moiutyaさんのマイ★ベストレストラン 2013

=美味しい料理に美味しいお酒 大切な人との語らいのひと時=

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マイ★ベストレストラン

レビュアーの皆様一人ひとりが対象期間に訪れ心に残ったレストランを、
1位から10位までランキング付けした「マイ★ベストレストラン」を公開中!

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 日本料理が好きなこともあってか,ベスト10にはおおむね日本料理が並びました。
 2位の祇園なか原と3位の仲島とは,いずれも素材がうまく活かさ,味付けも基本に忠実で,本当に美味しいな,と思えるものでした。
 また,今年は,鰻や焼き鳥,鮨や天麩羅などの専門店で,おいしい料理に出会うことが出来たことを,嬉しく思っています。 
 びんびや,かむなび等,旨い料理を食いながら酒が飲める店も,訪れてよかったと思える店の一つとなりました。
 しかし,なんといっても今年の一押しは,コンヴィヴィアリテです。様々な素材を組み合わせ,香りと素材の味のハーモニーを楽しむような素晴らしい料理,洗練された心地いい応接,ゆったりと気持ちよく料理と会話を味わうことの出来る雰囲気,いずれをとっても素晴らしいものでした。
 今回,ここに挙げていない店にも,素晴らしいお店は沢山ありました。
 今後も,食べ物を粗末にせず,贅沢を言わず,食を巡る様々な方々に敬意を払い,美味しい料理に美味しいお酒,大切な人との語らいのひと時を大切にしていきたいと思います。

マイ★ベストレストラン

1位

コンヴィヴィアリテ (西大橋、四ツ橋、心斎橋 / フレンチ)

1回

  • 夜の点数: 4.6

    • [ 料理・味 4.6
    • | サービス 4.6
    • | 雰囲気 4.6
    • | CP 4.4
    • | 酒・ドリンク 4.2 ]
  • 使った金額(1人)
    ¥10,000~¥14,999 -

2013/03訪問 2016/02/27

400件目 洗練されたおいしいフレンチ

 やっと400軒目のレビューです。そこで今回は,とてもおいしかった店のレビューにしました。ミシュラン★レストランである「Convivialite」です。
 
 最近,美味しい和食を続けさまに頂き,ハイな状態になっています。和食の次はおいしいフレンチを洗練されたレストランで食べたいという思いが募り,こちらのお店に予約を入れました。西区新町にある落ち着いた雰囲気のお店です。

 店の扉を開けようとした瞬間に中から扉が開き,「○○様ですね」とサーブの方に声をかけられました。とても嬉しい心配りです。そのまま店内に案内され,4つあるテーブル席の一つに案内されました。テーブルには、私の名前と「ようこそ,このレストランへ」というフランス語で書かれたペーパーが置かれています。

 予約しておいたのは,「Le Menu Aujoud'hui」(6000円)。コースの流れを説明して頂いた後,食前酒として頼んだシャンパンで乾杯しました。

 程なくサーブされたアミューズグルは,フォアグラスクランブルエッグとクロックムッシュです。こちらのお店の定番だそうです。卵の殻にトマトピューレが仕込まれ,そこにフォアグラムースがたっぷりのスクランブルエッグが入ってます。そして細長くカットされたクロックムッシュが添えられています。スプーンですくって口に入れると,濃厚でまったりとした旨みが広がります。続いてスパイスの爽やかな風味が後を追いかけてきます。豊かな味わいです。

 二つ目のアミューズは,ワイルドライス,聖護院蕪と紅ずわい蟹のソースです。とても変わったでもおしゃれな器で出されました。ワイルドライスのしっかりとした歯ごたえ,蕪の甘み,蟹の旨みが調和した,とても印象深いものでした。

 ここで,無塩バターと有塩バターが用意され,ル・シュクレ・クールのバゲットとグリュエールチーズを練り込んで焼き上げたパンが供されました。

 前菜は,フォアグラのテリーヌです。スパイスの効いた黒いパン(名前を忘れてしまいました)が添えられ,りんごがピューレ,コンポート,そして生の3つの形で組み合わされています。まずはピューレを乗せてフォアグラを味わいます。塩味を効かした濃厚なテリーヌと甘いピューレはとてもよく合います。次にパンの上にフォアグラとコンポートを乗せて頬張ります。スパイスの効いたパンの酸味とフォアグラの旨み,りんごの甘みが3層になって攻めてきます。次は生の林檎とフォアグラを合わせます。フォアグラの風味がより引き立ちます。かつてパリで食べたフォアグラのカルパッチョ(蜂蜜とバルサミコ,岩塩で頂きました)を彷彿とさせる,でもより洗練された旨みを感じました。

 魚料理は,鱈と白子のポアレです。青森産の鱈は皮目をパリッと焼かれ,同じく軽く火を入れた白子とともに盛りつけ,泡仕立てのソースで仕上げた一品です。鱈は皮目は香ぐわしく,身の部分はしっとりとして,今まで食べた鱈とは全然食感が違います。白子はまったりして,バターの風味が効いたソースにとてもよく合いました。白子はやっぱり旨いです。

 主菜の肉料理は,蝦夷鹿のソテーです。数種類の野菜に,シュークルートが添えられています。赤ワインのソースに,根セロリのピューレで頂きます。レアに焼き上げられた肉は宝石のように美しいものです。ソースを絡めて口に入れると,品のいい、それでいて野趣あふれる赤身の旨みがいっぱいに広がります。続いてソースとスパイスの香り高さが鼻腔にまで広がってきます。本当に美味しいものでした。

 主菜が終わると,ワゴンでチーズが運ばれてきます。ホワイトチーズ,ハードチーズ,山羊のチーズ,ブルーチーズ2種,ウォッシュチーズ2種だったと思います。チーズ好きな私は,全種類を頂きました。それぞれに個性があり,美味しかったです。特にロックフォールの鮮烈さは印象に残りました。

