ジュリアス・スージーさんが投稿した銀座ろくさん亭(東京/新橋)の口コミ詳細

Eat for health,performance and esthetic

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ジュリアス・スージー (男性・東京都)

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移転銀座ろくさん亭新橋、銀座、東銀座/日本料理、ふぐ

2

  • 夜の点数:4.6

    • ¥10,000~¥14,999 / 1人
      • 料理・味 4.6
      • |サービス 5.0
      • |雰囲気 4.0
      • |CP 4.0
      • |酒・ドリンク 4.0
  • 昼の点数:4.6

    • ¥8,000~¥9,999 / 1人
      • 料理・味 4.6
      • |サービス 4.5
      • |雰囲気 4.5
      • |CP 4.5
      • |酒・ドリンク 4.0
2回目

2021/03 訪問

  • 昼の点数:4.6

    • [ 料理・味4.6
    • | サービス4.5
    • | 雰囲気4.5
    • | CP4.5
    • | 酒・ドリンク4.0
    ¥8,000~¥9,999
    / 1人

春の心づくし。和食の未来が創造的に拓かれる。

後記。ろくさん亭、お引越し。
2021年10月15日(金)からは銀座6丁目かねまつビル8階にて営業だそうな。


和食を食べたい。
もちろん刺身にはセクシーな魅力があるし、
串焼きにも、てんぷらにも、椀ものにも、釜飯にも楽しみがある。
ましてや、それらを網羅し趣味のある器に盛ったコース仕立てとなれば、
贅沢な気分にもなるでしょう。
けれども、ぼくは〈創造性ある和食〉を味わいたい。
道場六三郎の料理は伝統を継承しながらも、しかし、けっして創造の冒険を恐れない。
一品一品にひそかに構成の妙をともなったウィットがあり、
華やかで、楽しく、コースにドラマがあり、
驚きとよろこびがさざなみのように生まれる。
こういう和食は、なかなかよそでは味わえない。
道場さんの世界を胸いっぱい堪能したい。
春の予感のなか、柄にもなく(?)ぼくはそうおもった。



実は、ぼくにはこんな脈絡があった。
気がついたらここ2週間あまりで
すっかり断食マニアになっていたぼくは、
こまめに16時間、はたまた24時間、
ときには72時間断食をおこなっていて、
体は爽快、頭は冴える、
新しい自分が生まれていた。
ぼくの味覚も少し変わった。
濃い系の味をくどく感じるようになり、
淡いうまみを恋しがるようになった。
そこでぼくはキッチンの味の素を、アミノ酸配合のチキンコンソメ顆粒状を、
味覇を、マギーブイヨンを、オイスターソースを、
うまみ調味料入り韓国醤油を処分した。
「お世話になったね、これまでありがとう、さよなら」
と、心のなかで調味料たちにお別れの挨拶をして。
そこでぼくはいつもの女友達をろくさん亭に誘い、
来店可能な候補日を数日教えてもらい、お店へ予約電話を入れた。
ろくさん亭のランチは、1日3組限定。
特別昼会席6300円+税サ 一択です。


ろくさん亭は、銀座通りの新橋寄りの古く格式あるビルの8階と9階に入っています。
眼鏡屋の脇のビル内廊下を奥へ入り、エレヴェーターに乗ります。
このビルは、床は大理石、照度はひかえめで薄暗く、
エレヴェーターホールにはシャンデリアが下がっています。
この日は9階へ。
座敷の小部屋と、テーブルとソファのダイニングが併設され、
ぼくらはダイニングに案内されます。
静かで上品な空間が気持ちいい。


ショートヘアの女将は淡いベージュの着物に、黒地に椿の帯を締めてて、
にこやかに挨拶して、ぼくらをくつろがせてくれます。
和紙のお品書きには、墨文字縦書きで料理名が並び、
末尾に宮永賢一と署名があります。
道場六三郎の監督の下、
かれの遺伝子を受け継ぐ料理人が、ウデをふるっておられます。
このお品書きがすでに、会席の儀式性の一端を担っていて。
ぼくらの期待も高まります。


