2回
2014/05 訪問
冬は河豚、春はおこぜ、夏は鱧!!天然物とプロの技にこだわる尼崎が誇る名店です
塚口いや、尼崎を代表する名店です。阪神大震災で前の店舗が被災したため、ここで再出発をされています。
私が人生で初めて河豚を食べたのが、昔昔、前の店舗時代のおお矢さんでした。それ以来、幸か不幸か、河豚を食べると、おお矢さんとついつい比べてしまう自分がいます。
尼崎には、直球勝負でこれでもかと、ふぐを安く食べさせてくれる稲葉荘の「童」、そしてバランスがとれたふぐのコースをリーズナブルなお値段で食べさせてくれる西難波の「ふく千」などオススメの河豚の店があります。
しかし、天然物にこだわり抜いた素材と、抜群の調理技術がコラボするこの店の河豚料理を超えるものには、まだ出会っていません。お値段は、てっちりコース13800円とそれなりにしますが、内容を考えるとむしろ安いと思います。といっても周辺の店に比べると、お値段が高いので、お高くとまっているお店かというと、全然そんなことはなく、大将も奥さんもとってもフレンドリーで初めての客にも常連さんと同じように接してくれます。とてもアットホームな雰囲気です。逆に、フレンドリーな雰囲気は苦手という人は、お高くとまってお値段もお高い大阪や神戸の高級料亭に行った方がいいですね。あ、それからドリンク類には全然力を入れてないので、お酒目当ての方も別の店に行った方がいいと思います。
てっちりコースは、八寸から始まります。漬け白子や腸詰めが美味です。そして、てっさがまた絶品です。良くある紙みたいな薄さではなく適度の厚みがあって、旨さと歯ごたえが味わえます。さらに、真上蒲鉾、皮の煮こごり、チャンジャ、てっぴ、身皮、とうとう身、身のぶつ切り、腸詰め、白子など河豚の全てがプロの技にかかって調理され、綺麗に皿の上に盛られています。女将さんが、ひとつひとつ丁寧に説明しながら、お皿に取り分けたり、美味しい食べ方を教えたりしてくれます。河豚って、こんなにいろいろなところが美味しく楽しめるとは知らなかったと、この店に来た人は皆さん驚きます。
メインのてっちりでは天然物の立派なトラフグが堪能できます。最後のお楽しみの雑炊は、かなりの量で食べきれるかと心配しましたが、缶ごと出てくる刻み海苔と大量の漬物のおかげで完食してしまいました。漬物、そして最後の果物まで手抜きなしの最上の品です。
ここの河豚の味を知ってしまうと、他の店の河豚では満足できなくなるということが、この店の唯一の欠点だと思います。
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2013.9
さて、このお店は、冬以外は、春はおこぜ、夏は鱧と旬の魚を提供してくれます。鱧は9月いっぱいまでなので、終わらないうちに鱧づくしを堪能してこようと訪れました。夏は、暖簾も看板も鱧バージョンです。蛸料理もやっているようです。どちらも河豚ほど高くありません。
鱧づくしコースを注文しました。まず八寸が出てきます。テリーヌみたいなのや、八幡巻きみたいなもの、ゼリー寄せみたいなものなど、全部鱧の肝とかなんとかからできてますが、調理技術の高さが初めからわかります。
続いて、はもの子の玉子とじ、ボタンはも(お吸い物)が出てくるのですが、お吸い物の中に松茸が入っていたので、テンションがぐっと上がりました。私達にとっては今年の初松茸です。かんぴょうみたいに結び目を作って入っているのは、浮き袋です。もっちりした独特の食感でした。
そして、お待ちかねの鱧の薄造りです。お皿には、薄造りの他に真上蒲鉾、筒ごぼう、すり身の大葉巻き、浮き袋、皮、湯引きなどが綺麗に並べられています。こんなに小骨が多い魚なのに、薄造りなんて、よくできたものだと感心します。見た目も透明感があって綺麗ですが、食べても美味しく、骨の感触なんて全く感じません。これは他所ではなかなか食べられません。鱧を獲る淡路島の漁師さんも、この店で初めて食べたそうです。よっぽど丁寧に骨切り骨抜きしないとできませんものね。湯引きももちろん美味しかったです。
