5回
2022/06 訪問
料理、お好み2種で昼。アスパラ豆腐を追加する
ひさしぶりに銀座の「ざくろ」。
銀座四丁目の銀行ビルの地下一階。すっかり夏の日差しがギラギラ眩しくて、ビルに入るとホッとする。
エスカレーターで地下に降りるとひんやりとしたすずしい空気。
入り口近くのこじんまりしたホールのテーブルをもらって座る。目の前に小さな壺。上の棚にはしゃぶしゃぶ用の真鍮製の鍋が置かれて、キラキラ眩しい。
同じ眩しさでもギラギラとキラキラじゃぁまるで意味が違うんだよなって思ってニッコリ。
何種類かの料理の中から好みを選んで組み合わす「お好み和定食」を選んでたのむ。
いつもは3品たのむのだけど、今のお腹には2品くらいがぴったりで真鯛のサラダと牛のバタ焼を選んでたのむ。トマトサラダに汁にご飯に漬物がつき1900円と手頃な値段。
ここのアスパラ豆腐が大好きで、それも追加でお願いしました。
しばらく待ってテーブルの上に料理が徐々にそろってく。アスパラ豆腐にトマトサラダがまず並ぶ。
並び終えたお店の人が「お好きでらっしゃるんですね」って言う。
「ええ」と答えたら「お料理をご覧になって表情が明るくなられたので、そう思いました」ってニッコリ答える。
そうか…、なるほど。
2年たってやっとおいしいものを目の前にして自然と顔がほころぶようになりました。
卵豆腐の中にホワイトアスパラガス。酸味控えめのマヨネーズと一緒に食べると口のすみずみがなめらかになる。刻んだセロリの香りがおいしいトマトサラダは、醤油風味のドレッシングと一緒にスプーンですくって食べるオキニイリ。
ひと足遅れて鯛のサラダがやってくる。
薄造りにした鯛の刺し身に23品目の野菜を使ったゴチソウサラダ。
胡麻ドレッシングをほどよくまとった葉野菜はシャキシャキ、とてもみずみずしい。
トマトや硬めに茹でたブロッコリ。
ブラックオリーブと食感、味わいにぎやかで鯛の刺し身はカルパッチョのごとふるまうステキ。
サラダを3分の1ほど食べたところでメインのバタ焼き。牛ロースを薄切りにしてバターで炒めて仕上げた料理。焼きしゃぶみたいな仕上がりで、出汁のきいたタレに浸して食べるというもの。
なめこと豆腐の赤だしにきゅうりの漬物、ざくろ名物の鯛味噌がついてお昼のひと揃え。目にもおいしいオゴチソウ。
鯛の刺身をご飯にのっけて包んで食べる。軽く熱の入った鯛の切り身はむっちりとして風味も華やか。
牛のバタ焼きには細く刻んでお酢で洗ったホースラディッシュが添えられている。ツーンっと鋭い辛みとお酢の酸味がおいしく、それそのものがご飯をおいしくするオゴチソウ。牛肉にたっぷりのせるようにしてタレにひたして食べると脂の甘みが引き立つうえに後口スッキリ。
サイドの茹でたキャベツはキュッキュと歯茎をくすぐるような食感、そして甘みがおいしく、バターで炒めたほうれん草にキャロットグラッセと洋食的なるラインナップ。どれもが丁寧に作られていて野菜でお腹が満たされていく心地よさにニッコリしました。オキニイリ。
2022/06/29 更新
2020/08 訪問
柘榴の和食
昼、銀座のざくろで昼食をとる。
背筋をのばして、上等な日本料理をちょっと気弱なボクに奢ろうと開店と同時にやってくる。
着物をキリッと着こなすサービススタッフ。笑顔とともに案内してくれたのが入り口脇のいつもは個室として使うテーブル。よくこのテーブルでしゃぶしゃぶや鉄板焼をたのしんだものです。
しゃぶしゃぶを食べるとき。磨き上げられた真鍮製の鍋の煙突に、誤って肉を貼り付けたらおごる…、なんてゲームをしたりしたもんです。
ひとりじゃそんなこともできないもんなぁ…、って思ってのんびり料理を待ってたらちょっと離れたテーブルで昼からしゃぶしゃぶを笑顔でたのしくご婦人方。相変わらず鍋はピカピカ。おいしく鍋が育つよう世話焼きをする仲居さんの背筋がしゃんと伸びてるところにニッコリします。
昼の簡単なコースをたのむ。前菜にアスパラ豆腐がついてくるのだけど、せっかくだからトマトサラダも追加する。
卵豆腐の底にホワイトアスパラガス。ぽってりたっぷりのマヨネーズ。パプリカの赤が彩りそえて豆腐、アスパラガスのなめらかを薄切りキュウリが際立てる。
刻んだトマトにポン酢風味のドレッシング。みじん切りにした玉ねぎとセロリの風味とシャキシャキ感がなんともさわやか。スプーンでドレッシングと一緒に食べるとお腹の入り口がパカンと開く。