まず最初に現れるのは、前菜6品盛り、
なんて愛らしいことでしょう。盆の上の小宇宙です。
ざっと紹介しましょう。


冬眠から目覚めピンクに頬を染めた車海老が、
春のい柔らかい土のなかから掘り出された百合根と寄り添っています。


ついきのうまで大海を回遊してき鰯が、梅の実の塩漬けとともに煮込まれて、
滋味深い酸味を身に染み込ませています。
良い料理人は酸味の使い方が洒落ています。


威勢良く熱帯の海を泳ぐ魚の卵巣を抜き出し、太陽の光で乾燥させ、
えも言えぬ珍味を作り出し、それが小さな二枚の大根片に挟まれています。
こういものを食べていると、まるで自分が食通になったような気がします。


寒冷地の海の砂のなかで眠るように暮らしていたちいさな軟体動物が、
料理人の手で水蒸気で優しく蒸しあげられています。


牛のミルクを発酵させ、まったりしたうまみを宿した小片が、
麹の優しいうまみを宿した京の味噌に漬けこまれ、かるく焙られています。


どうです、この味の振り分け。見事ではありませんか。


次はお椀。
コンブとカツオブシのはんなりしたうまみをまとった穏やか味のスープのなかに、
春の柔らかい土を破って、垂直に現れたばかりのタケノコ片、
ウドのはんなりした茎と山椒の若芽がアクセントを添えています。
お椀のなかの春がここにある。
ぼくはおもう、日本に生まれて良かった!


続くは、刺身です。
ユーモラスにぶさいくな姿であったはずの河豚の身が薄切りに裁かれ、
その肉はその風体に似合わず清楚に白く、かすかな脂分が舌に心地よい。
まるで美女の唇のようだ。
口当たり良く手なづけられた酢と醤油がひかえめなアクセントを添えています。


ここで揚げ物が現れます。
河豚のなかに少量の豚の叩きを混ぜて練ったボールが、
上等の油でからりと上手に揚げてあって。
いわゆるツクネです。なんて贅沢なツクネでしょう。
ツクネと呼ぶのが申し訳ないほど貴族的なツクネです。
これにコチュジャンを上品に伸ばし山椒のアクセントを添えた、
道場六三郎ソースを添えてあります。
味と素材の構成の妙。そこにウィットを感じます。


続くは、ローストビーフ小片を乗せた風呂吹き大根。
昏く紅色のローストビーフ片は、しっとり上等で、
実にウィットあるソース
(ケチャップ、山椒、味噌を上品に混ぜたもの)をアクセントにしていて。
そしてそれらは、カツオブシの香りの優しいスープで、
微笑むように煮込んだ聖護大根の小片の上に佇んでいます。
ここにもまた華やかな構成の妙があります。
ポーションが小さいところが、いくらかいけずですが、
これもまた恋の駆け引きのようなもの。
女友達は微笑む、「クラシカルで新しいですね。」


さて、ここで新タケノコの炊き込みごはんがサーヴされます。
赤だし(なめこ、お麩、春菊入り)の味噌汁。
白菜の漬物。ごく少量のジャコ、カレー風味が添えてあります。
おいしいなぁ、これですよ、これこれこれ。
ごはんははんなりしたうまみを染み込ませて、
ふっくら炊きあがって風呂上りの美女のよう。
春が穏やかに口のなかに広がります。


柑橘類をくり抜いた器の底に、グリーンアップルの柔らかめのソルベを敷いて、
その上に、ミント風味の野菜のジュレが透明でぷりんぷるんの物質のなかに、
味の華やかな楽しみを閉じ込められています。
かっこいいじゃないですか、この構成。
グリーンアップルのソルベがいかにも都会的です。


ここでぼくらは、梅酒のロックを注文し、食後酒とした。


最後は、女給がたててくれたお抹茶で〆る。
緑もあざやかに泡立つお抹茶の玄妙な味わいが、禅味を感じる。


ぼくらは2時間ほどのランチを堪能した。


食後は、築地本願寺を鑑賞したり、
茶碗屋を覗いたり、
はたまたVERSACE、HERMES、DOVER STREET MARKET、
そしてGUCCIの新作服群を眺め、味わった。
なんと言っても、GUCCI がサイコーに魅力的で、
デザイナーのALESSANDRO MICHELEは、イタリアの服作りの伝統を引きながらも、
ただし、ジャケット、ワンピース、コート、
はたまたジーンズやスポーツウェア、スニーカーやバッグにいたるまで、
どんなジャンルのアイテムでも、ちょっとした要素の扱い方で、
奇妙で自由で遊びに満ちた夢のあるミケーレ世界に変えてしまう。
今季は、1960年代の、ケン・スコットの花柄テキスタイルをフィーチャーしていて。
いまねじれをともないつつ蘇るヒッピー的ラヴリー世界という感じで、めちゃめちゃ楽しい。