その後も、肝、タタキ、南蛮漬けなど鱧尽くしが続きます。そして、真打ちはもしゃぶの登場です。しゃぶしゃぶにする鱧の身とともに、鱧の頭もお皿にのっています。この鱧の頭は出汁のためだけではなく、食べるとまた美味しいのです。鱧の頭は初めて食べました。本当に捨てるところがないぐらい、鱧1匹をしゃぶり尽くしましたね。
はもの身を出汁に落として、ぱっと開いたものをさっと拾って食べると、ふわっとした食感がまた絶品です。生まれも育ちも関西なので、鱧を食べる機会は良くあるのですが、今まで、こんな美味しい鱧料理は食べたことがありません。
また、お吸い物の松茸で余りにも喜んだせいか、雑炊の味が良くなるからと、サービスで松茸を大きく切ったものを鍋の中に投入していただき、またまた贅沢な気分になることができました。
白子を投入した雑炊も当然美味しく、漬物や薬味類もふんだんにあり、お腹いっぱいになるまで食べてしまいました。デザートの果物まで全ての品が手抜きなしの素晴らしいものが出てきます。これだけの鱧づくしのコースが8800円。値段だけ見れば高いように思いますが、内容を考えると抜群のCPです。今まで、この店では河豚しか知りませんでしたが、鱧がこんなに美味しいものとは驚きでした。これからは、毎年、夏になると、この店にハモを食べに来ることにします。
また、この5月には、まだ食べたことがない春のおこぜコースもいただきました。春~初夏の暖簾は、「魚」になります。これで、3種類の暖簾の時期を全て制覇したことになります。おこぜの薄造りは肝まで薄造りになっていて、グロテスクな外観とは全く違う上品な美味しさでした。岩みたいなおこぜの皮も初めて食べたのですが、柔らかくて美味しかったです。おこぜの唐揚げが上にのったおこぜ素麺も美味です。この河豚と鱧の狭間である短い「魚」の暖簾の時期は、おこぜ以外でもあらかじめ予約しておけば、そのときどきの旬の魚を用意してもらえるそうです。
1年中食べられるというより、旬の季節にだけ美味しく食べられるというのも待つ楽しみが加わってますます美味しく食べられそうです。これからも、季節が変わり、この店の暖簾が変わって旬の魚がいただけるのが毎年の楽しみになりそうです。
河豚コース八寸、漬け白子や腸詰めが美味
河豚のあらゆる部位がプロの技で楽しめます。
絶品!鱧の薄造り。もう芸術の域です。
春~初夏限定 おこぜの薄造り
秋から春のふぐバージョン
夏は店構えも鱧バージョンになります。
春~初夏のおこぜバージョン
美味しい漬物が一人分でこんなに沢山
2018/02/04 更新
久しぶりに、おお矢さんで河豚をいただきました。もう、冬の最高の楽しみです。貧乏舌なもんで、天然物のトラフグが養殖と比べてどこがどう旨いのかなんて、上手によう表現できません。しかし、おお矢さんでいただくふぐが、他所より旨いということだけは、確かに言えます。
大将の目利きとプロフェッショナルな技があるからでしょうね~。
一方、その芸術的な料理を説明してくれる女将さんがめちゃ気さくというかフレンドリーで、そのギャップが楽しくもあります。こういう気取ってないところがいかにも尼崎らしいです。
何回聞いても忘れるてっさの皿に並ぶオールスターメンバーは、真上蒲鉾、皮の煮こごり、チャンジャ、てっぴ、身皮、とうとう身、身のぶつ切り、腸詰め、生白子、朝月という顔ぶれです。
皮刺しだけでも、身に近い方から、身皮(三河)、とうとう身(遠江)、てっぴと3種類があるということだけは覚えました。時期によっては食べられない白子も、ちゃんとお皿にのっていてラッキーです。濃厚かつクリーミー!う~ん、最高ですわ。
八寸から始まり、てっさ、てっちり、雑炊、フルーツと続くてっちりコースは、13800円(別)と尼崎にしては、お高いです。でも、質、量ともに大満足できる内容からすると、高コスパなんです。安いふぐ料理を何回か食べるよりは、こちらのふぐコースを1回食べた方が絶対満足度は高いと思います。
各項目の評価点と総合評価点の整合性が全くとれておりませんが、個人的に思い入れが強い店であるということで、ご了承くださいませ。