2回
絢爛華麗
10年以上結婚記念日なんてしていなかったけど、今年は色々な節目もあり妻に対しての感謝の気持ちを込めてお店を予約しました。ワインはそれぞれの料理へのマリアージュでお願いです。アミューズブッシェは三陸牡蠣の53c°で20分処理したもので、味の濃くなった生牡蠣みたいです。カンパーニュにトリュフバターそしてペンタス(ドライフラワー)はトリュフの香りに花の香りがシャンパンにとてもよく合います。鰤は表面が炙っており添えられたタラの芽のピューレに落花生とピーナッツのパウダーがけここに国産ピノ・ノワールがすっきりです。ブリックはエビとバジル、ブッダーラはフルーツトマトのフリッターにクロワッサン生地と帆立の卵白マヨネーズ和えで、北風冷たいアルザスの甘めの白ワインが合います。ホワイトアスパラは海老のペーストそして花が飾られた可憐な味わいにナッツのような風味の白ワインが口の中の余韻を長引かせます。低温調理されたホッキ貝には薄くカールしたウドが春らしさを演出、澄ましバターが控えめに貝の旨味を引き揚げて柑橘ソースもその組み合わせは意外ながら抜群です。連続白ワインながら国産シャルドネが非常にバランスの取れた味わいで、飽きる事なく楽しませてくれます。そして九絵(クエ)のソテー、オーブンで高温の後じっくり低温で処理をする「キュイソンナクレ」このお店の名前にもなっている「真珠のような輝きを出す」調理法で実物は初めて見ました。菊芋や筍のペーストの上でスプマージュが添えられている。こちらの味の印象が強過ぎて白ワインの記憶が定かでない程でした。そして仙台牛のステーキ、レアとかそう言う概念では無く肉の旨味をじっくり時間をかけて追求した食べ方と言うべきなのだろう。「ジューシー」とか「肉汁」とか陳腐な表現で言うべき味では無いかと思う。大分お腹が膨れていたが、濃厚な赤ワインと共にスルッと喉から下に沈んでいってしまった。(と言うかお腹が苦しくなった妻の分まで頂いてしまった)デザート類もどれも美味しく、エスプレッソのジャーベットにミルクアーモンドのエスプーマが忘れられない。一年に一度くらいは来てみたいです、素晴らしい時間をありがとうございました。ご馳走様です。
2022/05/05 更新
繊細でかつ大胆な食事の提供で、感心させて頂いたナクレさんに再び訪問することができました。
各食事ごとのマリアージュは、多少飲み過ぎてしまうので今回はシャブリ プルミエ・クリュ ヴァイヨンをお勧めいただきました。甘み、辛味のバランスが良くこの後の食事に素晴らしい相性でした。
三陸産の牡蠣とミモレットチーズとトウモロコシのタルトがアミューズブッセでスタートしました。
軽く炙った勘八は春菊のペーストと落花生のパウダーを添え、マイクロ コリアンダーとオカヒジキが敷いてあります。北海道産のズワイガニの解し身に卵白のマヨネーズを和えたものに蟹味噌と胡桃&オリーブオイルのソース。エビとバジルをブリックで包んで揚げた一皿と共に運ばれました。仙台茶豆は野菜の旨味につけた物にブラータチーズ、底には帆立のクロケットが隠れています。今回驚いたシェフのスペシャリテひとつとして紹介されたのが、50分間88°加熱してシャキッとした食感を残しながらタマネギの甘味を感じるようにした物の表面をバターと砂糖でキャラメリゼして一枚一枚の間にフランス産ジロール茸をサンドしたと言う作品。僅か1/4の玉ねぎにここまで手をかけて最後に肉の旨味の効いたソースまでかけてある。飴色玉ねぎなんてモンじゃなくて、ここまで旨味の詰まった玉ねぎが主役の一皿って、引き出しの多さと言うか奥の深さにたまげた。
イサキは甘めのソースにケールのピューレ、サラダほうれん草と薄く切ったチーズをサンドされた物が乗っています。広島の梶谷農園産野菜のサラダは自家製マヨネーズにニンニクとパルミジャーノチーズを和えてあります。仙台牛ランプとイチボの中間部位のステーキは醤油ベースのソースの他に味噌とローズマリーを合わせた物も添えてあり、付け合わせにインゲンとエゴマを卵白のマヨネーズで和えた物が控えています。自分の陳腐な表現ではこの素晴らしさは表現できないことは解っているけど、生きていて良かったとしみじみ感じる食事でした。ご馳走様でした。