ぼくはおもった、とかく保守主義者は伝統、伝統と言うけれど、
しかし、その伝統をどうとらえるか、そこにクリエイターの個性があって。
しかも、伝統はしっかり継承し、かつまたときに壊しながら、
新たに創造することによって、未来は切り拓かれるもの。


いつしかぼくは、アレッサンドロ・ミケーレと、
道場六三郎を少しだけ、ほんのちょっぴり、重ね合わせていた。
ごめん、この言い方は、道場六三郎の偉大さを伝えるにあたって、
かなり誤解誘発的であることはわかってはいるけれど。

Eat for health,performance and esthetic
http://tabelog.com/rvwr/000436613/

  • 女将。撮影のため、マスクを取っていただきました。

  • お品書き。

  • 前菜6品盛り。

  • タケノコとウドと木の芽のお椀。

  • 河豚の刺身、おろしポン酢で。

  • 河豚のツクネ。

  • ダイコンのダシ煮、ローストビーフ添え、コチュジャンベースのソース。

  • タケノコの炊き込みごはん。

  • フルーツジュレ。

お店からの返信

銀座ろくさん亭

2021/03/30

ジュリアススージーさま

ご来店ありがとうございました。そして細やかな、温かいコメントをいただきまして
感謝でございます。六三郎、今年で満90歳になりましたがまだまだ新しいこころみへの意欲は衰えず、食材と向き合う日々です。季節によりましてまたさまざまにお客様にお楽しみいただきたいと一同精進いたしておりますので、どうぞ、またお出かけくださいませ。お待ち申し上げております。
銀座ろくさん亭

2021/10/10 更新

1回目

2013/01 訪問

  • 夜の点数:4.6

    • [ 料理・味4.6
    • | サービス5.0
    • | 雰囲気4.0
    • | CP4.0
    • | 酒・ドリンク4.0
    ¥10,000~¥14,999
    / 1人

銀座の夜の、赤とんぼ。

ろくさん亭は、銀座通り8丁目の、博品館のちょっと手前、
レトロモダンなビルの8階(と9階)にあります。
夜に伺って、ろくさんコース 12600円をいただきました。
コースの流れ、その料理の数々は、
目に美しく、食材良く、
料理にはひそかに構成の妙があって、
それでいて芸を見せすぎず、
たいそうおいしく、流れは起伏に富んでいて。
しかも料理長は爽やかで、仲居さんはつかず離れず気は優しい。
「え、どうして、スージーが会席なの?」
では、順を追ってお話しましょう。





カウンター席でぼくは、隣の女友達に言った、
「去年の暮れ、ぼくは、赤とんぼを聴いていたよ。
実はね、夏の、南相馬市の震災追悼花火大会の映像が、
YOUTUBE にあってね、たまたま見つけたの。
夜空に花火が打ち上げられるなか、
仮設舞台の上で、南相馬の中高生の合唱団が、
童謡の『赤とんぼ』を歌っていてね。
ピアノ伴奏は、坂本龍一さん、
坂本さんがまた水面に波紋が広がるような遅いテンポで、
ラヴェルのワルツ(=ラ・ヴァルス)のような、
憂鬱で、典雅な、和音を添えていてね。
その中高生の合唱とともに、
夜空に花火が打ち上げられるんだ。」


ぼくは続けた、「そんなこともあって、
年明け、あなたとの最初の食事は、
和食が食べたくなったんだよ、
ろくさん亭の料理をあなたと一緒に食べたら、
きっと素敵だろうな、とおもって。」


彼女は言った、「そうだったんですか、
スージーさんから和食を食べようなんて、
はじめてですものね。」


ぼくは言った、「うん。ただし、
ろくさん亭の料理は、まかえから食べてみたかったんだよ、
なぜって、un 十(あんじゅう)の
山崎シェフが絶賛してらしたからね。」


彼女は、趣味がバレエの美女である。
カウンターの向こうでは、料理人さんたちが、
それぞれの持ち場で、機敏に働いていて、
それぞれの動きの連動が、見ていて気持ちがいい。





