても大事にされておりこの時期他のお店でも無花果のゴマダレがけはよく頂くのであるが、通常の滑らかなゴマダレの上に焦げる寸前まで炒った胡麻をすりごまにしてかけ、香りも楽しませる、そんな趣向が光っていた。

出汁に使う鰹節は枕崎のもので一本釣りでのカツオのものらしい。しかも特注品で通常よりも長く燻したものをオーダーで作ってもらっているとのことであった。また同じく出汁に使う昆布は近所の昆布の専門店への3年寝かせた利尻昆布のオーダー品、徹底的にすべてに拘っている姿勢が分かるのだ。

その積み重ねによって味が何段も高みに行っているのは間違いのないところであろう。

以前片折めくみに伺ったとき両方の大将が口をそろえて言っていたことは、朝自ら車を走らせて仕入れる物は必ず自分で現物を確かめているということであった。
その時に

「毎朝氷見の方まで・・」

と両大将ともおっしゃっていた。場所的に金沢からより七尾からの方が氷見に近いし、そのほかの素材も能登の方からのものが多かったが、それも七尾でお店を開いている地の利であろう。

すべてがすべて、他のどこでも感じたことがなかった最高の料理の数々であった。

ちなみにこちらの常連さんたちはこのお店が片折のように予約の取れない店になってしまわないか心配しているそうである。それもあながち杞憂ではないだろう。

好みもあろうが私から見ると片折さんも川嶋さんも実力は拮抗していると思う。それくらいレべルが高いのである。
また椀物にしろお刺身にしろ、食べ比べてみると両大将の得意分野が分かって面白い。

まだまだ若い大将である。これからの伸びが楽しみになるのだ。もちろん次回の予約も入れさせてもらい帰途に就いた。

片折さんが鳴かず飛ばずだったころ、岸田周三さんと出会ってブレイクしたように、今後何かのきっかけがあれば超予約困難店になる予感がするお店なのである。

もうすでに予約はかなり先にはなるが、全く取れない状況ではない。興味のある方は早目に訪問した方が良さそうである。


  • その日の朝採れた能登松茸

  • お屠蘇

  • 松茸粥

  • 着せ綿菊の花

  • シマアジ ジュレ

  • 無花果のごまだれ

  • 出汁

  • おぼろ月夜に見立てた椀物

  • アオリイカとマハタ

  • 藁焼き

  • 7キロのとろサワラ

  • 八寸

  • メダイの炭火焼き

  • 朝採れ能登松茸のフライ

  • クエの揚げ出し、ゴボウ葛豆腐

  • 棚田米

2021/11/03 更新

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