『世界的指揮者の凄さを見せつけられました。でももうライヴでは聴けません・・・』くいしんぼうヤマゲンさんの日記

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くいしんぼうヤマゲン (60代前半・男性・埼玉県) 認証済

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2014年7月16日追記

本当に久しぶりの日記ですが、悲しいお知らせから。
さる7月13日世界的指揮者ロリン・マゼールが亡くなりました。
84歳でした。
最後に接したライヴが下記の東京交響楽団との演奏でした。

ここ1、2年彼は今までにない円熟した姿を見せているとのことでした。
昨年のミュンヘン・フィルの公演は都合がつかず聴けませんでしたが、
来年東京交響楽団との共演が予定される方向だったとのこと。
もちろん楽しみにしていました。
さらに長寿の家系とマゼール自身も言っていたので、まだまだ接する機会が
あると思っていました・・・

ホールを出てごく普通のワゴン車に乗り込み、中から見送る観客に
穏やかに手を振っていたのが、自分が見たマゼールの最後の姿でした。
37年前ウィーン・フィルが初めて鹿児島に来た時の指揮者として初めて接し、
その後34年にわたりすべて異なるオーケストラで素晴らしい演奏を
繰り広げてくれました。今回初めて同じオケとの演奏だったのに・・・

これからは彼が残した多数のディスクで彼の音楽を聴いてゆくことになるのでしょう。
すべての面で恵まれているように見えながら、実は挫折ばかりの音楽家としての
人生だった。でもいよいよ集大成として円熟した姿を見せてきた矢先での死去。
残念でなりません。

今彼のウィーン・フィルとのマーラー「巨人」のディスクを聴いています。
初めて聴いた時外面的な響きばかりに惹かれてゆきましたが、
改めて聴くとその中にマーラーに込めた想いがようやく自分にも
少しながら聴こえて来たような気がしています。

もう少し生きてほしかったけど、ほぼ75年にわたる指揮者人生は
日本でももっと評価されてもいいですね。
改めてご冥福をお祈りします。合掌。


2011年11月13日

昨日12日ロリン・マゼール指揮東京交響楽団特別演奏会を聴いてきました。
マゼールはウィーン国立歌劇場、ニューヨーク・フィル、バイエルン放送響など
そうそうたる一流オーケストラのポストを務めてきた、世界的な指揮者。
来年からはこれまたドイツを代表するオーケストラの一つ、ミュンヘン・フィルの
指揮者に就任予定です。
カラヤンが死去したベルリン・フィルの指揮者になるのではないかとまで
言われた方です。

自分は他の日記にもある通り、一番好きな指揮者にはマリス・ヤンソンスですが、
次いで実演に接している回数の多い指揮者です。それもオーケストラはすべて違い
ますが、どれも欧米のトップクラスの楽団ばかりで聴きました。
そこで繰り広げられる演奏はまさに天才肌の冴えをみせ、
オーケストラの個性の上に多彩な表現を繰り広げるもの。
ですからやや華やかさに傾くきらいもあり、いわゆる精神性(?)を尊ぶ
クラシックファンはあまり好まれていない部分もある方です。
自分はもちろん好きな指揮者の一人ですが。

その世界的一流オケとの共演ばかりで出会ってきた彼が、なんと日本のしかも大好きな東響を
指揮するということで、大きな期待と興味を持って聴いてきました。
約50年前に両者の共演があったらしいですが、パンフレットの金山さんの文章に
よるとあまり良い出会いとまでは言えなかったらしいです。

さて演奏ですが前半のベートーヴェンの交響曲一番出だしから違いました。
今まで東響から聴けないコクのある響きが出てきたのです。
オーケストラを見事にコントロールして、そこにマゼール流のベートーヴェンが
聴けました。でもあざとさはなく、この曲がモーツァルトでもなくハイドンでもない
まさにベートーヴェンの曲であること堪能しました。素晴らしかった。

しかし後半のマーラーの巨人は今度はオーケストラの能力の限界に
挑んだともいえる、壮絶な演奏でした。
かなり個性的な表現部分もありましたが、それをオーケストラに求めることで
オーケストラのすべてを引き出そうとし、音楽に反映させる物に感じました。
マゼールもそれに全身全霊を傾け、オーケストラも必死についてゆく。
完璧までとはいえず、ミスも散見しましたが、そんなことはどうでもよい
凄い音が日本のオーケストラから出てきました。
このような体験はかつてゲルギエフがNHK交響楽団から引き出して以来の
経験でした。

本当に感激しました。演奏終了後マゼールは何度もステージに呼ばれ、
オーケストラが退場した後も鳴りやまない拍手とスタンディングオベーションに
応えていました。
この会場にいた皆さんを感動の渦に巻き込んだものでした。
これはライヴでないと経験できないものですね。

マゼールも80歳を超えています。今はフリーのとはいえ今川崎ミューザが
崩壊し、メインスポンサーの一つが内部の問題で手を引き、苦境に立たされている
このオーケストラをわざわざ振りにきてくれた。
もちろん招聘には川崎市の尽力もあったそうですが、ただ招聘条件だけで来日したの
ではないことは、その演奏がなにより示していました。
今回マゼールはその天才的な資質をすべてこのオーケストラの演奏のために
注いでくれた。今までの彼の指揮の中でも、もっとも感激しました。
そして東京交響楽団がますます好きになりました。
来月の新百合ヶ丘での演奏会も楽しみです。

本当に素晴らしいシェフは条件を問わず、素晴らしい料理を供することに
通じることなのかもしれませんね。
このあとお腹ぺこぺこでアサオグリルに行きました。
これについては後ほど口コミします。

ロリン・マゼール感謝!東響頑張っていきましょう!


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