さて、この日の、ろくさんコース 12600円を紹介しましょう。


【祝膳】


八寸です、黒塗りのお盆の上に、
色とりどりのちいさなちいさな料理たちが、
空間を活かして、かわいらしく配置されています。


*えびのサフラン寄せ。

蒸したエビを、山芋の摺りおろしと一緒に蒸して、
ゼリーで寄せてあります。宝石のような美しさです。


*諸子水晶巻き。

鰊のつくだにのようなものを薄いコンブで巻いたもの。


*春子鯛鮨。

ちいさく握った鯛鮨が、笹の葉でかわいく巻いてあります。


*菜の花の辛し和え。

これがまた上品な味つけ。


*自家製からすみと大根。

からすみには、チーズの燻製のような味わいがあって、
そこに大根の小片の、清楚な味と食感が添えてあります。


*つぶ貝重ね。

コリコリっとしたおいしさ。


*茶振り生子。

祝膳の中心に鎮座まします一品。
生子がお茶で柔らかく煮てあります。


【汁椀】


*すっぽんの白玉饅頭。

だしのうまみが上品で、
その汁の具は、
すっぽんを白玉で包んでつみれにしたもの、
そしてシイタケと金時ニンジンです。


【お造里】


*鰤のかぶら〆。

ブツ切りにした鰤とカブが和えてあります。


*鯛の薄づくり。

薄切りの鯛が白い花のように飾られています。
紅葉おろし、アサツキ、肝。


【焼物】


*お豆腐と鱈と蓮根の一品。
豆腐をだしで煮たものの上に、
だしまき卵ふうの溶き卵でマリネして蒸した(?)鱈に、
淡い味わいのれんこんが飾られています。
ガトー仕立て、と呼びたくなるような一品。


【温もの】

*おこげ。


パリパリしたおこげに、
だしのうまみをひそませた山芋のすりながしがかかり、
なかに、青菜、エビがまじっています。
食感の対比がたのしい。


【口直し】


*芹とバラ子の和え物。
小指の先ほどの小品ながら、たのしい。


【強肴(しいざかな)】


*甘鯛の頭煮。(ぼく)

だしがよく出ていて、鯛の白い身が、ほんのりおいしい。


*和牛ロースト。(彼女)

基本的には、網焼きステーキの小片なんですが、
ただし、モロッコのタジン鍋のような形の鍋で、サーヴされます。
サーヴされるときに、
仲居さんが、肉にかからないように、お湯をじゅっとかけ、
いったん蓋をして、一分ほど蒸してから、蓋を取っていただきます。
「グリエ(=グリル)」と「ヴァプール(蒸す)」を
組み合わせた調理法です


【食事】

サンラータン。(ぼく)
というか、タンタン麺ですね。
上品な辛味が、コースの流れのなかに遊びを導入してくれます。


釜飯。(彼女)
とてもおいしい。


分け合っていただきました。


【デザート】


三宝柑を器に、さまざまなフルーツのジュレ寄せ。
林檎、ブルーベリー、マンゴーの小片、
底には、洋梨のソルベが敷いてあります。
華やかで、たのしいデザートです。


そして

タピオカ饅頭。抹茶。


いやぁ、実にすばらしいフルコースだった。
目に美しく、食材良く、
料理にはひそかに構成の妙があって、
それでいて芸を見せすぎず、
たいそうおいしく、流れは起伏に富んでいて。
しかも料理長は爽やかで、
仲居さんはつかず離れず気は優しい。
そしてぼくらは、会計を済ませ、
料理長にお礼を言った。
料理長は、名刺をくだすって、ぼくは知った、
この夜のすばらしい料理をふるまってくだすったのが、
宮永賢一さんであることを。


ぼくらは夜の銀座の街へ出た。
ぼくの耳に、『赤とんぼ』のメロディーが聴こえてくる、
美女と一緒にいる、かけがえのない、人生最良の幸福のなかに、
それであってなお、誰のせいでもない悲しみが鉛のように沈んでいて。
ただし、それはそれとして、趣味がバレエの美女と一緒にいるうれしさは喩えようもなく、
ぼくは彼女の耳元に囁く、
ねぇ、夜景の綺麗な場所へ行こうよ。
そしてぼくらは歩いていった、夜のなかへ。

ぼくと女友達とインド料理、ときどきフランス料理。
http://tabelog.com/rvwr/000436613/

2018/03/17 更新

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