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この口コミは、ジュリアス・スージーさんが訪問した当時の主観的なご意見・ご感想です。
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1回
昼の点数：4.2
2017/01 訪問
昼の点数：4.2
メガ盛りビリヤニ、the rule of hospitality
2023/01/17 更新
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ま、まさか1030円のラムビリヤニ・ランチセットで、
こ、こんなにも歓待されるとは夢にもおもわなかった。
すばらしい食事でありながら同時にほとんどスポーツである。
そしてぼくは美食のアスリートになる。
ラッサムスープ（小）
トマトとニンジンとキューリと水菜とパニールと紫キャベツとレタスのサラダ（小）
チャナ・カレー（中）
メガ盛りラムビリヤニ＋ピクルとライタ
飲み物（ぼくはマンゴーラッシーを選んだ）
デザートのキール（小）
ビリヤニは山のように盛られ、香り良く、彩り美しい。
オレンジ片の黄、輪切りタマネギの白、トマトの赤、
ラム肉のブラウン、コリアンダーリーフの緑、
米粒の、白、ターメリック色、オレンジ。
さぁ、食べるぞ。
ほとんど登山家が山を前にする瞬間の決意である。
ビリヤニはそれだけで前菜・主菜・副菜を兼ねているゆえ、
大盛りで食べてこそ、の料理である。
もしもこれが白ごはんならばけっしてこんなにたくさんたいらげることはできないだろう、
しかしビリヤニならばこそ、
米粒ごとの味わいの違いの魅力によって、
魔法のように胃袋に収まってしまう、はずだ。
それにしてもすごい量だ。
食べるそばから汗がだらだら流れてくる。
汗を拭き吹き、目の前の厨房の料理人３人に、
ぼくは愛想を振りまく、
うまいよ、うまい、んまままま・・・・。
お店のスタッフたちもぼくを見てげらげら笑っている、
「な、うまいだろ」というように。
Biryani は、インドの江戸時代に生まれた。
すなわち16世紀～19世紀初頭まで、その最盛期には、
北インド全域、東はベンガル、南はハイデラバードまで、
中央アジア系ムスリムの版図となった、ムガル帝国の御代に。
こんな話がある、
いにしえのムガルの王（ムスリム）が、羊の尻尾と米を一緒に炒めるペルシア系ピラフを好み、
ヒンドゥーの料理人に作らせていた。
するとそのヒンドゥーの料理人がピラフを作るたびに、
少しづつ派手に、ちょっとづつスパイシーにしていって、
気がついたらいつのまにか、
ど派手にスパイシーな新しい料理 ビリヤニ が生まれていたそうな。
すなわち、ビリヤニはムスリムの食とヒンドゥーの食の結婚によって生まれた。
ムスリム社会には、
歓待の掟 the rule of hospitality がある。
アラーは面倒見良く教える、
遠方から来た客人は歓待することだ。
それが共同体の安全を守る秘訣であり、
ひいてはいつか自分が遠方の地で客人になる日の、
安心にもつながるのだ。
遠いむかしぼくは女とふたりでモロッコに遊びに行ったとき、
睫の長い現地のコドモたちに誘われて、
見知らぬ人の結婚式に混ぜてもらったことがあって、
ヴェイオリン演奏とおばさんの見事な歌声とともに、
手づかみでマトンを食べたり、
愉しい宴に参加させてもらったものだ。
歓待の掟はほんとうなんだな、とおもったものだ。
そしてぼくはいま、上野のハリマケバブビリヤニで、
盛大な歓待を受けている。
いやぁ、んまい、んまい、んままままーーー。
しかしなかなか減らない。いや、急いではいけない、
急いで食べて心筋梗塞になってはモトもコもない。
てきとうに休み休み、また食べる。
マトンがまた噛むとミルキーな味わいでおいしいの。
ライタをかけて食べる。チャナ・カレーをかけて食べる。
ただひたすら食べる。ライタまじりのごはん、
チャナ・カレーまじりのごはん、
マトンをまた食べる、んまい、んまい、んまままま～。
ようやく食べ終わって、ふう、
キールで幸福をじんわりと味わう。
いやぁ、すばらしいランチだった。
ほとんど山の頂上から下界を見下ろす気分である。
なお、女性のみなさんはもしも食べられなかったら、
無理して食べずに残したっていいんですよ、
だって、客人を満腹になってもらうまでもてなすことが、
歓待の掟の目的ですから。
東京のインドレストランシーンはこの３年で、
飛躍的にレヴェルを上げた。
ビリヤニにおいては、こちらのお店を含むケバブ・ビリヤニ・グループ以前／以降、
とさえ言えるのではないかしら。
いやぁ、こんなにも高い水準が
デフォルトとなってしまったのだもの、
いくらビリヤニにさまざまな作り方とおいしさがあるとは言え、
業界全体、もう大変ですよ。
こちらはラム・ビリヤニのみならず、チキンビリヤニ、
野菜ビリヤニも揃えている。
ぼくは給仕長に訊ねた、ランチタイムにどれだけ仕込むの？
かれは答えた、ランチだけで、
それぞれのビリヤニを５キロづつ。
するとキッチンの料理人は別の言い方で答えた、ランチだけで、合計10cage。
すごいなぁ。ばんばん売れているからこそ保てるクオリティと低価格です。
しかも、こちらニハリセットもあればパヤセットもあるんですよ。
いずれも1030円。いやぁ、まいりました！
ハリマ・ケバブ・ビリヤニ、サイコーです。
ぼくは3人の厨房の料理人たちとふたりの給仕、
全員と握手して、会計を済ませ、店を出た。
どんだけお調子者なの、スージー？
それにしてもハリマ・ケバブ・ビリヤニ・グループ、凄いですねぇ。
こちら上野のハリマ・ケバブ・ビリヤニの他には
六本木のサヒファ(サイーファ)・ケバブ＆ビリヤニしかぼくは食べたことがありませんが、
銀座博品館６階にカーン・ケバブ＆ビリヤニ、
品川にサルマ・ティッカ＆ビリヤニなどなど、
東京のビリヤニの水準を一気に上げちゃいました。
なお、読者には関係のないことながら、
ぼくの好きなマイレヴュアーさんおふたりがこちらにいらして、
おふたりともすこぶる高評価だったので、
ぼくも後に続きました。
ＳさんＤさん、ありがとう！
余談ながら、建築好きの人には、
お店を出て、上野駅へ向かって歩きはじめると、
道の右手に、大正ロマンな比留間歯科醫院、
左手に、ル・コルビュジエふうの下谷教会があります。
2017年１月６日 金
ぼくと女友達とインド料理、ときどきフランス料理。
http://tabelog.com/rvwr/000436613/