 口直しに蜜柑のソルベが小さなグラスで供されます。さっぱりとしたソルベは,チーズの後味をスッと断ち切りデザールへと誘なう役割を持っているのでしょうか。

 デザールは,相方がショコラムース,私はババを頂きました。通常ババはラムをかけることが多いのですが,こちらのお店では,ラムの他,コニャックやカルバドスを選ぶことが出来ます。私はカルバドスを選びました。たっぷりとババにかけると,たちまちいい香りが立ち上がってきます。ババはしっかり甘くて満足度の高いものでした。

 最後にエスプレッソコーヒーと,ワゴンでサービスされるプティフール(10数種類ありました)から4,5種類頂きました。ミニサイズのマカロンやチョコケーキ,シュークリーム等々,どれも可愛いものです。

 お料理は,様々な素材を組み合わせ,そこにスパイスをうまく用いることで,香りと素材の味のハーモニーを楽しむような素晴らしいものばかりでした。ポーションは小さめで,とても美しく品よく盛りつけられています。食器自体も素敵なものばかりでした。

 また,お料理のみならず,サーブも素晴らしかったです。ソムリエの方を含めサーブの方は三人でしたが,どの方も心のこもった気持ちのいい応接でした。来店の時はもちろん,食事中のサーブも洗練されたものでしたし,店を出るときには全員でとても丁寧なご挨拶とお見送りを頂きました。美味しい料理と洗練された応接で,とても楽しいひとときを過ごすことが出来ました。また,定期的に訪れたいと思います。

 病気のため投稿を中断していたこともあって,また美味しいものが食べ歩けるようになったこと,感無量です。これからも感謝の気持ちを忘れないよう,精進していきたいと思います。ありがとうございます。

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2位

祇園なか原 (祇園四条、三条京阪、東山 / 日本料理)

1回

  • 夜の点数: 4.3

    • [ 料理・味 4.2
    • | サービス 4.2
    • | 雰囲気 4.2
    • | CP 4.4
    • | 酒・ドリンク 3.8 ]
  • 使った金額(1人)
    ¥8,000~¥9,999 -

2013/07訪問 2014/04/13

路地の奥の割烹でゆらゆら揺れる

 来訪したのは少し前になるが,是非書いておきたい。

 懐かしい人に逢いたくて京都へ。盆地の夏の夕暮れ。日は傾いたのにそれでも暑い。でも白い服を着た懐かしい人,爽やかな風がその人から吹いてくる。日が沈んだ頃を見計らって,祇園の細い路地へ。路地の奥にあるゆかしい雰囲気が漂うお店。ゆっくりとした時間を過ごしたくて,こちらのお店に伺った。

 カウンター7,8席と小上がりだけの小さな割烹。小さな空間だけど,凛とした空気が涼やかに漂う。5250円のコースをお願いしておいた。カウンターに案内された。

 まずはビールで乾杯。夏の暑さにほてった体に心地よい冷たさが染み渡る。楽しいひとときを過ごせる予感。

 先付けは魚素麺のとろろ芋掛け。冷たくて,でも出汁の香りがそっと鼻腔をくすぐり,喉の奥から旨みが戻ってくる。真夏日に頂く最初の料理にぴったり。

 日本酒に切り替えると,煮物椀が供される。鱧。旨みが逃げないように丁寧に葛をうっている。まずは一口。正に伝統に裏打ちされた味付け。香りが品よく広がる。でも一口では物足りない淡い御出汁。けれども鱧の淡い脂がとても美味しく,食べ進むうちに満ちてくる。最後の御出汁を頂いたとき、鰹と昆布、そして鱧の旨味が一体となって口の中に広がる。旨い。思わず懐かしい人と顔を見合わせる。

 向付けは,鮪,蛸,そして鱧の焼き霜。鱧の焼き霜は,香ばしく品のいい旨味。蛸は噛む程に立ち昇る澄んだ美味しさ。鮪は赤身の部分で潔い爽やかさ。いずれも酒に良く合う。旨いものを食べながら,酒を酌み交わす楽しさ。

 焼き物は,今が旬の鱸。白身の魚の奥深い旨さがほどよい塩加減で引き出されている。香りもよい。日本酒によく合う。しばらく逢ってないのに,かの人と話が弾む。ゆらゆらと心が揺れる。

 炊き合わせは、車海老、南京、冬瓜、小芋。お野菜には出汁がほどよく染み,でも素材の持ち味が活かされている。京都の野菜は本当に旨い。海老も甘味と旨味が素晴しい。

 焼きおにぎりの出汁漬けと赤出汁,香の物。香ばしさと出汁の旨みに最後まで満足する。香の物も美味しくて,反則だとわかりながら日本酒を追加してしまう。日本酒によく合う。

 最後は,黒豆のソルベ。軽やかな甘さに最後まで驚かされる。

 お料理はどれも旨い。季節にあった素材が使われている。何より出汁の旨さが秀逸である。しっかりと仕事がされている,という印象を持った。加えて,素材の香りも大切にされている。野菜の甘い香り,焼き霜にした鱧の香ばしさ等がとても印象深く思い出される。

 白木のカウンターも清々しく,物静かな大将の応対もとても心地よい。素敵な人と静かなひとときを過ごすにはうってつけの場所だと思う。加えてお値段も手頃である。懐かしい人とまたこの店で逢いたい。また訪問して季節を感じるお料理を食べたい。とてもいいお店であった。

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3位

料理屋 仲島 (北新地、西梅田、大江橋 / 日本料理、居酒屋、海鮮)

1回

  • 夜の点数: 4.4

    • [ 料理・味 4.4
    • | サービス 4.6
    • | 雰囲気 4.2
    • | CP 4.2
    • | 酒・ドリンク 3.8 ]
  • 使った金額(1人)
    ¥8,000~¥9,999 -

