築地・場内、1号館。僕の最も好きな1号館である。「豊ちゃん」「中栄」「龍寿司」「岩佐寿し」「禄明軒」「ふぢの」から、団子の「茂助」、ピザの「トミーナ」、パン・コーヒーの「木村家」まで名店ぞろいである。 「寿司大」「八千代」を擁する6号館の異常なまでの行列をよそ目に、築地場内を堪能できるスポットでもある。ホントは、移転までに、もう一度「寿司大」には行きたいのだが、どうしても1時間以上は並べない。この日は、最大4時間待ちであったそうだ。食べて出てきた外国人の感想も「あれだけ待てば、美味しいハズだ」と皮肉めいている。「anything is delicious」の後が小声で上手く聞き取れなかったが、その出だしと顔つきから想像はつく。
ココの「トロだく、つゆヌキ」以上に美味しい吉野家の牛丼を僕は知らない。
前回、「吉野家 新大久保駅前店」で「ヌキヌキ」の提案をした。ソレを聖地で言ってみようと意気揚々と向かったが、満席でなおかつ場内関係者らしき人の多さに怖気づいて、言えなかった。(泣)
僕が、どれほど吉野家を愛しているかは、ちょうど100レビュー目に「吉野家 池袋北口店」で述べた。だから、あえて書かないが、今回この店を1,000レビュー目にした。
要点だけ繰り返せば、僕は約40年近く吉野家の大ファンである。いや、吉野家の牛丼の大ファンである。牛皿、お新香、みそ汁は食すが、他のモノは滅多に食べない。牛丼オンリーと言っても過言ではない。つゆだく、つゆヌキはどちらも好む。その時の雰囲気だ。そして、CP4.5は、譲れない。自らアメリカンショートプレート肉から再現したコトがあるが、この価格は驚異的である。
築地・場内、1号館。僕の最も好きな1号館である。「豊ちゃん」「中栄」「龍寿司」「岩佐寿し」「禄明軒」「ふぢの」から、団子の「茂助」、ピザの「トミーナ」、パン・コーヒーの「木村家」まで名店ぞろいである。
「寿司大」「八千代」を擁する6号館の異常なまでの行列をよそ目に、築地場内を堪能できるスポットでもある。ホントは、移転までに、もう一度「寿司大」には行きたいのだが、どうしても1時間以上は並べない。この日は、最大4時間待ちであったそうだ。食べて出てきた外国人の感想も「あれだけ待てば、美味しいハズだ」と皮肉めいている。「anything is delicious」の後が小声で上手く聞き取れなかったが、その出だしと顔つきから想像はつく。
築地には、「ザ・ツキジタイム」が存在する。朝早いという1日サイクルの時間的なコトもあるが、もう一つ、大事なのが、「はやい・うまい・やすい」というコトバの順に集約されている。「うまい」より先に「はやい」がくるのだ。以前「中栄」のレビューで書いたが、シーフードカレーを注文した時「少々お時間いただきます」と言われた。待った時間は2分だ。それが築地時間の配慮だ。江戸っ子は元来気が短いと聞く。ましてや、市場で働く男たち。コレが、本来の築地の姿だ。1時間待ち、2時間待ちの店など存在するコトが怪しいし、そんな店は築地らしくない。
また、ターレット(ばたばた)の邪魔になる。最近、つとに思うコトは、場内は、あくまでも市場関係者がメインで、我々一般人は、申し訳なさそうにお邪魔させてもらっているという歩き方をするべきなのだが、そういう感覚を持っている人が年々少なくなった。大手を振って、何様だと云わんばかりで通路の真ん中を歩く。たむろして道をふさぐ。そういう意味では、日本人より欧米系の外国の人々のほうが、心得ているように僕の目には映る。
その築地市場も来年、豊洲の施設完成後に移転となる予定だ。「築地直送」というコトバのイメージは、そう簡単には消えないだろう。「豊洲直送」に慣れるまでは時間がかかるかも知れない。
この吉野家築地1号店。通常は1号館の並び側から入る。でも実は、もう一つ入口がある。左側の奥2,3席やテイクアウトの人は、左手にぐるっとまわり、階段下の別の扉から入る。知る人ぞ知る入口である。
それ以外にも、この1号店の店のウンチクは、床やカウンター天板や箸置きから注文方法まで様々あるが、ソレは別に譲る。
「牛丼(並)」(¥380) ―― 「トロだく、つゆヌキ」。
見た目は、「何だ、『トロだく』だと言っても大したコトないじゃないか!」と思わせぶりな感じなのだが、シッカリと「トロだく」になっている。「トロだく、つゆだく」が一番というファンも多くいるが、僕は、「トロだく」こそ「つゆヌキ」で、シッカリ味わいたいと願う。「トロだく」にするコトによって、肉の脂身からしみ出る脂の液状が白メシに出会うコトにより、白メシまでウマくなる。つゆの醤油系でなく、動物脂系でほぐれる感じになる白メシの健気な様子がよくうかがえる。
ホントは、「トロだく、つゆヌキヌキ」とコールしたかったが、冒頭の通りである。通じるかどうかも分からない。「完ヌキ」というコトバもあるようだが…。
ハフハフ、がっつく。シッカリ味わうと言っても、時間をかけて味わうのではない。ココは築地だ。次から次へと客捌きするお店の姿勢は、当然でもっともなコトだ。コチラも郷に入れば郷に従う。ササッと丼ぶりを空ける。猫舌の人は「ツメシロ」にしなくてはイケない。
僕は、ココの「トロだく、つゆヌキ」以上に美味しい吉野家の牛丼を知らない。他の店でも、偶然に「トロだく」になるコトはあるが、この店の「トロだく、つゆヌキ」の牛丼は特別だ。そして、できれば平日の朝がイイ。
大満足。ごちそうさまでした。
吉野家は、24時間営業の店舗が多く、深夜や遠方に出かけた時の国道沿いなどで、いつも優しく出迎えてくれる。あのオレンジの看板に、何度、心が、身体が、温められたことだろう。今でも、少なくとも月に2度ほどは、どこかの店舗を利用させてもらっている。吉野家の生涯利用回数もおそらく千回をとうに超えているであろう。
何も築地だからといって、いつも寿司ばかり食う必要は無い。築地で、5千円、いや1万円以上でウマい寿司を食うというのもイイし、380円で牛丼を食らうのもイイ。そんなのは、その日の気分だ。
日本橋魚河岸、築地市場、そして豊洲市場へと時代は移り変わってゆく。
僕は、別に懐古主義者でもなければ理想主義者でもない。しかし、築地の約80年の歴史を50年共に生きた者として、それなりの感慨は存在する。
今、1号館北側にあった広い駐車場が壊されている。その工事現場の音が、ドドドッ、ドドドッと規則正しく鳴り響いている。それが、カウントダウンを読み上げているような気持ちになった。
(文責:京夏終空、2015.5.22)
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<非更新再訪メモ>(2016.8.7)
・2016年今年の秋、この吉野家ともさらばである。小池知事誕生で怪しくなってきた説も一部では在るが…。
・5月、6月、7月と毎週のように時間を見つけては訪問している「ザ・ラスト築地」の場内。
・「トロだくつゆヌキ」の味わいを噛みしめる日々。
・でも一度だけ「トロだくのつゆダクダク」で食べてみた。もう丼ぶりモノというより、水っ気の多いリゾットに近い感覚。
・「ダクダク」は普通の店舗でも対応しているからか素直に言えるのに、「ヌキヌキ」というコトバがどうしても言えない。(泣)
(3.41/2018.1.21)
(※写真は、後日掲載。)