sophia703さんが投稿した徳山鮓(滋賀/余呉)の口コミ詳細

sophia703 私のグルメ日記

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sophia703 (女性・神奈川県) 認証済

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徳山鮓余呉/郷土料理、オーベルジュ

1

  • 昼の点数:5.0

    • ¥10,000~¥14,999 / 1人
      • 料理・味 5.0
      • |サービス 4.5
      • |雰囲気 4.0
      • |CP 4.0
      • |酒・ドリンク 4.2
1回目

2014/01 訪問

  • 昼の点数:5.0

    • [ 料理・味5.0
    • | サービス4.5
    • | 雰囲気4.0
    • | CP4.0
    • | 酒・ドリンク4.2
    ¥10,000~¥14,999
    / 1人

目の覚めるような‘古来日本の食文化’との出逢い。「妙味必淡」の極みなり。

湖北訪問を決めたとき、今回の一番の目的とした
こちらに、まっさきに予約の電話を入れました。
ご主人の徳山氏が、丁寧に応対下さり、
列車の時間を伝えて「余呉」の駅まで迎えに来て下さることになりました。
昨晩の雪がウソのような冬晴れの下、
ご主人は「余呉」駅の改札で私を和やかに出迎え、
羽衣伝説の残る余呉湖の案内までしていただきながら、お店へ…。

今日のお昼は私も含めて3組のようです。
大きな木のテーブルの、一番窓際の席に案内されました。
雪が積もったウッドテラスの外に、
青く鎮まる余呉湖が望めます。
「お飲物はどうされますか?」の声かけに、
オススメという地酒「七本槍 紫霞の湖(しがのうみ)」をお願いします。

お昼には8,000円のおまかせ料理もありますが、
予約時にお願いしたのは10,000円のおまかせ。
お昼でも「熊鍋」など、ご主人の一番のオススメが味わえるので
ぜひ、とのことでした。

近江の鮒鮓(ふなずし)に代表される、日本の熟れ鮓(なれずし)文化は、
文献においては奈良時代まで遡ることができる、古来の伝統食文化です。
日本及びアジア各地に残る動物性タンパク質(おもに魚)の調理・保存・熟成法であり、
現在のような酢飯が作られる以前の、日本の「すし」の最も古い原型といえます。
冷蔵庫のなかった時代に、主に魚と塩、飯を漬け込んで乳酸発酵させることで、
保存がきくだけでなく、魚のタンパク質がアミノ酸分解され、
独特の風味もうま味も栄養価も、抜群に高まる食品です。
先人たちの偉大な知恵と経験の蓄積から生み出された、美味・珍味・妙味。
この熟れ鮓や琵琶湖・余呉湖の幸、山菜と獣肉など、古来よりの日本の食文化を、
近江のこの地で独自に探究してこられた、ご主人と奥様。
一つひとつのお料理は、ご主人か奥様が手ずから配膳して下さり、
丁寧にお料理の説明をしてくださいます。

すっぽんの身に鰻の骨出汁のジュレ
実山椒、白髪葱、刻み海苔

すっぽんの身の旨みに、味わい深いジュレ。
実山椒は、春にご夫婦が山に入って採ったものだそうです。
まさにピリッと効いて、アクセントに。

飯(いい)を除いた鯖の熟れ鮓(なれずし)にトマトソースとチーズ
この一品だけ画像紛失…(^_^;)。
飯(いい)とは、熟れ鮓の製造過程で、飯に漬け込んだ
その飯が、熟れ鮓の熟成時に魚のうまみと一緒に醗酵したもの。
この鯖鮓では飯(いい)は除いてあるとのこと。
酢で〆たのではなく、乳酸菌発酵によるまろやかな酸味の、日本海産の鯖。
トマトソースとすりおろしたチーズという洋の味付けで、鯖が予想外にあっさりと食べられます。
お酒が進んじゃう~(*^^*)

鹿のたたき 辛味大根乗せ
鹿の野性を奥深くに秘めながら、実に洗練されたしなやかな身に、辛味大根が絡みます。
旨いなあ…。

琵琶湖産本モロコの一夜干しに飯(いい)のソース
芳ばしく焼けた湖魚に、熟れ鮓の飯(いい)の粒々感を僅かに残した、酸味の利いたソース。
湖の恵み、漫喫。

猪のロースト 林檎と蕪、バルサミコ酢と岩塩添え
赤身は淡い桜色をした猪の肉。柔らかい肉ですが、噛み締めるほどに、
弾力と旨みが口の中で躍ります。粒胡椒と岩塩が絶妙。

発酵からすみ 菊花蕪
からすみそのものは滋賀県内では作られませんが、
三重県産のからすみを、
こちらの培った発酵技術を駆使し、塩漬けにして発酵させたものとのこと。
ねっとりした舌ざわりに、熟成が進んだ旨味と塩気と仄かな酸味。
これは酒の肴には堪らない逸品!!