2013/02訪問 2013/02/26

確かに旨い。

 寒い日が続く。旨いものを食べて旨い酒が飲みたい。懐かしい人とその友人を誘って北新地に足を踏み入れる。つい最近ANAクラウンホテルの側から、堂島アバンザの近くに移転したばかりのこちらのお店を訪れる。白木のカウンターが清々しい。カウンターに陣取り6000円のコースを頂いた。

 まずは、新潟は吉乃川の酒粕を使った粕汁。よもぎ麩が入った暖かな一品。寒い冬に来店した客に対する心遣いが嬉しい。こっくりと深い味わい。体の芯から温まる。食欲がわいてくる。

 次が山葵菜のお浸し。しゃっきりとして爽やかな辛み。背筋が伸びるような一品。

 続いて八寸が供される。丹波黒豆、鰆、水菜と蟹の和え物,八幡巻き 牛蒡の炊き合わせ、アオサ入り卵焼き、コゴミの7品。黒豆はあっさりと塩味で煮たもので、風味よく酒によく合う。鰆も旨い。水菜と蟹の和え物は蟹の旨みがたっぷり。八幡巻きは香ばしく力強い味。卵焼きはアオサの香りと出しの旨みが口の中にフワッと広がる。どれも手の込んだ美味しいものばかり。

 向付は、桜鱒、真魚鰹、鰈の昆布〆の3種。桜鱒は程よく脂の乗って熟成した味わい。真魚鰹は鮮度が落ちやすいため造りで食べることが少ない魚であるが、ここの非常に鮮度がよく、コリっとした食感と淡泊な旨みを堪能できた。鰈は昆布の風味をしっかりとまとい、ねっとりした食感に上品だが旨みが凝縮されていた。

 煮物椀は、蟹真丈と菜花。真丈にはアオサが入り、蟹の風味とアオサの香りが上手く調和している。菜花はほんのり苦く少し早めの春の訪れを感じさせてくれる。出汁もふんわり柔らかで真丈や菜花の香りを引き立てる。秀逸であった。

 続く油物は芹と島らっきょうの天麩羅。揚げたてを口に入れると、春の香りがいっぱいに広がる。

 ここで雲丹ご飯が供される。北海道の雲丹をご飯に乗せたもの。ご飯は温かいのかと思いきや、冷たいご飯。雲丹が溶け出さないようにあえて冷たいご飯にしてる。雲丹はミョウバン臭さの全くない上質のもの。本当に旨い。 

 箸休みとして、鱈子を唐墨のように仕立てたものが出される。酒によく合う。酒とこれを交互に飲み進める。力強い酒肴である。 

 ひとしきり飲んだ時に、苺のスパークリングジュースが細長い器で供される。甘酸っぱく爽やかなジュース。このようなものは初めてである。

 焼物は、向付に続いて桜鱒塩焼,桃の花が添えられており、春を先取りしている。造りと同じく熟成した味わい。

 止めが,小芋,小松菜と揚げの炊き合わせ。少し甘めで優美な味付け。小芋の煮含め方が素晴らしい。

 最後に、土鍋で炊いたご飯と味噌、昆布、香の物。そこに桜鱒のハラスがサービスで添えられている。土鍋ご飯はちょうどいい塩梅でしみじみ旨い。味噌や昆布などによく合う。お代わりして二杯目はお茶漬けにした。

 水菓子は、金柑の寒天,豆漉し餡,苺。寒天は過ぎゆく冬を感じさせる金柑の香りのかぐわしさがいい。餡も優しい甘み。

 お料理は総じて旨い。どれも素材を活かした調理がなされており、季節感を感じさせるものであった。これが6000円で味わえるというのは驚くばかりである。また、日本酒は吉乃川を中心に厳選したもの揃えられている。この日も吉乃川、和歌山の「南方」など4種類の旨い酒を3人で合計7合頂いた。

 大将の手際もよく、美人女将との息もぴったり。二人で心地よい接客をして頂いた。本当に心地よいひとときを過ごすことができた。お勘定も3人で2万7180円。重ねて言うが驚きである。また、季節毎に訪れて旨いものを食べて心地よいひとときを過ごしたいと強く思う。

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4位

はし本 (江戸川橋、神楽坂、茗荷谷 / うなぎ、どじょう)

1回

  • 夜の点数: 4.5

    • [ 料理・味 4.5
    • | サービス 4.3
    • | 雰囲気 4.4
    • | CP 4.0
    • | 酒・ドリンク 3.7 ]
  • 使った金額(1人)
    ¥4,000~¥4,999 -

2015/09訪問 2016/02/27

変わらずにいて欲しい老舗の鰻屋

(平成27年2月)

 今回も東京での滞在最終日にお邪魔する。いつものメニューを注文して,旨い鰻と至福のひとときを堪能する。東京へ行くたびに訪問する,東京でのマストアイテムの店である。

(平成26年12月)

 この日も東京で3日に亘る仕事を終えた後,寛ぎたくて旨いものが食べたくて,こちらの店に来訪。昨年度来,何度か目の訪問である。やはり,この日もいつものように,鰻重上(3200円)を注文した。併せて,日本酒は吉乃川をお願いし,ひれ,向こう骨,骨,肝吸いも注文する。女将さんも覚えてくれたようで,「いつもありがとうございます。」とおっしゃってくれる。これはうれしい。
 
 酒とアテをゆるゆるやりながら待つこと35分,鰻重が運ばれる。今回は肉厚のウナギ,脂も乗っている。こちらのたれ,繊細な鰻
だけでなく,脂の乗った鰻の身にもよく合う。そして,たれと鰻の脂の浸みたご飯が旨い。私にとって,静かにこちらの鰻を頂くときが,正に至福のひとときである。

 今後も東京に行った際には,是非毎回訪れたい,そんな素敵な店である。

(平成25年11月)

