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実は憧れの国はベトナム。
何度か行こうとしたんだけれど、なかなか実現しない。
とにかくメシが美味そうな国だ。
野菜たっぷり、ハーブどっさりで、タイ料理ほどのビート感はないものの、しっとり体にしみわたる滋味がありそうなイメージ。
じゃあ美味いベトナム料理をどれほど食べたことがあるのか?
正直に言うと、ほとんどないに等しい。
何故か横浜界隈の場合、ベトナム料理屋はそう長く持たずに潰れてしまう傾向があるようで、おおイイカンジの店ができたじゃん、一度行ってみるべ!とか言っている間に、気付くと店自体消えていることが多い。
タイ料理店の隆盛に比べると(3・11以降数が減ったとは聞くが)、実に寂しい限りなのである。
そんなわけで、夢で見るだけの美味に憧れを募らせていた。
さて、暑さがガンガンとエスカレートする気配を見せていた夏の初め、某サイト関係者のメシ会のお誘いが某師匠より来る。
最近密かに人気急上昇中のベトナム料理店、浅草『オーセンティック』にて「ハーブわっさわさ」的貸し切り宴会をやるとやら。
特注メニューでお店貸し切りという豪勢な話だ。
はいはいはいっ!行きますイキマス!!ということで、某月某日浅草へ。
こういう集まりに誘われて、断る馬鹿はおるまいて。
当日浅草に出向いたが、店のあるらしきポイントまで来て完全に迷ってしまった。
あれれれれ??と探し歩いて東武浅草駅の駅員さんに尋ねたところ「地下に潜りなさい」と。
え、なんのことでしょうか・・・と指差してもらった階段を本当に地下に降りて前進・・・
こんな小路が出現。
なんとも昭和な香り溢れるロケーションだ。
向かいのタイ料理は、よく知られた店らしい。
東南アジアの市場の一角に迷い込んだような、不思議な空気感が漂っている。
生春巻き。自家製のピーナッツ味噌ダレがついてる。
オーソドックスにウマイ♪
春巻きは三種類出るという。
次、蒸し春巻き。
広東料理の腸粉に似てる。
そもそもこの米粉の皮は大好物なんだが、ハーブや野菜をたっぷり載せて、生春巻きより複雑な香りと食感がステキだよ。
この丁寧なモヤシの処理を見て!
中身は緑豆と豚肉。
美しい艶を放っている。
歯触りはむっちりモッチリと官能的。
ううん、これはタマランですよ。
この辺から一気にテンションが上がってくるのだった。
やったあ、パチパチパチ、と拍手で迎えるハーブの山。
第三の春巻きは「揚げ春巻き」。
具は肉がメインだけれど、色々複雑な味わいが絡み合っている。
外側はサックリと軽やかな揚げ上がり。
サクッと噛むと広がる複雑な旨味を、ハーブでわさわさ包んでいただく楽しさよ嗚呼。
揚げた春巻きがこんなに美味いと思ったのは初めてですよーん!
この日に出されたハーブの色々。
まず撮って(!)すぐ喰う。
こういう青物は、本当に際限なく食べられてしまうよね♪
一見したところ、まことに地味な「ゴイ・ガー」なる蒸し鶏とキャベツのサラダ。
しかし、一口食べるとびっくりするほど複雑な旨味が効いている。
もうアホのように「う、ま〜い!」の一言しかでてきません。
口直し的に出てきた空芯菜のスープ。
ちょっと青臭いスープなんだけど、抜群の出汁とスパイスやハーブの塩梅で、淡々とキレイにまとまってます♪
ベトナム産ワイン。期待値ゼロだったがなかなかいけた。
ビールはベトナムの「333(バーバーバー)」。
昔エジプトでガボガボ飲みまくった地ビール「ステラ・ローカル」を上品にしたようなビールだ。
「チャー・カー」なる鯰とディルの炒めもの。
さっぱり味の鯰にディルの香りがアクセントになって、これまた目から鱗の味わいだ。
こういう類の炒めもので感動することって、そうないような気がするけど逸品です!
この日一番のオドロキはこれだったかもしれない。
なにこれ?マカロニと挽肉・・・??
いや、確かにその通りなのだが、このマカロニは米粉製で、歯ごたえがむっちりと独特なのだ。
小麦粉のパスタと違って、ちゅるんと喉に滑りこんでいく食感だ。
青菜も入ったスパイシーな挽肉炒めを混ぜていただく。
見た目からイメージする味を、いちいち舌が裏切るのだが、その捻り加減がなんともタマラン。
着地点はオドロキとヨロコビに満ちている。
これもまたハーブわっさわさなバインセオ。
オムライスの亜種かと思っていたのだが、実はウコンで黄色く色をつけた物なのだそうだ。
中にはモヤシを中心にした具がどっさり。
これも野菜たっぷりだな〜♪
「コム・ヘン」なる、蜆の激辛ぶっかけご飯。
確かにガツンと辛いが、旨味の凝縮されたスープがガチンコ勝負している。
ベトナム料理の汁物って、上品な薄味のイメージだったが、こういう激しいものもあるんだね。
しかし、ガチンコながらケミカルな味よりは濃い自然の旨味勝負なんで、アフアフいいながらも止まらない。
そしてフォー・ガー。
・・・これですよこれですよ、これこれ!
こういうスープを飲みたかったんだな、ワタシ!!
デザートはタピオカのチェー。
のぼせた頭がちょっと冷えてくる感じで、気持ち良いデザート。
とにかく徹底した手間をかけた料理に感動した。
まず、これだけ色々ハーブわっさわさに各種の料理を出して、一品ずつそれぞれ違う味わいがしっかり出てくるから、料理人の技術と引き出しの多さは大変なものだ、という気がする。
シェフの中塚さんは、元々はフレンチ出身だそうだが、なにが彼をここまでベトナム料理に駆り立てたのか、一度ゆっくりお聞きしたいものだ。
もちろんベトナムの人ではなく、日本の方です。驚いたことに。
この日はひゃあひゃあ言いながら喰いまくるばっかりで、到底そんな余裕がなかったのが残念。
次こそは!
ここは絶対にまた行くぞ。
唯一の問題は、横浜からはちょびっと遠いことなんだけど、遠路踏み越え行く価値がある店だ。
7人入ると満席の小さな店なので、お出かけ前に予約のこと。