鮒鮓(ふなずし)の昆布〆
ココで登場した真打、鮒鮓。
鮒鮓のクセを、どうしたら誰もが美味しいと思うものにできるか、
苦心を重ねた末、製造過程で他の雑菌の混入を防ぐ工夫をし、
昆布〆にすることで円やかさを出したのだそうです。
芳醇と円熟の極み。部屋の額に言う「妙味必淡」とは正にこのことか…と。

子持ち鮎のあんかけ 実山椒と青葱添え
クライマックス「熊鍋」前の一品。
子持ち鮎の粒々感に、薄味のあんかけが沁みます…。

ツキノワグマと天然ナメコ、葱の鍋
さて、運ばれて来たのは、秋の間に冬に備えてたっぷりと身に脂を巻いた熊肉。
赤と白のコントラストが実に鮮やかです。
ご夫婦が山から採ってきた天然ナメコが入った醤油ベースの出汁に、
熊肉と葱を投入。
アッという間に熊の脂がチリチリに縮まるので、引き上げていただきます。
なんという深い旨み。至福…(*^。^*)。
あっさりした醤油出汁に浮かぶ脂も、コクがあるけれど澄んでまったくクセがありません。
ご主人に伺うと、
野生の獣肉は、処理の技術の良し悪しと、
それぞれの個体の環境(食べたもの、健康状態など)と肉の部位の目利きがきちんとできれば、
一番美味しいところを一番美味しい食べ方でいただけるものです、と。

熊鍋出汁の雑炊
「鍋の汁は1/3ほど取っておいてくださいね」と言われていた鍋で、
アツアツの雑炊が出来上がりました。
熊の脂が得も言われぬ旨み出汁になった雑炊。
身体が芯から温まって、汗が出てきました…(^^ゞ。

漬け物
雑炊のお供に出された、お漬物と山菜味噌と鮒ずしの一部。

飯(いい)の冷たいデザート
鮒ずしの飯(いい)を使った、まるでレアチーズケーキのようなオリジナルデザート。
シャリシャリした半凍感と、酸味と甘味。
幸せ気分で、ゆっくり味わいます。

すべてが芳醇。すべてが円熟。
そしてすべてが、お酒にピッタリ(*^^)v。

古来の食文化と調理法で生み出される、豊かな熟成感と、
天然素材そのものの旨みを最大限に引き出すために、ご主人によって計算し尽くされた
繊細で淡泊な味付けと、絶妙にお料理を引き立てる薬味、添えもの。
「妙味必淡」、まさに部屋に飾られた言葉のとおり。

そしてもうひとつ。
いのちそのものをいただく天然の味わいの奥深さと拡がり、ありがたさ。
野生の生き物の肉体は
生命をかけて走り、飛び、泳ぐための、発達してしなやかな赤い筋肉と、
それを守り、寒さを凌ぐために皮下に蓄えた白い脂肪で成り立っているのですね。
鹿、猪、熊、鴨もそうでした。
昨晩味わったA5ランクの近江牛のサシの入ったステーキは、
天然ではなく、人間が自分の嗜好で造り出したものです。
サシの入った筋肉では、野山を駆け回り、空を飛び、湖を泳ぐことはできないのでしょう。
でも日本では、一部の家畜を除き、畜産や養殖の技術が伝授され発達する明治期(ごく最近!)まで、
野山や海、湖、川で捕る天然のいのちこそが、
人が得られる最高のご馳走だったのだと、
こちらでお料理をいただいて初めて強く思い至りました。

ご主人は今から、夏に出すお料理に向けての仕込みと研究に
余念がないご様子。
夏には、ご主人自ら余呉湖で釣ってくるという天然鰻が食卓に上るとか。
四季折々、こちらでご主人と奥様の丹精込めたお料理をいただけたら、
どんなに幸せなことでしょう…。
このお店は東京でも京都でもなく、
ココ、近江・湖北の自然の中でしか絶対に存在し得ない、奇跡のようなお店であると。
そしてご主人が、どれだけ近江・余呉湖畔のこの地を愛しているか…。