 東京出張で1日半みっちりと仕事をした後,旨いものが食いたくなる。鰻高騰の折り,今回は鰻を喰うことにして,こちらの店に予約の電話を入れる。空いているとのこと。メトロ有楽町線で,江戸川橋駅へ。午後4時30分の開店時間にきっちり入店した。
 
 二人掛けのテーブルに案内される。上には「予約席」の札が置いてある。見回すと,4人掛けのテーブルが3つと2人掛けのテーブルが二つ。奥にもテーブルか小上がりがあり,2階にもお部屋があるよう。1階はたいていのテーブルが予約で埋まっているうようである。

 お品書きを見ながら,あれこれ食べたいものを考える。鰻重は並と上の2種類。堪能したいと思い,鰻重上(3200円)を注文した。併せて,日本酒は吉乃川をお願いし,ひれ,向こう骨,骨,肝吸いも注文する。

 吉乃川を小さな杯でゆるゆるやり始める。そのうちひれが,続いて向こう骨が運ばれてくる。ひれは正にひれを串に刺したもので香ばしく,向こう骨はひれ周りの身を串に巻くようにして焼いたもの。甘さを抑えたたれの風味豊かで,身の旨さも味わえ,酒の肴にぴったり。酒が進む。続いて骨が運ばれてくる。これは背骨を油で揚げたものである。味は悪くないが,少し生臭い油の臭いが気になった。ゆっくりと杯を進めて鰻の焼き上がりを待つ。贅沢で愉快なひととき。

 注文して35,6分程待ったであろうか。いよいよ鰻重が供される。重を明けると湯気とともに甘辛い鰻のの香りがふぁっと広がる。思っていたより鰻の量も多い。

 まずは,山椒をかけずにたれがまぶされたご飯と鰻を一口。蒸して脂が抜いて焼かれた鰻は,あまり肉厚のものではなく,脂の乗りも品がよく柔らかでとても繊細な旨さ。このような繊細な鰻には,この位甘くないたれの方が、鰻の旨さが十全に引き出され,堪能出来ると感じた。関西の鰻のように甘くはないが,ふくよかで豊かな味わい。本当に旨い。山椒をかけて食すと,きりりとした風味が加わり,味に奥行きが増す。

 肝吸いは,出汁の香りと出汁の旨味に肝の旨味が三味一体となった素晴らしいもの。肝吸いを飲むのは野暮だなんて話も聞いたことはあるが,やはり鰻重にはよく合う。

 残りの日本酒を飲みながら,一気に食べ進む。かなりの量ではあるが,あっという間に食べ終わってしまった。食べ終わった後の後口は,鰻の旨みが口に残っている一方,とても清々しい。誠に実利ある旨さの料理をいただいた,という満足感が味わえた。

 レトロで落ち着いた内装は,これからもずっと変わらないような雰囲気を醸し出している。そして,これからも変わらずに居て欲しい,と願わずにはいられない。また仕事で東京に来るときには立ち寄りたい,そして疲れを癒やして旨い鰻を頬張りたい。 そうそう訪れることも叶わないが,贔屓にしたい店である。
 

  • (説明なし)
  • (説明なし)
  • (説明なし)

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5位

あやむ屋 (新福島、福島、中之島 / 焼き鳥、鳥料理)

1回

  • 夜の点数: 4.2

    • [ 料理・味 4.2
    • | サービス 3.8
    • | 雰囲気 3.4
    • | CP 4.2
    • | 酒・ドリンク 3.0 ]
  • 使った金額(1人)
    ¥6,000~¥7,999 -

2013/11訪問 2013/11/24

寄り添って焼き鳥(★450軒)

 急に深まる秋,冷えてくる体を素敵な人と寄り合うようにして訪れたのがこちらのお店。東西線新福島駅から一番出口で地上に上がり,そこから歩いて二,三分の所にある,大阪でも一,二を争う有名な焼き鳥屋。旨い,と言われる焼き鳥をほっこりと頂きたいと考え,こちらのお店を予約しておいた。店内は,カウンターだけで席数はおそらく14,5席。落ち着いた雰囲気。かの人と体を寄せ合わせて席に座る。
 
 メニューを見ると,コースもあるし勿論単品でも注文することが出来る。今回は,おまかせAコース(4300円)を注文した。飲み物は,ヒューガルデンビールとプレミアムモルツを注文する。

 まずは,ビールで乾杯。付き出しの千切りキャベツと,ざるどうふ供される。ざるどうふは粗塩で頂く。甘い大豆の風味が塩により引き立てられている。きゃべつとともに口の中をさっぱりさせて,鳥をを食べる準備が整う。

 次に,造り盛り合わせ。キモ,ハツ,ささみの三種類。白醤油,醤油,胡麻油が用意される。キモは胡麻油で,その他は好みで醤油か白醤油に
山葵か生姜を薬味にして食べるよう勧められる。

 まずはキモを胡麻油で頂く。キモってこんなに甘いのか,旨い物か,と驚く。早速日本酒を頼むことにする。私は八兵屋を,かの人は遊穂を注文した。
 ハツは,生姜を薬味に醤油で頂く。こりっとした食感で,噛んでいる内に少しねっとりとした旨みが広がってくる。生姜の風味ともよく合う。

 ささみは,山葵を薬味に白醤油で頂く。柔らかな食感とねっとりとした甘さがやさびの軽やかな爽やかさに活かされている感じ。刺身はどれも新鮮で旨かった。日本酒によく合う。

 ここから,焼き鳥がスタート。最初はむねわさび。胸肉を軽く焼き,おろしたての山葵をのせた物。串を手に持ちかぶりつくと,中は生のむね肉がとてもジューシーで,山葵の香りと渾然一体になって旨汁が口の中に広がる。塩加減も絶妙。最初は少しきつめの塩加減で,串の下の部分に進むにつれて塩加減が淡くされており,肉の旨みがわかるように仕上げてある。見事な仕事だと感じた。

