3回
2018/10 訪問
仕出し弁当の最高峰の一つ
京都で御所内「仙洞御所」を参観した後は、寺町通をずっと散歩しながら南下。通りの両側にある店を冷かしたりしてゆっくり歩いていた。京都はやはり良い。途中でパンと自分の私服、家人の誕生日のプレゼントとして数か月遅れのダウンコートを求め、その後、事前に予約をしていたこの、老舗の仕出し弁当を受け取りに。ほんの少し道を間違えた。
天保年間より創業のこの老舗の弁当を食べて、顔が綻ばない人はいるまい。それ程迄に完成されたものである。これまでに2度程食べているが、こうして弁当の包みを傾けない様に、家迄の1時間程を、平日の夕刻、仕事から帰宅に向かう客で混んでいる阪急電車では相当に気を遣ったが、家に帰り、少し落ち着いてから、家人が作った澄まし汁と、愛用でもないけど備前焼きの火襷のぐい呑みに、日本酒を入れてチビリチビリとやりながら、この西陣織の様な絢爛な弁当に迷い箸を無しに、瞬時の判断に委ね、食すのは応えられない至福である。
この弁当、相当前のREVIEWでは4,500円。今は5,000円。値上がり率としては高いが、ちっとも構わぬ。中国蘇州でも弁当は当然に有り、電話一つで運んできてくれるが、こうした弁当と、この弁当はもう「種」が異なる。本当に久し振りで、家人も喜んでいた。日本に帰るとこうして細やかな贅沢が、より充足感をもたらすのだが、この弁当ならばそれは必然。
むん! 実に旨し! 冷たいご飯に冷たいおかず。でも、弁当は美味いのだな。日本の一つの食のカテゴリーの一つでもあるな弁当は。
次は、二重になったもう一つ上のものを食べてみるかな。当たり前だが、盛夏の折は除き、季節を変えてその「旬」を楽しめるも良いのだ。京都はよろしおすな~。
2018/11/02 更新
2008/04 訪問
祇園仕出し弁当の至宝
初めて購入したのだけど、聞きしに勝る弁当だった。
あの田中康夫が褒めていたのが最初に知ったきっかけだったが、その後も、色んな雑誌等でその評判を聞いていたので、いつかは食べたいと思っていたが、なかなかその機会に恵まれなかった。
今回、京都旅行の際に漸く初体験。事前に予約をしておいて取りに伺った。
(店内での飲食は不可能。あくまでも手渡し)
4,500円の弁当を頼んだのだけど、何と奥の深い弁当であることか。
凡そ御飯が冷たくて美味い料理は弁当ぐらいしか思い浮かばないけど、普通の弁当箱サイズでやや底が深いものの中に、整然と並ぶ数々の一品。
目にも楽しく、料理の玉手箱か。
名物の出汁巻き、鴨ロース、才巻海老、蛸の柔らか煮、筍、空豆、八幡巻き、豆御飯等々、う~む、余りにも種類が多くて覚えきれない。
当然に季節の旬を上手に活かしており、言うことは何も無い。
これより上の弁当で、6,300円や二段になった、さらに上の弁当もある様だ。
こういった弁当を新幹線等で長距離を移動する際に楽しむというのが真の贅沢ということになるのだろうな。
いやはや本当に旨かった。真夏は日持ちのこともあり、やっていないとのこと(9月末まで。何月からかは失念してしまった)。
創業、天保初年かあ、流石に京都だなあと、納得・得心する次第!
2008/11/16 更新
菱岩の弁当は、日本でも有数の弁当である。その包みを解いて中身を目にするだけで気持ちが高揚して晴れやかになるものだと思っている。これまでに三度しか食べたことがないが、夏場は販売していないので、今回の京都訪問では求めることが出来なかったが、次の機会があれば、久し振りに求めたいと思う。
今回、その弁当以外のものを初めて求めた。それ以外のものを提供しているとは露も思っていなかったのだが・・・・
麩嘉の麩饅頭を錦市場で求めた際に、その同じ場所に、これが置いてあった。京都の老舗同士の連携ということであろうか。ちりめん山椒は大好きで、家人に頼み、マレーシアにも偶に送ってもらっていたが、簡素な包み紙に「じゃこ山椒煮」とある。この大きさで、1,620円だから他の店の其れよりは遥かに高い。重量的に少し重い様だが・・・・
でも、信頼を寄せる菱岩のもの。迷わずに求めた。麩饅頭二つだけを求めて500円程だけを支払うと言うのも何か気が引けた部分が無いとは言えない。
家で、容器に入れて、数度に亘り楽しんだ。ふむ、ぱらぱらとしたものではなく、やや水分が多い。色が褐色なので醤油が勝っているかと思ったが、味に関してはまるでそういうことがなく、又、山椒が前面に押し出してくる様な強烈なものでもない。至極、真っ当なもの。じゃこが幾分大振りか。
既に、全部、食べ終えたが、ご飯をもう一膳軽めによそってと頼みたくなる美味さだった。日本酒もより旨くなる様である。