どうしても、とお願いして、ご主人から鮒ずしをお土産用に分けていただきました。
今、自宅であの風景を思い出しながら鮒ずしをいただくのも、至福の時間です。
次はいつ再訪できるか…秘かな楽しみが増えました。

追記: 場所柄、車を使ってアプローチしたくなりますが、
こちらのお料理は地酒にピッタリで、ぜーーーったいにお酒と一緒にいただきたくなりますので、
お酒の飲める方は運転手付きで行くか、列車で行って送迎を頼まれることを
強く強くオススメします(^_-)-☆

ご主人がご自分のお店(旅館)の目指すところを「オーベルジュのようなもの」とおっしゃったので、
お店のジャンルに「オーベルジュ」を追加しました。

鮒鮓の製法は下記のとおり。本当に手間暇のかかる、古来の食品なのです。 ↓

現在の滋賀県で行われている一般的な製法は以下の通りである。
1.春に捕獲したフナのウロコとエラ、卵巣以外の内臓を除く。
 内臓を取るには腹開きにはせずに、先を曲げた金属の棒などをフナの口から挿入して、
 内臓を引っ掻けて取り出す。
 そして、フナの腹腔内に塩を詰め、これを塩を敷いた桶に並べて、その上に塩を敷き、
 さらに塩詰めしたフナを並べるということを繰り返す。そして、最後に塩を敷いて蓋をし、
 その蓋の上に重石を置いて冷暗所に保管する。これは「塩切り」と呼ばれる。
2.夏の土用の頃まで塩漬けにした後、フナを取り出して水で良く洗い塩抜きをする。
 塩味が少し残る程度で塩抜きを終え、次に飯をフナの身の中に詰める。
 この飯には塩を混ぜるが、「塩切り」したフナには塩味が付いていることから、
 飯には塩を混ぜない方法もある。
 また、醗酵を促進させるために酒を加える製法もある。桶の中にフナだけでなく飯も交互に敷き詰め、
 フナは身の内と外から飯に囲まれた状態で敷き詰められる。
 落とし蓋の上から重石がかけられ冷暗所に保管される。
 乳酸醗酵には、空気を遮断することが重要であり、重石をした後に桶に水を張ることが行われてきたが、
 最近では、桶にビニール袋を敷いてからフナと飯を詰めて、
 ビニール袋の口を閉じてから落とし蓋と重石をすることで、水を張らずに空気を遮断する方法も行われている。
3.夏の土用の頃に飯漬けを行うと、晩秋には食べることができる。
 また、1年から2、3年程度飯漬けを行うこともある。
 桶内のフナは乳酸発酵によって腐敗が防止され、アミノ酸などのうま味成分が増す。
4.飯漬けの後に、酒粕や味噌に漬けることも行われている。
 by ウィキペディア

  • 鮒鮓の昆布〆。蜂蜜がけ。

  • すっぽんに鰻の骨のジュレ。実山椒、白髪葱、きざみ海苔。

  • 鹿のたたき 辛味大根を添えて。

  • 琵琶湖産本モロコの一夜干し 鮒鮓の飯(いい)のソース 菊花蕪添え。

  • 発酵からすみ。

  • 猪のロースト 林檎と蕪添え。バルサミコ酢と岩塩、粒胡椒で。

  • 猪のロースト リフトアップ。

  • 鮒鮓(ふなずし)の昆布〆リフトアップ。

  • 子持ち鮎のあんかけ 蕪と青葱、実山椒をあしらって。

  • 子持ち鮎 リフトアップ。

  • ツキノワグマの肉。

  • 熊鍋 お皿に取ったところ。

  • 熊肉リフトアップ。

  • 天然なめこリフトアップ。

  • 熊鍋雑炊。

  • 雑炊取り分け後。

  • 雑炊のお供。(漬け物・木の芽味噌・鮒ずし)

  • 鮒鮓の飯(いい)の冷たいデザート。

  • 店名入りの深皿。

  • 地酒「七本槍 紫霞の湖」

  • 七本槍 紫霞の湖(しがのうみ)

  • 紫霞の湖(しがのうみ)ボトル。

  • 大きな木のテーブルに私の席。

  • 「妙味必淡」の額。

  • 窓から望む碧い余呉湖。

  • 清々しい暖簾。

  • 紙袋のロゴ。

  • お土産用鮒鮓(ふなずし)。

  • 自宅で楽しむ鮒鮓。

2016/12/15 更新

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