 続いて2つめが,せせり。こちらも塩味。今まで食べたせせりは一体何だったのか,と思う程,太くて旨みも濃い。熱々をほおばると幸せいっぱい。むろんこれも日本酒に合う。

 次に,ねぎま。これも塩味。肉と葱を一緒にかぶりつく。もも肉の濃厚で力強い旨みと葱の甘みの調和が素晴らしい。これぞ王道かつ定番の一品である。
 
 ここで,一品料理。鳥の白子の塩焼き。楕円形の白子が5個。青ネギとレモンが添えられている。かの人は,なぜかとても喜んで,箸でつついたりしている。粗末に扱うな,と笑いながら注意してしまう。レモンを搾って葱とともに口に入れる。河豚や鱈の白子とは違い,どちらかというと羊の脳みそのような食感。ぎりぎりまで塩分を抑えてある。勿論生臭いわけではない。少し岩塩を付けると旨い。かの人も嬉しそうに食べている。

 続いて,焼き鳥に戻る。つくねが出される。こちらは,塩味ベースだが,山椒に加え何種類かのスパイスで仕上げられている。日本的でもあり東南アジアをも感じる不思議な仕上がり。でも,ふっくらとした食感に肉の旨み,スパイスの香り高さが素晴らしい。文句なく旨い。

 次がずり。これも塩味ベースだが,山椒に加え何種類かのスパイスで仕上げられている。しゃきしゃきした歯触り,スパイスの香り,噛むとほとばしる汁がたまらない。

 ここで口直しにずりポン酢がだされる。湯がかれたズリに大根おろしを乗せ,ポン酢と葱がかかったもの。スパイスになれた口をさっぱりとしてくれる。

 続いて6本目は軟骨。こちらは,たれ焼き。甘みを抑えたたれで焼かれたそれは,食感も楽しい。甘みを抑えてあり,日本酒にとても合う。 

 最後の焼き鳥は,せぎも。これもタレ焼き。青ネギがかかっている。腎臓のことのようだが,臭みは全くなく,柔らかで優しい味わい。

 〆に,スープ茶漬け。鳥のスープの茶漬け。山葵が添えられ,とてもいい香り。鳥と酒に堪能した胃の腑に優しく浸みる。最後まで鳥の旨みを楽しめたし,満腹になった。

 刺身,焼き鳥とも,適度に歯応えがあり,旨みの確かな素材が使われている。味付けはどれも秀逸だと感じた。そして,今回頂いたAコースは,前菜,刺身に,一品料理を旨くはさんで,塩,スパイス味,タレ味と味付けの違うものを旨く組み合わせ,飽きずに最後まで美味しく頂けるような演出がなされていた。満足度の高いものであった。また,ワインや焼酎はかなり品揃えもよく,日本酒も焼き鳥に合うものが厳選されて用意されている。大将は仕事中は寡黙だが,最後に店の外まで丁寧かつにこやかにご挨拶頂き,気持ちのよい応対をして頂いた。焼き鳥にしては高い,というレビューもあるが,これだけの素材と味付け,料理を出すときの心配りなどを考えると,決して高くはない,と思う。また,度々再訪して,旨い鳥を食べたい,と思う。
 

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6位

びんびや (大江橋、北新地、東梅田 / 居酒屋、日本料理、海鮮)

1回

  • 夜の点数: 4.0

    • [ 料理・味 4.1
    • | サービス 4.0
    • | 雰囲気 3.5
    • | CP 3.4
    • | 酒・ドリンク 3.7 ]
  • 使った金額(1人)
    ¥8,000~¥9,999 -

2013/03訪問 2013/04/06

魚も野菜も旨い~星が輝く居酒屋☆

尊敬している先輩が異動することになり、送別会を催すことに。旨いものと旨い酒に目がない先輩に喜んでもらうため,こちらのお店を予約した。北新地は永楽通りにあるミシュラン一つ星の居酒屋。居酒屋だけど外観,内装ともに割烹の佇まい。いつか訪れたいと思ってた店の一つである。

 コースも頼めるということだが,好きなものを食べたいと思い,アラカルトでお願いした。座敷に通される。掘りごたつ形式で、床暖房が入っており,暖かくて気持ちいい。

 まずはビールで乾杯する。付出しが出される。蛍烏賊,湯葉,山葵菜のお浸しの3種類。春の訪れを感じる蛍烏賊はムチムチして旨みの塊。山葵菜のお浸しは,きりっとした気高い味わい。こちらの名物であろう湯葉は,濃いめの出汁に柚子を少し利かせ餡掛けにしたもので,香り,味ともに申し分ない。レベルの高い付出しであった。

 最初に注文したのは,造り盛り合わせ,筍とたらの芽の天麩羅,あおり烏賊げそ塩焼き,鰯梅煮の4品。造り盛り合わせは,鯛,鮃,鮃の縁側,鰹,あおり烏賊,縞鰺,タイラギ,蛸の8品。醤油と塩が用意される。ビールを飲み干して,日本酒を注文し,造りを味わう。鯛,タイラギ,あおり烏賊,蛸は,さっと酢橘を搾って塩で頂いた。いずれも上品な旨みに溢れており,日本酒が進む。鮃,縁側,鰹,縞鰺は醤油で頂いた。これまた旨い。