刺身が続いてやってくる。氷の上に鮪と鯛。刺身の基本は三点盛りなんて窮屈なことにこだわらず、おいしいものをたっぷりと。どちらもネットリとした熟れた食感。わさびをたっぷりのっけて味わう。メインに向けてのお腹の準備が整った。
銀鱈の西京焼き。
そして和牛ロースのバター焼き。
好きだったなぁ…、銀鱈の西京焼き。
本来脂がのってやわらかな身質の銀鱈の水分を容赦なく味噌にうつしてカチッとさせる。
代わりに味噌の旨味、風味が魚に染み込み焼くとこんがり、表面焦げて仕上がってホロリほぐれて口の中でムッチリとろける。
ご飯の上にのっけてそこにほんのちょっとだけ「鯛味噌」のっける。ここの名物のご飯のお供。甘くて脂のコクと鯛の旨味が西京漬けを一層おいしくしてくれる。
牛肉のバター焼きはつやつや仕上がる。肉そのものの脂とバターで表面カリッと焼き上がり、断面見ると芯まで熱が入ってる。牛肉はレアって人には少々がっかりだけど、焼き上げるからこそおいしい牛肉料理もあって、特にご飯のおかずにはよい。
塩と胡椒をお好みでと供されるのだけど、肉そのものにしっかり塩とバターの風味に旨味がのってそのままたべて十分おいしい。どちらかといえば強い味付け。だから思わずご飯をねだる。こういう料理はパンじゃなくてご飯、それも白米だよなぁ…、ってしみじみ思う。
サイドの野菜は茄子にいんげん、ほうれん草。キャロットグラッセ、揚げたかぼちゃとどれもバターをまとって仕上がる。汁はなめこの赤だしで、軽い酸味が口をスッキリしてくれる。
〆のデザート、吉野紅梅。梅のゼリーの中に煮込んだ青い梅。甘くてとろとろ。梅酒が注がれほろ酔い気分。いい昼だった。おゴチソウ。
2020/08/11 更新
2020/06 訪問
野菜も魚もおいしいざくろ
ひさしぶりに銀座で贅沢な日本料理をたのしむお昼。
「ざくろ」に来ました。
ここもしばらく休業してた。銀座松屋の通りを隔てた隣のビル。地下が飲食フロアになってて同じフロアで営業している同系列のトップスも営業再開。
うれしくって開店のちょっと前に着いちゃった。
こちらでしばらくお待ち下さいと入り口前の椅子に座ってしばらく待った。黒服の男性スタッフも着物姿の中居さんもみんなマスク着用。口元が隠れている分、目の表情で笑顔いっぱいを表現してる。
もともと大きなテーブル、広い通路の店でした。
二人がけのテーブルがいくつかあったのをくっつけ、すべてのテーブルを4人がけにして今まで以上にテーブル同士の距離が生まれた。ゆったりとした空気感。優雅なふるまいのお店の人の、けれど料理を運ぶときにはきびきびとした仕事をみながらたのしむお昼。ひさしぶり。
お好み定食というのがランチのおすすめ。6種類の料理の中から2つ、あるいは3つ選んで組み合わせ、トマトサラダとご飯に汁、漬物がついてひと揃えという手軽な定食。料理を3つ、アスパラ豆腐と食後のデザートを追加して少々贅沢をたのしむお昼。
まずトマトサラダとアスパラ豆腐。
ざく切りにしたトマトにみじん切りにした玉ねぎ、ドレッシングをかけてスプーンですくって食べる。みずみずしくてトマトの酸味や甘み、青々しさを味わいお腹を潤す一品。茹でたホワイトアスパラガスを土台に玉子豆腐を流して固める。たっぷりのマヨネーズと一緒に食べると口いっぱいがなめらかになる。お腹もしっかりすいてくる。
メインの料理が続々揃う。
まず和牛ロースのバター焼き。
しゃぶしゃぶ、すき焼きが自慢の店です。
肉の仕入れ、扱いには自信があって脂ののった牛肉を薄切りにしてバターでさっと炙って仕上げる。
芥子ポン酢にひたして食べる、焼きしゃぶみたいな食べ方でさっぱりとした味わい独特。付け合せのほうれん草やキャロットグラッセ、キャベツもみんなバターをまとって濃厚味。
刻んだホースラディッシュの酢漬けでこれまたおいしくて、脂を甘くしてくれる。
もうひと品は茄子の田楽。
若い頃ならたのもうなんて思わなかったに違いない。特にざくろといえば肉料理って思い込んでいたから野菜の料理なんてメニューにあっても眼中になし。けれどこの味噌、ぽってりとした茄子の味わい、そして食感。大人になってよかったなぁ…、ってしみじみ思う。
肉のおいしいざくろにあって、ランチのたのしみのひとつになったのが鮪のの胡麻醤油和え。熟れたまぐろの赤身にたっぷり胡麻と醤油をまとわせて味わういわゆる漬けマグロ。水気をほどよくうしなってねっとりとした食感にひんやりとした舌触り。胡麻の香りとまぐろ独特の酸味に風味がキリッと後口引き立てる。
ご飯の状態も出汁のしっかりきいた赤だしもどちらも上等。
梅の風味のゼリー寄せ。上にたっぷり梅酒をたらしゼリーの中に閉じ込められた梅がとろりととろける食後の南高梅。
