夜中、誰もが寝静まったような時間。
子どもたちは昼に食べたオムライスの夢を。
大人たちは子どもの頃の夢を。
そんなとき、静寂の中に耳を刺すような音が聞こえる。
でも、それは騒がしい音ではなくて。
でも、どちらかと言えばあまり聞きたくはない音で。
今は、ひとの時間ではない。
昼間、今の生活と引き換えに、ひとに追いやられたもの達の時間だから、ひとである私は音を聞いてはいけない。
……そう聞こえる気がする。
例えばそれは星の瞬き。
例えば微笑み。許し。平等の愛。
例えばお互いをまっすぐに見つめ合うこと。
それらが元素となって夜のしんとした空気の中に漂ってる。
一度でも目を背けてしまったもの達を聞こうとするのは、やっぱりずるい気がして、気が引ける。
夜の静寂は耳が痛くなる。