 筍とたらの芽の天麩羅は,天つゆと塩が用意される。塩で頂いたが,筍もたらの芽も香り高く,素材の味を強く感じる。先輩も絶賛した。

 あおり烏賊げそ焼きは,レモンを絞ってかぶりつく。コリコリした食感で,噛んでいるうちにねっとりした旨みが広がっていく。これまた酒が進む。

 鰯梅煮は,丸々太った鰯を,梅干しを入れ,骨までたべられる位柔らかく煮たもの。派手さはないけれど,実利ある一品で,文句なく旨い。
  
 酒が進む。話が弾む。楽しい時間が過ぎてゆく。追加で料理を頼む。野菜が食べたい,ということで頼んだのは,青菜と薄揚げ煮,小芋煮付け,葱ぬた和えの3品。

 青菜と薄揚げ煮は,青菜と薄揚げをあっさりした出汁でさっと炊いたもの。素材の持ち味を活かした仕上がりで,素朴で優しい味わい。

 小芋煮付けは,なぜこんなに上手く味を含ませることが出来るのか,と感心させられた。非常にレベルの高い一品であった。

 葱ぬた和えは,しゃきしゃきした歯応えが楽しい。葱の風味が力強く,滋味溢れる料理。酒にものすごくよく合う。

 日本酒は,花垣,ばくれん,開運等,純米酒を中心に,1人あたり4,5杯は頂いた。どれも鮮度よく,香り味ともに申し分のない酒であった。

 料理は,総じて旨い。魚は勿論旨いが,特に,小芋の煮付けや青菜と薄揚げ煮等,素朴な料理が素晴らしい。こういう基本的な料理が旨い店は,どの料理も間違いなく旨いと思う。

 座敷だったが,気にならないようにしつつも,こまめに目を向けて,酒がなくなりそうになると注文をさっと取りに来てくれたり,料理や酒についてもきちんと説明してくれたり,また,店を出るときには,店外まで見送りをして下さるなど,心細かな気配りを頂いた。

 入店したときには,ほとんどお客さんがなかったのに,30分もしない内に満員になり,その後,何組もお客さんが来ていたが,満員で入店出来なかった。かなりの人気店である。やはり,新地価格ではなく,そこそこ手頃な値段で旨い料理と旨い酒が頂けるからであろう。小生らも3人でしこたま飲んで2万6800円だった。

 今度は,カウンターに陣取って飲んでみたいと思う。

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7位

味酒 かむなび (谷町六丁目、谷町四丁目、松屋町 / 居酒屋)

1回

  • 夜の点数: 4.0

    • [ 料理・味 4.0
    • | サービス 4.0
    • | 雰囲気 3.8
    • | CP 3.8
    • | 酒・ドリンク 4.4 ]
  • 使った金額(1人)
    ¥6,000~¥7,999 -

2013/06訪問 2013/11/07

日本酒の旨さを静かに楽しむ

 昔,上司だった方が退職された後,第2の職場で働いてらしたが,この度はそこも退職されることとなった。そこで,その当時の同僚を誘って慰労会を開催することとした。酒と旨いものに目がない上司の好みを思い出して,こちらのお店を予約することとした。
地下鉄谷町線の谷町四丁目駅からゆっくり歩いて10分ほどの所にある小さなお店。引き締まってはいるが消して堅苦しくない清潔な内装。

 予め4000円のコースを頼んでおいた。カウンターに3人,元の上司を挟むようにして腰掛ける。カウンターの向こうには,たくさんの種類の日本酒が入ったガラスのケースがよく見える。楽しみである。日本酒好きの我々3人,勿論,最初から冷たい日本酒で乾杯する。

 まず付出しは,からし菜の荏胡麻和えと牛蒡と独活のキンピラ。いずれも香りが素晴らしく,酒のあてにぴったりのもの。

 続いて、塩豆。これは8,9種類の豆に塩をして蒸し上げたもの。色とりどりの豆が美しく,口に入れて噛むとほくほくした食感にほどよい塩加減が,これまた酒によく合う。

 お造りは、鱸、鰆昆布〆、鱧焼き霜、鮪づけ。鱸は活けを捌き,五日程寝かせて熟成させたもの。白身の旨みが強い。鰆昆布〆も、鰆の旨味と昆布の旨味が一体となり、程よい塩分が身に移り、ねっとりとした食感で山葵だけでも充分旨い。鱧も品のいい油の旨さと焼けた皮の香ばしさがたまらない。鮪もづけにすることにより旨みが凝縮されつつもまだ赤身の軽い酸味が残っている。酒が進む。

 焼き物は,淡路島からその日到着したサゴシ。身割れしておらず,しっとりしなやかで思いの外こくのある旨み。

 これから後はあまりよく覚えてないのですが,蓮根等の根菜の焼き浸し,酢の物,炊き合わせなどが次々と供されます。どれも旨かったのですが,お酒と徐々に熱くなっていく昔話に酔ってしまい,個々の料理の感想は控えさせて頂く。

 最後に稲庭うどん。酔いと話に熱くなった体にはとてもありがたい一品であった。

 この日飲んだ日本酒は,3人で10種類以上。遊穂,東洋美人,王録等の定番から,女将さんに勧められた初めて名前を聞いたものまで,料理に合わせて幅広く頂いた。それぞれに個性も風味も違い,でも料理によく合い旨いものばかりであった。久々に日本酒の旨さを堪能した。

 お酒と料理を静かに楽しんで欲しい,というお店側の思い等もあって,大人数での予約は出来ない上, ミシュランに掲載されていることなどもあって予約なしで入店するのは難しいが,日本酒の種類も多く料理も旨いので,これからも少人数での少しグレードの高い飲み会,食事会などに度々利用していきたいと思う。

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8位

寿司処 鶴と亀 (大江橋、東梅田、なにわ橋 / 寿司)

1回

  • 夜の点数: 4.0

    • [ 料理・味 4.0
    • | サービス 3.8
    • | 雰囲気 3.8
    • | CP 4.4
    • | 酒・ドリンク 3.4 ]
  • 使った金額(1人)
    ¥5,000~¥5,999 -

2013/06訪問 2013/11/07

爽やかな旨みの鮨屋

 来訪したいと何度も予約を試みたが,なかなか予約がとれず,予約可能な非はこちらの予定と合わず,この6月にやっと来訪できた。新御堂筋から老松通りに入ってすぐにある細い路地のどん詰まりにある寿司屋。カウンターが8.9席のお店。お任せコースが3800円で,午後5時,午後7時,午後9時30分の3交代制で,みんなが揃ってから,コースがスタートする。我々は午後7時開始。