今日もうっとり。堪能しました…、また来ます。
2020/06/17 更新
2020/02 訪問
お手軽なのにこの上もなく優美で上等
背筋を伸ばして食事したくて銀座のざくろ。
気持ち勇んで開店のちょっと前にお店に着いた。おじさまグループ3組がもうにぎやかに待っていて、ボクの後にご婦人二人がやってきた。
開店時間になって次々案内されて、次はボクだなぁ…、と思った瞬間、おばさまたちが立ち上がりいそいそお店の中に向かった。案内係の黒服さんが戸惑いながらもおばさまたちを先に案内。
あぁ、ボクは先に案内されたおじさんたちと同じグループに思われたんだろうな…、と思って浮かした腰を落ち着かす。
おばさまたちの案内を終えた件の黒服さんが、おまたせしましたと戻って深々、頭を下げる。前屈運動クラスのお辞儀で、順番を譲っていただきありがたい…、という気持ちがひしひし伝わってくる。
お辞儀ひとつで気持ちが伝わる。そういう日本の文化ってすばらしいなぁ…。しかもその力を思う存分使い切る接客力もスゴいと思った。
お気軽定食ってここのランチで一番気軽な値段の定食。
刺身、肉料理、魚料理の3つの中から2つ選ぶ。それにご飯に汁、トマトサラダに漬物がついてひと揃えという昼限定の定食で、それに追加でアスパラ豆腐と食後の甘味をお願いした。
アスパラ豆腐がまずやってくる。茹でた白アスパラガスを土台に固めた玉子豆腐。ツルツルの豆腐とスベスベのアスパラガスの喉を滑り落ちるなめらかをたのしむ一品。たっぷりの自家製マヨネーズとアスパラガスの風味が一体となってお腹の入り口をこじあける。
スプーンですくってドレッシングと一緒に食べるトマトサラダは酸っぱいガスパッチョみたいな感じでまた旨い。
牛バラ肉のオイル焼き。
それそのものにはあまり味はついておらず肉そのものの味わいで、芥子味の醤油に浸して味を好みのととのえ食べる。
刻んでお酢で洗ったホースラディッシュをたっぷり乗せて、肉の脂を旨味に変える。
ニンジングラッセ、甘いキャベツにほうれん草と、サイドの野菜も上等味。
マグロの赤身は胡麻だれであえて山葵をたっぷりのせる。ねっちりとした噛み応え。すっきりとした酸味で幕引きする旨味。胡麻の風味にワサビの香りが彩りそえて、ご飯をおいしくしてくれる。赤出汁、漬物。ご飯のお供の鯛味噌といつも通りにホッとする。
それにしてもこのお店の男性サービススタッフの働き方がボクは好き。
あくまでサービスの主役は着物姿の女性スタッフです。その彼女たちが働きやすいように…。そしてなるべくお客様に見える場所で活躍できるようにと、厨房に入って料理をピックアップして客席の近くに設えられた配膳テーブルまで運び、そこからお客様のテーブルに運べば済むように彼らは気づかう。しかも笑顔でキビキビと。女性スタッフの優雅な振る舞いとのコントラストに惚れ惚れします。
トロトロに煮た梅を葛の中にとじこめ梅のシロップ添えた吉野紅梅でお腹に蓋する。ごちそうさまで、またよろしくネ、とお店をでます。オキニイリ。
2020/03/08 更新
そして翌日、木曜日。銀座でしゃぶしゃぶ。「ざくろ」に来ます。
関西で生まれたしゃぶしゃぶという料理を東京ではじめて紹介したと言われるお店。
真ん中に煙突が突き刺さったような形に真鍮製の深鍋をずっと昔から使ってる。
筒の中に熾した炭を詰め込んで、鍋のスープを沸騰させる。沸騰は激しく、しかも泡は細かい。スープに沈めた肉や野菜を細かな泡が包み込み熱がやさしく入っていく。
なにより火加減を気にすることなく、ずっと同じレベルの沸騰が続いてくれるところがありがたい。
まず前菜。定番のアスパラ豆腐にトマトサラダを食べながら、鍋の準備をしてくれるおねえさんとあれやこれやとおしゃべりをする。ここで勤めはじめて15年近くになるベテランさんで、客あしらいの洒脱で見事なことに感心しているうちに鍋の中は準備万端。
肉をしゃぶしゃぶ、野菜をクツクツ。
ラー油に辛みと胡麻の風味がおいしい胡麻だれ、キリッと酸っぱくその酸っぱさに負けぬ旨みのポン酢を使い分けて味わう。
〆はラーメン。鍋の中で育ったスープに塩ダレで仕立てたところにしゃぶしゃぶ用の胡麻だれと搾菜を乗せて坦々麺風にしてズルリ。
デザートのオレンジシャーベットと一緒におしぼりがやってくる。着席したとき、食事の準備ができたとき、そして食事を終えたときと3回おしぼりがやってくる。料理もうまいがなによりサービスが良いことにニッコリしました。オキニイリ。