 まずは,ビールで乾杯。程なく出された前菜は,甘海老塩麹和え,なめろう,烏賊アオサ和え,青柳貝柱,貝柱梅塩,鰹づけの6種。一つのお皿に少しずつ供される。どれも少し手をかけ,素材の旨さを引き出している。少し手をかけててあるところが酒飲みには嬉しい。日本酒に切り替えて頂く。

 次いで,酢の物。もずく酢。ほんのり甘く,生姜も利いていて清涼感いっぱい。

 椀が出される。揚げ胡麻豆腐の葛餡かけ。意外な取り合わせだが,香ばしさと胡麻豆腐のクリーミーさがいい。出汁加減は淡く仕上げてあり,胡麻の風味を損なわないようにしている。 

 ここからが握りのスタート。
 
 まずは,鮃,縁側を乗せて、岩塩で頂く。塩が鮃の身の甘さを十全に引き出してくれる。縁側のコリッとした歯応えも楽しい。

 次に,サゴシ。皮目を軽く炙って握り,塩と酢橘で頂く。口に入れると皮目の香ばしさとサゴシの品のいい脂が広がる。でも酢橘が,広がりすぎを抑えてくっきりと味の輪郭を整える役割をしている。

 3カン目は中トロ。煮切りを塗って出される。すぐに口に放り込む。これまた脂が上品に乗っていて,口の中でサッと融け旨みだけが残る。さほど甘くないさっぱりした酢飯によく合っている。

 4カン目は,あおり烏賊。酢橘の皮を細かく下ろしたものがかけられ,塩で頂く。烏賊はあくまでも甘い。その奥には優しくてまろやかな旨さが控えている。

 ここで箸休めに,小松菜と薄揚げの炊いたん,海老の煮物,蛸の甘露煮。いずれも酒が進むものばかり。控えるつもりが今日ももやはり飲んでしまう。

 後半は,まず鯵。甘酢で軽く締め,おろし生姜を乗せたもの。鯵のはっきり した旨みがよくわかる,これぞ王道の握り。とても心地よい旨さ 。

 次がタイラギ、,これも軽くく炙ってあり,塩で頂く。炙りの香ばしさがタイラギの淡白な旨みを引きたたせている。

 7カン目は,イサギ。こちらも酢橘の皮を下ろしたものと塩で頂く。白身だけど少し青臭くて濃い旨みが酢橘により中和され,食べやすく感じる。

 8カン目は,〆鯖。軽い〆具合で塩分も柔らかでジューシィな味わい。これを抓みに酒を飲むととても進むだろうな,と想像する。

 最後に,赤出しが出され,梅沢庵と紫蘇の手巻き。さっぱりとしたもの。

 大将から,追加を聞かれる。お腹はもういっぱいだが,ホウボウが入っていることを聞き,追加でホウボウを頼む。白身だけれど野趣あふれる旨さで,すっと喉の奥に消えていく。

 3800円という廉価でありながら,メリハリを付けていい魚を食べさせてくれる。高級寿司屋のことはよく知らないが,小生には充分満足の行くものであった。旨かった。大将と女将さんの二人で切り盛りされており,仕事中,若いご主人は無口であるが,最後はにこやかに接してくれる。また,季節ごとに訪れたいと感じる店である。

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9位

(天神橋筋六丁目、中崎町、天満 / 天ぷら、創作料理)

1回

  • 夜の点数: 4.0

    • [ 料理・味 4.0
    • | サービス 3.9
    • | 雰囲気 3.8
    • | CP 3.8
    • | 酒・ドリンク 3.8 ]
  • 使った金額(1人)
    ¥8,000~¥9,999 -

2013/01訪問 2013/02/25

天六で天麩羅を食す。

久しぶりに昔の仲間が四人集まって食事をすることに。昔より少し大人になったというところが見せたくてこちらのお店を選択した。天六のレンガ横丁にある天麩羅屋。昨年からずっと来訪したかったお店である。コース(3500円)を予約しておいた。

 当日は,カウンターに座して食事開始。まずはビールで乾杯。併せて馬刺し盛り合わせ(2480円)を2人前追加注文した。

 コースは,まず八寸として前菜5種盛り合わせが供される。鯖寿司,もずく酢,豆腐、あんぼ柿海苔巻き等。鯖寿司はしっかりした〆加減の鯖を用いたもの。もずく酢は爽やか。あんぼ柿はこっくりした甘さ。いずれも旨い。

 続いて追加注文した馬刺しが出される。ここで日本酒に切り替える。赤身とコーネ、フタゴエなど、様々な部分が綺麗に盛りつけられている。赤身は脂が乗っており,とろける。コーネはまったりして赤身と食べるとよりその旨さが引き立つ。フタゴエはこりこりした歯ごたえが楽しい。いずれも日本酒によく合う。

 馬刺しを食べ終わったところで,アンデスの塩,淡路島の塩,能登の塩の三種と天つゆが用意される。天麩羅の開始である。

 まずは車海老。塩で頂く。中をほんのり半生で仕上げてあり甘みが十分に引き出されている。続いて,海老の頭。香ばしくて酒によく合う。

 ここで,甘鯛の天麩羅に葛餡を張った餡が供される。甘鯛のほっこりとした優しい旨みに出汁が効いた葛餡とが調和して品よく仕上がった一品。椀物が旨いと嬉しい。大将の力は確かである。

 続いて,鱈白子。まったりとした旨みの塊。雲丹海苔巻.濃厚な雲丹海苔で巻いて天麩羅にしたもの。まずかろうはずがない。穴子,さっくりした蓮根,大ぶりでまったり甘い薩摩芋、香り高い舞茸が続いた。いずれも旨い。

 ここで口直しに,鯛が出される。甘酢でさっぱりしめた物。天麩羅が続いたところでの爽やかな一品。さらに食欲が湧いてくる。

 続いて,甘い玉蜀黍,香り高い豌豆,柔らかな旨みの穴子,優しさの塊である玉葱の天麩羅でコースの天麩羅が終了した。

 ここで,鴨の天麩羅と黒鮑の天麩羅を皿に追加注文した。鴨はミディアムで肉汁たっぷり。鴨好きの私には」とっても嬉しい一品。鮑は火が通って柔らかになり,口の中で馥郁たる香りが広がる。

 コースに戻り,ご飯物。かき揚げ丼,天茶,卵ご飯の中から一つを選ぶことができる。私が選んだのは。かき揚げ丼。玉葱や三つ葉に大ぶりに切った帆立がごろごろ入ったかき揚げは,香りもよくとっても旨い。

 水菓子(ぜりーだったか)でコース終了。この間,最初はビールで日本酒は王禄等を各自2~5杯位頂いた。

 天麩羅は全体的に軽めの衣で素材の旨さが引き立つ仕上げ。途中の椀や口直しも旨く,とても考えられたコースだと思う。追加注文せずとも充分天麩羅を堪能できる。
 
 大将は、とても若くはつらつとした印象。天麩羅の食べ方も一つ一つご教示いただき,気持ちよく過ごせた。また機会を見つけて来訪したい。

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10位

弁天山美家古寿司 (浅草(東武・都営・メトロ)、浅草(つくばEXP)、田原町 / 寿司、海鮮、日本料理)

1回

  • 夜の点数: 4.0

    • [ 料理・味 4.0
    • | サービス 3.8
    • | 雰囲気 4.0
    • | CP 3.8
    • | 酒・ドリンク 3.8 ]
  • 使った金額(1人)
    ¥8,000~¥9,999 -

2013/11訪問 2013/11/30

江戸前の鮨を食べる。

 少し前に東京に行った際には予約が入らなかったため,今回は早い時期に予約しておいた。浅草にある老舗の鮨屋。江戸前の伝統に則ったいわゆる仕事がされている鮨を食べさせてくれると聞く。午後五時の開店時間に合わせて予約し,開店と同時に飛び込む。

 店内は,カウンターと奥にいくつかテーブル席がある。カウンターには伝統を背負った風格と貫禄を備えた大将の姿。優しそうな女将さんに案内され。カウンターの,しかも大将の握り場の前に案内される。カウンターの上には暖簾があり,そこに中尾彬氏のサインがなされている。

 こちらの店は,仕事のしてある江戸前の握りのコースが4つ程,通常の生の魚を握るコースが2つ程用意されている。仕事のしてあるコースから,弁天山コース(7350円)をお願いし,そして,日本酒の中から浦霞純米の冷や酒を合わせて注文する。

 すぐ,浦霞と小鉢が供される。酒は一合半。まずは一献。雑味なく爽やかだけどふくよかな味わい。好きな酒。小鉢には,鮪の中落ちの生姜煮。生姜が鮪の旨みを引き出し,酒によく合う。これをアテに2,3杯,杯を重ねたところで,大将より,そろそろ握りましょうか,との声。お願いします,と返答する。

 大将がネタケースから下拵えした魚を取り出し,切り付けて握り始める。手元が見えるわけではないが,とても綺麗な動きである。

 まず始めに,白身。鮃と鯛。鮃は昆布締めされており,煮切りが塗られる。口に入れるとシャリがふわっとほどけ,噛む内にネタと一体になる。舎利は思っていたより塩分も優しく酢の加減も淡い目。鮃は昆布の旨みがしっかりと付き,ねっとりとした食感も心地よい。鯛は霜皮に湯引いたもの。煮切りで頂く。少し熟成した味わい。

 次が,赤貝とかじき。赤貝は肉厚で濃い血の旨みが強く感じる。かじきはづけにしてある。さっぱりとした赤身の旨さがとてもいい。初めての体験である。

 続いて,北寄貝と小鰭。北寄貝は程よい弾力でも甘みたっぷり。小鰭はしっかりした締め加減。ただ,舎利の塩加減や酢の加減が淡い目なので,少し小鰭そのものに舎利が少し負けている感じがする。でも,ここは好みだと思う。

 鱚と才巻き。鱚は軽く昆布で〆てある。鮃よりは軽い〆加減で,品のよい旨みが広がる。才巻きは,みその部分まであり,ほっこりしていて甘みも充分。

 次が穴子と煮烏賊。穴子は沢煮の後軽く炙ってあり,柔らかでまったりした旨さ。煮烏賊には甘いツメが塗られている。柔らかで身そのものも甘く,とても旨い。
 
 握りの最後は鮪ヅケと玉子。鮪は赤身の血の爽やかさとヅケにすることによりしっとりとした旨みが一体となったもの。素晴らしい出来映え。そして玉子は,どこまでも優しくどこまでも甘い。今まで食べた玉子で1,2を争う旨さ。

 最後に鉄火巻きと海苔巻き。鉄火は海苔の香ばしさに鮪の香りがよく調和していて旨い。海苔巻きは,かんぴょうが思ったよりさっぱりとしている。関西ではあまり食べないが,美味しいなと思った。

 どの鮨も,ネタに応じた仕事がされており,それがネタの旨みを引き出すとともに,少し淡い目の舎利によく合う。またコースの流れも白身から味の濃いものへと設定されており,最後まで美味しく頂けた。

 大将も寡黙だが,ネタの説明をされるときの口ぶりを察するに安心できるような懐の深さと優しさが感じられる。驚いたのは手の色である。。ピンク色ですべすべしていていかにも柔らかそうだった。女将さんは優しい雰囲気でかいがいしく動かれており,とても素敵な感じの方であった。店内も清潔で気持ちいい。東京へ訪れるときには,また立ち寄って,仕事がされた江戸前の鮨を食べてみたいと思う。

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